JP6636472B2 - 電子源およびそれを用いた電子線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子源およびそれを用いた電子線装置に関する。
電子顕微鏡などの電子線装置に用いられる電子源として、熱電子源、電界放出電子源、ショットキー電子源などがある。図1A〜図1Cに各電子源の動作原理を示したエネルギーダイアグラムを示す。図1Aに示す熱電子源は、ヘアピン状に加工されたタングステン(W)のフィラメントを2800K程度に加熱し、W固体内で熱励起された電子をWの仕事関数Φ(4.3〜4.5eV)の障壁を越えさせることにより電子eを真空中に取り出す。電子源が常時加熱されているため、電子源表面の汚染がなく電流変動が少ない安定な電子線を取り出せる。半面、電子源が高温に加熱されているため放出電子のエネルギー半値幅ΔEは3〜4eVと広く、また加熱された部分全体から電子が放出されるため電子放出面積αが広く、輝度B(単位面積、単位立体角当たりの放出電流量)は10A/cmsr程度と低い。そのため、仕事関数Φが2.6eVとWより低いLaBなどの六ホウ化物電子源も用いられている。LaB熱電子源は仕事関数Φが低いため動作温度を1700〜1900K程度まで低減でき、そのためエネルギー半値幅ΔEを2〜3eVに抑制でき、輝度Bも10A/cmsr程度に上げることが可能である。特許文献1および2には、六ホウ化物を加熱して熱電子を放出する熱電子源が開示されている。これらの電子源は、低分解能だが取り扱いが容易で安価な簡易型電子顕微鏡用の電子源などに用いられる。
図1Bに示す電界放出電子源は、単色性がよく高輝度の電子ビームを放出ができるため、高分解能の電子顕微鏡用の電子源として使用されている。電界放出電子源には先端を尖らせたタングステン(W)チップが広く用いられている。外部電界EをWチップ先端に集中させることにより高電界を印加し、Wチップ内の電子eを実効的に薄くなった真空障壁を量子力学的に透過させて真空中に放出させる。室温で動作できるため、引き出される電子eのエネルギー半値幅ΔEは0.3eV程度と狭く、また非常に尖ったチップ先端の狭い電子放出面積αから電子を放出するため輝度が10A/cmsrと高い特徴を有する。電界放出電子源でもさらにエネルギー幅ΔEを狭くし、輝度Bを上げるため、仕事関数Φが低いLaBなどの六ホウ化物のナノワイヤを用いた電界放出電子源も提案されている(例えば、特許文献3)。Wに比べ仕事関数障壁が低いため、より低電界で電子を透過させ電界放出できエネルギー半値幅ΔEをさらに低減することが可能である。
一方、半導体デバイスの寸法計測などを行う測長走査電子顕微鏡では、図1Cに示すように酸化ジルコニウム(ZrOが)をWチップに塗布したショットキー電子源が用いられる。ショットキー電子源は常時1800K程度に加熱されており、Wチップ先端に熱拡散したZrOがWチップ表面の仕事関数Φを2.6eV程度に下げるとともに、チップ先端に印加された外部電界Eと鏡像ポテンシャルによって引き下げられた仕事関数Φの障壁(ショットキー障壁)を越して熱電子が放出されるものである。ショットキー電子源は電界放出電子源より大きな電流を安定に取り出せるが、動作温度が高いためエネルギー半値幅ΔEは0.5〜1eV程度と大きくなる。
特開昭56−30930号公報 特開平01−7450号公報 国際公開第2014/007121号
熱電子源やショットキー電子源は常時加熱して用いられる。一方、室温で用いる電界放出電子源も表面に残留ガスが吸着すると、残留ガスが電子放出表面での吸着サイトを移動し仕事関数を変動させ、放出電流にノイズが発生するなどの問題が生じるため、定期的な加熱フラッシング(ないしアニーリング、以下、加熱フラッシングと記す)が必要である。また電界放出電子源へのガス吸着を防止するため、1000〜1300K程度の比較的低温で常時加熱する熱電界放出電子源として用いる場合もある。従って電子源はフィラメント自体が電子源となるW熱電子源以外、すべて加熱できるフィラメントに電子源のチップが接合された構造を有する。図2に一般的な電子源の構造を示す。ステム101の2本の電極ピン102にヘアピン型のフィラメント103が接合され、さらにその先端に電子源のチップ104が接合されている。
タングステン(W)の電界放出電子源は、Wのヘアピン型フィラメントにWのチップがスポット溶接で接合され、フィラメントを数秒程度の短時間、2300〜2800K以上の高温で通電加熱するフラッシング処理、またはそれよりやや低温で数分程度加熱するアニーリング処理を施すことにより、電子源の表面のガスを脱離させ清浄化する。同様にZrO/Wのショットキー電子源もWのフィラメントにWチップがスポット溶接で接合され、Wチップの根元にZrO粉末が塗布されて常時1800Kに加熱されて使用される。これらの電子源はWのフィラメントとWのチップがともに金属材料であり、容易にスポット溶接することが可能である。また同一元素同士のため高温で加熱しても金属間化合物の生成などにより接合部が劣化するなどの問題は起きない。
