〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物が、複数の建物ユニットを互いに組み合わされて構築されるユニット式建物となっている。そこでまず、建物ユニットの構成について図4を用いながら説明する。図4は、建物ユニット11の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、建物ユニット11は、直方体状の枠体からなるユニット本体12を備える。ユニット本体12は、矩形枠状(長方形枠状)に形成された天井フレーム13及び床フレーム14と、それら各フレーム13,14を上下に連結する複数(具体的には4つ)の柱15とを備える。
天井フレーム13は、その四辺に配された複数の天井大梁17と、その四隅に配された複数の天井仕口18とを備える。天井大梁17は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして配設されている。天井仕口18は角形鋼よりなり、その2つの側面にそれぞれ天井大梁17が連結されている。このようにして、天井フレーム13の外枠が構成されている。また、対向する長辺側の天井大梁17の間には、所定の間隔で複数の天井小梁19が架け渡されている。これらの天井小梁19はリップ溝形鋼よりなる。
床フレーム14は、その四辺に配された複数の床大梁21と、その四隅に配された複数の床仕口22とを備える。床大梁21は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして配設されている。床仕口22は角形鋼よりなり、その2つの側面にそれぞれ床大梁21が連結されている。このようにして、床フレーム14の外枠が構成されている。また、対向する長辺側の床大梁21の間には、所定の間隔で複数の床小梁23が架け渡されている。これらの床小梁23は角形鋼よりなり、天井小梁19と同じ間隔で配置されている。
柱15は、天井フレーム13と床フレーム14との間において四隅に配置されている。各柱15はいずれも角形鋼よりなり、その上端部が天井フレーム13の天井仕口18に連結され、その下端部が床フレーム14の床仕口22に連結されている。このように、天井フレーム13と床フレーム14とが複数の柱15により連結されることでユニット本体12が構成されている。
天井フレーム13の下面側には天井面材25が設けられている。天井面材25は、天井フレーム13の各天井小梁19によって支持されている。この場合、天井フレーム13と天井面材25とを含んでユニット天井部28が構成されている。また、床フレーム14の上面側には床面材26が設けられている。床面材26は、床フレーム14の各床小梁23によって支持されている。この場合、床フレーム14と床面材26とを含んでユニット床部29が構成されている。なお、図示は省略するが、ユニット本体12の側面には外壁面材や内壁面材が設けられている。
本実施形態の建物10では、建物ユニット11の天井部(以下、単にユニット天井部ともいう)に照明器具を接続するための引っ掛けシーリングが取り付けられている。以下においては、その引っ掛けシーリングが取り付けられたユニット天井部の構成を図1乃至図3に基づいて説明する。図1は、ユニット天井部に引っ掛けシーリングが取り付けられた状態を示す縦断面図である。図2は、ユニット天井部に引っ掛けシーリングが取り付けられた状態を天井下から見た図である。図3は、図2において引っ掛けシーリングから一部の部材(見切り部材46)を離間させて示した図である。なお、本実施形態では、引っ掛けシーリングに照明器具としてペンダントライト35が取り付けられており、図1ではそのペンダントライト35が二点鎖線(仮想線)で示されている。
図1に示すように、建物ユニット11の天井部には天井面材25が設けられている。天井面材25は、石膏ボードにより形成された天井下地板である。天井面材25の下面には天井クロス32が設けられている。天井クロス32は、塩化ビニル樹脂により形成された天井仕上げ材である。天井クロス32は、天井面材25の下面に接着剤により張り付けられている。この天井クロス32により天井面(天井仕上げ面)が形成されている。
天井面材25の上面にはバッキング材33が設けられている。バッキング材33は、合板等の板材により形成され、天井面材25の上面に重ねた状態で取り付けられている。バッキング材33は、天井面材25にペンダントライト35が吊り下げ支持されることに鑑み、天井面材25を補強する目的で設けられている。したがって、バッキング材33は、天井面材25においてペンダントライト35が取り付けられる部位にのみ設けられればよく、また天井面材25だけでペンダントライト35の荷重を耐えうる場合には不具備としてもよい。
