JP6634824B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム及び包装体 Download PDF

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Description

本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルム、及び包装体に関するものであり、詳しくは、ラベル用途や、弁当等の胴部と蓋部を帯状フィルムで結束するバンディング用途に好適で、フィルム表面のキズが極めて少ないポリエステル系収縮フィルムである。
近年、ガラス瓶やPETボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルム(所謂、熱収縮性フィルム)が広範に使用されるようになってきている。そのような熱収縮性フィルムの内、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題がある。また、ポリスチレン系フィルムは、耐溶剤性に劣り、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない上、高温で焼却する必要があり、焼却時に異臭を伴って多量の黒煙が発生するという問題がある。それゆえ、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広汎に利用されるようになってきており、PET容器の流通量の増大に伴って、使用量が増加している傾向にある。
また、通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、幅方向に大きく収縮させるものが広く利用されている。そのように幅方向が主収縮方向である熱収縮性ポリエステル系フィルムは、幅方向への収縮特性を発現させるために幅方向に高倍率の延伸が施されているが、主収縮方向と直交する長手方向に関しては、低倍率の延伸が施されているだけであることが多く、延伸されていないものもある。そのように、長手方向に低倍率の延伸を施したのみのフィルムや、幅方向のみしか延伸されていないフィルムは、長手方向の機械的強度が劣るという欠点がある。
ボトルのラベルフィルムや、弁当の胴部と蓋部を帯状のフィルムで結束するバンディングフィルムとして用いる場合、フィルムを環状にしてボトルや弁当容器に装着した後に周方向に熱収縮させなければならないため、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムをバンディングフィルムとして装着する際には、フィルムの幅方向が周方向となるように環状体を形成した上で、その環状体を所定の長さ毎に切断してボトルや弁当容器に手かぶせ等で装着しなければならない。したがって、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムからなるラベルフィルムやバンディングフィルムを高速でボトルや弁当容器に装着するのは困難である。それゆえ、最近では、フィルムロールから直接、ボトルや弁当容器の周囲に巻き付けて装着することが可能な長手方向に熱収縮するフィルムが求められている。フィルム管状体を形成してシールするセンターシール工程や、裁断、手かぶせ等の加工が不要になり、高速で装着することも可能である。
収縮性に対する要望として、高い収縮率が求められる。近年、ボトルの形状の多様化により、ボトルの胴回りの長さの最大と最小の差が大きい(例えば、ボトル上部のキャップ付近が細いようなボトル)ものも存在し、ボトル全体をフィルムで覆う場合、ボトルの胴が細い部分では高い収縮率が求められる。収縮性を持たせるためには原料に非晶性モノマーを含んだ原料を用いることが一般的である。非晶原料を限りなく使用せずに収縮性を持たせることは製膜条件の工夫により可能ではあるが、非晶性モノマーを限りなく使用しないことと、縦延伸倍率を低く設定しないといけないために、その最大収縮率は60%程度が限界であり、ボトルの細い部分では収縮不足による収縮仕上がり性が悪くなるという問題が生じる。
フィルムをラベルとしてボトルに収縮させて、装着させる際の収縮後の仕上がり性において、非収縮方向(幅方向)の収縮率も重要となる。フィルムの幅方向は、ラベルとしてボトルに装着する場合はボトルの縦方向となるが、フィルム幅方向の収縮率が高いとフィルムがボトル縦方向に引ける(所謂、縦引け)が発生し、外観上好ましくない上に、フィルムで覆うボトルの面積が減るので、必要なフィルムの面積が増え、コスト面でも好ましくない。特に、底辺が四角形のボトル(所謂、角ボトル)に装着した場合、フィルム幅方向のわずかな収縮でも縦引けが目立ち外観上好ましくない。特に角ボトルに関しては、フィルム幅方向の収縮率は極めて0に近いか、マイナスの収縮率をとるフィルムが好ましい。例えば、特許文献1では、フィルム幅方向の収縮率が0以上であるため、角ボトルに装着した場合、縦引けが発生する。
また、収縮後のフィルムの外観に対する要望において、収縮後のゆがみが少ないことが求められる。収縮後のゆがみは、分子の主配向方向がフィルムの長手方向もしくは幅方向から傾いていることが原因で生じることが知られている。この傾きのことを分子配向角と呼ぶが、通常の二軸延伸を行った場合、フィルム中央部分では機械流れ方向を時計12時方向とした場合、12時方向とフィルム中の分子鎖のなす角度(以下、単に分子配向角と表記)が0°に近い上に、幅方向で分子配向の差がないものの、フィルム端部付近では幅方向の分子配向の差が大きい。これは、延伸距離が短く急激な延伸を行うために端部付近のみでネックインが起こるためである。フィルムの中央部分から端部にわたって分子配向角が小さく、幅方向の分子配向角の差が小さいことがゆがみに関しては理想的である。
フィルムをボトルや弁当容器に収縮させて装着させる際に、収縮によるボトルや弁当容器の変形が問題となる場合がある。変形は収縮時に生じるフィルムの応力によって起きるため、この収縮応力が高すぎることは好ましくない。例えば、非晶成分を限りなく使用せずに、長手方向を主収縮方向とする熱収縮性ポリエステル系フィルムも製膜可能であるが、非晶成分を用いないために長手方向の延伸時の延伸応力が高く、収縮時の応力が高くなる。
さらに、収縮フィルムの外観に関して、フィルム表面のキズの少なさが要望として存在する。フィルム表面のキズは、フィルムに印刷を施した際に、印刷抜けが生じる等の不良を発生させる。通常、フィルムを加熱延伸する際には、フィルムをTg以上に加熱する必要があるが、Tg以上の温度になったフィルムは、製膜機のロールに接触した際にロールとの摩擦やフィルムのズレによってフィルム表面にキズを生じさせる。一般的な縦延伸機を用いた場合、フィルムをTg以上の高温のロールに接触させて加熱するため、キズが生じやすい。
例えば、特許文献1では、製膜に用いる縦延伸機において、フィルムのTg以上の温度になった複数の高温ロールに接触することで、フィルム表面にキズが多数生じるため外観上好ましくない。また、端部付近でのみ急激にネックインが起こるために、端部付近で分子配向角の差が大きく、分子配向角が大きいため端部付近のフィルムを収縮させた際に、ゆがみが生じ、外観上好ましくない。
特許第4411556号公報
