以下、図面を参照しながら本発明の移植機の一実施の形態の苗移植機についてその構成と動作を説明する。
なお、以下の説明では、操縦ハンドルを配置した側を後とし、その反対側である、エンジンを配置した側を前とする。また、機体後部に立って機体前側に向かって操縦ハンドルを操作する作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
図1は、本発明の移植機の一例として、育苗した野菜の苗、特にキャベツ等の葉菜の苗を移植する苗移植機1の概略側面図であり、図2は、図1に示す苗移植機1の概略平面図である。
本実施の形態の苗移植機1は、図1、図2に示す様に、(1)走行車体2の前部に配置されたエンジン3と、(2)その後に配置された、伝動機構(図示省略)を含むトランスミッションケース4と、(3)走行車体2のメインフレーム2aの前端側の左右両側から前方且つ斜め下方に突き出した支持アーム8aの先端部に回動自在に支持された左右一対の前輪8L、8Rと、(4)走行車体2の後側に配置された、苗を圃場に受け付ける植付装置20と、(5)植付装置20に苗を供給する供給装置30と、(6)走行車体2の後方に突き出した操縦ハンドル5と、(7)エンジン3及びトランスミッションケース4等を覆うボンネット6の上方であってトランスミッションケース4の真上に配置された、供給装置30へ種芋を補給する際に作業者が着座可能に設けられた作業座席7と、(8)走行車体2への乗り降りの際や、作業座席7に座った際に作業者が足を置くための、作業座席7と供給装置30との前後間に設けられた床面としてフロアステップ10と、(9)トランスミッションケース4の左右両側において入力軸41を中心として回動可能に取り付けられると共に、エンジン3からの動力を入力軸41から受け付けて内蔵されたチェーン伝動機構(図示省略)により出力軸42に伝達して左右一対の後輪9L、9Rを回動させる左右一対の走行伝動ケース40L、40Rと、(10)左右一対の走行伝動ケース40L、40Rを入力軸41を中心として回動させることにより、左右一対の後輪9L、9Rを均等に昇降させる昇降シリンダ50と、(11)左右一対の走行伝動ケース40L、40Rの内、左側の走行伝動ケース40Lについて、入力軸41を中心として回動させることにより、左側の後輪9Lのみを昇降させるローリングシリンダ60と、(12)昇降シリンダ50及びローリングシリンダ60の伸縮動作を左右一対の走行伝動ケース40L、40Rに伝達するための伸縮動作伝動機構100と、を備えている。
上記構成により、本実施の形態の苗移植機1によれば、作業者が操縦ハンドル5を操作し、左右一対の前輪8L、8R、及び後輪9L、9Rを圃場の畝溝U1に案内して、走行車体2を畝U上方で前進走行させることにより、後述する左右一対の植付ホッパを昇降リンクにより上下に往復動作させながら畝Uに苗を植え付けることが出来る。
なお、本実施の形態の走行車体2は、本発明の走行車体の一例にあたり、本実施の形態のエンジン3とトランスミッションケース4は、本発明に動力装置の一例にあたる。また、本実施の形態の植付装置20は、本発明の植付装置の一例にあたり、本実施の形態の供給装置30は、本発明の供給装置の一例にあたる。また、本実施の形態の操縦ハンドル5は、本発明の操縦ハンドルの一例にあたり、本実施の形態の作業座先7は、本発明の作業座席の一例にあたる。
また、本実施の形態の入力軸41は、本発明の入力軸の一例にあたり、本実施の形態の出力軸42は、本発明の出力軸の一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の走行伝動ケース40L、40Rは、本発明の左右一対の走行伝動ケースの一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の前輪8L、8Rは、本発明の左右一対の接地輪の一例にあたり、本実施の形態の左右一対の後輪9L、9Rは、本発明の左右一対の走行輪の一例にあたる。
また、本実施の形態の昇降シリンダ50は、本発明の昇降シリンダの一例にあたり、本実施の形態のローリングシリンダ60は、本発明のローリングアクチュエータの一例にあたる。また、本実施の形態のフロアステップ10は、本発明の床面の一例にあたる。また、本実施の形態の伸縮動作伝動機構100は、本発明の左右の昇降伝動機構の一例にあたる。
次に、主として伸縮動作伝動機構100について、図面を用いて更に説明する。
図3は、昇降シリンダ50、ローリングシリンダ60、及び伸縮動作伝動機構100等の要部を示す斜視図であり、図4は、昇降シリンダ50、ローリングシリンダ60、及び伸縮動作伝動機構100等の要部を示す左側面図であり、図5は、昇降シリンダ50、ローリングシリンダ60、及び伸縮動作伝動機構100等の要部を示す平面図である。
なお、図3、図4では、構成の理解を容易にするために、左右一対のラック151L、151Rの図示を省略した。図6、図7についても同様である。
昇降シリンダ50は、昇降シリンダ本体51と、昇降シリンダ本体51から伸縮可能に設けられた昇降ピストンロッド52とを有している。そして、昇降シリンダ本体51の下端部51aは、フロアステップ10の下方で、且つメインフレーム2aに固定された左右一対のシリンダ支持プレート53L、53Rの平面視で左右幅方向の略中央位置において、軸芯53aを中心として回動可能に連結されている(図1、図3〜図5参照)。また、昇降ピストンロッド52の先端部52aは、作業座席7の底面7aの左右幅方向の略中央位置の直下にあって、ボンネット6内に配置されている(図1参照)。
