JP2009298161A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、主収縮方向が長手方向になっている。そして、90℃の温水中で10秒間処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率、90℃の温水中で10秒間処理した場合における幅方向の湯温熱収縮率、長手方向の最大熱収縮応力値、40℃65%RHの雰囲気下で700時間以上エージングした後の自然収縮率が、それぞれ、所定の範囲となるように調整されている。
【選択図】なし
Description
(1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が15%以上80%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向と直交する幅方向の湯温熱収縮率が0%以上17%以下であること
(3)長手方向の最大熱収縮応力値が6(MPa)以上であること
(4)40℃65%RHの雰囲気下で700時間エージングした後の主収縮方向の自然収縮率が0.05%以上1.5%以下であること
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・式1
80℃に調整された湯温中でフィルムを長手方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて所定の大きさの試験片としてサンプリングする。しかる後に、万能引張試験機で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて、フィルムの幅方向における引張破壊時の強度の測定を行う。そして、下式2を用いて単位厚み当たりの直角引裂強度を算出する。
直角引裂強度=引張破壊時の強度÷厚み ・・式2
所定の長さを有する矩形状の枠にフィルムを予め弛ませた状態で装着する(すなわち、フィルムの両端を枠によって把持させる)。そして、弛んだフィルムが枠内で緊張状態となるまで(弛みがなくなるまで)、約5秒間に亘って80℃の温水に浸漬させることによって、フィルムを長手方向に10%収縮させる。しかる後に、JIS−K−7128に準じて、フィルムの長手方向および幅方向のエルメンドルフ引裂荷重の測定を行い、下式3を用いてエルメンドルフ比を算出する。
エルメンドルフ比=長手方向のエルメンドルフ引裂荷重÷幅方向のエルメンドルフ引裂荷重 ・・式3
自然収縮率={(エージング前の長さ−エージング後の長さ)/エージング前の長さ}×100(%) ・・式4
高収縮用途の場合でキャップの開封性を良好に保つためには、フィルムの長手方向の最大熱収縮応力値の下限は6(MPa)以上であるとより好ましく、さらに好ましくは7(MPa)以上であり、8(MPa)以上であると特に好ましい。
ラップラウンド用途の場合では、胴巻き後の熱収縮時に収縮歪みが発生しやすくなるのでフィルムの長手方向の最大熱収縮応力値の上限は7MPa以下であることが好ましい。より好ましくは6.5MPa以下、さらに好ましくは6.0MPa以下、特に好ましくは5.5MPa以下である。
通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、収縮させたい方向に未延伸フィルムを延伸することによって製造される。従来から長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルムについての要求は高かったものの、未延伸フィルムを単純に長手方向に延伸するだけでは、幅の広いフィルムが製造できないため生産性が悪い上、厚み斑の良好なフィルムを製造することができない。また、予め長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法を採用すると、幅方向に不必要に収縮するものとなったり、長手方向への収縮量が不十分となってしまう。また、上述したように、特開平8−244114号公報には、長手方向の機械的特性を向上させるために未延伸フィルムを所定の条件下で縦−横−縦の順に延伸する方法が示されているが、発明者らのパイロット機での追試によれば、かかる方法では、得られたフィルムは自然収縮率が大きく、製造されたフィルムロールに長手方向のシワが発生し、ミシン目開封性も不良であった。さらに、
主収縮方向である長手方向への収縮性の高いフィルムを得ることはできないことが判明した。加えて、長手方向への収縮性を上げるべく縦方向の延伸倍率(1段目の縦延伸倍率あるいは2段目の縦延伸倍率)を増加させると、最終的に長手方向に延伸する際にフィルムの破断が多発して連続的に安定した製造を行うことが困難であることも判明した。
(1)幅方向への延伸後における収縮応力の制御
(2)幅方向への延伸と中間熱処理との間における加熱の遮断
(3)長手方向へ延伸する前のフィルム端部のトリミング
(4)長手延伸後のフィルムの冷却速度の制御