本発明の目的は、特許文献1の有する問題点を解決し、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を有し、長手方向である主収縮方向に十分な熱収縮特性を有し、前記主収縮方向と直交する幅方向においては熱収縮率が低く、分子配向角差が小さく、収縮応力が低く、フィルム表面のキズが極めて少なく、機械的強度が高い上、厚み斑が小さい熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1.エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を5モル%より多く含有しているとともに、一定幅の長尺状に形成されており、主収縮方向が長手方向である熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、下記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の温湯熱収縮率が15%以上80%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向と直交する幅方向の温湯熱収縮率が-10%以上10%以下であること
(3) 幅方向の片端縁際の分子配向角と他端縁際の分子配向角との差である分子配向角差をフィルム1m当たりに換算した配向ねじれ指数が15°/m以下1°以上であること
(4) 主収縮方向と直交する方向である幅方向の引張破壊強さが80 MPa以上200 MPa以下であること
2.表面に存在する深さ1μm以上、長さ3mm以上のキズが100個/m2以下15個/m 2 以上であることを特徴とする上記第1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
3.90℃におけるフィルム長手方向の最大熱収縮応力が3 MPa以上、10 MPa以下であることを特徴とする上記第1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
4.長手方向の厚みムラが10%以下4%以上であることを特徴とする上記第1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
5.主収縮方向と直交する方向である幅方向の引張破壊強さが80 MPa以上200 MPa以下であることを特徴とする上記第1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
6.上記第1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とし、ラベルもしくはバンディングフィルムを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなることを特徴とする包装体。
本発明によれば、特許文献1の有する問題点を解決し、長手方向である主収縮方向に十分な熱収縮特性を有し、前記主収縮方向と直交する幅方向においては熱収縮率が低く、幅方向の分子配向角の差が小さく、フィルム表面のキズが極めて少なく、収縮応力が低く、機械的強度が高い上、厚み斑が小さい熱収縮性ポリエステル系フィルムの提供を可能とした。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、表面に存在するキズが極めて少ないため優れた外観性を得ることを可能とした。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ボトルのフィルムラベルに好適に用いることができ、短時間の内に非常に効率良く装着することが可能である上に、装着後に熱収縮させた場合に、収縮不足、縦引け、シワ、内容物の飛び出しのきわめて少ない良好な仕上がりを得ることを可能とした。また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、弁当容器等で胴部と蓋部を結束するバンディングフィルムとして好適に用いることができ、装着後に熱収縮させた場合に、熱収縮による容器の変形、フィルムのシワ、ゆがみや収縮不足のきわめて少ない良好な仕上がりを得ることを可能とした。
延伸方式Aの概略を模式的に示す平面図である。 延伸方式Bの概略を模式的に示す平面図である。 延伸方式Cの概略を模式的に示す平面図である。 収縮後のフィルム歪みを評価した弁当のプラスチック容器を示す。 収縮後の容器の変形を評価した弁当のプラスチック容器を示す。
上記第1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するための好ましい製造方法としては、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうるモノマー成分が5モル%より多く含有されたポリエステル系未延伸フィルムを、同時二軸延伸機を用いて、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でフィルムTg以上Tg + 40℃以下の温度で3.5倍以上6倍以下の倍率で幅方向に延伸(横延伸)した後、フィルムTg以上Tg + 40℃以下の温度でクリップの間隔を広げることで1.5倍以上から6倍以下の倍率で長手方向に延伸(縦延伸)しながら、テンター幅を横延伸後から5%以上35%以下狭めることで幅方向に弛緩することである(以下この延伸方式のことを延伸方式Aと記す)。
また、上記製造方法と同様の効果が得られる、製造方法のひとつとしては、上記と同様のポリエステル系未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でフィルムTg以上、Tg + 40℃以下の温度で3.5以上6倍以下の倍率で幅方向に延伸(横延伸)した後、フィルム端部を把持しているクリップをテンター内で開放させ、テンター内のフィルムに対して、テンター出口付近に設置したロールの張力を伝播させ、フィルムTg以上Tg + 40℃以下の温度でテンターのクリップと出口付近のロールの速度差によって長手方向に1.5倍以上、6倍以下で延伸(縦延伸)することである。フィルムを幅方向に把持しない状態で縦延伸するため、フィルムの幅が5%以上35%以下狭まる。(以下この延伸方式のことを延伸方式Bと記す)
また、上記2つの製造方法と同様の効果が得られる、製造方法のひとつとしては、上記と同様のポリエステル系未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でフィルムTg以上Tg+40℃以下の温度で3.5倍以上6倍以下の倍率で幅方向に延伸(横延伸)した後、再度別のテンター内でフィルムTg以上Tg + 40℃以下の温度にフィルムを加熱しながら、テンターの入口と出口に設置したロールの速度差によって長手方向に1.5倍以上、6倍以下で延伸(縦延伸)することである。フィルムを幅方向に把持しない状態で縦延伸するため、フィルムの幅が5%以上35%以下狭まる(以下、この延伸方式のことを延伸方式Cと記す)。
本発明で使用するポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸(たとえば、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)を含有させる場合、含有率は3モル%未満であることが好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸を3モル%以上含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、高速装着時のフィルム腰が不十分となる。
また、3価以上の多価カルボン酸(たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)を含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
