JP2009112441A - 集塵装置とそれを備えた電気掃除機 - Google Patents
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Abstract
【課題】塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、集塵装置からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能な集塵装置とそれを備えた電気掃除機を提供する。
【解決手段】サイクロン集塵部100は、塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を気流から分離させるための流路と、流路内に配置されて塵埃を摩擦接触帯電させるための第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bと、流路内に配置されて、第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bにおいて摩擦接触帯電させられた塵埃を静電吸着するための分離ブレード110とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】サイクロン集塵部100は、塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を気流から分離させるための流路と、流路内に配置されて塵埃を摩擦接触帯電させるための第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bと、流路内に配置されて、第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bにおいて摩擦接触帯電させられた塵埃を静電吸着するための分離ブレード110とを備える。
【選択図】図3
Description
この発明は、一般的には集塵装置と電気掃除機に関し、特定的には、塵埃を含む気流を旋回させることにより、気流から塵埃を分離除去する集塵装置とそれを備える電気掃除機に関する。
従来、塵埃を含んだ気流を旋回させ、塵埃に遠心力を与えることで気流から分離して、集積室に塵埃を集めるサイクロン集塵装置がある。特許第3788589号公報(特許文献1)には、このようなサイクロン集塵装置を備えた電気掃除機が記載されている。
また、特開2006−230819号公報(特許文献2)には、サイクロン集塵装置のダストボックスの底面の外側を毛皮で摩擦してダストボックスの底面に摩擦静電気を発生させ、ダストボックス内の塵埃を底面に引きつけることによって、集塵効率を向上させる電気掃除機が記載されている。
特許第3788589号公報
特開2006−230819号公報
しかしながら、特許第3788589号公報(特許文献1)に記載の電気掃除機においては、塵埃に遠心力を与えて、塵埃を気体から分離除去する原理を用いているため、小さい粒子の捕集が困難である。これは、粒子が完全な円運動をしているときの粒子に作用する遠心力Zが、Z=m・U2/r(m:粒子質量、U:周分速度、r:円軌道の半径)と表されるように、粒子の質量に比例することによる。このため、小さい塵埃を捕集するために、電気掃除機において集塵装置の下流側にろ過フィルタを設けて、サイクロン集塵装置で取り残した微小塵埃の捕集をおこなう構成とすることが多い。しかしながら、多量の塵埃をろ過フィルタで捕集すると、ろ過フィルタの目詰まりが発生しやすくなり、流量が低下してしまうという問題がある。
また、サイクロン集塵装置において捕集された微小塵埃は、サイクロン集塵装置の集積室内の空間中に漂っているか、集積室内に軽く堆積した状態となっていることが多い。そのため、集積室の塵埃を他の場所に廃棄する際に、塵埃の再飛散が発生し、廃棄作業者が不快に感じたり、再飛散した塵埃を吸引してしまうことによって健康に悪影響を及ぼしたりするおそれがあるという問題がある。
特開2006−230819号公報(特許文献2)に記載の電気掃除機においては、ダストカップの底面の外側面で発生させた静電気を利用しようとしているが、底面を構成する部材の導電率が大きくなければ、底面の外側から内側に、有効量の電荷は移動しない。一方、導電率を大きくすると、ダストカップの底面の外側で発生した摩擦静電気は、底面を構成する面部材の厚み内部に拡散する。したがって、実際には、このような構成でダストカップの内面に静電気を発生させて塵埃を吸着させることは非常に困難である。
そこで、この発明の目的は、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、集塵装置からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能な集塵装置とそれを備えた電気掃除機を提供することである。
この発明に従った集塵装置は、塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を気流から分離させるための流路と、流路内に配置されて塵埃を摩擦接触帯電させるための摩擦帯電部と、流路内に配置されて、摩擦帯電部において摩擦接触帯電させられた塵埃を静電吸着するための吸着部とを備える。
塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を分離させるための流路内に摩擦帯電部が配置されることによって、塵埃は、旋回しながら摩擦帯電部と接触して、摩擦によって帯電する。摩擦接触帯電によって塵埃は充分に荷電されるので、塵埃が気流に乗って吸着部の近傍を通過するとき、吸着部と荷電した塵埃との間にクーロン力が働いて吸着部に塵埃が静電吸着される。このようにして、従来は未捕集のまま集塵装置から排出されていたような小さな塵埃が捕集されるので、捕集効率が向上する。また、飛散しやすい小さな塵埃が吸着部に吸着されているので、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
このようにすることにより、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、集塵装置からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能な集塵装置を提供することができる。
この発明に従った集塵装置においては、摩擦帯電部は、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部と、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部とを含むことが好ましい。
例えば、特開2006−230819号公報(特許文献2)に記載の電気掃除機においては、摩擦帯電極性はプラスかマイナスのどちらか片極性を考慮した構成であるため、様々な種類の塵埃には対応できない。また、塵埃がプラスかマイナスのどちらか片方の極性にしか帯電しない場合には、クーロン力(静電気力)による塵埃同士の凝集効果が小さくなる。
摩擦帯電部が、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部と、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部とを含むことによって、塵埃はプラスかマイナスのいずれかの極性に帯電し、集塵装置において旋回する気流中には、プラスとマイナスの両方の極性の塵埃が混在することになる。
帯電した塵埃を含む気流が旋回することによって、帯電した塵埃どうしが接近し、静電気力で吸着し合って、クラスター状の塵埃塊が形成される。さらに、帯電していない塵埃が帯電した塵埃と吸着することによってもクラスター状の塵埃塊が形成される。このようにして形成された塵埃塊どうしは、吸着前の塵埃よりも大きいので、互いに接近し、吸着しやすい。そのため、さらに塵埃塊どうしが吸着しあって、より大きな塵埃塊に成長する。
