JP6638805B1 - ガス分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単結晶引き上げ装置内のガスに含まれるガス成分の濃度をより高精度に測定することができるガス分析方法を提供する。【解決手段】シリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置内のガス成分の濃度を分析する方法であって、単結晶引き上げ装置から採取したサンプルガスを質量分析装置に導いて、サンプルガスに含まれる所定のガス成分に対して、その分子数と正相関する電流値を測定する第1工程と、予め求めておいた、質量分析装置内の圧力と所定のガス成分に対する電流値のバックグラウンド値との関係と、所定のガス成分に対する電流値の測定時の質量分析装置内の圧力とから、第1工程において測定された所定のガス成分に対する電流値を補正し、上記所定のガスの濃度を算出する第2工程とを含むことを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、ガス分析方法に関する。
半導体デバイスの基板として使用されるシリコンウェーハは、チョクラルスキー法(CZ法)によって製造された単結晶シリコンインゴットに対してウェーハ加工を施すことによって製造することが多い。
図1は、CZ法によりシリコン単結晶を育成する一般的な単結晶引き上げ装置の一例を示している。この図に示した単結晶引き上げ装置100は、チャンバ51内に、多結晶シリコンなどのシリコン原料を収容するためのるつぼ52が設けられており、るつぼ52は、石英製るつぼ52aとカーボン製るつぼ52bとで構成されている。このるつぼ52の下部には、るつぼ52を円周方向に回転させるとともに、るつぼ52を鉛直方向に昇降させるるつぼ回転昇降軸53が取り付けられている。また、るつぼ52の周囲には、ヒータ54が配置されており、るつぼ52内に収容されたシリコン原料を加熱してシリコン融液Mにする。
チャンバ51の上部には、シリコン単結晶インゴットIを引き上げるための引き上げ軸55が設けられており、この先端に固定された種結晶保持器56に種結晶Sが保持されている。また、チャンバ51の上部および下部には、ガス導入口57およびガス排出口58がそれぞれ設けられており、シリコン単結晶インゴットIの育成中に、ガス導入口57からチャンバ51内にアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスを供給し、インゴットIの外周面に沿って通過させてガス排出口58から排出するように構成されている。
さらに、チャンバ51内には、育成中のインゴットIの外周面を包囲する円筒形の熱遮蔽部材60が設けられている。熱遮蔽部材60は、ヒータ54やシリコン融液M、るつぼ52の側壁からの輻射熱を遮蔽して、引き上げる単結晶シリコンインゴットIの冷却を促進する一方、インゴットIの外周面を保温し、単結晶シリコンインゴットIの中心部と外周部における結晶軸方向の温度勾配の差が大きくなるのを抑制する。
上記装置100を用いて、シリコン単結晶の育成は以下のように行う。まず、るつぼ52の石英製るつぼ52aにシリコン原料を充填し、チャンバ51内を減圧下のArガス等の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ヒータ54によってるつぼ52内に充填されたシリコン原料を加熱して溶融し、シリコン融液Mとする。次いで、るつぼ回転昇降軸53によってるつぼ52の高さ位置を調節し、シリコン融液Mの液面の高さ位置をヒータ54の上端の高さ位置に対して設定された高さ位置に調整する。そして、所望の仕様を有するシリコン単結晶が得られるように調整された製造条件の下で、種結晶をシリコン融液Mに浸漬し、るつぼ52および引き上げ軸55を設定された方向に回転させながら、引き上げ軸55によって種結晶Sを引き上げる。こうしてシリコン単結晶を製造することができる。
ところで近年、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)をはじめとするパワー半導体市場の拡大に伴い、優れた耐圧特性を有するシリコンウェーハが求められている。このようなシリコンウェーハに求められる品質として、欠陥がないことの他に、キャリアのライフタイムを長くするために、不純物の濃度が低いことが重要視されつつある。
