JP6635559B2 - ワークのコーナー部の振動tig溶接方法 - Google Patents

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本発明は、ステンレス板や銅板、アルミ板等の金属板の端部同士を直角状に突き合して成るワークのコーナー部、即ち、金属板を箱曲げしたワークのコーナー部又は金属板を角筒状に曲げ加工したワークのコーナー部若しくは二枚の金属板を直角状に突き合せたワークのコーナー部を、狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチにより共付け溶接するようにしたものであり、特に、板厚が0.6mm〜1.6mmの金属板により形成したワークのコーナー部を、狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチをワークのコーナー部と直交する方向へ振動させながら溶接方向へ走行させて溶接するようにしたワークのコーナー部の振動TIG溶接方法に関するものである。
従前からステンレス板等の金属板を折り曲げ加工して成るワークのコーナー部を外側からコーナー溶接する自動溶接機が開発され、実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。
従来のワークのコーナー溶接においては、ワークのコーナー部をコーナー治具上で上向き姿勢でクランプした後、ワークのコーナー部を形成する左右一対の金属板の突き合せ形態に応じてTIG溶接用トーチを左右何れかに振り、TIG溶接用トーチのタングステン電極棒の先端をワークWのコーナー部の突き合せ位置上方に位置させて溶接を行うようにしている。
即ち、従来のワークのコーナー溶接においては、図26(A)に示すように、ワークWのコーナー部を形成する左右一対の金属板W1,W2のうち、左側の金属板W1の先端面W1aを右側の金属板W2の内側面W2cに左側の金属板W1の外側面W1bと右側の金属板W2の先端面W2aとが面一になるように突き合せたワークWのコーナー部を溶接する場合には、TIG溶接用トーチ101のタングステン電極棒101aの先端が左側の金属板W1の先端面W1aの外側縁W1dの上方位置になるように、TIG溶接用トーチ101をワークWのコーナー部の稜線上方位置(この場合、右側の金属板W2の先端面W2aの外側縁W2dが稜線となる)から左側へ移動させ、この状態でTIG溶接用トーチ101をワークWのコーナー部に沿って移動させながらコーナー部を溶接するようにしている。
また、図26(B)に示すように、ワークWのコーナー部を形成する左右一対の金属板W1,W2のうち、右側の金属板W2の先端面W2aを左側の金属板W1の内側面W1cに右側の金属板W2の外側面W2bと左側の金属板W1の先端面W1aとが面一になるように突き合せたワークWのコーナー部を溶接する場合には、TIG溶接用トーチ101のタングステン電極棒101aの先端が右側の金属板W2の先端面W2aの外側縁W2dの上方位置になるように、TIG溶接用トーチ101をワークWのコーナー部の稜線上方位置(この場合、左側の金属板W1の先端面W1aの外側縁W1dが稜線となる)から右側へ移動させ、この状態でTIG溶接用トーチ101をワークWのコーナー部に沿って移動させながらコーナー部を溶接するようにしている。
ところで、TIG溶接用トーチ101をワークWのコーナー部の稜線W1d,W2d上方位置から左右何れかに振った状態でワークWのコーナー部を溶接すると、シールドガスGがワークWのコーナー部の稜線W1d,W2dの左側又は右側に多く流れ、これによりアークが左右何れかに流れて不安定になってアークの指向性が失われることになる(図25(A)及び(B)参照)。そのため、作業者が手溶接によりアークをコントロールしていた。
しかし、作業者がアークをコントールできず、アークがワークWのコーナー部の稜線W1d,W2dから左右何れかに流れると、溶接ビードがコーナー部の中心位置から片寄った位置に形成されると共に、ワークWのコーナー部の片側だけが溶けて穴あきが発生することがあり、溶接済みのワークWの品質が著しく低下するという問題があった。
また、TIG溶接用トーチ101によりワークWのコーナー部の稜線W1d,W2dから左右にずれた箇所を溶かすので、溶接終了後にワークWのコーナー部の稜線W1d,W2dが残ることになり、ワークWのコーナー部が奇麗な円弧にならない(図27(A)及び(B)参照)。そのため、溶接終了後にワークWのコーナー部をサンダーやベルトサンダーで仕上げ、最後にバフ仕上げを行う必要があり、多大の労力と時間を要するうえ、騒音の問題等が発生していた。
更に、ワークWのコーナー部を形成する左右一対の金属板W1,W2の突き合せ形態に応じてTIG溶接用トーチ101を左右何れかに振っているため、ワークWのコーナー部の突き合せ形態が変われば、その都度TIG溶接用トーチ101のセット位置を変更しなければならないうえ、作業者が間違ってTIG溶接用トーチ101をセットした場合、溶接不良(穴あきや融合不良)が発生することになる。
実用新案登録第2546453号公報
