JP6634821B2 - ポリオレフィン微多孔膜とその製造方法、ロール及びポリオレフィン微多孔膜の評価方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜とその製造方法、ロール及びポリオレフィン微多孔膜の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜、ロール及びポリオレフィン微多孔膜の評価方法に関するものである。
ポリオレフィン微多孔膜は、ろ過膜、透析膜などのフィルター、電池用セパレータや電解コンデンサー用のセパレータなどの種々の分野に用いられる。これらの中でも、ポリオレフィン微多孔膜は、耐薬品性、絶縁性、機械的強度などに優れ、シャットダウン特性を有するため、近年、二次電池用セパレータとして広く用いられる。
二次電池用セパレータは、二次電池の高エネルギー密度化及び小型化に伴い、薄膜化が要求される。薄膜化したポリオレフィン微多孔膜は、巻き取り装置により巻き取られロールを製造する際に、シワや巻ずれ等の巻き取り性に関する問題が発生しやすい。また、ポリオレフィン微多孔膜は、その表面の少なくとも一方に他の層を積層する場合がある。薄膜化、広幅化したポリオレフィン微多孔膜において、他の層をコーティングする際、膜表面全体において、均一な塗工性が要求される。
例えば、特許文献1には、ロールから巻き直した際の巻きずれの少ないポリオレフィン微多孔膜巻回物が記載されている。この微多孔膜巻回物は、裏表の摩擦係数を1.5以下とすることにより、巻き直しの際の巻き取り性が良好となることが開示されている(特許文献1)。しかしながら、ポリオレフィン微多孔膜のさらなる薄膜化に伴い、ポリオレフィン微多孔膜を巻き取ったり、二次加工をしたりする際の、巻き取り性及び塗布性のさらなる向上が求められている。
一方、ポリオレフィン系樹脂フィルムを引張強度で規定することや、評価する方法がこれまでに報告されている(例えば、特許文献2など)。しかしながら、特許文献2に記載の引張強度は、膜表面の長さ方向(MD方向)、長さ方向に垂直な幅方向(TD方向)のみが測定されており、他の方向については開示されていない。さらに、ポリオレフィン微多孔膜において、特定の方向に対応する引張強度と巻き取り性及び塗布性との関係についても一切記載されていない。
特開2004−099799号公報 特開2011−233542号公報
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、ポリオレフィン微多孔膜の特定の方向における引張強度に着目するという新規の着想に基づき、巻き取り性及び塗布性に優れるポリオレフィン微多孔膜を提供することにある。
本発明の第1の態様のポリオレフィン微多孔膜は、膜表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、45°方向に対応する引張強度と135°方向に対応する引張強度との比が0.9超1.1未満であり、高密度ポリエチレンを50質量%以上と超高分子量ポリエチレンを含有するポリオレフィン樹脂からなり、長さ方向に対して0°の角度をなす0°方向、及び、長さ方向に対して45°方向と同じ向きに90°の角度をなす90°方向について、0°方向に対応する引張強度及び90°方向に対応する引張強度が、それぞれ、2000kgf/cm 以上である
また、長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれ方向について、0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向に対応する引張強度のうち、これらの最大値と最小値との比(Tmin/Tmax)が0.9以上1以下であり、高密度ポリエチレンを90質量%以上含有するポリオレフィン樹脂からなるものでもよい。また、長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれの方向について、45°方向に対応する引張強度及び135°方向に対応する引張強度の両方の値が、0°方向に対応する引張強度及び90°方向に対応する引張強度の値うち、いずれか小さい方の値に対して、0.5倍以上0.95倍以下であってもよい。また、0°方向に対応する引張強度が3500kgf/cm以下であり、90°方向に対応する引張強度が3500kgf/cm以下であってもよい。また、45°方向及び前記135°方向に対応する引張強度が1000kgf/cm以上2500kgf/cm以下であってもよい。また、ポリオレフィン微多孔膜は、高密度ポリエチレンを含んでもよい。また、ポリオレフィン微多孔膜は、膜厚が1μm以上20μm以下であってもよい。また、ポリオレフィン微多孔膜の少なくともいずれか一方の表面に多孔質層を積層してもよい。
本発明の第2の態様のロールは、ポリオレフィン微多孔膜または積層ポリオレフィン微多孔膜からなる。
本発明の第3の態様のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、高密度ポリエチレンを50質量%以上と超高分子量ポリエチレンを含有するポリオレフィン樹脂からなる樹脂とすることと、ポリオレフィン微多孔膜の表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、45°方向に対応する引張強度と135°方向に対応する引張強度との比を0.9超1.1未満の範囲に制御することと、長さ方向に対して0°の角度をなす0°方向、及び、長さ方向に対して45°方向と同じ向きに90°の角度をなす90°方向について、0°方向に対応する引張強度及び90°方向に対応する引張強度を、それぞれ、2000kgf/cm 以上の範囲に制御することと、を含む。
