JP6633412B2 - スライド給電装置の異物除去構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のスライドシート等に給電等を行なうためのスライド給電装置の異物除去構造に関するものである。
従来、自動車のスライドシート内の電装品等といった補機に給電や信号の授受等を行なうために、車両フロア側に配設される種々のスライド給電装置が提案されている。
例えば、特許文献1(図示せず)には、アッパケースとロアケースとで成る横長扁平状の金属製のケースと、ケース内の一側寄りにおいて底壁に設けられたレール(ガイドレール)と、レールよりもケースの他側方におけるハーネス余長吸収部にU字状に屈曲して配索された断面略円形のワイヤハーネスと、レールにスライド自在に係合して、ワイヤハーネスの一端部をレールよりも一側方においてケースの上壁のスリット状の開口部からスライドシートに向けて上向きに導出させる合成樹脂製のプロテクタ(スライドプロテクタ)とを備えた電線配索装置(スライド給電装置)が記載されている。
このプロテクタは断面略L字状に屈曲形成されており、水平な底部側に、前記レールに係合する摺動部と、摺動部よりも前記一側方に配置された前後一対の垂直な板状の異物掃き出し部とを有している。「前後」とは車両前後方向であり、レールに沿ったプロテクタのスライド方向でもある。
この異物掃き出し部は、レールとケースの底壁と一側壁とで囲まれた凹部空間内に位置し、ケースの上壁のスリット状の開口部から侵入した砂や塵や石等の異物をプロテクタの移動に伴ってケースの端部側に掃き寄せようとするものである。
前記特許文献1に記載されたプロテクタは略L字状に屈曲されているが、例えば特許文献2に記載されたスライド給電装置における摺動プロテクタ(図示せず)は正面視略逆T字状に形成されて、左右両側(一側方と他側方)にワイヤハーネスの断面円形のコルゲートチューブを保持するハーネス保持部を有している。
前記特許文献2に記載された摺動プロテクタ(スライドプロテクタ)は、左右一対のハーネス保持部と中央のハーネス導出部とを有しており、車両フロアに設けられたガイドレールの左右の溝部に左右一対のハーネス保持部がスライド自在に係合し、中央のハーネス導出部の下方にガイドレールの中央の凹部が位置する。
摺動プロテクタは後方の摺動支持体に連結され、摺動支持体は摺動プロテクタと一体的にガイドレールにスライド自在に係合し、摺動プロテクタと摺動支持体との上半側がガイドレールのスリット状の開口から上向きに突出し、摺動支持体の上半側にスライドシートが固定される。
特開2013−141843号公報 特開2015−9763号公報
しかしながら、前記各特許文献に記載されたスライド給電装置にあっては、ガイドレールとスライドプロテクタとの摺動部分に砂や塵や石等といった異物が侵入した場合に、その異物を除去することが難しいという懸念があった。
本発明は、上記した点に鑑み、ガイドレールとスライドプロテクタとの摺動部分に砂や塵や石等といった異物が侵入した場合に、その異物を除去することのできるスライド給電装置の異物除去構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るスライド給電装置の異物除去構造は、ガイドレールにスライド自在に係合するスライドプロテクタと、該ガイドレールに沿って該スライドプロテクタに配索且つ保持される回路体と、を備えたスライド給電装置において、 前記ガイドレールが、その長手方向に沿って下壁と側壁を有するプロテクタ収容部と、該下壁に続く底側の凹部とを有し、前記スライドプロテクタが、該プロテクタ収容部にスライド自在に係合し、その底部分が該下壁に沿って配される回路体配索部を有し、該スライドプロテクタのスライド移動方向の端部には異物除去部材が設けられ、前記異物除去部材は、前記下壁に沿って該スライド移動方向に該底部分から板状に突出して設けられ、該異物除去部材はその突出先端から基端に向かうにつれて前記凹部に漸次近づくように傾斜した斜辺部を有し、前記斜辺部は、前記異物除去部材の他の部位よりも前記凹部寄りに位置し、該スライドプロテクタのスライド移動時に、該下壁上の異物が該斜辺部で該凹部に掻き落とされることを特徴とする。