一方、LaBなどの六ホウ化物をWのフィラメントにスポット溶接すると、加熱によって六ホウ化物とWフィラメントとのスポット溶接部で金属間化合物が形成され強度が低下する。また、熱膨張係数の異なる異種材料の接合部であることから加熱フラッシングによる熱応力による疲労で接合が壊れる可能性がある。
その解決のため、特許文献1には、六ホウ化物をWのフィラメントを直接スポット溶接するのではなく、六ホウ化物とタンタルなどの支持金属の間に遷移金属二ホウ化物などの反応障壁層を設ける構造が開示されている。しかしながら、反応障壁層と六ホウ化物の結合力が不十分なため、長時間使用すると六ホウ化物のチップが脱落しやすくなる課題が特許文献2で指摘されている。その解決のため特許文献2では、六ホウ化物に直接カーボンなどの反応障壁層と、遷移金属ホウ化物などの中間層、支持金属層を積層し、その支持金属層にWフィラメントをスポット溶接する例が開示されている。しかしながらこの構造は電子源とフィラメントの接合部が5〜数10μm程度の蒸着膜や焼結膜、金属箔の積層物であり、機械的な強度が不十分なため、Wフィラメントをスポット溶接する際のチップへのダメージや、長時間使用した際の接合部の劣化などの課題が懸念される。
本発明の目的は、六ホウ化物を用いた場合であっても、長時間安定に使用できる電子源およびそれを用いた高輝度・高分解な電子線装置を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、金属製のフィラメントと、
前記フィラメントに固定され、外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向に配置された複数の凹部を有する金属管と、
電子を放出し、前記金属管の内部から前記フィラメントの反対側に突き出て配置され、前記金属管の前記複数の凹部のそれぞれの底部と接触している柱状の六ホウ化物のチップと、を備えた電子源とする。
また、前記電子源と、
試料を載置する試料台と、
前記電子源から放出された電子を前記試料台の上の試料に照射する電子光学系と、
を有する電子線装置とする。
本発明によれば、六ホウ化物を用いた場合であっても、長時間安定に使用できる電子源およびそれを用いた電子線装置を提供することができる。
電子顕微鏡などの電子線装置に用いられる熱電子源の動作原理を示したエネルギーダイアグラム。 電子顕微鏡などの電子線装置に用いられる電界放出電子源の動作原理を示したエネルギーダイアグラム。 電子顕微鏡などの電子線装置に用いられるショットキー電子源の動作原理を示したエネルギーダイアグラム。 電子顕微鏡などの電子線装置に用いられる一般的な電子源の構造図。 各実施例に係る電子源で用いる六ホウ化物単結晶の結晶構造(単位格子)を示す斜視図。 各実施例に係る電子源で用いる六ホウ化物単結晶の(013)面の原子構造を示す斜視図。 六ホウ化物単結晶から(013)結晶軸に沿って四角柱のチップ104を切り出した様子を示す模式図。 実施例1に係る電子源における金属管の作製方法を説明するための工程フロー図であり、左上図は金属シートを準備する工程、右上図は金属シートからセミシームレス管を作製する工程、下図はセミシームレス管を細い金属パイプとし、所望の長さの金属管を作製する工程を示す。 実施例1に係る電子源を製造する工程における金属管と六ホウ化物チップの組み立て配置図。 実施例1に係る電子源を製造する工程における金属管と六ホウ化物チップの接合方法を説明するための図。 実施例1に係る電子源を製造する工程における金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を説明するための図であり、上図は金属管と六ホウ化物チップとの接合部における横断面図、左下図は金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を示す斜視図、右下図はその接合構造を示す縦断面図。 実施例1に係る電子源を製造する工程における金属管と六ホウ化物チップの接合方法の他の例を説明するための図。 実施例1に係る電子源を製造する工程における金属管と六ホウ化物チップとの接合構造の他の例を説明するための図であり、上図は金属管と六ホウ化物チップとの接合部における横断面図、左下図は金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を示す斜視図、右下図はその接合構造を示す縦断面図。 実施例1に係る電子源を製造する工程において、六ホウ化物チップが接合された金属管がフィラメントに接合され、そのフィラメントがステムの電極に接合された状態を示す構造図。 実施例1に係る電子源の組み立て時の位置あわせ治具を説明するための図であり、上図は六ホウ化物チップが接合された金属管とフィラメントとを接合するための治具の斜視図、下図は六ホウ化物チップが接合された金属管に接合されたフィラメントとステムの電極とを接合するための治具の斜視図。 実施例1に係る電子源を製造する工程において、チップ先端を電解研磨で尖鋭化する工程を説明するための図。 実施例1に係る電子源のチップ先端を電解研磨で尖鋭化した様子を示すSEM像。 実施例1に係る電子源の構造図。 