JP6632526B2 - クルイベロミセス・ラクティス(kluyveromyces lactis)由来のラクターゼの改良型酵素変異体 - Google Patents

クルイベロミセス・ラクティス(kluyveromyces lactis)由来のラクターゼの改良型酵素変異体 Download PDF

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Description

発明の詳細な発明
[発明の分野]
本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドに関する。本発明はさらに、そのような変異体ポリペプチドをコードする核酸配列、上記核酸配列を含む核酸構築物、上記核酸構築物を含む組換え発現ベクターおよび上記発現ベクターを含む組換え宿主細胞に関する。さらに本発明は、そのような宿主細胞の使用によってラクターゼ変異体を生成するための方法に関する。さらに、本発明は、ラクターゼポリペプチド変異体を生成する方法に関する。本発明はさらに、ラクターゼ変異体を含む組成物、乳製品の調製におけるそのようなラクターゼ変異体の使用またはラクターゼ変異体含有組成物の使用、乳製品を製造するための方法および結果として生じる乳製品に関する。
[発明の背景]
本発明は、ラクターゼに関する。ラクターゼまたはβ−ガラクトシダーゼ(E.C:3.2.1.23)は、ラクトース(二糖)からその成分単糖類であるグルコースおよびガラクトースへの加水分解を触媒する酵素である。ラクトースは、乳製品中、およびより詳細には、乳汁、脱脂粉乳、クリーム、アイスクリーム、発酵乳製品、例えばヨーグルト、多数の未熟成チーズおよび他の乳製品中に存在する。ラクトースの分解は、若年哺乳動物(中でも、特にヒト)の腸壁内でラクターゼの自然の存在によって発生する。この特性を消失しておらず、依然としてラクトースを消化できるのは、成体集団のほんの一部に過ぎない。大多数の成体においてラクトースによって誘発される栄養上および機能上の問題は、ラクターゼの欠如によって誘発され、周知であり、報告されている。そのような集団の構成員は、ラクトースを加水分解することができず、ラクトースは、そのような症例では大腸へ通過し、大腸内で脱水、カルシウムの吸収不良、鼓腸、おくびおよび急激な腹痛、さらに重度の症例では水様性の爆発的な下痢さえ生じさせる。
ラクターゼの重要な産業上の用途は、ラクトース不耐性個体のためのラクトース加水分解乳製品の製造にある。そのような加水分解乳製品には、殺菌乳、UHT乳および例えばタンパク質加水分解などの中間加工処理工程を用いて、または用いずに元々の構成要素の全部もしくは一部から再構成された乳汁が含まれる。ラクターゼを用いた処理は、乳汁の加熱処理の前または後に実施されてよい。ラクターゼ処理は、乳汁または乳汁のラクトース含有成分の1つにこの酵素を添加することによって実施することができる。
ラクトースの溶解特性は、高濃度で存在する場合はラクトースの結晶化を引き起こし、例えば練乳、無糖練乳、粉乳、冷凍乳、アイスクリームなどの乳製品中および高含量の乳汁を含む菓子製品中での砂状または砂利状の質感を生じさせる可能性があるような特性である。ラクターゼによるラクトースの完全または部分加水分解は、この問題を取り除き、均質な質感を備える製品を提供し、結果としてより高度の受容者承認を提供する。
ラクターゼのまた別の産業上の用途は、乳汁またはヨーグルトなどのラクトース含有製品における甘味を増加させることである。そのような製品におけるラクトースの加水分解はグルコース産生の結果として甘味の増加を生じさせるが、他方製品のカロリー値は増大しない。これとは逆に、ラクターゼの使用は、甘味を低下させることなく甘味のある乳製品での糖添加量を減少させることができる。
ラクターゼのまた別の産業上の用途は、例えばパンなどの乳成分を含有するラクトース生成物の加水分解である。ラクトースは、そのような製品に、香味を強化する、水分を保持する、褐色化を提供する、および焼き色付け特性を改良するために添加される。加水分解ラクトースシロップは、例えばクラスト色発色を強化する、フレーバーおよび芳香を改良する、質感を改質する、保管寿命を延長する、およびローフ構造を強化することに関して前途有望である。
例えばヨーグルトなどの発酵乳製品中でのラクターゼによるラクトースの加水分解は、甘味を増加させるであろう。さらに、発酵工程を開始する前にラクターゼが添加された場合、ラクターゼは酸の発生率を増加させ、そこで加工処理時間を短縮することができる。乳汁または乳汁由来製品、例えば乳清のラクターゼ処理は、そのような製品を例えばネコなどのラクトース不耐性動物用の動物飼料およびペットフードにおける用途のために好適にさせる。ラクトース加水分解は、高濃縮乳清の製造を可能にし、同時に、ラクトース欠損性患者についての上記の問題に類似する腸の問題を防止する。ラクトース加水分解乳清は、70〜75%の固体を含有するシロップを製造するために濃縮され、アイスクリーム、製パンおよび製菓製品における食品添加物として使用される。
ラクターゼは、微生物を含む極めて様々な生物から報告され、単離されてきた。ラクターゼは、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)およびバシラス属(Bacillus)のような微生物の細胞内成分であることが多い。クルイベロミセス属(Kluyveromyces)ならびに特にK.フラジリス(K.fragilis)やK.ラクティス(K.lactis)および他の酵母類、例えばカンジダ属(Candida)、トルラ属(Torula)およびトルロプシス属(Torulopsis)は酵母ラクターゼの一般的起源であるが、他方B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)または乳酸菌は細菌性ラクターゼの周知の起源である。これらの微生物に由来する数種の商業的ラクターゼ調製物、例えばMaxilact(登録商標)(K.ラクティス(K.lactis)由来、DSM社製、オランダ国デルフト)を入手できる。これらのラクターゼは、pH=6〜pH=8の間の最適pHを有するので、いわゆる中性ラクターゼである。