また、長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれ方向について、0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向に対応する引張強度のうち、最大値と最小値との比(Tmin/Tmax)が0.9以上1以下の範囲に制御することを含んでもよい。また、長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれの方向について、45°方向に対応する引張強度及び135°方向に対応する引張強度の両方が、0°方向に対応する引張強度及び90°方向に対応する引張強度のうちいずれか小さい値の方の引張強度に対して、0.5倍以上0.95倍以下の範囲に制御することを含んでよい。
本発明の第4の態様のポリオレフィン微多孔膜の評価方法は、膜表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び前記45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、45°方向に対応する引張強度と135°方向に対応する引張強度との比を算出することと、比を用いて、巻き取り性又は塗工性を評価することと、を含む
また、上記評価方法は、45°方向の引張強度と135°方向の引張強度との比が0.9超1.1未満であるかどうかを判定してもよい。
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、巻き取り性及び塗布性に優れる。また、その製造方法は、巻き取り性及び塗布性に優れたポリオレフィン微多孔膜を効率よく生産することができる。また、ポリオレフィン微多孔膜の評価方法は、ポリオレフィン微多孔膜の巻き取り性及び塗布性を二次加工前に簡便に評価することができる。
図1は、ポリオレフィン微多孔膜の面内方向におけるそれぞれの方向の一例を示す図である。 図2は、ポリオレフィン微多孔膜の面内方向におけるそれぞれの方向の引張強度の一例を示す図である(なお、図2(A)〜(D)は、実施例1〜4のポリオレフィン微多孔膜の引張強度を示し、図2(E)及び(F)は、比較例1及び2のポリオレフィン微多孔膜の引張強度を示す。)。 図3は、ポリオレフィン微多孔膜の評価方法の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、微多孔膜の表面(面内方向)に平行な面をXY平面とする。また、XY平面に垂直な方向(厚み方向)はZ方向とする。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。
図1は、本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜1(以下、「微多孔膜1」ともいう。)を示す図である。微多孔膜1のXY平面(面内方向)における方向は、図1に示すように、製膜時の長さ方向を0°方向(機械方向:MD方向)とする。また、0°方向に対して45°の角度をなす方向を45°方向とし、45°方向と同じ向きに90°の角度をなす方向を90°方向(幅方向:TD方向)とし、135°の角度をなす方向を135°方向とする。なお、図1では、各方向は、0°方向から反時計回りの方向としているが、時計回りの方向としてもよい。
微多孔膜1は、45°方向に対応する引張強度(T45°)と135°方向に対応する引張強度(T135°)との比(T135°/T45°)が0.9超1.1未満である。T135°/T45°は、好ましくは0.92以上1.09以下であり、より好ましくは0.94以上1.06以下である。T135°/T45°が上記範囲である場合、微多孔膜1の巻き取り性及び塗布性をより向上できる。なお、引張強度は、後述するように、微多孔膜1の組成や製膜時の延伸倍率などを適宜調整することにより、上記範囲とすることができる。なお、T45°及びT135°の値は、特に限定されないが、例えば、500kgf/cm以上3000kgf/cm以下程度である。なお、微多孔膜1の引張強度(引張破断強度)は、例えばASTM D882に準拠した方法により測定することができる。
微多孔膜1において、45°方向に対応する引張強度(T45°)と135°方向に対応する引張強度(T135°)と値の差(|T135°−T45°|)は、特に限定されないが、例えば、150kgf/cm以下であり、好ましくは100kgf/cm以下であり、より好ましくは60kgf/cm以下である。T45°とT135°との値の差が小さい場合、微多孔膜1の巻き取り性及び塗布性がより向上する。
図2(A)〜(D)は、微多孔膜1の各方向の引張強度の一例(実施例)を示したグラフである。図2(E)及び(F)は、比較例の微多孔膜の引張強度を示したグラフである。
図2(A)は、各方向の引張強度の値が、比較的均一な分布パターンを示す例である。この場合、例えば、0°、90°、45°及び135°方向に対応する引張強度のうち、これらの最大値と最小値との比(Tmin/Tmax)が0.9以上1以下とすることができる。また、Tmin/Tmaxは、その下限が好ましくは0.92以上であり、より好ましくは0.95以上である。Tmin/Tmaxは、その上限が1.0以下である。Tmin/Tmaxが上記範囲である場合、微多孔膜1は、それぞれの方向における分子配向度の均一性が向上し、巻き取り性及び塗工性が向上する。また、各方向における熱収縮率の均一性が向上する。
上記の各方向において均一なパターンを有する場合、微多孔膜1は、0°、45°、90°及び135°の各方向に対応する引張強度の下限が、例えば800kgf/cm以上である。また、各方向に対応する引張強度の上限が、例えば、3500kgf/cm以下である。引張強度が上記範囲であることにより、よりバランスよく機械的強度に優れた微多孔膜1が得られる。
図2(B)、(C)及び(D)は、45°方向及び135°方向に対応する引張強度の両方の値が、0°方向及び90°方向に対応する引張強度のうちいずれか小さい方の値よりも、小さくなるパターンを示す例である。この場合、45°方向及び135°方向に対応する引張強度の両方の値は、0°方向及び90°方向に対応する引張強度のうちいずれか小さい方の値に対して、その上限が、例えば、0.95倍以下であり、好ましくは、0.9倍以上、より好ましくは0.85倍以下、さらに好ましくは0.8倍以下の値である。この上限が上記範囲である場合、より巻き取り性に優れる。この場合、45°方向及び135°方向に対応する引張強度の両方の値の下限は特に限定されないが、例えば、0°方向及び90°方向に対応する引張強度のうちいずれか小さい方の値に対して、0.5倍以上である。