実施例1に係る電子源において、金属管と六ホウ化物チップとの接合構造の他の例を説明するための図であり、上図は金属管と六ホウ化物チップとの接合部における横断面図、左下図は金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を示す斜視図、右下図はその接合構造を示す縦断面図。 実施例1に係る電子源の六ホウ化物電子源チップから得られた電界放出顕微鏡像。 実施例1に係る電子源の六ホウ化物電子源チップを連続加熱している様子を示す写真。 実施例2に係る電子銃において、金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を説明するための図であり、左図は金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を示す斜視図、右図は金属管と六ホウ化物チップとの接合部における横断面図。 実施例2に係る電子銃において、金属管と六ホウ化物チップとの他の接合構造を説明するための図であり、左図は金属管と六ホウ化物チップとの接合構造を示す斜視図、右図は金属管と六ホウ化物チップとの接合部における横断面図。 実施例3に係る電子線装置(六ホウ化物電子源を搭載した走査電子顕微鏡)の概略全体構成断面図。
発明者等が検討した結果、特に六ホウ化物の電界放出電子源または熱電界放出電子源を作製する場合、タンタルやニオブなどの金属管と、その内側に配置された六ホウ化物のチップを、金属管の外周において、中心軸を囲むように少なくとも2軸方向から複数の凹部を設け、前記複数の凹部のそれぞれの底部を、それぞれ前記六ホウ化物チップの外周に接触させることにより、長時間加熱してもチップが脱落しない強固で信頼性のある接合ができることが分かった。さらに好ましくは、金属管の外周であって、複数の凹部が、金属管の軸方向にずれた箇所においても設けられ、凹部のそれぞれの底部がそれぞれ前記六ホウ化物の外周に接触していることにより、さらに強固で、光軸ずれのない接合ができることがわかった。
また、特に六ホウ化物の熱電子源またはショットキー電子源を作製する場合、タンタルやニオブなどの金属管と、その内側に配置された六ホウ化物のチップと、その間に挿入されたグラファイトシートまたはレニウム箔を、金属管の外周において、中心軸を囲むように少なくとも2軸方向から複数の凹部を設け、前記複数の凹部のそれぞれの底部を、それぞれ前記六ホウ化物チップの外周上のグラファイトシートまたはレニウム箔に接触させることにより、長時間加熱してもチップが脱落しない強固で信頼性のある接合ができることが分かった。さらに好ましくは、金属管の外周であって、複数の凹部が、金属管の軸方向にずれた箇所においても設けられ、凹部のそれぞれの底部がそれぞれ前記六ホウ化物の外周のグラファイトシートまたはレニウム箔に接触していることにより、さらに強固で、光軸ずれのない接合ができることがわかった。
またさらには、特に六ホウ化物の熱電子源またはショットキー電子源を作製する場合、タンタルやニオブなどの金属管と、その内側に配置された六ホウ化物のチップと、その間に挿入されたガラス状カーボンを、金属管の外周において、中心軸を囲むように少なくとも2軸方向から複数の凹部を設け、前記複数の凹部のそれぞれの底部を、それぞれ前記六ホウ化物チップの外周上を被覆するガラス状カーボンまたはガラス状カーボンとホウ化炭素の混合物に接触させることにより、長時間加熱してもチップが脱落しない強固で信頼性のある接合ができることが分かった。さらに好ましくは、金属管の外周であって、複数の凹部が、金属管の軸方向にずれた箇所においても設けられ、凹部のそれぞれの底部がそれぞれ前記六ホウ化物の外周を被覆するガラス状カーボンまたはガラス状カーボンとホウ化炭素の混合物に接触していることにより、さらに強固で、光軸ずれのない接合ができることがわかった。
以下、本発明について、実施例により図面を参照して説明する。なお、以下の図面では、発明の構成を分かり易くするために、部分的に透視図を用いたり、太線を用いたり、各構成の縮尺を適宜変更している。
実施例1は、六ホウ化物を特に電界放出電子源として用いる場合の電子源の構造、及び製造方法について図3乃至図15を用いて説明する。
まず電界放出電子源の材料として希土類やアルカリ土類金属などの六ホウ化物を用いる。具体的にはランタノイド系の元素であるLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gdなど、アルカリ土類金属のCa、Sr、Baなどを用いることができ、それぞれLaB、CeB、PrB、NdB、SmB、EuB、GaB、CaB、SrB、BaBなどの化学式で表される。
図3にその単位格子を示す。金属原子201の単純立方格子の体心に6個のホウ素原子202のブロックが位置した結晶構造をしている。これらの材料、特に希土類を用いた材料は一般に融点が高く、蒸気圧が低く、硬度が高く、イオン衝撃に強く、かつWより仕事関数が低く電子源の材料として適する。特にCeBは、LaBとともに熱電子源としての使用実績が高く、かつ価電子帯にエネルギー局在性の強いf電子が存在し、LaBよりフェルミ準位直下の電子状態密度が高くなるため、電界放出によって引き出される電流量が多く、電界放出電子源用の六ホウ化物材料として適する。
