JP4877056B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向の湯温熱収縮率が40%以上80%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が0%以上15%以下であること
(3)80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後の単位厚み当たりの長手方向の直角引裂強度が30N/mm以上310N/mm以下であること
(4)80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後に幅方向および長手方向のエルメンドルフ引裂荷重を測定した場合におけるエルメンドルフ比が0.3以上1.5以下であること
(5)長手方向の引張破壊強さが130MPa以上300MPa以下であること
(6)幅方向の片端縁際の分子配向角と他端縁際の分子配向角との差である分子配向角差をフィルム幅1m当たりに換算した配向ねじれ指数が2.0°/m以上9.0°/m以下であること
(a)未延伸フィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で長手方向に2.2倍以上3.0倍以下の倍率で延伸した後、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で長手方向に1.2倍以上1.5倍以下の倍率で延伸することにより、トータルで2.8倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸する縦延伸工程
(b)縦延伸後のフィルムを、Tg+5℃以上Tg+70℃以下の温度で幅方向に1.3倍以上5倍以下の倍率で延伸する第一の横延伸工程
(c)第一の横延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上25.0秒以下の時間に亘って熱処理する中間熱処理工程
(d)中間熱処理後のフィルムを、前後の各ゾーンと遮断されており積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることによって自然に冷却する自然冷却工程
(e)自然冷却後のフィルムを、表面温度がTg+5℃以上Tg+60℃以下の温度となるまで積極的に冷却する積極冷却工程
(f)積極冷却後のフィルムを、Tg+5℃以上Tg+60℃以下の温度で幅方向に1.5倍以上3.5倍以下の倍率で延伸する第二の横延伸工程
(g)第二の横延伸後のフィルムを、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、30℃以上100℃以下の温度に調整されたテンター内を通過させるセット工程
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) ・・式1
80℃に調整された湯温中にてフィルムを幅方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて所定の大きさの試験片としてサンプリングする。しかる後に、万能引張試験機で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて、フィルムの長手方向における引張破壊時の強度の測定を行う。そして、下式2を用いて単位厚み当たりの直角引裂強度を算出する。
直角引裂強度=引張破壊時の強度÷厚み ・・式2
所定の長さを有する矩形状の枠にフィルムを予め弛ませた状態で装着する(すなわち、フィルムの両端を枠によって把持させる)。そして、弛んだフィルムが枠内で緊張状態となるまで(弛みがなくなるまで)、約5秒間に亘って80℃の温水に浸漬させることによって、フィルムを幅方向に10%収縮させる。しかる後に、JIS−K−7128に準じて、フィルムの幅方向および長手方向のエルメンドルフ引裂荷重の測定を行い、下式3を用いてエルメンドルフ比を算出する。
エルメンドルフ比=長手方向のエルメンドルフ引裂荷重÷幅方向のエルメンドルフ引裂荷重 ・・式3
JIS−K7113に準拠し、所定の大きさの短冊状の試験片を作製し、万能引張試験機でその試験片の両端を把持して、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムの長手方向の引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとして算出する。
フィルムの幅方向の左右の端縁において、それぞれ矩形のサンプルを採取し、それらの2つのサンプルについて、分子配向角測定装置(たとえば、王子計測機器株式会社製 MOA−6004)を用いて分子配向角を測定する。そして、各測定値について、下式4を用いて分子配向角度を求め、それらの2つの分子配向角度の差を算出し、その差の値を、下式5により、サンプルの切り出し位置(中央部分)同士の間隔で除すことによって、単位幅(1m)当たりの分子配向角度の差を算出する。
分子配向角度(MOR)=90°−|測定結果| ・・式4
配向ねじれ指数=各サンプルMORの差/サンプルの切り出し位置同士の間隔 ・・式5
上述したように、通常、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、未延伸フィルムを収縮させたい方向(すなわち、主収縮方向、通常は幅方向)のみに延伸することによって製造される。本発明者らが従来の製造方法について検討した結果、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造においては、以下のような問題点があることが判明した。
・単純に幅方向に延伸するだけであると、上述の如く、長手方向の機械的強度が小さくなり、ラベルとした場合のミシン目開封性が悪くなる。その上、製膜装置のライン速度を上げることが困難である。
・幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する方法を採用すると、どのような延伸条件を採用しても、幅方向の収縮力を十分に発現させることができない。さらに、長手方向の収縮力が同時に発現してしまい、ラベルとした際に収縮装着後の仕上がりが悪くなる。
