JP6635207B1 - 照明灯具が設置された建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来よりも簡易的な方法で照明の取り付け工事を行う。【解決手段】 天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設け、複数の天井材を吊り材で固定して天井を形成し、天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配されたコネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、コネクタにより接続し、軽量大型照明灯具と、電源アダプタと、を電気的に接続し、軽量大型照明灯具または電源アダプタが有する留め具を、天井材の開口に通して軽量大型照明灯具を天井材に設置する。【選択図】 図10

Description

本発明は、照明灯具が設置された建築物、建築物に設置される照明灯具に関する。
オフィスビル、工場、商業施設、あるいはこれらに限らずほとんど全ての建物において、照明は欠かせない要素となっている。また、多くの国において、建築物を建てるときには一定の基準を満たすことが要求される。例えば日本国においては建築基準法や消防法等があり、遵守すべきルールが定められている。基準を満たさないものは違法建築物とされ、建築物の使用が制限される。
ビルを建設する場合、基礎工事から、躯体工事、仕上げ工事、設備工事、といった流れで作業が進められる。照明などの電気設備や、給排水設備などの設置は、躯体が出来上がった後で行われる。特許文献1には、照明などの天井据付機器を天井側へ取り付けるときの作業を迅速かつ容易に行える天井据付機器用支持装置が開示されている。
特開2006−70561号
しかしながら、特許文献1に開示される方法では、なお相当の人員や作業工数を要する。そのため、建築物の建設において照明の取り付け工事を従来よりも簡易的に行える仕組みが確立されれば非常に有益である。
本発明の一実施形態に係る建築物は、天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、複数の天井材を吊り材で固定して天井を形成する工程と、前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、前記軽量大型照明灯具または前記電源アダプタが有する留め具を、前記天井材の開口に通して前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、を有する方法により建設される。
また、本発明の一実施形態に係る建築物は、電気工事士の資格を有する者により実行される作業であって、天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、電気工事士の資格を有さない者によって実行可能な作業であって、複数の天井材を吊り材で固定して天井を形成する工程、前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程、前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程、及び、前記軽量大型照明灯具または前記電源アダプタが有する留め具を、前記天井材の開口に通して前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、を有し、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記コネクタ付き配線を設ける工程の後に行われる方法により建設される。
また、本発明の一実施形態に係る軽量大型照明灯具は、天井裏に配される複数の配線を設ける工程と、複数の天井材を吊り材で固定して天井を形成する工程と、が行われた後において、前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記複数の配線のうち前記軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として設けられたコネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、前記軽量大型照明灯具または前記電源アダプタが有する留め具を、前記天井材の開口に通して前記照明灯具を前記天井材に設置する工程と、を有する方法により、建築物の建設において設置される。
また、本発明の一実施形態に係る建築物は、天井インサートが埋め込まれたコンクリートが打設された躯体と、天井インサートと接続する吊り材と、吊り材により固定される複数の天井材が配されて形成される天井と、空間を形成する一部分に前記天井を有し前記天井の上方にある空間である天井裏空間に設けられる、天井設置器具に電力を供給するための配線と、空間を形成する一部分に前記天井を有し前記天井の下方にある空間である居室空間に向けて光を発するための発光面を有し、前記天井に設置される軽量大型照明灯具と、を有し、天井設置器具に電力を供給するための配線であって、前記軽量大型照明灯具に電力を供給するための配線は、前記軽量大型照明灯具との接続のためのコネクタを有する。
本発明によれば、従来よりも簡易的に照明の取り付け工事を行い、建築物を建設することができる。
図1は、建築物が建設されるまでの工程における照明設置の流れを説明するためのフロー図である。。 図2は、実施形態に係る建築物の居室の構造の一例を記した模式図である。 図3は、吊り材により固定されない天井設置器具の例を示す図である。 図4は、吊り材により固定される天井設置器具の例を示す図である。 図5は、実施形態に係る照明灯具の斜視図である。 図6は、実施形態に係る照明灯具の発光面について説明するための模式図である。 図7は、実施形態に係る照明灯具における光源素子の斜視図である。 図8は、実施形態に係る照明灯具における光源素子の光学特性を示す図である。 図9は、実施形態に係る建築物の建設における天井裏空間の構造を示す図である。 図10は、第1実施形態に係る照明灯具の設置方法を説明するための図である。 図11は、第1実施形態に係る照明灯具の設置方法を説明するための図である。 図12は、第1実施形態に係る照明灯具が天井に設置されたときの構造を示す図である。 図13は、第1実施形態に係る照明灯具を天井から取り外す方法を説明数るための図である。 図14は、第2実施形態に係る照明灯具の設置方法を説明するための図である。 図15は、第2実施形態に係る照明灯具の設置方法を説明するための図である。
本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
図1は、建築物が建設されるまでの工程における照明設置の流れを説明するためのフロー図である。ここでは一般的なオフィスビルのように、複数階の構造を有し、通路と居室を有する建築物を対象とする。オフィスビルのような大規模な建築物の建設では、総合建設業者が建設工事の発注を請負い、種々の業者によって作業される建設工事全体の取りまとめを行う。
まず、設計士やデザイナーが建築物の設計を行う(ステップS1)。この工程において、通路や居室のレイアウトなどが決められ、建築物の全体的なデザインが設計図面に記される。また、採用する建築材料や、照明灯具などの電気設備資材についてもある程度決められ、その配置についても図面に記される。