上記不純物の中でも、炭素はデバイス形成工程の熱処理中にキラー欠陥と呼ばれる電気的に活性な欠陥を形成する原因として知られており、キャリアのライフタイムを短くする。よって、キャリアのライフタイムが長いシリコンウェーハを得るためには、引き上げるシリコン単結晶中の炭素濃度を低減する必要があり、そのためには単結晶引き上げ装置100内のCOガスの発生状況を把握する必要がある。
一般に、炭素(以下、「C」とも言う。)はシリコン融液Mから結晶に取り込まれるが、シリコン融液Mに取り込まれる炭素源の1つとして、一酸化炭素(以下、「CO」とも言う。)ガスの混入が考えられる。
単結晶引き上げ装置100内には、カーボン製るつぼ(黒鉛あるいは炭素繊維強化炭素複合材料)52a、カーボン製の熱遮蔽部材60、カーボン製ヒータ54など様々な炭素製部材が配置され、装置内は1500℃を越える高温環境下に置かれる。そのため、上記単結晶引き上げ装置100内の炭素製部材から、以下の化学反応によってCOガスが発生するものと推定される。
上記COガスを発生させる化学反応として想定されるものは、シリコン融液Mから発生するSiOガスとカーボン製ヒータ54や熱遮蔽部材60との反応(1)、および石英製るつぼ52aとカーボン製るつぼ52bとの反応(2)である。上記2つの化学反応は、それぞれ下記の通りである。
SiO+2C→SiC+CO↑ (1)
SiO2+3C→SiC+2CO↑ (2)
上述のように、シリコン単結晶の引き上げ時には、シリコン融液Mの上方からるつぼ52の下方に向けてArガスなどの不活性ガスが流れている。そのため、上記化学反応によって発生するCOガスの多くはガス排出口58から排出されるが、一部のCOガスは装置100内を逆流するガスに乗って、シリコン融液Mに混入する。
上記シリコン融液MへのCOガスの混入量は直接測定することはできないが、発生するCOガスのほとんどが排気管を経由して単結晶引き上げ装置100外に排出されるため、排出されたCOガス量の変化をモニターすることができれば、シリコン融液MへのCOガス混入量を推定することができる。
上記単結晶引き上げ装置100内のCOガスを測定する技術として、例えば、特許文献1には、石英製るつぼ内のシリコン融液の液面で発生するSiOガスをカーボン材の炭素と反応させてCOガスを発生させて装置の外部に取り出し、質量分析装置によりCOガスの濃度を測定することによって、SiOガスの発生量を間接的に測定する技術が記載されている。
特開2000−335992号公報
本発明者らが、質量分析装置を用いて、結晶引き上げ中に単結晶引き上げ装置100から排出された排ガスに含まれるCOガスの濃度を測定したところ、COガスの濃度が不連続に変化する場合があることが判明した。
上記COガス濃度の不連続な変化は、例えば種結晶Sをシリコン融液Mに着液した時などの別のプロセスへの移行時のみならず、シリコン単結晶の直胴部の形成開始時から数時間が経過した時点のような、プロセス条件に何ら変更のない時点でも発生することが分かった。
こうしたことから、排ガスに含まれるCOガスの濃度測定に影響を与える何らかの外的要因があり、これによりCOガス濃度の測定精度が低下して、上述したようなCOガス濃度の不連続な変化が発生したと考えられる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、単結晶引き上げ装置内のガスに含まれるガス成分の濃度をより高精度に測定することができるガス分析方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
[1]シリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置内のガス成分の濃度を分析する方法であって、
前記単結晶引き上げ装置から採取したサンプルガスを質量分析装置に導いて、前記サンプルガスに含まれる所定のガス成分に対して、その分子数と正相関する電流値を測定する第1工程と、
予め求めておいた、前記質量分析装置内の圧力と前記所定のガス成分に対する電流値のバックグラウンド値との関係と、前記第1工程における前記所定のガス成分に対する電流値の測定時の前記質量分析装置内の圧力とから、前記第1工程において測定された前記所定のガス成分に対する電流値を補正し、前記所定のガスの濃度を算出する第2工程と、
を含むことを特徴とするガス分析方法。
[2]前記所定のガス成分は、前記サンプルガスに対する濃度が10ppm以上2000ppm以下である希薄ガスの成分である、前記[1]に記載のガス分析方法。
[3]前記所定のガス成分は一酸化炭素である、前記[2]に記載のガス分析方法。