・長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法を採用すると、幅方向の収縮力は発現させることができるものの、長手方向の収縮力が同時に発現してしまい、ラベルとした際に収縮装着後の仕上がりが悪くなる。
・ラベルとした際のミシン目開封性を良好なものとするためには、長手方向へ配向した分子をある程度残しておく必要があると考えられること
・ラベルとした際の収縮装着後の仕上がりを良好なものとするためには、長手方向への収縮力を発現させないことが不可欠であり、そのためには長手方向へ配向した分子の緊張状態を解消する必要があると考えられること
(1)縦延伸条件の制御
(2)縦延伸後における小倍率横延伸(一段目の横延伸)
(3)一段目の横延伸後における中間熱処理
(4)中間熱処理と横延伸(二段目の横延伸)との間における自然冷却(加熱の遮断)
(5)自然冷却後のフィルムの強制冷却
(6)二段目の横延伸条件の制御
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、本発明のフィルムロールを得るためには、縦延伸を二段で行うのが好ましい。すなわち、実質的に未配向のフィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で2.2倍以上3.0倍以下の倍率となるように縦延伸し(一段目の延伸)、Tg以下に冷却することなく、Tg+10以上Tg+40℃以下の温度で1.2倍以上1.5倍以下の倍率となるように縦延伸する(二段目の延伸)ことにより、トータルの縦延伸倍率(すなわち、一段目の縦延伸倍率×二段目の縦延伸倍率)が2.8倍以上4.5倍以下となるように縦延伸するのが好ましく、トータルの縦延伸倍率が3.0倍以上4.3倍以下となるように縦延伸するとより好ましい。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、縦延伸後のフィルムに小倍率となるように横延伸する必要がある。すなわち、横延伸は、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、70℃(Tg+5℃)以上135℃(Tg+70℃)以下の温度で1.3倍以上5.0倍以下の倍率となるように行う必要がある。
上述の如く、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させるためには、長手方向に配向した分子を熱緩和させることが好ましいが、従来、フィルムの二軸延伸において、一軸目の延伸と二軸目の延伸との間において、高温の熱処理をフィルムに施すと、熱処理後のフィルムが結晶化してしまうため、それ以上延伸することができない、というのが業界での技術常識であった。しかしながら、本発明者らが試行錯誤した結果、縦−横延伸法において、ある一定の条件で縦延伸を行い、その縦延伸後のフィルムの状態に合わせて中間熱処理を所定の条件で行い、さらに、その中間熱処理後のフィルムの状態に合わせて所定の条件で横延伸を施すことによって、横延伸時に破断を起こさせることなく、“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”をフィルム内に存在させ得る、という驚くべき事実が判明した。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く、縦延伸後に中間熱処理を施す必要があるが、その縦延伸と中間熱処理との間において、0.5秒以上3.0秒以下の時間に亘って、積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させる必要がある。すなわち、横延伸用のテンターの横延伸ゾーンの前方に中間ゾーンを設けておき、縦延伸後のフィルムをテンターに導き、所定時間をかけて当該中間ゾーンを通過させた後に、横延伸を実施するのが好ましい。加えて、その中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、フィルムの流れに伴う随伴流および冷却ゾーンからの熱風を遮断するのが好ましい。なお、中間ゾーンを通過させる時間が0.5秒を下回ると、横延伸が高温延伸となり、横方向の収縮率を十分に高くすることができなくなるので好ましくない。反対に中間ゾーンを通過させる時間は3.0秒もあれば十分であり、それ以上の長さに設定しても、設備のムダとなるので好ましくない。なお、中間ゾーンを通過させる時間の下限は、0.7秒以上であると好ましく、0.9秒以上であるとより好ましい。また、中間ゾーンを通過させる時間の上限は、2.8秒以下であると好ましく、2.6秒以下であるとより好ましい。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く自然冷却したフィルムをそのまま横延伸するのではなく、フィルムの温度が70℃以上120℃以下となるように急冷することが必要である。なお、急冷後のフィルムの温度の下限は、75℃以上であると好ましく、80℃以上であるとより好ましい。また、急冷後のフィルムの温度の上限は、115℃以下であると好ましく、110℃以下であるとより好ましい。
本発明の縦−横延伸法によるフィルムの製造においては、縦延伸、一段目の横延伸、中間熱処理、自然冷却、強制冷却後のフィルムを所定の条件で横延伸(二段目の横延伸)する必要がある。すなわち、横延伸は、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、70℃(Tg+5℃)以上125℃(Tg+60℃)以下の温度で1.5倍以上3.5倍以下の倍率となるように行う必要がある。かかる所定条件で二段目の横延伸を施すことによって、縦延伸および中間熱処理によって形成された“長手方向に配向しつつ収縮力に寄与しない分子”を保持したまま、幅方向へ分子を配向させて幅方向の収縮力を発現させることが可能となり、ラベルとした際のミシン目開封性が良好なフィルムを得ることが可能となる。なお、二段目の横延伸の温度の下限は、73℃以上であると好ましく、76℃以上であるとより好ましい。また、二段目の横延伸の温度の上限は、122℃以下であると好ましく、119℃以下であるとより好ましい。一方、二段目の横延伸の倍率の下限は、1.7倍以上であると好ましく、1.9倍以上であるとより好ましい。また、二段目の横延伸の倍率の上限は、3.3倍以下であると好ましく、3.1倍以下であるとより好ましい。