図1乃至図3に示すように、天井面材25の下面には、引っ掛けシーリング36が設けられている。引っ掛けシーリング36は、角型引っ掛けシーリングよりなり、天井面材25にビス等で取り付けられている。引っ掛けシーリング36には、ペンダントライト35に設けられた端子(図示略)が接続される一対の接続孔37が設けられている。それらの接続孔37に上記の端子が接続されることで、ペンダントライト35が引っ掛けシーリング36に取り付けられるようになっている。そして、その取付状態でペンダントライト35は引っ掛けシーリング36に吊り下げ支持されるようになっている。なお、引っ掛けシーリング36が照明用機器に相当する。
引っ掛けシーリング36は、樹脂材料により略直方体状に形成された本体部36aを有している。本体部36aは、その上面における長手方向の中央部に上方へ突出する突出部36bを有する。この突出部36bは、所定の幅で本体部36aの(平面視)短手方向に沿って延びており、詳しくは同方向の全域に亘って延びている。
突出部36bは、その上面が天井面材25の下面に当接されており、その当接状態で引っ掛けシーリング36が天井面材25に取り付けられている。かかる引っ掛けシーリング36の取付状態において、突出部36bを挟んだ両側では、引っ掛けシーリング36の上面と天井面材25の下面との間に所定の隙間38が形成されている。なお、この隙間38が被差込部に相当する。
引っ掛けシーリング36には、先端にコネクタ39aを有する配線39(機器配線に相当)が接続されている。配線39は、天井面材25とバッキング材33とを貫通する配線孔41(挿入孔に相当)を通じて引っ掛けシーリング36より天井面材25(さらにはバッキング材33)上方の天井裏空間42に引き込まれている。なお、配線孔41は、天井面材25とバッキング材33とにそれぞれ形成された貫通孔25a,33aにより形成されている。天井裏空間42では、配線39のコネクタ39aが他の電気配線43のコネクタ43aと接続されている。これにより、各配線39,43が電気的に接続されている。
ここで、天井面材25の下面側に引っ掛けシーリング36が設けられている上述の構成にあって、天井クロス32は引っ掛けシーリング36との干渉を回避するようにして天井面材25の下面に張り付けられている。天井クロス32には、引っ掛けシーリング36との干渉を回避するために、その一部に欠損部32aが設けられている。欠損部32aは、引っ掛けシーリング36(詳しくは本体部36a)の外形形状(詳しくは平面視の外形形状)よりもひと周り大きい孔部、詳しくは角孔により形成されている。引っ掛けシーリング36は、その全体がこの欠損部32aに位置するように配置され、その配置状態で天井面材25に取り付けられている。より詳しくは、引っ掛けシーリング36は、欠損部32aにおいてその中央部に位置するように配置されている。このため、天井下から見ると、引っ掛けシーリング36(本体部36a)と天井クロス32との間には隙間45が生じており、その隙間45が引っ掛けシーリング36の周縁部全域に亘って存在している(図3参照)。
ここで、上記の隙間45が天井下から見えると、天井部の外観が損なわれるおそれがある。そこで本実施形態では、この点に鑑み、上記の隙間45を下方から覆う見切り部材46を設けている。見切り部材46は、樹脂製又は金属製の平板により略円形状に形成されている。見切り部材46は、その直径が欠損部32aの対角線長さよりも大きくなっている。見切り部材46は、厚み方向に貫通する切り欠き状の孔部46aを有している。この孔部46aは、見切り部材46の中心付近から半径方向に延びており、同見切り部材46の端縁部にて開放されている。
見切り部材46において孔部46aを挟んだ両側は一対の差込部46bとなっている。これらの差込部46bはそれぞれ引っ掛けシーリング36と天井面材25との間の隙間38に差し込まれる部位となっている。見切り部材46は、これらの差込部46bが突出部36bを挟んだ両側の各隙間38に差し込まれることにより取り付けられている。かかる見切り部材46の取付状態では、見切り部材46における孔部46aの奥側端面46cが突出部36bの端面に当接している。この場合、その当接により、見切り部材46の上記差込方向への位置決めがされている。また、見切り部材46の取付状態では、各差込部46bが突出部36bに当接することで、見切り部材46の上記差込方向と交差する方向(詳しくは直交する方向)への位置決めがされている。
上記のように取り付けられた見切り部材46により、引っ掛けシーリング36(本体部36a)と天井クロス32との間に生じた上記の隙間45は下方から覆い隠されている。詳しくは、上記隙間45のほぼ全域(大部分)が見切り部材46により覆い隠されており、より詳しくは上記隙間45のうち孔部46aを通じて露出した部分を除く全域が覆い隠されている。また、見切り部材46において、上記隙間45よりも周縁側(外周側)は天井クロス32の下面に重ねられた重ね部46dとなっている。
