実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態1]
図1〜図7を参照して、実施の形態1における集塵装置1について説明する。図1は、集塵装置1を示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿った断面斜視図である。図3は、集塵装置1を示す断面図である。図4は、図3中のIV−IV線に沿った断面図である。
集塵装置1は、たとえば、居室の床、机、家具の棚、壁面、天井面など、各種の設置面上に設置される。集塵装置1は、吸込口12から本体10の内部へ空気を吸引するとともに、吸引した空気を吹出口18から外部に吹き出すことができる。具体的には、集塵装置1は、本体10、駆動源20(図2,図3)、羽根車21、静電気発生部22、吸着体23を備える。
(本体10)
本体10は、筒状部11、吸込口12、旋回流生成部13、旋回室14、仕切部15、テーパー部16、静翼部17、吹出口18、集塵部19を含む。筒状部11は、円筒状の形状を有する。筒状部11の軸方向における一端に吸込口12が設けられ、筒状部11の軸方向における他端に吹出口18が設けられている。テーパー部16は、筒状部11の軸方向における略中央に設けられる。
旋回流生成部13は、吸込口12の内側に固定配置されている。旋回流生成部13は、周方向に並ぶ複数の羽根部を含む。吸込口12を通して吸い込まれる空気は、隣り合う羽根部の間に形成された隙間を通過したのち、旋回室14に到達する。空気は、隣り合う羽根部の間に形成された隙間を通過することにより、旋回室14の中で旋回流を形成する。旋回流生成部13が設けられている位置は、旋回室14の入口部14aとして機能している。
静翼部17は、吹出口18の内側に固定配置されている。静翼部17も、周方向に並ぶ複数の羽根部を含む。静翼部17を構成するこれらの羽根部の内側に、駆動源20が配置される。羽根車21は、駆動源20の出力軸に取り付けられ、テーパー部16と静翼部17との間に配置される。
仕切部15は、旋回室14の中に設けられる。仕切部15は、周方向に並ぶ複数のリブ部を含む。これらのリブ部は、いずれも、筒状部11の筒軸方向に対して平行に延びている。旋回室14内の空気は、隣り合うリブ部の間に形成された隙間を通過し、テーパー部16の内側の空間(テーパー部16の上方の空間)に到達する。仕切部15が設けられている位置は、旋回室14の出口部14bとして機能する。
旋回室14は、入口部14aと出口部14bとが設けられた中空の形状を有する。集塵部19は、旋回室14の径方向の外側に配置される(図4参照)。羽根車21の回転によって、吸込口12、旋回流生成部13を通して、入口部14aから塵埃を含む空気が旋回室14内に導入される。
空気は、旋回流生成部13を通過することにより、旋回室14の中で旋回流を形成する。空気が内部で旋回することで、空気から塵埃が遠心分離される。分離された塵埃の多くは、集塵部19により回収される。塵埃と分離された空気は、出口部14b(仕切部15)を通して旋回室14から排出される。空気は、テーパー部16と静翼部17との間の空間、静翼部17、吹出口18を通して、集塵装置1の外部に排出される。
(静電気発生部22・吸着体23)
吸着体23は、旋回室14の内部に配置される。旋回室14の内部には、1個の吸着体23が収容されていてもよいし、複数の吸着体23が収容されていてもよい。吸着体23は、旋回室14の内部で旋回する空気によって吹き上げられることで、旋回室14の内部で浮遊しながら旋回する。この時、吸着体23のサイズおよび重量は最適に選択されており、集塵部19よりも低い位置で吸着体23は旋回する。
吸着体23は、好ましくは、多孔質構造、格子状構造(繊維構造)、または表面が粗面化された構造を有している。吸着体23は、線状または紐状の素材を中心部から放射状に配列して形成されていても構わない。安定して浮遊旋回させるために、吸着体は球状であることが望ましい。吸着体23は、比表面積が大きく、気流を受けて浮遊しやすい部材から構成されていることが望ましい。具体例としては、吸着体23の材質は、多孔質構造を取る発泡樹脂等が適している。
吸着体23を構成している多孔質材の気孔サイズにより、吸着可能な塵埃を調整することが可能である。吸着体23を構成している多孔質材の気孔が連続で繋がっていることで、吸着体23の内部へ塵埃を取り込みやすくなる。吸着体23が繊維材から構成されている場合、繊維径により吸着可能な塵埃が異なる。吸着体23の構成する繊維材の具体例としては、綿を球状に巻き上げたものや、不織布を切り出したものが良い。
吸着体23を構成する部材には、セラミックスや活性炭の微細多孔質材を担持させてもよい。この場合、吸着体23は、さらに微小な臭気成分を吸着することも可能となる。吸着体23の形状は、球形を採用することで安定した旋回運動をさせることができ、摩擦も発生しやすくなる。
吸着体23の材質に発泡ウレタンフォームを採用した場合は、旋回時に旋回室14の内周壁に吸着体23が押し当てられた際、その柔軟さにより接触部が潰れ、接触面積が増え大きな帯電を得ることが可能となる。吸着体23を角のある形状にした場合(たとえば四角柱の場合)、気流を上手く受ける面が不安定になり、上下に揺動しやすくなり、吸着体23同士での衝突が頻繁に生じ、吸着体23は弾むようにして旋回することも可能となる。