この様に、昇降シリンダ50の昇降ピストンロッド52側を作業座席7の底面7aの直下に配置したことにより、フロアステップ10の位置を従来の構成に比べて下方に下げることが出来るので、作業者が走行車体2に乗り降りし易くなり、作業能率が向上する。
また、ローリングシリンダ60は、ローリングシリンダ本体61と、ローリングシリンダ本体61から伸縮可能に設けられたローリングピストンロッド62とを有している。そして、ローリングシリンダ本体61の下端部61aは、トランスミッションケース4の左外壁面に対して、支持ピン63により軸芯63a(図4参照)を中心として回動可能に連結されると共に、その先端側が後方で斜め上方に向けられている(図3〜図5参照)。
本実施の形態の伸縮動作伝動機構100は、左側の走行伝動ケース40Lを昇降させるための左側伸縮動作伝動機構100Lと、右側の走行伝動ケース40Rを昇降させるための右側伸縮動作伝動機構100Rとから構成されている。
まず、左側伸縮動作伝動機構100Lは、図3〜図5に示す様に、(1)昇降ピストンロッド52の先端部52aに固定され、その先端部52aから左方向に伸びた、左端縁部に開口部を有する円筒状の左側中空パイプ部材110Lと、(2)左側中空パイプ部材110Lの左側縁部の開口部に回動可能に挿入され遊嵌接続された円柱状の左側回動軸部121Lと、(3)側面視でL字形状を成したプレートであって、そのL字形状の屈曲部が左側回動軸部121Lの左端部121Laに固定された左側支持プレート120Lと、(4)左右一対の走行伝動ケース40L、40R(図5参照)の入力軸41にエンジン2からの動力を伝達するためにスプライン接続された、トランスミッションケース4の左右両端部から突き出した左右一対の伝動シャフト4aL、4aR(図2参照)の内、左側の伝動シャフト4aLを回動自在に内部に収納すると共に、トランスミッションケース4の左外壁面の円筒状の左フランジ部4bL(図3参照)の内側に回動可能に遊嵌接続された左側延長パイプであって、その部材の左端外周部に取り付けられた鍔状の固定プレート131を介して、左側走行伝動ケース40Lの入力軸41側のケーシング部を固定する中空状の左側延長パイプ130Lと、(5)左側延長パイプ130Lの左フランジ部4bL側の外周壁面に固定されて、先端部132Laが後方に向けられた左側スイングアーム132Lと、(6)L字形状の左側支持プレート120LのL字の短辺に相当する部位の先端部にロッド上端部141Lが軸芯141Laを中心として回動可能に連結され、且つ、左側スイングアーム132Lの先端部132Laにロッド下端部142Lが軸芯142Laを中心として回動可能に連結された左側連結ロッド140Lと、(7)左側中空パイプ部材110Lの左側端部の外周面に位置決めされ、且つ回動可能に遊嵌接続された左側ピニオンギヤ150Lと、(8)左側ピニオンギヤ150Lと嵌合する凹凸部を有する側が側面視で円弧形状を成しており、その円弧の半径が、左側スイングアーム132Lの先端部132Laとロッド下端部142Lとが連結されている軸芯142Laの回動軌跡の半径R1と一致している左側ラック151L(図1、図5参照)と、を備えている。
また、ローリングシリンダ60のローリングピストンロッド62の先端部62aは、L字形状の左側支持プレート120LのL字の長辺に相当する部位の先端部に軸芯62a1を中心として回動可能に連結されている。
次に、右側伸縮動作伝動機構100Rは、図3〜図5に示す様に、(1)昇降ピストンロッド52の先端部52aに固定され、その先端部52aから右方向に伸びた、右端縁部に開口部を有する円筒状の右側中空パイプ部材110Rと、(2)右側中空パイプ部材110Rの右側縁部の開口部に回動可能に挿入され遊嵌接続された円柱状の右側回動軸部121Rと、(3)側面視で楕円形状を成したプレートであって、その楕円形状の前側部が右側回動軸部121Rの右端部121Raに固定された右側支持プレート120Rと、(4)左右一対の走行伝動ケース40L、40R(図5参照)の入力軸41にエンジン2からの動力を伝達するためにスプライン接続された、トランスミッションケース4の左右両端部から突き出した左右一対の伝動シャフト4aL、4aR(図2参照)の内、右側の伝動シャフト4aRを回動自在に内部に収納すると共に、トランスミッションケース4の右外壁面の円筒状の右フランジ部4bR(図5参照)の内側に回動可能に遊嵌合接続された右側延長パイプであって、その部材の右端外周部に取り付けられた鍔状の固定プレート131を介して、右側走行伝動ケース40Rの入力軸41側のケーシング部を固定する中空状の右側延長パイプ130Rと、(5)右側延長パイプ130Rの右フランジ部4bR側の外周壁面に固定されて、先端部132Raが後方に向けられた右側スイングアーム132Rと、(6)楕円形状の右側支持プレート120Rの後側部の先端部にロッド上端部141Rが締結部材141Raにより所定角度を維持して固定され、且つ、右側スイングアーム132Rの先端部132Raにロッド下端部142Rが軸芯(図示省略)を中心として回動可能に連結された右側連結ロッド140Rと、(7)右側中空パイプ部材110Rの右側端部の外周面に位置決めされ、且つ回動可能に遊嵌接続された右側ピニオンギヤ150Rと、(8)右側ピニオンギヤ150Rと嵌合する凹凸部を有する側が側面視で円弧形状を成しており、その円弧の半径が、右側スイングアーム132Rの先端部132Raとロッド下端部142Rとが連結されている軸芯の回動軌跡の半径と一致している右側ラック151R(図5参照)と、を備えている。