本発明の本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造に当たっては、縦延伸工程、一段目の横延伸工程、中間熱処理工程、自然冷却工程、強制冷却工程、二段目の横延伸工程の内の何れかの工程のみが、単独でフィルムの特性を良好なものとすることができるものではなく、縦延伸工程、一段目の横延伸工程、中間熱処理工程、自然冷却工程、強制冷却工程、二段目の横延伸工程のすべてを所定の条件にて行うことにより、非常に効率的にフィルムの特性を良好なものとすることが可能となるものと考えられる。また、フィルムの特性の中でも、エルメンドルフ比、長手方向の直角引裂強度、長手方向の引張破壊強さ、動摩擦係数、配向ねじれ指数といった重要な特性は、特定の複数の工程同士の相互作用によって大きく数値が変動する。
一段目、二段目の横延伸前の予熱工程=0.0030J/cm2・sec・℃以上0.0050J/cm2・sec・℃以下
一段目の横延伸工程=0.0040J/cm2・sec・℃以上0.0120J/cm2・sec・℃以下
中間熱処理工程=0.0060J/cm2・sec・℃以上0.0200J/cm2・sec・℃以下
二段目の横延伸工程=0.0050J/cm2・sec・℃以上0.0130J/cm2・sec・℃以下
最終的な熱セット工程=0.0005J/cm2・sec・℃以上0.0060J/cm2・sec・℃以下
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。当該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) ・・式1
延伸したフィルムを、主収縮方向(幅方向)×主収縮方向と直交する方向(長手方向)=200mm×15mmのサイズにカットした。しかる後、(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50を温度90℃に調整した上で、カットしたフィルムをセットし、10秒間保持したときの主収縮方向の応力値を測定した。
80℃に調整された湯温中にてフィルムを主収縮方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて、図1に示す形状にサンプリングすることによって試験片を作製した(なお、サンプリングにおいては、試験片の長手方向をフィルムの主収縮方向とした)。しかる後に、万能引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて、引張破壊時の強度の測定を行い、下式2を用いて単位厚み当たりの直角引裂強度を算出した。
直角引裂強度=引張破壊時の強度÷厚み ・・式2
得られたフィルムを矩形状の枠に予め弛ませた状態で装着し(フィルムの両端を枠によって把持させ)、弛んだフィルムが枠内で緊張状態となるまで(弛みがなくなるまで)、約5秒間に亘って80℃の温水に浸漬させることによって、フィルムを主収縮方向に10%収縮させた(以下、予備収縮という)。しかる後に、JIS−K−7128に準じて、主収縮方向×直交方向=75mm×63mmのサイズに切り取り、長尺な端縁(主収縮方向に沿った端縁)の中央から当該端縁に直交するように20mmのスリット(切り込み)を入れることによって試験片を作製した。そして、作製された試験片を用いて主収縮方向のエルメンドルフ引裂荷重の測定を行った。また、上記方法と同様な方法でフィルムを主収縮方向に予備収縮させた後に、フィルムの主収縮方向と直交方向とを入れ替えて試験片を作製し、直交方向のエルメンドルフ引裂荷重の測定を行った。そして、得られた主収縮方向方向および主収縮方向と直交する方向のエルメンドルフ引裂荷重から下式3を用いてエルメンドルフ比を算出した。
エルメンドルフ比=長手方向のエルメンドルフ引裂荷重÷幅方向のエルメンドルフ引裂荷重 ・・式3
フィルムの幅方向の左右の端縁において、長手方向(MD方向)×幅方向=140mm×100mmのサンプルを採取した。そして、それらの2つのサンプルについて、王子計測機器株式会社製の分子配向角測定装置(MOA−6004)を用いて分子配向角を測定した。そして、下式4を用いて分子配向角度を求めた。
分子配向角度(MOR)=90°−|測定結果| ・・式4
そして、それらの2つのサンプルの分子配向角度の差を算出し、その差の値を、下式5により、サンプルの切り出し位置(中央部分)同士の間隔で除すことによって、単位幅(1m)当たりの分子配向角度の差を算出して、配向ねじれ指数とした。
配向ねじれ指数=各サンプルMORの差/サンプルの切り出し位置同士の間隔 ・・式5
JIS−K7113に準拠し、所定の大きさの短冊状の試験片を作製し、万能引張試験機でその試験片の両端を把持して、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムの長手方向の引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとして算出した。
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを塗布して2枚を張り合わせることによってシールを施した。しかる後、シール部をフィルムの主収縮方向と直交する方向(以下、直交方向という)に15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50にセットし、引張速度200mm/分の条件で180°ピール試験を行った。そして、そのときの引張強度を溶剤接着強度とした。
