以下に、本発明に係る花卉用容器の一実施形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明は、下記の実施形態の構成に限定されるものではない。
本発明の一実施形態である花卉用容器10は、図1に示すように、花卉(例えば、花物、葉物、実物等)を収容する閉塞された収容空間10Rを形成する外壁部10aを備える。該外壁部10aは、一方向に延びる軸線Lを囲むように筒状に形成された筒状外壁部10bと、軸線Lの延びる方向(以下、軸線方向とも記す)に位置する筒状外壁部10bの一端部を閉塞するように形成された第一閉塞壁部10cと、軸線方向に位置する筒状外壁部10bの他端部を閉塞するように形成された第二閉塞壁部10dとから構成される。そして、筒状外壁部10bと第一閉塞壁部10cと第二閉塞壁部10dとで囲まれた空間によって前記収容空間10Rが構成される。
花卉用容器10は、少なくとも外壁部10aが発泡樹脂を用いて形成される。発泡樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、ポリプロピレン系樹脂発泡体、又は、ポリウレタン系樹脂発泡体等を用いることができる。
また、花卉用容器10は、図2に示すように、前記軸線方向の一端側を構成する(換言すれば、第一閉塞壁部10cを備える)第一部材1と、前記軸線方向の他端側を構成する(換言すれば、第二閉塞壁部10dを備える)第二部材2と、第一部材1と第二部材2との間に配置される第三部材3とを備える。また、花卉用容器10は、収容空間10R内で花卉を支持する花卉支持部材4と、収容空間10Rを仕切る仕切部材5とを収容空間10R内に更に備える。また、花卉用容器10は、収容空間10R内を冷却する複数の冷却材Xを収容空間10R内に収容可能に構成される。
なお、以下の各部材の説明では、「上」とは、花卉用容器10が形成された状態で、軸線Lの延びる方向における第一閉塞壁部10cが位置する側であり、「下」とは、花卉用容器10が形成された状態で、軸線Lが延びる方向における第二閉塞壁部10dが位置する側である。また、「外方」とは、軸線Lから離れる方向であって軸線Lに対して交差する方向であり、「内方」とは、軸線Lへ向かう方向であって軸線Lに対して交差する方向である。
前記第一部材1は、図3(a)、及び、図3(b)に示すように、前記第一閉塞壁部10cと、該第一閉塞壁部10cの外周部から下側へ延出するように形成された筒状の第一筒状壁部1aとを備える。また、第一部材1は、第一筒状壁部1aにおける下側に位置する端部(言い換えれば、延出方向に位置する端部)に閉塞されていない開口部1bを備える。これにより、第一部材1の内側には、第一筒状壁部1aと第一閉塞壁部10cとで囲まれた空間であって開口部1bから下側へ向けて開放する第一部材内空間1Rが形成される。また、第一筒状壁部1aは、下側に位置する先端部(開口部1bを形成する端部)の厚み方向における内周部分1cが外周部分1dよりも下側へ突出するように形成される。
前記第二部材2は、図4、図5(a)、及び、図5(b)に示すように、前記第二閉塞壁部10dと、該第二閉塞壁部10dの外周部から上側へ延出するように形成された筒状の第二筒状壁部2aとを備える。また、第二部材2は、第二筒状壁部2aにおける上側に位置する端部(言い換えれば、延出方向に位置する端部)に閉塞されていない開口部2bを備える。これにより、第二部材2の内側には、第二筒状壁部2aと第二閉塞壁部10dとで囲まれた空間であって開口部2bから上側へ向けて開放する第二部材内空間2Rが形成される。また、第二筒状壁部2aは、上側に位置する先端部(開口部2bを形成する端部)の厚み方向における内周部分2cが外周部分2dよりも上側へ突出するように形成される。
また、第二閉塞壁部10dを下にして第二部材2を水平面上に載置した状態において、高さ方向に対して直交する方向から第二部材2を見た際に、第二筒状壁部2aの前記先端部(開口部2bを形成する端部)の高さ位置が奥側から手前側へ向かって連続的に低くなる(傾斜する)ように形成される。