このような塵埃塊は、吸着部において静電吸着されて、気流から取り除かれる。塵埃塊は、当初、気流中に含まれていた塵埃よりも質量が大きいので、気流の旋回によって気流から取り除かれやすくなっており、吸着部にも吸着されやすい。塵埃が塵埃塊となって気流から取り除かれて吸着部に吸着されやすいので、集塵装置内の塵埃を廃棄するときに、塵埃が飛散しにくくなる。
このようにすることによって、塵埃どうしがクーロン力によって引き合いやすく、凝集して塵埃塊となり、気流から旋回によって分離除去されやすく、また、吸着部に吸着しやすくなる。
また、吸着部に吸着した塵埃の正または負の余剰電荷と、気流に含まれる負または正に帯電した塵埃との間でクーロン力による凝集が生じて、気流中の塵埃がさらに吸着部に吸着される。このようにして、吸着部に吸着される塵埃の量を増加させて塵埃の捕集効率を向上させ、また、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
この発明に従った集塵装置においては、第一帯電部と第二帯電部とは、気流の流れる方向に沿って並べられて一組の帯電部対を形成するように配置されていることが好ましい。
このようにすることにより、第一帯電部と接触して正に摩擦接触帯電した塵埃と、第二帯電部と接触して負に摩擦接触帯電した塵埃とが接近する頻度が高くなる。正に帯電した塵埃と負に帯電した塵埃との接触頻度が高くなることによって、塵埃どうしがクーロン力によって凝集してクラスター状になる割合が高くなる。このようにして、旋回によって気流から分離除去される塵埃や、吸着部に吸着される塵埃の量を増加させることができる。
この発明に従った集塵装置は、複数の帯電部対を備え、複数の帯電部対が、気流の流れる方向に沿って並べられて配置されていることが好ましい。
このようにすることにより、第一帯電部と接触して正に摩擦接触帯電した塵埃と、第二帯電部と接触して負に摩擦接触帯電した塵埃とが接近する頻度をさらに高めて、塵埃どうしをクーロン力によって凝集しやすくすることができる。
この発明に従った集塵装置においては、流路は凹状に湾曲した内壁面によって形成され、吸着部は、流路を形成する内壁面によって囲まれるように、流路の内部に配置されていることが好ましい。
塵埃を含む気流は、凹状に湾曲した内壁面に沿って旋回する。内壁面が凹状に湾曲していることによって、内壁面の近くでは気流の速度が大きく、内壁面から離れるに従って、気流の速度が小さくなる。このように、気流の速度、すなわち、風速が小さい位置では、小渦や剥離流れも生じやすい。凹状に湾曲した内壁面によって囲まれるように、風速の遅い流路の内部に吸着部が配置されることによって、塵埃が吸着部に吸着しやすくなり、また、吸着部に吸着した塵埃が気流によって再飛散しにくくなる。
この発明に従った集塵装置は、気流を流路に流入させるための入口を有し、流路の内壁面は、入口から流入した気流を旋回させることにより、塵埃を気流から遠心分離するための円筒状の内周壁面を含むことが好ましい。
このようにすることにより、円筒の内壁面との摩擦接触帯電によって塵埃は充分に荷電されるので、塵埃が気流に乗って吸着部の近傍を通過するとき、吸着部と荷電した塵埃との間にクーロン力が働いて吸着部に塵埃が静電吸着される。このようにして、従来は未捕集のまま集塵装置から排出されていたような小さな塵埃が捕集されるので、捕集効率が向上する。また、飛散しやすい小さな塵埃が吸着部に吸着されているので、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
この発明に従った集塵装置は、気流を流路に流入させるための入口と、この入口に向かって突出し、入口と対向するように配置された突出部とを有し、流路の内壁面は、入口から流入した気流を突出部で分岐させて旋回させることにより塵埃を気流から重力分離するための複数の内壁面を含むことが好ましい。
気流の主流は旋回状態を維持しないので、流路全体の流路抵抗が小さくなる。流路全体の流路抵抗が小さくなるので、流れの圧力損失が小さくなる。
このようにすることにより、集塵装置の圧力損失を最小限に抑えることができる。
この発明に従った電気掃除機は、吸込口を有する吸込口体と、吸気を発生させる電動送風機と、吸込口体と電動送風機との間を連通する吸気通路と、吸気通路に配置される集塵室とを備え、集塵室は、上記のいずれかの集塵装置を含むことが好ましい。
このようにすることにより、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、集塵装置からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能な電気掃除機を提供することができる。
また、微小な塵埃も吸着部に吸着させて気流中から除去することができる集塵装置を備えた電気掃除機であるので、電気掃除機の排気の清浄度が向上し、塵埃が作業環境に放出されなくなる。このようにして、電気掃除機を使用している清掃作業者が塵埃を吸引することによる悪影響を回避することができる。また、電気掃除機が捕集した塵埃を他の容器へ廃棄する際の再飛散も抑制することができるので、作業者が塵埃を吸引することによる悪影響を回避することができる。
以上のように、この発明によれば、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、集塵装置からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能な集塵装置とそれを備えた電気掃除機を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態として、集塵装置を備えた電気掃除機の全体を概略的に示す図である。図中の二点鎖線は、吸気の流れる方向を示す。
図1は、この発明の第1実施形態として、集塵装置を備えた電気掃除機の全体を概略的に示す図である。図中の二点鎖線は、吸気の流れる方向を示す。
図1に示すように、電気掃除機1は、吸込口を有する吸込口体10と、吸気を発生させる電動送風機や集塵室を収容する本体50を備える。吸込口体10には、吸気通路の一部として吸引パイプ20、取っ手を備える接続パイプ30、サクションホース40が順次接続されて、サクションホース40は本体50に接続されている。吸込口から吸込口体10の内部に流入した気体は、吸込口体10、吸引パイプ20、接続パイプ30、サクションホース40を順に通って、本体50の内部に流入し、本体50の内部において塵埃を除去されて、本体50の外部に排気される。
図2は、この発明の第1実施形態として、電気掃除機の本体の構成を概略的に示す図である。図中の二点鎖線の矢印は、吸気の流れを示す。
図2に示すように、本体50は、内部に、吸気通路の一部として、集塵室として塵埃捕集手段51と、電動送風機として電動送風機部54と、塵埃捕集手段51と電動送風機部54とを接続するための経路部53と、電動送風機部54から本体50の外部へ排気するための排気経路部57を備える。電気掃除機1の本体50にはサクションホース40が接続されており、電動送風機部54を駆動させることによって、サクションホース40内の吸気は、塵埃捕集手段51に流入し、経路部53を通って電動送風機部54に流れ込み、排気経路部57を通って、本体50の外部に排気される。
塵埃捕集手段51の内部には、本発明の集塵装置の一例であるサイクロン集塵部100と、ろ過フィルタ52とが配置されている。塵埃捕集手段51に流入した吸気は、サイクロン集塵部100およびろ過フィルタ52で塵埃が除去された後、経路部53を通って電動送風機部54に吸入される。
電動送風機部54は、空気を吸引するファン55と、ファン55を駆動するモータ56とから構成されている。ファン55から排出された気流は、モータ56付近等を冷却しながら、排気経路部57に到達して、本体50の外部に排気される。
図3は、サイクロン集塵部の構造を示す断面図である。図中の二点鎖線の矢印は、気流の流れを示す。