次に、引っ掛けシーリング36が取り付けられる上記天井部を構築する際の作業手順について説明する。なお、図5は、かかる作業手順を説明するための図である。
まずユニット製造工場では、建物10を構成する各建物ユニット11を製造する。建物ユニット11を製造するに際してはまず、ユニット天井部28を製造する天井製造工程を行う。天井製造工程では、まず各天井大梁17と各天井仕口18と各天井小梁19とを溶接により接合することで天井フレーム13を形成するフレーム形成工程を行い、その後、その形成された天井フレーム13に天井面材25を取り付ける天井面材取付工程を行う。
天井面材取付工程では、図5(a)に示すように、天井フレーム13を上下に反転させた状態で、当該天井フレーム13(詳しくは天井小梁19)にその上方から天井面材25をビス等で固定する。これにより、ユニット天井部28が製造される。なお、天井面材取付工程が下地板取付工程に相当する。また、バッキング材33は、例えば天井面材取付工程の前に予め天井面材25にビス等で固定しておく。
次に、図5(b)に示すように、天井面材25(及びバッキング材33)に配線孔41を加工形成する孔開け工程を行う。この工程では、例えば専用の孔開け装置を用いて配線孔41を加工形成する。なお、この工程では、ユニット天井部28が上下に反転されたまま、換言すると天井面材25が上方を向いた状態で孔開けが行われる。
次に、図5(c)に示すように、天井面材25に引っ掛けシーリング36を取り付けるシーリング取付工程を行う。この工程では、まず天井面材25に形成された上記配線孔41に上方から引っ掛けシーリング36の配線39を挿入し、そしてその挿入状態で引っ掛けシーリング36を天井面材25に上方からビス等で取り付ける。これにより、配線39が天井面材25(ユニット天井部28)よりも下方に導かれた状態で引っ掛けシーリング36が天井面材25に取り付けられる。なお、この工程も、上記孔開け工程と同様、ユニット天井部28が上下に反転されたまま行われる。また、このシーリング取付工程が機器取付工程に相当する。
次に、引っ掛けシーリング36が取り付けられたユニット天井部28を上下に反転する反転工程を行う。この工程では、専用の搬送装置を用いてユニット天井部28を上下に反転させる。これにより、ユニット天井部28は天井面材25が下側を向いた状態となる。
次に、図5(d)に示すように、引っ掛けシーリング36の配線39を他の電気配線43と接続する結線工程を行う。この工程では、電気配線43をユニット天井部28(換言すると天井面材25)の上方に配設するとともに、その電気配線43のコネクタ43aと配線39のコネクタ39aとを接続する。以上が、ユニット天井部28側における一連の工程である。
次に、ユニット床部29を製造する床製造工程を行う。床製造工程では、まず各床大梁21と各床仕口22と各床小梁23とを溶接により接合することで床フレーム14を形成する工程を行い、その後、その形成された床フレーム14(詳しくは床小梁23)に床面材26を取り付ける工程を行う。これにより、ユニット床部29が製造される。なお、床製造工程は、必ずしもユニット天井部28側の工程の後に行う必要はなく、ユニット天井部28側の工程の前に行ってもよい。また、床製造工程をユニット天井部28側の工程と並行して行ってもよい。
ユニット天井部28側の一連の工程(換言すると結線工程)と、床製造工程とを行った後、ユニット天井部28の天井フレーム13とユニット床部29の床フレーム14とを柱15により連結する柱連結工程を行う。この工程では、天井フレーム13の天井仕口18に柱15の上端部を溶接により接合するとともに、床フレーム14の床仕口22に柱15の下端部を溶接により接合する。これにより、天井フレーム13と床フレーム14とが柱15により連結されてユニット本体12が形成され、ひいては建物ユニット11が製造される。
以上が、ユニット製造工場における一連の工程である。建物ユニット11を製造後、製造した各建物ユニット11をトラック等で施工現場へと搬送する。
施工現場ではまず、製造工場から搬送される各建物ユニット11を所定位置に設置するユニット設置工程を行う。
次に、建物ユニット11の天井部において天井面材25の下面に天井クロス32を張り付けるクロス張付工程を行う。この工程では、天井クロス32を引っ掛けシーリング36との干渉を回避するように天井面材25に張り付ける。具体的には、まず天井クロス32に欠損部32aをカッタ等を用いて形成し、その後、その欠損部32a(角孔)の内側に引っ掛けシーリング36を通しながら天井クロス32を張り付ける。これにより、天井下から見ると、引っ掛けシーリング36と天井クロス32との間には所定の隙間45が発生することとなる。なお、このクロス張付工程が天井仕上げ工程に相当する。