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、溶接部の外観形状が優れていると共に、穴あき等の溶接欠陥の無いコーナー溶接を行え、しかも、溶接終了後にサンダー仕上げやバフ仕上げ等の仕上げ加工を必要としないワークのコーナー部の振動TIG溶接方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のワークのコーナー部の振動TIG溶接方法は、金属板の端部同士を直角状に突き合して成るワークのコーナー部をその稜線が上を向く姿勢でクランプした後、シールドガスを外側と内側に流し且つ内側のシールドガスを外側のシールドガスより高速で噴出させるように外側ノズルの内側に狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチを、ワークのコーナー部の稜線と直交する方向へ振動させながらワークのコーナー部に沿って走行させてワークのコーナー部を溶接するようにしたワークのコーナー部の振動TIG溶接方法であって、前記ワークのコーナー部を形成する左右一対の金属板のうち、片側の金属板の先端面を反対側の金属板の内側面に片側の金属板の外側面と反対側の金属板の先端面とが面一になるように突き合して成るワークのコーナー部をその稜線が上を向く姿勢でクランプした後、前記TIG溶接用トーチを、その振幅が少なくともワークのコーナー部の稜線上方位置から片側の金属板の先端面の外側縁の上方位置までとなるようにワークのコーナー部の稜線と直交する方向へ振動させつつ、前記TIG溶接用トーチとワークのコーナー部との間に発生させたアークによりワークのコーナー部に溶融プールを形成し、前記TIG溶接用トーチをワークのコーナー部に沿って走行させることによって前記溶融プールをTIG溶接用トーチと同じ方向へ移動させながらワークのコーナー部を溶接するようにしたことに特徴がある。
本発明の請求項2に記載のワークのコーナー部の振動TIG溶接方法は、請求項1に記載のワークのコーナー部の振動TIG溶接方法において、前記狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチを、振動数が1Hz〜10Hzの範囲内で振動させるようにしたことに特徴がある。
本発明に係るワークのコーナー部の振動TIG溶接方法は、アークの指向性が良くなる狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチを使用し、当該TIG溶接用トーチをワークのコーナー部の稜線位置を中心にしてコーナー部と直交する方向へ振動させながらワークのコーナー部に溶融プールを形成し、この溶融プールをTIG溶接用トーチの走行によりTIG溶接用トーチと同じ方向へ移動させてワークのコーナー部を溶接するようにしているため、ワークのコーナー部の稜線両側部分が均等に溶けると共に、ワークのコーナー部の溶けた金属が表面張力により丸くなり、ワークのコーナー部が奇麗な円弧状になって左右均等な形状となる。
その結果、本発明に係るワークのコーナー部の振動TIG溶接方法は、ワークのコーナー部を溶接した際に、溶接ビードがワークのコーナー部の中心位置に形成されると共に、穴あき等の溶接欠陥が発生すると言うことがなく、溶接により作製された製品の品質が著しく向上することになる。
また、コーナー溶接によってワークのコーナー部が奇麗な円弧状になるため、ワークのコーナー部を溶接した後にサンダー仕上げやバフ仕上げ等の仕上げ加工を必要とせず、多大の労力と時間を要することがなくなると共に、騒音の問題も無くすことができる。
更に、TIG溶接用トーチを振動させているため、溶融プールの湯の温度が均一になって金属の組織の粗大化を防止することができる。
本発明の方法に用いるワークのコーナー部の振動TIG溶接装置の正面図である。 同じくワークのコーナー部の振動TIG溶接装置の側面図である。 同じくワークのコーナー部の振動TIG溶接装置の平面図である。 下治具ユニット及びクランプユニットの斜視図である。 下治具ユニット及びクランプユニットの正面図である。 下治具ユニット及びクランプユニットの側面図である。 下治具ユニット及びクランプユニットの平面図である。 下治具ユニット及びクランプユニットを示し、箱曲げしたワークのコーナー部を挟持した状態の正面図である。 下治具ユニットの斜視図である。 下治具ユニットの一部切欠正面図である。 下治具ユニットの一部切欠平面図である。 クランプユニットの一部切欠き正面図である。 図12のA−A線断面図である。 トーチユニットの斜視図である。 トーチユニットの正面図である。 トーチユニットの側面図である。 トーチユニットの平面図である。 トーチユニットの一部の部材を省略した斜視図である。 トーチユニットの一部の部材を省略した一部切欠き平面図である。 狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチの縦断面図である。 押圧保持部材の斜視図である。 治具ユニット及びクランプユニットの要部の側面図である。 狭窄ノズルを備えたTIG溶接用トーチでワークのコーナー部を溶接する状態を示す説明図である。 本発明の方法及び装置により溶接されたワークのコーナー部の拡大断面図である。 本発明の方法と従来の方法により溶接されたワークのコーナー部の外観写真である。 従来のTIG溶接用トーチによりワークのコーナー部を溶接する状態を示し、(A)はTIG溶接用トーチが左側に振れた状態の説明図、(B)はTIG溶接用トーチが右側に振れた状態の説明図である。 従来の方法により溶接されたワークのコーナー部の拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は本発明の方法に用いるワークWのコーナー部の振動TIG溶接装置を示し、当該振動TIG溶接装置は、ステンレス板や銅板、アルミ板等の金属板(例えば、板厚が0.6mm〜1.6mmの金属板)の端部同士を直角状に突き合して成るワークWのコーナー部、即ち、金属板を箱曲げしたワークWのコーナー部又は金属板を角筒状に曲げ加工したワークWのコーナー部若しくは二枚の金属板を直角状に突き合せたワークWのコーナー部を、アークの指向性が良くなる狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53により共付け溶接するようにしたものである。