酵母由来中性ラクターゼは、ラクトースフリーまたは低乳糖乳製品を製造するために産業において使用されることが多いが、酵素処理のための使用時コストは高額であることが多い。酵素の使用時コストが相当に高額になる主要な理由は下記である:
・ 製造工場において衛生状況を維持するために、インキュベーションが低温で実施される。この温度では、産業上使用されるラクターゼは余り活性ではないので、相当に高用量で添加されなければならない。
・ 現在使用されているラクターゼは、ラクターゼとのインキュベーションの後期においてその生成物、特にガラクトースによって阻害される。低い残留ラクトース濃度を備える生成物が必要とされる場合は、ガラクトース蓄積に起因する活性の低下を補償するために余分の酵素が添加されなければならない。
・ 現在使用されているラクターゼは、乳汁中では相当に低い比活性を有するので、用途において高い酵素用量の使用を必要とする。
結果として、低乳糖およびラクトースフリー生成物を製造するための酵素の用量およびコストは相当に高くなる。そこで、上述した欠点の内の少なくとも1つを克服することができる1つまたは複数のラクターゼ変異体が必要とされることは明白である。
[発明の概要]
本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチド、つまりラクターゼ変異体に関する。本発明のラクターゼ変異体は、参照ポリペプチドと比較して1つ以上の改良された特性を有していてよいが、参照ポリペプチドは、典型的にはラクターゼ活性を有する。参照ポリペプチドは、野生型ラクターゼ、例えばK.ラクティス(K.lactis)由来のラクターゼであってよい。本発明の変異体ポリペプチドは、「ラクターゼ変異体」、「改良されたラクターゼ」などと呼ぶことができる。低乳糖またはラクトースフリー乳製品の製造におけるそのようなラクターゼの使用時コストの低下を生じさせる特性を有するクルイベロミセス属(Kluyveromyces)中性ラクターゼの変異体が生成された。乳製品製造のために適切な改良された特性を備えるラクターゼ変異体は以下の:
・ ONPGへのより高い比活性;
・ ラクトースへのより高い比活性;
・ 低温での乳汁中のラクトースへのより高い活性;
・ ガラクトース阻害の低下;および/または
・ 乳汁中のより高いGOS産生を示すことができる。
これらの改良点の各々は、参照ポリペプチドと比較して決定することができる。さらに、本発明の変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して少なくとも2つまたは3つまたは4つの改良された特性を有する場合がある。表1は、改良された特性の組み合わせの例を提供する。
そこで本発明によると、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、上記変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して1つ以上の変化した特性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドが提供される。
本発明はさらに:
・ 本発明の変異体をコードする核酸配列;
・ 好適な発現宿主においてラクターゼの発現を指示できる1つ以上の制御配列に機能的に連結したそのような核酸配列を含む核酸構築物;
・ そのような核酸構築物を含む組換え発現ベクター;および
・ そのような発現ベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。
本発明はさらに、ラクターゼの産生を導く条件下で本発明の宿主細胞を培養する工程およびラクターゼを回収する工程を含む、ラクターゼを生成するための方法に関する。
さらに、本発明は、ラクターゼポリペプチド変異体を生成する方法であって、

ラクターゼ活性を有するポリペプチドを選択する工程;
b)アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する工程であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される工程;
c)任意選択的に、b)に規定した1つ以上のまた別のアミノ酸を置換する工程;
d)工程a)〜c)の結果として生じる変異体を調製する工程;
e)その変異体の特性を決定する工程;および
f)配列番号2に規定された配列を含むラクターゼに比較して変化した特性を有する変異体を選択する工程および配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体を選択し、それによりラクターゼポリペプチド変異体を生成する工程を含む方法に関する。
さらに、本発明は:
− 本発明の変異体を含む、または本発明の方法によって入手できる組成物;
− 乳製品の調製における本発明による変異体ラクターゼまたは本発明の組成物の使用;
− 乳製品を製造するための方法であって、有効量の本発明による変異体ラクターゼまたは本発明の組成物を乳汁に添加する工程および適切なまた別の乳製品製造工程を実施する工程を含む方法;および
− そのような方法または使用によって入手できる乳製品に関する。
[配列表の簡単な説明]
配列番号1は、K.ラクティス(K.lactis)由来の野生型ラクターゼ遺伝子配列の核酸配列を規定している。
配列番号2は、K.ラクティス(K.lactis)由来のラクターゼ配列のアミノ酸配列を規定している。
[発明の詳細な説明]