次に、決められた設計に基づいて、建築材料や建設機械が用意され、基礎工事が行われる(ステップS2)。この工程では、杭工事や土工事により建築物の荷重に耐え得る安定した地盤を確保する。ここでは主に、土木工事を行う業者の作業員が作業を行う。なお、土木工事業者の作業員に限らず、他の業者の作業員も作業を行っている。
次に、安定した地盤の上に建築物の躯体を形成する躯体工事が行われる(ステップS3)。躯体工事としては、基礎部分や地下階を有する場合には地下階など地下の工事から始まり、地上階へと進んでいく。コンクリートの打設、柱の建込み、鉄骨の組み立てなどを行い、建築物全体の骨組みが完成する。また、外壁、屋上、各階の床等にもコンクリートが打設される。
また、躯体工事では、後の内装工事において吊りボルトを下げるために、インサートが埋め込まれる。例えば、吊りボルトを固定するための天井インサートを、上階の床スラブ(鉄筋コンクリートの床板など)の打設時にスラブの一部として固定する。ここでは主に、土木工事を行う業者の作業員や、とび・土工・コンクリート工事を行う業者の作業員などが作業を行う。次に、建築物の外装工事が行われる(ステップS4)。外壁のタイル張りや、窓サッシ、窓ガラス、カーテンウォールなどが取り付けられる。また、塗装なども行われる。
次に、内装工事が行われる(ステップS5)。内装工事では、天井、壁、床を作り上げる。天井を設置する天井工事では、ステップS3の躯体工事で設けられた天井インサートから吊りボルトを下げ、軽量鉄骨材を組み合わせた下地に、天井板や天井下地材などの天井面を構成する部材である天井材が取り付けられる。天井材の支持には、吊りボルトやハンガー等の吊り材及び斜め部材などが用いられ、これにより天井板の脱落といった危険防止措置が取られる。
例えば日本国では、建築基準法や施行令などにより、このような天井脱落を防止するための規定が設けられている。その一つに、既定の条件を満たす天井材を設けるときには吊り材等により固定を行うなどの脱落防止措置を施しておくことが規定されている。照明灯具についても、その大きさや重量などによって、吊り材に固定されずに天井に設置できるものや、吊り材による固定を有するものがある。
なお、吊りボルトを固定するための天井インサートは、コンクリートの打設の際に設置する代わりに、打設後にコンクリートにアンカーを打ち吊りボルトを固定することも可能ではある。しかし、効率面や安全面を考慮すれば事前に設置される方が好ましく、吊り材が設けられることがわかっている場所については、設計の段階で天井インサートの配置が決められ、コンクリートの打設の際に埋め込まれるのが望ましい。
また、内装工事では、天井を張る前、つまり天井材による天井の形成が完了する前に、配管や空調のダクトの吊り込みをしておき、電線などを配管内に通す作業も行われる。そのため、天井裏には、電気配線やダクト、空調機器などを設置するために必要な空間が設けられる。またさらに、照明や空調が設置される場所に合わせて天井材に開口が設けられる。ここで、天井内のダクト設置や吊り材による天井材の固定といった作業は、内装工事を行う業者の作業員などが作業を行う。一方で、電気配線を設ける作業は、感電等の危険があるため、電気工事を行うことのできる専門的な作業員によって行われる。
天井を設置する天井工事の作業者と、天井裏に電気配線を通す配線工事の作業者と、は多くの場合は別人であることが想定される。なお、日本国では、電気工事士の資格を有さない者による配線工事などの電気工事は許可されていない。このように建築物の建設は、種々の専門的な業者から作業員が派遣され、それぞれが専門的な作業を行うことで安全面に配慮している。
本明細書において、建築物の建設のために天井材を準備して天井工事を行う業者の作業員を天井設置作業者と呼ぶ。また、建築物の建設のために電気配線を準備して配線工事を行う業者の作業員を配線工事作業者と呼ぶ。なお、建築物の建設における各工程の工事は、通常複数の作業者によって行われる。従って、天井設置作業者とは一人の作業者に限らず、建築物の建設において天井工事を行う1以上の作業者を指す。配線工事作業者などについても同様である。
次に、内装工事を終え、床や壁や天井が出来上がると、設置工事が行われる(ステップS6)。設置工事では、建築物を実際に利用する際に必要になる設備が設置される。例えば、電気、ガス、水道、排水、空調、トイレ、防災、放送などのための設備や、照明、エスカレーター、エレベーターなどの設備が配置される。これらの作業は、電気工事、電気通信工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事などの事業者の作業員が行う。
照明の設置工事においても、照明灯具を電気的に接続する必要があるため電気工事士の資格者による作業を要する。なお、照明が設置される場所は天井に限らないが、天井に設置される照明灯具は、通常であれば電気工事士の資格者によって天井裏に用意された配線に接続され、電気的に接続される。空調の設備工事において天井に空調機器を設置する場合も、電気工事士の資格者によって天井裏に用意された配線に接続される
通常では、オフィスビルのような建築物の居室において、天井に配置される大型の照明灯具や空調機器は吊り材によって固定される。従って、このような大型の照明灯具や空調機器の設置工事を行う作業員は、大型の照明灯具や空調機器を天井インサートから吊り下げられた吊り材に固定して天井に設置する作業も行うことになる。
照明の設置工事に間に合わせるように、照明灯具の製造者は建設に必要な照明灯具を製造し、電気設備資材を管理する電材商社に納品する(ステップS7)。また電材商社は、照明灯具に限らず、スイッチ、コンセント、電線、ケーブル、配電盤、アンテナなどの資材や、分電盤、インターホン、火災報知器などの資材の在庫を管理しており、工事に必要な電気設備資材を必要な分だけ供給する(ステップS8)。本明細書において、照明灯具を製造し、あるいは照明灯具を納品する業者の従業員を照明灯具供給者と呼ぶ。
なお、設置工事の工程において、照明の設置工事と、空調の設置工事とは別々に行われる。なお、同時に行うことも、あるいは、同一人が両方の設置工事を行うことも可能だが、作業効率を考慮して分担して作業を進める方が一般的である。このようにして建築物は建設される。
なお、本明細書において、設置工事の作業者と言う場合は、照明や空調などの設置工事を行う一人以上の作業者を指すものとし、上述したような同一人が照明及び空調の設置工事を行う場合も含み得るものとする。一方で、照明の設置工事の作業者と言う場合は、照明の設置工事を行う一人以上の作業者を指し、かつ、空調の設置工事は行わない作業者を指すものとする。空調の設置工事の作業者と言う場合は、空調の設置工事を行う一人以上の作業者を指し、かつ、照明の設置工事は行わない作業者を指すものとする。
<第一実施形態>
次に、第一実施形態に係る建築物の建設プロセスについて説明する。第一実施形態に係る建築物1は、複数階の構造を有し、通路と居室を有する。なお、一階建ての建築物であってもよい。図2は、建築物1の特定の階における居室の構造の一例を記した模式図である。