静電気発生部22は、旋回室14の内部で浮遊しながら旋回する吸着体23を帯電させる。同時に、静電気発生部22も帯電する。静電気発生部22は、たとえば、ナイロン(ポリアミド)から構成される。静電気発生部22は、筒状部11(旋回室14)を構成する部材そのものの一部として構成されていてもよいし、筒状部11を構成する部材とは別部材として構成され、筒状部11の内壁面に貼り付けられていてもよい。静電気発生部22を、筒状部11(旋回室14)を構成する部材そのものの一部として構成する場合には、筒状部11(旋回室14)を射出成型により作製するのに適した樹脂材料が選択されるとよい。
静電気発生部22がガラスやナイロン(ポリアミド)等から構成される場合、吸着体23の材質は、たとえばポリエチレンやポリウレタン等(発泡ウレタンフォーム)の多孔質材を選択するとよい。この場合、吸着体23は負極性に帯電することになる。摩擦帯電列において、ナイロンは正極性に帯電しやすい材料であり、ポリエチレンやポリウレタンは負極性に帯電しやすい材料である。
摩擦帯電列からの選択に応じて、吸着体23や静電気発生部22の帯電極性を任意に設定できる。材料が異なる複数種類の吸着体23を用意することで、1種類の静電気発生部22によって、吸着体23の帯電極性、帯電量を自由に設定することが可能となる。旋回室14の中で浮遊する吸着体23は、塵埃を含む空気と撹拌されながら、塵埃を捕集する。この際、静電気発生部22により帯電した吸着体23は、静電気による引力により、塵埃を効果的に捕集することが可能となる。
(作用および効果)
図5〜図7は、集塵装置1の作用および効果を説明するために、集塵装置1を模式的に表した図である。図5〜図7中において、白色矢印AR1は、空気の流れを示しており、黒色矢印AR2は、塵埃の流れを示している。
吸込口12および入口部14aを通して旋回室14に流入した空気は、旋回室14の中で旋回する。空気よりも重量のある塵埃は、遠心力により旋回室14の外周側へと移動し、空気から分離される。空気は、多くの塵埃が分離された状態で、出口部14b、吹出口18を通して集塵装置1の外部へと排出される。集塵部19の入口では、遠心力と慣性とにより空気から塵埃が分離される。集塵部19の内部では、集塵部19の入口から空間が広がるように形成されているため、集塵部19に流入する空気の風速が低下し、塵埃だけが集塵室19内に残ることになる。
旋回室14の中で浮遊撹拌されながら塵埃を吸着する吸着体23は、十分に質量があるため、遠心力を受けて旋回室14の内周壁に沿うように旋回する。吸着体23は、多孔質構造を有しており、塵埃を含む空気と撹拌されることで、遠心分離されにくい微細な塵埃や粒子を吸着し、集塵率を向上させる。
静電気発生部22は、旋回室14の内壁面の少なくとも一部を構成しており、吸着体23は、旋回室14の中で浮遊旋回する際に、静電気発生部22と接触する。この時、摩擦帯電、接触帯電、剥離帯電、回転帯電等の物理的な接触による帯電現象が起きる。
吸着体23の帯電極性と、静電気発生部22の帯電極性とは、好ましくは逆極性となるように構成される。たとえば、吸着体23が負極帯電している場合、正極帯電している塵埃の吸着が促進される。静電気発生部22と吸着体23との帯電極性は、摩擦帯電列に基づき決定される。
摩擦帯電列において、静電気発生部22の材質位置と吸着体23の材質位置とが互いに離れている程、より大きな帯電量が得られる。材料選定により、帯電極性および帯電量を適切に設定可能である。静電気発生部22が正帯電し、吸着体23が負帯電している場合、正帯電した塵埃の吸着体23への吸着が盛んになり、塵埃の静電気発生部22への付着を抑制できる。静電気発生部22は、コロナ放電等の作用によって、吸着体23や塵埃に非接触でこれらを帯電させてもよい。
摩擦により静電気発生部22(旋回室14の内壁面)は帯電しており、静電気発生部22の帯電の極性とは逆極性の塵埃には、径方向外側へ引き寄せられる力が働く。この力により遠心分離能力が強化され、集塵率の向上に繋がる。この時、吸着体23は旋回室14の内周壁に沿うように旋回する。吸着体23が塵埃と同じ極性に帯電している場合には、吸着体23の吸着は盛んではないが、吸着体23は旋回室14の内周壁に付着する塵埃を拭き取る効果(セルフクリーニング効果)がある。この拭き取り作用を考慮し、流入風量、すなわち回転翼の回転数を調整することで、旋回高さを変え、吸着体23のサイズ、重量を調整し、吸着体23の旋回高さを複数の値に設定することも効果的である。
従来は、吸着体23の材質や構造のみの作用によって塵埃を捕集していた。本実施の形態においては、吸着体23そのものが有する吸着能に加えて(図5,図6参照)、吸着体23に付与された帯電の静電吸着力が塵埃に付与されるため、吸着体23は塵埃を効果的に集めることができる(図7参照)。吸着体23から離れた位置で浮遊する塵埃も、静電吸着力によって、吸着体23に吸着させることが可能となる。吸着体23の帯電により、吸着体23の塵埃に対する保持力も向上する。