これらの六ホウ化物は例えばフローティングゾーン法などを用いた融液(液相)結晶成長により直径が数mm、結晶が優先的に成長する晶癖面の(001)面方向に成長した長さ数10mmの大形の単結晶105を作製できる。熱電子源で利用する場合は、この単結晶105を切削により数100μm角、長さ数mmのチップに切り出して、(001)面を電子放出面として利用している。なお、六ホウ化物の結晶構造は図3のように単純立方格子であり、(001)面と(100)面や(010)面などは等価である。実施例1では便宜上図3のc軸を晶癖軸、c面である(001)面を晶癖面として定義して以下の説明を行なう。
発明者等が検討した結果、六ホウ化物を電界放出電子源として用いる場合、(001)面より仕事関数が低く高輝度の電子放出が得られる(013)面を電子放出面とするのが好ましいのが分かっている。図4に(013)面の原子構造を示す。
まずX線ラウエ法などを用いて、六ホウ化物の単結晶105の結晶軸を測定し、(013)結晶軸に沿って、すなわち六ホウ化物の単結晶105の長軸に対し18.4°の角度で切削でチップ104を切り出した。なお、切り出すチップ104の断面形状は任意であるが、四角柱または円柱形状に切り出すのが好ましい。本実施例では、1辺が200μm、長さ5mmの四角柱に加工したチップ104を切り出した。図5に単結晶105から(013)結晶軸に沿って四角柱のチップ104を切り出した様子を模式的に示す。
続いて本実施例に係る電子源において、チップ104との接合に用いる金属管の製造方法について説明する。図6に金属管112の製造工程を示す。金属管112の材料はタンタルやニオブなど高融点金属でかつ延性に富み、伸管により微小な金属管が作製し易く、また後述する凹部を加工し易い材質のものが適する。本実施例では、一例としてタンタルを用いた。
まず、図6の左上図に示すように、タンタルの金属シートを準備する。次に、図6右上図に示すように、タンタルの金属シート106を丸め、金属シート106の両端を電子ビーム溶接して直径の太いタンタルのセミシームレス管108を作製する。符号107は電子ビーム溶接部を示す。続いて、図6の下図に示すように、ダイス109を用いて引き抜き伸管加工を繰り返し行うことより外径がΦ0.6mm、内径がΦ0.4mm、肉厚0.1mmの金属パイプ110を作製し、さらにそれをカッター111で5mm毎に切断して微小な金属管112を作製した。
本実施例では後述するように電子源のチップ104を金属管112内に挿入してから接合するため、金属管112の内径はチップの最大径の1.1〜1.5倍程度にしておくのが好ましい。1.1倍以下だとチップ104の加工公差が通常10%程度はあるため、金属管112に挿入できないチップ104の数が増え、電子源の製造歩留まりが低下してしまう。
一方、1.5倍以上だとチップ104と金属管112の内径の寸法差が大きくなりすぎ、後述する凹部を形成して接合する工程での金属管112の変形量が多く、組み立て精度の低下や強度低下、金属管112の体積増加による熱容量増加による消費電力の増大や加熱応答性の低下を招く。従って1辺が200μm(最大径が約282μmの四角柱)のチップ104の場合、金属管112の内径は310〜423μm程度が好ましい。本実施例では金属管112の内径を400μmとした。
また本実施例では、後述するように金属管112にフィラメントをスポット溶接する必要がり、また動作中の高温加熱に長時間耐える必要があることから金属管112に十分な強度が必要である。そのため肉厚は100μm以上が好ましい。一方肉厚が厚過ぎると金属管112の熱容量が増え、電子源の加熱応答性の低下や加熱電力の増加を招くため、肉厚は200μm以下が好ましい。本実施例では肉厚を100μmとした。
続いて本実施例の接合方法について説明する。
まず図7に示すように、金属管112の内部に挿入可能な直径を有し、金属管よりも短いガイドピン113を垂直に立てた台座114を用いて金属管112を鉛直に立てる。さらに六ホウ化物のチップ104を金属管112の上部から挿入する。なお、本実施例ではガイドピンとして直径350μm、長さ1〜3mmのものを用いた。
ガイドピン113の長さを調整することにより六ホウ化物のチップ104が金属管112の内部から突き出る長さをコントロールできる。例えば電界放出電子源やショットキー電子源を作成する場合は、後述するように六ホウ化物のチップ104を電解研磨で削るため、突き出し量を2〜3mmと長くしておく。一方、熱電子源を作製する場合には突き出し量は1〜2mm程度で十分である。
続いて図8に示すように、六ホウ化物のチップ104と金属管112を、六ホウ化物のチップ104の鉛直方向とは垂直な面内の直交する2軸、4方向から工具で圧接する。図8では説明のため圧接用の工具の刃115の部分のみ示している。圧接用工具の刃115の先端には金属管112に凹部を形成するための突起が設けられており、2軸、4方向から均等なストロークで金属管112に近づけ金属管112の外周から押し潰して凹部を形成する。4つの矢印は、六ホウ化物のチップ104と金属管112とを圧接するときの圧接用工具の刃115の移動方向を示す。