上記構成により、ガイドレールのプロテクタ収容部の下壁の上面に載った異物が、スライドプロテクタのスライド移動に伴って、回路体配索部の底部分に設けられた異物除去部材の斜辺部でガイドレールの底側の凹部に向けて掻き落とされる。これにより、回路体配索部の底部分とガイドレールの下壁との間への砂、塵、石等といった異物の噛み込みが抑止され、ガイドレールに対するスライドプロテクタのスライド移動が円滑に行なわれる。また、ガイドレールの下壁の上面への異物の堆積が抑制されることで、回路体が異物に摺接することが抑止され、回路体の傷付き等が抑止される。スライドプロテクタの底部分からガイドレールの下壁に沿って異物除去部材が設けられているので、プロテクタ収容部の下壁の上面に載った石等の大きな異物は勿論のこと、砂や塵等といった小さな異物も除去(排除)される。
請求項2に係るスライド給電装置の異物除去構造は、請求項1記載のスライド給電装置の異物除去構造において、前記回路体配索部における前記凹部から遠い側の側壁に板状の異物止め部材が前記異物除去部材の突出方向に突出して設けられ、該異物止め部材の下辺部が、前記異物除去部材における前記凹部から遠い側の外辺部に交差して連続していることを特徴とする。
上記構成により、例えば、異物除去部材の上に載った異物が異物止め部材に当たることで、異物除去部材におけるガイドレールの凹部から遠く離れた側への異物の移動・落下が抑止される。従って、異物除去部材の上に載った異物は、スライドプロテクタのスライド動作や車両の振動等により、異物除去部材の斜辺部側へ移動して、斜辺部でガイドレールの凹部に掻き落とされる。
請求項3に係るスライド給電装置の異物除去構造は、請求項1又は2記載のスライド給電装置の異物除去構造において、前記回路体としてのフラット回路体を配索する縦溝が前記回路体配索部に設けられ、該縦溝の入口が前記異物除去部材の前記基端の上方に配置されていることを特徴とする。
上記構成により、ガイドレールのプロテクタ収容部の下壁の上面に載った異物が、異物除去部材でブロックされて、回路体配索用の縦溝内に侵入することが抑止される。これにより、縦溝内でのフラット回路体と異物との接触に起因するフラット回路体の傷付き等が抑止される。
請求項1記載の発明によれば、ガイドレール上に載った砂や塵や石等といった異物をスライドプロテクタの異物除去部材で除去することができる。これにより、ガイドレールに対するスライドプロテクタのスライド移動性を良好に保つことができる。また、ガイドレール上の異物の堆積を抑制して、スライドプロテクタのスライド移動時における、回路体とガイドレール上の異物との摺接及びそれに伴う回路体の傷付き等を抑止して、回路体による給電の信頼性を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、例えば、異物除去部材の上に載った異物が斜辺部とは異なる側に落下することを異物止め部材で抑止して、異物除去部材の斜辺部側への異物の落下を促すことができる。
請求項3記載の発明によれば、スライドプロテクタのスライド移動時における回路体配索部の縦溝内への異物の侵入を異物除去部材で抑止することができる。これにより、縦溝内でのフラット回路体と異物との接触及びそれに起因するフラット回路体の傷付き等を抑止して、フラット回路体による給電の信頼性を高めることができる。
本発明のスライド給電装置の異物除去構造を適用したスライド給電装置の一実施形態を示す斜視図である。 図1のA部を拡大した本発明のスライド給電装置の異物除去構造の一実施形態を示す斜視図(円内は拡大図)である。 同じくスライド給電装置の異物除去構造の一実施形態を示す図1のB−B断面図(フラット回路体以外は正面図)である。