[4]前記バックグラウンド値は、前記単結晶引き上げ装置内の構成部材を加熱して前記構成部材からの脱離ガスを除去し、前記質量分析装置内の初期排気到達真空度を1×10-6Pa以下とした後に、前記単結晶引き上げ装置内に不活性ガスを一定流量で流しながら、前記質量分析装置から出力される前記所定のガス成分に対する電流値である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガス分析方法。
[5]複数の単結晶引き上げ装置の各々について、単結晶引き上げ装置に質量分析装置を接続し、この単結晶引き上げ装置と質量分析装置の組に対して前記関係を予め求めておく、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のガス分析方法。
本発明によれば、単結晶引き上げ装置内のガスに含まれるガス成分の濃度をより高精度に測定することができる。
CZ法によりシリコン単結晶を育成する一般的な単結晶引き上げ装置の一例を示す図である。 分析圧力と、COガスに対する電流値のバックグラウンド値との関係を示す図である。 一酸化炭素の濃度および質量分析装置内の圧力を示す図である。 5つの単結晶引き上げ装置において製造されたシリコン単結晶中の炭素濃度の平均値を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明によるガス分析方法は、シリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置内のガス成分の濃度を分析する方法であって、単結晶引き上げ装置から採取したサンプルガスを質量分析装置に導いて、サンプルガスに含まれる所定のガス成分に対して、その分子数と正相関する電流値を測定する第1工程と、予め求めておいた、質量分析装置内の圧力と所定のガス成分に対する電流値のバックグラウンド値との関係と、第1工程における所定のガス成分に対する電流値の測定時の質量分析装置内の圧力とから、第1工程において測定された所定のガス成分に対する電流値を補正し、所定のガスの濃度を算出する第2工程とを含むことを特徴とする。
本発明者らは、シリコン単結晶の引き上げ時に測定されたCOガス濃度が上述のように不連続な変化が発生した原因について検討する過程で、COガスの濃度が不連続に変化した時点と、質量分析装置内の圧力(以下、「分析圧力」とも言う。)が大きく変化した時点との間に良好な相関があることを見出した。
すなわち、単結晶引き上げ装置100とガス分析装置(図示せず)とは、ガス排出口58およびガス排気管(図示せず)を介して接続されているため、シリコン単結晶引き上げ中の質量分析装置内の圧力は、装置100内の圧力に対して、配管に設けられたバルブの開度に応じた圧力となる。従って、プロセス移行時などに単結晶引き上げ装置100内の圧力が変化した場合には、分析圧力も連動して変化する。
また、質量分析装置には、ガス濃度を測定する際の推奨される装置固有の圧力範囲がある。そのため、ガス分析中に分析圧力が推奨圧力範囲から外れそうになる場合には、バルブの開度を変更して分析圧力を調整することもある。このように、シリコン単結晶引き上げ中に分析圧力は変化しうる。
しかし本来、質量分析装置によって測定されるガス濃度は、分析圧力に依存しない。すなわち、質量分析装置は、ガスに含まれる原子や分子などの化学物質をイオン化し、生成したイオンをその分子量に応じて分離してガス成分の濃度を分析する装置である。質量分析装置は、イオンの個数に応じた電流値を出力するため、例えばArガス中のガス成分Xの濃度CXは、
X=IX/IAr (3)
と表すことができる。
上記式(3)において、分析圧力が例えば2倍になると、イオン化されるArおよびガス種Xの双方の数が2倍になるため、IXおよびIArがそれぞれ2倍になり、CXは変化しない。そのため、本来であれば、ガス成分Xの濃度CXは分析圧力に依存しない。しかしながら、上述のように、COガスの濃度が不連続に変化する時点と、分析圧力が大きく変化する時点との間に良好な相関が見られたのである。
本発明者らは、上記相関が見られた原因について鋭意検討した。その結果、単結晶引き上げ装置100内のガスに含まれるCOガスの濃度はppmオーダーと希薄であるために、質量分析装置から出力された電流値に含まれる、装置由来のバックグラウンド(以下、「BG」とも言う。)に大きく影響されているのではないかと考えた。すなわち、上記式(3)における電流値IXは、ガス成分Xによる真の電流値IXtrueに加えて、装置由来のBG値が含まれていると考えられる。
X=IXtrue+IBG (4)