図9は本実施例の方法で接合した六ホウ化物のチップ104と金属管112の模式図である。図9の上図に六ホウ化物のチップ104の先端側から見た接合部の横断面図、図9の左下図に金属管と六ホウ化物のチップとの接合構造を示す斜視図、図9の右下図にその接合構造を示す六ホウ化物のチップ104の鉛直方向中央の縦断面図を示す。矢印は、六ホウ化物のチップ104と金属管112とを圧接するときの圧接用工具の刃115の移動方向を示す。
作業中は金属管112と六ホウ化物のチップ104の位置関係を実体顕微鏡116で確認し、四角柱の六ホウ化物のチップ104の各側面が工具の刃115のストローク方向と一致するように六ホウ化物のチップ104の回転軸を適宜調整する。それにより金属管112の外周から中心軸を囲むように複数の凹部117が形成され、凹部117それぞれの底部が、六ホウ化物チップの外周面に接触することにより、六ホウ化物のチップ104を自動的に金属管112の中心軸に合わせて固定することができる。
本接合方法を用いることにより、金属管112と六ホウ化物のチップ104を2軸、4方向に形成された凹部117により均等に圧接することができ、機械的に強固な接合が得られる。また、2軸、4方向から均等なストロークで金属管112に近づけ金属管112の外周から押し潰して凹部117を形成していくため、四角柱形状の六ホウ化物のチップ104を金属管112の中心軸に自動的に整列させて接合することができ、組み立て精度が向上するため電子源の光軸出しが容易になり、歩留まりも向上する。なお、ガイドピン113が挿入されていた点線の部分(図9の左下図)は不要となるため、金属管112の熱容量低減のためカッターで切断することが好ましい。
図10は、さらに強固でより精密な光軸出しが可能な接合方法を得るための改良例である。本改良例では、圧接用工具の刃115の突起部分が上下2段に分かれており、金属管112の軸方向にずれた箇所においても凹部117を形成する。図11は、接合した六ホウ化物のチップ104と金属管112の模式図である。図11の上図に六ホウ化物のチップ104の先端側から見た接合部の横断面図、図11の左下図に金属管と六ホウ化物のチップとの接合構造を示す斜視図、図11の右下図にその接合構造を示す六ホウ化物のチップ104の鉛直方向中央の縦断面図を示す。矢印は、六ホウ化物のチップ104と金属管112とを圧接するときの圧接用工具の刃115の移動方向を示す。
軸方向にずれた凹部117の箇所においても接合されることで、接合力がさらに上がるとともに、軸方向の2箇所で接合されることで、チップが接合部で傾くことを防止でき、光軸出しの精度がさらに高くなる効果がある。なお、段数に制約はないが、多すぎると凹部を形成するのに必要な金属管112が長くなり熱容量が増加するため、2段程度にするのが望ましい。
続いて図12に示すように、六ホウ化物のチップ104を接合した金属管112とタングステン等のフィラメント103とを直接スポット溶接し、さらにフィラメント103の両端をステム101の電極ピン102にスポット溶接する。これらは金属同士の接合のため、スポット溶接により容易に強固な接合を得ることが可能である。スポット溶接の際には図13の上図に示すように、まず金属管112とタングステン等のフィラメント103とを、位置あわせ治具124−1を用いて正確に位置あわせしてスポット溶接する。続いて、図13の下図に示すように、ステム101と金属管112とを、位置あわせ治具124−2を用いて正確に位置合わせしてフィラメント103と電極ピン102とをスポット溶接することにより、金属管112と六ホウ化物のチップ104の中心軸は揃っているので、精度の高い光軸出しが可能となる。これにより、六ホウ化物を用いたチップを機械的強度がある頑強な金属管と強固に接合し、加熱しても長時間安定に使用できる六ホウ化物電子源の提供が可能となる。また、組み立て精度が向上し光軸出しが容易な六ホウ化物電子源の製法を提供できる。
続いて、六ホウ化物のチップ先端を電解研磨により尖鋭化する。電解研磨は図14Aに示すように、組み立てた六ホウ化物のチップ104の先端を硝酸などの電解液118中にディップし、リング状に形成した白金などの対向電極119との間に交流や直流の電圧を電源120を用いて印加することにより行うことができる。図14Bは電解研磨した六ホウ化物チップのSEM写真の一例である。電解研磨により六ホウ化物のチップ先端が尖鋭化されていることが分かる。上記工程を経て図15に示す電子源100が完成する。
以上により、本実施例に係る六ホウ化物の電界放出電子源の基本構造を完成することができる。
なお、以上の実施例では、四角柱状に切削した六ホウ化物のチップ104を用いた。六ホウ化物のチップ104は円柱状に加工することも可能である。図16は、円柱状のチップ104を用いた場合の例である。図16の上図に六ホウ化物のチップ104の先端側から見た接合部の横断面図、図16の左下図に金属管と六ホウ化物のチップとの接合構造を示す斜視図、図16の右下図にその接合構造を示す六ホウ化物のチップ104の鉛直方向中央の縦断面図を示す。円柱状の六ホウ化物のチップ104と金属管112とを接合する場合は、少なくとも六ホウ化物のチップ104の鉛直方向とは垂直な面内の等間隔の3軸、3方向から工具で圧接すればよい。また四角柱のチップ104の場合と同様に、2軸、4方向から接合することもできる。なお、図16の上図と右下図の矢印は、六ホウ化物のチップ104と金属管112とを圧接するときの圧接用工具の刃115全体の移動方向を示し、図16の左下図の矢印は、圧接用工具の刃の突起部の移動方向を示す。