また、前記第二部材2は、花卉へ水分を供給する水分供給部2eを第二部材内空間2R内に備える。該水分供給部2eは、花卉における水分を吸収する端部(以下、吸水端部とも記す)を一方向から(具体的には、上側から下側へ向けて)挿入可能に構成される。また、水分供給部2eは、第二筒状壁部2aから離間した位置(具体的には、第二部材内空間2Rの略中央部)に形成される。
また、水分供給部2eは、凹状に形成されて内側に水を貯留する貯水部2fと、該貯水部2fの内周面から貯水部2fの内側へ向かって延出するように形成された延出部2gと、該延出部2gから貯水部2fの底側(即ち、下側)へ向かって突出するように形成されると共に貯水部2fの内周面から離間した位置に形成される突出部2hとを備える。
前記貯水部2fは、第二閉塞壁部10dの外周部よりも内側の領域(具体的には、略中央の領域)から構成される底部2iと、該底部2iの外周部から上側へ延出する筒状の貯水筒状部2jとを備える。前記延出部2gは、貯水筒状部2jの上端部の内周面の全周から延出するように形成される。つまり、延出部2gは、環状に形成される。そして、環状の延出部2gの内周端部によって開口部2kが形成される。前記突出部2hは、環状の延出部2gの内周端部の全周から底部2i側(即ち、下側)へ突出するように形成される。つまり、突出部2hは、環状に形成される。そして、上記のように構成される水分供給部2eは、前記開口部2kから花卉の吸水端部を貯水部2fの内側に挿入可能に構成される。
また、水分供給部2eは、上端部(延出部2g及び突出部2hを含む部分)が該上端部よりも下側の部分に対して着脱可能に構成される。具体的には、水分供給部2eは、本体部2mと、該本体部2mに対して着脱可能に構成された蓋体部2nとを備える。本体部2mは、前記貯水筒状部2jにおける下側の領域と底部2iとから構成される。蓋体部2nは、前記貯水筒状部2jの上端側の領域と延出部2gと突出部2hとから構成される。
前記第二部材2は、第二部材内空間2Rの所定位置に冷却材を保持する冷却材保持部2pを更に備える。本実施形態では、冷却材保持部2pは、水分供給部2eの周囲に複数形成される。また、冷却材保持部2pは、第二筒状壁部2aの周方向における冷却材の移動を規制する一対の第一規制部2q,2qと、第二筒状壁部2aから第二部材内空間2Rの中央部へ向かう方向への冷却材の移動を規制する第二規制部2rとを備える。
一対の第一規制部2q,2qは、第二筒状壁部2aの周方向に間隔を空けて形成される。また、各第一規制部2qは、第二筒状壁部2aから第二部材内空間2Rの内側へ延出するように形成される。また、各第一規制部2qの下端部は、第二閉塞壁部10dと連結される。第二規制部2rは、一対の第一規制部2q,2qの間に形成される。また、第二規制部2rは、第二筒状壁部2aの周方向に延びるように壁状に形成される。また、第二規制部2rの下端部は、第二閉塞壁部10dと連結される。本実施形態では、第二規制部2rは、水分供給部2eの貯水筒状部2jの一部分によって構成される。また、本実施形態では、各第一規制部2qと第二規制部2r(具体的には、貯水筒状部2j)とが一体的に形成される。そして、一対の第一規制部2q,2qと第二規制部2r(具体的には、貯水筒状部2j)と第二筒状壁部2aとによって囲まれた空間に冷却材が挿入されることで、冷却材が第二部材内空間2R内の所定位置(具体的には、水分供給部2eの周囲)に保持される。
また、第二部材2は、第二筒状壁部2aの内面から突出するように形成されて、前記花卉支持部材4が載置される載置用突出部2sを備える。該載置用突出部2sは、第二筒状壁部2aの周方向に間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、載置用突出部2sは、水分供給部2eを中心に対称となる位置に一対ずつ形成される。即ち、第二部材2は、載置用突出部2sを4つ備える。各載置用突出部2sは、水分供給部2eよりも上側に形成される。