本発明で使用するポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール、1-3プロパンジオール、1-4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(たとえば、1-3プロパンジオール、1-4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を60〜80℃に調整したポリエステルが好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、全ポリステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中の非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を合計で5モル%より多く含有することが必要であり、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、特に20モル%以上であることが好ましい。ここで、非晶質成分となりうるモノマーとしては、たとえば、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオールやイソフタル酸を挙げることができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステル中には、炭素数8個以上のジオール(たとえばオクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(たとえば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を、含有させないことが好ましい。これらのジオール、または多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、下式1により算出したフィルムの長手方向の熱収縮率(すなわち、90℃の温湯熱収縮率)が、15%以上80%以下であることが好ましい。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・式1
90℃における長手方向の温湯熱収縮率が15%未満であると、ラベルやバンディングフィルムとして使用する場合に、収縮不足となり、熱収縮した後のラベルにシワやタルミが生じてしまうので好ましくない。一方、90℃における長手方向の温湯熱収縮率が80%を上回ると、ラベルやバンディングフィルムとして用いた場合に熱収縮時に収縮歪みが生じやすくなったり、いわゆる“飛び上がり”が生じてしまったりするため好ましくない。なお、90℃における長手方向の温湯熱収縮率の下限値は20%であると好ましく、25%であるとより好ましく、30%であると特に好ましい。また、90℃における長手方向の湯温熱収縮率の上限値は、75%以下であると好ましく、70%以下であるとより好ましく、65%以下であると特に好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、上式1により算出したフィルムの幅方向の温湯熱収縮率が、-10%以上10%以下であることが好ましい。90℃における幅方向の温湯熱収縮率が10%を上回ると、ラベルやバンディングフィルムとして用いた場合に熱収縮時に縦引けを起こし外観上好ましくない上に、フィルムの長さが短くなるため好ましくない。一方、-10%を下回ると、熱収縮時に主収縮方向と直交方向のラベル長さが長くなり、たるみが生じてシワになり易いので好ましくない。なお、90℃における幅方向の温湯熱収縮率は、-9%以上9%以下であると好ましく、-8%以上8%以下であるとより好ましく、-7%以上7%以下であるとさらに好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、幅方向の片端縁際の分子配向角と他端縁際の分子配向角の差である分子配向角差をフィルム幅1m当たりに換算した配向ねじれ指数を以下の方法で求めた時に、その配向ねじれ指数が15°/m以下であることが好ましい。なお配向ねじれ指数の上限値は13°/m以下であるとより好ましく、12°/m以下であるとさらに好ましい。配向ねじれ指数は0°/mに近づくほどよいが、1°/mであっても特に問題ない。
[配向ねじれ指数の測定方法]
本発明における分子配向軸とは、フィルムの長手方向をX軸、フィルムの幅方向をY軸、フィルムの厚み方向をZ軸方向とした場合に、フィルムのXY平面上で見た場合に、最も分子配向度が大きい方向を分子配向軸と称する。そして、分子配向角とは上記分子配向軸を測定した場合の分子配向軸が、フィルム長手方向又はフィルム幅方向からずれてくる角度を意味する。分子配向角の測定方法としては、まずフィルムの幅方向で対向する左右の端縁において、矩形のサンプルを採取する。切り出したフィルムサンプルについて分子配向角(分子配向軸方向の角度)を王子計測機器株式会社製の分子配向角測定装置(MOA-6004)で測定する。分子配向角は、フィルムの長手方向の角度を0度とし、上記分子配向軸の方向が、長手方向を基準として45度より小さい時は0度からの差、45度より大きい時は90度からの差を求める。フィルムの幅方向で対向する左右の端縁から採取した矩形サンプルについて、上記方法により分子配向角を測定し、その差の絶対値を、下式2により、サンプルの切り出し位置(中央部分)同士の幅方向の間隔で除すことによってフィルム単位幅(1m)当たりの分子配向角度の差(配向ねじれ指数)を算出する。
配向ねじれ指数 = (左右の端縁から採取した各サンプル分子配向角度の差の絶対値) ÷ (サンプルの切り出し位置同士の間隔) ・・・式2
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、収縮応力が3 MPa以上、10 MPa以下が好ましい。収縮応力の測定方法は実施例に示す。収縮応力が3 MPaを下回ると、ラベルとしてボトルに装着した際や、バンディングフィルムとして弁当等に装着した際に、フィルムが弛んで密着せず、性能上および外観上好ましくない。また、収縮応力が10 MPを上回るとフィルムを収縮させて装着させた際に、ボトルや容器にかかる力が大き過ぎるために、内容物が飛び出したり、容器が変形してしまうため好ましくない。なお、収縮応力は4 MPa以上、9 MPa以下がより好ましく、5 MPa以上、8 MPa以下であるとさらに好ましい。
製膜時にTg以上の温度になったフィルムは、製膜機のロールに接触した際にロールとの摩擦やフィルムのズレによってフィルム表面にキズを生じさせる。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、表面に存在する深さ1μm以上、長さ3mm以上のキズが100個/m2以下であることが好ましい。キズの数が100個/m2を上回ると、フィルムの意匠性等の外観を損なうため好ましくない。なお、キズは90個/m2以下であるとより好ましく、80個/m2以下であるとさらに好ましく、下限はもちろん0個/m2である。