なお、本実施の形態の昇降シリンダ本体51は、本発明のシリンダ本体の一例にあたり、本実施の形態の昇降ピストンロッド52は、本発明のピストンロッドの一例にあたる。また、本実施の形態の昇降シリンダ本体51の下端部51aは、本発明のシリンダ本体の下端部の一例にあたり、本実施の形態の昇降ピストンロッド52の先端部52aは、本発明のピストンロッドの先端部の一例にあたる。
また、本実施の形態の左側伸縮動作伝動機構100Lは、本発明の一方の昇降伝動機構の一例にあたり、本実施の形態の左側走行伝動ケース40Lは、本発明の一方の走行伝動ケースの一例にあたる。また、本実施の形態の左側中空パイプ部材110Lは、本発明の連結棒状部材の一例にあたり、本実施の形態の左側支持プレート120Lは、本発明の第1アームの一例にあたる。また、本実施の形態の左側スイングアーム132Lが固定された左側延長パイプ130Lは、本発明の第2アームの一例にあたる。
また、本実施の形態の左側連結ロッド140Lは、本発明の連結ロッドの一例にあたる。また、本実施の形態の右側伸縮動作伝動機構100Rは、本発明の他方の昇降伝動機構の一例にあたり、本実施の形態の右側走行伝動ケース40Rは、本発明の他方の走行伝動ケースの一例にあたる。また、本実施の形態の左側ピニオンギヤ150Lは、本発明のピニオンギヤの一例にあたり、本実施の形態の左側ラック151Lは、本発明のラックの一例にあたる。
次に、主として、伸縮動作伝動機構100、昇降シリンダ50、及びローリングシリンダ60の動作を、図6、図7を用いて説明する。
なお、右側伸縮動作伝動機構100Rの動作は、概ね左側伸縮動作伝動機構100Lの動作に類似しており、左側伸縮動作伝動機構100Lの動作説明から容易に推測が出来るので、ここでは、左側伸縮動作伝動機構100Lの動作を中心に説明する。
図6は、苗移植機1の車高を上昇又は降下させる場合の要部の動作を示す左側面図である。
また、図7は、苗移植機1の走行車体2の左右の傾斜を自動的に修正する場合の要部の動作を示す左側面図である。
まず、主として図6を用いて、苗移植機1の車高を上昇又は降下させるときの動作を説明する。
図6では、車高が低い状態を二点鎖線で示し、車高が高い状態を実線で示した。
作業者が操縦ハンドル5を操作し、左右一対の前輪8L、8R、及び後輪9L、9Rを圃場の畝溝U1に案内して、走行車体2を畝U上方で前進走行させることにより畝Uに苗を植え付ける場合、左右一対の後輪9L、9Rの間において畝面と当接可能に設けられた畝面検知センサ板(図示省略)の検知動作に応じて、昇降シリンダ50が伸縮して、苗の植付深さが一定に保たれる様に、車高が調節される構成である。
即ち、昇降シリンダ50は、油圧ポンプ(図示省略)からの油圧を切り替える油圧切替バルブ部11(図4参照)に備えられた昇降操作バルブ(図示省略)を操作することにより作動する構成であり、昇降操作バルブには、昇降操作レバー12(図1参照)がケーブル(図示省略)を介して連結されるとともに、畝面検知センサ板が所定のロッドや連動機構(図示省略)を介して連結されている。
本実施の形態では、図6において、苗の植付作業中における、左右一対の走行伝動ケース40L、40R及び左右一対の後輪9L、9Rは、二点鎖線で示した位置に位置しているものとし、この時の昇降シリンダ50、ローリングシリンダ60、左側支持プレート120L、及び左側スイングアーム132Lの位置も二点鎖線で示した。
作業者は、一つの畝Uの端まで植付作業を実施した後、隣の畝Uに苗移植機1を旋回移動させるために、昇降操作レバー12(図1参照)を「上昇」側に操作する。
これに連動して昇降操作バルブが作動し、昇降シリンダ50の昇降ピストンロッド52が収縮することにより、その先端部52aに固定された左側中空パイプ部材110Lと右側中空パイプ部材110Rが矢印Aの方向(図6参照)に移動すると共に、左側中空パイプ部材110Lに左側回動軸部121Lを介して遊嵌接続された左側支持プレート120L、及び右中空パイプ部材110Rに右側回動軸部121Rを介して遊嵌接続された右側支持プレート120Rについても同様に矢印Aの方向に移動する。
これにより、L字形状の左側支持プレート120LのL字の短辺に相当する部位の先端部に回動可能に連結された左側連結ロッド140Lのロッド上端部141Lも概ね矢印Aの方向に移動すると共に、左側連結ロッド140Lのロッド下端部142Lも概ね矢印Aの方向に移動する。
そのため、ロッド下端部142Lに軸芯142Laを介して回動可能に連結された左側スイングアーム132Lの先端部132Laは、左側伝動シャフト4aLの軸芯4aL1を中心として左側面視で時計回りの方向に回動(図6の矢印B参照)すると同時に左側延長パイプ130Lも同様に左側面視で時計回りの方向に回動(図6の矢印B参照)し、固定プレート131に固定された左側走行伝動ケース40Lについても、左側伝動シャフト4aLの軸芯4aL1を中心として左側面視で時計回りの方向に回動する(図6の矢印D参照)。
なお、昇降操作レバー12を操作して、車高を上昇又は下降させる場合、ローリングシリンダ60のローリングピストンロッド62は動作しない構成であるため、ローリングシリンダ本体61を回動可能に支持する支持ピン63(図5参照)の軸芯63a(図6参照)とローリングピストンロッド62の先端部62aの軸芯62a1(図6参照)との距離L1が一定値に保持されたまま、ローリングシリンダ60は軸芯63aを中心として左側面視で時計回りに回動する(図6の矢印C参照)。本実施の形態では、距離L1は、ローリングシリンダ60のローリングピストンロッド62が最大に伸長した場合の距離とするが、これに限定されるものではない。