前記第三部材3は、図6、図7(a)、及び、図7(b)に示すように、軸線Lを囲むように筒状に形成されて上下方向に延びる第三筒状壁部3aを備える。また、第三部材3は、第三筒状壁部3aにおける上側及び下側に位置する両端部に閉塞されていない開口部3b,3bを備える。これにより、第三部材3の内側には、第三筒状壁部3aで囲まれた空間であって各開口部3bから上側及び下側へ向けて開放する第三部材内空間3Rが形成される。また、第三筒状壁部3aは、上側に位置する端部(上側の開口部3bを形成する端部)の厚み方向における内周部分3cが外周部分3dよりも下側に位置し、下側に位置する端部(下側の開口部3bを形成する端部)の厚み方向における内周部分3cが外周部分3dよりも上側に位置するように形成される。
また、軸線Lが上下方向に沿うように第三部材3を配置した状態で高さ方向に対して直交する方向から第三部材3を見た際に、奥側から手前側へ向かって第三筒状壁部3aの下側の端部(下側の開口部3bを形成する端部)の高さ位置が連続的に低くなる(傾斜する)ように形成される。
第三部材3は、第三部材内空間3R内で花卉を支持する花卉支持部3eを第三部材内空間3R内に更に備える。該花卉支持部3eは、後述する花卉支持部材4と協働して第三部材内空間3R内で花卉を支持する。具体的には、花卉支持部3eは、軸線Lを囲むように形成されて上下方向に延びる筒状の筒状部3fと、第三筒状壁部3aの内面と筒状部3fとを連結する連結部3gとを備える。筒状部3fは、第三筒状壁部3aから離間した位置(具体的には、第三部材内空間3Rの略中央部)に形成される。連結部3gは、筒状部3fを中心とする対称位置に複数形成される。各連結部3gは、筒状部3fの外面から第三筒状壁部3aの内面に向けて延出する板状に形成されて、延出方向の先端部が第三筒状壁部3aの内面に連結される。
前記第三部材3は、第三部材内空間3Rの所定位置に冷却材を保持する冷却材保持部3hを更に備える。該冷却材保持部3hは、後述する花卉支持部材4と協働して第三部材内空間3R内の所定位置に冷却材を保持する。本実施形態では、冷却材保持部3hは、花卉支持部3e(具体的には、筒状部3f)の周囲に複数形成される。また、冷却材保持部3hは、第三筒状壁部3aの周方向における冷却材の移動を規制する一対の第一規制部3i,3iと、第三筒状壁部3aから第三部材内空間3Rの中央部へ向かう方向への冷却材の移動を規制する第二規制部3jとを備える。
一対の第一規制部3i,3iは、第三筒状壁部3aの周方向に間隔を空けて形成される。そして、一対の第一規制部3i,3iの間に前記連結部3gが形成される。また、各第一規制部3iは、第三筒状壁部3aから第三部材内空間3Rの内側へ延出するように形成される。また、一対の第一規制部3i,3iの各上端部は、一対の第一規制部3i,3iの間に形成された連結部3gと連結される。
第二規制部3jは、一対の第一規制部3i,3iの間に形成される。また、第二規制部3jは、第三筒状壁部3aの周方向に延びるように壁状に形成される。また、第二規制部3jの上端部は、前記連結部3gと連結される。本実施形態では、第二規制部3jは、花卉支持部3eが備える筒状部3fの一部分によって構成される。そして、一対の第一規制部3i,3iと第二規制部3j(具体的には、筒状部3f)と、第三筒状壁部3aとによって囲まれた空間に冷却材の上端部が挿入されることで、冷却材が第三部材内空間3R内の所定位置(具体的には、花卉支持部3eの筒状部3fの周囲)に保持される。
また、第三部材3は、第三筒状壁部3aの内面から突出するように形成されて、前記仕切部材5が載置される載置用突出部3kを備える。該載置用突出部3kは、第三筒状壁部3aの周方向に間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、載置用突出部3kは、花卉支持部3eの筒状部3fを中心に対称となる位置に一対ずつ形成される。即ち、第三部材3は、載置用突出部3kを4つ備える。また、載置用突出部3kは、花卉支持部3eよりも上側に形成される。