なお、図2(B)は、0°方向に対応する引張強度(T0°)と90°方向に対応する引張強度(T90°)との値がほぼ同じであるパターンを示す例である。この場合、T90°/T0°が、例えば、0.8以上1.25以下であり、好ましくは、0.9以上1.1以下である。このようなパターンの場合、より巻き取り性に優れる傾向がある。図2(C)及び(D)は、0°方向に対応する引張強度の値の方が、90°方向に対応する引張強度の値よりもある程度大きい分布パターン(例えば、T90°/T0°が0.8未満である)を示す例である。なお、微多孔膜1は、0°方向に対応する引張強度の値の方が、90°方向に対応する引張強度の値よりもある程度小さい分布パターンを有してもよい(例えば、T90°/T0°が1.25超である)。
上記の45°方向及び135°方向に対応する引張強度の値が小さくなるパターンを有する場合、微多孔膜1は、0°方向に対応する引張強度の下限が、例えば1000kgf/cm以上であり、好ましくは1500kgf/cm以上であり、より好ましくは2000kgf/cm以上である。また、0°方向に対応する引張強度の上限は、例えば、3500kgf/cm以下である。また、90°方向に対応する引張強度の下限は、例えば、800kgf/cm以上であり、好ましくは1000kgf/cm以上であり、より好ましくは2000kgf/cm以上である。また、90°方向の引張強度の上限値は、例えば3500kgf/cm以下である。引張強度が上記範囲であることにより、よりバランスよく機械的強度に優れた微多孔膜1が得られる。
上記の45°方向及び135°方向に対応する引張強度の値が小さくなるパターンを有する場合、微多孔膜1は、45°方向及び135°方向に対応する引張強度の下限が、例えば800kgf/cm以上であり、好ましくは900kgf/cm以上であり、より好ましくは1200kgf/cm以上である。微多孔膜1は、45°方向及び135°方向に対応する引張強度の上限が、例えば2500kgf/cm以下であり、好ましくは2000kgf/cm以下である。引張強度が上記範囲であることにより、よりバランスよく機械的強度に優れた微多孔膜1が得られる。
なお、図示しないが、各方向における引張強度のパターンは、0°方向と90°方向とに対応する引張強度の値が、比較的異なり、かつ、45°方向と135°方向とに対応するそれぞれの引張強度の値が、0°方向と90°方向の引張強度の値の中間値の近似値(ただし中間値を超えない)であるパターンであってもよい。この場合、0°方向に対応する引張強度と90°方向に対応する引張強度との比は、例えば、0.95以下又は1.05以上である。また、例えば、45°方向又は135°方向に対応する引張強度が、0°方向及び90°方向に対応する引張強度のいずれか小さい方の引張強度に対して、例えば、0.95倍を超える。
なお、微多孔膜1は、45°方向及び135°方向に対応する引張強度の比(T135°/T45°)が上記した範囲であれば、図2(A)〜(D)に示した以外の分布パターンを有してもよい。微多孔膜1は、例えば、45°方向と135°方向とに対応するそれぞれの引張強度の値が、0°方向及び90°方向の引張強度の値よりも大きくてもよい。また、図2(C)及び図2(D)は、いずれも90°方向に対応する引張強度の値の方が、0°方向に対応する引張強度の値よりも小さい例を示すが、逆に、90°方向に対応する引張強度の値の方が、0°方向に対応する引張強度の値よりも大きくてもよい。
なお、図2(E)及び(F)は、45°方向と135°方向との引張強度比(T135°/T45°)が上記範囲でない場合を示す例である。例えば、図2(E)に示されるように、0°方向に対応する引張強度及び90°方向に対応する引張強度は、同程度の値であるが、45°方向及び135°方向の引張強度の比(T135°/T45°)が、上記の範囲でない場合、巻き取り性及び塗布性が不良なものとなる。また、例えば、図2(F)に示されるように、0°方向に対応する引張強度及び90°方向に対応する引張強度の値がある程度異なり、かつ、45°方向及び135°方向の引張強度の比(T135°/T45°)が上記の範囲でない場合、巻き取り性及び塗布性が不良なものとなる。
微多孔膜1は、樹脂成分としてポリオレフィン樹脂を用いる。ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを含むことができる。ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。
ポリエチレンの種類は、特に限定されず、種々のポリエチレンを用いることができ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が用いられる。ポリエチレン系樹脂は、例えば、高密度ポリエチレン(密度:0.920g/m以上0.970g/m以下)を含む場合、突刺強度がより向上する。これらのポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、例えば1×10以上1×10未満程度である。
例えば、高密度ポリエチレンの含有量は、ポリオレフィン樹脂成分全体100質量%に対して、例えば50質量%以上である。例えば、高密度ポリエチレンを90質量%以上含有する場合、微多孔膜1の引張強度を、上記均一なパターンに容易に制御しやすい傾向がある。高密度ポリエチレンの含有量は、その上限が、例えば100質量%以下であり、他の成分を含む場合は、例えば90質量%以下である。ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレンを含有した場合、溶融押出特性に優れ、均一な延伸加工特性に優れる。