図1は、本発明のスライド給電装置の異物除去構造を適用したスライド給電装置の一実施形態、図2,図3は、本発明のスライド給電装置の異物除去構造の一実施形態をそれぞれ示すものである。
図1の如く、スライド給電装置1は、車両フロア(図示せず)の前後方向に沿って配設された金属製のガイドレール2と、ガイドレール2にスライド自在に係合した合成樹脂製のスライドプロテクタ3と、ガイドレール2の前端側の開口2aからガイドレール2内を通ってスライドプロテクタに配索されたフラット回路体(回路体ないしフラットワイヤハーネス)4と、フラット回路体4の余長を吸収する回路体余長吸収部5とを備えたものである。
スライドプロテクタ3の後部には金属製の摺動支持体6が連結固定され、摺動支持体6はスライドプロテクタ3と共にガイドレール2にスライド自在に係合している。摺動支持体6に不図示のスライドシートが固定される。
なお、ガイドレール2を車体の一部として配設した場合には、スライド給電装置1にガイドレール2は含まれない。図1ではガイドレール2を鎖線で示し、図2ではガイドレール2の図示を省略し、図3ではガイドレール2を実線で示している。図2ではフラット回路体4を鎖線で示している。
図3の如く、ガイドレール2は、左右一対の断面略矩形で不完全環状のプロテクタ収容部7,8と、各プロテクタ収容部7,8を連結する底側の凹部9とで構成されている。プロテクタ収容部7,8はスライドプロテクタ3に対する摺動部分である。左右のプロテクタ収容部7,8は対称に形成・配置されている。各プロテクタ収容部7,8は、水平な上壁10及び下壁11と、垂直な内側壁12及び外側壁(側壁)13とで構成され、内側壁12と下壁11との間に開口14が形成され、開口14は底側の凹部9内の空間15に続いている。凹部9は、水平な底壁16と、底壁16の左右両側に立ち上げられて各プロテクタ収容部7,8の下壁11に続く各側壁17とで構成されている。図3においてガイドレール2はレール長手方向に同じ断面形状で続いている。
図2,図3の如く、スライドプロテクタ3は、ガイドレール2の左右のプロテクタ収容部7,8にスライド自在に係合した左右一対の回路体配索部18,19と、左右の回路体配索部18,19を連結して、ガイドレール2の内側壁12と下壁11との間の開口14に挿通した水平な連結壁20と、連結壁20の幅方向中央に上向きに突出して設けられ、ガイドレール2の左右のプロテクタ収容部7,8よりも高く突出した中央の回路体配索部21とを備えている。なお、明細書で上下前後左右の方向性は、車両の方向及び車両に取り付けられたスライド給電装置1の方向に一致させている。
本例において、フラット回路体4は、左右の回路体配索部18,19のうちの右側の回路体配索部18の縦溝24内に縦置きに配索され、右側の回路体配索部18の後部寄りにおいて直交する横方向に折り曲げられつつ固定(保持)されて、中央の回路体配索部21を通って不図示のスライドシートに配索される。
スライドシート側(負荷側)の補機等の数の増加に応じて、一枚ではなく各一枚ないしそれ以上の数のフラット回路体4を左右の各回路体配索部18,19にそれぞれ配索することも可能である。この場合でも、各フラット回路体4は中央の回路体配索部21を経てスライドシートに配索される。フラット回路体4は、複数本の銅箔等の不図示の電線を絶縁樹脂シート4aで挟んで並列に配線して成り、板厚方向の良好な屈曲性(可撓性)を有している。
図2,図3の如く、スライドプロテクタ3の各回路体配索部18,19は、内外(左右)の垂直な側壁22,23と、両側壁22,23の間に形成された回路体配索用の幅狭スリット状の縦溝24と、両側壁22,23を連結する底部分(底壁)25とを備えている。内側の側壁22はガイドレール2の凹部9側(凹部9の近く)に位置し、外側の側壁23は凹部9から遠く離れた側に位置している。底部分25は、中央の回路体配索部21を繋ぐ厚板状の連結壁20に続いている。底部分25の下面は連結壁20の下面よりも少し上方に位置し、両下面は傾斜状の段差面20a(図3)で続いている。