JIS K−7125に準拠し、引張試験機(ORIENTEC社製テンシロン)を用い、23℃・65%RH環境下で、フィルムの表面と裏面とを接合させた場合の動摩擦係数μdを求めた。なお、上側のフィルムを巻き付けたスレッド(錘)の重量は、1.5kgであり、スレッドの底面積の大きさは、縦63mm×横63mmであった。また、摩擦測定の際の引張速度は、200mm/min.であった。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
熱収縮性フィルムに、予め東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷を施した。そして、印刷したフィルムの両端部をジオキソランで接着することにより、円筒状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としたラベル)を作成した。しかる後、Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH−1500−L)を用い、通過時間2.5秒、ゾーン温度80℃で、500mlのPETボトル(胴直径 62mm、ネック部の最小直径25mm)に熱収縮させることにより、ラベルを装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径40mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後の仕上がり性の評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
◎:シワ,飛び上り、収縮不足の何れも未発生で、かつ色の斑も見られない
○:シワ,飛び上り、または収縮不足が確認できないが、若干、色の斑が見られる
△:飛び上り、収縮不足の何れも未発生だが、ネック部の斑が見られる
×:シワ、飛び上り、収縮不足が発生
予め主収縮方向とは直向する方向にミシン目を入れておいたラベルを、上記した収縮仕上り性の測定条件と同一の条件でPETボトルに装着した。ただし、ミシン目は、長さ1mmの孔を1mm間隔で入れることによって形成し、ラベルの縦方向(高さ方向)に幅22mm、長さ120mmに亘って2本設けた。その後、このボトルに水を500ml充填し、5℃に冷蔵し、冷蔵庫から取り出した直後のボトルのラベルのミシン目を指先で引裂き、縦方向にミシン目に沿って綺麗に裂け、ラベルをボトルから外すことができた本数を数え、全サンプル50本に対する割合(%)を算出した。
撹拌機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、二塩基酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)を用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)添加し、280℃で26.6Pa(0.2トール)の減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.70dl/gのポリエステル(A)を得た。このポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。なお、上記ポリエステル(A)の製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して8,000ppmの割合で添加した。また、上記と同様な方法により、表1に示すポリエステル(A2,B,C,D)を合成した。なお、表中、NPGがネオペンチルグリコール、CHDMが1,4−シクロヘキサンジメタノール、BDが1,4−ブタンジオールである。それぞれのポリエステルの固有粘度は、Bが0.72dl/g、Cが0.80dl/g、Dが1.15dl/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
上記したポリエステルA2とポリエステルBとポリエステルDとを重量比7:83:10で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが582μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/min.であった。また、未延伸フィルムのTgは67℃であった。
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しする際に、未延伸フィルムの厚みが627μmとなるように押出機の吐出量を調整した。それ以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。そして、得られた未延伸フィルムを、縦延伸機を用いて、予熱ロール上でフィルム温度が78℃になるまで予備加熱した後に、表面温度78℃に設定された低速回転ロールと表面温度78℃に設定された中速回転ロールとの間で回転速度差を利用して2.8倍に延伸した。さらに、その縦延伸したフィルムを、表面温度95℃に設定された中速回転ロールと表面温度30℃に設定された高速回転ロールとの間で回転速度差を利用して1.4倍に縦延伸した(したがって、トータルの縦延伸倍率は、3.92倍であった)。そして、縦延伸後のフィルムをテンターに導き、中間熱処理ゾーンにおいて、155℃の温度で10.0秒間熱処理した以外は実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しする際に、未延伸フィルムの厚みが728μmとなるように押出機の吐出量を調整した。それ以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。そして、得られた未延伸フィルムを用いて、テンター内での1段目の横延伸倍率を2.4倍に変更し、2段目の横延伸倍率を2.1倍に変更(トータル5倍延伸)した以外は実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