前記ワークWのコーナー部の振動TIG溶接装置は、図1〜図3に示す如く、フレーム1と、ワークW(以下、ワークWは四隅のコーナー部に隙間が生じないように箱曲げしたワークWとする)のコーナー部を裏面側から支持するコーナー治具18を有する下治具ユニット2と、コーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部を上方から押圧してコーナー治具18の上面へ押圧固定する左右のクランプ34を有するクランプユニット3と、ワークWのコーナー部に沿って往復移動し、ワークWのコーナー部を共付け溶接するアークの指向性が良くなる狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53を支持するトーチユニット4と、コーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部付近の底面部をコーナー治具18の先端面18fへ押圧保持する押圧保持部材5とを備えている。
前記フレーム1は、図1〜図3に示す如く、水平姿勢のベースフレーム1aと、ベースフレーム1a上に設けたボックス状の本体フレーム1bとを備えており、本体フレーム1bの内部には、溶接電源6、配電盤(図示省略)、コンプレッサー(図示省略)等がそれぞれ収容されている。
尚、図1〜図3において、7はタッチ式の操作パネル、8は自動運転スイッチ、9はフットスイッチ、10は溶接ガス等の接続口、11は安全カバー、12はキャスター、13は吊下げ用のアイボルトである。
前記下治具ユニット2は、図4〜図11に示す如く、縦向き姿勢のマンドレル取付台14と、マンドレル取付台14の前面に水平姿勢で固定されたほぼ直方体形状のマンドレル15と、マンドレル15の上面にリニアガイド16(ガイドレール16a及びガイドレール16a上を摺動するスライダ16bから成る)を介してマンドレル15の長手方向へ往復移動自在に支持された厚肉板状の治具スライド体17と、治具スライド体17の先端部に着脱自在に設けられ、ワークWのコーナー部を裏面側から支持すると共に、ワークWのコーナー部を溶接する際に余分な熱を吸収してビードの溶け落ちや穴あき、熱歪等を防止するコーナー治具18と、マンドレル15と治具スライド体17の間に介設され、治具スライド体17をマンドレル15に沿って往復移動させる治具スライド体用駆動部19とを備えており、前記コーナー治具18が、治具スライド体17の往復移動により左右のクランプ34の下方に位置する後退位置(図6の一点鎖線位置)と左右のクランプ34の斜め下方前方に位置する前方位置(図6の実線位置)とに亘って前後方向へ往復移動自在となっている。
具体的には、前記コーナー治具18は、図9に示す如く、銅部材により上面18aが山形状に形成されており、コーナー治具18の下面に形成した凹溝18bを治具スライド体17の先端部側上面に形成した凸条部17aに嵌め込むことにより治具スライド体17に支持されている。このとき、コーナー治具18は、治具スライド体17の凸条部17aに着脱自在に取り付けた治具ストッパー20により位置決めされた状態で治具スライド体17に支持されている。
尚、この実施形態では、コーナー治具18の山形状の上面18aの一方の面18aと他方の面18aとが為す角度は、90度に設定されており、正方形状又は長方形状に箱曲げしたワークWのコーナー部を支持できるようになっている。
また、コーナー治具18は、図6及び図10に示す如く、治具スライド体17の先端部側面に位置決めピン21を介して設けた治具押え板22と、治具押え板22及び治具スライド体17に挿着されたクランプレバー23とにより治具スライド体17に対して着脱自在となっており、クランプレバー23を締め付ける方向へ回動操作すると、治具押え板22がコーナー治具18側及び治具スライド体17側へ押圧され、治具押え板22の先端部(上端部)でコーナー治具18を治具スライド体17側へ押圧固定するとこができ、また、クランプレバー23を緩める方向へ回動操作すると、治具押え板22がフリーの状態となり、コーナー治具18を治具スライド体17から取り外すことができるようになっている。
更に、コーナー治具18の山形状の上面18aには、図6、図9及び図11に示す如く、箱曲げしたワークWの開口側の外周縁部に施したヘミング加工した部分(図示省略)又は箱曲げしたワークWの開口側の外周縁部に形成した内向きのフランジ部分(図示省略)が嵌り込む受け入れ溝18cが形成されている。この受け入れ溝18cの形成位置及び溝18cの幅は、ワークWのヘミング加工した部分又はワークWのフランジ部分を溝18cに挿入したときに、ワークWの底面部内面をコーナー治具18の先端面18fに当接させることができるようにそれぞれ設定されている。
このように、コーナー治具18の上面18aに形成した受け入れ溝18cにワークWのヘミング加工した部分やワークWのフランジ部分を挿入し、ワークWのコーナー部を裏面側からコーナー治具18の山形状の上面18aで支持すると、ヘミング加工を施したワークWやフランジ部を形成したワークWであっても、ワークWのコーナー部内面がコーナー治具18の山形状の上面18aに面接触状態で当接することになり、左右のクランプ34によるクランプを良好且つ確実に行えることになる。
加えて、コーナー治具18は、図11に示す如く、コーナー治具18の頂部にワークWのコーナー部に沿って形成されたアルゴンガス等のシールドガス(このシールドガスは溶接部の酸化を防止する)が流れるガス溝18dと、治具スライド体17に形成したシールドガスのガス通路17bと前記ガス溝18dとを連通すべくコーナー治具18の頂部に縦向きに形成されたガス供給口18eとを備えており、ガス供給用継手24から治具スライド体17のガス通路17bに供給されたシールドガスがガス供給口18eからガス溝18d内へ流れるようになっている。