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、用語「含む」、「含有する」および「有する」ならびに例えば「含む」、「含んでいる」、「含有する」および「含有している」などの変形は包括的に解釈すべきである。つまり、これらの用語は、状況が許す場合は、詳細には言及されていない他の要素または整数を含める可能性があることを伝えることが意図されている。
冠詞の「1つの」は、本明細書では1つまたは2つ以上(すなわち、1つまたは少なくとも1つ)の冠詞の文法上の対象を言及するために使用される。例えば、「1つの要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する場合がある。
本明細書では、「ラクターゼ」または「β−ガラクトシダーゼ(E.C:3.2.1.23)」は、ラクトース(二糖)からその成分単糖類であるグルコースおよびガラクトースへの加水分解を触媒する酵素である。ガラクト−オリゴ糖(GOS)は、ラクターゼ酵素のトランスフェラーゼ活性に起因して反応中に形成される可能性がある。
ラクターゼは、若年哺乳動物の腸内、植物、真菌、酵母および細菌内で見いだされる。
ラクターゼは、中性または酸性ラクターゼであってよい。好ましい実施形態では、本発明の変異体ポリペプチドは、中性ラクターゼ活性を有する、すなわちpH=6〜pH=8の最適pHを有する。
ラクターゼは、細胞内または細胞外産生ラクターゼであってよい。好ましい実施形態では、ラクターゼは、細胞内産生ラクターゼである。
ラクターゼをコードする遺伝子またはcDNA、例えば本発明の変異体は、クローン化して宿主生体中で過剰発現させられてよい。ラクターゼ過剰発現のために使用できる周知の宿主生物には、アスペルギルス属(Aspergillus)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、トリコデルマ属(Trichoderma)、大腸菌(Escherichia coli)、ピチア属(Pichia)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、アカパンカビ属(Neurospora)、ラクトコッカス属(Lactococcus)またはバシラス属(Bacillus)が含まれる。
本明細書では、本発明の変異体を達成するために置換することのできる位置は、K.ラクティス(K.lactis)ラクターゼである配列番号2を参照して規定される。
本発明は、ラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較してラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドに関する。参照ポリペプチドは、典型的には、例えば配列番号2または関連配列のラクターゼなどのラクターゼ活性を有する野生型ポリペプチドであってよい。参照ポリペプチドは、さらにまた親ポリペプチドまたは比較ポリペプチドと言うこともできる。
より具体的には、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して1つ以上の変化した特性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドに関する。
野生型参照ポリペプチドは、任意の好適な生物から入手されてよい。典型的には、野生型参照ポリペプチドは、微生物、好ましくはその中でラクターゼが自然に生成される微生物から入手されてよい。
そのような微生物には、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)などの酵母が含まれる。参照ポリペプチドは、K.ラクティス(K.lactis)野生型配列であってよい。
好ましくは、参照ポリペプチドは、配列番号2に規定したラクターゼである。
本明細書に記載した変異体ポリペプチドは、典型的には非天然型ポリペプチドである。
そこで本発明によると、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチド(例えば、配列番号2のポリペプチド)と比較して1つ以上の変化した特性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドが提供される。
変異体ポリペプチドは、典型的には参照ポリペプチドと比較して、特に乳製品を調製するための方法における変異体ポリペプチドの使用に適切な特性に関して、少なくとも1つの改良された特性を有するであろう。
特に、改良された特性は、活性もしくは比活性に、またはガラクトース阻害の低下に、または乳汁中のより高いGOS産生に関連する場合がある。
表1は、本発明の変異体ラクターゼの特異的特性に影響を及ぼす位置を規定している。
Figure 0006632526
本発明の変異体ポリペプチドは、ONPGへのより高い比活性を示すことができる。
本発明はそこで、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してONPGへより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸415、483、619、621、622または633のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してONPGへより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。好ましいのは、アミノ酸415および/または619のいずれかに対応する1つのアミノ酸残基の少なくとも1つの置換であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される置換である。