また、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を含むことができる。超高分子量ポリエチレンは、重量平均分子量(Mw)が1×10以上であり、好ましくは1×10以上8×10以下である。Mwが上記範囲であると、成形性が良好となる。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。超高分子量ポリエチレンは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができ、例えばMwの異なる二種以上の超高分子量ポリエチレン同士を混合して用いてもよい。
超高分子量ポリエチレンは、ポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、例えば0質量%超60質量%以下含むことができる。例えば、超高分子量ポリエチレンの含有量が10質量%以上40質量%以下である場合、微多孔膜1の引張強度を、上記の45°方向及び135°方向に対応する引張強度の値が小さくなるパターンに容易に制御しやすく、かつ押出し混練性などの生産性に優れる傾向がある。ポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリエチレンを含有した場合、微多孔膜1を薄膜化した際にも高い機械的強度、高い空孔率を得ることができる。
ポリプロピレンの種類は、特に限定されず、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィン及び/又はジオレフィンとの共重合体(プロピレン共重合体)、あるいはこれらの混合物のいずれでも良いが、機械的強度及び貫通孔径の微小化等の観点から、プロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。ポリオレフィン樹脂成分中のポリプロピレンの含有量は、例えば2.5質量%以上15質量%以下である。ポリプロピレンを上記範囲で含有することにより、耐熱性が向上する。
なお、ポリオレフィン樹脂成分は、必要に応じて、ポリエチレン及びポリプロピレン以外のその他の樹脂成分を含むことができる。その他の樹脂成分としては、例えば、耐熱性樹脂等を用いることができる。また、ポリオレフィン微多孔膜1は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤や充填剤、結晶造核剤、結晶遅延剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
微多孔膜1の膜厚は、特に限定されないが、例えば、30μm以下である。膜厚は、その下限が好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上である。微多孔膜1の膜厚は、二次電池用セパレータとして用いる場合、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。膜厚が上記範囲であると、微多孔膜1を電池用セパレータとして使用した場合、電池容量が向上する。微多孔膜1は、薄膜化した際でも、良好な巻き取り性及び塗工性を有する。
微多孔膜1の空孔率は、特に限定されないが、例えば、10%以上である。微多孔膜1の空孔率は、二次電池用セパレータとして用いる場合、その下限は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。空孔率の下限が上記範囲であることにより、電解液の保持量を高め、高いイオン透過性を確保することができる。空孔率の上限は、特に限定されないが、例えば70%以下程度である。空孔率は、ポリオレフィン樹脂の構成成分の配合および、延伸工程における延伸倍率などを調節することにより、上記範囲とできる。
なお、空孔率は、微多孔膜の重量wとそれと等価な空孔のないポリマーの重量w(幅、長さ、組成の同じポリマー)とを比較した、以下の式(1)によって、測定できる。
空孔率(%)=(w−w)/w×100・・・(1)
微多孔膜1のガーレー値(透気抵抗度)は、特に限定されないが、例えば、膜厚20μmで換算したガーレーの下限が100sec/100cm以上である。微多孔膜1の空孔率は、二次電池用セパレータとして用いる場合、好ましくは200sec/100cm以上であり、より好ましくは250sec/100cm以上である。また、ガーレーの上限が1000sec/100cm以下である。ガーレーが上記範囲であることにより、電池セパレータとして用いた場合、イオン透過性に優れ、インピーダンスが低下し電池出力が向上する。透気度は、ゲル状シート、乾燥後微多孔膜の延伸条件などを調節することにより、上記範囲とすることができる。
ガーレー値(透気度)は、膜厚T(μm)の微多孔膜に対して、JIS P−8117に準拠して、透気度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)で測定した透気度P(sec/100cc)を、式:P=(P×16)/Tにより、膜厚を20μmとしたときの透気度Pに換算して得る値(sec/100cc/20μm)である。
微多孔膜1の膜厚20μmに換算した突刺強度は、例えば、下限が250gf/20μm以上であり、好ましくは280gf/20μm以上、より好ましくは300gf/20μm以上、さらに好ましくは320gf/20μm以上である。突刺強度の上限は特に限定されないが、1500gf/20μm程度である。突刺強度が上記範囲であることにより、薄膜化した場合においても機械的強度に優れ、電池用セパレータとして用いた場合、衝撃による破膜、短絡が防止され安全性に優れる。突刺強度は、ポリオレフィン樹脂中のポリプロピレン含有量や超高分子量ポリエチレンの含有量、延伸工程における延伸倍率などを調節することにより、上記範囲に制御できる。