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明の横−縦延伸法によるフィルムの製造においては、未延伸フィルムを幅方向に延伸した後に、100℃以上170℃未満の温度で1.0秒以上10.0秒以下の時間に亘って熱処理(以下、中間熱処理という)することが必要である。かかる中間熱処理を行うことによって、ラベルとした場合にミシン目カット性が良好で収縮斑が生じないフィルムを得ることが可能となる。そのように横延伸後に特定の中間熱処理を施すことによりミシン目カット性が良好で収縮斑が生じないフィルムを得ることが可能となる理由は明らかではないが、特定の中間熱処理を施すことによって、幅方向への分子配向をある程度残存させつつ、幅方向の収縮応力を低減させることが可能となるためではないかと考えている。なお、熱処理の温度の下限は、110℃以上であると好ましく、115℃以上であるとより好ましい。また、熱処理の温度の上限は、165℃以下であると好ましく、160℃以下であるとより好ましい。一方、熱処理の時間は、1.0秒以上10.0秒以下の範囲内で原料組成に応じて適宜調整する必要がある。
本発明の横−縦延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く、横延伸後に中間熱処理を施す必要があるが、それらの横延伸と中間熱処理との間において、0.5秒以上3.0秒以下の時間に亘って、積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させる必要がある。すなわち、製造コストを考慮した場合、同一のテンター内で横延伸および中間熱処理を実施するのが好ましいが、本発明のフィルムの製造においては、かかるテンター内の横延伸ゾーンと熱処理ゾーンとの間に中間ゾーンを設けることが好ましい。加えて、その中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように延伸ゾーンおよび熱処理ゾーンからの熱風を遮断するのが好ましい。そして、本発明のフィルムの製造においては、横延伸後のフィルムをかかる中間ゾーンへ導き、所定時間をかけてその中間ゾーンを通過させるのが好ましい。中間ゾーンを通過させる時間が0.5秒を下回ると、通過するフィルムの随伴流により横延伸ゾーンの熱風が熱固定ゾーンに流れ込み、熱固定ゾーンにおける中間熱処理の温度コントロールが困難となるので好ましくない。反対に中間ゾーンを通過させる時間は3.0秒もあれば十分であり、それ以上の長さに設定しても、設備のムダとなるので好ましくない。なお、中間ゾーンを通過させる時間の下限は、0.7秒以上であると好ましく、0.9秒以上であるとより好ましい。また、中間ゾーンを通過させる時間の上限は、2.5秒以下であると好ましく、2.0秒以下であるとより好ましい。
本発明の横−縦延伸法によるフィルムの製造においては、中間熱処理を施したフィルムを長手方向に延伸する前に、フィルム端縁際の十分に横延伸されていない肉厚部分(主として横延伸時のクリップ把持部分)をトリミングするのが好ましい。より具体的には、フィルムの左右の端縁際に位置した中央部分の厚みの約1.1〜1.3倍の厚みの部分においてカッター等の工具を用いてフィルム端縁際の肉厚部分を切断し、肉厚部分を除去しつつ、残りの部分のみを長手方向に延伸するのが好ましい。なお、上記の如くフィルム端部をトリミングする際には、トリミングする前のフィルムを表面温度が50℃以下となるように冷却しておくことが好ましい。そのようにフィルムを冷却することにより、切断面を乱すことなくトリミングすることが可能となる。また、フィルム端部のトリミングは、通常のカッター等を用いて行うことができるが、周状の刃先を有する丸刃を用いると、局部的に刃先が鈍くなる事態が起こらず、フィルム端部を長期間に亘ってシャープに切断し続けることができ、長手方向への延伸時における破断を誘発する事態が生じないので好ましい。
本発明の横−縦延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く、横延伸後に中間熱処理を施してから長手方向に延伸した後に、30℃/秒以上70℃/秒以下の冷却速度で表面温度が45℃以上75℃以下となるまでフィルムを冷却するのが好ましい。そのようにフィルムを適度な速さで冷却することによって、初めて自然収縮率を低減することが可能となる。冷却速度が30℃/秒を下回ったり、冷却後の表面温度が75℃を上回ったりするような冷却であると、低い自然収縮率が得られないので好ましくない。反対に、冷却速度が70℃/秒を上回るような急激な冷却であると、フィルムの幅方向への収縮(いわゆるネックイン)の度合いが大きくなり、フィルム表面に傷が付き易くなるので好ましくない。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgを採取し、室温より昇温速度10℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求めた。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、上式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。当該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
延伸したフィルムを、主収縮方向×主収縮方向と直交する方向=200mm×15mmのサイズにカットした。しかる後、(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50を温度90℃に調整した上で、カットしたフィルムをセットし、10秒間保持したときの応力値を測定した。
アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に測定した。
得られたフィルムを、主収縮方向×直交方向=200mm×30mmのサイズに切り取り、40℃×65%RHの雰囲気下で700時間放置(エージング)した後、フィルムの主収縮方向(実施例1〜9および比較例1〜3,5では長手方向、比較例4では幅方向)における収縮量を測定し、上式4によって自然収縮率を算出した。
得られたフィルムを矩形状の枠に予め弛ませた状態で装着し(フィルムの両端を枠によって把持させ)、弛んだフィルムが枠内で緊張状態となるまで(弛みがなくなるまで)、約5秒間に亘って80℃の温水に浸漬させることによって、フィルムを主収縮方向に10%収縮させた(以下、予備収縮という)。しかる後に、JIS−K−7128に準じて、主収縮方向×直交方向=75mm×63mmのサイズに切り取り、長尺な端縁(主収縮方向に沿った端縁)の中央から当該端縁に直交するように20mmのスリット(切り込み)を入れることによって試験片を作製した。そして、作製された試験片を用いて直交方向のエルメンドルフ引裂荷重の測定を行った。また、上記方法と同様な方法でフィルムを主収縮方向に予備収縮させた後に、フィルムの主収縮方向と直交方向とを入れ替えて試験片を作製し、主収縮方向のエルメンドルフ引裂荷重の測定を行った。そして、得られた主収縮方向および主収縮方向と直交する方向のエルメンドルフ引裂荷重から上式3を用いてエルメンドルフ比を算出した。
80℃に調整された湯温中にてフィルムを主収縮方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて、
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に示す形状にサンプリングすることによって試験片を作製した(なお、サンプリングにおいては、試験片の長手方向をフィルムの主収縮方向とした)。しかる後に、万能引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ)で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて、フィルムの幅方向における引張破壊時の強度の測定を行い、上式2を用いて単位厚み当たりの直角引裂強度を算出した。
フィルムを長さ30m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、5(m/分)の速度で測定した。なお、上記したロール状のフィルム試料のサンプリングにおいては、フィルム試料の長さ方向をフィルムの主収縮方向とした。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式5からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式5
延伸したフィルムに1,3−ジオキソランを塗布して2枚を張り合わせることによってシールを施した。しかる後、シール部をフィルムの主収縮方向と直交する方向(以下、直交方向という)に15mmの幅に切り取り、それを(株)ボールドウィン社製 万能引張試験機 STM−50にセットし、引張速度200mm/分の条件で180°ピール試験を行った。そして、そのときの引張強度を溶剤接着強度とした。
熱収縮性フィルムに、予め東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷を施した。そして、印刷したフィルムの両端部をジオキソランで接着することにより、円筒状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としており、外周長が装着するボトルの外周長の1.05倍である円筒状のラベル)を作成した。しかる後、その円筒状のラベルを、500mlのPETボトル(胴直径62mm、ネック部の最小直径25mm)に被せて、Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH−1500−L)を用い、通過時間2.5秒、ゾーン温度80℃で熱収縮させることにより、ラベルを装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径40mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後の仕上がり性の評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
◎:シワ,飛び上り、収縮不足の何れも未発生で、かつ色の斑も見られない
○:シワ,飛び上り、または収縮不足が確認できないが、若干、色の斑が見られる
△:飛び上り、収縮不足の何れも未発生だが、ネック部の斑が見られる
×:シワ、飛び上り、収縮不足が発生