図3の如く、左右の回路体配索部18,19の底部分25の下面(正確には底部分25に設けられた前後方向に沿うリブ26又は突起)がガイドレール2の左右のプロテクタ収容部7,8の下壁11の上面にスライド自在に接触している。内外の側壁22,23を連結する複数本の水平なリブ25a(図2)のみで底部分25を構成することも可能である。
図2の如く、左右の回路体配索部18,19の内外の側壁22,23の上面側には、金属製の湾曲板状のばね部材27がそれぞれ設けられている。図3の如く、ばね部材27はガイドレール2のプロテクタ収容部7,8の上壁10の内面に弾接して、各回路体配索部18,19を下向きに付勢して、底部分25の下面(リブ26)をプロテクタ収容部7,8の下壁11の上面に押し付けて、スライドプロテクタ3の上下方向のガタを抑止する。回路体配索部18,19の外側の側壁23には、ガイドレール2の外側の側壁13の内面に接触可能なリブ28が前後方向に沿って設けられている。
図2,図3の如く、本例において、フラット回路体4を配索した右側の回路体配索部18の外側の側壁23の前端面23aから直角三角形状の垂直な板壁(異物止め部材)29が前向きに突出して設けられ、同じく回路体配索部18の底部分25の前端面(符号25で代用)から直角三角形状の水平な板壁(異物除去部材)30が前向きに突出して設けられている。前方向とはスライドプロテクタ3の前進方向である。水平な板壁30は垂直な板壁29よりも内側(中央の回路体配索部21寄りないしガイドレール2の凹部9寄り)に配置されている。各板壁29,30はスライドプロテクタ3に一体に樹脂成形されている。
図2の如く、外側の垂直な板壁29は、前下がりに傾斜した上側の斜辺部(傾斜辺部)29aと、回路体配索部18の外側の側壁23の前端面23aに沿う高さ方向の基辺部(縦辺部)29bと、基辺部29bに直交した下辺部29cとを有している。基辺部29bは、外側の側壁23の外面側すなわち縦溝24よりも外側に離間した位置に配置され、板壁29の外側面29d(図3)は、回路体配索部18の外側の側壁23の外面と略同一平面上に位置し、板壁29の内側面29eは、縦溝24よりも外側に離間した位置(ガイドレール2の凹部9から遠く離れた位置)において板壁29の外側面29e及び縦溝24の内側面24bと平行に位置している。
内側の水平な板壁30は、その前端(突出先端)30aから後端(基端ないし付根)30cすなわち回路体配索部18の底部分25の前端面にかけて、板幅を内向きに(ガイドレール2の凹部9に近づくように)漸次増加させるように傾斜した内側の斜辺部(傾斜辺部ないし内辺部)30bと、回路体配索部18の底部分25の前端面の幅方向に沿う基辺部(横辺部)30cと、基辺部30cに直交して前後方向に沿う外辺部30dと、を備えている。基辺部30cは水平な板壁30の基端(30c)でもある。
斜辺部30bはガイドレール2の凹部9寄り(凹部9に近い側)に位置し、外辺部30dは凹部9から遠い側に位置している。外側の垂直な板壁29の下辺部29cと内側の水平な板壁30の外辺部30dとは一体に直交(交差)して続き、外側の板壁29の基辺部29dと内側の板壁30の基辺部30cとは一体に直交(交差)して続いている。
内側の水平な板壁30の上面30eは縦溝24の下端(下面ないし底面)24aよりも若干低く下方に位置し、板壁30の基辺部30cは、外側の垂直な板壁29の内側面29eから縦溝24の下端24aの前方を通過して縦溝24の左側の内側面24bの下方まで、ないしは縦溝24の内側面24bよりも左方まですなわち回路体配索部18の内側の側壁22方まで延出されている。