突刺強度は、最大荷重の測定値L(gf)を、式:L=(L×16)/Tにより、膜厚を20μmとしたときの最大荷重Lに換算した値である。最大荷重の測定値L(gf)は、先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T(μm)の微多孔膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を測定した。
微多孔膜1の各方向の105℃熱収縮率は、例えば、0.1%以上10%以下程度である。熱収縮率が上記範囲であることにより、微多孔膜を使用した製品の耐熱性、耐久性が向上し、製品の長寿命化が期待できる。微多孔膜1の105℃熱収縮率は、試験片(微多孔膜1)を105℃の温度にて8時間熱処理し、熱処理前の各方向の試験片の大きさ(L1)と熱処理後の試験片の各方向の大きさ(L2)とを測定し、各方向において、L1を100%としたときの、L2の収縮率を式:[100−(L2/L1)×100](%)により算出した値である。
微多孔膜1の引張伸びは、例えば、45°方向及び135°方向に対応する引張伸びの比は、例えば、0.8以上1.25以下である。微多孔膜1の45°方向又は135°方向の引張伸びは、例えば、50%以上300%以下程度である。引張伸びが上記範囲である場合、フィルター、セパレータ等の用途に微多孔膜を用いた際、異物に対して破断し難くなり、かつ、微多孔膜巻き取り時に適度な伸びを示すため、巻き取り性が向上する場合がある。
上記の各方向において引張強度が比較的均一な値を示す場合、微多孔膜1の45°方向又は135°方向の引張伸びは、例えば10%以上200%以下であり、好ましくは20%以上100%以下である。上記の45°方向及び135°方向の引張強度の値が小さくなるパターンを有する場合、微多孔膜1の45°方向又は135°方向の引張伸びは、例えば10%以上200%以下であり、好ましくは20%以上100%以下である。引張伸びが上記範囲である場合、微多孔膜1は、機械的強度のバランスにより優れ、塗工時の破膜リスクも無くなる傾向にある。また、微多孔膜1の0°方向(MD方向)及び90°方向(TD方向)の引張伸びは、例えば、その下限が50%以上であり、その上限が300%以下である。なお、微多孔膜1の引張伸びは、例えばASTM D882に準拠した方法により測定することができる。
本実施形態の微多孔膜1の製造方法は、微多孔膜の表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、45°方向に対応する引張強度と135°方向に対応する引張強度との比を0.9超1.1未満の範囲に制御することを含む。引張強度は、公知の製膜方法において、ポリオレフィン樹脂の組成及びMD方向及びTD方向の延伸倍率を適宜調整することにより、上記の範囲とすることができる。
微多孔膜1の製造方法は、上記の各方向において均一な引張強度を有するパターンの場合、例えば、0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向に対応する引張強度のうち、最大値と最小値との比(Tmin/Tmax)を0.9以上1以下の範囲に制御することを含む。
微多孔膜1の製造方法は、上記の45°方向及び135°方向に対応する引張強度の値が小さくなるパターンの場合、例えば、45°方向に対応する引張強度及び前記135°方向に対応する引張強度の両方を、前記0°方向に対応する引張強度及び前記90°方向に対応する引張強度のうちいずれか小さい値の方の引張強度に対して、0.5倍以上0.95倍以下の範囲に制御することを含む。
微多孔膜1の製造方法は、上記の特性を有する微多孔膜が得られれば、特に限定されず、公知のポリオレフィン微多孔膜の製造方法を用いることができる。微多孔膜1の製造方法としては、例えば、乾式の製膜方法及び湿式の製膜方法が挙げられる。乾式の製膜方法では、例えば、ポリオレフィン樹脂を溶融押出し、シートを形成する、冷却過程で延伸することにより、球晶を起点とする微細孔を形成させて微多孔膜を得る。湿式の成膜方法では、例えば、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを溶融混練したポリオレフィン溶液を溶融押出し、シートを形成した後、冷却過程で高分子ミクロ相分離と成膜用溶剤の抽出とにより微細孔を形成させて微多孔膜を形成する。微多孔膜1の製造方法としては、膜の構造及び物性の制御の容易性の観点から湿式の製膜方法が好ましい。
湿式の製膜方法では、例えば、日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号の明細書、国際公開2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。湿式の製膜方法は、例えば、下記の工程(1)〜(5)を含むことができ、さらに下記の工程(6)〜(8)を含んでもよい。
(1)ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する工程
(2)ポリオレフィン溶液を溶融押出し、シート状に形成した後、冷却しゲル状シートを形成する工程
(3)ゲル状シートを延伸する第1の延伸工程
(4)延伸後のゲル状シートから成膜用溶剤を除去する工程
(5)成膜用溶剤除去後のシートを乾燥する工程
(6)乾燥後のシートを延伸する第2の延伸工程
(7)乾燥後のシートを熱処理する工程
(8)延伸工程後のシートに対して架橋処理及び/又は親水化処理する工程
上記延伸工程における、延伸方法は、一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、引張強度を上記範囲に、より容易に調整できる。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。例えば、同時二軸延伸の場合、微多孔膜1の引張強度を、上記各方向において均一なパターンに容易に制御しやすい傾向がある。