一方、右側支持プレート120Rについても上記と同様に矢印Aの方向に移動することにより、右側連結ロッド140Rのロッド上端部141Rも概ね矢印Aの方向に移動すると共に、右側連結ロッド140Rのロッド下端部142Rも概ね矢印Aの方向に移動する。
そのため、右側スイングアーム132Rの先端部132Raは、右側伝動シャフト4aRの軸芯4aR1を中心として左側面視で時計回りの方向に回動(図6の矢印B参照)すると同時に右側延長パイプ130Rも同様に左側面視で時計回りの方向に回動(図6の矢印B参照)し、固定プレート131に固定された右側走行伝動ケース40Rについても、右側伝動シャフト4aRの軸芯4aR1を中心として左側面視で時計回りの方向に回動する(図6の矢印D参照)。
これにより、左右一対の後輪9L、9Rが同時に同じ距離だけ降下し(図6の矢印D参照)、車高が上昇するので、作業者は操縦ハンドル5を下方に押し下げて、左右一対の前輪8L、8Rを持ち上げて、旋回動作を実行して、苗移植機1を隣の畝Uに移動させる。
なお、上述した通り、左右一対のラック151L、151R(図5参照)の円弧の半径が、ロッド下端部142L、142Rが連結されている軸芯142La、142Raの回動軌跡の半径R1と一致しているので、昇降シリンダ50の伸縮時に、左右一対のピニオンギヤ150L、150Rが左右一対のラック151L、151Rの表面の凹凸部と嵌合して移動する際に、昇降シリンダ50の姿勢が安定し、昇降シリンダ50の不適切な傾きを防止出来る。
即ち、左右一対のスイングアーム132L、132Rの先端部132La、132Raに位置する軸芯142La、142Raの回動軌跡を、左右一対のラック151L、151R(図5参照)の円弧のR形状に合わせることで、左右一対の連結ロッド140L、140Rの押し方向を負荷のかかりにくい方向に合わせ易い。また、左右一対のピニオンギヤ150L、150Rが遊嵌接続された左右一対の中空パイプ部材110L、110Rの動きと、左右一対のスイングアーム132L、132Rの動きを同調させやすく、車高調整が円滑に行える。
また、昇降シリンダ50が伸縮する際、左右一対のピニオンギヤ150L、150Rが左右一対のラック151L、151Rの表面の凹凸部と嵌合して移動するので、左右一対のピニオンギヤ150L、150Rが遊嵌接続された左右一対の中空パイプ部材110L、110Rが不適切に傾かないことにより、機体のふらつきが抑えられる。
また、昇降シリンダ50の不適切な傾きを左右一対のラック151L、151Rと左右一対のピニオンギヤ150L、150Rで規制することにより、昇降シリンダ50が無理な伸長をせず、摩耗することが防止される。また、昇降ピストンロッド52の受け部を小型化出来る。また、左右一対のラック151L、151Rの形状により、昇降シリンダ50の伸縮による回動方向を簡潔な構成で決めることが出来る。
なお、苗移植機1の車高を降下させる場合における、左側伸縮動作伝動機構100Lの動作、及び右側伸縮動作伝動機構100Rの動作は、基本的には、上述した車高を上昇させる場合の動作の逆の動作により実行される。
また、上述した様に、左右一対のスイングアーム132L、132Rを機体後側に向かう傾斜姿勢とし、昇降シリンダ50の収縮時に左右一対の走行伝動ケース40L、40Rが押し下げられる構成としたことにより、左右一対のスイングアーム132L、132Rを軽い力で押し下げることができるので、昇降シリンダ50の小型化(特に昇降ピストンロッド52)が図られ、機体重量や配置スペースの軽減が図られる。
また、車高が上昇する際に、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rが回動する方向に、左右一対の連結ロッド140L、140Rが左右一対のスイングアーム132L、132Rを押し下げる構成としたことにより、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rの回動支点、即ち、左右一対の伝動シャフト4aL、4aRのそれぞれの軸芯4aL1、4aR1にかかる負荷を小さくすることができるので、回動支点の構成を過度に強固にする必要がなく、コストの低減や重量の軽減が図られる。
また、昇降シリンダ50を伸縮させる際、左右の支持プレート120L、120Rの姿勢がほとんど変わらないことにより、左右一対のスイングアーム132L、132R側の取付位置を基準とした左右一対の連結ロッド140L、140Rの姿勢の大きな変化を防止することができるので、左右の支持プレート120L、120Rを回動しにくく設ける必要がなく、構成の簡潔化が図られる。
また、昇降シリンダ50が伸縮する際に昇降シリンダ50の姿勢が必要以上に変化すると、僅かながらでもローリングが発生し、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rの回動角度に差が生じ、苗の植付姿勢が傾くことになる。これに対して、上記構成によれば、昇降シリンダ50が伸縮する際に昇降シリンダ50の姿勢が必要以上に変化することが無いので、苗の植付姿勢が傾くことを防止できる。
また、上述した通り、昇降シリンダ50は、昇降シリンダ本体51の下端部51aが、走行車体2のフロアステップ10の下方に回動可能に固定され、且つ昇降ピストンロッド52の先端部52aが、作業座席7の底面7aの直下に配置されたことにより、フロアステップ10の位置を従来に比べて下方に下げることが出来るので、作業者が走行車体2に乗り降りしやすくなり、作業能率が向上する。