遠心分離の作用によって旋回室で分離できる塵埃は限られている。遠心分離の作用のみによって微細な塵埃を十分に回収することは容易ではない。遠心分離で捕集されなかった微細な塵埃は、旋回室の下流へと流れる。一般的なサイクロン式電気掃除機においては、微細な塵埃を集めるために、旋回室の下流に微細塵用フィルターが設けられている。
本実施の形態においては、吸着体23そのものが有する吸着能に加えて、吸着体23に付与された帯電による静電吸着力によって、塵埃を効果的に集めることができる。旋回室14および集塵部19内の総集塵量が増加する。旋回室14の下流にフィルターが設けられる場合には、旋回室14内での集塵率の向上は、フィルターの詰まりを抑制し、フィルター詰まりによる圧力損失の発生も低減できることになる。
集塵装置1によれば、少ない風量(風速)で遠心分離可能となり、羽根車21の小型化、低騒音化、コスト低減などを図ることも可能となる。集塵装置1が電気掃除機等に用いられる場合には、吸込みホース部分に、塵埃を任意の極性に帯電させる静電気発生部を備えることでより効果的になる。吸着体23は、取扱いが簡単であり、油分によるベタつきもほとんどなく、繰り返して利用することが可能である。
[実施の形態2]
図8を参照して、集塵装置1Aにおいては、吸着体23の帯電極性と、静電気発生部22の帯電極性とが、逆極性となるように構成される。吸着体23が正極に帯電する場合、負極に帯電した塵埃に対して有効である。一方、吸着体23が正極に帯電する場合、正極に帯電した塵埃に対しては効果を得にくい。
この時、静電気発生部22が吸着体23とは逆極性(ここでは負極)に帯電していることで、静電気発生部22は、正極に帯電する塵埃に対して静電気による引力を発揮する。遠心分離を行なう集塵装置1Aにおいて、旋回室14の一部の内周壁を構成している静電気発生部22の静電気力は、塵埃に対して遠心方向への力として作用するため、塵埃の遠心分離能力が向上する。
[実施の形態3]
図9〜図12を参照して、実施の形態3における集塵装置1Bについて説明する。集塵装置1Bと実施の形態1における集塵装置1(図1〜図4)とは、以下の点において相違している。
集塵装置1Bの本体10(筒状部11)は、全体として、中央がくびれた円筒状の形状を有している。旋回流生成部13は、プロペラファンの形状を有しており、筒状部11の軸方向における中央に固定配置されている(図11,図12参照)。旋回流生成部13は、吸込口12から旋回室14に向かって流れる空気の流れを変える。旋回流生成部13を通過した空気は、旋回室14の中で旋回流を形成することになる。
集塵装置1Bの筒状部11は、集塵部19を着脱可能に受け入れ可能な切り欠きを有している。集塵部19の外表面は、集塵部19が筒状部11に取り付けられている状態で、筒状部11の外表面と面一の関係となるように設けられている。集塵部19が筒状部11に取り付けられている状態で、旋回室14の内側空間は、集塵部19に設けられた開口を通して集塵部19の内側空間に連通している。
(作用および効果)
吸込口12から筒状部11の中に吸い込まれた空気は、上昇移動し、やがて旋回流生成部13に到達する。旋回流生成部13(入口部14a)を通過した空気は、旋回室14の中で旋回する。旋回流の作用によって、旋回室14の内部にて、塵埃および空気は互いに遠心分離される。空気と分離された塵埃は、集塵部19に設けられた開口部を通して、集塵部19の中に集められる。
空気は、多くの塵埃が分離された状態で、出口部14b、吹出口18を通して集塵装置1の外部へと排出される。旋回室14の中で浮遊撹拌されながら塵埃を吸着する吸着体23は、十分に質量があるため、遠心力を受けて旋回室14の内周壁に沿うように旋回する。静電気発生部22は、旋回室14の内壁面の少なくとも一部を構成しており、吸着体23は、旋回室14の中で浮遊旋回する際に、静電気発生部22と接触する。この時、摩擦帯電、接触帯電、剥離帯電、回転帯電等の物理的な接触による帯電現象が起きる。
本実施の形態においても、吸着体23そのものが有する吸着能に加えて、吸着体23に付与された帯電の静電吸着力が塵埃に付与されるため、吸着体23は塵埃を効果的に集めることができる。吸着体23から離れた位置で浮遊する塵埃も、静電吸着力によって、吸着体23に吸着させることが可能となる。吸着体23の帯電により、吸着体23の塵埃に対する保持力も向上する。
[実施の形態4]
図13を参照して、実施の形態4における集塵装置1Cについて説明する。集塵装置1Cと実施の形態1における集塵装置1(図1〜図4)とは、以下の点において相違している。
集塵装置1Cにおいては、静電気発生部22Aが電極(シート状の電極材)から構成されている。シート状の電極材に限られず、静電気発生部22Aは、導電性インクを印刷したものから構成されていてもよい。すなわち、静電気発生部22Aとしては、筒状部11の側面に導電性インクを直接印刷することで構成された電極を用いることも可能である。また、曲面形状に沿った形の電極を用いたもの、複数の電極を配置してもよい。集塵装置1Cは、電圧印加装置24(昇圧回路)をさらに備えている。電圧印加装置24は、静電気発生部22Aに電圧を印加することで、静電気発生部22Aを任意の極性に帯電させる。図13に示す電圧印加装置24は、筒状部11の外部に設けられているが、電圧印加装置24は、筒状部11の内部に設けられていても構わない。