最終的な延伸倍率(面積延伸倍率)は、例えば、一軸延伸の場合、2倍以上が好ましく、3〜30倍がより好ましい。二軸延伸の場合、16倍以上が好ましく、49倍以上がより好ましい。また、長さ及び幅方向(MD及びTD方向)のいずれでも少なくとも3倍の延伸を行うことが好ましい。なお、MD方向とTD方向での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。第1工程及び/又は第2工程の延伸倍率は、樹脂材料の組成に応じて、各方法の引張強度が上記範囲となるように適宜、調整できる。
なお、微多孔膜1は、単層であてもよいが、少なくともポリオレフィン微多孔膜からなる層を積層した多層ポリオレフィン微多孔膜としてもよい。多層ポリオレフィン微多孔膜は、二層以上の層とすることができる。多層ポリオレフィン微多孔膜の場合、各層を構成するポリオレフィン樹脂の組成は、同一組成でもよく、異なる組成でもよい。なお、微多孔膜1がポリオレフィン樹脂を樹脂成分とする二層以上の多層ポリオレフィン微多孔膜である場合でも、単層の場合と同様に、引張強度を上記した特定の範囲とすることにより、巻き取り性及び塗工性に優れた微多孔膜を得ることができる。
本実施形態のロールは、例えば、延伸後の微多孔膜1を芯材の周囲に巻き取り形成される。ロールは、例えば、二次加工前の原反ロールでもよく、所定の幅にスリットされたり、表面塗工処理されたりしたロールであってもよい。微多孔膜1は、巻き取り性に優れるため比較的面積が大きい膜例えば、長さ1000mm、幅500mm程度、であっても、水平方向の蛇行や、上下の振動などが観察されず、ロールを形成することができる。ロールに巻き取り後の微多孔膜1は、ロールから再び巻出して、スリットしたり、表面塗工をしたり等の加工を行うことができる。微多孔膜1は、巻き取り性及び塗工性に優れるため、加工の際の生産性に非常に優れる。
なお、微多孔膜1は、ポリオレフィン樹脂以外の他の多孔質層を積層した積層ポリオレフィン多孔質膜であってもよい。他の多孔質層としては、特に限定されないが、例えば、バインダー樹脂と無機粒子とを含む無機粒子層を積層してもよい。無機粒子層を構成するバインダー樹脂としては、特に限定されず、公知の成分を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。無機粒子層を構成する無機粒子としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができ、例えば、アルミナ、ベーマイト、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ素などを用いることができる。また、積層ポリオレフィン多孔質膜としては、多孔質化した前記バインダー樹脂がポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の表面に積層されたものであってもよい。
図3は、本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の評価方法の一例を示すフローチャートである。この評価方法は、膜表面に平行な面内で製膜時の長さ方向(MD方向)に対して45°の角度をなす45°方向、及び45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、45°方向に対応する引張強度(T45°)と135°方向に対応する引張強度(T135°)との比(T135°/T45°)を算出する(ステップS1)。次いで、この引張強度の比(T135°/T45°)が0.91超1.10未満であるかどうかを判定する(ステップS2)。この比(T135°/T45°)は、好ましくは0.92以上1.09以下であり、より好ましくは0.94以上1.06以下である。
引張強度の比(T135°/T45°)が、上記範囲である場合、例えば、巻き取り性が良好であると判定できる。一方、引張強度との比(T135°/T45°)が、上記範囲を外れる場合、例えば、巻き取り性が不良であると判定できる。
引張強度の比(T135°/T45°)が、上記範囲である場合、例えば、塗工性が良好であると判定できる。一方、引張強度との比(T135°/T45°)が、上記範囲を外れる場合、例えば、塗工性が不良であると判定できる。
この評価方法は、面内の45°方向及び135°各方向の引張強度を算出し、判定することにより、例えば、実際に巻き取りや塗布を行うことなく、微多孔膜1の巻き取り性及び/又は塗布性を評価することができる。また、この評価の際に、45°方向及び135°方向に対応する引張強度と、0°方向(MD方向)及び90°方向(TD方向)に対応する引張強度とを算出し、引張強度の分布パターンが上記の丸型、楕円型、十字型の分布パターンのいずれであるかを判定することにより、ポリオレフィン微多孔膜を評価することができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定され
るものではない。
1.測定方法と評価方法
(1)引張強度
各方向に対応する引張強度については、幅10mmの短冊状試験片を用いて、ASTM D882に準拠した方法により測定した。
(2)引張伸び
各方向に対応する引張伸びについては、幅10mmの短冊状試験片を用いて、ASTM D−882に準拠した方法により測定した。
(3)膜厚(μm)
微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック)により測定し、平均値を求めた。
(4)空孔率(%)
微多孔膜の重量wとそれと等価な空孔のないポリマーの重量w(幅、長さ、組成の同じポリマー)とを比較した、以下の式によって、測定した。
空孔率(%)=(w−w)/w×100
(5)ガーレー値(透気抵抗度)(sec/100cm/16μm)
膜厚T(μm)の微多孔膜に対して、JIS P−8117に準拠して、透気度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)で測定した透気抵抗度P(sec/100cm)を、式:P=(P×16)/Tにより、膜厚を20μmとしたときの透気抵抗度Pに換算した。
(6)突刺強度