続いて、本電子源を真空装置内に導入し、六ホウ化物電界放出電子源の表面活性化を行う。電解研磨した六ホウ化物チップの表面は酸化物などが形成されているため、そのままでは電子放出を得ることができない。そこでまず六ホウ化物チップの表面に正の高電界を印加し、電界蒸発により酸化物などを除去し、表面を清浄化する。
さらに1400〜1800K程度で数分間の加熱アニーリングにより、(013)面を電子放出面とする電界放出が得られるようになる。図17に本実施例に係る六ホウ化物電界放出電子源から得られた電子放出面のパターンを電界放出顕微鏡(Field Emission Microscope, FEM)で観察した結果を示す。4回対称の明るい電子放出が得られている。写真中央の暗部は(001)面であり、明部が(013)面およびそれと等価な結晶面である。
本実施例では、タンタルやニオブなどの金属管112の凹部117と六ホウ化物のチップ104を直接接触させて接合している。そのため、接合部が加熱されると金属間化合物が生成し、接合部が劣化する可能性がある。しかしながら発明者等が検討した結果、電界放出電子源として用いる場合は、電子源のチップを作成した直後の最初の表面清浄化のときのみ1400K〜1800K程度の高温で数分間加熱する必要があるが、その後のガス吸着を防止するフラッシングまたは低温アニーリング処理は1100K〜1300K程度の低温でよいことが分かった。そのため、タンタルやニオブなどと六ホウ化物の反応は緩やかになり、金属間化合物の生成量は非常に少なく加熱による接合強度の低下はないことが分かった。図18に本実施例に係る電子源を連続加熱して耐久性を調べた際の写真を示す。上からU字状に光っている部分は比色温度計121のフィラメントである。本試験により本実施例に係る六ホウ化物電子源の構造は1300Kの加熱で実用的に用いることができる3年以上の耐久性があることを確認した。
以上、本実施例によれば、六ホウ化物を用いた場合であっても、長時間安定に使用できる電子源を提供することができる。また、六ホウ化物を電界放出電子源に最適な接合構造とその製造方法を提供することができる。また、六ホウ化物の微小なチップの光軸だしを精度よく行える接合方法を提供し、電子源製造の歩留まりを向上することができる。
本実施例に係る電子源について、図19、20と実施例1の図の一部も用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
本実施例では、六ホウ化物の熱電子源およびショットキー電子源について説明する。六ホウ化物を熱電子源およびショットキー電子源として用いる場合、動作温度は熱電子を放出可能な温度、ショットキー障壁の形成可能な温度まで高める必要がある。そのため、実施例1の構造では、タンタルやニオブなどの金属管112と六ホウ化物のチップ104との反応が進み、接合部が劣化してしまうことが懸念される。そこで、実施例1を改良した強固な接合構造でかつ高温での連続使用によって金属間化合物が生成し接合部が劣化することを防止する構造や方法を示す。
一つ目は、金属管112と六ホウ化物のチップ104との間に反応障壁シート122としてグラファイトシートまたはレニウムの金属箔を挿入して接合する方法である。図19は、金属管112と六ホウ化物のチップ104、および反応障壁シート122の配置図であり、左図は金属管と六ホウ化物のチップとの接合構造を示す斜視図、右図は金属管と六ホウ化物チップとの接合部における横断面図を示す。グラファイトシートは厚さが25μmのパイロリティックグラファイトシート、レニウムも厚さ25μmの金属箔を用いた。いずれの材料もタンタルやニオブおよび六ホウ化物と高温でも反応せず、かつ厚さ25μmと十分薄く柔軟性があるため、本実施例に係る電子源を製造する際の接合方法の障害にならない。この方法により、金属管112の複数の凹部117のそれぞれの底部を、それぞれ六ホウ化物のチップ104の外周上のグラファイトシートまたはレニウム箔に接触させることにより、長時間加熱しても金属間化合物が生成せず、六ホウ化物のチップが脱落しない強固で信頼性のある電子源を得ることができる。
二つ目は、金属管112と六ホウ化物のチップ104の間にガラス状カーボンやガラス状カーボンと炭化ホウ素などの反応障壁物を充填する方法である。具体的にはフラン樹脂やフラン樹脂と炭化ホウ素粉末の混合物を、金属管112と六ホウ化物のチップ104の間に注入し、その後実施例1で示した工具を用いて接合し、さらに真空中で焼成し、フラン樹脂を炭化させてガラス状カーボンなどの反応障壁物123を得る方法である。図20は金属管112と六ホウ化物のチップ104、および反応障壁物123の配置図であり、左図は金属管と六ホウ化物のチップとの接合構造を示す斜視図、右図は金属管と六ホウ化物のチップとの接合部における横断面図を示す。この方法により、金属管112の複数の凹部117のそれぞれの底部を、それぞれ六ホウ化物のチップ104の外周上のガラス状カーボンやガラス状カーボンと炭化ホウ素などの反応障壁物に接触させることにより、長時間加熱しても金属間化合物が生成せず、六ホウ化物のチップが脱落しない強固で信頼性のある電子源を得ることができる。