図3に示すように、サイクロン集塵部100は、概略円筒形状に形成され、上部に配置された上蓋部101と、下部に配置されたダストカップ102とから構成されている。ダストカップ102の内壁面は、円筒の内面状に形成されており、凹状に湾曲している。ダストカップ102の側面には、入口として流入口103が設けられている。サイクロン集塵部100に流入した塵埃を含む気流は、流入口103からダストカップ102の内部に、ダストカップ102の内壁面に接線をなすような角度で流入する。ダストカップ102の内部の空間は、遮蔽部材108によって、上部が分離室104、下部が集積室105に分けられている。分離室104の中心には排気筒106が配置される。排気筒106は、その底面が閉じられていて、その内部が上蓋部101の内部と連通するように上面が開口した円筒形の部材である。排気筒106の周壁には格子状に排気口107が形成されている。
排気筒106の下端には、分離室104と集積室105の境界部である遮蔽部材108が接合されている。遮蔽部材108の外径は分離室104の内径および集積室105の内径より小さく、遮蔽部材108の外周と集積室105の内壁との間には隙間109が存在している。遮蔽部材108において、集積室105の底面に対向する面には、吸着部として分離ブレード110が接合されている。分離ブレード110は、湾曲した板状に形成されており、集積室105の底面に向かって延びるように遮蔽部材108の下面に接合されている。
なお、本発明の集塵装置の一例であるサイクロン集塵部100では、流路は、気流がサイクロン集塵部100の流入口103から流入して、矢印で示すように、ダストカップ102の分離室104と集積室105を通り、排気筒106からサイクロン集塵部100の外部に気流が流出するまでの空間である。
図4は、ダストカップの全体を示す斜視図である。
図4に示すように、ダストカップ102は、複数の材質によって形成されている部材を用いて構成されている。ダストカップ102の本体は、帯電順列の中央より若干マイナス側であるABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂から形成されている。塵埃を摩擦接触帯電させる摩擦帯電部として、第一帯電部121aと、第一帯電部121bと、第二帯電部122aと、第二帯電部122bとが、ダストカップ102の内周側壁面上に配置されている。
塵埃を正に摩擦接触帯電させる第一帯電部121aと第一帯電部121bは、帯電順列のマイナス側であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂を用いて形成されている。塵埃を負に摩擦接触帯電させる第二帯電部122aと第二帯電部122bは、帯電順列のプラス側であるPA(ポリアミド)樹脂を用いて形成されている。第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bは、それぞれ、ダストカップ102の周方向に沿って中心角がほぼ90°の範囲の内周側面上に配置されている。第一帯電部121aと第一帯電部121bとは、ダストカップ102の中心をはさんで対向するように配置されている。また、第二帯電部122aと第二帯電部122bも同様に、ダストカップ102の中心をはさんで対向するように配置されている。すなわち、2個の第一帯電部121aと第一帯電部121bは、ダストカップ102の円周方向に四分割された内周面のうち対向する二面を形成している。また、第二帯電部122aと第二帯電部122bは、ダストカップ102の円周方向に四分割された内周面のうち、対向する二面を形成している。第一帯電部121aと第二帯電部122aとは隣り合うように配置されて、一組の帯電部対を形成している。また、第一帯電部121bと第二帯電部122bとが隣り合うように配置されて、一組の帯電部対を形成している。
図5は、図3に示すサイクロン集塵部をV−V線の方向から見た断面図である。図中の二点鎖線の矢印は気流のうち主流の流れを示し、一点鎖線の矢印は、分流の流れを示す。
図5に示すように、ダストカップ102の円筒軸に沿って、分離ブレード110の軸110aが配置され、軸110aから4枚の分離ブレード110がダストカップ102の側壁に向かって放射状に延びている。それぞれの分離ブレード110は湾曲しており、気流の主な流れ、すなわち、図中に二点鎖線で示す主流の流れる方向に沿って、湾曲して形成された凹面が上流側に位置し、湾曲して形成された凸面が下流側に位置するように配置されている。4枚の分離ブレード110は、互いに90°ずつ間隔を開けて配置されている。分離ブレード110の縁と集積室105の内壁との間には、空間111が存在する。分離ブレード110は、微小塵埃の吸着部として作用するように、若干マイナス側であるABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂によって形成されている。
次に、図3から図5を用いて、サイクロン集塵部100の動作を説明する。
流入口103から分離室104に入った気流は、分離室104の内壁に沿って高速で旋回する。旋回気流中の塵埃には遠心力Zが作用して気流から分離されて、ダストカップ102の内壁へ押しつけられる。その後、気流は旋回しながら下降し、隙間109を通って集積室105に入る。図3中において一点鎖線で示す矢印Aのように旋回しながら下降する気流は、集積室105の底面に到達した後は上昇に転じる。このように、分離ブレード110のまわりの間隙を旋回する気流の主流Bに対して、分離ブレード110に衝突する分流Cや、分離ブレード110に巻込まれる形で生じる小渦や剥離流れである分流Dなどが生じる。分流Cは分離ブレード110によって急激に方向転換するので、その際にも回転遠心力と同様の塵埃分離に作用する力が生じる。分流Dにおいては小径の渦による遠心分離によって塵埃分離に作用する力が生じる。また、この渦に塵埃が捕らえられた状態のままとなるので、気流変動や電気掃除機1の運転停止によって、ダストカップ102の円筒軸中心部に塵埃が集積する。また、剥離流れから分離された塵埃もダストカップ102の円筒軸中心部に集積する。その後、上昇に転じた旋回気流は下降旋回気流の内側を通って図3に示す矢印Eのように上昇する。隙間109を経て、遮蔽部材108を越えて分離室104に戻ってきた気流は、排気筒106に向かって進み、最終的には排気口107から排気筒106の内部に吸い込まれて、上蓋部101を通ってから、電動送風機部54に吸入される。
このように、ダストカップ102に流入した気流は、その内壁に沿って旋回するとき、PTFE樹脂壁面の第一帯電部121a、PA樹脂壁面の第二帯電部122a、PTFE樹脂壁面の第一帯電部121b、PA樹脂壁面の第二帯電部122bに接触するので、PTFE樹脂壁面とPA樹脂壁面に交互に接触することになる。気流から分離された塵埃はPTFE樹脂によって形成された第一帯電部121aまたは第一帯電部121bと摩擦接触することによって、正に帯電する。また気流から分離された塵埃は、PA樹脂によって形成された第二帯電部122aまたは第二帯電部122bと摩擦接触することによって、負に帯電する。
通常であれば、微小な塵埃は分離された状態のまま重力落下する事はなく、再度気流に乗って、ダストカップ102内に捕集されずに排気筒106から排出される場合が多い。しかし、正負それぞれに帯電した塵埃は、気流に乗って移動する間に塵埃どうしの距離が近付くとクーロン力で引付け合って凝集し、クラスター状となる。そのため、塵埃の質量が増加するので、気流から遠心力によって分離されやすくなり、また重力落下もしやすいので捕集効率が向上する。本発明の第1実施形態のサイクロン集塵部100の構成では、気流に対して、第一帯電部121a、第二帯電部122a、第一帯電部121b、第二帯電部122bが交互に配置されているので、正荷電した塵埃と負荷電した塵埃の距離が近付く頻度が高まる。そのため、塵埃同士が凝集してクラスター状となりやすく、塵埃の捕集効率が向上する。
ここで、プラス帯電した微小な塵埃Xの分離ブレード110への吸着について説明する。