加えて、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の厚み斑が10%以下であることが好ましい。長手方向の厚み斑が10%を超える値であると、ラベルやバンディングフィルム作成の際の印刷時に印刷斑が発生し易くなったり、熱収縮後の収縮斑が発生し易くなったりするのであまり好ましくない。なお、長手方向の厚み斑は9%以下であるとより好ましく、8%以下であると更に好ましく、7%以下であれば特に好ましい。長手方向の厚み斑は0%に近づくほど良いが、下限は2%であって実用上構わない。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、幅方向の引張破壊強さが80 MPa以上200 MPa以下であることが好ましい。なお、引張破壊強さの測定方法は実施例で説明する。上記引張破壊強さが80 MPaを下回ると、ラベルやバンディングフィルムとして装着する際の“腰”(スティフネス)が弱くなるので好ましくなく、反対に、引張破壊強さが200 MPaを上回ると、ラベルを引き裂く際の初期段階におけるカット性(引き裂き易さ)が不良となるので好ましくない。なお、引張破壊強さの下限は、100 MPa以上がより好ましく、110 MPa以上がさらに好ましく、120 MPa以上が特に好ましく、上限は190 MPa以下がより好ましく、180 MPa以下がさらに好ましく、170 MPa以下が特に好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、ラベルやバンディング用熱収縮性フィルムとして5〜100μmが好ましく、10〜95μmがより好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その製造方法について何ら制限される物ではないが、例えば、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す方法により、二軸延伸することによって得ることができる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金より回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
さらに、得られた未延伸フィルムを、後述するように、所定の条件で幅方向に延伸した後に、所定の条件で長手方向に延伸し、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることが可能となる。以下、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得るための好ましい二軸延伸について、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの延伸方法との差異を考慮しつつ詳細に説明する。
(熱収縮性ポリエステル系フィルムの好ましい延伸方法)
通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、収縮させたい方向に未延伸フィルムを延伸することによって製造される。従来から長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルムについての要求は高かったものの、未延伸フィルムを単純に長手方向に延伸するだけでは、幅方向の引張破壊強さが大幅に低くなる上に、幅の広いフィルムが製造できないため生産性の点で好ましくない。
特許文献1には、長手方向と幅方向に機械的特性を向上させるために未延伸フィルムを所定の条件下で横延伸−熱処理―縦延伸の順に延伸する方法が示されている。しかし、この方法では、配向ねじれ指数が大きく、端部では配向角が大きいために、弁当等の容器に巻いて収縮させた時に、ゆがみが生じるために好ましくない。さらに、縦延伸において縦延伸機のフィルムTg以上の温度になったロールに複数接触するため、フィルムとの摩擦やズレにより表面にキズが多数生じる問題がある。
また、非晶原料を限りなく使用せずに長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルムも製膜条件を工夫することで製膜可能である。しかし、非晶原料を使用しない場合、縦延伸時の延伸応力が大きいために、収縮時の応力も高くなり、弁当容器等に巻いて収縮させた際に、容器の変形が生じるため好ましくない。本発明では、非晶性原料を使用することで、延伸時の応力を下げ収縮応力を下げることを可能とした。さらに本発明では、縦延伸距離を通常よりも大幅に長くすることでも延伸時の応力を下げることができ、収縮応力を低減させることが可能となった。通常の縦延伸機を用いた延伸では、低速ロールと高速ロールの僅かな間隔(数mm程度)で延伸するため、延伸距離が短く、延伸速度も速いため延伸応力が高くなり、収縮応力も高くなる。
配向ねじれ指数を小さくし、収縮によるゆがみを解消する方法について以下に解説する。本発明は、研究の結果、縦延伸距離を通常よりも大幅に長くし、縦延伸時に生じるネックイン現象をフィルム幅方向に均一に生じさせることにより、配向ねじれ指数を下げることを可能とした。ネックインは、縦延伸時に延伸方向と直交する方向(幅方向)に生じる力により、フィルムが幅方向に収縮する現象である。通常の縦延伸機による縦延伸では、低速ロールと高速ロールの僅かな隙間 (数mm程度) で延伸するため、ネックインの影響はフィルムの端部付近のみに生じ、かつ長手方向に対して急激にネックインするため、端部付近の配向角が大幅に増加し配向ねじれ指数は大きくなる。本発明では、縦延伸の延伸距離を大幅に長くすることで、ネックインの影響を全幅において生じさせることができ、かつ長手方向に対して緩やかなネックインを可能とし、配向ねじれ指数を低減することを実現した。
長手方向の延伸距離を大幅に長くし、均一ネックインを生じさせながら延伸する方法について以下に説明する。延伸方式Aにおいては、クリップ間隔を広げて長手方向に延伸すると同時に、テンター幅を徐々に狭くすることで均一にネックインさせることが可能となった。一方、延伸方式Bにおいては、テンター内でフィルムをクリップから開放した時点からテンター出口付近に設置したロールの間で延伸されるため、延伸距離は長く、均一なネックインを生じさせることが可能となった。また、延伸方式Cにおいても、テンターの入口付近のロールから出口付近のロールの間で延伸されるため延伸距離は長く、均一なネックインを生じさせることが可能となった。延伸方式Aを図1に、延伸方式Bを図2に、延伸方式Cを図3に示す。
表面に生じるキズを大幅に低減させる延伸方式について以下に説明する。本発明者は研究の結果、フィルムのTg以上のロールに接触させずに、長手方向に延伸する収縮フィルムの製膜方法を考案し、フィルム表面のキズを大幅に減少させることを可能とした。上記の延伸方式Aにあるように同時二軸延伸機を用いて横延伸後、クリップ間隔を広げることにより長手方向に延伸することで、Tg以上のロールにフィルムが接触することなく十分な収縮性をもったフィルムを製膜できることがわかった。また、上記延伸方式Bにあるように、横延伸後にテンター内部で把持しているクリップを開放し、テンター出口付近に設置したロールの張力を伝播させることで長手方向に延伸した場合においても、Tg以上のロールに接触することなく収縮フィルムを製膜できることがわかった。なお、出口付近のロールの位置はテンター出口から十分に離れているため、フィルムがロールに接触する時点ではフィルムの温度はTg以下にある。さらに、上記延伸方式Cにあるように、フィルムをクリップに把持せずテンターに導入し、テンターの入口付近と出口付近に設置したロールの速度差によりテンター内で長手方向に延伸することで、Tg以上のロールにフィルムが接触することなく十分な収縮性をもったフィルムを製膜できることがわかった。なお、出口付近のロールの位置はテンター出口から十分に離れているため、フィルムがロールに接触する時点ではフィルムの温度はTg以下にある。