吸着体23は、静電気発生部22Aに接触しながら旋回室14の中で旋回する。誘電分極作用によって、吸着体23の表層部には、静電気発生部22Aとは逆極性の電荷が集まることになる。すなわち、吸着体23は、摩擦による帯電と同じ効果が得られる。静電気発生部22Aに印加する電圧の大きさ等を適宜設定することによって、吸着体23の帯電極性、帯電量を自由に設定することが可能となる。
[実施の形態5]
図14および図15を参照して、実施の形態5における集塵装置1Dについて説明する。集塵装置1Dと実施の形態1における集塵装置1(図1〜図4)とは、以下の点において相違している。図14に示すように、集塵装置1Dにおいては、旋回室14の内壁面に、複数の突起14Pが設けられている。
図15を参照して、集塵装置1Dの旋回室14に収容される吸着体23A(発音体)は、外殻体23mと、複数の小片23nとを含む。複数の小片23nは、外殻体23mの中に移動自在に収容されている。
図14に示すように、吸着体23Aが旋回室14の中で旋回する際、吸着体23Aが突起14Pに接触することで、吸着体23Aは発音する。たとえば、複数の小片23nが外殻体23mの内周面に擦れたり衝突したりすることで、吸着体23Aは発音する。複数の小片23n同士が互いに擦れたり衝突したりすることでも、吸着体23Aは発音する。
複数の突起14Pの配置間隔や、突起高さ、材質などで、吸着体23Aから発せられる音が異なり、吸着体23Aの旋回速度に応じて発音を調整可能である。吸着体23Aの外殻体23m、小片23nの材質、サイズ等でも音色が変わり、混合した複数種類の小片23nを使用することも可能である。吸着体23Aが旋回流に乗って旋回する際、揺動、衝突時の振動により、集塵装置1Dから不規則な音を発生することになる。楽器のマラカスや乳児用のガラガラと同じような発音手段を実現することも可能である。
本実施の形態で説明した吸着体23A(発音体)は、発音機能を提供するという観点では、集塵や吸着という思想とは独立した発明として単独で実施することも可能である。すなわち、本実施の形態で説明している内容は、実施の形態1〜4と組み合わせて実施することも可能であり、実施の形態1〜4と組み合わせずに実施することも可能である。
発音機能により着目した発音体を作成するためには、ピンポン玉のような樹脂製の外殻体23mの内側に、ビーズのような小片23nを複数入れることで作成できる。気流により外殻体23mおよび小片23nが動かされ、慣性の法則および重力に加え、衝突により発音する。ビーズのサイズ、材質、数量、形状によって、音色が変化する。外殻体23mの材質や、旋回室14の内壁面の凹凸によっても、音色は変化する。樹脂製の外殻体23mの中に複数のビーズ製の小片23nを複数入れた場合には、いわゆるホワイトノイズと呼ばれる音が発生する。母親の胎教の音に似ていることから、入眠効果やリラックス効果を得ることができる。後述するドップラー効果の原理によれば、旋回により、ホワイトノイズを周期的に発生させることも可能である。
本実施の形態で説明した吸着体23A(発音体)は、上述の実施の形態3における集塵装置1B(図9〜図12)の中に収容されてもよい。集塵装置1Bの旋回室14の内壁は、円錐状に傾斜した形状を有している。発音体の旋回高さにより旋回径が変化する。羽根車21(図11,図12)の回転数を増やし、風量を上げることで旋回高さは上昇し、風量を下げると旋回高さは下降する。
羽根車21の回転数を制御することにより、旋回径、すなわち旋回周期が変わり音に変化を付けることが可能である。また、風量増加に伴い旋回速度は上昇し、旋回径が大きくなることで旋回速度が低下する。発音体の形状が球形の場合、安定して旋回、発音させることができ、多角形のような角、稜線のある形を用いた場合、旋回が不安定になり、その発音も不規則になる。
[実施の形態6]
図16を参照して、実施の形態6における集塵装置について説明する。本実施の形態における集塵装置と実施の形態5における集塵装置1D(図14,図15)とは、以下の点において相違している。
本実施の形態の集塵装置においては、吸着体23B(発音体)が用いられる。外殻体23mの内部に、音板26mと音棒26nとが片持ちで固定されており、打鳴部25は、固定部25mを介して揺動自在に保持されている。音板26mおよび音棒26nは、サイズや形状を変えることで、音色が変化する。吸着体23Bは、旋回室14(図13参照)の中で旋回流に乗って旋回する。旋回の際、打鳴部25が揺動し、音板26mと音棒26nに衝突することで吸着体23Bは発音する。
本実施の形態で説明した吸着体23B(発音体)も、発音機能を提供するという観点では、集塵や吸着という思想とは独立した発明として単独で実施することも可能である。本実施の形態の場合には、乳児用のチャイムとして知られる構成を実現することもできる。すなわち、本実施の形態で説明している内容は、実施の形態1〜5と組み合わせて実施することも可能であり、実施の形態1〜5と組み合わせずに実施することも可能である。
[実施の形態7]
図17を参照して、実施の形態7における集塵装置について説明する。本実施の形態における集塵装置と実施の形態5における集塵装置1D(図14,図15)とは、以下の点において相違している。