また、左右一対のスイングアーム132L、132Rにおける、ロッド下端部142L、142Rが連結されている軸芯142La、142Raの回動軌跡の接線方向に概ね沿って、昇降シリンダ50が配置されているので、昇降シリンダ50の伸縮方向と伸縮時の力のベクトルが近くなるので、油圧ロスが少なく、昇降シリンダ50の作動が安定する。
次に、主として図7を用いて、苗移植機1の左右の傾斜を修正する制御、即ち、ローリング制御を行うときの動作を説明する。
図7は、左側の後輪9L、左側走行伝動ケース40L、ローリングシリンダ60、及び左側伸縮動作伝動機構100Lの動作を示す左側面図であり、実線で示した左側の後輪9Lは、二点鎖線で示した左側の後輪9Lが、ローリング制御により上方に移動した後の状態を示しているものとする。また、ローリングシリンダ60、左側支持プレート120L、左側スイングアーム132Lは、ローリング制御の前の位置を二点鎖線で示し、ローリング制御の後に位置を実線で示した。なお、図7におけるローリング制御では、昇降シリンダ50は動作せず、その位置も変化しないので、実線でのみ示した。
また、ここでは、右側の後輪9Rの位置は、ローリング制御の前後において、二点鎖線で示した左側の後輪9Lの位置と同じ位置を保持しているものとする。
作業者は、操縦ハンドル5を操作し、左右一対の前輪8L、8R、及び後輪9L、9Rを圃場の畝溝U1に案内して、畝Uに苗を植え付ける作業をしているものとする。また、この場合、上述した畝面検知センサ板(図示省略)の作用により、左右一対の後輪9L、9Rの位置は、図7の二点鎖線で示した位置において安定して走行しているものとする。
この様な植付作業の最中において、走行車体2に設けられた傾斜センサ(図示省略)により走行車体2が右側(又は、左側)に傾斜していることが検知されると、制御部(図示省略)からの指令により、ローリングシリンダ60のローリングピストンロッド62が、その傾斜の度合いに応じて収縮し(又は、伸長し)、左側支持プレート120Lが、左側回動軸部121Lの左端部121Laの軸芯121La1(図7参照)を中心として、左側面視で時計回り(又は、反時計回り)に回動する(図7の矢印E参照)。
なお、この場合、昇降シリンダ50の昇降ピストンロッド52の長さは固定状態にあり、且つ、その昇降ピストンロッド52の先端部52aの左右両側に固定された左右の中空パイプ部材110L、110Rの左右両側に回動可能に遊嵌接続された左右一対のピニオンギヤ150L、150Rが、左右一対のラック151L、151Rの円弧状の表面に当接して動かないので、昇降シリンダ50の位置も変化しない。
これにより、左側支持プレート120Lの短辺に相当する部位の先端部に軸芯141Laを中心として回動可能に連結された左側連結ロッド140Lが矢印F方向(図7参照)に(又は、矢印Fと反対方向に)移動する。そして、左側スイングアーム132Lが左側伝動シャフト4aLの軸芯4aL1を中心として左側面視で反時計回りの方向(図7の矢印G参照)に(又は、時計回りの方向に)回動すると同時に左側延長パイプ130Lも同様に左側面視で反時計回りの方向に(又は、時計回りの方向に)回動(図7の矢印G参照)し、固定プレート131に固定された左側走行伝動ケース40Lについても、左側伝動シャフト4aLの軸芯4aL1を中心として左側面視で反時計回りの方向に(又は、時計回りの方向に)回動する(図6の矢印H参照)。
これにより、左側の後輪9Lが上昇し(又は、降下し)、走行車体2に設けられた傾斜センサ(図示省略)の検知結果により、制御部(図示省略)が、走行車体2の傾斜状態が解消したと判断するとローリング制御は終了する。
なお、ローリング制御が実行された後、車高が高くなり、畝面検知センサ板(図示省略)の検知結果から、走行車体2の植付深さが設定値より浅くなっていると制御部により判定された場合は、制御部は、昇降操作バルブに指令を出して、昇降シリンダ50の昇降ピストンロッド52を収縮させて、上述した動作により車高を低くして、適切な植付深さに戻す。
上記の本実施の形態によれば、ローリングシリンダ60で左側支持プレート120Lを別個に回動させることにより、作業場所の傾斜や畝の形状に合わせて左右一対の走行伝動ケース40L、40Rのそれぞれの回動角度を意図的に異ならせることができるので、苗の植付位置が畝の左右中央からずれることが防止され、苗の植付精度が向上する。
また、左右一対の後輪9L、9Rを、側面視で供給装置30の下方に位置させることにより、左右一対の後輪9L、9Rで供給装置30の重量を受けることができるので、供給装置30の重量で機体が後側に傾斜することを防止でき、苗の植付深さが深くなり過ぎることが防止される。
また、左右一対の前輪8L、8Rを側面視でエンジン3とトランスミッションケース4の前後間に設けたことにより、エンジン3とトランスミッションケース4の重量をなるべく均等に受けることができるので、機体の前後バランスが取れ、走行姿勢が安定する。
また、作業者が搭乗する位置を、側面視で後輪9L、9Rと前輪8L、8Rの前後間に設けられたフロアステップ10とすることにより、機体の中央部に作業者の重量を加えることができるので、機体の前後バランスが安定し、機体が前後方向に傾斜して、植付深さが乱れることが防止される。
また、畝高さの変化等により後輪9L、9Rが昇降し車高が変化しても、作業者が搭乗する位置は、側面視で後輪9L、9Rと前輪8L、8Rの前後間に設けられたフロアステップ10の範囲内となる構成としたことで、機体の前後バランスが向上する。