前記花卉支持部材4は、図8に示すように、花卉を挿入可能に形成されて花卉を支持する花卉支持部4aと、該花卉支持部4aの周囲に形成されて冷却材を保持する冷却材保持部4bとを備える。花卉支持部4aは、前記第三部材3の花卉支持部3eと協働して花卉を支持する。具体的には、花卉支持部4aは、軸線Lを囲むように形成されて上下方向に延びる筒状部4cを備える。該筒状部4cは、上下方向の両端部に閉塞されていない開口部4d,4dを備える。また、また、筒状部4cは、厚み方向に貫通するように形成された開口部(以下、側方開口部とも記す)4eを備える。また、筒状部4cは、図1に示す筒状外壁部10bの内側に花卉支持部材4が収容された状態で、筒状外壁部10bから離間した位置(具体的には、収容空間10Rの略中央部)に配置される。
冷却材保持部4bは、前記第三部材3の冷却材保持部3h、及び、筒状外壁部10bと協働して冷却材を保持する。本実施形態では、冷却材保持部4bは、花卉支持部4a(具体的には、筒状部4c)の周囲に複数形成される。また、冷却材保持部4bは、花卉支持部材4の外周部に(具体的には、花卉支持部4aの周囲に)凹状に形成される。具体的には、冷却材保持部4bは、筒状部4cの周方向における冷却材の移動を規制する一対の第一規制部4f,4fと、内方への(換言すれば、筒状部4cの外側から内側へ向かう方向への)冷却材の移動を規制する第二規制部4gと、冷却材の下方への移動を規制する第三規制部4hとを備える。
一対の第一規制部4f,4fは、筒状部4cの周方向に間隔を空けて形成される。また、各第一規制部4fは、筒状部4cから外方へ延出するように形成される。また、各第一規制部4fは、上下方向に延びるように形成される。また、各第一規制部4fの下端部は、第三規制部4hと連結される。
第二規制部4gは、一対の第一規制部4f,4fの間に形成される。また、第二規制部4gは、一対の第一規制部4f,4fの間に延びるように壁状に形成される。また、第二規制部4gの下端部は、前記第三規制部4hと連結される。本実施形態では、第二規制部4gは、筒状部4cの一部分によって構成される。
第三規制部4hは、一対の第一規制部4f,4fの対向方向に向かって一対の第一規制部4f,4fのそれぞれから延出するように形成される。つまり、各冷却材保持部4bは、一対の第三規制部4h,4hを備える。そして、一対の第三規制部4h,4hの延出方向の先端部間の空間が前記筒状部4cの側方開口部4eと連通するように形成される。
以上より、冷却材保持部4bは、一対の第一規制部4f,4fと、第二規制部4g(具体的には、筒状部4c)と、一対の第三規制部4h,4hによって囲まれた空間に冷却材の下端側を挿入可能に構成される。
また、花卉支持部材4は、前記第二部材2が備える載置用突出部2s上に載置される載置部4iを備える。該載置部4iは、花卉支持部材4の外周部に周方向に間隔を空けて複数形成される。各載置部4iは、隣り合う冷却材保持部4bの間に形成されると共に外方へ突出するように形成される。本実施形態では、載置部4iは、筒状部4cを中心に対称となる位置に一対ずつ形成される。即ち、花卉支持部材4は、載置部4iを4つ備える。
前記仕切部材5は、図9に示すように、板状に形成される。また、仕切部材5は、外周部よりも内側の領域を厚み方向に貫通する貫通孔5aを複数備える。また、仕切部材5は、前記第三部材3の載置用突出部3k上に載置される載置部5bを備える。該載置部5bは、仕切部材5の外周部に周方向に間隔を空けて複数形成される。各載置部5bは、前記貫通孔5aが形成された領域よりも外方へ突出するように形成される。本実施形態では、載置部5bは、貫通孔5aが形成された領域を中心に対称となる位置に一対ずつ形成される。即ち、仕切部材5は、載置部5bを4つ備える。