熱収縮性フィルムに東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷を施し、当該印刷後の熱収縮性フィルムを、長手方向が縦になるように、縦230mm×横100mmのサイズで切り出した。そして、265mlアルミニウムボトル缶(胴直径68mm、ネック部の最小直径25mmで、胴の中央の直径が60mmとなるように“くびれ”が設けてあるもの)を立てた状態で、切り出したフィルムの長辺の一方が感の底部に沿うようにフィルムを巻き付けながら、フィルムの短辺のボトル缶当接面側の端縁際の上下および中央の3箇所に、下記の方法により製造された活性エネルギー線(UV)硬化型接着剤を散点状に塗布して、フィルムをボトル缶に固定した。次いで、巻き付けたフィルムの他端縁際にも、同様な活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布し、その他端縁を、先にボトル缶に固定した端縁際に5mmの幅で重ね合わせて、当該他端縁に塗布された接着剤層を挟み込んだ。しかる後、直ちに、その接着部分(フィルムの端縁際同士が重なり合った部分)に3kW(120W/cm)×1灯空冷式水銀灯で紫外線を100mJ/cm2 となるように照射して、フィルムの両端を硬化接着させて、熱収縮性ラベル付きボトル缶を製造した。続いて、熱収縮性ラベル付きボトル缶を、ラベル装着後、直ちに、長さ3mで92℃に保温された水蒸気炉シュリンクトンネルに送入し、10秒かけて通過させることにより、ラベルを収縮させてボトル缶の外周に密着させた。なお、かかるフィルムの装着の際には、ネック部においては、直径40mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。しかる後に、収縮後の仕上がり性を目視により下記の四段階で評価した。
◎:シワ,飛び上り、収縮不足の何れも未発生で、かつ色の斑も見られない
○:シワ,飛び上り、または収縮不足が確認できないが、若干、色の斑が見られる
△:飛び上り、収縮不足の何れも未発生だが、ネック部の斑が見られる
×:シワ、飛び上り、収縮不足が発生
温度計、攪拌機、蒸留塔、コンデンサー、減圧装置を具備した反応容器の中に、ジメチルテレフタレート440部、ジメチルイソフタレート440部、エチレングリコール412部、ヘキサンジオール393部、及びテトラブトキシチタネート0.5部を仕込み、150〜230℃で120分間加熱してエステル交換反応をさせた。ついで反応系を10mmHgに減圧し、30分間で250℃まで昇温して反応を行い、共重合ポリエステエルポリオールを得た。ポリエステルポリオールの分子量は1600であった。次に、温度計、攪拌機、還流冷却器を具備した反応容器中に共重合ポリエステルポリオール100部、フェノキシエチルアクリレート120部を仕込み、溶解後、イソホロンジイソシアネート15部およびジブチル錫ジラウレート0.05部を仕込み、70〜80℃で2時間反応させた後、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート5部を加えて70〜80℃で反応を行うことにより、ウレタンアクリレート樹脂のフェノキシエチルアクリレート溶液を得た。なお、この溶液100部、使用直前に、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュアー(登録商標)1173:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3質量部添加し、活性エネルギー線(UV)硬化型接着剤を得た。ウレタンアクリレートの分子量は2000であった。接着剤の組成を表3にまとめた。なお、上記中の分子量は数平均分子量であり、テトラヒドロフランを溶離役としてGPC150c(ウォーターズ社製)を用い測定した結果(ポリスチレン換算)である。測定の際にカラム温度は35℃、流量1ml/分とした。
上記した収縮仕上り性(筒状体嵌め込み)の測定条件と同一の条件でラベルをPETボトルに装着した。そして、装着したラベルとPETボトルとを軽くねじったときに、ラベルが動かなければ○、すり抜けたり、ラベルとボトルとがずれたりした場合には×とした(なお、ラップ・ラウンド方式により、フィルムをPETボトル等に直接的に巻き付けて装着する場合には、フィルムの端縁がPETボトルに接着されるため、当該ラベル密着性が問題となることはない)。
予め主収縮方向とは直向する方向にミシン目を入れておいたラベルを、上記した収縮仕上り性の測定条件(筒状体嵌め込み)と同一の条件でPETボトルに装着した。ただし、ミシン目は、長さ1mmの孔を1mm間隔で入れることによって形成し、ラベルの縦方向(高さ方向)に幅22mm、長さ120mmに亘って2本設けた。その後、このボトルに水を500ml充填し、5℃に冷蔵し、冷蔵庫から取り出した直後のボトルのラベルのミシン目を指先で引裂き、縦方向にミシン目に沿って綺麗に裂け、ラベルをボトルから外すことができた本数を数え、全サンプル50本に対する割合(%)を算出した。
上記のように収縮仕上り性(筒状体嵌め込み)、収縮仕上り性(ラップ・ラウンド)、ラベル密着性、ミシン目開封性について評価した結果、筒状体嵌め込み方式(予め、周方向を主収縮方向とする円筒状のラベルを形成した後にPETボトル等に嵌め込んで装着する方法)あるいは、ラップ・ラウンド方式(フィルムを主収縮方向が周方向となるようにPETボトル等に直接的に巻き付けて装着する方法)のうちのいずれかの方法により、熱収縮性フィルムとして実用的に使用可能であれば○とし、筒状体嵌め込み方式、ラップ・ラウンド方式のいずれの方法においても、熱収縮性フィルムとして実用的に使用できなければ×とした。
ポリエステル2:ポリエチレンテレフタレート(IV 0.75dl/g)