次に、上記の隙間45を下方から覆うように見切り部材46を取り付ける見切り工程を行う(図3等を参照)。この工程では、見切り部材46の各差込部46bを引っ掛けシーリング36と天井面材25との間の隙間38に差し込むことで見切り部材46を取り付ける。具体的には、見切り部材46の孔部46aの奥側端面46cが引っ掛けシーリング36(本体部36a)の突出部36bに当接するまで各差込部46bを差し込む。これにより、見切り部材46により上記の隙間45が覆い隠された状態となる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
シーリング取付工程とクロス張付工程とを行った後、天井下から見て引っ掛けシーリング36と天井クロス32との間に生じている隙間45をその下方から見切り部材46により覆う見切り工程を行った。この場合、引っ掛けシーリング36と天井クロス32とが互いに干渉しないようにそれら両部材32,36を取り付けるようにしても、それによって生じうる隙間45が見切り部材46により覆われるため、天井部の外観が損なわれるのを抑制することができる。
また、引っ掛けシーリング36と天井クロス32との間に隙間45が生じることが許容される上述の構成では、引っ掛けシーリング36の取付作業(シーリング取付工程)と天井クロス32の張り付け作業(クロス張付工程)とのうちいずれの作業を先に行っても各部材32,36を取り付けることが可能である。つまり、この場合、シーリング取付工程とクロス張付工程との作業順序を任意とすることができるため、例えばクロス張付工程→シーリング取付工程の順に作業を行わざるを得なかった従来の場合と異なり、先の工程の遅れに伴い後の工程の日程を再調整する等の面倒な事態が発生するのを回避することができる。そのため、かかる日程調整に伴う負担を軽減させることができる。
シーリング取付工程とクロス張付工程との作業順序を任意とできる上述の構成では、先にシーリング取付工程を行い、その後クロス張付工程を行うことが可能である。そこで、このような点に鑑み、上記の実施形態では、ユニット式建物10を構成する建物ユニット11をユニット製造工場で製造する際、シーリング取付工程を行い、そして製造した建物ユニット11を施工現場へ搬送した後、クロス張付工程を行うこととした。施工現場で建物ユニット11の天井下から天井面材25に引っ掛けシーリング36を取り付ける場合は、上方を向きながらの無理な体勢での作業となるため、作業負担が大きくなることが考えられる。その点、製造工場でシーリング取付工程を行うようにした上述の構成では、施工現場で引っ掛けシーリング36の取付作業をしなくて済むため、現場における作業負担の軽減を図ることができる。
シーリング取付工程を天井製造工程と柱連結工程との間に行うようにし、同取付工程では、ユニット天井部28を上下に反転させて天井面材25を上方に向けた状態で引っ掛けシーリング36を天井面材25に上方から取り付けるようにした。建物ユニット11が製造された後、同ユニット11の天井下から天井面材25に引っ掛けシーリング36を取り付ける場合には、上方を見上げながらの取付作業となるため作業負担が大きくなることが想定される。その点、上述のような構成とすれば、上方を見上げながらの作業をしなくて済むため、ユニット製造工場にて引っ掛けシーリング36を取り付けるにあたり作業負担の軽減を図ることができる。
また、ユニット製造工場でシーリング取付工程を行うようにしたことで、電気設備資格を有する電気工事業者に施工現場に出向いてもらう必要がなくなる。そのため、電気工事業者とクロス張付業者との間の日程調整(工期調整)が不要となり、その結果施工業者間の日程調整に伴う負担を大きく軽減させることが可能となる。
上下に反転された天井フレーム13にその上方から天井面材25を取り付ける天井面材取付工程を行い、その後、上下反転状態のまま上向き状態にある天井面材25に配線孔41を形成する孔開け工程を行った。そして、その後、同じく上下反転状態のままで配線孔41に引っ掛けシーリング36の配線39を上方から挿入し、その挿入状態で引っ掛けシーリング36を天井面材25に取り付けるシーリング取付工程を行った。この場合、天井面材取付工程、孔開け工程及びシーリング取付工程の一連の工程がユニット天井部28を上下に反転させたまま連続して行われるため、作業効率の向上を図ることができる。
シーリング取付工程の後、ユニット天井部28を上下に反転させる反転工程を行い、その後、引っ掛けシーリング36の配線39をユニット天井部28の上方で電気配線43に接続する結線工程を行った。この場合、ユニット製造工場において引っ掛けシーリング36の取り付けだけでなく、結線(配線接続)も行われるため、施工現場における作業負担をより一層軽減させることができる。