上記式(4)において、分析圧力が例えば2倍になったとき、Ixtrue値は2倍になるもののIBG値は変化しない。ここで、ガス成分Xの濃度がCOガスなどのように希薄である場合、IXtrue値に対するIBG値の割合は無視できるほど小さくないため、分析圧力が2倍になったときIXは2倍から大きくずれた値になる。これに対して、ガス成分Xの濃度がArガスなどのように高い場合には、IXtrue値に対するIBG値の割合は小さく、分析圧力が2倍になったときIXは2倍に近い値になる。
このように、本発明者らは、単結晶引き上げ装置100内のガスに含まれるCOガスの濃度がppmオーダーと希薄であるために、上記式(4)におけるIBG値の影響が大きく、分析圧力の大きな変化に伴って濃度が不連続に変化したのではないかと考えた。
本発明者らは、上記推測に基づいて、COガスに対する電流値ICOのIBG値を予め求めておき、測定されたCOガスに対する電流値ICOからIBG値を差し引くことによって、COガスの濃度を高精度に測定できるのではないかと考えた。しかし、後述する実施例に示すように、IBG値は分析圧力に依存することが判明した。
そこで、本発明者らは、COガスのように濃度が希薄なガス成分であっても、その濃度を高精度に分析する方途について鋭意検討した。その結果、分析圧力と測定対象の所定のガス成分に対する電流値のバックグラウンド値との関係を予め求めておき、上記関係と所定のガス成分に対する電流値の測定時の質量分析装置内の圧力とから、測定されたガス成分に対する電流値を補正し、上記所定のガスの濃度を算出することが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させたのである。以下、各工程について説明する。
まず、第1工程において、単結晶引き上げ装置100から採取したサンプルガスを質量分析装置に導いて、サンプルガスに含まれる所定のガス成分に対して、その分子数と正相関する電流値を測定する。測定対象の所定のガス成分は、単結晶引き上げ装置100内のガスに含まれるガス成分であれば特に限定されないが、ガス成分の濃度が低いほど、本発明による測定精度の向上効果が高くなる。特に、サンプルガスに対する所定のガス成分の濃度が10ppm以上2000ppm以下と希薄である場合には、本発明による測定精度の向上効果が高くなる。COはこうした希薄なガス成分の1つであり、本発明は、COガス濃度の測定において極めて顕著な精度向上効果を達成することができる。
また、ガス濃度の測定に用いる質量分析装置としては、特に限定されないが、例えば四重極質量分析装置を用いることができる。四重極質量分析装置は、イオンを生成し、生成したイオンに加速電圧を印加するイオン源部と、イオン源部から入射されたイオンを質量分離する四重極電極部と、2次電子増倍管およびコレクタで構成された、質量分離されたイオンを検出するイオン検出部とで構成されている。
四重極電極部は4本の平行ロッド状電極からなり、相対する2本の電極はそれぞれ結線されている。そして、一方の電極の組に正の直流(DC)電圧およびそれに重畳する高周波(RF)電圧を印加し、他方の電極の組には上記一方の電極に印加したものと正反対の負のDC電圧および位相が180°異なるRF電圧を印加することによって、四重極電場が形成される。
四重極電場に入射したイオンは、上下方向および左右方向に振動しながら四重極電極部内を進むが、DC電圧およびRF電圧を制御することによって、特定の質量のイオンのみが安定な振動モードを有して四重極間を通り抜けてイオン検出部に到達するような電場を形成して、特定の質量のイオンのみを取り出すことができる。
正確には、上記振動モードはイオンの質量mではなく、電荷Zに対する質量mの比である質量電荷比m/Zによって決定されるため、イオンは質量電荷比m/Zによって篩い分けがなされる。しかし、多くの場合、分子は1価のイオンを形成するため、質量mにより篩い分けしているとしてよい。
四重極質量分析装置では、質量電荷比m/Zが1から100に相当するガスの電流値Im/Zが検出器から得られる。ガス濃度を求めるためには、対象となる各々のガス成分の電流値から、相対比率を求めて濃度を決定する。
例えば、不活性ガスとしてのArガスに含まれるCOガスの濃度を求める場合、Arの電流値に対するCOの電流値を求めればよい。しかし、COの質量数は28であり、この質量数は窒素(以下、「N2」とも言う。)の質量数と同じであるため、質量数28のイオンの電流値からN2の電流値を分離してCOガス濃度を求めるのは困難である。