また、本実施の形態では、油圧切替バルブ部11と昇降シリンダ50とを分割配置したことで、フロアステップ10の位置を低くすることが出来、機体の低重心化を実現出来ると共に、機体バランスの向上が図れる。また、作業者の乗降のし易さが向上する。
次に、上述した伸縮動作伝動機構100、昇降シリンダ50、及びローリングシリンダ60以外の要部について、図1、図2を用いて簡単に説明する。
上述した植付装置20は、供給装置30から苗を受け取り圃場に植え付けるために先端が下方に向かう嘴状の左右一対のホッパ21L、21Rと、各ホッパ21L、21Rを上下動させる左右の上下動機構22と、上下動機構22を駆動するための植付伝動機構23を備えている(図1参照)。
左右の上下動機構22は、ホッパ21L、21Rを上下揺動させる平行リンク構造を成しており、ホッパ21L、21Rを駆動させる動力をトランスミッションケース4から伝動軸を介して伝動する伝動機構を内装する植付伝動機構23の外壁部の左右両側に回動可能に配置されている。
なお、植付伝動機構23には、左右の上下動機構22及び左右一対のホッパ21L、21Rをその上死点の位置で、又はその上死点の近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構と、左右の上下動機構22及びホッパ21L、21Rの昇降動を停止させるクラッチ機構とを備えている。間欠駆動機構によって停止する時間は、間欠駆動機構が備える変速機構によって調節され、この調節によってホッパ21L、21Rによる苗植付株間が変更調節されるようになっている。また、ホッパ21L、21Rを上死点の位置で設定時間停止させる間欠動作を行うことにより、苗の受け渡しが確実に行えて、欠株を生じさせることがなく、植付精度が向上する。
また、ホッパ21L、21Rに苗を供給する供給装置30は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数(計32個)の苗収容体となる苗供給カップ31と、その苗供給カップ31をホッパ21L、21Rの上方を通過するように周回移動させる移動機構32と、ホッパ21L、21Rの上方位置で苗供給カップ31の底部を開放して内側に収容した苗を落下させてホッパ21L、21Rに苗を供給する苗落下供給機構となる開放機構とを備えている。
苗供給カップ31は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、互いにループ状に連結されている。移動機構32は、平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で周回動させる構成となっている。上記開放機構は、苗供給カップ31の底蓋をホッパ21L、21Rの上方位置で開放する構成である。尚、この供給装置30は、左右に配置された二つのホッパ21L、21Rに対して苗供給カップ31が周回移動して苗を供給する構成としている。
また、移動機構32は、無端チェーンのように互いに連結する苗供給カップ31を、平面視で左右に設けた巻掛用のスプロケットの外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右の巻掛用のスプロケットを、植付伝動機構23内から取り出した動力で駆動回転することにより、苗供給カップ31を平面視で左回りに周回移動させる構成としている。
巻掛用のスプロケットを駆動回転可能に取付ける各々の回動軸32a(図2参照)を植付伝動機構23の外壁部から左右に延びる支持フレームに回動可能に取付け、植付伝動機構23の外壁部の上部から上方に突出させた出力軸から各々の駆動スプロケット、チェーン及び従動スプロケットを介してその従動スプロケットと一体回転する上記回動軸32aに伝動する構成としている。
また、上下動機構22は、嘴状のホッパ21L、21Rの下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と、ホッパ21L、21Rの下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能する開状態とにホッパ21L、21Rを開閉する開閉機構を備えている。
なお、本実施の形態では、ホッパ21L、21Rを左右に所定の設定間隔で二体並べて配備した二条植えの構成としているが、これに限らず例えば、ホッパは二体より多い複数体並べた構成であっても良い。
なお、上述した様に、二体のホッパ21L、21Rは、一つの植付伝動機構23の左右両側部に設けた上下動機構22に一体ずつ装着している。そして、ホッパ21L、21Rのそれぞれは、先端が下方に向いた嘴状の形態で且つ嘴の右半分と左半分が分割されて構成されており、ホッパが畝面まで降下した後にホッパ開閉機構により、ホッパの右半分と左半分とが上端部で左右方向に回動して下端部を開き、内部に収容していた苗を圃場の穴に落下させる構成となっている。
これにより、左右のホッパ21L、21Rは、左右の上下動機構22及びホッパ開閉機構により、上下動及び開閉し、圃場に千鳥状に苗を2条植えすることが出来る。