見切り工程では、引っ掛けシーリング36の上面の一部と天井面材25の下面との間に形成された隙間38に見切り部材46の差込部46bを差し込むことで、当該見切り部材46を取り付けるようにした。この場合、ビス等の取付部材を用いることなく比較的簡単に見切り部材46を取り付けることができる。また、その取り付けた見切り部材46により、天井下から見て引っ掛けシーリング36と天井クロス32との間に生じている隙間45を下方から覆うとともに、見切り部材46において当該隙間45よりも周縁側を天井クロス32の下面に重ねられる重ね部46dとした。この場合、その重ね部46dにより天井クロス32の当該隙間45からの剥がれを抑制することもできる。
見切り工程では、見切り部材46の孔部46aの奥側端面46cが引っ掛けシーリング36の突出部36bに当接するまで各差込部46bを隙間38に差し込むことで見切り部材46を取り付けるようにした。そして、その取り付けにより、見切り部材46の差し込み方向への位置決めを行うようにした。また、見切り部材46の取付状態では、各差込部46bが突出部36bに当接することで、見切り部材46の差し込み方向と交差する方向への位置決めがされるようにした。この場合、差込部46bを隙間38に差し込むことで見切り部材46を取り付けるようにした上述の構成にあって、見切り部材46を比較的容易に所定位置に取り付ける(配設する)ことが可能となる。
〔第2の実施形態〕
上記の実施形態では、天井面材25に照明用機器として引っ掛けシーリング36が取り付けられていたが、本実施形態では、照明用機器としてダウンライトが取り付けられている。以下、かかる本実施形態の構成について図6及び図7を用いながら説明する。なお、図6は、ユニット天井部にダウンライトが取り付けられた状態を示す縦断面図である。また、図7は、ユニット天井部にダウンライトが取り付けられた状態を天井下から見た図である。
図6及び図7に示すように、建物ユニット11の天井部には、上記実施形態と同様に、石膏ボードからなる天井面材51が設けられており、天井面材51の下面には塩化ビニル樹脂からなる天井クロス52が貼り付けられている。この場合、天井面材51が天井下地板に相当し、天井クロス52が天井仕上げ材に相当する。なお、本実施形態では、上記実施形態とは異なり、天井面材51上にバックアップ材が設けられていない。
また、本実施形態では、建物ユニット11におけるユニット本体12の構成が上記第1の実施形態と同じ構成となっている。そのため、ユニット本体12と、そのユニット本体12を構成する各構成部材とについては、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
天井面材51には、ダウンライト53が挿入される挿入孔51aが形成されている。ダウンライト53は、この挿入孔51aに下方から挿入された状態で天井面材51に取り付けられている。ダウンライト53は、その内部に電球55を収容するハウジング部56(本体部)を有している。ハウジング部56は、有底の円筒形状に形成され、その開口を下方に向けて配置されている。ハウジング部56は、その下端部に外周側に延出するフランジ部56aを有している。ハウジング部56は、天井面材51の挿入孔51aに下方から挿入され、その挿入状態でフランジ部56aが天井面材51の下面に当接している。そして、その当接状態で、ハウジング部56は天井面材51に取り付けられている。なお、ハウジング部56は、専用の取付金具等を用いて天井面材51に取り付けられている。
ダウンライト53は、その内部に電球55を取り付けるためのソケット57を有している。ソケット57には配線58(機器配線に相当)が接続されており、その配線58の先端部にはコネクタ58aが設けられている。コネクタ58aは、天井裏空間42において他の電気配線61のコネクタ61aと接続されている。これにより、各配線58,61が電気的に接続されている。なお、図6において二点鎖線で示されているように、ハウジング部56の下端開口に光拡散用のカバー59が設けられていてもよい。
天井クロス52はダウンライト53のハウジング部56(詳しくはフランジ部56a)との干渉を回避するようにして天井面材51の下面に張り付けられている。天井クロス52には、フランジ部56aとの干渉を回避するために、その一部に欠損部52aが設けられている。欠損部52aは、フランジ部56aの外周形状よりもひと周り大きい円形の孔部により形成されている。ハウジング部56のフランジ部56aは、その全体がこの欠損部52aに位置するように配置され、その配置状態でハウジング部56が天井面材51に取り付けられている。より詳しくは、フランジ部56aは、欠損部52aにおいてその中央部に位置するように配置されている。このため、天井下から見ると、フランジ部56aと天井クロス52との間には隙間62が生じており、その隙間62がフランジ部56aの外周全域に亘って存在している。
