JPH0519169U - 花き等の輸送用鮮度保持容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 花き類の輸送流通において長時間にわたって
鮮度を保持することができる容器を提供する。 【構成】 筒部２と蓋部３と底部４とからなる花き等の
輸送用鮮度保持容器１である。蓋部３には蓄冷剤１４を
収納する中空スペース１３が形成され、底部４には、内
面側が水分保持能力を有し外面側がエチレン吸着能を有
する防水性フィルムからなる鮮度保持シート１５で束ね
た花き等を立てた状態で固定し保持する花束固定用支持
部１１が形成されてなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は花き等の鮮度保持容器、特に花き等を収穫後、市場に輸送するまでの 間の鮮度を保持する容器に関するものである。さらに詳しくは、花き等の輸送中 の乾燥を防ぎ、花き等を垂直に固定するための固定枠、および容器上部に蓄冷剤 を入れるスペースを有する花き等の輸送時における鮮度保持容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

花き等の輸送形態は、従来、市場から遠い産地では横長の長方形のダンボール に数十本単位の花きの束を横に寝かせ、これらのダンボールを輸送コンテナに積 み込んで輸送、たとえば空輸するものである。しかし、特に夏場のような高温期 に花き類を流通させる場合は鮮度の低下が著しいため、かかる鮮度を保持するた めの方法が取られている。

【０００３】 花き類の鮮度保持方法としては、産地で収穫された花き類を直ちに予冷し、保 冷容器内に収納し流通するという低温流通方法が基本となるが、さらに鮮度を保 持するための方法が取られている。

【０００４】 かかる方法としては、（イ）花き等から発生し、鮮度低下の原因となるエチレ ンを吸着除去させるため、エチレン吸着剤をダンボール素材に組み込む方法、（ ロ）密閉できる容器を用い、その容器内を炭酸ガスや窒素ガスで置換する方法、 （ハ）水を入れた容器に、収穫し束にした切花を入れ、立てたままで輸送する方 法などが取られている。

【０００５】 しかし、（イ）のエチレン吸着剤をダンボール素材等に組み込む方法は、エチ レン吸着剤用の容器専用としてのダンボール資材の調達および購入の必要性が生 じる。（ロ）の方法では、容器内を炭酸ガスや窒素ガスで置換するための機材を 揃える必要がある。（ハ）の方法では、大量輸送する場合、ダンボール等を用い ないと輸送スペース的なロスが生じ、ダンボールに水の入った容器を入れなけれ ばならないこの方法では、ダンボールも撥水加工が必要となるためコスト高とな るなどの欠点がある。また、従来の花を横に寝かせて輸送する方法では、花き類 が直接ダンボールと接触し輸送時の衝撃によって損傷したり、また切花を収穫し た状態で収納するため、しおれたり、さらに花には上に向こうとする性質がある ので茎が横に曲がってしまって商品価値が下がってしまったりする欠点がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記の欠点を解決し、花き類の輸送流通において長時間にわたって 鮮度を保持することができる容器を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案の花き等の輸送用鮮度保持容器は、筒部と蓋 部と底部とからなる花き等の輸送用容器において、前記蓋部には蓄冷剤を収納す る中空スペースが形成され、前記底部には、内面側が水分保持能力を有し外面側 が防水フィルムからなる鮮度保持シートで束ねた花き等を立てた状態で固定し保 持する花束固定用支持部が形成されてなることを特徴とするものである。 本考案の好ましい態様において、蓋部の中空スペースを形成する底面側に筒部 に通ずる通気孔が形成されてなるものとすることができる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は、本考案の一実施態様としての鮮度保持容器１の各部を構成する筒部２ 、蓋部３および底部４の展開図である。図１（ａ）は筒部２の展開図を示し、組 立てた状態での断面形状が略正方形となるように４か所に縦方向の折れ線が形成 され、左端部にはのりしろ部５が形成されている。なお、この筒部の形状は特に 制限はなく断面任意の形状の多角形や円筒形にしてもよい。また、寸法も花き類 に合わせて任意の大きさにすることができる。図１（ｂ）は蓋部３の展開図を示 し、組立てた状態で中空スペースを形成するとともに図２に示すような溝部６を 形成するように折れ線が形成されている。組立てた状態で蓋部の底面を形成する 面には、蓋部の中空スペースに収納された蓄冷剤からの冷気が筒部に流れ込むよ うに通気孔７が複数個設けられている。図１（ｃ）は底部４の展開図を示し、組 立てた状態で花き束を立てた状態で固定するのに適当な深さの中空スペースを形 成するように折れ線が形成されている。そして、底部の上面側を形成する面には 、その中央部に略円形状の穴部８とその穴部から放射状に複数個の切断線９と折 れ線１０とからなる花束固定用支持部１１が形成されている。なお、この花束固 定用支持部の形状は花き類の種類等に応じて適宜変更することができる。この容 器の各部材の材質としてはダンボールが好ましく用いられる。

【０００９】 図２は、上記の筒部２、蓋部３、底部４の各部を組立てて本実施例の容器に組 立てるときの様子を示す斜視図であり、各部は矢印方向に組合わせて輸送用鮮度 保持容器が完成する。この場合、蓋部３の中空スペースの外壁が筒部２の内壁に 嵌合し、溝部６が筒部２の上端部１２に嵌合するようにして組合わされる。蓋部 ３の中空スペース１３には蓄冷剤１４が収納されている。なお、蓋部と筒部、筒 部と底部の接合は、糊付けなどの接着剤によってもよくステープラを用いて行っ てもよく、或いは粘着テープなどで行ってもよい。