上記のような構成を有する花卉用容器10は、図10に示すように、第二部材2が備える第二筒状壁部2aの上端部と第三部材3が備える第三筒状壁部3aの下端部とが連結され、第三部材3が備える第三筒状壁部3aの上端部と第一部材1が備える第一筒状壁部1aの下端部とが連結される。これによって、筒状外壁部10bが形成されると共に、該筒状外壁部10bの軸線方向の一端部に第一閉塞壁部10cが位置し、軸線方向の他端部に第二閉塞壁部10dが位置する外壁部10aが形成される。また、筒状外壁部10bと第一閉塞壁部10cと第二閉塞壁部10dとで囲まれた収容空間10Rが形成される。
収容空間10R内では、第二部材2が備える載置用突出部2s上に花卉支持部材4が備える載置部4iが載置される。これにより、花卉支持部材4が収容空間10R内の所定位置に保持される。また、収容空間10R内では、第三部材3が備える載置用突出部3k上に仕切部材5が備える載置部5bが載置される。これにより、仕切部材5が収容空間10R内の所定位置に(具体的には、第一部材内空間1Rと第二部材内空間2Rとを仕切る位置に)に保持される。また、収容空間10R内では、水分供給部2eが軸線方向における収容空間10Rの下端部に位置する。そして、第三部材3が備える花卉支持部3e及び花卉支持部材4が備える花卉支持部4aは、軸線方向における収容空間10Rの両端部よりも中央側の位置であって水分供給部2eから軸線方向に離間した位置に配置される。
そして、第二部材2が備える冷却材保持部2p、第三部材3が備える冷却材保持部3h、及び、花卉支持部材4が備える冷却材保持部4bに冷却材(図示せず)が挿入されることで、収容空間10R内の所定位置に冷却材が保持される。冷却材保持部3h及び冷却材保持部4bに保持された冷却材により冷却された気体(空気)は、側方開口部4eを通って第二部材内空間2R及び第三部材内空間3Rに供給される。また、仕切部材5上に冷却材を載置することで、収容空間10R内に冷却材が保持されてもよい。斯かる場合には、冷却材で冷却された第一部材内空間1Rの気体(空気)が貫通孔5aを通って下方の空間(第二部材内空間2R及び第三部材内空間3R)に供給される。更に、水分供給部2e(具体的には、貯水部2f)内には、水が貯められる。
収容空間10R内に花卉Yが収容された際には、花卉Yの吸水端部Y1が水分供給部2eが備える開口部2kから貯水部2fの内側に挿入される。また、収容空間10R内の花卉Yは、吸水端部Y1から軸線方向に離間した部分が第三部材3が備える花卉支持部3e及び花卉支持部材4が備える花卉支持部4aによって支持される。具体的には、各花卉支持部3e,4aが備える各筒状部3f,4cの内側に、花卉Yの吸水端部Y1よりも上側の部分が配置されることで、花卉Yが収容空間10R内で支持される。
また、外壁部10aは、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)を厚み方向に貫通するように形成されて収容空間10R内の気体を花卉用容器10の外側へ排出する排気路10eを備える。該排気路10eは、第一部材1が備える第一筒状壁部1aの下端部と、第三部材3が備える第三筒状壁部3aの上端部との間に形成される。また、排気路10eは、筒状外壁部10bの周方向に部分的に(本実施形態では、筒状外壁部10bの軸線Lを中心に対向する二箇所に)形成される。また、排気路10eは、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)の厚み方向における収容空間10R側の部分に形成されて収容空間10Rに開放する第一排気路10gと、厚み方向における花卉用容器10の外側の空間(以下、外部空間とも記す)側に形成されて外部空間に開放する第二排気路10hと、第一排気路10gと第二排気路10hとを連通させる第三排気路10iとを備える。
第一排気路10g、及び、第二排気路10hは、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)の厚み方向に延びるように形成される。また、第一排気路10gは、第二排気路10hよりも上側に形成される。そして、第一排気路10gと第二排気路10hとは、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)の厚み方向の内側に位置する端部同士が上下方向に延びる第三排気路10iによって流体的に連結される。