図3の如く、水平な内側の板壁30の下面30fは、ガイドレール2のプロテクタ収容部7の下壁11の上面に近接ないし接触している。近接する場合は、回路体配索部18の下側のリブ26(図2)の厚み程度の僅かな隙間を存して板壁30の下面30fが下壁11の上面に近接する。本例の板壁30の下面30fは底部分25の下面と同一水平面に位置している。板壁30の下面30fは下壁11の上面に接触することが、微細な塵等の異物32Aを排除する上で好ましい。
図2の如く、フラット回路体4は、内側の水平な板壁30の基辺部30cの左端(内端)30c1側の上方を通って外側の垂直な板壁29と平行に配索されている。スライドプロテクタ3の移動時に万一、フラット回路体4が板厚方向に暴れた(大きく振れた)場合に、フラット回路体4が垂直な板壁29の内側面29eに当接して、フラット回路体4が縦溝24内にスムーズに案内される。図3の如く、フラット回路体4の下端4bは、水平な板壁30の上面30eに隙間を存して非接触で位置している。縦溝24の前方に水平な板壁30が配置されている。フラット回路体4の下端4bは縦溝24の底面24aにほぼ接している。
図1の如く、スライドプロテクタ3の中央の回路体配索部21は、ガイドレール2の底側の凹部9の上方において左右のプロテクタ収容部7,8の間のスリット状の開口31を通って外部に突出している。スリット状の開口31は左右一対の不図示のモールで覆われるが、外部からモール間の隙間とスリット状の開口31を経てガイドレール2内に砂、塵、石等といった異物32(図3)が侵入することがある。
図3において、スリット状の開口31から真下に異物32が落下した場合は、ガイドレール2の底側の凹部9内に異物が直接収容されるが、風や振動等により、あるいは異物32がスライドプロテクタ3に当たって外向きに跳ねたりした場合等においては、図2,図3の如く、ガイドレール2のプロテクタ収容部7の下壁11の上面側において、フラット回路体4の下方や外側ないし内側に砂や塵等といった異物32Aが侵入し兼ねない。
この場合に、図2のスライドプロテクタ3の矢印C方向の前進動作に伴って、内側の水平な板壁30の斜辺部30bが、ガイドレール2(図3)の下壁11上の異物32Aを矢印D1(図2)のように内向きに押し除けて、図3のガイドレール2の底側の凹部9に矢印D2のように掻き落とす。
これにより、回路体配索部18の底部分25の下面とガイドレール2のプロテクタ収容部7の下壁11の上面との間への異物32Aの侵入や挟み込み(噛み込み)が抑止されて、ガイドレール2に対するスライドプロテクタ3の摺動性が良好に維持される。また、ガイドレール2の下壁11上への異物32Aの堆積が抑制されるので、スライドプロテクタ3のスライド移動時に、堆積した異物32Aとフラット回路体4の下端部4bとの摺接及びそれに伴うフラット回路体4の下端部4bの傷付き等が抑止される。
また、異物32Aが回路体配索部18の縦溝24に達する前に、水平な板壁30の斜辺部30bで内向きに押し除けて除去されることで、縦溝24内への異物32Aの侵入とそれに伴うフラット回路体4の傷付き等が抑止される。縦溝24内でフラット回路体4はハーネス長手方向に移動することはないので(フラット回路体4はハーネス配索部18又は中央のハーネス配索部21に保持されているので)、たとえ縦溝24内に異物32Aが侵入しても、フラット回路体4が異物32Aと摺接することはないが、異物32Aが硬質なものである場合には、縦溝24内への侵入は好ましいものではない。
外側の垂直な板壁29は、内側の水平な板壁30を補強して板壁30の剛性を高めると共に、万一、異物32が水平な板壁30の上面30eに載った場合に、水平な板壁30の外側すなわち図3のガイドレール2のプロテクタ収容部7の外側壁13との間に落下することを抑止する。水平な板壁30の上に載った異物32は、スライドプロテクタ3のスライド動作や車両の振動等で斜辺部30b側に落下して、斜辺部30bでガイドレール2の凹部9内に掻き落とされる。