そこで、本発明においては、COガスの濃度は、質量数12のCの電流値I12および質量数44の二酸化炭素(以下、「CO2」とも言う。)の電流値I44から求める。すなわち、四重極質量分析装置においてイオン化されるCO分子は、その全てがCO+イオンとしてイオン化されず、一部はC+イオンとしてイオン化される。COがC+イオンとなる割合は、CO+イオンに比べて低いものの、一定の割合で生成される。
また、装置100内のガスにはCO2も含まれるが、CO2についてもその全てがCO2 +イオンとしてイオン化されず、一部はC+イオンおよびCO+イオンとしてイオン化される。
COがイオン化された際にC+イオンとしてイオン化される割合Ac+、およびCO2がイオン化された際にC+イオンおよびCO+イオンが生成される割合Bc+、Bco+は、装置に依存するため一概に決定されない。そこで、濃度が既知なCOガスやCO2ガスを用いて、上記Ac+、Bc+、Bco+の値を予め求めておくことが好ましい。Ac+の値は0.04〜0.06程度、Bc+の値は0.04〜0.06程度、Bco+の値は0.08〜0.1程度である。
c+、Bc+、Bco+の値が得られている場合には、下記の式(5)を用いて、C+イオンの電流値I12およびCO2 +イオンの電流値I44から、CO+イオンの電流値を推定することができ、COガスの濃度CCOを求めることができる。
Figure 0006638805
上記式(5)においては、CO+イオンに起因する電流値の変換には、質量数12に相当するC+イオンの電流値I12に換算係数を掛けて変換するが、C+イオンの電流値I12には、CO+イオンの他にCO2 +イオンの電流値I44も含まれている。そのため、測定されたC+イオンの電流値I12からCO2に由来する電流値I44を差し引いた後、CO+イオンのみの電流値に変換し、Ar+イオンの電流値との相対比率を求めてCOガスの濃度CCOを決定している。
また、質量分析装置のCOガスとArガスに対する感度が異なるため、窒素(以下、「N2」とも言う。)を基準とした感度係数で補正して換算している。本発明においては、COの対N2感度を1.03、Arの対N2感度を1.23とした(例えば、四重極型質量分析計 ソフトウェア QUADVISION2−Win7 取扱説明書(キヤノンアネルバ株式会社)参照)。
こうして、質量分析装置によって、単結晶引き上げ装置100から採取したサンプルガスを質量分析装置に導いて、サンプルガスに含まれる所定のガス成分に対して、その分子数と正相関する電流値を測定することができる。
次いで、第2工程において、予め求めておいた、質量分析装置内の圧力と所定のガス成分に対する電流値のバックグラウンド値との関係と、上記第1工程における所定のガス成分に対する電流値の測定時の質量分析装置内の圧力とから、第1工程において測定された所定のガス成分に対する電流値を補正し、上記所定のガスの濃度を算出する。
上述のように、所定のガス成分Xの濃度が希薄である場合には、質量分析装置によって測定される電流値IXに占めるBG値IBGの割合が大きく、無視することができない。そこで、第2工程では、第1工程において測定された所定のガス成分Xに対する電流値IXから、予め求めておいたBG値IBGを測定時の分析圧力に応じて差し引くことによって、測定された所定のガス成分に対する電流値を補正し、上記所定のガスの濃度を算出する。
質量分析装置を用いて測定したデータのBGの因子として、装置の分解能Δm/mに起因する項、および質量分析装置内の残留ガスに起因する項の2点が挙げられる。
まず、装置の分解能Δm/mに起因する項について、四重極質量分析装置以外の質量分析装置では、分解能Δm/mは一定となるため、高質量のイオンに対してはピーク幅Δmが広くなり、高質量分子ほど分離が困難となる。
一方、四重極質量分析装置では、DC/RF比を高質量ほど高くなるよう制御することにより、均一なピーク幅Δmを得ることができ、なおかつピーク幅Δmは十分に小さくできることが知られている。例えば、質量数40のArの場合、質量数39のイオンの電流値I39や質量数41のイオンの電流値I41の値は、質量数40のArの電流値I40に比べて2桁以上小さい。従って、分析対象のガスの主成分がArである場合、m=40に隣接するm=39,41以外のガス種に関しては、ピーク幅Δmの影響を無視してもよい。
一方、質量分析装置内の残留ガスに起因する項については、COガス濃度を決定する際に必要な電流値であるI12、I44に含まれるBG値は、残留ガスに含まれるCOおよびCO2が主要因であると考えられる。ここで、質量分析装置内のガスは、取り込みガス(サンプルガス)と残留ガスとで構成される。後者のみを分析するには、サンプルガスを取り込むバルブを閉じて分析すればよい。