前記第一排気路10gは、第一筒状壁部1aの下端部の内周部分1cと、第三筒状壁部3aの上端部の内周部分3cとの間に形成される。また、第二排気路10hは、第一筒状壁部1aの下端部の外周部分1dと、第三筒状壁部3aの上端部の外周部分3dとの間に形成される。また、第三排気路10iは、第一筒状壁部1aの下端部の内周部分1cと、第三筒状壁部3aの上端部の外周部分3dとの間に形成される。
また、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)は、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)の厚み方向の内側に気体を貯留する気体貯留部10fを備える。該気体貯留部10fは、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)の厚み方向の内側で前記排気路10eから分岐するように形成されて収容空間10Rから排気路10eへ流入した気体の一部を貯留する。また、気体貯留部10fは、外壁部10a(具体的には、筒状外壁部10b)の厚み方向の中央部よりも収容空間10R側(又は、外部空間側)に形成されてもよく、厚み方向の中央部に形成されてもよい。
以上のように、本発明に係る花卉用容器は、花卉が収容された空間の温度変化を抑制することができる。
即ち、発泡樹脂のような断熱性の比較的高い素材を用いて外壁部10aが形成されることで、花卉用容器10の外側の温度(以下、外気温とも記す)の影響によって収容空間10R内の温度が変動してしまうのを抑制することができる。冷却材保持部2p,3h,4bを備えることで、収容空間10R内に冷却材を保持することができるため、収容空間10Rの温度が意図せずに上昇してしまうのを抑制することができる。また、水分供給部2eを備えることで、花卉用容器10内に花卉Yが収容された状態であっても、該花卉Yへ水分を供給することができる。
つまり、外気温の影響が抑制されると共に収容空間10Rの温度上昇が抑制され、且つ、輸送中においても花卉Yへの水分供給が行われるため、収容空間10Rの温度、及び、花卉Yの鮮度を所望する状態に維持しつつ、花卉Yの輸送を行うことができる。
更に、発泡樹脂を用いて形成された外壁部10aは、従来の段ボール製の外壁部10aよりも一般的に緩衝性に優れているため、輸送時の衝撃によって花卉Yが傷むのを防止することができる。
また、水分供給部2eは、花卉Yの吸水端部Y1を一方向から挿入可能に構成されるため、水分供給部2eの内側に花卉Yの吸水端部Y1が保持される。これにより、花卉Yの吸水端部Y1が収容空間10R内で移動してしまうのが抑制されるため、花卉Yの吸水端部Y1から水分供給部2eの水分を効果的に吸収させることができる。
また、花卉支持部3eは、前記一方向における収容空間10Rの両端部よりも中央部側の位置であって水分供給部2eから一方向に離間した位置に形成されるため、収容空間10Rに収容された花卉Yは、吸水端部Y1が水分供給部2eの内側に保持されると共に、水分供給部2eから一方向へ離間した位置でも花卉支持部3eによって支持されることなる。これにより、収容空間10R内での花卉Yの移動をより効果的に抑制することができるため、花卉Yが外壁部10aへ意図せずに接触して傷んでしまうのを抑制することができる。
前記花卉支持部材4が前記冷却材保持部2p,3h,4bを備えることで、前記一方向における収容空間10Rの両端部よりも中央部側の位置に冷却材が保持されるため、冷却材によって冷やされた空気を収容空間10Rの両端部側へ流すことが可能になる。これにより、収容空間10Rの冷却をより効果的に行うことができる。
また、花卉支持部材4が外壁部10aに対して着脱可能に構成されることで、花卉支持部3eに支持された花卉Yから花卉支持部材4を取り外す作業を容易に行うことができるため、花卉Yが花卉支持部3eに接触して傷んでしまうのを抑制することができる。