塵埃Xは、気流から分離されて、表面がマイナス帯電するダストカップ102の本体部分、すなわち、主にPA樹脂壁面を構成している第二帯電部122a、第二帯電部122bと、分離ブレード110によって吸着される。しかし、分離ブレード110以外の部分、例えば、第二帯電部122aと第二帯電部122bの表面近傍においては気流が高速旋回しているので、一旦吸着された塵埃Xは第二帯電部122aと第二帯電部122bの表面には保持されずに再飛散する。一方、分離ブレード110部分の表面においては、高速でない小渦や剥離流れが生じているため、分離ブレード110は塵埃Xを吸着しやすい上、塵埃Xの再飛散もおこりにくい。このように、分離ブレード110を、気流から塵埃を遠心分離させるための円筒の軸心部に配置することにより、塵埃の捕集効率を高めることができる。
次に、マイナス帯電した微小な塵埃Yについて述べる。分離ブレード110の表面はマイナス帯電しやすいので、塵埃Yは、そのままでは、分離ブレード110との間にクーロン反発力が生じて吸着されない。しかし、分離ブレード110にプラス帯電した塵埃Xが多量に吸着された状態であれば、分離ブレード110の表面はプラス帯電されたのと同様の状態であるため、塵埃Yも、塵埃Xが吸着された分離ブレード110上に吸着されて、分離ブレード110には塵埃Xと塵埃Yが積層する多積層状態となる。
このように、塵埃を摩擦接触帯電する摩擦帯電部が片極性だけである場合に比べて、摩擦帯電部が正負の両極性である場合の方が、分離ブレード110への塵埃吸着量は増加することになる。
以上のような構成により、塵埃の捕集率が高いサイクロン集塵部100を実現することができる。また、従来の集塵装置ではダストカップ102の底面の塵埃上に集積していた微小塵埃が、吸着部を兼ねる分離ブレード110に多く吸着されているので、ダストカップ102から他の容器に塵埃を移す際に飛散する塵埃の量も減少する。
なお、この発明の第1実施形態においては、吸着部は気流の減速と塵埃の吸着を目的とするため、ブレード形状としたが、円筒形状や複数本の棒形状などでもよい。
また、分離ブレード110は集積室105の中心部に配置したが、流速が速いなどの理由によって塵埃が再飛散しやすい場所でなければ、集積室105以外に配置されてもよく、サイクロン集塵部100の下流側に設ける構成としても良い。
以上のように、集塵装置としてのサイクロン集塵部100は、塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を気流から分離させるための流路と、流路内に配置されて塵埃を摩擦接触帯電させるための第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bと、流路内に配置されて、第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bにおいて摩擦接触帯電させられた塵埃を静電吸着するための分離ブレード110とを備える。
塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を分離させるための流路内に第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bが配置されることによって、塵埃は、旋回しながら第一帯電部121a、第一帯電部121b、第二帯電部122a、第二帯電部122bと接触して、摩擦によって帯電する。摩擦接触帯電によって塵埃は充分に荷電されるので、塵埃が気流に乗って分離ブレード110の近傍を通過するとき、分離ブレード110と荷電した塵埃との間にクーロン力が働いて分離ブレード110に塵埃が静電吸着される。このようにして、従来は未捕集のままサイクロン集塵部100から排出されていたような小さな塵埃が捕集されるので、捕集効率が向上する。また、飛散しやすい小さな塵埃が分離ブレード110に吸着されているので、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
このようにすることにより、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、サイクロン集塵部100からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能なサイクロン集塵部100を提供することができる。
また、サイクロン集塵部100においては、摩擦帯電部は、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部121a、第一帯電部121bと、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部122a、第二帯電部122bとを含む。
摩擦帯電部が、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部121a、第一帯電部121bと、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部122a、第二帯電部122bとを含むことによって、塵埃はプラスかマイナスのいずれかの極性に帯電し、サイクロン集塵部100において旋回する気流中には、プラスとマイナスの両方の極性の塵埃が混在することになる。
帯電した塵埃を含む気流が旋回することによって、帯電した塵埃どうしが接近し、静電気力で吸着し合って、クラスター状の塵埃塊が形成される。さらに、帯電していない塵埃が帯電した塵埃と吸着することによってもクラスター状の塵埃塊が形成される。このようにして形成された塵埃塊どうしは、吸着前の塵埃よりも大きいので、互いに接近し、吸着しやすい。そのため、さらに塵埃塊どうしが吸着しあって、より大きな塵埃塊に成長する。
このような塵埃塊は、分離ブレード110において静電吸着されて、気流から取り除かれる。塵埃塊は、当初、気流中に含まれていた塵埃よりも質量が大きいので、気流の旋回によって気流から取り除かれやすくなっており、分離ブレード110にも吸着されやすい。塵埃が塵埃塊となって気流から取り除かれて分離ブレード110に吸着されやすいので、サイクロン集塵部100内の塵埃を廃棄するときに、塵埃が飛散しにくくなる。
このようにすることによって、塵埃どうしがクーロン力によって引き合いやすく、凝集して塵埃塊となり、気流から旋回によって分離除去されやすく、また、分離ブレード110に吸着しやすくなる。
また、分離ブレード110に吸着した塵埃の正または負の余剰電荷と、気流に含まれる負または正に帯電した塵埃との間でクーロン力による凝集が生じて、気流中の塵埃がさらに分離ブレード110に吸着される。このようにして、分離ブレード110に吸着される塵埃の量を増加させて塵埃の捕集効率を向上させ、また、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
また、サイクロン集塵部100おいては、第一帯電部121aと第二帯電部122a、第一帯電部121aと第二帯電部122bとは、気流の流れる方向に沿って並べられて一組の帯電部対を形成するように配置されている。
このようにすることにより、第一帯電部121a、第一帯電部121bと接触して正に摩擦接触帯電した塵埃と、第二帯電部122a、第二帯電部122bと接触して負に摩擦接触帯電した塵埃とが接近する頻度が高くなる。正に帯電した塵埃と負に帯電した塵埃との接触頻度が高くなることによって、塵埃どうしがクーロン力によって凝集してクラスター状になる割合が高くなる。このようにして、旋回によって気流から分離除去される塵埃や、分離ブレード110に吸着される塵埃の量を増加させることができる。
また、サイクロン集塵部100は、複数の帯電部対を備え、複数の帯電部対が、気流の流れる方向に沿って並べられて配置されている。
このようにすることにより、第一帯電部121a、第一帯電部121bと接触して正に摩擦接触帯電した塵埃と、第二帯電部122a、第二帯電部122bと接触して負に摩擦接触帯電した塵埃とが接近する頻度をさらに高めて、塵埃どうしをクーロン力によって凝集しやすくすることができる。
また、サイクロン集塵部100においては、流路は凹状に湾曲したダストカップ102の内壁面によって形成され、分離ブレード110は、流路を形成するダストカップ102の内壁面によって囲まれるように、ダストカップ102の内部に配置されている。