一般に、質量分析装置内の残留ガス成分は、内部の減圧に使用する真空ポンプの種類や、真空度に依存する。例えば、使用する質量分析装置の推奨分析圧力の範囲が10-4〜10-3Paである場合には、推奨圧力範囲における残留ガスを分析すればよい。しかしながら、質量分析装置は、一般的にターボ分子ポンプに接続されているため、バルブを閉じた場合に分析圧力は短時間で10-4Pa以下となり、所望の圧力範囲でのBG値データを取得することはできない。そこで、本発明においては、シリコン単結晶引き上げ中に供給しているArガスなどの不活性ガスをサンプルガスとして取り込み、さらに分析圧力を調整することによって、BG値のデータを取得する。
上記サンプルガスとしては、後述するように、炭素製部材のみを単結晶引き上げ装置100内に組み込んだ状態で空焼きを行い、炉内を冷却した後の排ガスをサンプルガスとして採用した。上記空焼きを行うことによって、装置100内の炭素製部材からの脱ガス起因による外乱の影響を除外することができる。このように、通常の結晶成長サイクルの中で、外乱の影響が最も少ないガスをサンプルガスとして選択することによって、正確なBG値データを取得することができ、高精度の定量ガス分析に繋がる。
本発明においては、以下のようにして所定のガス成分Xに対する電流値IXのBG値IBGを求める。まず、単結晶引き上げ装置100内に炭素製部材で構成されたホットゾーンを設置する。次いで、装置100内に不活性ガスとしてのArガスを導入し、装置100内のガスをArガスで置換する。続いて、装置100内を1000℃以上に加熱して10時間以上保持して空焼きを行う。その後、装置100内を200℃以下まで冷却する。次いで、装置100内を1×10-6Paまで初期排気する。その後、所望の分析圧力で所定のガス成分に対する電流値を測定し、ガス濃度を分析する。そして、この分析によって得られた電流値を所定のガス成分Xに対する電流値IXのBG値IBGとする。
こうして予め求めておいた、質量分析装置内の圧力と所定のガス成分に対する電流値のBG値との関係と、所定のガス成分に対する電流値の測定時の質量分析装置内の圧力とから、測定された所定のガス成分に対する電流値を補正し、所定のガス成分の濃度を算出する。具体的には、第1工程において測定された所定のガス成分に対する電流値から、測定された際の分析圧力に対応するBG値を差し引く。これにより、装置起因のBGの影響を低減して、所定のガス成分の濃度をより高精度に求めることができる。
なお、本発明者らの検討の結果、上記質量分析装置内の圧力と所定のガス成分の濃度のBG値との関係は、装置100自体に大きく影響されることが判明した。そこで、複数の単結晶引き上げ装置100が存在する場合には、各装置100に質量分析装置を接続し、この単結晶引き上げ装置100と質量分析装置の組に対して上記分析圧力と所定のガス成分に対する電流値のBG値との関係を予め求めておくことが好ましい。これにより、それぞれの装置100について、所定のガス成分の濃度を高精度に算出することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されない。
(発明例)
図1に示した単結晶引き上げ装置100を用い、ガス導入口57から不活性ガスとしてのArガスを導入しながら直径300mm、直胴部の長さ2000mmのシリコン単結晶を引き上げ、四重極質量分析装置を用いて、シリコン単結晶引き上げ中にガス排出口58から排出された排ガスに含まれるCOガスの濃度を算出した。
上記濃度の算出に使用した四重極質量分析装置について、分析圧力とCOガスに対する電流値のBG値との関係を予め求めておいた。得られた分析圧力と、COガスに対する電流値のバックグラウンド値との関係を図2に示す。そして、図2に示した関係に基づいて、測定されたCOガスに対する電流値から、測定時の分析圧力に対応するCOガスに対する電流値のBG値を差し引いてCOガスに対する電流値を補正した。そして、上記式(3)からCOガスの濃度を求めた。
なお、上記シリコン単結晶の引き上げ中、直胴部の形成開始から約2時間が経過した時点で、分析圧力が推奨圧力範囲から外れるのを防止するために、四重極質量分析装置内に導入されるガス量を調整するバルブの開度を変更して、分析圧力を3×10-4Paから6×10-4に調整した。上記分析圧力の調整を行った時点付近のCOガスの濃度および分析圧力を図3に示す。