建築物1は、床2と、壁3と、天井4と、窓5と、により居室空間を形成する。なお、窓5が無く側面が壁3だけの居室であっても構わない。また、天井には、複数の照明灯具10と、複数の空調機器90とが設置されている。なお、空調機器90は一台でもよい。
ここで、本発明に係る照明灯具10について説明する前に、天井に設置される各種の器具が、吊り材により固定される場合と固定されない場合の設置構造の違いを、図3及び図4を用いて説明する。図3は、吊り材による固定が不要な天井設置器具の設置例を示し、図4は吊り材による固定が必要な天井設置器具の設置例を示す。
図3に示されるように、例えば、監視カメラ100や、ダウンライト101、非常用照明102、あるいは煙感知器センサー103など、小型の天井設置器具については、吊りボルト等の吊り材20や斜め部材30によって固定されずに設置される。このような小型の天井設置器具は、天井材に掛かる荷重が小さいため吊り材を要さずに設置することが認められる。
一方で、図4に示されるように、天井面に対して設置される天井面設置型のベース照明104や、天井材を貫通して設置され居室から見ると埋め込まれているように設置される埋込型のベース照明105などは、吊り材20によって固定されて設置される。このような天井設置器具は、天井材に掛かる荷重が大きいため、吊り材で固定されていないと、例えば地震が起こった場合に脱落する危険性が高くなる。よって、天井材に全ての荷重を掛けるような設置構造とはせずに、天井設置器具そのものを吊り材で支えるようにする。
例えば、オフィスビルのような建築物の場合、通路などの狭い空間における照明にはダウンライト101などの小型の天井設置器具が設けられ、居室などの広い空間ではベース照明104あるいはベース照明105などの大型の照明灯具が設けられることが考えられる。小型の照明灯具が部分的に設けられることはあり得るが、居室全体に設置される照明灯具の設置数で見ると、大多数は大型の照明灯具である。従って、図4に示すようなベース照明を用いる場合には、照明の設置工事において吊り材による固定作業が行われる。
本発明に係る照明灯具10は、照明灯具の性能としては図4に示すベース照明に相当する性能を有しており、かつ、照明の設置工事においては図3に示すように吊り材による固定を要さない照明灯具を実現したものである。つまり、照明灯具10は、ベース照明相当として取り扱えるほど大型でありながら、吊り材を要さないほど軽量である、軽量大型照明灯具である。
ここで、本明細書における軽量大型照明灯具とは、全光束が2500lm以上であるか、床に最も近い面である発光面の面積が45000mm以上であるか、光源素子が100個以上配されているか、の少なくとも一を満たす照明灯具を指すものとする。またあるいは、これに加えて、重量が0.5kg以上から2.5kg未満であるという条件により、軽量大型照明灯具の特性をさらに特定してもよい。
次に、軽量大型照明灯具である照明灯具10について説明する。図5は天井に設置される設置面側から見た照明灯具10の斜視図である。図6は照明灯具10の発光面について説明するための模式図である。図7は照明灯具10に用いられる光源素子16を示す斜視図である。図5乃至図7に基づき説明される照明灯具10は、縦450mm、横450mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの、発光面が正方形の照明灯具である。
なお、発光面は、縦600mm、横600mmの正方形の照明灯具であってもよい。また、発光面が、縦150mm、横600mmの長方形の照明灯具であってもよく、縦75mm、横600mmの長方形の照明灯具であってもよい。また、その他の多角形や、円形、楕円形の発光面でもよく、形状は制限されない。また、本願においては、四隅が面取り等された図形も含めて正方形あるいは長方形と呼ぶものとする。
照明灯具10は、ベースプレート11、カバー12、緩衝部13、取付アダプタ14、基板15、及び、光源素子16を有する。ベースプレート11は、照明灯具10における補強板あるいは放熱板として機能する。例えば、矩形状に形成された金属板である。例えば、金属板はアルミニウムを材料として形成することができる。
なお、本明細書において「光源」とは、光を発する部材のことを指し、光源はLEDに代表される発光素子であってよく、あるいは、発光素子と波長変換部材とを組み合わせたものであってもよい。「波長変換部材」は、発光素子が発する光の一部または全部を他の波長の光に変換する部材のことを指しており、例えば蛍光体部材を挙げることができる。
カバー12は、基板15に配された光源素子16を覆うように設けられる。また、光源素子16が発する光に対する透光性を有する。カバー12は、例えば樹脂材に酸化チタン等を分散させた光拡散性を有する乳白色に形成されている。樹脂材としては、例えばアクリル樹脂を採用することができ、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂を採用することができる。
緩衝部13は、ベースプレート11の天井設置面の外周に設けられる。緩衝部13によって、ベースプレート11の天井設置面が天井4(あるいは天井材40)と直接接触することを防ぎ衝撃を緩衝する。また、緩衝部13は、ベースプレート11の外周の一部において設けられておらず、緩衝部13の厚みによって取外しアーム挿入口Gを有する。
取付アダプタ14は、後述する電源アダプタ60に嵌め込まれる。この電源アダプタ60は、天井材40に取り付けられ、取付アダプタ14は、電源アダプタ60を介して天井4に取り付けられる。また、取付アダプタ14は、電源アダプタ60のDCハーネス64と接続し、DC電源からの電力の供給を受ける。
基板15は、例えば樹脂またはセラミックの絶縁性の基板であり、複数の光源素子16を配置する光源配置面を有する。また、基板15の光源配置面には光源素子16に電力を供給するための導電パターンが設けられている。導電パターンの材質は、基板15の主材料に応じて適宜選択できる。例えば、セラミックス材から成る基板の場合、導電パターンには、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有するものが好ましい。例えば、導電配線の材質が、タングステンおよび/またはモリブデンのような高融点の金属を含んで成るものであってよい。さらに、その上に鍍金やスパッタリング、蒸着などにより、ニッケル、金および/または銀など他の金属材料が被覆材として設けられたものであってもよい。また、樹脂材から成る基板の場合、導電パターンは、加工し易いものが好ましい。例えば、射出成型された樹脂から成る基板の場合、導電パターンは、打ち抜き加工、エッチング加工または屈曲加工などの加工がし易く、かつ、比較的大きい機械的強度を有するものが好ましい。具体的な導電パターンの材質を例示しておくと、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、ロジウム、鉄、ニッケル、およびモリブデン等の金属、ならびに、鉄−ニッケル合金、りん青銅、および鉄入り銅などを挙げることができる。
図6は、カバー12の内部の構造がわかるように、カバー12により覆われている一部分を取り除いた場合の図を示している。従って、実際には、照明灯具10における基板15や光源素子16は、カバー12によって覆われている。基板15の光源配置面と反対側の面は、ベースプレート11に接触する。基板15には、複数のネジ穴Sが設けられており、ネジ穴Sを介してベースプレート11にネジ止めされる。