尚、コーナー治具18には、図示していないが、長さが異なるもの、上面18aの一方の面と他方の面とが為す角度が90度以外のも、山形状の上面18aに溝18cを形成していないもの等、様々なコーナー治具18が用意されており、ワークWの大きさや形状に合わせて交換できるようになっている。例えば、長さの長いコーナー治具18を使用すれば、深い箱物を作製することができ、また、コーナー治具18の上面18aの一方の面と他方の面とが為す角度が120度のコーナー治具18を使用すれば、六角形状の箱を作製することができる。
前記治具スライド体用駆動部19は、図6及び図9に示す如く、マンドレル15の下面にマンドレル15に沿って取り付けたロッドレスシリンダ19aと、ロッドレスシリンダ19aの可動部19bと治具スライド体17とを連結する連結金具19cとを備えており、ロッドレスシリンダ19aの両端部に設けた二つの作動流体供給用継手19dから作動流体を交互に供給することによりコーナー治具18を後退位置(図6の一点鎖線位置)と前方位置(図6の実線位置)とに亘って前後方向へ往復移動させることができる。
尚、治具スライド体用駆動部19には、図示していないが、ロッドレスシリンダ19aに替えて通常の複動型シリンダを使用しても良く、或いは、ボールネジ機構とモータを使用しても良い。
そして、前記下治具ユニット2は、本体フレーム1bの前面に下治具ユニット用昇降支持機構25を介して昇降自在に支持されており、下治具ユニット2全体が下降してコーナー治具18がクランプユニット3から大きく離れる下降位置(図5及び図6に示す位置)と、下治具ユニット2全体が上昇してコーナー治具18とクランプユニット3の左右のクランプ34とでワークWのコーナー部を挟持固定するクランプ位置(図8に示す位置)とに亘って昇降自在となっている。
即ち、前記下治具ユニット用昇降支持機構25は、図4〜図6に示す如く、フレーム1の前面に固定した縦向き姿勢の治具ベース25aと、治具ベース25aの前面にリニアガイド25bを介して昇降自在に支持され、下治具ユニット2のマンドレル取付台14が固定される治具上下スライド板25cと、治具ベース25aに縦向き姿勢で固定され、治具上下スライド板25cにシリンダ連結板25dを介して連結された流体圧シリンダ25eとを備えており、流体圧シリンダ25eを伸縮動作して治具上下スライド板25cを上下動させることにより下治具ユニット2を昇降させることができるようになっている。
前記クランプユニット3は、下治具ユニット用昇降支持機構25の治具ベース25aに設けられ、コーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部を上方から押圧してコーナー治具18の山形状の上面18aへ押圧固定する左右のクランプ34等を備えており、左右のクランプ34のうち、一方のクランプ34(図5の右側のクランプ34)を左右方向(他方のクランプ34に対して近づいたり、離れたりする方向)へ移動調整可能として左右のクランプ34の間隔を微調整できるようにし、また、他方のクランプ34(図5の左側のクランプ34)を左右方向へ移動調整可能として左右のクランプ34の間隔を微調整できるようにすると共に、上下方向へも揺動可能とし、クランプ34の先端部を複数の加圧バネ36によりワークWのコーナー部の上面18aへ弾性的に当接させるようにしている。
即ち、前記クランプユニット3は、図4〜図8、図12及び図13に示す如く、治具ベース25aの上端部に一定の間隔を空けて水平姿勢で且つ平行状に固定した左右のクランプブロック26と、左右のクランプブロック26の先端部同士を連結する正面カバー27と、右側のクランプブロック26の下面に固定した右側のクランプスライドベース28と、左側のクランプブロック26の下面に鉛直姿勢で螺着したクランプガイドネジ29に上下方向へ揺動自在に支持された左側のクランプスライドベース28と、左右のクランプスライドベース28の下面にボールスライドガイド30(レール30a、ブロック30b及びボール30cから成る)を介して左右方向へ水平移動自在に取り付けた左右のクランプスライド板31と、左右のクランプスライド板31にクランプ押え板32及びクランプレバー33を介して着脱自在に取り付けられ、ワークWのコーナー部をコーナー治具18の上面18aへ押圧固定する左右のクランプ34と、左右のクランプスライドベース28と左右のクランプスライド板31との間にそれぞれ設けられ、左右のクランプスライド板31を左右方向へ移動調整する左右のクランプ幅調整機構35と、左側のクランプブロック26と左側のクランプスライドベース28との間に介設され、左側のクランプスライドベース28を下方へ付勢して左側のクランプ34の先端部をコーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部の上面18aへ弾性的に当接させる複数の加圧バネ36(圧縮コイルスプリング)とを備えている。
また、前記左右のクランプ34は、ワークWのコーナー部を溶接する際に、主にアークの拡がりを遮断してワークWのコーナー部にアークエネルギーを集中的に与えるものであり、図12に示す如く、断面形状が逆L字形の板状に形成された金属部材製の基端側クランプ34aと、基端側クランプ34aの下端に固定され、先端部が鋭角状に形成された銅部材製の板状の先端側クランプ34bとから成る。この左右のクランプ34には、長さの異なるものが複数用意されており、箱曲げしたワークWの深さに応じて交換し、ワークWの深さに関係なくワークWのコーナー部をコーナー治具18の上面18aへ確実且つ良好に押圧固定できるようにしている。