熱電子源として用いる場合は、六ホウ化物のチップ104の尖鋭化は必ずしも必要ない。ショットキー電子源として用いる場合は、実施例1と同様に電解研磨でチップを尖鋭化する。続いて、電子源を真空装置内に導入し、表面活性化を行う。熱電子源として用いる場合は動作温度まで加熱することで自然に清浄化される。ショットキー電子源として用いる場合は、まず実施例1と同様に電界蒸発法による表面清浄化を行い、続いて高温で加熱し(013)面の電子放出面を形成する。ショットキー電子源の場合、そのまま加熱を続ければ結晶から表面に常にCeが拡散供給され、さらに外部から電界Eを印加することにより、外部電界Eと鏡像ポテンシャルによって引き下げられたショットキー障壁を越して熱電子が放出されるショットキー電子源として用いることが可能である。なお、本実施例で説明した構成、即ち、金属管と六ホウ化物のチップとの間に反応障壁シート122或いは反応障壁物123を設ける構成を電界放出電子源として用いることもできる。
以上、本実施例によれば、六ホウ化物を用いた場合であっても、長時間安定に使用できる電子源を提供することができる。また、六ホウ化物を熱電子源或いはショットキー電子源に最適な接合構造とその製造方法を提供することができる。また、六ホウ化物の微小なチップの光軸だしを精度よく行える接合方法を提供し、電子源製造の歩留まりを向上することができる。
実施例3について図21を用いて説明する。なお、実施例1又は2に記載され実施例3に未記載の事項は特段の事情が無い限り実施例3にも適用することができる。実施例3では、実施例1で作製したCeBの電界放出電子源100を搭載した走査電子顕微鏡の例を示す。なお、実施例3では電界放出電子源を用いた走査電子顕微鏡を例に説明するが、電子源や電子線装置の方式はこれに限らない。
図21は、実施例3に係る走査電子顕微鏡の概略全体構成断面図である。電界放射電子源のCeB単結晶のチップ104から放出された電子は陽極211により加速されて電子ビーム230となり、コンデンサレンズ215、対物レンズ216、非点補正コイル217で集束され、偏向走査コイル218で走査されて試料219上の観察領域に照射され、発生した二次電子が二次電子検出器220で検出される。符号221は元素分析器である。このとき、CeB単結晶チップ104から放出された電子は、W電界放出電子源に比べエネルギー幅が狭く単色性がよいため、コンデンサレンズ215、対物レンズ216等での色収差が低減され、より絞られた電子ビーム230を試料219に照射することができ、高分解の走査電子顕微鏡画像を得ることができる。またW電界放出電子源に比べ高輝度であるため、撮像時間が短く、元素分析などの分析時間も短縮することが可能である。このように、実施例1に記載の電界放出電子源を搭載することにより、走査電子顕微鏡の性能を向上させることができた。
以上、本実施例によれば、六ホウ化物を用いた場合であっても、長時間安定に使用できる電子源を用いた高輝度・高分解な電子線装置を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、熱電界放出電子源やショットキー電子源を用いた測長SEM、熱電子源を用いた簡易SEM、電界放出電子源や熱電子源を用いた透過型電子顕微鏡なども挙げられる。
本発明は以下の実施形態を含む。
(1)金属製のフィラメントと、
前記フィラメントに固定され、外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向に配置された複数の凹部を有する金属管と、
前記金属管の内側に配置されたグラファイトシートまたはレニウム箔と、
電子を放出し、前記金属管の内部から前記フィラメントの反対側に突き出て配置され、前記金属管の前記複数の凹部のそれぞれの底部に配置された前記グラファイトシートまたは前記レニウム箔と接触している柱状の六ホウ化物のチップと、を備えた電子源。
(2)金属製のフィラメントと、
前記フィラメントに固定され、外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向に配置された複数の凹部を有する金属管と、
電子を放出し、前記金属管の内部から前記フィラメントの反対側に突き出て配置され、ガラス状カーボンまたはガラス状カーボンとホウ化炭素の混合物で被覆され、前記金属管の前記複数の凹部と接触している柱状の六ホウ化物のチップと、を備えた電子源。
(3)柱状の六ホウ化物のチップと、金属管と、前記金属管よりも長さの短いガイドピンと、金属製フィラメントと、電極ピンを有するステムとを準備する第1工程と、
前記金属管の内部に前記ガイドピンと前記柱状の六ホウ化物のチップを順次挿入する第2工程と、