本実施の形態の集塵装置においては、吸着体23C(発音体)が用いられる。本実施の形態の外殻体23mは、発泡ウレタンフォームなどから構成される。外殻体23mの内部には、基板等を配置可能な空間が設けられており、本実施の形態では、発電部28a、制御部28b、発音部28cが設けられている。制御部28bは、蓄電部としての機能や、記憶部としての機能も備える。発電部28aは、たとえば圧電素子等から構成され、吸着体23Cの揺動や衝突による振動を基に発電する。発電された電力により、制御部28b(記憶部)に格納されている任意の音源(音楽、音声など)を、発音部28c(スピーカー)にて再生可能となる。
本実施の形態で説明した吸着体23C(発音体)も、発音機能を提供するという観点では、集塵や吸着という思想とは独立した発明として単独で実施することも可能である。すなわち、本実施の形態で説明している内容は、実施の形態1〜6と組み合わせて実施することも可能であり、実施の形態1〜6と組み合わせずに実施することも可能である。
(ドップラー効果とうなり音について)
図18〜図21は、実施の形態5〜7に関して、ドップラー効果とうなり音について説明するための模式図である。たとえば吸着体23C(発音体)を備えた集塵装置1F(発音装置)において、吸着体23Cは、矢印AR方向に旋回中に、観測者に近づくことと観測者から遠ざかることとを繰り返す。
音源が観察者に近づくように移動する時は、観測者は音源からの音を高い音として感受し、音源が観察者から遠ざかるように移動する時は、観測者は音源からの音を低い音として感受する(ドップラー効果)。集塵装置1F(発音装置)の中に吸着体23C(発音体)が複数収容されている場合には、吸着体23Cから観察者に届く音の周波数の違いにより、観察者は、うなり音を感受する。たとえば、2つの吸着体23C(発音体)が、同一の周波数を有する音源を内蔵しているとする。
図18に示す位置関係の場合、うなりが|F1−F2|回発生する。図19に示す位置関係の場合、うなりが|F1’−F2’|回発生する。一方で、図20に示す位置関係の場合、うなりは発生しない。したがって、吸着体23Cが旋回室14の中で旋回することで、集塵装置1F(発音装置)は、うなりの回数が時間で変化する音を発生可能となる。2つの吸着体23Cにおいて周波数が異なる場合も、うなりの発生回数が時間変化することになる。音波の重ね合わせにより、干渉と共鳴とが周期的に繰り返されることになり、観測者に癒し効果のある1/fゆらぎの音などを届けることも可能となる。愛玩動物用玩具としても利用可能である。
[実施の形態8]
図22および図23は、それぞれ、実施の形態8における集塵装置1Gを示す断面斜視図および断面図である。集塵装置1Gと実施の形態3における集塵装置1B(図9〜図12)とは、以下の点において相違している。
集塵装置1Gは、旋回室14の中央に、光源29を備えている。本実施の形態の光源29は、仕切部15の下に設けられている。旋回室14は、その内部で浮遊している吸着体23を旋回室14の外部から視認可能なように、透明性を有する部材から形成されている。透明性を有する部材とは、光が通過することが可能な材質で形成された部材である(たとえばアクリルなど)。旋回室14の内部で浮遊している吸着体23を旋回室14の外部から視認可能でさえあれば、透過率は多少低くても構わない(磨りガラスや乳白色プラスティック等)。
吸着体23は遮光性を有する部材から構成され、光源29の回りで揺動旋回する。複数の吸着体23により遮光されることで漏れ出る光源29の光や、吸着体23によって形成される影が動くことで、集塵装置1Gは、独特な光の演出が可能な照明装置として機能することができる。吸着体23は、透光材または反射材から構成される場合、色、透光性、反射性等の選択によりさらに多才な光の演出が可能となる。たとえば、吸着体23(旋回体)が不規則に揺動や旋回する場合には、漏れる光も不均一になり、木漏れ日に似た不規則なゆらぎを提供できる。
本実施の形態で説明した集塵装置1G(照明装置)は、照明機能を提供するという観点では、集塵や吸着という思想とは独立した発明として単独で実施することも可能である。すなわち、本実施の形態で説明している内容は、実施の形態1〜7と組み合わせて実施することも可能であり、実施の形態1〜7と組み合わせずに実施することも可能である。
[実施の形態9]
図24を参照して、実施の形態9における集塵装置1Hについて説明する。本実施の形態における集塵装置1Hと実施の形態8における集塵装置1G(図22,図23)とは、以下の点において相違している。本実施の形態の光源29は、仕切部15の周囲に設けられている。当該構成によっても、上述の実施の形態8と略同様の作用および効果を得ることができる。
[実施の形態10]
図25および図26を参照して、実施の形態10における集塵装置1Jについて説明する。集塵装置1Jと実施の形態1における集塵装置1(図1〜図4)とは、以下の点において相違している。
本実施の形態の集塵装置1Jは、吸着体23D(発光体)を備えている。吸着体23Dは、透明性を有する外殻体23m(たとえば発泡ウレタンフォーム)の内部に、基板等を配置可能な空間が設けられており、本実施の形態では、発電部28sおよび発光部28tが設けられている。