本発明の熱収縮性フィルムの好ましい幅方向の延伸倍率、長手方向の延伸倍率、延伸距離、縦延伸時の幅縮み率について記述する。
幅方向の延伸倍率は、2.5倍以上6倍以下が好ましい。幅方向の延伸倍率が2.5倍を下回ると生産性が悪いばかりでなく、幅方向の厚み斑が悪くなるので好ましくない。また幅方向の延伸倍率が6倍を上回ると、延伸時に破断を起こしやすくなる上、縦延伸後のフィルムにおいて幅方向の収縮率が高くなりすぎるため好ましくない。より好ましくは、3倍以上、5.5倍以下であり、さらに好ましくは、3.5倍以上、5倍以下である。
長手方向の延伸倍率は、1.5倍以上、6倍以下が好ましい。延伸倍率が1.5倍を下回ると、必要な収縮率を得られないため好ましくない。また延伸倍率が6倍を上回ると、延伸方式Aの場合、テンター長さが長くなりすぎるため好ましくなく、延伸方式BおよびCの場合、縦延伸時の幅縮みが大きくなりすぎ、幅方向の収縮率が大きくマイナスになることが原因で、ボトルのラベルや、バンディングフィルムとして収縮させた際にシワ等の不良を生じさせるため好ましくない。より好ましくは、2倍以上5.5倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上5倍以下である。
長手方向の延伸距離は1000mm以上7000mm以下が好ましい。縦延伸距離が1000mm以下であると、縦延伸時に全幅で均一なネックインが生じないため好ましくない。7000mmを上回ると、ネックインが大きくなりすぎ幅方向の収縮率が大幅に低下するため好ましくない。より好ましくは1500mm以上、6500mm以下であり、さらに好ましくは、2000mm以上、6000mm以下である。
縦延伸のネックインによって生じる幅方向の収縮の量を「縦延伸時の幅縮み率」と記述する。縦延伸時の幅縮み率は、延伸前のフィルムの幅をX、延伸後のフィルムの幅をYとした時、以下の式4で表される。
縦延伸時の幅縮み率(%) = 100 × (X-Y) / X ・・・式4
縦延伸時の幅縮み率は5%以上、35%以下が好ましい。縦延伸時の幅縮み率は延伸方式Aでは、縦延伸時のテンター幅で調整可能であり、延伸方式BおよびCでは延伸倍率、縦延伸距離、ピンチロールの有無によって調整可能である。延伸方式BとCにおいて、延伸倍率を高くすると縦延伸時の幅縮み率は大きくなる傾向にあり、縦延伸距離を長くすると縦延伸時の幅縮み率は大きくなる傾向がある。また、ピンチロールを使用することで必要以上に縦延伸時の幅縮み率が大きくならないようにすることが可能である。さらに、延伸方式BおよびCにおいて、横延伸後にフィルムを加熱処理する工程を設けることで縦延伸時の幅縮み率を調整可能である。横延伸後のフィルムは幅方向の収縮率が高く、縦延伸時に幅方向に必要以上に大きく収縮してしまう場合がある。横延伸後に、テンター内でクリップを把持した状態で加熱処理することにより、幅方向の収縮率を低下させ、縦延伸時の幅縮み率を調整することができる。この熱処理工程では、テンター幅やクリップ間隔の変化はさせない。なお、この熱処理工程は縦延伸時時の幅縮み率を調整するためであり、必ずしも必要なわけではなく、原料処方や延伸倍率、縦延伸距離によっては実施しなくてもよい。
縦延伸時の幅縮み率が5%を下回ると、幅方向に均一なネックインが生じず、配向ねじれ指数を低減できないため好ましくない。また、35%を上回ると、幅方向の収縮率が大幅に減少して大きくマイナス収縮となるため、シワ等の不良を生じさせるため好ましくない。より好ましくは、7%以上、33%以下であり、さらに好ましくは10%以上、30%以下である。
上記のピンチロールとは、ロールとロールの間でフィルムを挟み込み正確にフィルムを送るニップロールの一種であり、フィルム両端を外側に引っ張り、フィルムが外向きに送られるように、フィルム端部の位置に2つのニップロールを幅方向に左右対称にとりつけ、わずかであるがハの字に傾ける。
本発明の包装体は、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られたバンディングフィルム及びラベルが、包装対象物の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成されるものである。包装対象物としては、(飲料用のPETボトルを始め、各種の瓶、缶、菓子や)弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる。なお、通常、それらの包装対象物に、熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られるラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該バンディングフィルム及びラベルを約5〜70%程度熱収縮させて包装体に密着させる。なお、包装対象物に被覆されるバンディングフィルム及びラベルには、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。
バンディングフィルム及びラベルを作製する方法としては、長方形状のフィルムのを長手方向に丸めて端部を重ね合わせて接着してラベル状にするか、あるいは、ロール状に巻き取ったフィルムをロール長手方向に丸めて端部をフィルムに重ね合わせて接着して、チューブ状体としたものをカットしてラベル状とする。フィルム同士を接着する方法は、溶断シール、溶剤接着、ホットメルト接着剤による接着、エネルギー線硬化型接着剤による接着など、既知の方法を用いて行うことができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。実施例、比較例で使用した原料の組成、実施例、比較例におけるフィルムの延伸方式、製造条件を、それぞれ表1に示す。
Figure 0006634824
また、フィルムの評価方法は下記の通りである。
[Tg(ガラス転移点)]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS−K7121−1987に従って求めた。未延伸フィルム5mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
[固有粘度 (IV)]
ポリエステル0.2gをフェノール/1,1,2,2-テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒50ml中に溶解し、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。単位はdl/g。
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、上式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。当該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
[配向ねじれ指数]
フィルムの幅方向の左右の端縁において、長手方向×幅方向=140mm×100mmのサンプルを採取した。そして、それらの2つのサンプルについて、王子計測機器株式会社製の分子配向角測定装置(MOA-6004)を用いて分子配向角を測定した。そして、下式2を用いて分子配向角度を求めた。
分子配向角度 = 90°-(測定結果) ・・・式2
そして、それらの2つのサンプルの分子配向角度の差の絶対値を算出し、その差の絶対値を、下式3により、サンプルの切り出し位置(中央部分)同士の間隔で除すことによって、単位幅(1m)当たりの分子配向角度の差を算出して、配向ねじれ指数とした。