更に、前記左右のクランプ幅調整機構35は、図8及び図12に示す如く、クランプスライドベース28の下面に固定したクランプ調整台35aと、クランプ調整台35aに水平姿勢で正逆回転自在に挿通支持され、先端部がクランプスライド板31に螺挿されたクランプ調整ボルト35bと、クランプ調整台35aとクランプスライド板31との間に介設され、クランプ調整ボルト35bの弛み止めをすると共に、クランプスライド板31を他方のクランプ34側へ付勢する圧縮コイルスプリング35cと、クランプ調整台35aに螺挿され、クランプ調整ボルト35bを回り止めする固定用ボルト35dと、をそれぞれ備えており、クランプ調整ボルト35bを正回転若しくは逆回転させると、クランプ調整ボルト35bが一回転するごとにクランプスライド板31がクランプ調整ボルト35bに形成したネジのピッチ分だけ左右方向へ移動するようになっている。
従って、左右のクランプスライド板31に取り付けた左右のクランプ34も、左右方向(図12の左右方向)へ移動し、左右のクランプ34の間隙が調整されることになる。
而して、前記クランプユニット3によれば、左右のクランプ34の間隔を溶接するワークWの厚みに応じてクランプ幅調整機構35により調整した後、左右のクランプ34とコーナー治具18とでワークWのコーナー部を上下方向から挟持固定するときに、右側のクランプ34の先端を基準にして左側のクランプ34が加圧バネ36の作用により均一にワークWのコーナー部を押えることができる。
前記トーチユニット4は、狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53を支持し、TIG溶接用トーチ53をワークWのコーナー部に沿って往復走行させると共に、ワークWのコーナー部と直交する方向へ振動させるものである。このトーチユニット4は、狭窄ノズル53cを備えた溶接用トーチ53が後退位置にあるコーナー治具18の上方後方に位置する待機位置と溶接トーチ53がコーナー治具18の上方に位置する溶接作業位置とに亘って前後方向へ往復移動自在となっており、コーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部の溶接時に待機位置から溶接作業位置へ引き出され、溶接トーチ53が所定の速度でワークWのコーナー部に沿って直線移動するようになっている。
即ち、トーチユニット4は、図14〜図19に示す如く、本体フレーム1b内に水平姿勢で配設したトーチユニットベース37と、トーチユニットベース37の上面に固定した前後レール台38と、前後レール台38の上面にリニアガイド39を介して前後方向へ往復移動自在に支持された左右スライドベース40と、前後レール台38と左右スライドベース40との間に配設され、左右スライドベース40を前後方向へ往復移動させる前後用モータ41及びベルト伝動機構42と、左右スライドベース40の上面にリニアガイド43を介して左右方向へ往復移動自在に支持された左右スライドベース板44と、左右スライドベース40と左右スライドベース板44との間に配設され、左右スライドベース板44を左右方向へ往復移動させるボールネジ機構45及び正逆回転自在な左右用モータ46と、左右スライドベース板44に設けた縦向き姿勢の上下スライドベース47と、上下スライドベース47にリニアガイド48を介して昇降自在に支持された上下スライド板49と、上下スライドベース47と上下スライド板49との間に配設され、上下スライド板49を昇降動させるボールネジ機構50及び正逆回転自在な上下用モータ51と、基端部が上下スライド板49に固定され、先端部が本体フレーム1bから前方へ突出する水平姿勢のトーチ支持アーム52と、トーチ支持アーム52の先端部に取り付けられ、狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53と、を備えており、左右スライドベース40、左右スライドベース板44及び上下スライド板49を動かすことによって、溶接用トーチ53が前後方向、左右方向及び上下方向へ動くようになっている。
また、トーチユニット4は、左右用モータ46によりカップリング54を介してボールネジ機構45を正逆回転させると、左右スライドベース40がワークWのコーナー部と直交する左右方向へ往復移動し、左右スライドベース40に上下スライドベース47、上下スライド板49及びトーチ支持アーム52を介して支持されたTIG溶接用トーチ53もワークWのコーナー部と直交する左右方向へ往復移動するようになっている。即ち、トーチユニット4は、ボールネジ機構45及び左右用モータ46を作動させることによって、TIG溶接用トーチ53がワークWのコーナー部と直交する方向へ振動するようになっている。
この実施形態においては、狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53を、振動数が1Hz〜10Hzの範囲内で振動させるようにしている。また、TIG溶接用トーチ53の振幅は、図23に示す如く、少なくともワークWのコーナー部の稜線(W2d)上方位置から片側の金属板(W1)の先端面(W1a)の外側縁(W1d)の上方位置になるようにしている。

前記左右用モータ46には、ステッピングモータが使用されており、左右用モータ46へ所定数のパルス入力信号が加えられると、左右用モータ46の出力軸が入力パルス数に応じたステッピング回転を行い、この回転運動がカップリング54を介してボールネジ機構45に伝達され、これによってボールネジ機構45のボールネジ軸を所定の角度又は所定の回転数だけ正回転又は逆回転させる。これにより左右スライドベース40がワークWのコーナー部と直交する左右方向へ往復移動することになる。