(従来例)
発明例と同様に、図1に示した単結晶引き上げ装置100を用いて直径300mm、直胴部の長さ2000mmのシリコン単結晶を引き上げ、四重極質量分析装置を用いて、結晶引き上げ中に装置100から排出された排ガスに含まれるCOガスの濃度を算出した。ただし、測定したCOガスに対する電流値に対して、発明例において行ったような、測定されたCOガスに対する電流値の補正を行わなかった。上記分析圧力の調整を行った時刻近傍のCOガスの濃度および分析圧力を図3に示す。
図3から明らかなように、従来例については、分析圧力が3×10-4Paから6×10-4に変化した際にCOガス濃度が不連続に大きく低下している。これに対して、発明例については、分析圧力が3×10-4Paから6×10-4に変化した際にも不連続な濃度変化は起こっておらず、バックグラウンドの影響を低減してCOガス濃度をより高精度に測定できている。
次に、四重極質量分析装置を接続した単結晶引き上げ装置5基を用いて、直径300mm、直胴部の長さが2000mmのシリコン単結晶をそれぞれ4本、計20本引き上げ、四重極質量分析装置によって、シリコン単結晶引き上げ中のCOガス濃度を測定した。測定したCOガス濃度について、本発明の方法によりBG値を用いてCOガス濃度の補正を行った発明例および補正を行わなかった従来例のそれぞれについて、シリコン単結晶の直胴部長さが1000mm〜1100mmの間に測定したCOガス濃度の平均値を図4に示す。
発明例と従来例とで測定値の標準偏差は同程度であり、0.008〜0.010(a.u.)あった。一方、COガス濃度の平均値については、COガスに対する電流値の補正を行わなかった従来例については、COガス濃度の装置間差が大きく、その差は各装置の標準偏差よりもはるかに大きかった。これに対して、COガスに対する電流値の補正を行った発明例については、装置間差が標準偏差未満まで低減された。すなわち、装置毎の正確なBG値を用いて測定された電流値を補正をすることによって、結晶引き上げ中のCOガスの濃度をより正確に分析できることが分かる。
単結晶引き上げ装置内のガスに含まれるガス成分の濃度をより高精度に測定するガス分析方法を提供することができるため、半導体ウェーハ製造業において有用である。
51 チャンバ
52 るつぼ
52a 石英製るつぼ
52b カーボン製るつぼ
53 るつぼ回転昇降軸
54 ヒータ
55 引き上げ軸
56 種結晶保持器
57 ガス導入口
58 ガス導出口
60 熱遮蔽部材
100 単結晶引き上げ装置

Claims (5)

  1. シリコン単結晶を引き上げる単結晶引き上げ装置内のガス成分の濃度を分析する方法であって、
    前記単結晶引き上げ装置から採取したサンプルガスを質量分析装置に導いて、前記サンプルガスに含まれる所定のガス成分に対して、その分子数と正相関する電流値を測定する第1工程と、
    予め求めておいた、前記質量分析装置内の圧力と前記所定のガス成分に対する電流値のバックグラウンド値との関係と、前記第1工程における前記所定のガス成分に対する電流値の測定時の前記質量分析装置内の圧力とから、前記第1工程において測定された前記所定のガス成分に対する電流値を補正し、前記所定のガスの濃度を算出する第2工程と、
    を含むことを特徴とするガス分析方法。
  2. 前記所定のガス成分は、前記サンプルガスに対する濃度が10ppm以上2000ppm以下である希薄ガスの成分である、請求項1に記載のガス分析方法。
  3. 前記所定のガス成分は一酸化炭素である、請求項2に記載のガス分析方法。
  4. 前記バックグラウンド値は、前記単結晶引き上げ装置内の構成部材を加熱して前記構成部材からの脱離ガスを除去し、前記質量分析装置内の初期排気到達真空度を1×10-6Pa以下とした後に、前記単結晶引き上げ装置内に不活性ガスを一定流量で流しながら、前記質量分析装置から出力される前記所定のガス成分に対する電流値である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分析方法。
  5. 複数の単結晶引き上げ装置の各々について、単結晶引き上げ装置に質量分析装置を接続し、この単結晶引き上げ装置と質量分析装置の組に対して前記関係を予め求めておく、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス分析方法。
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