発泡ウレタンフォームは多孔質材であり、光が透けることから、内部のLEDの発光を外部から確認できる。吸着体23Dは、内部に発電部28sを備えることで、発光部28t(LED等)の電気を利用して発光する。吸着体23Dは、旋回室14の中で旋回する際に、自発光する光源として機能することが可能となる。発電部28sの代わりに、電池(蓄電部)を用いることも可能である。
上記の構成に限られず、吸着体23Dの全体が、化学反応を用いた発光体または、蓄光する材料を用いて構成されていてもよい。吸着体23Dは、旋回室14の中で周期的に旋回移動する光源を構成する。集塵装置1Jの使用者に、光の揺らめきを与えることができる。旋回室14の中に複数の吸着体23Dが備えられる場合、多重影を作り出し、複数色から成る場合、色が合成され、光の多才な演出を実現することが可能となる。
本実施の形態で説明した集塵装置1J(照明装置)は、照明機能を提供するという観点では、集塵や吸着という思想とは独立した発明として単独で実施することも可能である。すなわち、本実施の形態で説明している内容は、実施の形態1〜9と組み合わせて実施することも可能であり、実施の形態1〜9と組み合わせずに実施することも可能である。
吸着体23の吸着能を抑えてより大きな照明機能を発揮させるためには、塵埃と同じ極性に吸着体23を帯電させることで、塵埃の吸着体23への吸着を抑制可能となる。たとえば、吸着能がそれほど要求されないシーンにおいてこの構成は有効である。旋回体(光玉)が旋回する風量インジケータとして装置を用いる場合、塵埃付着による光の遮りを抑制でき、光量(照度)を維持できる。
吸込口12の数や、旋回室14内を流れる空気の流量、旋回室14の径を任意に設定することで、旋回体(吸着体23)の旋回周期や揺動(上下移動)を制御することが可能となり、癒し効果があると言われている1/fゆらぎも実現可能である。
旋回体へ光照射する場合には、旋回体により部分的に光を遮り、木漏れ日のように光の漏れ具合を変化させることが可能となる。一方で、旋回体の内部に発光部28tを備える場合、光源が揺動し、ろうそくや蛍のひかりのように揺らめく照明を実現できる。旋回室14の内壁もしくは旋回体(吸着体23)同士の衝突で発光させることも可能であり、不規則な発光を実現することも可能である。
発光部28tおよび発電部28sを備える場合には、旋回時の振動や衝撃にて発電し、任意の光を点灯または明滅させることが可能である。内部に制御部を設けることで明滅の周期も調整可能であり、蛍の発光パターン(1/fゆらぎ)を再現し、癒し効果を高めることも可能である。
旋回室14の側面のある一点から、旋回室14の内部で旋回する旋回体の動きを覗き込んだとする。この場合には、旋回体が眼に近づいたり遠のいたりする。発光、明滅にて視認性が向上し、眼球運動が促進される。眼球に入る光の量を調節する内眼筋は、意識的に動かすことができない筋肉であり、光の明滅によりこの筋肉を強制的に動かすことが可能となる。このような機能を備えた装置は、眼球運動治療器(光治療器)としても利用可能である。
[付記]
上記の技術的思想は、以下のように概括することができる。
[付記1]
入口部と出口部とが設けられた中空の形状を有し、上記入口部から塵埃を含む空気が導入され、空気が内部で旋回することで空気から塵埃が遠心分離され、塵埃と分離された空気が上記出口部から排出される旋回室と、
上記旋回室の上記内部に配置され、上記旋回室の上記内部で旋回する空気によって吹き上げられることで上記旋回室の上記内部で浮遊しながら旋回する吸着体と、
上記吸着体を帯電させる静電気発生部と、を備える、
集塵装置。
上記吸着体は、多孔質構造を有する発泡樹脂等が適しており、含塵空気と浮遊撹拌されながら塵埃を捕集する際、静電気発生部により帯電した上記吸着体は、静電気による引力により塵埃を効果的に捕集することが可能となる。
[付記2]
上記旋回室の内壁面と上記吸着体とは、互いに逆極性に帯電している、
付記1に記載の集塵装置。
上記静電気発生部の極性を任意に設定することによって、上記吸着体の表面は逆極性となる。
[付記3]
上記静電気発生部は、上記旋回室の内壁面の少なくとも一部を構成しており、
上記静電気発生部は、上記旋回室の上記内部で旋回する上記吸着体に接触することで、上記吸着体を帯電させる、
付記1または2に記載の集塵装置。
上記静電気発生部が上記吸着体に接触する時、摩擦帯電、接触帯電、剥離帯電、回転帯電等の物理的な接触による帯電現象が起きる。正極性に帯電しやすい材料から、負極性に帯電しやすい材料を並べた摩擦帯電列表において、位置が離れている程帯電量が大きいとされている。上記静電気発生部と上記吸着体との材料を帯電列に応じて選定することで、極性と帯電量とを適切に設定可能である。
[付記4]
上記静電気発生部に電圧を印加することで、上記静電気発生部を任意の極性に帯電させる電圧印加装置をさらに備える、
付記1から3のいずれか1項に記載の集塵装置。
上記旋回室内で浮遊撹拌される上記吸着体は、帯電した上記静電気発生部と接触する。上記静電気発生部は、たとえば旋回室の内周壁にシート状の電極材、または、導電性インクを印刷したものから構成され、高電圧発生装置(電圧印加装置)により昇圧されることで帯電する。この電極材に接するように旋回する吸着体は、誘電分極作用により表層とは逆極性に帯電することになる。高電圧発生装置の極性を任意に設定でき、電極材の帯電を変えることで吸着体の帯電方向を選択できる。