先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T(μm)の微多孔質膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を測定した。最大荷重の測定値L(gf)を、式:L=(L×16)/Tにより、膜厚を20μmとしたときの最大荷重Lに換算し、突刺強度とした。
(7)105℃熱収縮率
試験片を105℃の温度にて8時間熱処理し、熱処理前の各方向の試験片の大きさ(L1)と熱処理後の試験片の各方向の大きさ(L2)とを測定し、各方向において、L1を100%としたときの、L2の収縮率を式:[100−(L2/L1)×100](%)により算出した。
(8)巻き取り性の評価
幅500mmのフィルム(微多孔膜)を巻き取った二次加工前の原反ロールを、張力20N又は30Nで巻出し、再び、巻取りを行った際、搬送ロール状の水平走行区間(搬送方向における長さ:1m)のフィルムの走行状態を目視にて以下の基準で評価した。
良好:水平走行区間のフィルム走行時に水平方向の蛇行及び上下方向の振動の両方が認められなかった。
不良:水平走行区間のフィルム走行時に水平方向の蛇行及び上下方向の振動のうち少なくとも一方が観察された。
(9)塗工性の評価
巻き取り張力30Nで、幅500mmの微多孔膜の一方の表面にセラミック粉末スラリーをグラビアコーターで塗布、乾燥し、塗工膜厚3μm(基準値)のセラミック層を積層した微多孔膜を得た。得られた積層微多孔膜の塗工層を含む全膜厚(塗工層+原反厚み)をTD方向に50mm置きに測定し、原反厚みを差し引くことで各測定地点での塗工厚みを算出した。膜厚3μmを100%とした場合の各測定地点における膜厚L3の変動幅(100×L3(μm)/3(μm))(%)を算出し、以下の基準で塗工性を評価した。
良好:膜厚変動幅が、基準値に対して、−3%以上+3%以下であり、塗工膜厚が均一である。
不良:膜厚変動幅が基準値に対して、−3%未満+3%超であり、塗工膜厚が変動する。
(塗布液の調製)
CMC(カルボキシメチルセルロース:ダイセルファインケム株式会社製、品番2200)0.8質量部に溶媒60.8質量部を加え、2時間攪拌した。続いて平均粒径0.5μmの球形状のアルミナ微粒子を38.4質量部加え、2時間攪拌してアルミナ微粒子を十分分散させた後、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液とした。この時、樹脂成分と微粒子の体積比は5:95であった。(CMCの比重1.6g/cm、アルミナの比重4.0g/cmとして計算した。)
(実施例1〜4)
表1に示す組成で高密度ポリエチレン(HDPE)及び超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)を含むポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとを二軸押出機にて、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製した。ポリオレフィン溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押し出した。押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ゲル状シートを、テンター延伸機により110〜125℃でMD方向及びTD方向ともに5倍以上9倍以下で同時二軸延伸又は逐次二軸延伸(第1の延伸)した。延伸ゲル状シートを20cm×20cmのアルミニウム枠板に固定し、25℃に温調した塩化メチレン浴中に浸漬し、100Tpmで3分間揺動しながら流動パラフィンを除去し、室温で風乾し、乾燥膜を得た。乾燥膜を、バッチ式延伸機を用いて、126℃でTD方向に1.0倍以上1.8倍以下で延伸(第2の延伸)した。次に、この膜をテンター法により、126℃で熱固定処理を行った。作成したポリオレフィン微多孔質膜の各成分の配合割合、製造条件、評価結果等を表1に記載した。また、各方向の引張強度を図2に示した。図2中、図2(A)は、実施例3を示し、図2(B)、図2(C)及び図2(D)は、それぞれ実施例1、実施例2及び実施例4を示す。
(比較例1及び2)
比較例としてポリエチレン系樹脂を用いた微多孔膜からなる2種類の市販品(比較例1及び比較例2)の製造条件、評価結果等を表1に記載した。また、各方向の引張強度を図2に示した。図2中、図2(E)は、比較例1を示し、図2(F)は、比較例2を示す。
Figure 0006634821
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、巻き取り性及び塗布性に優れるため、二次加工の際の歩留まりが改善され、生産性に優れる。よって、製膜後に二次加工が必要な種々の分野に用いられるポリオレフィン微多孔膜、例えば、ろ過膜、透析膜などのフィルター、電池用セパレータや電解コンデンサー用のセパレータなどに有用である。中でも薄膜化が要求される二次電池用セパレータに好適に用いることができる。また、本発明のポリオレフィン微多孔膜の評価方法は、巻き取り性や塗工性を二次加工前に評価することができる。
1……ポリオレフィン微多孔膜

Claims (14)

  1. 膜表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び前記45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、前記45°方向に対応する引張強度と前記135°方向に対応する引張強度との比が0.9超1.1未満であり、
    高密度ポリエチレンを50質量%以上と超高分子量ポリエチレンを含有するポリオレフィン樹脂からなり、
    前記長さ方向に対して0°の角度をなす0°方向、及び、前記長さ方向に対して前記45°方向と同じ向きに90°の角度をなす90°方向について、前記0°方向に対応する引張強度及び前記90°方向に対応する引張強度が、それぞれ、2000kgf/cm 以上である、ポリオレフィン微多孔膜。