配向ねじれ指数 = (各サンプル分子配向角度の差の絶対値) ÷ (サンプルの切り出し位置同士の間隔) ・・・式3
[収縮後のゆがみ]
弁当のプラスチック容器(辺 150×150mm、高さ100mm)に対して、容器の胴部と蓋部をフィルムが結束するように、容器の周方向をフィルムの収縮方向にして巻き付け、220℃で溶断シール後、設定温度90℃のシュリンクトンネルにて加熱収縮させた。図4において、プラスチック容器を置いた地面からフィルムの端まで長さを長さXとし、長さXを、5mmピッチで周方向(フィルム長手方向)に測定し、長さXの最大値と最小値の差をRとした。R.の大きいものを、収縮後のゆがみが大きいと判断し、基準は下記のようにした。
◎: R ≦1mm
○: 1mm < R ≦2mm
△: 2mm < R ≦3mm
×: 3mm < R
上記評価を、製造したフィルムロールの中央部分と端部分の2つのサンプルにおいて実施した。
[収縮応力]
熱収縮フィルムから主収縮方向の長さが200mm、幅20mmのサンプルを切り出し、東洋ボードウィン社製(現社名オリエンテック)の加熱炉付き強伸度測定機(テンシロン(オリエンテック社の登録商標))を用いて測定した。加熱炉は予め90℃に加熱しておき、チャック間の距離は100mmとした。加熱炉の送風を一旦止めて加熱炉の扉を開け、サンプルをチャックに取付け、その後速やかに加熱炉の扉を閉めて、送風を再開した。収縮応力を30秒以上測定し、測定中の最大値を収縮応力(MPa)とした。
[容器の変形]
弁当のプラスチック容器(辺 150×150mm、高さ100mm)に対して、容器の胴部と蓋部をフィルムが結束するように、容器の周方向をフィルムの収縮方向にして巻き付け、220℃で溶断シール後、設定温度90℃のシュリンクトンネルにて加熱収縮させた。図5は弁当容器を上から見た図であるが、フィルム装着前に一辺から反対のもう一辺までの長さYを5mmピッチで測定し、フィルムを収縮させて装着後に同様に同じ箇所の長さY’を測定して、YとY’の差の絶対値をLとした。5mmピッチに算出したLの最大値Lmaxを求め、Lmaxの大きいものを容器の変形が大きいと判断し、基準は以下のようにした。
◎: Lmax ≦3mm
○: 3mm < Lmax ≦4mm
△: 4mm < Lmax ≦5mm
×: 5mm < Lmax
[表面のキズ]
(1) キズの検出
フィルム片16枚について、光学的に50μm以上の大きさと認識される光学欠点を検出した。
光学欠点検出方法は、投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテーブル下方400mmに設置し、XYテーブル上に設けたスリット幅10mmのマスク上に測定対象の試験片を載せた。投光器と受光器を結ぶ線と、試験片表面の鉛直方向のなす角度を12°となるように光を入射すると、入射位置の試験片にキズが存在する場合に、その部分が光り輝く。その部分の光量をXYテーブル上方500mmに設置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し、微分してスレッシュホールド(閾値)レベルとコンパレータで比較して、光学欠点の検出信号を出力する。また、CCDイメージセンサカメラを用いて、キズの画像を入力し、入力された画像のビデオ信号を所定の手順により解析して、光学欠点の大きさを計測し、50μm以上の欠点の位置を表示した。光学欠点の検出は、試験片の両面について行った。
(2)キズの大きさの測定
上記(1)において検出される光学欠点部分から、キズによる欠点を選出した。上記の試験片を適当な大きさに裁断し、マイクロマップ社製3次元形状測定装置TYPE550を用いて、試験片表面に対して垂直方向から観察し、キズの大きさを測定した。試験片、すなわちフィルム表面に対して垂直方向から観察した時に、50μm以内に近接するキズの凹凸は同一のキズとして考え、それらのキズの最外部を覆う最小面積の長方形の長さ及び幅を、キズの長さおよび幅とした。キズの最も高い所と最も低いところの高さの差を深さとし、深さ1μm以上且つ長さ3mm以上の全キズの個数(個/m2)を求めた。
[引張破壊強さ]
測定方向(フィルム幅方向)が140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)が20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS-100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端をチャックで片側20 mmずつ把持(チャック間距離100 mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200 mm/minの条件にて引張試験を行い、引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとした。
[長手方向の厚み斑]
フィルム長手方向を長さ30 m×幅40 mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、5(m/分)の速度で測定した。なお、上記したロール状のフィルム試料のサンプリングにおいては、フィルム試料の長さ方向をフィルムの主収縮方向とした。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式5からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式5
また、実施例および比較例に用いたポリエステルは以下の通りである。
・ポリエステル1:エチレングリコール70モル%, ネオペンチルグリコール30モル%とテレフタル酸からなるポリエステル(IV 0.72 dl/g)
・ポリエステル2 : ポリエチレンテレフタレート(IV 0.75 dl/g)
・ポリエステル3 : エチレングリコール70モル%, 1,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%とテレフタル酸からなるポリエステル(IV 0.75 dl/g)
〔実施例1〕
上記したポリエステル1とポリエステル2とを重量比60:40で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが170μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、この未延伸フィルムを同時二軸延伸機に導いた。そして、テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後、横方向に75℃で4倍に延伸し、その後クリップ間隔を広げることにより90℃で縦方向に2.5倍に延伸した。この時縦延伸距離は2000mmであった。また、縦延伸の際にテンター幅を横延伸後から15% 狭めることで、フィルムを幅方向に弛緩させた。つまり縦延伸時の幅縮み率は15%であった。テンター後に両縁部を裁断除去することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールを得た。この一連のフィルム延伸製膜工程において、温度がTg以上であるロール数は0であった。また、この工程においてピンチロールは使用しなかった。そして、得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