この実施形態に於いては、左右用モータ46にステッピングモータを使用しているが、回転角度を制御できるモータであれば如何なる型式のモータであっても良く、例えばサーボモータ(DCモータ+エンコーダ)やACサーボモータ(ACモータ+エンコーダ)、超音波モータを使用するようにしても良い。
前記TIG溶接用トーチ53は、図20に示すように、外側ノズル53aの内側にタングステン電極棒53bが挿通される狭窄ノズル53cを備えており、シールドガスGを狭窄ノズル53cの外側と内側に分け且つ狭窄ノズル53cの内側のシールドガスG1を狭窄ノズル53cの外側のシールドガスG2より高速で噴出させるようになっている。図20に示すような狭窄ノズル53cを備えるTIG溶接用トーチ53は、特開2012−139704号公報及び国際公開第2013/157036号パンフレットにより公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
また、TIG溶接用トーチ53の狭窄ノズル53cとタングステン電極棒53bとの隙間は、外側ノズル53aと狭窄ノズル53cとの隙間に比べてかなり狭くなっていて、狭窄ノズル53cから噴出する内側のシールドガスG1が、外側ノズル53aと狭窄ノズル53cとの間の間隙から噴出する外側のシールドガスG2の数倍の流速で噴出するようになっている。このTIG溶接用トーチ53は、狭窄ノズル53cの内側を流れるシールドガスG1が全シールドガスG(G1+G2)の20〜60%となるように構成されていることが好ましい。
尚、狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53は、狭窄ノズル53cを備えていない従来のTIG溶接用トーチ53に比べて風の影響に左右されず、アークのエネルギー密度、指向性、硬直性を保つことができると共に、高速速度を行えるうえ、溶接部の曲げ延性の向上を図れる等の利点を有する。
前記押圧保持部材5は、下降位置にあるコーナー治具18よりも高い位置に配設されており、コーナー治具18が下降位置からクランプ位置へ上昇したときにコーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部付近の底面部をコーナー治具18の先端面18fへ押圧保持するものである。
即ち、前記押圧保持部材5は、図5、図6及び図8に示す如く、コーナー治具18に支持されたワークWの底面部表面に当接し得る鉛直回転自在な複数のローラーから成り、左右のクランプ34の何れか一方のクランプ34先端(この例では、右側のクランプ34先端)に固定した取付台55に設けられている。
具体的には、押圧保持部材5を形成する各ローラーは、何れもベアリング構造のガイドローラーから成り、図8及び図22に示す如く、取付台55の両端部に固定したシャフト金具56に支持された水平姿勢のシャフト57に並列状態で且つ鉛直回転自在に支持されている。これら各ローラーは、下治具ユニット2が下降位置からクランプ位置に上昇したときに、後退位置にあるコーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部付近の底面部外表面に当接してワークWの底面部をコーナー治具18の先端面18fへ押圧保持するようになっている。
また、押圧保持部材5によるワークWの底面部のコーナー治具18への押圧保持は、ワークWのコーナー部がコーナー治具18と左右のクランプ34とにより上下方向から挟持固定される前に行われるようになっている。そのため、押圧保持部材5は、左右のクランプ34の先端部よりも下方位置に配置されており、左右のクランプ34よりも先にワークWの底面部表面側に当接するようになっている。
更に、押圧保持部材5の上方位置で且つ取付台55の上端部には、図22に示す如く、初期アークを発生させるブロック状に形成された銅製のスタートタブ58が設けられている。
次に、上述したワークWのコーナー部の振動TIG溶接装置を用いて四隅に隙間が生じないように箱曲げした金属板製のワークWのコーナー部を共付け溶接し、一端面が開放された箱状の製品を作製する場合について説明する。
尚、ワークWには、厚みが0.6mm〜1.6mmのステンレス鋼板等を円筒状に曲げ加工したワークWが使用されている。また、溶接電流、アーク長、シールドガスの供給量、TIG溶接用トーチ53の走行速度、タングステン電極棒53bの先端形状等の溶接条件は、ワークWの材質、板厚、幅等に応じて最適の条件下に設定されていることは勿論である。
先ず、作業員は、下降位置にある下治具ユニット2のコーナー治具18を後退位置(図6の一点鎖線位置)から前進位置(図6の実線位置)へ前進させ、前進位置にあるコーナー治具18に箱曲げしたワークWをセットする。即ち、箱曲げしたワークWの四つのコーナー部のうち、一つのコーナー部の裏面を前記コーナー治具18の上面18aに被せ、ワークWのコーナー部を裏面側からコーナー治具18で支持する。
コーナー治具18にワークWをセットしたら、前進位置にあるコーナー治具18を後退位置まで後退させた後、下降位置にある下治具ユニット2をクランプ位置(図8参照)まで上昇させ、コーナー治具18に支持されたワークWのコーナー部付近の底面部を押圧保持部材5によりコーナー治具18の先端面18fへ押圧保持した後、ワークWのコーナー部を上向きの状態でコーナー治具18の傾斜状の上面18aと左右のクランプ34とで上下方向から挟持固定する。