スライドプロテクタ3の右側の回路体配索部18と同様に、左側の回路体配索部19にもフラット回路体4を配索する場合は、左側の回路体配索部19の前端面に右側の回路体配索部18におけると同様な垂直及び水平な各板壁29,30を右側の回路体配索部18の各板壁29,30とは対称に配設する。
水平な板壁30の斜辺部30bは、その突出先端30aから基端(付根)30cに向かうにつれてガイドレール2の凹部9に漸次近づくように傾斜している。斜辺部30bは垂直な側面と上側の面取部を有している。また、垂直な板壁29は、内側面29eの上端に面取り部を有している。各回路体配索部18,19においては、少なくとも水平な板壁30が設けられていれば(外側の垂直な板壁29が設けられていなくても)、異物除去の作用効果は発揮される。
なお、外側の垂直な板壁29を内側の水平な板壁30よりも前方に長く延出し、フラット回路体4の外側に侵入した異物32Aを外側の板壁29の斜辺部29aないしその先端側に設けた不図示の内向きの傾斜面で内側の水平な板壁30に向けて案内し、その異物32Aを内側の水平な板壁30の斜辺部30bで内向きに押し除くことも可能である。外側の垂直な板壁29は図3のガイドレール2の回路体収容部7の外側の側壁13の内面に近接して配置されることが好ましい。
また、水平な板壁30の斜辺部30bの先端(30a)側を垂直な板壁29の外側面29dまで又は外側面29dよりも外側まで延出して、斜辺部30bによる異物32Aの押し除け範囲を広げることも可能である。また、水平な板壁30に対して縦方向の板壁29を直角よりも大きな開き角度で交差させる(板壁29を外向きに傾斜させる)ことも可能である。
図2の如く、スライドプロテクタ3の回路体配索部18,19の後端側の突出部分33が金属製等の摺動支持体6に連結固定されている。図1の如く、摺動支持体6は、ガイドレール2の幅方向中央のスリット状の開口31から上向きに突出した不図示の上半部分を含むスライドシート固定部34と、前後のローラ35を有した下半のレール摺動部36とで構成されている。
図1の如く、本例の回路体余長吸収部5は、平面視略円形で扁平なケース37と、ケース37内に設けられ、フラット回路体4を螺旋状に巻き取る不図示のリールと、リールを回路体引き込み方向に付勢する不図示のばね部材とを備えたものである。フラット回路体4をフラット回路体4自体の巻方向の復元力でケース37内に引き込む場合は、ばね部材は不要となる。
ケース37は、上下の略円形の壁部37aと、上下の壁部37aを連結する略環状の周壁37bと、周壁37bに設けられて、フラット回路体4をガイドレール2のプロテクタ収容部7内に導入させるための不図示の第一の開口と、上壁37a又は下壁に設けられて、フラット回路体4を水平な車両フロアに沿って電源側に導出させるための不図示の第二の開口とを有する。この回路体余長吸収部5はガイドレール2の前端側又は車両フロアに固定される。
回路体余長吸収部5からフラット回路体4の一方がガイドレール2内を通ってスライドプロテクタ3に配索且つ保持(固定)され、フラット回路体4の他方が回路体余長吸収部5に巻き取られて収容される。
なお、回路体余長吸収部5として、例えば従来におけるような横長のケース(図示せず)をガイドレール2に沿って配設する、あるいはガイドレール2を内側に取り込んだ横長のケースの一部として回路体余長吸収部5を形成することも可能である。これらのケース内にフラット回路体4が例えばU字状に折り返して収容され、ケース内の不図示のばね部材で回路体引き込み方向に付勢される。薄板状のフラット回路体4を用いるので、不図示の断面円形等のワイヤハーネスを用いる場合に比べて、ケースが小型化される。
回路体として、フラット回路体4に代えて複数本の丸型電線を用いた断面円形ないし長円形(平型)等の不図示のワイヤハーネスを用いることも可能である(ワイヤハーネスの断面形状はハーネス保護部材である合成樹脂製のコルゲートチューブの形状で規定される)。