ポリエステル3:ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位82.5モル%,イソフタル酸単位17.5モル%よりなり、ジオール成分としてエチレングリコールよりなる。
ポリエステル4:エチレングリコール70モル%,1,4−シクロヘキサンジメタノール30モル%とテレフタル酸とからなるポリエステル(IV 0.75dl/g)
上記したポリエステル1とポリエステル2とを重量比90:10で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが360μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/min.であった。また、未延伸フィルムのTgは67℃であった。しかる後、その未延伸フィルムを、横延伸ゾーン、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的に設けたテンター(第1テンター)に導いた。なお、当該テンターにおいては、横延伸ゾーンと中間熱処理ゾーンとの中間に位置した中間ゾーンの長さが、約40cmに設定されている。また、中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風および熱処理ゾーンからの熱風が遮断されている。
ポリエステル1とポリエステル2を重量比70:30で混合して押出機に投入した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
テンター(第1テンター)における横方向の延伸倍率を5.0倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約24μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
テンター(第1テンター)における中間熱処理の温度を140℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約24μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
縦延伸機における延伸ロールの温度を92℃に変更し、長手方向の延伸倍率を5.0倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約18μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
縦延伸機における延伸ロールの温度を92℃に変更し、長手方向の延伸倍率を7.0倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約13μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
縦延伸機における長手方向の延伸倍率を1.5倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約60μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
押出機に投入する原料樹脂を、ポリエステル4とポリエステル2を重量比90:10で混合したものに変更するとともに、縦延伸機における長手方向の延伸倍率を1.5倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約60μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
テンター(第一テンター)における横方向の延伸倍率を4.5倍に変更するとともに、縦延伸機における長手方向の延伸倍率を1.5倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約27μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
上記したポリエステル3を押出機に投入し、265℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが360μmの未延伸フィルムを得た。なお、未延伸フィルムの引取速度は、実施例1と同様にした。しかる後、その未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機(第1縦延伸機)へ導き、予熱ロール上で予備加熱した後に、表面温度88℃に設定された延伸ロール間で2.7倍に延伸した。さらに、長手方向に延伸したフィルムを横延伸ゾーンと熱処理ゾーンとを連続的に設けたテンター(第1テンター)へ導き、横延伸ゾーンにて97℃の延伸温度で横方向に97℃で3.5倍延伸した後に、熱処理ゾーンにて125℃で熱処理した。しかる後、熱処理後のフィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機(第2縦延伸機)へ導き、予熱ロール上で予備加熱した後に、表面温度98℃に設定された延伸ロール間で1.5倍に再度縦延伸した。さらに、再度縦延伸したフィルムをテンター(第2テンター)へ導き、85℃の熱処理した後に冷却し、両縁部を裁断除去することによって、約35μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムロールを得た。