[付記5]
上記吸着体は、多孔質構造、格子状構造、または表面が粗面化された構造を有している、
付記1から4のいずれか1項に記載の集塵装置。
吸着体は、吸着対象である塵埃のサイズに応じて選定される。吸着体は、旋回流に乗って浮遊撹拌させるため、吸着体の大きさに応じて十分軽量である必要がある。また、吸着体は柔軟性がある方が好ましい。吸着体は、旋回時の遠心力により旋回室の内壁へ圧しつけられ、接触面積が増え、安定した帯電が得られる。
[付記6]
上記吸着体は、線状または紐状の素材を中心部から放射状に配列して形成されている、
付記1から4のいずれか1項に記載の集塵装置。
安定して浮遊旋回させるために、上記吸着体は球状であることが望ましい。安定して接触することで、摩擦帯電が安定する。球状の吸着体は、上記多孔質構造同様に、軽量であり、材料と色の選択性が高い。繊維を束ねる構造を取ることで選択性があり、繊維自身に消臭、脱臭、抗菌等の機能を持たせた材料を選択することも可能である。一般的に量産されている手法がそのまま採用できる。
[付記7]
上記吸着体は、糸、パイル、綿、および不織布の群から選択される一つ以上の繊維材から立体構造を有するように形成されている、
付記1から4のいずれか1項に記載の集塵装置。
繊維同士の絡まりにより吸着体の形状を形成し、材料によっては熱を掛けて繊維同士を溶着、またはバインダーにより固定する。こうして得られた吸着体は、上記多孔質構造同様に、軽量であり、帯電性が高い。
[付記8]
上記吸着体は、紙、糸、パイル、綿、樹脂および不織布の群から選択される一つ以上のシート素材を、複数張り合わせることで立体構造を有するように形成されている、
付記1から4のいずれか1項に記載の集塵装置。
たとえば、積層したシートで吸着体を構成した場合、空隙サイズの大きい、比較的大きいサイズの塵埃が吸着しやすい層と、空隙サイズの小さい微小塵埃用の吸着しやすい層とを持ち、これらを同時に吸着可能となる。装飾や加湿紙で知られるハニカムボール状の吸着体は、軽量且つ表面積を増大させることが可能である。接触面積が減るので帯電性は低下する。
[付記9]
入口部と出口部とが設けられた中空の形状を有し、上記入口部から空気が導入され、空気が内部で旋回した後、空気が上記出口部から排出される旋回室と、
上記旋回室の上記内部に配置され、上記旋回室の上記内部で旋回する空気によって吹き上げられることで上記旋回室の上記内部で浮遊しながら旋回する旋回体と、を備え、
上記旋回体は、発音部を含み、旋回気流を受けて上下に揺動しながら浮遊旋回し、
上記旋回体が上記旋回室の内壁に衝突し、あるいは上記旋回体同士が衝突することで上記発音部が発音する、
発音装置。
旋回体の表面や、旋回室の内壁に凹凸部を設けることで、楽器のギロのように擦り音を出し、旋回体同士の衝突や流入気流の乱れ等でランダムな動きにより音を発することが可能となる。
[付記10]
上記旋回体は、一つまたは複数の発音小片を内部に有している、
付記9に記載の発音装置。
上記のような発音装置は、楽器のマラカスや鈴のような発音が可能であり、ランダムな動きから音を発生させる。また、ハンドベルのように、音階違いの旋回体を複数用意することもでき、旋回体に内包される小片、および、旋回体の外殻体のサイズや材質を、旋回可能な範囲で任意に選択可能である。
[付記11]
上記旋回体は、音板および/または音棒と、打鳴部とを内部に有している、
付記9または10に記載の発音装置。
旋回体内部に音板を固定し、その内部を打鳴部となる小片が移動自在に内包され、旋回体のランダムな動きにより小片が音板をたたくことで音を発生させることが可能となる。小児用のガラガラ(チャイム)に見られる構造であり、音板のサイズにより音階を選択可能である。
[付記12]
上記旋回体は、発電部、発音部および記憶装置を内部に有し、
上記旋回体は、旋回気流を受けて上下に揺動しながら浮遊旋回し、
上記旋回体が上記旋回室の内壁に衝突し、あるいは上記旋回体同士が衝突することで上記発電部が発電し、上記記憶装置に格納されている音情報を、上記発音部が上記発電部からの電力を受けることで出力する、
付記9から11のいずれか1項に記載の発音装置。
上記発電部は、たとえば圧電素子から構成される。発電部は、旋回体の振動で発電し、記憶装置に格納されている任意の音源を、スピーカーなどの発音部で再生する。十分な発電ができている場合、旋回体は常に音を出し続けることが可能となる。音源が常に移動することになり、観測者から見た場合、旋回体が観測者に近づいてくる時と、旋回体が観測者から遠ざかる時とで、聞こえてくる周波数が異なる、ドップラー効果が得られる。
さらに、旋回体を複数備え、たとえば同じ周波数で発音する2つの旋回体が180°対向して旋回している場合、一方の旋回体は観測者に近づき、他方の旋回体は観測者から遠ざかる。ドップラー効果により、この二つの旋回体から聞こえる周波数に差が生じ、観測者は周波数の異なる音波の合成音を聞くことになる。この時、うなり音が発生する。周波数の差はうなり回数となり、選択した音源の周波数および旋回速度でそのうなり回数が変化する。観測者と2つの旋回体とが直線上に並ぶ時、ドップラー効果は得られず旋回体は同じ周波数となり、うなりは発生しない。そのため、音圧、周波数およびうなりの回数を周期的に変化させることが可能となる。