【００１０】 図３は、鮮度保持シート１５に束ねられた花き束１６が輸送用鮮度保持容器１ に固定された実際の使用態様を示す、筒部の一側面を開口した状態での斜視図で ある。この図３に基づいてこの容器の使用法を説明する。まず、鮮度保持シート １５に水を適量しみ込ませる。そして数十本程度の花き束の茎部切断面が該シー トに当たるようにした後、茎部をシートでくるむ様に覆いシートを花束状に紐な どで固定する。鮮度保持シートとしては、花き等をくるむときに茎部側に接する 内面側が水分保持能力を有する材質、たとえばパルプ不織布からなり、外面側が エチレン吸着能を有する防水性フィルム、たとえばエチレン吸着剤添加ポリエチ レンフィルムなどからなるものを用いる。上記のようにして鮮度保持シート１５ で茎部をくるんで束ねた花束１６を底部４の花束固定用支持部１１の穴部８に挿 入して花き束を立てた状態で固定した後、筒部２を被せ、さらに蓄冷剤１４、た とえばドライアイスなどが蓋部の中空スペース１３に収納された蓋部３を被せて 作業が完了する。或いは、図３に示すように筒部の一側面を開口した状態で容器 １を組立てておき、鮮度保持シート１５でくるんで束ねた花き束１６を花束固定 用支持部１１の穴部８に固定した後、開口していた筒部の一側面を閉じてのりし ろ部５を筒部２の対応部分に接着するようにしてもよい。

【００１１】 上記図１〜図３に示した容器は蓋部、筒部、底部のそれぞれが別体のものであ るが、これに限らず本考案の容器は、蓄冷剤を収納する中空スペースの形成され る蓋部、花き束を立てた状態で固定保持する花束固定用支持部の形成される底部 、および蓋部と底部とを連結する筒部を有する構成であれば、蓋部と筒部、筒部 と底部、或いは蓋部と筒部と底部とが一体的に形成されてもよい。

【００１２】 たとえば、図４は筒部と底部とが一体型の容器の展開図を示す。図４において 、底板１７より折れ線１８を介して底部側壁１９が、底部側壁１９より折れ線２ ０を介して花束固定用支持部１１を有する底部花束固定用支持板２１が、底部花 束固定用支持板２１より折れ線２２を介して底部側壁２３が、底板１７より折れ 線２４を介して切欠２５を有する底部側壁２６が夫々連設されている。底板１７ の下方には折れ線２７を介して切欠２８を有する底部側壁２９が、底板１７の上 方には折れ線３０を介して筒部側壁３１が夫々連設されている。この筒部側壁３ １より折れ線３２を介して筒部側壁３３が、筒部側壁３１より折れ線３４を介し て筒部側壁３５が、筒部側壁３５より折れ線３６を介してその下方に係止舌片３ ７を有する底部側壁３８が、その底部側壁３８の上方に筒部側壁３９が、筒部側 壁３９より折れ線４０を介してのりしろ部４１が夫々連設されている。なお、組 立て時、底部側壁３８の係止舌片３７を底部側壁２９に形成された切欠２８に通 して底部側壁を固定する。

【００１３】 図５は、図４に示す展開図の筒部と底部一体型の容器を組立てて、筒部側壁３ ９を開口した状態の様子を示す斜視図である。図５に示す様に組立てた状態で、 図３において述べたと同様に鮮度保持シート１５で束ねた花き束を花束固定用支 持部１１に固定した後筒部側壁３９を閉じ、蓋部３を被せれば作業が完了する。

【００１４】

【考案の効果】

本考案による鮮度保持容器によれば、蓋部の中空スペースに蓄冷剤を収納でき るようにしたのでこの蓄冷剤により容器内の温度の上昇を抑え、花き等の茎部切 断面を水分を含ませた鮮度保持シートで包括でき、この鮮度保持シートがエチレ ン吸着能を有するので、花き等の輸送時の鮮度を保持することがでる。また、花 き束を底部の花束固定用支持部に立てた状態で固定するので、輸送中に茎が曲が ってしまい商品価値が低下するといった欠点を防止できる。さらに、鮮度保持シ ートは外面側に防水性フィルムを使用するので、水が漏れることがなくダンボー ルの強度およびその外観を保つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施態様としての鮮度保持容器の各
部を構成する筒部、蓋部および底部の展開図。

【図２】筒部、蓋部、底部の各部を組立てて本実施例の
容器に組立てるときの様子を示す斜視図。

【図３】花き束が容器に固定された実際の使用態様を示
す、筒部の一側面を開口した状態での斜視図。

【図４】筒部と底部とが一体型の容器の展開図。

【図５】図４に示す筒部と底部一体型の容器を組立て
て、筒部側壁の一側面を開口した状態の様子を示す斜視
図。

【符号の説明】

１ 輸送用鮮度保持容器 ２ 筒部 ３ 蓋部 ４ 底部 １１ 花束固定用支持部 １３ 中空スペース １４ 蓄冷剤 １５ 鮮度保持シート １６ 花き束

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】筒部と蓋部と底部とからなる花き等の輸送
   用容器において、前記蓋部には蓄冷剤を収納する中空ス
   ペースが形成され、前記底部には、内面側が水分保持能
   力を有し外面側がエチレン吸着能を有する防水性フィル
   ムからなる鮮度保持シートで束ねた花き等を立てた状態
   で固定し保持する花束固定用支持部が形成されてなるこ
   とを特徴とする、花き等の輸送用鮮度保持容器。
2. 【請求項２】前記蓋部の中空スペースを形成する底面側
   に前記筒部に通ずる通気孔が形成されてなる、請求項１
   に記載の花き等の輸送用鮮度保持容器。