  2. 膜表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び前記45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、前記45°方向に対応する引張強度と前記135°方向に対応する引張強度との比が0.9超1.1未満であり、
    前記長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれ方向について、前記0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向に対応する引張強度のうち、これらの最大値と最小値との比(Tmin/Tmax)が0.9以上1以下であり、
    高密度ポリエチレンを90質量%以上含有するポリオレフィン樹脂からなる、ポリオレフィン微多孔膜。
  3. 前記長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれの方向について、前記45°方向に対応する引張強度及び前記135°方向に対応する引張強度の両方の値が、前記0°方向に対応する引張強度及び前記90°方向に対応する引張強度の値うち、いずれか小さい方の値に対して、0.5倍以上0.95倍以下である請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  4. 前記0°方向に対応する引張強度が3500kgf/cm以下であり、前記90°方向に対応する引張強度が3500kgf/cm以下である請求項3に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  5. 前記45°方向及び前記135°方向に対応する引張強度が800kgf/cm以上2500kgf/cm以下である請求項3又は4に記載のポリオレフィン多孔質膜。
  6. 高密度ポリエチレンを含む請求項1〜5に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  7. 膜厚が1μm以上20μm以下である請求項1〜6に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリオレフィン微多孔膜の少なくともいずれか一方の表面に多孔質層を積層した積層ポリオレフィン微多孔膜。
  9. 前記請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリオレフィン微多孔膜または請求項8に記載の積層ポリオレフィン微多孔膜からなるロール。
  10. ポリオレフィン微多孔膜を、高密度ポリエチレンを50質量%以上と超高分子量ポリエチレンを含有するポリオレフィン樹脂からなる樹脂とすることと、
    前記ポリオレフィン微多孔膜の表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び前記45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、前記45°方向に対応する引張強度と前記135°方向に対応する引張強度との比を0.9超1.1未満の範囲に制御することと、
    前記長さ方向に対して0°の角度をなす0°方向、及び、前記長さ方向に対して前記45°方向と同じ向きに90°の角度をなす90°方向について、前記0°方向に対応する引張強度及び前記90°方向に対応する引張強度を、それぞれ、2000kgf/cm 以上の範囲に制御することと、を含む、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  11. ポリオレフィン微多孔膜を、高密度ポリエチレンを90質量%以上含有するポリオレフィン樹脂からなる樹脂とすることと、
    前記ポリオレフィン微多孔膜の表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び前記45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、前記45°方向に対応する引張強度と前記135°方向に対応する引張強度との比を0.9超1.1未満の範囲に制御することと、
    前記長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれ方向について、前記0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向に対応する引張強度のうち、最大値と最小値との比(Tmin/Tmax)を0.9以上1以下の範囲に制御することを含む、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  12. 前記長さ方向に対して0°、45°、90°及び135°の角度を同じ向きになすそれぞれの方向について、前記45°方向に対応する引張強度及び前記135°方向に対応する引張強度の両方を、前記0°方向に対応する引張強度及び前記90°方向に対応する引張強度のうちいずれか小さい値の方の引張強度に対して、0.5倍以上0.95倍以下の範囲に制御することを含む、請求項10に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  13. 膜表面に平行な面内で製膜時の長さ方向に対して45°の角度をなす45°方向、及び前記45°方向と同じ向きに135°の角度をなす135°方向について、前記45°方向に対応する引張強度と前記135°方向に対応する引張強度との比を算出することと、
    前記比を用いて、巻き取り性又は塗工性を評価することと、を含む、ポリオレフィン微多孔膜の評価方法。
  14. 前記45°方向の引張強度と前記135°方向の引張強度との比が0.9超1.1未満であるかどうかを判定する請求項13に記載のポリオレフィン微多孔膜の評価方法。
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