JP6635692B2 - 光造形物の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
第1の感光性樹脂組成物層10を構成する感光性樹脂組成物(1)は、三官能以上のエポキシ樹脂と、二官能エポキシ樹脂と、を含む樹脂を含有するネガ型の感光性エポキシ樹脂組成物である。また、光酸発生剤を含有していることが好ましい。感光性樹脂組成物(1)の硬化物は、機械的強度と、基板に対する密着性とを有することが要求される。また、感光性樹脂組成物(1)の選択には、フォトリソグラフィー材料としての解像性を考慮する必要がある。表面の開口となる凹部や貫通孔を有する基板に対してドライフィルム形態で感光性樹脂組成物(1)からなる層を成膜するので、感光性樹脂組成物(1)は、転写時や他の熱工程の際に未硬化状態においても層が変形しないような膜強度を有している必要がある。本実施形態では、未硬化状態においても層が変形しないような膜強度を有する感光性樹脂組成物により穴を塞ぐことによって、硬化後の感光性樹脂層の高さが制御された光造形物を得ようとするものである。
感光性樹脂組成物(2)は、その硬化物が機械的強度を有することが要求され、さらにフォトリソグラフィー材料としての解像性を考慮する必要ある。そのため、感光性樹脂組成物(2)には、ビスフェノールA型ノボラック型のエポキシ樹脂、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂、オキシシクロヘキサン骨格を有する三官能以上のエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂をベースとするネガ型のエポキシ樹脂組成物が好適に用いられる。エポキシ基を三官能以上有する上記エポキシ樹脂を用いることで、硬化物は3次元架橋することが可能となり、所望の特性を得るのに適することとなる。感光性樹脂組成物(2)に用いることができる市販のエポキシ樹脂としては、ダイセル社製「セロキサイド(登録商標)2021」、「GT−300シリーズ」、「GT−400シリーズ」(商品名)、「EHPE(登録商標)3150」、三菱化学社製「jER(登録商標)157S70」、DIC社製「EPICLON(登録商標)N−695」、「EPICLON(登録商標)N−865」等が挙げられる。上記エポキシ樹脂組成物に添加される光重合開始剤としては、スルホン酸化合物、ジアゾメタン化合物、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジスルホン系化合物などが好ましい。市販品ではADEKA社製「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」、「アデカオプトマーSP−150」(商品名)、みどり化学社製「BBI−103」、「BBI−102」(商品名)、三和ケミカル社製「IBPF」、「IBCF」、「TS−01」、「TS−91」(商品名)、サンアプロ社製、「CPI−210」、「CPI−300」、「CPI−410」(商品名)、BASFジャパン社製「Irgacure(登録商標)290」等が挙げられる。さらに密着性能の向上を目的に、感光性樹脂組成物(2)には、シランカップリング剤を添加することもできる。市販のシランカップリング剤としては例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「A−187」(商品名)等が挙げられる。また、パターン解像性の向上や感度の調整に、アントラセン化合物などの増感剤、アミン類などの塩基性物質や、弱酸性(pKa=−1.5〜3.0)のトルエンスルホン酸を発生させる酸発生剤などを添加することもできる。トルエンスルホン酸を発生させる市販の酸発生剤としては、みどり化学社製「TPS−1000」(商品名)や和光純薬工業社製「WPAG−367」(商品名)等が挙げられる。
各実施例ごとに、表1、表2に記載の組成で感光性樹脂組成物(1)を調合した。なお各表において、組成は質量部で表されており、各表中における製品名は、上記において好適に使用できるとしたエポキシ樹脂や薬剤の商品名と一致する。また、感光性樹脂組成物を溶解する溶媒として、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)を使用した。光酸発生剤(CPI−210S)は、三官能以上のエポキシ樹脂(a)と二官能エポキシ樹脂(b)の合計質量に対して0.5質量%添加した。またシランカップリング剤(A−187)は、同じく合計質量に対して5質量%添加した。各表に記載の重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー(島津製作所社製)を用いて、ポリスチレン換算により測定したものである。図5(A)〜(E)に示す工程により、上記組成の感光性樹脂組成物(1)を用いた液体吐出ヘッドを作成した。図5(A)〜(E)に示す工程は、図2(A)〜(E)に示すものと同様のものであるが、撥水層を設けない点で、図2(A)〜(E)に示すものと異なっている。
各実施例ごとに、PEGMAを溶媒として使用して、表4に記載の組成で感光性樹脂組成物(1)を調合した。感光性樹脂組成物(1)には、感度の異なる2種類の光酸発生剤と、酸発生剤(TPS−1000)とを適量添加した。また、シランカップリング剤(A−187)は、三官能以上のエポキシ樹脂(a)と二官能エポキシ樹脂(b)の合計質量に対して5質量%添加した。また、感光性樹脂組成物(2)の組成は表5の通りとした。これらの感光性樹脂組成物(1)及び感光性樹脂組成物(2)を用い、実施例1におけるものと同様の製法で液体吐出ヘッドを得た。その際、感光性樹脂組成物(1)からなる第1の感光性樹脂組成物層10への露光量は表4に記載の通りとし、感光性樹脂組成物(2)からなる第2の感光性樹脂組成物層12への露光量は1200J/m2とした。
各比較例ごとに、溶媒としてPGMEAを用い。表6に記載の組成で感光性樹脂組成物(1)を調合し、実施例1と同様の製法で液体吐出ヘッドを得た。感光性樹脂組成物(2)の組成は実施例1と同じであり、各感光性樹脂組成物量に対する露光量も実施例1と同じである。