前記金属管の外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向から突起を有する接合工具の刃で前記金属管を圧接する第3工程と、
前記柱状の六ホウ化物のチップが突き出していない側の前記金属管に前記フィラメントを取り付ける第4工程と、
前記フィラメントを前記ステムの前記電極ピンに接続する第5工程と、を有する電子源の組み立て方法。
(4)前記(3)において、前記第2工程の後に、前記柱状の六ホウ化物のチップと前記金属管との間にグラファイトシートまたはレニウム箔を挿入する工程を更に有する電子源の組み立て方法。
(5)前記(3)において、前記第2工程の後に、前記柱状の六ホウ化物のチップと前記金属管との間にガラス状カーボンまたはガラス状カーボンとホウ化炭素の混合物を注入する工程を更に有する電子源の組み立て方法。
上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100…電子源、101…ステム、102…電極ピン、103…フィラメント、104…チップ、105…六ホウ化物単結晶、106…金属シート、107…電子ビーム溶接部、108…セミシームレス管、109…ダイス、110…金属パイプ、111…カッター、112…金属管、113…ガイドピン、114…台座、115…接合工具の刃、116…実体顕微鏡、117…凹部、118…電解液、119…対向電極、120…電源、121…比色温度計、122…反応障壁シート、123…反応障壁物、124−1、124−2…位置あわせ治具、
201…金属原子、202…ホウ素原子、211…陽極、215…コンデンサレンズ、216…対物レンズ、217…非点補正コイル、218…偏向走査コイル、219…試料、220…二次電子検出器、221…元素分析器、230…電子ビーム。

Claims (13)

  1. 金属製のフィラメントと、
    前記フィラメントに固定され、外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向に配置された複数の凹部を有する金属管と、
    電子を放出し、前記金属管の内部から前記フィラメントの反対側に突き出て配置され、前記金属管の前記複数の凹部のそれぞれの底部と接触している柱状の六ホウ化物のチップと、を備えた電子源。
  2. 金属製のフィラメントと、
    前記フィラメントに固定され、外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向に配置された複数の凹部を有する金属管と、
    前記金属管の内側に配置されたグラファイトシートまたはレニウム箔と、
    電子を放出し、前記金属管の内部から前記フィラメントの反対側に突き出て配置され、前記金属管の前記複数の凹部のそれぞれの底部に配置された前記グラファイトシートまたは前記レニウム箔と接触している柱状の六ホウ化物のチップと、を備えた電子源。
  3. 金属製のフィラメントと、
    前記フィラメントに固定され、外周において中心軸を囲むように少なくとも2軸方向に配置された複数の凹部を有する金属管と、
    電子を放出し、前記金属管の内部から前記フィラメントの反対側に突き出て配置され、ガラス状カーボンまたはガラス状カーボンとホウ化炭素の混合物で被覆され、前記金属管の前記複数の凹部と接触している柱状の六ホウ化物のチップと、を備えた電子源。
  4. 前記金属管は前記フィラメントにスポット溶接で接合されている、請求項1記載の電子源。
  5. 前記金属管は、前記複数の凹部の他に前記金属管の軸方向の他の位置に他の複数の凹部を有する、請求項1記載の電子源。
  6. 前記六ホウ化物のチップは四角柱形状であり、
    前記複数の凹部は、前記四角柱形状の六ホウ化物のチップに対して、2軸、4方向に形成されている、請求項1記載の電子源。
  7. 前記六ホウ化物のチップは円柱形状であり、
    前記複数の凹部は、前記円柱形状の六ホウ化物のチップに対して、3軸、3方向に形成されている、請求項1記載の電子源。
  8. 前記金属管はタンタル製またはニオブ製である、請求項1記載の電子源。
  9. 前記金属管の内径は六ホウ化物のチップの最大径の1.1〜1.5倍の範囲にある、請求項1記載の電子源。
  10. 前記金属管の肉厚は100〜200μmの範囲にある、請求項1記載の電子源。
  11. 電子源と、
    試料を載置する試料台と、
    前記電子源から放出された電子を前記試料台の上の試料に照射する電子光学系と、
    を有し、
    前記電子源は、請求項1記載の電子源である電子線装置。
  12. 電子源と、
    試料を載置する試料台と、
    前記電子源から放出された電子を前記試料台の上の試料に照射する電子光学系と、
    を有し、
    前記電子源は、請求項2記載の電子源である電子線装置。
  13. 電子源と、
    試料を載置する試料台と、
    前記電子源から放出された電子を前記試料台の上の試料に照射する電子光学系と、
    を有し、
    前記電子源は、請求項3記載の電子源である電子線装置。
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