なお、上記実施の形態では、左右のラック151L、151Rの円弧の半径が、左右のスイングアーム132L、132Rの先端部132La、132La、132Raとロッド下端部142L、142Rとが連結されている軸芯142La、142Raの回動軌跡の半径R1と一致している場合について説明したが、これに限らず例えば、左右のラック151L、151Rの円弧の中心点と、左右のスイングアーム132L、132Rにおける軸芯142La、142Raの回動軌跡の中心点(図4の軸芯4aL1参照)とを一致させると共に、左右のラック151L、151Rの円弧の半径を左右のスイングアーム132L、132Rにおける軸芯142La、142Raの回動軌跡の半径R1よりも大きくした構成であっても良い。この構成により、昇降シリンダ50が伸縮時に回動しても左右の連結ロッド140L、140Rが左右のスイングアーム132L、132Rを押し引きする姿勢を、左右の走行伝動ケース40L、40Rの上下回動に適した姿勢に維持できるので、左右の連結ロッド140L、140Rの押し引きに要する力が軽減される。また、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rの回動支点(図6の軸芯4aL1、4aR1参照)に過度の負荷がかからず、耐久性が向上する。
また、上記実施の形態において、ローリングシリンダ60の回動部の軸芯63aと先端部の軸芯62a1との距離L1(図6参照)が、左右のラック151L、151Rの円弧の半径より相対的に短く構成されていても良い(図8参照)。具体的には、図8に示す構成例では、左右一対の第2ラック1151L、1151Rのそれぞれの仮想円の中心1152から左右の第2ラック1151L、1151Rに形成された凹部までの距離L2(即ち、第2ラックの仮想円の半径)が、ローリングシリンダ60の回動部の軸芯63aから先端部の軸芯62a1までの距離L1(即ち、ローリングシリンダ60が最大伸長した時の先端部の軸芯62a1の回動軌跡の半径)より長く構成されている。
また、図8の構成例では、左右一対の第2ラック1151L、1151Rのそれぞれの仮想円の中心1152と、左右一対の中空パイプ部材110L、110Rの軸芯が描く円弧軌跡の中心は、側面視で一致する。
なお、図8の構成例では、左右一対の第2ラック1151L、1151Rは、第2ラック固定枠1150に形成された左右一対の緩やかに湾曲した長孔1153L、1153Rの内周後側縁部に沿って設けられている。そして、左右一対の第2ラック1151L、1151Rの凹凸部が、左右一対のピニオンギヤ150L、150Rと嵌合する。図8は、左右一対の第2ラック1151L、1151Rのそれぞれの仮想円の半径(即ち、距離L2)が、ローリングシリンダ60の先端部の軸芯62a1の回動軌跡の半径(即ち、距離L1)より長く構成された場合の構成例の要部を示す斜視図である。
この構成により、昇降シリンダ50の回動範囲が適正な範囲を逸脱することが防止され、植付深さが安定すると共に、苗の植付姿勢が斜め向きになることが防止される。
また、上記実施の形態において、左右の連結ロッド140L、140Rの長さが、左右のラック151L、151Rの円弧と、左右のスイングアーム132L、132Rにおける軸芯142La、142Raの回動軌跡の円弧との接線における各円弧との接点の間の距離と同じ長さに構成されていても良い。この構成により、左右の連結ロッド140L,140Rが左右のスイングアーム132L,132Rを押し引きするときの移動方向と力のベクトルをほぼ同じ方向とすることができるので、左右の走行伝動ケース40L,40Rを上下回動させる力のロスが軽減され、機体の上下高さ調節に要する時間が短縮されると共に、苗の植付深さや植付姿勢が安定する。
また、上記実施の形態において、昇降シリンダ50は、左右の走行伝動ケース40L、40Rが上昇して車高を低くした(最低まで下げた)とき(図6の二点鎖線で示した昇降シリンダ50参照)に、左右のラック151L、151Rの円弧の接線方向と一致する構成であっても良い。この構成により、機体高さを高くした状態から機体高さを低くする際、昇降シリンダ50が伸長する方向と左右の連結ロッド140L,140Rや左右のスイングアーム132L,132Rを上方に移動させる力のベクトルが近くなるので、昇降シリンダ50にかかる荷重の変化が少なく、機体高さの変化が能率よく行うことができる。また、油圧系統にかかる負荷が抑えられ、耐久性が向上する。
また、上記実施の形態では、二体のホッパ21L、21Rは、一つの植付伝動機構23の左右両側部に設けた上下動機構22に一体ずつ装着している場合について説明したが、これに限らず例えば、植付伝動機構23を二体のホッパ21L、21R毎に独立して設けた構成としても良い。この構成の場合、各条のホッパ21L、21Rを、各々独立した左右の植付伝動機構23L、23R(図9、図10参照)で間欠駆動させることにより、各条のホッパ21L、21Rを供給装置30から苗を受け取る位置で確実に停止させることができるので、苗を受け取り損ない欠株を生じさせることがなく、植付精度が向上する。また、ホッパ毎に左右の植付伝動機構23L、23Rが独立しているので、左右のホッパ21L、21Rを、同時に圃場面に突入させることが可能となり、圃場に並木状に苗を植えることが出来る。
さらに、各条のホッパ21L,21Rの左右間隔を、苗を受け取り可能な範囲内で自由に調節することができるので、苗の左右間隔(条間)設定が容易に行え、作業適応性が向上する。
図9は、左右にそれぞれ植付装置20L、20Rを備えた第2苗移植機201の概略構成を示す概略左側面図である。図1に示した構成と同じ構成には同じ符号を付した。
また、図10は、第2苗移植機201の左右の植付け装置20L、20Rの要部背面図である。