実施例1〜29及び比較例1〜8で作製したそれぞれの液体吐出ヘッドに、エチレングリコール/尿素/イソプロピルアルコール/N−メチルピロリドン/黒色染料/水=5/3/2/5/3/82(質量比)からなるインクを充填し、印字を行った。また、各液体吐出ヘッドの製造工程において、感光性樹脂組成物(2)からなる第2の感光性樹脂組成物層12を積層後に、供給路3上部での感光性樹脂組成物層の落ち込みの深さである落ち込み量(L)を計測した。図6に示すように、供給路3の位置に対応しない領域では一様な平面となっている第2の感光性樹脂組成物層12の上面が、供給路3の開口の位置においてどれだけ供給路3側に凹んでいるかを落ち込み量(L)とした。レーザー顕微鏡(キーエンス社製)を用いて、第2の感光性樹脂組成物層12の一様な表面から最深部の深さがどれだけであるかを計測して落ち込み量(L)とした。また、落ち込み量(L)と印字品位の相関を確認したところ、落ち込み量を精度良く計測できる0.5μm以上においては、0.5〜1.5μmの範囲で印字品位が良好であったが、1.5μm以上ではインク滴が所望の方向に飛ばず、印字品位が低下した。0.5μm未満は、落ち込み量(L)の正確な測定が困難であったが、印字品位は良好であった。そこで、表7のように、落ち込み量(L)に関する評価基準を定め、各実施例及び各比較例の液体吐出ヘッドを評価した。その結果を表1、表2、表4及び表6に記載する。
2 基板
3 供給路
4 流路形成部材
5 流路
6 吐出口
8 吐出口形成部材
9 撥水層
10 第1の感光性樹脂組成物層
11 流路形成マスク
12 第2の感光性樹脂組成物層
13 吐出口形成マスク
14 突起
15 落ち込み
Claims (14)
- 表面に開口する穴が形成された基板上に、前記穴を塞ぐように感光性樹脂組成物をドライフィルム形態で貼り、パターニングすることで光造形物を製造する光造形物の製造方法において、
前記感光性樹脂組成物が、三官能以上のクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂と、二官能エポキシ樹脂と、を含む樹脂と、光酸発生剤とを含有し、前記二官能エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)が5560より大きく60000以下であり、前記樹脂の重量平均分子量(Mw)が4500以上11000以下であり、前記三官能以上のエポキシ樹脂と前記二官能エポキシ樹脂の質量混合比が、前記三官能以上のエポキシ樹脂の質量を(a)とし、前記二官能エポキシ樹脂の質量を(b)として、(b)/(a)≦1.5であることを特徴とする、光造形物の製造方法。 - 前記二官能エポキシ樹脂はビスフェノール骨格のエポキシ樹脂である、請求項1に記載の光造形物の製造方法。
- 前記二官能エポキシ樹脂の軟化点が90℃以上である、請求項1または2に記載の光造形物の製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物を感光性樹脂組成物(1)として、前記感光性樹脂組成物(1)上に、光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物(2)をドライフィルム形態で積層する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光造形物の製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物(2)が、三官能以上のエポキシ樹脂を含む、請求項4に記載の光造形物の製造方法。
- 吐出エネルギー発生素子と液体の供給路とが形成された基板上に、感光性樹脂組成物をドライフィルム形態で貼る液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記感光性樹脂組成物が、三官能以上のクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂と、二官能エポキシ樹脂と、を含む樹脂と、光酸発生剤とを含有し、前記二官能エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)が5560より大きく60000以下であり、かつ、前記樹脂の重量平均分子量(Mw)が4500以上11000以下であり、前記三官能以上のエポキシ樹脂と前記二官能エポキシ樹脂の質量混合比が、前記三官能以上のエポキシ樹脂の質量を(a)とし、前記二官能エポキシ樹脂の質量を(b)として、(b)/(a)≦1.5であることを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。 - 前記二官能エポキシ樹脂はビスフェノール骨格のエポキシ樹脂である、請求項6に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記二官能エポキシ樹脂の軟化点が90℃以上である、請求項6または7に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物を感光性樹脂組成物(1)として、前記感光性樹脂組成物(1)上に、光酸発生剤を含む感光性樹脂組成物(2)をドライフィルム形態で積層する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物(1)をパターニングして前記液体の流路を形成する、請求項9に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物(2)が、三官能以上のエポキシ樹脂を含む、請求項9または10に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物(2)をパターニングして前記液体の吐出口を形成する、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物(1)の未硬化部及び前記感光性樹脂組成物(2)の未硬化部を一括で除去する工程を含む、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記感光性樹脂組成物(2)を硬化させるのに必要な露光量が、前記感光性樹脂組成物(1)を硬化させるのに必要な露光量よりも少ない、請求項9乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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