光源素子16は、基板15に均等に配列される。450mm四方の光源配置面において、光源素子16は、15mm以上〜20mm以下のピッチ間隔で配置される。図7に示されるように、光源素子16は、発光素子17と、波長変換部材18と、封止部材19とを含む。発光素子17は、基板15の光源配置面に実装され、発光素子17の電極は基板15に形成された導電パターンと電気的に接続されている。波長変換部材18は発光素子17を覆う。
封止部材19は、電気的絶縁性を有し、光源から出射される光に対して透過可能(例えば、透過率70%以上)であって、固化前(例えば硬化完了前)は流動性を有する材料を採用することができる。例えば、樹脂原料を含んでよく、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの変性樹脂やハイブリッド樹脂等を挙げることができる。なかでも、シリコーン樹脂は、耐熱性および/または耐光性に優れているので好ましい(本明細書でいう「シリコーン樹脂」は、その変性樹脂またはシリコーン骨格を少なくとも有する樹脂などを包括的に含む“シリコーン系樹脂”のことを指している)。このような封止原料は、必要に応じて、フィラーおよび/または蛍光体などを付加的に含有していてもよい。
封止部材19は波長変換部材18を覆う。封止部材19において発光素子17の上面の中心付近を覆う部分が凹んでいる。また、このような窪み部分を囲む周囲部分には複数の突起が設けられている。突起は、窪み部分の周囲におよそ均等に設けられて、隣り合う突起を結ぶ直線によって囲まれた領域内に窪み部分は収まる。このように、全体として扁平形状を有し、さらに、窪み部分と複数の突起を有する封止部材19によって、光源素子16はバットウイング形の配光特性を有する。
図8は、バットウイング形の配光特性の一例を示す図である。横軸は光源素子16から出射される光の出射角を表し、光源素子16が配置される光源配置面に対して垂直な方向を0°としている。縦軸は光源素子16から出射される光の強度を表す。バットウイング形の配光特性とは、出射角が0°から−90°の範囲の領域に、出射角が0°のときの強度よりも大きい第1の強度ピークを有し、出射角が0°から90°の範囲の領域に、出射角が0°のときの強度よりも大きい第2の強度ピークを有する配光特性である。
なお、好適なバットウイング系の配向特性を得るには、突起のサイズが大きすぎない方がよい。例えば、封止部材19に関し、突起自体の高さを“h”とし、隆起の高さ(突起を除いた場合の封止部材の高さ)を“H”とすると、0<h≦H/8を満たすのが好ましく、0<h≦H/10を満たすのがより好ましく、0<h≦H/12を満たすのがさらに好ましい。
また、封止部材19は、少なくとも最大厚さ寸法が最大幅寸法よりも小さい。例えば、最大幅は、最大厚さの2倍以上となっている。なお、最大厚さは、基板15から封止部材19の突起の頂上までの高さとなるのが好ましい。このような扁平形状の封止部材によって、より低い高さからバットウイングの発光がもたらされる。また、偶発的な外力により光源素子16が基板から取れてしまうといった不具合を抑制することができる。
このような、縦450mm、横450mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの照明灯具10の一実施例として、縦24×横24の計576個の光源素子16を配置したものは、全光束が4500lm、色温度5000K、重量1.94kg、となった。つまり、一実施例における照明灯具10は、全光束が4000lm以上であるか、床に最も近い面である発光面の面積が202500mm以上であるか、光源素子が500個以上配されているか、重量が2.0kg未満であるか、の一または複数を満たす軽量大型照明灯具の一例である。
また、発光面が、縦150mm、横600mmである点で異なる照明灯具10の他の実施例として、縦8×横32の計256個の光源素子16を配置したものは、全光束が3450lm、色温度2700K、重量1.09kgとなった。つまり、他の実施例における照明灯具10は、全光束が3000lm以上であるか、床に最も近い面である発光面の面積が90000mm以上であるか、光源素子が200個以上配されているか、重量が1.5kg未満であるか、の一または複数を満たす軽量大型照明灯具の一例である。
次に、本願に係る建築物1の建設において照明灯具10が設置されるまでの工程を説明する。なお、図1を利用して既に説明した建築物が建設されるまでの工程と異なる点を詳細に説明し、重複する点については説明を簡易的あるいは省略する。
照明灯具10は、吊り材20により固定される必要がないため、ステップS1において、設計士やデザイナーは、照明灯具10の設置位置に合わせて吊り材の配置位置を決定しておく必要はない。また、天井インサートが設けられ、吊り材20の配置位置が確定した後に、図4のベース照明104の配置位置を変更する場合は、新たに吊りボルトを設置する必要がある一方で、照明灯具10の場合はその必要がない。従って、設計士やデザイナーは、工事がある程度進んだ後でも、照明灯具10の設置場所を柔軟に変更することができる。
ステップS2〜ステップS4までの工程については、既にした説明と概ね同様である。次に、ステップS5の内装工事では、天井を設ける天井工事が行われる。また、天井を張る前に、天井裏に配される配線が天井よりも高い位置に通される。図9は、天井工事が行われた状態の天井裏の一例を示している。
図9にあるように、天井裏は、コンクリートが打設された躯体80によって上面と側面が、天井材40が配された天井4によって下面が形成された空間を有している。また、天井4を形成する各天井材40は、躯体の天井インサートに繋がれた吊り材20によって固定され、支えられている。なお、図が煩雑になるため、図9では吊り材20の表示を一部省略している。天井裏の空間には、配管を通って設けられた配線50及び配線51がある。この配線は、設計図面に基づき、天井裏に設置される照明や空調などの電気接続機器の設置台数に応じて設けられる。電気接続機器への電源供給に十分な数の配線が用意された上で、天井4は設けられる。
ここで、天井裏に配線を通す作業は、電気工事士の資格を有する配線工事作業者によって行われる。また、この作業において、照明灯具10に接続される予定の配線50については、電気工事士の資格を有する配線工事作業者によってコネクタが設けられる。コネクタは、電気接続機器を電気的に接続するための電気接続機器と配線50との接続作業において感電を防止するための、感電防止接続器具の一例である。
コネクタ等の感電防止接続器具を有していれば、照明灯具10に配線50を接続する作業は、電気工事士の資格を有する者でなくても行うことができる。図9の例では、照明灯具10に接続する予定の配線50についてはコネクタが設けられる一方で、空調機器90に接続される予定の配線51についてはコネクタ等の感電防止接続器具は設けられていない。従って、出願時点の日本国の法令に遵守すると、空調機器90に配線51を接続する作業は、電気工事士の資格を有する者によって行われる必要がある。なお、図が煩雑になるため、図9では配線50の表示を一部省略している。