なお、熱処理後冷却前のフィルムの表面温度は約75℃であり、約2.0秒で約25℃まで冷却した(冷却速度=25℃/秒)。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比40:60で混合して押出機に投入した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。なお、二軸延伸熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは約13μmであった。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
テンター(第1テンター)における中間熱処理の温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
未延伸フィルムをテンターへ導き、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後に、75℃の延伸温度で横方向に4.0倍延伸して冷却し、両縁部を裁断除去することによって、約45μmの横一軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムロールを得た。なお、熱処理後冷却前のフィルムの表面温度は約75℃であり、約2.0秒で約35℃まで冷却した(冷却速度=20℃/秒)。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。なお、比較例5のフィルムにおいては、幅方向が主収縮方向になっており、長手方向が主収縮方向と直交する方向になっている。
第2縦延伸機で再度縦延伸する際の延伸倍率を3.0倍にした以外は、比較例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
Claims (6)
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分とし、全ポリエステル樹脂成分中において非晶質成分となりうる1種以上のモノマー成分を10モル%以上含有しているとともに、一定幅の長尺状に形成されており、主収縮方向が長手方向である熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、
下記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が15%以上80%以下であること
(2)90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向と直交する幅方向の湯温熱収縮率が0%以上17%以下であること
(3)長手方向の最大熱収縮応力値が6(MPa)以上であること
(4)40℃65%RHの雰囲気下で700時間エージングした後の主収縮方向の自然収縮率が0.05%以上1.5%以下であること - 90℃の温水中で10秒間に亘って処理した場合における長手方向の湯温熱収縮率が15%以上40%未満であるとともに、長手方向の屈折率が1.570以上1.590以下、および幅方向の屈折率が1.570以上1.620以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 全ポリステル樹脂成分中における非晶質成分となりうるモノマーの主成分が、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸の内のいずれかであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 80℃の温水中で長手方向に10%収縮させた後に長手方向および幅方向のエルメンドルフ引裂荷重を測定した場合におけるエルメンドルフ比が0.15以上1.5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 80℃の温水中で長手方向に10%収縮させた後の単位厚み当たりの幅方向の直角引裂強度が100N/mm以上300N/mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するための製造方法であって、
未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でTg+5℃以上Tg+40℃以下の温度で幅方向に2.5倍以上6.0倍以下の倍率で延伸した後、積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させた後に、100℃以上170℃以下温度で1.0秒以上10.0秒以下の時間に亘って熱処理し、しかる後、フィルムの表面温度が30℃以上70℃以下まで冷却した後、Tg+5℃以上Tg+80℃以下の温度で長手方向に2.0倍以上7倍以下の倍率で延伸し、しかる後、30℃/秒以上70℃/秒以下の冷却速度でフィルムの表面温度が45℃以上75℃以下となるまで冷却することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
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