上記したポリエステルAとポリエステルA2とポリエステルBとポリエステルCとポリエステルDとを重量比3:7:15:65:10で混合して押出機に投入した以外は 実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1と同じポリエステル原料を実施例1と同様に溶融押し出しする際に、未延伸フィルムの厚みが582μmとなるように押出機の吐出量を調整した。それ以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た。そして、得られた未延伸フィルムに実施例1と同様な縦延伸を施した後、その縦延伸フィルムを中間熱処理ゾーンに導き、当該中間熱処理ゾーンにおいて、155℃の温度で7.0秒間に亘って熱処理した後に、その中間熱処理後のフィルムを実施例1と同様に第一中間ゾーン・第二中間ゾーンと連続的に導いて自然冷却した。しかる後、その第二中間ゾーンを通過した後のフィルムを横延伸ゾーンに導き、フィルムの表面温度が92℃になるまで予備加熱した後に、95℃で幅方向(横方向)に4.0倍に延伸(一段のみで延伸)した。しかる後、その横延伸後のフィルムを実施例1と同様に最終熱処理ゾーンに導き、当該最終熱処理ゾーンにおいて、85℃の温度で5.0秒間に亘って熱処理した後に冷却し、両縁部を裁断除去してロール状に巻き取ることによって、約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
上記したポリエステルAとポリエステルA2とポリエステルBとポリエステルDとを重量比50:7:33:10で混合して押出機に投入した以外は 実施例1と同様な条件で製膜することによって、約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
一段目の横延伸の倍率を3.3倍に変更し、二段目の横延伸倍率を1.2倍に変更した以外は、実施例1と同様にして約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
未延伸フィルムに縦延伸を施す際に、一段目の縦延伸の倍率を1.4倍に変更し、二段目の縦延伸倍率を1.1倍に変更(トータルの縦延伸倍率=1.54倍)した以外は、実施例1と同様にして約40μmの厚みを有する二軸延伸フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
Claims (5)
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を15モル%以上含有しているポリエステル系樹脂からなる熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
下記要件(1)〜(6)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向の湯温熱収縮率が40%以上80%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が0%以上15%以下であること
(3)80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後の単位厚み当たりの長手方向の直角引裂強度が30N/mm以上310N/mm以下であること
(4)80℃の温水中で幅方向に10%収縮させた後に幅方向および長手方向のエルメンドルフ引裂荷重を測定した場合におけるエルメンドルフ比が0.3以上1.5以下であること
(5)長手方向の引張破壊強さが130MPa以上300MPa以下であること
(6)幅方向の片端縁際の分子配向角と他端縁際の分子配向角との差である分子配向角差をフィルム幅1m当たりに換算した配向ねじれ指数が2.0°/m以上9.0°/m以下であること - 溶剤接着強度が2N/15mm幅以上15N/15mm幅以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 動摩擦係数が0.1以上0.55以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 全ポリステル樹脂成分中における非晶質成分となりうるモノマーの主成分が、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸の内のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するための製造方法であって、幅が4.0m以上のテンターを有する製膜設備を利用するものであり、下記(a)〜(g)の各工程を含むことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
(a)未延伸フィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で長手方向に1.5倍以上3.0倍以下の倍率で延伸した後、Tg+10℃以上Tg+40℃以下の温度で長手方向に1.2倍以上1.5倍以下の倍率で延伸することにより、トータルで2.5倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸する縦延伸工程
(b)縦延伸後のフィルムを、Tg+5℃以上Tg+70℃以下の温度で幅方向に1.3倍以上5倍以下の倍率で延伸する第一の横延伸工程
(c)第一の横延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で130℃以上190℃以下の温度で1.0秒以上25.0秒以下の時間に亘って熱処理する中間熱処理工程
(d)中間熱処理後のフィルムを、前後の各ゾーンと遮断されており積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることによって自然に冷却する自然冷却工程
(e)自然冷却後のフィルムを、表面温度がTg+5℃以上Tg+60℃以下の温度となるまで積極的に冷却する積極冷却工程
(f)積極冷却後のフィルムを、Tg+5℃以上Tg+60℃以下の温度で幅方向に1.5倍以上3.5倍以下の倍率で延伸する第二の横延伸工程
(g)第二の横延伸後のフィルムを、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、30℃以上100℃以下の温度に調整されたテンター内を通過させるセット工程
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