この場合、スライドプロテクタ3の回路体配索部18,19には、スリット状の縦溝24に代えて従来同様の円形等の回路体配索孔(図示せず)が設けられ、回路体配索孔にワイヤハーネスのコルゲートチューブの一端部が保持され、コルゲートチューブを含むワイヤハーネスは、回路体余長吸収部5としての横長の不図示のケース内に平面視略U字状に屈曲配索され、コルゲートチューブ内を挿通した電線の一方がスライドプロテクタ3を経て不図示のスライドシートに配索され、電線の他方が横長のケースから電源側に導出・配索される。
また、この場合、スライドプロテクタ3の回路体配索部18,19の不図示の回路体配索孔は不図示のコルゲートチューブの端部で塞がれるので、回路体配索孔に異物32Aが侵入する心配はなくなるが、前記水平な板壁30を設けない場合は、回路体配索部18,19の底部分25とガイドレール2のプロテクタ収容部7,8の下壁11との間に異物32Aが侵入したり、堆積した異物32Aにコルゲートチューブが摺接する心配がある。
そこで、回路体配索部18,19の底部分25から前方に水平な板壁30を突出して設け、板壁30の内側の斜辺部30bで異物32Aを押し除けてガイドレール2の凹部9内に掻き落とすことで、回路体配索部18,19とプロテクタ収容部7,8との間への異物32Aの侵入や、堆積した異物32Aによるコルゲートチューブの傷付き等を抑止することができる。内側の水平な板壁30に加えて外側の垂直な板壁29を前記実施形態と同様に併用することも有効である。回路体配索部18,19のうちの何れかにワイヤハーネスを配索する場合は、その回路体配索部18又は19のみに内側の水平な板壁30又は、水平な板壁30及び外側の垂直な板壁29を配設してもよい。
また、前記実施形態においては、スライドプロテクタ3の前進時すなわちスライドシートの前進時に板壁29,30で異物32Aを除去する例で説明したが、スライドプロテクタ3の後退時すなわちスライドシートの後退時に異物32Aを除去するように、スライドプロテクタ3の回路体配索部18,19の後端面から後方に内側の水平な板壁30や外側の垂直な板壁29を摺動支持体6の邪魔にならない範囲で配設することも可能である。
但し、回路体配索部18,19の縦溝24の前側の入口24cからの異物32Aの侵入を抑止するためには、回路体配索部18,19の前端面に板壁29,30を突出して設けることが好ましい(回路体配索部18,19の後端面に縦溝24は開口しておらず、縦溝24は回路体配索部18,19の前後方向中間部において内側の側壁22の不図示の水平なスリット状の開口から中央の回路体配索部21に通じているので)。また、スライドプロテクタ3の前進及び後退時に異物32Aを除去するように、スライドプロテクタ3の前端面及び後端面に各板壁29,30を突出して設けることも可能である。本明細書において、「除去」を「排除」と言い換えることも可能である。
また、前記実施形態においては、スライドプロテクタ3に左右一対のハーネス配索部18,19を設けたが、例えば、スライドシート側(負荷側)の回路数が少ない場合は、右側又は左側のみのハーネス配索部18又は19を有するスライドプロテクタ3を用いることも可能である。この場合、ガイドレール2は、摺動支持体6の形状に応じて左右一対のプロテクタ収容部7,8を有していてもよく、右側又は左側のみのプロテクタ収容部7又は8と底側の凹部9とを有していてもよい。
また、前記実施形態においては、車両(自動車に限らない)のスライドシートにスライド給電装置1を適用した例で説明したが、例えば、不図示の車両のスライドドアにスライド給電装置1を適用することも可能である。この場合は、例えば、スライドドアにガイドレール2が水平に配置され、ガイドレール2にスライドプロテクタ3が前後方向移動自在に係合し、スライドプロテクタ3の上半部から車両ボディ側(電源側)に断面円形等のワイヤハーネスが配索され、ガイドレール2の前端側に略円形のケース37を有する回路体余長吸収部5が配置される。摺動支持体6は不要である。