天井面材51の下面側には、上記の隙間62を下方から覆う見切り部材63が設けられている。見切り部材63は、樹脂製又は金属製のワッシャからなる。つまり、見切り部材63は円板状に形成され、その中央部に円形の孔部を有している。見切り部材63は、その外径が天井クロス52の欠損部52a(円形孔部)の孔径よりも大きく、かつ、その内径がフランジ部56aの外径よりも小さくされている。
見切り部材63は、フランジ部56aの下面側においてフランジ部56a(ひいてはダウンライト53)と同軸上に配設されており、その配設状態にてフランジ部56aに接着等により取り付けられている。この場合、見切り部材63は、フランジ部56aの下面と天井クロス52の下面側とに跨がって配置され、それにより、フランジ部56aと天井クロス52との間の上記隙間62が見切り部材63により下方から覆い隠された状態となっている。より詳しくは、上記隙間62の全域が見切り部材63により覆い隠された状態となっている。
なお、見切り部材63は、必ずしも接着によりフランジ部56aに取り付ける必要はなく、ビス等を用いて取り付ける等、他の方法で取り付けてもよい。また、見切り部材63を天井面材51に取り付けるようにしてもよい。
次に、ダウンライト53が取り付けられる上記天井部を構築する際の作業手順について説明する。なお、図8はかかる作業手順を説明するための図である。
まずユニット製造工場では、建物10を構成する各建物ユニット11を製造する。建物ユニット11の製造に際しては、上記第1の実施形態と同様、まずユニット天井部65を製造する天井製造工程を行う。この天井製造工程では、上記第1の実施形態と同様、フレーム形成工程と天井面材取付工程とをそれぞれ行う。
天井面材取付工程(天井製造工程)の後、ユニット天井部65が上下に反転されたままで(換言すると天井面材51が上向き状態のままで)、図8(a)に示すように、天井面材51に挿入孔51aを形成する孔開け工程を行う。
次に、図8(b)に示すように、天井面材51にダウンライト53を取り付けるダウンライト取付工程を行う。この工程では、ダウンライト53のハウジング部56を挿入孔51aにその上方から挿入し、その挿入状態でダウンライト53を天井面材51に取り付ける。また、ハウジング部56を挿入孔51aに挿入する際は、その挿入に先行させて配線58を挿入孔51aに挿入する。したがって、ダウンライト53が天井面材51に取り付けられた状態では配線58が天井面材51(ユニット天井部65)の下方に導かれている。なお、このダウンライト取付工程が機器取付工程に相当する。
次に、ダウンライト53が取り付けられたユニット天井部65を上下に反転させる反転工程を行う。この工程により、ユニット天井部65は天井面材51が下を向いた状態となる。
次に、図8(c)に示すように、ダウンライト53の配線58を他の電気配線61と接続する結線工程を行う。この工程では、電気配線61をユニット天井部65(天井面材51)の上方に配設するとともに、その電気配線61のコネクタ61aと配線58のコネクタ58aとを接続する。以上が、ユニット天井部65側における一連の工程である。
次に、上記第1の実施形態と同様に、床製造工程を行う。なお、床製造工程は、ユニット天井部65側の工程の前に行ってもよく、またユニット天井部65側の工程と並行して行ってもよい。
ユニット天井部65側の一連の工程(結線工程)と、床製造工程とを行った後、上記第1の実施形態と同様に、柱連結工程を行う、これにより、ユニット天井部65の天井フレーム13とユニット床部29の床フレーム14とが柱15により連結されてユニット本体12が形成され、ひいては建物ユニット11が製造される。
以上が、ユニット製造工場における一連の工程である。建物ユニット11を製造後、製造した各建物ユニット11をトラック等で施工現場へと搬送する。
施工現場ではまず、製造工場から搬送される各建物ユニット11を所定位置に設置するユニット設置工程を行う。
次に、建物ユニット11の天井部において天井面材51の下面に天井クロス52を張り付けるクロス張付工程を行う。この工程では、天井クロス52をダウンライト53のハウジング部56(詳しくはフランジ部56a)との干渉を回避するように天井面材51に張り付ける。具体的には、まず天井クロス52に欠損部52aをカッタ等を用いて形成し、その後、その欠損部52a(円形孔部)の内側にフランジ部56aが配置されるように天井クロス52を張り付ける。これにより、天井下から見ると、フランジ部56aと天井クロス52との間には所定の隙間62が発生することとなる。なお、このクロス張付工程が天井仕上げ工程に相当する。