また、空調機器90は、吊り材20によって固定されるため、空調機器90を固定するための吊り材20としての吊り材21が設けられている。図9の時点では、まだ空調機器90は取り付けられていないため、吊り材21は空調機器90を固定していない。
天井材40には、空調機器90や照明灯具10など、天井設置器具を設置するために開口が設けられている。図9に示される四角の開口は、空調機器90のための開口である。また、円形の開口は、照明灯具10のための開口である。図9の例では、6×3の計18枚の天井材40のうち、2枚の天井材40のそれぞれに空調機器90を設置するための開口が、12枚の天井材40のそれぞれに照明灯具10を設置するための開口が設けられている。
図9に示されるように、照明灯具10を設置するために設けられる開口は天井材40に比べて小さい。また、照明灯具10の発光面と比べても十分に小さい開口である。この点について、図3に示したダウンライト101や非常用照明102は対照的に、その照明灯具の大きさと同等の開口を有している。なお、本明細書において、発光面の面積に対して開口が1/3以下であることを、十分に小さいと言うものとする。また、発光面の面積に対して開口が1/5以下であることを、非常に小さいと言うものとする。また、発光面の面積に対して開口が1/10以下であることを、極めて小さいと言うものとする。
照明灯具10を設置するための開口は、例えば、直径10cm〜15cmの円形で形成される。また、開口の形状は円形でなくてもよく、最大径が15cm以下の多角形であってもよい。また、電源アダプタ60等の大きさや形状に基づいて決定されればよい。なお、後述するが、照明灯具10の取り付けのために、居室側から配線50を手に取ることが出来るように、開口は作業員の腕が通せるだけの大きさを確保するのが好ましい。
開口の具体的な一例として、縦450mm、横450mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの照明灯具10を設置するために、直径15cmの円形の開口が設けられる。従って、極めて小さい開口によって照明灯具10を設置することが出来る。また別の一例として、縦150mm、横600mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの照明灯具10を設置するために、12.5cmの円形の開口が設けられる。従って、非常に小さい開口によって照明灯具10を設置することが出来る。
なお、天井材40は予め開口が設けられたものである必要はない。開口の無い状態の天井材40を用意し、内装工事を行う現場で作業員が天井材40に穴を空けて開口を設ける方が一般的である。開口のない天井材40に対し、適宜開口を設ける作業を行えばよい。どのような天井設置器具を設置するかによって用意すべき開口の形状も異なり得る。よって、開口は、天井材40を吊り材20で固定して天井に取り付けるときに設ければよく、あるいは、天井を形成した後で設けてもよい。
このようにして天井4が設けられた上で、ステップS6の設備工事において、照明の設置工事が行われる。図10〜図12は、照明灯具10の設置方法を説明するための図である。図10は、天井材40、電源アダプタ60、照明灯具10の接続関係を天井裏側から俯瞰した態様で示し、図11は、天井面側(照明設置面側)から俯瞰した態様で示している。また、図12は、電源アダプタ60と照明灯具10とが接続し、さらに天井材40に設置されたときの構造を示している。
なお、建築物に天井4が設けられた時点で、図2で示した居室を形成する空間である居室空間と、図9で示した天井裏を形成する空間である天井裏空間と、は区別された空間として扱う。ここで、天井材40の開口の有無については考慮しない。具体的には、建築物1において開口を有さない天井材40により天井4が形成された場合に、空間を形成する一部分として天井4を有する空間であって天井4の上方にある空間を天井裏空間、空間を形成する一部分として天井4を有する空間であって天井4の下方にある空間を居室空間として区別する。
まず、居室空間に存在する作業員によって居室空間内に照明灯具10と電源アダプタ60とが準備される。照明灯具10は、居室空間に存在する作業員が、照明灯具10の取付アダプタ14を電源アダプタ60に嵌め込むことで、電源アダプタ60に接続される。また、電源アダプタ60のDCハーネス64と接続することで、照明灯具10は電源アダプタ60からのDC電源の電力供給を受ける。例えば、100Vの直流電圧が供給される。DCハーネス64との接続についても、電気工事士の資格を有していない作業員が行うことができる。
なお、配線50を介してAC電源が供給されるため、電源アダプタ60はAC/DC変換機能を有している。また、電源アダプタ60は、コネクタ付き配線50とコネクタを介して電気的に接続するための接続部としてのAC端子台61を有する。居室空間に存在する作業員は、開口に腕を通し、開口から天井裏空間に設けられたコネクタ付き配線50を引っ張って、居室空間内に引き込む。そして、居室空間においてコネクタ付き配線50のコネクタとAC端子台61とを接続する。
なお、照明灯具10が発光の強度や色調を調節する調光機能を有する場合に備えて、電源アダプタ60は調光の制御を行う調光ドライバ装置と接続するための接続部としての調光端子台62を有する。調光機能を有さない照明灯具10を使用する場合には、調光端子台62は不要である。
また、電源アダプタ60は、留め具63を有しており、居室空間に存在する作業員が、この留め具63によって電源アダプタ60を天井材40に設置する。留め具63はバネ性(弾性)を有しており、これを天井面側(居室空間側)から天井材40の開口に通して貫通させる。貫通した後は、留め具63が天井材40の天井裏面に掛かり、従って荷重が天井材40に掛かるようになる。天井4に照明灯具10が取り付けられると、1の照明灯具10及び1の電源アダプタ60の荷重は、1の天井材40に掛かることとなる。なお、留め具63は、バネ性を有する構造に限らず、天井材40に荷重が掛かる構造であればよい。
コネクタ付き配線50と電源アダプタ60のAC端子台61とが接続し、取付アダプタ14が電源アダプタ60に嵌め込まれて、照明灯具10及び電源アダプタ60が天井材40に取り付けられた状態が図12に示される。
なお、コネクタ付き配線50と電源アダプタ60を接続する作業と、電源アダプタ60と照明灯具10とを接続する作業と、はいずれが先であってもよい。また、電源アダプタ60を天井材40に取り付ける作業は、照明灯具10が電源アダプタ60に接続する前でも、接続した後であってもよい。
一実施例として、直径150mmの円形の開口に取り付けられる電源アダプタ60は、留め具63を除いて開口を通る貫通領域が直径148mmの円形であり、天井面と接する天井面側が直径160mmの円形である。また、電源アダプタの重量は0.45kgであり、縦450mm、横450mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの照明灯具10の重量と合わせて、天井材40に掛かる荷重は2.39kgとなった。