また、上記実施の形態では、二体のホッパ21L、21Rの左右方向の間隔は、一定である場合について説明したが、これに限らず例えば、左右の植付伝動機構23L、23Rを二体のホッパ21L、21R毎に独立して設けた構成とし、更に、左右の植付伝動機構23L、23Rのそれぞれの入力軸を、トランスミッションケース4から後方に伸びた前後方向駆動軸から傘歯車等を介して左右方向に分岐された左右方向駆動軸に対してスプライン接続すると共に、左右の植付伝動機構23L、23Rのそれぞれを左右一対のスライドレール24L、24Rを介して左右方向にスライド移動可能に構成しても良い(図10参照)。更に、この構成の場合、図9、図11に示す様に、供給装置30を下方で支持する供給装置支持フレーム33に沿う様に、ハンドルフレーム15を配置したことにより、ハンドルフレーム15が、左右のホッパ21L、21Rと干渉することが無いので、左右のホッパ21L、21Rによる条間調節の自由度が拡大する。図11は、左右の植付装置20L、20Rを中心として示した第2苗移植機201の要部概略左側面図である。
この構成の場合、左側植付伝動機構23Lと、その左側植付伝動機構23Lの外壁部の片側に回動可能に配置された左側上下動機構22Lと、その左側上下動機構22Lの平行リンク部の後端に連結された左側ホッパ21Lとを含む左側植付装置20Lと、右側植付伝動機構23Rと、その右側植付伝動機構23Rの外壁部の片側に回動可能に配置された右側上下動機構22Rと、その右側上下動機構22Rの平行リンク部の後端に連結された右側ホッパ21Rとを含む右側植付装置20Rとが、それぞれ独立して左右方向にスライド移動可能となるので、左右のホッパ21L、21Rによる条間調節が可能となる。
また、この構成によれば、各植付装置20L、20Rを左右方向にスライドさせて条間調節する構成としたことにより、上下動機構のみをスライドさせる構成に比べて左右の上下動機構22L、22Rを軽く構成することができるので、左右の上下動機構22L、22Rを軽い力で昇降させることができ、構成の簡潔化が図られると共に、左右のホッパ21L、21Rの昇降が安定し、植付精度が向上する。また、この構成の場合、図9に示す様に、左右のホッパ21L、21Rの内壁面に付着した泥等をそぎ落とすための左右のスクレーパ13L、13Rが左右の植付伝動機構23L、23Rの外壁部の後端上部に回動可能に取り付けられている。また、左右の鎮圧輪19L、19Rが、鎮圧輪固定プレート14を介して、左右の植付伝動機構23L、23Rの外壁部の下端部に取り付けられている。
なお、この構成の左右の植付装置20L、20Rは、本発明の植付装置の一例にあたる。また、この構成例の左右の植付伝動機構23L、23Rは、本発明の植付伝動ケースの一例にあたり、この構成例の左右の上下動機構22L、22Rは、本発明の植付リンクの一例にあたる。また、この構成例の左右のホッパ21L、21Rは、本発明の植付ホッパの一例にあたり、この構成例の左右方向伝動軸は、本発明の左右方向に伸びた伝動軸の一例にあたる。
また、上記実施の形態において、畝の終端の存在を検知するための畝面検知ローラを有する畝終い検知センサを走行車体2の前端側に設け、その畝面検知ローラを、側面視で左右一対の前輪8L、8Rの前側で且つ走行車体2の前端部より後側の間において畝面上を転がる様に配置した構成としても良い。この構成により、畝終い検知センサを出来るだけ早く効かすことで安全性を向上させることが出来、且つ、走行車体2の前端部が障害物等に衝突した場合でも破損することが防止出来る。
また、上記実施の形態において、潅水量の調節時に、作業者が機体上から潅水クランク16のボルトを外してピストンエンドの位置を変更出来る様に、フロアステップ10の後部中央に開閉蓋17を設けた構成としても良い(図1、図2参照)。開閉蓋17は、側面視で略逆への字形状を成しており、前端部の左右に開閉軸となる蝶番17aが設けられており、後端部の中央表面にはノブ17bが設けられている。これにより、ノブ17bを持って上方に引けば、開閉蓋17が開くので、潅水量の調節を機体上から容易に行うことが出来る。また、この開閉蓋17は、サイドクラッチペダルの左右間であって、主クラッチバーと干渉せず、且つフロアステップ10の中央に配置された滑り止めシート18とも干渉しない位置に設けられているので、これら既存の部材の位置を変更することなく開閉蓋17を配置することが出来る構成である。
また、上記実施の形態では、左側支持プレート120Lと、右側支持プレート120Rとの形状が異なる場合について説明したが、これに限らず例えば、右側支持プレート120Rを左側支持プレート120Lと同じ形状、即ち、側面視でL字形状を成したプレートとしても良い。この構成の場合、トランスミッションケース4の右側の壁面部において、上述したローリングシリンダ本体61を回動可能に支持する支持ピン63(図5参照)と同形状の右側支持ピンを左右対称の位置に立設させ、その右側支持ピンに回動可能に一端部が連結され、且つ、L字形状を成した右側支持プレートのL字の長辺に対応する部位の先端部に回動可能に他端部が連結された棒状の右側第2連結ロッドを備える。この右側第2連結ロッドの長さは、上述した支持ピン63の軸芯63a(図6参照)とローリングピストンロッド62の先端部62aの軸芯62a1(図6参照)との距離L1と同じ長さとする。また、この構成の場合、L字形状を成した右側支持プレートのL字の短辺に対応する部位の先端部には、右側連結ロッド140Rのロッド上端部141Rが回動可能に連結されている。この構成によれば、ローリングシリンダ60と右側第2連結ロッドを入れ替えるだけで、ローリングシリンダ60の取り付け位置をトランスミッションケース4の左側から右側に容易に変更することが出来る。また、左右の支持プレートが同じ形状となるので、各部の動作がよりスムーズになる。
また、上記実施の形態では、ローリングシリンダ60をトランスミッションケース4の左側に配置した場合について説明したが、これに限らず例えば、トランスミッションケース4の右側に配置しても良い。