塵埃を含む気流は、凹状に湾曲したダストカップ102の内壁面に沿って旋回する。ダストカップ102の内壁面が凹状に湾曲していることによって、内壁面の近くでは気流の速度が大きく、内壁面から離れるに従って、気流の速度が小さくなる。このように、気流の速度、すなわち、風速が小さい位置では、小渦や剥離流れも生じやすい。凹状に湾曲した内壁面によって囲まれるように、風速の遅い流路の内部に分離ブレード110が配置されることによって、塵埃が分離ブレード110に吸着しやすくなり、また、分離ブレード110に吸着した塵埃が気流によって再飛散しにくくなる。
また、サイクロン集塵部100は、気流を流路に流入させるための流入口103を有し、ダストカップ102の内壁面は、流入口103から流入した気流を旋回させることにより、塵埃を気流から遠心分離するための円筒状の内周壁面を含む。
このようにすることにより、円筒の内壁面との摩擦接触帯電によって塵埃は充分に荷電されるので、塵埃が気流に乗って分離ブレード110の近傍を通過するとき、分離ブレード110と荷電した塵埃との間にクーロン力が働いて分離ブレード110に塵埃が静電吸着される。このようにして、従来は未捕集のままサイクロン集塵部100から排出されていたような小さな塵埃が捕集されるので、捕集効率が向上する。また、飛散しやすい小さな塵埃が分離ブレード110に吸着されているので、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
また、電気掃除機1は、吸込口を有する吸込口体10と、吸気を発生させる電動送風機部54と、吸込口体10と電動送風機部54との間を連通する吸気通路と、吸気通路に配置される塵埃捕集手段51とを備え、塵埃捕集手段51は、上記のいずれかのサイクロン集塵部100を含む。
このようにすることにより、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、サイクロン集塵部100からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能な電気掃除機1を提供することができる。
また、微小な塵埃も分離ブレード110に吸着させて気流中から除去することができるサイクロン集塵部100を備えた電気掃除機1であるので、電気掃除機1の排気の清浄度が向上し、塵埃が作業環境に放出されなくなる。このようにして、電気掃除機1を使用している清掃作業者が塵埃を吸引することによる悪影響を回避することができる。また、電気掃除機1が捕集した塵埃を他の容器へ廃棄する際の再飛散も抑制することができるので、作業者が塵埃を吸引することによる悪影響を回避することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、掃除機形状に適した特殊なサイクロン集塵構造について説明したが、通常よく用いられるサイクロン構造に本発明を適用してもよい。
第1実施形態では、掃除機形状に適した特殊なサイクロン集塵構造について説明したが、通常よく用いられるサイクロン構造に本発明を適用してもよい。
図6は、この発明の第2実施形態として、サイクロン集塵装置の全体を概略的に示す斜視図である。
図6に示すように、第2実施形態のサイクロン集塵装置2は、入口として流入口203を有するダストカップ202と、ダストカップ202の上部に接続される分離室204と、ダストカップ202の下部に接続される集積室205と、内筒排気部206とを備える。ダストカップ202は、ほぼ円筒状で、上方の径が大きく、下方の径が小さい、テーパー形状に形成されている。このように、ダストカップ202の内壁面は、凹状に湾曲している。流入口203、分離室204、ダストカップ202、集積室205、内筒排気部206が流路を形成している。集積室205と内筒排気部206は、吸着部の一例である。内筒排気部206の構成は、第1実施形態の排気筒106(図3)と同様の構成である。
ダストカップ202は、複数の材質によって形成されている部材を用いて構成されている。塵埃を摩擦接触帯電する摩擦帯電部としては、塵埃を正に摩擦接触帯電させる第一帯電部221a、第一帯電部221bと、塵埃を負に摩擦接触帯電させる第二帯電部222a、第二帯電部222bとが、ダストカップ202の側壁面上に配置されている。
塵埃を正に摩擦接触帯電させる第一帯電部221aと第一帯電部221bは、帯電順列のマイナス側であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂を用いて形成されている。塵埃を負に摩擦接触帯電させる第二帯電部222aと第二帯電部222bは、帯電順列のプラス側であるPA(ポリアミド)樹脂を用いて形成されている。第一帯電部221a、第一帯電部221b、第二帯電部222a、第二帯電部222bは、それぞれ、ダストカップ202の周方向に沿って中心角がほぼ90°の範囲の内周側面上に配置されている。第一帯電部221aと第一帯電部221bとは、ダストカップ202の中心軸をはさんで対向するように配置されている。また、第二帯電部222aと第二帯電部222bも同様に、ダストカップ202の中心軸をはさんで対向するように配置されている。すなわち、2個の第一帯電部221aと第一帯電部221bは、ダストカップ202の円周方向に四分割された内周面のうち、対向する二面を形成している。また、第二帯電部222aと第二帯電部222bは、ダストカップ202の円周方向に四分割された内周面のうち、対向する二面を形成している。第一帯電部221aと第二帯電部222aとは隣り合うように配置されて、一組の帯電部対を形成している。また、第一帯電部221bと第二帯電部222bとが隣り合うように配置されて、一組の帯電部対を形成している。
集積室205の内壁と内筒排気部206は、微小塵埃の吸着部として作用するように、帯電順列において若干マイナス側の樹脂、例えば、ABS樹脂等によって形成されている。
次に、サイクロン集塵装置2の動作を説明する。
流入口203から分離室204に入った気流は、分離室204の内壁に沿って高速で旋回する。旋回気流中の塵埃には遠心力Zが作用して気流から分離されて、ダストカップ202の内壁へ押しつけられる。その後、気流は旋回しながら下降し、集積室205に入る。旋回しながら下降する気流は、集積室205の底面に到達した後は上昇に転じる。その後、上昇に転じた旋回気流は下降旋回気流の内側を通って上昇する。分離室204に戻ってきた気流は、内筒排気部206に向かって進み、最終的には排気口から内筒排気部206の内部に吸い込まれて、サイクロン集塵装置2の外部に排気される。
このように、ダストカップ202に流入した気流は、その内壁に沿って旋回するとき、PTFE樹脂壁面の第一帯電部221a、PA樹脂壁面の第二帯電部222a、PTFE樹脂壁面の第一帯電部221b、PA樹脂壁面の第二帯電部222bに接触するので、PTFE樹脂壁面とPA樹脂壁面に交互に接触することになる。気流から分離された塵埃はPTFE樹脂によって形成された第一帯電部221aまたは第一帯電部221bと摩擦接触することによって、正に帯電する。また気流から分離された塵埃は、PA樹脂によって形成された第二帯電部222aまたは第二帯電部222bと摩擦接触することによって、負に帯電する。
通常であれば、微小な塵埃は分離された状態のまま重力落下する事はなく、再度気流に乗って、ダストカップ202内に捕集されずに内筒排気部206から排出される場合が多い。しかし、正負それぞれに帯電した塵埃は、気流に乗って移動する間に塵埃どうしの距離が近付くとクーロン力で引付け合って凝集し、クラスター状となる。そのため、塵埃の質量が増加するので、気流から遠心力によって分離されやすくなり、また重力落下もしやすいので捕集効率が向上する。本発明の第2実施形態のサイクロン集塵装置2の構成では、気流に対して、第一帯電部221a、第二帯電部222a、第一帯電部221b、第二帯電部222bが交互に配置されているので、正荷電した塵埃と負荷電した塵埃の距離が近付く頻度が高まる。そのため、塵埃同士が凝集してクラスター状となりやすく、塵埃の捕集効率が向上する。
ここで、プラス帯電した微小な塵埃Xの集積室205の内壁と内筒排気部206の内壁への吸着について説明する。