また、図1のスライド給電装置1を前後逆にして車両のフロアに配置することも可能である。この場合、回路体余長吸収部5は車両後方に位置し、図2のスライドプロテクタ3の矢印Cの移動方向は後退方向となる。
また、前記スライドシートにおいても同様であるが、例えばガイドレール2内にフラット回路体4を折り畳むように収容する場合等においては、回路体余長吸収部5は不要となる。これらスライドシートやスライドドア等はスライド構造体と総称され、スライド構造体を移動可能に支持する車両ボディ等は固定構造体と総称される。
その他、従来公知の知見に従い、本発明のスライド給電装置の異物除去構造を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明のスライド給電装置の異物除去構造の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれる。また、本発明は、スライド給電装置の異物除去構造として以外に、スライド給電装置やスライド給電構造等としても有効なものである。
本発明のスライド給電装置の異物除去構造は、例えば車両等におけるスライド可能な部位に給電を行うスライド給電装置において、ガイドレールとスライドプロテクタとの摺動部分に砂や塵や石等といった異物が侵入した場合に、その異物を除去するために利用することができる。
1 スライド給電装置
2 ガイドレール
3 スライドプロテクタ
4 フラット回路体(回路体)
7 プロテクタ収容部
9 凹部
10 上壁
11 下壁
13 側壁(外側壁)
18 回路体配索部
23 外側の側壁
24 縦溝
24c 入口
25 底部分
29 垂直な板壁(異物止め部材)
29c 下辺部
30 水平な板壁(異物除去部材)
30a 突出先端
30b 斜辺部
30c 基端(基辺部)
30d 外辺部
32A 異物

Claims (3)

  1. ガイドレールにスライド自在に係合するスライドプロテクタと、該ガイドレールに沿って該スライドプロテクタに配索且つ保持される回路体と、を備えたスライド給電装置において、
    前記ガイドレールが、その長手方向に沿って下壁と側壁を有するプロテクタ収容部と、該下壁に続く底側の凹部とを有し、前記スライドプロテクタが、該プロテクタ収容部にスライド自在に係合し、その底部分が該下壁に沿って配される回路体配索部を有し、
    該スライドプロテクタのスライド移動方向の端部には異物除去部材が設けられ、
    前記異物除去部材は、前記下壁に沿って該スライド移動方向に該底部分から板状に突出して設けられ、該異物除去部材はその突出先端から基端に向かうにつれて前記凹部に漸次近づくように傾斜した斜辺部を有し、
    前記斜辺部は、前記異物除去部材の他の部位よりも前記凹部寄りに位置し、
    該スライドプロテクタのスライド移動時に、該下壁上の異物が該斜辺部で該凹部に掻き落とされることを特徴とするスライド給電装置の異物除去構造。
  2. 前記回路体配索部における前記凹部から遠い側の側壁に板状の異物止め部材が前記異物除去部材の突出方向に突出して設けられ、該異物止め部材の下辺部が、前記異物除去部材における前記凹部から遠い側の外辺部に交差して連続していることを特徴とする請求項1記載のスライド給電装置の異物除去構造。
  3. 前記回路体としてのフラット回路体を配索する縦溝が前記回路体配索部に設けられ、該縦溝の入口が前記異物除去部材の前記基端の上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスライド給電装置の異物除去構造。
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