Figure 0006634824
〔実施例2〕
ポリエステル1とポリエステル2を重量比90:10で混合して押出機に投入した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。未延伸フィルムの厚みは160μmで、Tgは75℃であった。また、縦延伸時の幅縮み率は20%であった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例3〕
ポリエステル3とポリエステル2を重量比60:40で混合して押出機に投入した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。未延伸フィルムの厚みは172μmで、Tgは75℃であった。また、縦延伸時の幅縮み率は14%であった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例4〕
上記したポリエステル1とポリエステル2とを重量比60:40で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが156μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、この未延伸フィルムを横延伸機に導入した。テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後、横方向に80℃で4倍に延伸した。横延伸した後、フィルムをクリップに把持した状態で100℃の温度で2秒間に亘って熱処理した。熱処理後、フィルム端部を把持しているクリップをテンター内で開放させ、テンター内のフィルムに対して、テンター出口付近に設置したロールの張力を伝播させた。テンター出口付近のロール速度を、テンターのクリップ速度の2.5倍に設定することで、フィルムをテンター内において90℃で2.5倍に縦延伸した。この時クリップを開放した地点からテンター出口付近のロールまでの距離(縦延伸距離)は4000 mm であった。また、縦延伸時にフィルム幅方向に縮み過ぎないようにピンチロールを使用した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は22%であった。縦延伸後に両縁部を裁断除去することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールを得た。この一連のフィルム延伸製膜工程において、温度がTg以上であるロール数は0であった。得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例5〕
未延伸フィルムの厚みを170μmにし、縦延伸倍率を2倍に変更した以外は、実施例4と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は15%であった。得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例6〕
未延伸フィルムの厚みを230μmにし、縦延伸倍率を4倍に変更した以外は、実施例4と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は28%であった。得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例7〕
未延伸フィルムの厚みを331μmにし、縦延伸倍率を6倍に変更した以外は、実施例4と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は31%であった。得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例8〕
未延伸フィルムの厚みを140μmにし、縦延伸時にピンチロールを使用しなかった以外は、実施例4と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は30%であった。得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例9〕
未延伸フィルムの厚みを150μmにし、クリップを開放した地点からテンター出口付近のロールまでの距離(縦延伸距離)を5000mmに変更した以外は、実施例4と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は25%であった。得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例10〕
未延伸フィルムの厚みを144μmにし、クリップを開放した地点からテンター出口付近のロールまでの距離(縦延伸距離)を6000mmに変更した以外は、実施例4と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。縦延伸時のフィルム幅方向の縮み率は28%であった。得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔実施例11〕
上記したポリエステル1とポリエステル2とを重量比60:40で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが158μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、この未延伸フィルムを横延伸機(第一テンター)に導入した。テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後、横方向に80℃で4倍に延伸した。横延伸後のフィルムをクリップに把持したまま、100℃の温度で2秒間に亘って熱処理した。第一テンターで横延伸と熱処理後、フィルムを、張力をかけることができるロールを入口と出口に設置したテンターに導いた。第二テンターではフィルムの端部をクリップで把持せず、熱風により加熱し、第二テンター内のフィルムを入口と出口のロールの速度差によって90℃で縦延伸した。速度差は2.5倍にし、フィルム幅方向に縮み過ぎないようにピンチロールを使用した。第二テンターの入口と出口のロール間の距離(縦延伸距離)は4000mmとし、フィルム幅方向の縮み率は21%であった。縦延伸後に両縁部を裁断除去することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールを得た。この一連のフィルム延伸製膜工程において、温度がTg以上であるロール数は0であった。得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性を有し、収縮仕上がり性が良く、キズの少ないフィルムであった。
〔比較例1〕
上記したポリエステル1とポリエステル2とを重量比60:40で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが60μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、10本の予熱ロール上でフィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後に、ロールの速度差を用いて3倍に延伸した。この時、延伸距離は4mmであり、フィルム幅方向の縮み率は2%であった。しかる後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。 このフィルム延伸製膜工程において、温度がTg以上であるロール数は10本であった。この延伸方式を延伸方式Dとし、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性は有するものの、厚み斑が悪く、幅方向の引張破断強度が低い上に、キズの多いフィルムであった。