塵埃Xは、気流から分離されて、表面がマイナス帯電するダストカップ202の本体部分、すなわち、主にPA樹脂壁面を構成している第二帯電部222a、第二帯電部222bと、集積室205の内壁、内筒排気部206の内壁によって吸着される。しかし、集積室205、内筒排気部206以外の部分、例えば、第二帯電部222aと第二帯電部222bの表面近傍においては気流が高速旋回しているので、一旦吸着された塵埃Xは第二帯電部222aと第二帯電部222bの表面には保持されずに再飛散する。一方、集積室205と内筒排気部206の表面においては、高速でない小渦や剥離流れが生じているため、集積室205と内筒排気部206は塵埃Xを吸着しやすい上、塵埃Xの再飛散もおこりにくい。このように、集積室205と内筒排気部206を、気流から塵埃を遠心分離させるための円筒の軸心部に配置することにより、塵埃の捕集効率を高めることができる。
次に、マイナス帯電した微小な塵埃Yについて述べる。集積室205と内筒排気部206の表面はマイナス帯電しやすいので、塵埃Yは、そのままでは集積室205と内筒排気部206との間にクーロン反発力が生じて吸着されない。しかし、集積室205と内筒排気部206にプラス帯電した塵埃Xが多量に吸着された状態であれば、集積室205と内筒排気部206の表面はプラス帯電されたのと同様の状態であるため、塵埃Yも、塵埃Xが吸着された集積室205と内筒排気部206上に吸着されて、集積室205と内筒排気部206には塵埃Xと塵埃Yが積層する多積層状態となる。
このように、塵埃を摩擦接触帯電する摩擦帯電部が片極性だけである場合に比べて、摩擦帯電部が正負の両極性である場合の方が、集積室205と内筒排気部206への塵埃吸着量は増加することになる。
以上のような構成により、塵埃の捕集率が高いサイクロン集塵装置2を実現することができる。また、従来の集塵装置ではダストカップ202の底面の塵埃上に集積していた微小塵埃が、吸着部を兼ねる集積室205と内筒排気部206に多く吸着されているので、ダストカップ202から他容器に塵埃を移す際に飛散する塵埃の量も減少する。
以上のように、サイクロン集塵装置2は、塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を気流から分離させるための流路と、流路内に配置されて塵埃を摩擦接触帯電するための第一帯電部221a、第一帯電部221b、第二帯電部222a、第二帯電部222bと、流路内に配置されて、第一帯電部221a、第一帯電部221b、第二帯電部222a、第二帯電部222bにおいて摩擦接触帯電された塵埃を静電吸着するための集積室205と内筒排気部206とを備える。
塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を分離させるための流路内に第一帯電部221a、第一帯電部221b、第二帯電部222a、第二帯電部222bが配置されることによって、塵埃は、旋回しながら第一帯電部221a、第一帯電部221b、第二帯電部222a、第二帯電部222bと接触して、摩擦によって帯電する。摩擦接触帯電によって塵埃は充分に荷電されるので、塵埃が気流に乗って集積室205と内筒排気部206の近傍を通過するとき、集積室205と内筒排気部206と荷電した塵埃との間にクーロン力が働いて集積室205と内筒排気部206に塵埃が静電吸着される。このようにして、従来は未捕集のままサイクロン集塵装置2から排出されていたような小さな塵埃が捕集されるので、捕集効率が向上する。また、飛散しやすい小さな塵埃が集積室205と内筒排気部206に吸着されているので、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
このようにすることにより、塵埃の捕集効率を向上させ、かつ、サイクロン集塵装置2からの塵埃廃棄時において塵埃の再飛散を抑制することが可能なサイクロン集塵装置2を提供することができる。
また、サイクロン集塵装置2においては、第一帯電部221a、第一帯電部221b、第二帯電部222a、第二帯電部222bは、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部221a、第一帯電部221bと、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部222a、第二帯電部222bとを含む。
摩擦帯電部が、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部221a、第一帯電部221bと、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部222a、第二帯電部222bとを含むことによって、塵埃はプラスかマイナスのいずれかの極性に帯電し、サイクロン集塵装置2において旋回する気流中には、プラスとマイナスの両方の極性の塵埃が混在することになる。
帯電した塵埃を含む気流が旋回することによって、帯電した塵埃どうしが接近し、静電気力で吸着し合って、クラスター状の塵埃塊が形成される。さらに、帯電していない塵埃が帯電した塵埃と吸着することによってもクラスター状の塵埃塊が形成される。このようにして形成された塵埃塊どうしは、吸着前の塵埃よりも大きいので、互いに接近し、吸着しやすい。そのため、さらに塵埃塊どうしが吸着しあって、より大きな塵埃塊に成長する。
このような塵埃塊は、集積室205と内筒排気部206において静電吸着されて、気流から取り除かれる。塵埃塊は、当初、気流中に含まれていた塵埃よりも質量が大きいので、気流の旋回によって気流から取り除かれやすくなっており、集積室205と内筒排気部206にも吸着されやすい。塵埃が塵埃塊となって気流から取り除かれて集積室205と内筒排気部206に吸着されやすいので、サイクロン集塵装置2内の塵埃を廃棄するときに、塵埃が飛散しにくくなる。
このようにすることによって、塵埃どうしがクーロン力によって引き合いやすく、凝集して塵埃塊となり、気流から旋回によって分離除去されやすく、また、集積室205と内筒排気部206に吸着しやすくなる。
また、集積室205と内筒排気部206に吸着した塵埃の正または負の余剰電荷と、気流に含まれる負または正に帯電した塵埃との間でクーロン力による凝集が生じて、気流中の塵埃がさらに集積室205と内筒排気部206に吸着される。このようにして、集積室205と内筒排気部206に吸着される塵埃の量を増加させて塵埃の捕集効率を向上させ、また、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
また、サイクロン集塵装置2においては、第一帯電部221aと第二帯電部222a、第一帯電部221bと第二帯電部222bとは、気流の流れる方向に沿って並べられて一組の帯電部対を形成するように配置されている。
このようにすることにより、第一帯電部221a、第一帯電部221bと接触して正に摩擦接触帯電した塵埃と、第二帯電部222a、第二帯電部222bと接触して負に摩擦接触帯電した塵埃とが接近する頻度が高くなる。正に帯電した塵埃と負に帯電した塵埃との接触頻度が高くなることによって、塵埃どうしがクーロン力によって凝集してクラスター状になる割合が高くなる。このようにして、旋回によって気流から分離除去される塵埃や、集積室205と内筒排気部206に吸着される塵埃の量を増加させることができる。
また、サイクロン集塵装置2は、複数の帯電部対を備え、複数の帯電部対が、気流の流れる方向に沿って並べられて配置されている。
このようにすることにより、第一帯電部221a、第一帯電部221bと接触して正に摩擦接触帯電した塵埃と、第二帯電部222a、第二帯電部222bと接触して負に摩擦接触帯電した塵埃とが接近する頻度をさらに高めて、塵埃どうしをクーロン力によって凝集しやすくすることができる。
また、サイクロン集塵装置2は、気流を流路に流入させるための流入口203を有し、流路の内壁面は、流入口203から流入した気流を旋回させることにより、塵埃を気流から遠心分離するためのダストカップ202の円筒状の内周壁面を含む。