また、他の一実施例として、直径125mmの円形の開口に取り付けられる電源アダプタ60は、留め具63を除いて開口を通る貫通領域が直径123mmの円形であり、天井面と接する天井面側が直径130mmの円形である。また、電源アダプタの重量は0.37kgであり、縦150mm、横600mm、天井設置面から発光面までの高さが20mmの照明灯具10の重量と合わせて、天井材40に掛かる荷重は1.46kgとなった。
一つの目安として、天井材40に掛かる荷重が3.0kg未満の天井設置器具は、吊り材20による固定を要さずに天井に設置することができる。この点で、上述したいずれの実施例も、電源アダプタ60と照明灯具10とが天井材40に設置され、その合計荷重は3.0kg未満を満たす。
このように、照明灯具10の設置工事は、吊り材20による固定を有さないため、天井裏にあるコネクタ付き配線50を居室空間に引っ張り出せるだけの開口が設けられていればよい。言い換えると、照明灯具10を天井4に設置する作業をするには、腕が通せるサイズの開口があればよい。一方で、吊り材20で固定する作業が必要な照明灯具になると、腕が通る程度の大きさの開口だけを利用して、居室空間側から照明灯具を取り付けることは困難な作業になる。
また、照明灯具10の設置工事前に、予めコネクタ付き配線50を天井裏に用意しておくことで、電気工事士の資格を有する者でなくても照明灯具10と天井裏の配線とを電気的に接続する作業を行うことができる。従って、天井材40に穴を空けて天井の一部として設置する作業員が、そのまま照明灯具10の設置作業を行うことも可能となる。
このことはつまり、建築物1の建設において、照明灯具供給者が電材商社に照明灯具10を供給する代わりに天井設置作業者に供給し、天井設置作業者が照明灯具10の天井工事を行うことができるということである。
なお、天井4に設置された照明灯具10を取り外す場合は、図13に示すように、取外しアーム70を使用する。照明灯具10が天井4に取り付けられ、照明灯具10の緩衝部13と天井面とが接触している状態であっても、緩衝部13の設けられていない部分が取外しアーム挿入口Gとなり、ここに取外しアーム70を挿入することができる。取外しアーム挿入口Gに挿入した取外しアーム70を使って、照明灯具10は取り外すことができる。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態に係る建築物の建設プロセスについて説明する。第二実施形態に係る建築物1の建設プロセスは、ステップS6における照明灯具210の設置工程を除いて、第一実施形態に係る建築物1の建設プロセスと同様である。
図14及び図15は、照明灯具210の設置方法を説明するための図である。図14は、天井材40、電源アダプタ260、照明灯具210の接続関係を天井裏側から俯瞰した態様で示し、図15は、天井面側(照明設置面側)から俯瞰した態様で示している。また、図15では、電源アダプタ60とコネクタ付き配線50とが接続された状態を示している。
第一実施形態における照明灯具10の設置工事では、電源アダプタ60の留め具63が天井材40の開口に取り付けられたが、第二実施形態における照明灯具210の設置工事では、電源アダプタ260は天井裏に配置され、照明灯具210の留め具263が天井材40の開口に取り付けられる点で相違する。
照明灯具210の設置工事の開始時点では、図14に示すように、電源アダプタ260は天井裏に配置されていない。従って、居室空間に存在する作業員が、開口に腕を通し、開口から天井裏空間に設けられたコネクタ付き配線50を引っ張り居室空間内に引き込む。そして、居室空間においてコネクタ付き配線50のコネクタと電源アダプタ260のAC端子台261とを接続する。
居室空間に存在する作業員は、コネクタ付き配線50と接続した電源アダプタ260を、接続するコネクタ付き配線50が通った開口を介して天井裏に配置する。コネクタ付き配線50も天井裏に戻り、開口からは電源アダプタ260のDCハーネス264が居室空間に飛び出す形となる。照明灯具210は、DCハーネス264と接続し、電源の供給を受ける。また、照明灯具210は、取付アダプタ14に代えて留め具263を有し、留め具263を開口に通して天井材40の天井裏に掛けることで、天井4に取り付けられる。
なお、電源アダプタ260は、自ら通った開口の付近で、その開口を有する天井材40の天井裏に配置される。従って、1の照明灯具210を1の天井材40に取り付ける場合、その照明灯具210に接続する1の電源アダプタ260が、その1の天井材40に配置される。従って、第一実施形態と変わらず、1の電源アダプタ260及び1の照明灯具210が、1の天井材40に掛かる荷重となる。
なお、電源アダプタ260は、照明灯具210が取り付けられない天井材40に配置されるようにしてもよい。図15の例では、開口を有していない天井材40に配置されるように、電源アダプタ260を移動してもよい。こうすることで、1の天井材40に掛かる荷重を軽減することができる。例えば、図15で2枚の天井材40にそれぞれ配置されている計2つの電源アダプタ260を、開口を有していない1の天井材に配置してもよい。但し、天井材40までの距離が腕を伸ばしても届かないくらいに遠いと、電源アダプタ260を配置する作業は困難あるいは面倒になることも考えられる。
このように、第二実施形態においては、電源アダプタ260を天井裏に配置し、照明灯具210を天井材40の開口に取り付けることで、第一実施形態と比べて、留め具263によって天井材40に掛かる荷重が軽減される。第一実施形態では、留め具63は、電源アダプタ60の重量及び照明灯具10の重量を支えていたが、第二実施形態では、留め具263は、照明灯具210の重量を支えるのみでよく、電源アダプタ260の重量を支えずに済む。
以上、本発明に係る建築物、建築物の建設方法、及び、建設される建築物における照明灯具の設置方法等を、各実施形態に基づき説明してきたが、本発明の技術思想は、説明してきた具体的な実施形態に限定されるわけではない。実施形態において、本発明に係る照明灯具が居室に設置される例を説明したが、設置場所は居室に限らず、例えば、正面玄関やホールといった場所であってもよい。居室空間とは、居室に限定するものではなく、天井を境に天井裏と反対側に存在する空間を示してもよい。
また、各実施形態により開示された全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずとも、本発明は適用され得る。当業者、あるいは、発明の属する技術分野において、設計の自由度の範囲であれば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された構成要素の一部が記載されていないとしても、本発明の適用は可能であり、本明細書はこれを含むものであることを前提として発明を開示する。
各実施形態に記載の建築物あるいは照明灯具は、オフィスビル、高層ビル等の建築の分野で使用することができる。
1 建築物
2 床
3 壁
4 天井
5 窓
10、210 照明灯具
11 ベースプレート
12 カバー
13 緩衝部
14 取付アダプタ
15 基板
16 光源素子
17 発光素子
18 波長変換部材
19 封止部材
20、21 吊り材
30 斜め部材
40 天井材
50、51 配線
60、260 電源アダプタ
61、261 AC端子台
62、262 調光端子台
63、263 留め具
64、264 DCハーネス
70 取外しアーム