次に、上記の隙間62を下方から覆うように見切り部材63を取り付ける見切り工程を行う。この工程により、上記の隙間62が見切り部材63により下方から覆い隠された状態となる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
ダウンライト取付工程とクロス張付工程とを行った後、天井下から見てダウンライト53のハウジング部56(詳しくはフランジ部56a)と天井クロス52との間に生じている隙間62をその下方から見切り部材63により覆う見切り工程を行った。この場合、フランジ部56aと天井クロス52とが互いに干渉しないようにダウンライト53と天井クロス52とを取り付けるようにしても、それによって生じうる隙間62が見切り部材63により覆われるため、天井部の外観が損なわれるのを抑制することができる。
また、ダウンライト53と天井クロス52とを互いに干渉しないように取り付けるようにした上述の構成では、ダウンライト53の取付作業(ダウンライト取付工程)と天井クロス52の張り付け作業(クロス張付工程)とのうちいずれの作業を先に行うようにしても各部材52,53を取り付けることが可能である。つまり、この場合、ダウンライト取付工程とクロス張付工程との作業順序を任意とすることができるため、例えばクロス張付工程→ダウンライト取付工程の順に作業を行わざるを得なかった従来の場合と異なり、先の工程の遅れに伴い後の工程の日程を再調整する等の面倒な事態が発生するのを回避することができる。そのため、かかる日程調整に伴う負担を軽減させることができる。
ダウンライト取付工程とクロス張付工程との作業順序を任意とできる上述の構成では、先にダウンライト取付工程を行い、その後クロス張付工程を行うことが可能である。そこで、このような点に鑑み、上記の実施形態では、ユニット式建物10を構成する建物ユニット11をユニット製造工場で製造する際にダウンライト取付工程を行い、そして製造した建物ユニット11を施工現場へ搬送した後、クロス張付工程を行うこととした。施工現場で建物ユニット11の天井下から天井面材51にダウンライト53を取り付ける場合は、上方を向きながらの無理な体勢での作業となるため、作業負担が大きくなることが考えられる。その点、製造工場でダウンライト取付工程を行うようにした上述の構成では、施工現場でダウンライト53の取付作業をしなくて済むため、現場における作業負担の軽減を図ることができる。
また、ユニット製造工場でダウンライト取付工程を行うようにしたことで、電気設備資格を有する電気工事業者に施工現場に出向いてもらう必要がなくなる。そのため、電気工事業者とクロス張付業者との間の日程調整(工期調整)が不要となり、その結果施工業者間の日程調整に伴う負担を大きく軽減させることが可能となる。
ダウンライト取付工程を天井製造工程と柱連結工程との間に行うようにし、同取付工程では、ユニット天井部65を上下に反転させて天井面材51を上方に向けた状態でダウンライト53を天井面材51に上方から取り付けるようにした。建物ユニット11が製造された後、同ユニット11の天井下から天井面材51にダウンライト53を取り付ける場合には、上方を見上げながらの取付作業となるため作業負担が大きくなることが想定される。その点、上述のような構成とすれば、上方を見上げながらの作業をしなくて済むため、ユニット製造工場にてダウンライト53を取り付けるにあたり作業負担の軽減を図ることができる。
上下に反転された天井フレーム13にその上方から天井面材51を取り付ける天井面材取付工程を行い、その後、上下反転状態のまま上向き状態にある天井面材51に挿入孔51aを形成する孔開け工程を行った。そして、その後、同じく上下反転状態のままで挿入孔51aにダウンライト53(ハウジング部56)を上方から挿入し、その挿入状態でダウンライト53を天井面材51に取り付けるダウンライト取付工程を行った。この場合、天井面材取付工程、孔開け工程及びダウンライト取付工程の一連の工程がユニット天井部65を上下に反転させたまま連続して行われるため、作業効率の向上を図ることができる。
ダウンライト取付工程の後、ユニット天井部65を上下に反転させる反転工程を行い、その後、ダウンライト53の配線58をユニット天井部65の上方で電気配線61に接続する結線工程を行った。この場合、ユニット製造工場においてダウンライト53の取り付けだけでなく、結線(配線接続)も行われるため、施工現場における作業負担をより一層軽減させることができる。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記第1の実施形態では、引っ掛けシーリング36に突出部36bを一体形成したが、突出部を引っ掛けシーリング36と別体で設けてもよい。例えば、所定の厚みを有する板材を引っ掛けシーリング36(本体部36a)の上面に接着等で固定することで、その板材により突出部を形成するようにしてもよい。その場合、引っ掛けシーリング36として、直方体形状の市販品を利用できる等のメリットを得ることができる。