ところで、箱曲げしたワークWのコーナー部を裏面側からコーナー治具18で支持した際に、ワークWの直角に対向する2面の対向縁の間隔がワークWの自重により広がり、ワークWのコーナー部に隙間ができることがある。
そこで、この振動TIG溶接装置においては、図22に示す如く、コーナー治具18が下降位置からクランプ位置に上昇するときに押圧保持部材5によりワークWのコーナー部付近の底面部をコーナー治具18の先端面18fへ押圧保持するようにしている。そのため、ワークWのコーナー治具18に支持された2面に掛かっていたワークWの自重が取り除かれ、ワークWのコーナー部が弾性力により元の状態に戻り、ワークWのコーナー部の隙間が無くなる。
尚、ワークWのコーナー部をコーナー治具18上で上向きの状態でクランプしたときには、図23に示す如く、ワークWのコーナー部は、ワークWのコーナー部を形成する左右一対の金属板W1,W2のうち、片側の金属板W1(例えば、左側の金属板W1)の先端面W1aが反対側の金属板W2(例えば、右側の金属板W2)の内側面W2cに片側の金属板W1の外側面W1bと反対側の金属板W2の先端面W2aとが面一になるように突き合されているか、若しくは、図示していないが、ワークWのコーナー部を形成する左右一対の金属板W1,W2のうち、片側の金属板W2(例えば、右側の金属板W2)の先端面W2aが反対側の金属板W1(例えば、左側の金属板W1)の内側面W1cに片側の金属板W2の外側面W2bと反対側の金属板W1の先端面W1aとが面一になるように突き合されている。また、ワークWのコーナー部の形態が前者の場合(図23)、反対側の金属板W2(右側の金属板W2)の先端面W2aの外側縁W2dがワークWのコーナー部の稜線となっている。反対に、ワークWのコーナー部の形態が後者の場合(図示省略)、片側の金属板W1(左側の金属板W1)の先端面W1aの外側縁W1dがワークWのコーナー部の稜線となっている。
この実施形態においては、ワークWのコーナー部の突き合せ形態は、前者の状態となっており、右側の金属板W2の先端面W2aの外側縁W2dがワークWのコーナー部の稜線となっている。
ワークWのコーナー部がコーナー治具18及び左右のクランプ34により隙間の無い状態でクランプされたら、自動運転スイッチ8をONの状態にする。
そうすると、トーチユニット4が作動し、TIG溶接用トーチ53を、ワークWのコーナー部の稜線(右側の金属板W2の先端面W2aの外側縁W2d)を中心にしてコーナー部と直交する方向へ振動させつつ、TIG溶接用トーチ53とワークWのコーナー部との間にアークを発生させてワークWのコーナー部に溶融プールを形成する。
このとき、TIG溶接用トーチ53の振幅は、少なくともワークWのコーナー部の稜線(右側の金属板W2の先端面W2aの外側縁W2d)の上方位置から片側の金属板W1の先端面W1aの外側縁W1dの上方位置になるようにする。
そして、アークが安定したら、TIG溶接用トーチ53をワークWのコーナー部の稜線を中心にしてコーナー部と直交する方向へ振動させつつ、TIG溶接用トーチ53をワークWのコーナー部に沿って走行させることによってコーナー部に形成された溶融プールをTIG溶接用トーチ53と同じ方向へ移動させながらワークWのコーナー部を共付け溶接する。
このとき、TIG溶接用トーチ53をワークWのコーナー部の稜線を中心にしてコーナー部と直交する方向へ振動させながらワークWのコーナー部に溶融プールを形成し、この溶融プールをTIG溶接用トーチ53の走行によりTIG溶接用トーチ53と同じ方向へ移動させてワークWのコーナー部を溶接するようにしているため、ワークWのコーナー部の稜線両側部分が均等に溶けると共に、ワークWのコーナー部の溶けた金属が表面張力により丸くなり、ワークWのコーナー部が奇麗な円弧状になって左右均等な形状となる(図24参照)。
ワークWのコーナー部の溶接が終了したら、トーチユニット4が溶接作業位置から待機位置へ後退すると共に、下治具ユニット2がクランプ位置から下降位置に下降した後、下治具ユニット2のコーナー治具18が後退位置から前進位置へ移動する。これにより、作業員は、コーナー治具18から取り外すことができる。
以下、同様にして振動TIG溶接装置によりワークWの残りの三つのコーナー部を順次溶接して行き、箱曲げしたワークWから箱状の製品を作製する。
このように、ワークWのコーナー部の振動TIG溶接方法及びその装置は、アークの指向性が良くなる狭窄ノズル53cを備えたTIG溶接用トーチ53を使用し、当該TIG溶接用トーチ53をワークWのコーナー部の稜線を中心にしてコーナー部と直交する方向へ振動させながらワークWのコーナー部を溶接するようにしているため、ワークWのコーナー部が奇麗な円弧状になって左右均等な形状となる。
その結果、ワークWのコーナー部を溶接した際に穴あき等の溶接欠陥が発生すると言うことがなく、溶接により作製された製品の品質が著しく向上することになる。
また、コーナー溶接によってワークWのコーナー部が奇麗な円弧状になるため、ワークWのコーナー部を溶接した後にサンダー仕上げやバフ仕上げ等の仕上げ加工を必要とせず、多大の労力と時間を要することがなくなると共に、騒音の問題も無くすことができる。
更に、TIG溶接用トーチ53を振動させているため、溶融プールの湯の温度が均一になって金属の組織の粗大化を防止することができる。
図25は本発明の方法と従来の方法により薄鋼板製の箱形のワークのコーナー部を溶接した場合の外観写真を示し、本発明の方法と従来の方法によるタングステン電極棒の狙い位置、表側のビードの外観、裏側のビードの外観をそれぞれ表した写真である。
即ち、本発明の方法は、TIG溶接用トーチ53のタングステン電極棒53bの先端をワークWのコーナー部の中央位置(コーナー部の稜線上方位置)にセットし、TIG溶接用トーチ53に振動幅が0.3mm(振幅は0.15mm)の振動を与えて溶接した。