90 空調機器
80 躯体
100 監視カメラ
101 ダウンライト
102 非常用照明
103 煙感知器センサー
104、105 ベース照明

Claims (22)

  1. 建築物を建設する方法であって、
    天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
    複数の天井材を配して天井を形成する工程と、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、
    前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有する方法。
  2. 建築物を建設する方法であって、
    複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、
    形成された天井の下方にある居室空間において用意された前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有する方法。
  3. 建築物を建設する方法であって、
    複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
    前記コネクタ付き配線と、電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続し、前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタを天井裏空間に配置する工程と、
    形成された天井の下方にある居室空間において用意された前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具が有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有する方法。
  4. 前記コネクタ付き配線と前記電源アダプタとを前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとを電気的に接続する工程によって前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとが電気的に接続された後に、前記コネクタ付き配線と、前記電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記コネクタ付き配線と前記電源アダプタとを前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとを電気的に接続する工程によって前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとが電気的に接続される前に、前記コネクタ付き配線と、前記電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより電気的に接続する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程は、前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して前記電源アダプタを前記天井材に設置した後に、前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとを電気的に接続する工程によって前記電源アダプタと電気的に接続された前記軽量大型照明灯具を設置する請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程は、前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとを電気的に接続する工程によって前記軽量大型照明灯具と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する請求項1または2に記載の方法。
  8. 前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程は、前記軽量大型照明灯具と前記電源アダプタとを電気的に接続する工程によって前記軽量大型照明灯具と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具が有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する請求項3に記載の方法。
  9. 前記コネクタ付き配線と前記電源アダプタとを前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記居室空間に存在する作業員によって行われる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記コネクタ付き配線と前記電源アダプタとを前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程において、前記コネクタ付き配線のコネクタを前記居室空間に引き込み、前記居室空間においてコネクタと前記電源アダプタとを接続する請求1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程において、当該軽量大型照明灯具の荷重が、当該軽量大型照明灯具が設置された前記天井材に掛かるように設置する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記開口は、最大径が15cm以下である請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程において、
    設置面を形成するベースプレートと、設置面上に配される取付アダプタとを有する前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を前記取付アダプタにより接続する請求項1または2に記載の方法。
  14. 前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程において、
    天井との設置面側において周縁に緩衝部を有する前記軽量大型照明灯具を、前記緩衝部と前記天井材の天井面とを接触させて、前記天井材に設置する請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 周縁の一部に前記緩衝部が設けられていない領域であって、前記緩衝部が設けられていない領域を利用して前記天井材からの取り外しが可能な前記軽量大型照明灯具により実現される請求項14に記載の方法。
  16. 建築物を建設する方法であって、
    天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、感電防止接続器具付き配線を設ける工程と、
    複数の天井材を配して天井を形成する工程と、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記感電防止接続器具付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記感電防止接続器具付き配線の感電防止接続器具により接続する工程と、