また、第二部材2の開口部2bが傾斜して形成されることで、花卉の収容作業、及び、取り出し作業を容易に行うことができる。また、水分供給部2e(具体的には、貯水部2f)を備えると共に前記開口部2bが傾斜していることで、第一部材1及び第三部材3を第二部材2から取り外した状態で店舗等においてそのまま展示することができる。
排気路10eを備えることで、収容空間10R内の花卉Yから発生したガス(例えば、エチレンガスなど)が排気路10eを介して花卉用容器10の外側へ排出される。これにより、前記ガスの影響によって花卉Yの品質が低下してしまうのを抑制することができる。
また、排気路10eを備えることで、排気路10e内の気体を介して、花卉用容器10の外側から収容空間10R側への熱移動が生じる可能性があるが、排気路10eから分岐する気体貯留部10fを備えることで、気体貯留部10fに貯留された冷えた気体の作用によって収容空間10R側への熱移動を抑制することができる。
また、外壁部10aの厚み方向の中央部よりも収容空間10R側に気体貯留部10fが形成されることで、収容空間10Rからの冷えた気体が気体貯留部10fに貯留されやすくなる。これにより、排気路10e内の気体を介した収容空間10R側への熱移動をより効果的に抑制することができる
また、前記突出部2hは、環状の延出部2gから貯水部2fの底側へ向かって突出すると共に貯水部2fの内周面から離間した位置に配置されるため、貯水部2fの内周面と延出部2gと突出部2hとの間が凹状に形成される。これにより、花卉用容器10に輸送等による衝撃が加わる場合や、花卉用容器10を横倒しした場合(具体的には、貯水部2fの開放方向が水平方向になるように使用した場合)であっても、貯水部2fに貯留された水が貯水部2fの内周面を伝って貯水部2fの開口側へ移動した際に、斯かる水が上記の凹状に形成された部分によって塞き止められるため、環状の延出部2gの内側に形成される開口部2kに水が移動しにくくなり、貯水部2fから水が流出してしまうのを抑制することができる。
なお、本発明に係る花卉用容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、他の各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
また、上記実施形態における花卉用容器10の収容空間10Rに、花卉から放出されるガス(例えば、エチレンガス等)を吸着又は吸収するガス吸着剤を配置してもよい。具体的には、第一部材内空間1Rにガス吸着材が配置されることで、収容空間10R内に花卉から放出されたガスが仕切部材5の貫通孔5aを通ってガス吸着材に吸着又は吸収されることになる。
また、上記実施形態では、水分供給部2eの貯水部2fに水が貯められるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、貯水部2f内に水分を吸収させた吸水シート(図示せず)が収容されてもよい。
また、上記実施形態では、軸線Lの延びる方向が上下方向となるように花卉用容器10が配置されているが、これに限定されるものではなく、例えば、軸線Lが水平方向に延びるように花卉用容器10が配置されてもよい。斯かる場合には、水を吸収した前記吸水シートが水分供給部2eの貯水部2fに収容されることが好ましい。もちろん、吸水シートを使用せずに水を貯めてもよく、この場合には、突出部2hが水面よりも高い位置となる程度に水を貯めておけば良い。
また、上記実施形態では、第二部材2が備える冷却材保持部2p、第三部材3が備える冷却材保持部3h、及び、花卉支持部材4が備える冷却材保持部4bに冷却材(図示せず)が挿入されることで、収容空間10R内の所定位置に冷却材が保持されるように構成されているが、全ての冷却材保持部2p,3h,4bに冷却材を保持させなくてもよい。冷却材を設置する箇所としては、適宜定めることができるが、第二部材2が下方に位置するように花卉用容器10を配置した際に、花卉用容器10の安定性を確保するため下方側に多くの冷却材を設置することが好ましい。