(2)上記第1の実施形態において、見切り部材46の構成を変更してもよい。例えば、上記第1の実施形態では、見切り部材46に開放部を有する切り欠き状の孔部46aを形成したが、これに代えて、開放部を有さない、引っ掛けシーリング36と同じ大きさでかつ同じ形状の矩形孔を形成してもよい。その場合、見切り工程では、見切り部材を、上記の矩形孔に引っ掛けシーリング36を通しながら天井面材25下にビス等で取り付けることになる。かかる構成では、天井下から見て引っ掛けシーリング36と天井クロス32との間に生じる隙間45の全域を見切り部材により下方から覆うことができるため、天井部の外観が損なわれるのをより一層抑制することが可能となる。
また、上記第1の実施形態では、見切り部材46を円形状としたが、矩形形状等他の形状としてもよい。
(3)上記第1の実施形態では、引っ掛けシーリング36が角型引っ掛けシーリングとされていたが、丸型引っ掛けシーリング等、他の引っ掛けシーリングであってもよい。その場合でも、本発明の製造方法を適用することが可能である。また、引っ掛けシーリングに接続される照明器具は必ずしもペンダントライト35である必要はなく、シーリングライト等その他の照明器具であってもよい。
(4)上記第1の実施形態では、シーリング取付工程を天井製造工程と柱連結工程との間に行ったが、これを変更して、柱連結工程の後に行ってもよい。すなわち、柱連結工程によりユニット本体12(ひいては建物ユニット11)が製造された後、シーリング取付工程を行ってもよい。その場合にも、シーリング取付工程がユニット製造工場にて行われるため、施工現場にて上を向きながら無理な体勢で引っ掛けシーリング36を取り付ける作業をしなくても済む。そのため、この場合にも、施工現場における作業負担の軽減を図ることができる。
また、上記のように、柱連結工程の後、建物ユニット11の状態でシーリング取付工程を行う場合には、予め建物ユニット11の天井裏空間42に電気配線を配設しておき、その電気配線を配線孔41を通じて天井面材25下に垂下させておくのが望ましい。そして、シーリング取付工程に際しては、まずその電気配線を引っ掛けシーリング36に接続し、それから同シーリング36を天井面材25に取り付けるようにする。なお、このような手順で引っ掛けシーリング36の取り付けを行う場合には、引っ掛けシーリング36に予めコネクタ39a付きの配線39を取り付けておく必要はない。
また、上述した場合と同様に、上記第2の実施形態において、ダウンライト取付工程を柱連結工程の後に行うようにしてもよい。
(5)上記第1の実施形態では、シーリング取付工程をユニット製造工場にて行ったが、これを変更して、施工現場で行ってもよい。つまり、シーリング取付工程とクロス貼付工程との双方を施工現場で行ってもよい。その場合にも、シーリング取付工程とクロス張付工程との作業順序を任意とできるため、クロス張付工程→シーリング取付工程の順に作業を行わざるを得なかった従来の場合と異なり、先の工程の遅れに伴い後の工程の日程を再調整する等の面倒な事態が発生するのを回避できる。そのため、施工業者間の日程調整に伴う負担を軽減させることができる。
また、この場合、シーリング取付工程とクロス取付工程とのうちいずれの工程を先に行うようにしてもよいし、また各工程を同時並行的に行うようにしてもよい。
また、これと同様に、上記第2の実施形態において、ダウンライト取付工程を施工現場にて行うようにしてもよい。すなわち、ダウンライト取付工程とクロス張付工程との双方を施工現場で行うようにしてもよい。
(6)上記各実施形態では、ユニット式建物に本発明の製造方法を適用した場合について説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。他の構造の建物では、施工現場で機器取付工程と天井仕上げ工程との双方を行うことが考えられるが、その場合においても各施工業者間の日程調整に伴う負担を軽減させることが可能となる。
また、製造工場において予め天井面材(天井下地板)と天井フレームとを含む天井パネルを製造し、その製造した天井パネルを施工現場にて建物側に組み付ける構成では、製造工場で天井パネルを製造する際に機器取付工程を行うようにしてもよい。そうすれば、施工現場にて照明用機器を天井下から無理な体勢で取り付ける作業をしなくて済むため、施工現場における作業負荷の軽減を図ることができる。