    前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記感電防止接続器具付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記感電防止接続器具付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有する方法。
  17. 建築物を建設する方法であって、
    複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、感電防止接続器具付き配線を設ける工程と、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記感電防止接続器具付き配線と、電源アダプタとを、前記感電防止接続器具付き配線の感電防止接続器具により接続する工程と、
    形成された天井の下方にある居室空間において用意された前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記感電防止接続器具付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記感電防止接続器具付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有する方法。
  18. 建築物を建設する方法であって、
    複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、感電防止接続器具付き配線を設ける工程と、
    前記感電防止接続器具付き配線と、電源アダプタとを、前記感電防止接続器具付き配線の感電防止接続器具により接続し、前記感電防止接続器具付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタを天井裏空間に配置する工程と、
    前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記感電防止接続器具付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具が有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有する方法。
  19. 建築物を建設する方法であって、
    電気工事士の資格を有する者により実行される作業であって、
    天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
    電気工事士の資格を有さない者によって実行可能な作業であって、
    複数の天井材を配して天井を形成する工程、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程、
    前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程、及び
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有し、
    前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記コネクタ付き配線を設ける工程の後に行われることを特徴とする方法。
  20. 建築物を建設する方法であって、
    電気工事士の資格を有する者により実行される作業であって、
    複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
    電気工事士の資格を有さない者によって実行可能な作業であって、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記コネクタ付き配線と、電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程、
    形成された天井の下方にある居室空間において用意された前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程、及び
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有し、
    前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記コネクタ付き配線を設ける工程の後に行われることを特徴とする方法。
  21. 建築物を建設する方法であって、
    電気工事士の資格を有する者により実行される作業であって、
    複数の天井材を配して形成される天井の天井裏に配される複数の配線のうち、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として、コネクタ付き配線を設ける工程と、
    電気工事士の資格を有さない者によって実行可能な作業であって、
    前記コネクタ付き配線と、電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続し、前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタを天井裏空間に配置する工程と、
    前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程、及び
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具が有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、
    を有し、
    前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程は、前記コネクタ付き配線を設ける工程の後に行われることを特徴とする方法。
  22. 建築物の建設において、天井裏に配される複数の配線を設ける工程と、複数の天井材を吊り材で固定して天井を形成する工程と、が行われた後において、天井への設置に際して吊り材による固定を有さない照明灯具である軽量大型照明灯具を前記建築物に設置する方法であって、
    前記天井材に設けられた開口を介して、形成された天井の上方にある天井裏空間に配された前記複数の配線のうち前記軽量大型照明灯具と電気的に接続するための配線として設けられたコネクタ付き配線と、形成された天井の下方にある居室空間において用意された電源アダプタとを、前記コネクタ付き配線のコネクタにより接続する工程と、
    前記軽量大型照明灯具と、前記電源アダプタと、を電気的に接続する工程と、
    前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記軽量大型照明灯具または前記コネクタ付き配線と電気的に接続された前記電源アダプタが有する留め具を前記天井材の開口に通して、前記軽量大型照明灯具を前記天井材に設置する工程と、を有する方法。
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