これに対して、従来の方法は、TIG溶接用トーチ53のタングステン電極棒53bの先端をワークWのコーナー部の中央位置から右側位置(又は左側位置)にセットし、TIG溶接用トーチ53に振動を与えずに溶接した。

尚、溶接条件は、厚さ0.6mmのSUS304製の薄鋼板、トリウム入りのタングステン電極棒53b、タングステン電極棒53bの先端角:25°、左右のクランプ34の幅:2.0mm、コーナー治具18のガス溝18dの幅:2.0mm、トーチガス:8.0リットル/分、バックガス:1.0リットル/分、アーク長:1.00mm、AVC設定電圧:11.20V(AVC設定電圧は、アーク電圧制御(Arc Voltage Control)の設定電圧である。)、TIG溶接用トーチ53の振動幅(本発明のみ):0.3mmとした。
図25の写真からも明らかなように、左右に0.3mmの振動を与えた本発明の方法は、ワークWのコーナー部に形成されたビードが左右均一なR形状となった。また、溶接裏ビードは、ワークWのコーナー部の裏側真中に位置している。
これに対して、従来の方法は、タングステン電極棒53bの狙い位置に溶接ビードが形成され、狙い位置の反対側に角部が残っている。そのため、溶接終了後にサンダー仕上げやバフ仕上げ等の仕上げ加工が必要になる。また、溶接裏ビードも、明らかに狙い位置側に寄っている。更に、ワークWのコーナー部の突き合せ形態に応じてTIG溶接用トーチ53の位置をセットしなおさなければならず、作業者が間違ってセットした場合、溶接不良(穴あきや融合不良)を引き起こすことになる。
このように、本発明の振動TIG溶接方法及び振動TIG溶接装置は、ワークWのコーナー部の溶接外観が優れていると共に、溶接不良の削減を図れ、しかも、仕上げ工程を少なくできる等の利点を有する。
尚、ワークWのコーナー部に形成される円弧の左右方向の幅(大きさ)は、電流の大きさとTIG溶接用トーチ53の振動によって調整することができる。電流を強くすると、ワークWのコーナー部に形成される円弧の左右方向の幅が広くなってアールが大きくなり、また、電流を弱くすると、ワークWのコーナー部に形成される円弧の左右方向の幅が狭くなってアールが小さくなる。ワークWのコーナー部に形成される円弧の大きさを電流の強弱で調整できない分は、TIG溶接用トーチ53の振動の幅で調整する。
上記の実施形態においては、振動TIG溶接装置を用いて箱曲げしたワークWのコーナー部を共付け溶接するようにしたが、他の実施形態においては、振動TIG溶接装置により二枚の金属薄板を直角状に突き合して形成したワークWのコーナー部を溶接しても良く、また、コーナー自動溶接装置により金属薄板を角筒状に曲げ加工して形成したワークWのコーナー部を溶接するようにしても良い。
また、上記の実施形態においては、TIG溶接用トーチ53の振幅をワークWのコーナー部の稜線上方位置から片側の金属板の先端面の外側縁の上方位置となるようにしたが、他の実施形態においては、TIG溶接用トーチ53の振幅をワークWのコーナー部の稜線上方位置から片側の金属板の先端面の外側縁の上方位置から少し外側の位置となるようにしても良い。
4はトーチユニット、18はコーナー治具、34は左右のクランプ、53はTIG溶接用トーチ、53aは外側ノズル、53cは狭窄ノズル、Wはワーク、W1,W2はワークを形成する金属板、W1a,W2aは金属板の先端面、W1b,W2bは金属板の外側面、W1c,W2cは金属板の内側面、W1d,W2dは金属板の先端面の外側縁。

Claims (2)

  1. 金属板(W1),(W2)の端部同士を直角状に突き合して成るワーク(W)のコーナー部をその稜線が上を向く姿勢でクランプした後、シールドガス(G)を外側と内側に流し且つ内側のシールドガス(G1)を外側のシールドガス(G2)より高速で噴出させるように外側ノズル(53a)の内側に狭窄ノズル(53c)を備えたTIG溶接用トーチ(53)を、ワーク(W)のコーナー部の稜線と直交する方向へ振動させながらワーク(W)のコーナー部に沿って走行させてワーク(W)のコーナー部を溶接するようにしたワークのコーナー部の振動TIG溶接方法であって、前記ワーク(W)のコーナー部を形成する左右一対の金属板(W1),(W2)のうち、片側の金属板(W1)の先端面(W1a)を反対側の金属板(W2)の内側面(W2c)に片側の金属板(W1)の外側面(W1b)と反対側の金属板(W2)の先端面(W2a)とが面一になるように突き合して成るワーク(W)のコーナー部をその稜線が上を向く姿勢でクランプした後、前記TIG溶接用トーチ(53)を、その振幅が少なくともワーク(W)のコーナー部の稜線上方位置から片側の金属板(W1)の先端面(W1a)の外側縁(W1d)の上方位置までとなるようにワーク(W)のコーナー部の稜線と直交する方向へ振動させつつ、前記TIG溶接用トーチ(53)とワーク(W)のコーナー部との間に発生させたアークによりワーク(W)のコーナー部に溶融プールを形成し、前記TIG溶接用トーチ(53)をワーク(W)のコーナー部に沿って走行させることによって前記溶融プールをTIG溶接用トーチ(53)と同じ方向へ移動させながらワーク(W)のコーナー部を溶接するようにしたことを特徴とするワークのコーナー部の振動TIG溶接方法。
  2. 前記狭窄ノズル(53c)を備えたTIG溶接用トーチ(53)を、振動数が1Hz〜10Hzの範囲内で振動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のワークのコーナー部の振動TIG溶接方法。
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