このようにすることにより、ダストカップ202の円筒の内壁面との摩擦接触帯電によって塵埃は充分に荷電されるので、塵埃が気流に乗って集積室205と内筒排気部206の近傍を通過するとき、集積室205と内筒排気部206と荷電した塵埃との間にクーロン力が働いて集積室205と内筒排気部206に塵埃が静電吸着される。このようにして、従来は未捕集のままサイクロン集塵装置2から排出されていたような小さな塵埃が捕集されるので、捕集効率が向上する。また、飛散しやすい小さな塵埃が集積室205と内筒排気部206に吸着されているので、塵埃廃棄時の再飛散を抑制することができる。
このように、本発明は、摩擦帯電部と吸着部を備えたサイクロン集塵装置2に関するものであり、サイクロン集塵装置2は、特に家庭用の電気掃除機や空気清浄機に利用されることが可能である。
(第3実施形態)
この発明の第3実施形態の電気掃除機の全体の構成は、図1に示す第1実施形態の電気掃除機1と同様である。
この発明の第3実施形態の電気掃除機の全体の構成は、図1に示す第1実施形態の電気掃除機1と同様である。
図7は、この発明の第3実施形態として、集塵装置を備えた電気掃除機の本体の構成を概略的に示す図である。図中の二点鎖線の矢印は、吸気の流れを示す。なお、第1実施形態と同一の部分には、同一符号を付す。
図7に示すように、第3実施形態の電気掃除機の本体50の内部の構成が第1実施形態の電気掃除機と異なる点としては、集塵室として塵埃捕集手段51には、サイクロン集塵部100(図2)の代わりに集塵装置300を備える。第3実施形態の電気掃除機のその他の構成と効果は、第1実施形態の電気掃除機1(図1)と同様である。
図8は、集塵装置の上天板を取り除いた全体を示す斜視図である。
図8に示すように、集塵装置300は概略直方体形状に形成されている。集塵装置300の側面の一つには入口として流入口303が設けられている。流入口303に対向する壁面の略中心部は、流入口303の方向に突出して、突出部として塵埃を正に摩擦接触帯電させる部材である、PTFE樹脂からなる第一帯電部として、正帯電部321が配置される。正帯電部321の突出した先端部分は、滑らかな曲線形状に形成されている。正帯電部321の両隣位置には、塵埃を負に摩擦接触帯電させる部材であるPA樹脂からなる第二帯電部として、左負帯電部322aと右負帯電部322bとが配置される。集塵装置300のその他の部分は、全てABS樹脂から形成されている。流入口303の両隣位置には、吸着部として左吸着部310aと右吸着部310bとが配置されている。流入口303が形成されている側面に隣合う2つの側面には、それぞれ、排気口304a,304bが形成されている。
流入口303から排気口304a,304bまでの間の空間が流路を形成している。左負帯電部322aと右負帯電部322bは、入口から流入した気流を正帯電部321で分岐させて旋回させることによって塵埃を気流から重力分離するための複数の内壁面の一例である。
次に、集塵装置300の動作を説明する。
図9は、集塵装置の上天板方向から見た断面を示す断面図である。図中の二点鎖線で示す矢印は、気流の流れを示す。
図9に示すように、流入口303から流入した気流は、集塵装置300の内部において流入口303の方向に突出している正帯電部321によって、矢印FおよびF’で示すように、正帯電部321の左右両方向へ高速に旋回する。気流は、正帯電部321、左負帯電部322aまたは右負帯電部322bに沿って流れた後、矢印GおよびG’で示すように、一部の気流は排気口304a,304bから流出する。また、一部の気流は矢印HおよびH’で示すように、集塵装置300内で小渦となるか剥離流れとなる。
矢印FおよびF’で示す気流は特に高速で旋回するので、遠心力の作用半径は一定ではないが、塵埃を気流から遠心分離する力が働く。この力によって気流から分離されて正帯電部321と摩擦接触した塵埃は正帯電する。また、一部の塵埃は左負帯電部322aまたは右負帯電部322bと摩擦接触して負帯電する。
通常であれば、微小な塵埃は分離された状態のまま重力落下する事はなく、再度気流に乗って、集塵装置300内に捕集されずに排気口304a,304bから排出される場合が多い。しかし、正負それぞれに帯電した塵埃は、気流に乗って移動する間に塵埃どうしの距離が近付くとクーロン力で引付け合って凝集し、クラスター状となる。そのため、塵埃の質量が増加するので、気流から分離されやすくなり、また重力落下もしやすいので捕集効率が向上する。
また、矢印HおよびH’で示す小径の渦や剥離流れでは、塵埃が渦に捕らえられた状態のままとなるか、剥離流れから分離されて、塵埃がその底面部に集積する。また、小径の渦や剥離流れが生じる部分では、気流の流れも弱いので、本部分に近い集塵装置300壁面の部分、すなわち、左吸着部310aと右吸着部310bへの微小塵埃の吸着量が多くなる。
第3実施形態の集塵装置300のような構成であると、気流の主流は旋回状態を維持しないので、塵埃を遠心分離する作用力は第1実施形態と比べると小さい。しかし、気流の主流が旋回状態を維持しないので、流路全体の流路抵抗が小さくなる。流路全体の流路抵抗が小さいので、流れの圧力損失が小さくなる。このため、吸込性能低下を最小限に抑えた上で、微小な塵埃の捕集率も高い集塵装置300を実現することができる。
また、集塵装置300内に浮遊、または捕集された塵埃上に集積していた微小塵埃が、左吸着部310a、右吸着部310b、壁面などに多く吸着されているので、集塵装置300から他容器に塵埃を移す際の塵埃の飛散量も減少する。
なお、第3実施形態においては、正帯電部321、左負帯電部322a、右負帯電部322bは集塵装置300の内壁として配置されているが、塵埃を摩擦接触帯電させる部材によって形成されていれば、羽根形状としてもよい。
また、第3実施形態においては、左吸着部310aと右吸着部310bも集塵装置300の内壁面として配置されているが、流速が早いなどの理由によって塵埃が再飛散しやすい場所でなければ、集塵装置300の下流側に設ける構成としてもよい。
以上のように、第3実施形態の集塵装置300は、気流を流路に流入させるための流入口303と、この流入口303に向かって突出し、流入口303と対向するように配置された正帯電部321とを有し、流路の内壁面は、入口から流入した気流を正帯電部321で分岐させて旋回させることにより塵埃を気流から重力分離するための複数の内壁面として左負帯電部322aと右負帯電部322bを含む。
このようにすることにより、集塵装置300の圧力損失を最小限に抑えることができる。
本発明の集塵装置を用いて得られた集塵効果について説明する。
本発明の第1実施形態の電気掃除機が備える集塵装置について、ダストカップの壁面の材質を変化させて、分離ブレードや遮蔽部材への塵埃の付着量を調べた。
本発明の電気掃除機が備えるサイクロン集塵部のダストカップとしては、内径116mm、高さ113mmで、下方ほど内径が小さくなるように形成されているものを用いた。本発明の電気掃除機の電動送風機に1000W入力時、吸込み仕事率は550Wの条件で測定を行なった。本発明の電気掃除機に860W入力すると、ダストカップの流入口における流速は22m/秒であり、この設定にて粉体3gを吸引させた。粉体種類はJIS試験粉体タルク4種で、主組成SiO2、粒子中位径7.2μm〜9.2μm、密度2.7〜2.9g/cm3であった。
サイクロン集塵部のダストカップとして、以下に説明する(構成1)、(構成2)、(構成3)の3種類の構成を有する集塵装置について測定を行なった。
(構成1)
第1実施形態と同様に、ダストカップの壁面にPTFE樹脂とPA樹脂が嵌め込まれて、それぞれ第一帯電部と第二帯電部を形成する構成であった。分離室と集積室とを区切る遮蔽部材と、吸着部としての分離ブレードは、ABS樹脂によって形成されたものを用いた。
第1実施形態と同様に、ダストカップの壁面にPTFE樹脂とPA樹脂が嵌め込まれて、それぞれ第一帯電部と第二帯電部を形成する構成であった。分離室と集積室とを区切る遮蔽部材と、吸着部としての分離ブレードは、ABS樹脂によって形成されたものを用いた。
(構成2)