[付記13]
上記旋回体は、上記旋回室の中に複数収容されており、
複数のうちの少なくとも1つの上記旋回体の上記発音部の周波数は、他の上記旋回体の上記発音部の周波数と異なっている、
付記12に記載の発音装置。
周波数の差で生じるうなり音を任意に発生させることが可能となり、ドップラー効果と合わせて用いることで周期的な変化をもたらすことができる。うなりを通じて時間で音圧に強弱が生じる振幅ゆらぎや、周波数が時間で変化する周波数ゆらぎの双方を持つゆらぎ音を発生させることが可能となる。一般的に、振幅や周波数、発生タイミング等、ある物理量が時間経過とともに変動する現象のことを「ゆらぎ」と呼んでおり、ある種の音楽や自然音が人をリラックスさせる効果を持つのは、このゆらぎと深い関わりを持つことが知られている。自然界に広く存在する1/f特性、すなわちゆらぎの大きさがゆらぎの周波数に逆比例する性質であり、様々な分野で使用され、注目されている。この1/fゆらぎ音を発生することも可能である。
[付記14]
入口部と出口部とが設けられた中空の形状を有し、上記入口部から空気が導入され、空気が内部で旋回した後、空気が上記出口部から排出される旋回室と、
上記旋回室の上記内部に配置され、上記旋回室の上記内部で旋回する空気によって吹き上げられることで上記旋回室の上記内部で浮遊しながら旋回する旋回体と、を備え、
上記旋回室は、透明材または透光材から構成され、
上記旋回室を浮遊旋回する上記旋回体は、反射、透光、および蓄光から選ばれた一つ以上の光特性を有する材料から構成される、
照明装置。
上記旋回体としては、たとえばLEDと電池とで構成されるもの、ケミカルライトのように化学反応を利用するものが挙げられる。旋回体を構成するベースとなる筺体には、透光材が適している。上記旋回体としては、蓄光材を使用することも可能である。さらに、旋回室内に光源を別途備えている場合、反射材を使用した旋回体は光を反射させることが可能である。ブラックライトを照射することで、蛍光物質を含んだ材料、または、蛍光塗料は反応して光ることになり、蛍光物質を持った旋回体でも良い。光源となる旋回体は揺動しながら旋回し、時折ランダムな動きが入ることもある。ろうそくの揺らめく炎に癒し効果があるとも言われており、不規則な揺動が、ろうそくの炎のような揺らめきをもたらす。
[付記15]
上記旋回体は、発電部および発光部を内部に有し、
上記旋回体は、旋回気流を受けて上下に揺動しながら浮遊旋回し、
上記旋回体が上記旋回室の内壁に衝突し、あるいは上記旋回体同士が衝突することで上記発電部が発電し、上記発光部が上記発電部からの電力を受けることで発光する、
付記14記載の照明装置。
上記発電部は、たとえば圧電素子から構成される。発電部は、旋回体の振動で発電し、LED等の発光部を発光させることが可能である。十分な発電ができている場合、旋回体は常に発光し続け、発電が微小な場合、コンデンサー等の蓄電部を備えることで、チャージ後に発光し、見た目には点滅する。コンデンサーの容量を選択することで点滅周期は選択可能であり、さらに、制御部を持つことで周期や光量も制御することが可能となる。ホタルの発光パターンには1/fゆらぎが含まれ、人に安らぎを与えると言われている。チャージ後に数秒発光する時、明滅周期を決めるのは振動による発電であり、チャージが完了するまでの時間は、旋回時の状況で異なる。すなわち明滅に不規則性を生じさせることが可能となる。
[付記16]
上記旋回体は、上記旋回室の中に複数収容されている、
付記14または15に記載の照明装置。
複数の光源を備えることで、多重影ができ、さらに、光源の色が異なると色が合成され、任意の色を再現可能となる。光源が移動するため、影の方向が変化するような演出が可能である。ぼんぼりのような動きのある照明装置を実現することも可能である。ホタルのような明滅発光は、最初はバラバラだがやがて同時明滅発光へと変わっていく、このような引き込み(同期)現象にはリラクゼーション効果があると考えられている。旋回体に通信部を備え、お互いに発光パターンを認識、徐々に同期させることも可能である。
[付記17]
上記旋回室は、内部に発光部を備えており、
上記旋回室を浮遊旋回する上記旋回体が、上記発光部の光を遮光する、
付記14から16のいずれか1項に記載の照明装置。
旋回体は、光源を遮光する素材でできており、観測者から見て光源を旋回しながら遮光するように動き、観測者は旋回体の影を捉えることができる。また、複数の旋回体を使うことで、漏れ出る光を演出することも可能となる。この時、旋回体が不規則に揺動、旋回するので、漏れる光も不均一になり、木漏れ日に似た不規則なゆらぎを提供できる。
[付記18]
付記14から17のいずれか1項に記載の照明装置を備えた、
眼球運動治療器または光治療器。
[付記19]
付記9から13のいずれか1項に記載の発音装置、あるいは、付記14から17のいずれか1項に記載の照明装置を備えた、
小児用玩具または愛玩動物用玩具。
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。