〔比較例2〕
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比90:10で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが157μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、その未延伸フィルムを、横延伸機(通常のテンター)に導いた。 そして、テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後、横方向に75℃で4倍に延伸した。しかる後、130℃の温度で2秒間に亘って熱処理した。さらに、テンターの後方に設けられた左右一対のトリミング装置を利用して、フィルムの端縁際を切断し、切断部位の外側に位置したフィルムの端部を連続的に除去した。そのように横延伸、熱処理、トリミングされたフィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、10本の予熱ロール上でフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後に、ロールの速度差を用いて3倍に延伸した。この時、延伸距離は4mmであり、フィルム幅方向の縮み率は2%であった。しかる後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。 そして、冷却後のフィルムをテンター(第2テンター)へ導き、当該第2テンター内で90℃の雰囲気下で2秒間に亘って熱処理した後に冷却し、両縁部を裁断除去することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールを得た。この一連のフィルム延伸製膜工程において、温度がTg以上であるロール数は10本であった。この延伸方式を延伸方式Eとし、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性は有するものの、フィルム端部付近のサンプルで収縮ゆがみが生じ、キズの多いフィルムであった。
[比較例3]
ポリエステル2のみを用いて押出機に投入し、その樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが157μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、その未延伸フィルムを、横延伸機(通常のテンター)に導いた。 そして、テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が100℃になるまで予備加熱した後、横方向に90℃で4倍に延伸した。 さらに、そのように横延伸、熱処理されたフィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、10本の予熱ロール上でフィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後に、ロールの速度差を用いて2倍に延伸した。この時、延伸距離は4mmであり、フィルム幅方向の縮み率は2%であった。しかる後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。 そして、冷却後のフィルムをテンター(第2テンター)へ導き、当該第2テンター内で90℃の雰囲気下で8秒間に亘って熱処理しながら、幅方向へ5%弛緩を施した。第2テンター後に両縁部を裁断除去することによって、約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールを得た。この一連のフィルム延伸製膜工程において、温度がTg以上であるロール数は10本であった。この延伸方式を延伸方式Eとし、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。評価の結果、十分な収縮性は有するものの、フィルム端部付近のサンプルで収縮ゆがみが生じ、収縮装着させると容器が変形し、キズの多いフィルムであった。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記の如く優れた特性を有しているので、ボトルのラベル用途や弁当等の結束目的で使用するバンディングフィルム用途に好適に用いることができ、同フィルムがラベルやバンディングフィルムとして用いられた包装体は美麗な外観を有するものである。長手方向に十分な熱収縮率を有するフィルムであり、幅方向の収縮率は低く、容器に変形や収縮ゆがみを発生させない上に、フィルム表面のキズが極めて少なく、外観に優れたフィルムである。
1:テンター
2:クリップオープナー
3:クリップ
4:延伸フィルム
5:ロール
6:プラスチック容器(蓋部)
7:プラスチック容器(胴部)
8:フィルム
9:延伸距離

Claims (6)

  1. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を5モル%より多く含有しているとともに、一定幅の長尺状に形成されており、主収縮方向が長手方向である熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、下記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
    (1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の温湯熱収縮率が15%以上80%以下であること
    (2)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向と直交する幅方向の温湯熱収縮率が-10%以上10%以下であること
    (3) 幅方向の片端縁際の分子配向角と他端縁際の分子配向角との差である分子配向角差をフィルム1m当たりに換算した配向ねじれ指数が15°/m以下1°以上であること
    (4) 主収縮方向と直交する方向である幅方向の引張破壊強さが80 MPa以上200 MPa以下であること。
  2. 表面に存在する深さ1μm以上、長さ3mm以上のキズが100個/m2以下15個/m 2 以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 90℃におけるフィルム長手方向の最大熱収縮応力が3 MPa以上、10 MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. 長手方向の厚みムラが10%以下4%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 主収縮方向と直交する方向である幅方向の引張破壊強さが80 MPa以上200 MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを基材とし、ラベルもしくはバンディングフィルムを少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させてなることを特徴とする包装体。
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