上記の(構成1)のダストカップにおいて、PA樹脂の代わりに、ABS樹脂をはめ込んだ。すなわち、(構成2)の集塵装置においては、第一帯電部はPTFE樹脂によって形成され、第二帯電部はABS樹脂によって形成される構成であった。分離室と集積室とを区切る遮蔽部材と、吸着部としての分離ブレードは、ABS樹脂によって形成された。
上記の(構成1)のダストカップにおいて、PA樹脂の代わりに、ABS樹脂をはめ込んだ。すなわち、(構成2)の集塵装置においては、第一帯電部はPTFE樹脂によって形成され、第二帯電部はABS樹脂によって形成される構成であった。分離室と集積室とを区切る遮蔽部材と、吸着部としての分離ブレードは、ABS樹脂によって形成された。
(構成3)
上記の(構成2)のダストカップにおいて、さらに、PTFE樹脂の代わりに、ABSをはめ込んだ。すなわち、(構成3)の集塵装置は、摩擦帯電部としてABS樹脂によって形成されたダストカップの壁面を備える構成であった。分離室と集積室とを区切る遮蔽部材と、吸着部としての分離ブレードは、ABS樹脂によって形成された。
上記の(構成2)のダストカップにおいて、さらに、PTFE樹脂の代わりに、ABSをはめ込んだ。すなわち、(構成3)の集塵装置は、摩擦帯電部としてABS樹脂によって形成されたダストカップの壁面を備える構成であった。分離室と集積室とを区切る遮蔽部材と、吸着部としての分離ブレードは、ABS樹脂によって形成された。
(構成1)〜(構成3)の構成を有する集塵装置を備える電気掃除機の各々に粉体吸引させた場合、ダストカップの底に集積した捕集分を除くと、遮蔽部材および分離ブレードへの粉体付着重量は、(構成1)では1.435g、(構成2)では1.315g、(構成3)では1.176gであった。この結果から、(構成1)>(構成2)>(構成3)の順に塵埃の捕集量が多いことが確認できた。
また、分離ブレードへの粉体積層状態を、表面電位計(SIMCO社FMX−002)にて計測した表面電位によって調べた。分離ブレードの表面電位がゼロ電位に近ければ近いほど、分離ブレードの表面には、正負それぞれに帯電した粉体が積層していると考えられる。分離ブレードの各測定点における表面電位の平均は、(構成1)では+1.3kV、(構成2)では+1.7kVであった。粉体組成と正負帯電部材の仕事関数の大小によって、正負の摩擦接触帯電量バランスが偏っているが、(構成1)の表面電位は(構成2)の表面電位と比較してゼロ電位に近いことから、正負それぞれに帯電した粉体が積層していると考えられる。
図10は、粉体を吸引させた後に電気掃除機から取り外された、(構成1)の集塵装置の分離ブレード(A)と、従来のサイクロン集塵装置の分離ブレード(B)を示す図である。
図10の(A)と(B)に示すように、本発明の(構成1)の集塵装置の分離ブレード110には塵埃130が積層し、分離ブレード110を視認することができない部分が多かった。積層した塵埃130の一部は、分離ブレード110を集塵装置から取り外したときに、積層した状態のままで剥がれ落ちた。一方、従来のサイクロン集塵装置の分離ブレード910には、分離ブレード910の全体に薄く塵埃930が付着していた。
図11は、粉体を吸引させた後に電気掃除機から取り外された、(構成1)の集塵装置のダストカップの底面の内側(A)と、従来のサイクロン集塵装置のダストカップの底面の内側(B)を示す図である。
図11の(A)と(B)に示すように、本発明の(構成1)のダストカップ102の底には分離ブレード110(図10)を取り外すときに剥がれ落ちた塵埃130があったが、壁面を構成している第一帯電部121a、第二帯電部122aや底面には、塵埃130はほとんど付着していなかった。一方、従来の導電性の材質によって形成されているダストカップ902の底面や内壁面には、塵埃930が付着していた。
このように、本発明の(構成1)の集塵装置では、塵埃は、ダストカップの内壁面や底面にはほとんど付着せず、分離ブレードに積層することがわかった。塵埃が分離ブレードに積層し、分離ブレードから剥がれ落ちる場合にも積層した状態のままで剥がれ落ちやすいので、集塵装置内の塵埃を廃棄する際に、塵埃が微小な粒子になって飛散することを抑制することができる。
なお、上記の実施の形態では、主に、遠心力によって塵埃を気体から分離する集塵装置とそれを備える電気掃除機について説明したが、少なくとも塵埃を含む気体を旋回させることによって塵埃を気流から分離する集塵装置とそれを備える電気掃除機に本発明を適用することができる。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
1:電気掃除機、2:サイクロン集塵装置、10:吸込口体、20:延長管、30:接続パイプ、40:サクションホース、51:塵埃捕集手段、54:電動送風機部、100:サイクロン集塵部、103,203,303:流入口、110:分離ブレード、205:集積室、206:内筒排気部、300:集塵装置、310a:左吸着部、310b:右吸着部、121a,121b,221a,221b:第一帯電部、122a,122b,222a,222b:第二帯電部、321:正帯電部、322a:左帯電部、322b:右帯電部。
Claims (8)
- 塵埃を含む気流を旋回させて塵埃を気流から分離させるための流路と、
前記流路内に配置されて塵埃を摩擦接触帯電させるための摩擦帯電部と、
前記流路内に配置されて、前記摩擦帯電部において摩擦接触帯電させられた塵埃を静電吸着するための吸着部とを備える、集塵装置。 - 前記摩擦帯電部は、塵埃を正に摩擦接触帯電させるための第一帯電部と、塵埃を負に摩擦接触帯電させるための第二帯電部とを含む、請求項1に記載の集塵装置。
- 前記第一帯電部と前記第二帯電部とは、気流の流れる方向に沿って並べられて一組の帯電部対を形成するように配置されている、請求項2に記載の集塵装置。
- 複数の前記帯電部対を備え、前記複数の前記帯電部対が、気流の流れる方向に沿って並べられて配置されている、請求項3に記載の集塵装置。
- 前記流路は、凹状に湾曲した内壁面によって形成され、
前記吸着部は、前記流路を形成する前記内壁面によって囲まれるように、前記流路の内部に配置されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の集塵装置。 - 気流を前記流路に流入させるための入口を有し、
前記流路の内壁面は、前記入口から流入した気流を旋回させることにより、塵埃を気流から遠心分離するための円筒状の内周壁面を含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の集塵装置。 - 気流を前記流路に流入させるための入口と、この入口に向かって突出し、前記入口と対向するように配置された突出部とを有し、前記流路の内壁面は、前記入口から流入した気流を前記突出部で分岐させて旋回させることにより塵埃を気流から重力分離するための複数の内壁面を含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の集塵装置。
- 吸込口を有する吸込口体と、
吸気を発生させる電動送風機と、
前記吸込口体と前記電動送風機との間を連通する吸気通路と、
前記吸気通路に配置される集塵室とを備え、
前記集塵室は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の集塵装置を含む、電気掃除機。
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JP2017148171A (ja) * | 2016-02-23 | 2017-08-31 | シャープ株式会社 | 集塵装置 |
WO2018207327A1 (ja) * | 2017-05-11 | 2018-11-15 | 三菱電機株式会社 | サイクロン分離装置および電気掃除機 |
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2007
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