より好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、T415C、T415A、A483S、V619I、1621V、M622LまたはT633Gから選択された少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してONPGへより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。好ましいのは置換T415Cおよび/またはV619Iであり、上記の位置は配列番号2を参照して規定される。
本発明のまた別の変異体ポリペプチドは、ラクトースへのより高い比活性を示すことができる。ラクトースは乳製品中のラクターゼの天然基質であるので、変異体ポリペプチドのより高い比活性は必要とされる酵素の用量の低下をもたらすことができ、このため低コストの処理をもたらすことができる。用途において酵素用量を減少させることによって、さらに添加される副活性の量も減少するので、このため最終乳製品のより高い品質を期待することができる。
本発明はそこで、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してラクトースへのより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸415、440または483のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してラクトースへのより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。好ましいのは、アミノ酸415および/または483のいずれか(この参照は置換の組み合わせを含むラクターゼ変異体の分析に基づく)に対応する1つのアミノ酸残基の少なくとも1つの置換であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される置換である。
より好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、T415C、T415A、Y440FまたはA483Sから選択された少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してラクトースへのより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。好ましいのは置換T415A、T415Cおよび/またはA483S(この参照は置換の組み合わせを含むラクターゼ変異体の分析に基づく)であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される。
いっそうより好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも2つ、3つ、4つまたは5つの置換を含むアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較してラクトースへのより高い比活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
そのような突然変異体の例は、表5に記載したように、突然変異体16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36である。
本発明のさらにまた別の変異体ポリペプチドは、好ましくは低温(好ましくは、上記低温は4〜12℃の範囲内にある)で乳汁中のラクトースにより高い活性を示す可能性がある。低温ではラクターゼが乳汁中で使用されることが多いので、この特定の用途において変異体ポリペプチドの増加した活性は酵素用量の減少をもたらすことができ、そこでコストを減少させることができる。さらに、変異体ポリペプチドのより高い活性は、乳汁の加工処理時間の短縮をもたらすことができ、このため可能性のある微生物腐敗のリスクを減少させることができる。
本発明はそこで、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体は、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、440、619、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。好ましいのは、アミノ酸440に対応する(少なくとも)1つのアミノ酸残基の少なくとも1つの置換であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される(この参照は置換の組み合わせを含むラクターゼ変異体の分析に基づく)置換である。好ましい置換の組み合わせは、位置440および619での置換である。
より好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、D233V、D257G、A258T、N263S、K274E、N284S、E297G、Y440F、V619I、T633G、L862VまたはA1004Pから選択された少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。好ましいのは、(少なくとも)Y440Fの1つの置換であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される(この参照は置換の組み合わせを含むラクターゼ変異体の分析に基づく)置換である。好ましい置換の組み合わせは、Y440F+V619Iである。
アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、440、619、633、862または1004のいずれかに対応する1つのアミノ酸残基の少なくとも1つの置換の存在であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される存在は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドを入手するためには十分であり、さらに低温での乳汁中のラクトースへの増加した活性を示しているけれども、本明細書では二重または三重突然非変異体ポリペプチド変異体もまた低温での乳汁中のラクトースへの増加した活性を示すことが証明されている。
結果として、本発明は、さらにラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定した配列とアラインメントされた場合に、263、274または284(より好ましくはN263S、K274EまたはN284S)から選択される少なくとも2つの置換を含む1つのアミノ酸配列を含む、配列番号2に規定した配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、1つのアミノ酸配列を含み、上記位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明はさらに、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定した配列とアラインメントされた場合に、位置263、274および284での置換(好ましくは上記置換は位置N263S、K274EおよびN284Sである)を含む、配列番号2に規定した配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、1つのアミノ酸配列を含み、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明はさらに、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定した配列とアラインメントされた場合に、位置257および297での置換(好ましくは上記置換はD257GおよびE297Gである)を含む、配列番号2に規定した配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、1つのアミノ酸配列を含み、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明はさらに、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも3つ、4つまたは5つの置換を含むアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低温で乳汁中のラクトースへの増加した活性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
そのような突然変異体の例は、表5に記載したように、突然変異体15、17、18、19、20、21または22である。
本発明のさらにまた別の変異体ポリペプチドは、ガラクトース阻害の低下を示すことができる。ガラクトース阻害は、ラクトース濃度が低くてガラクトース濃度が高い場合には、より後の時点にラクトースの緩徐な加水分解を引き起こす。そこで、特にラクトース濃度が0.5g/Lより低い場所で乳製品を製造したいと考える場合は、低下したガラクトース阻害を示すラクターゼ酵素を有することが望ましいであろう。
本発明はそこで、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低下したガラクトース阻害を示しており、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸619、621または622のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低下したガラクトース阻害を示しており、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
より好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、V619I、1621VまたはM622Lから選択された少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して低下したガラクトース阻害を示しており、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明のさらにまた別の変異体ポリペプチドは、乳汁中の増加したGOS産生を示すことができる。GOS(ガラクト−オリゴ糖)は、結腸中の有益な細菌の増殖および/または活性を刺激することによって宿主に有益な影響を及ぼす非消化性食品添加物であると規定されているプレバイオティクスである。GOSを調製するために全てのラクターゼが同等に良好に適合するわけではない。乳汁中に存在する低ラクトース濃度(<50g/L)でGOSを蓄積させることのできるまた別のラクターゼ酵素を有するのが望ましいであろう。
本発明はそこで、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して乳汁中の増加したGOS産生を示し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸619または622のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して乳汁中の増加したGOS産生を示し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
より好ましくは、本発明は、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、V619IまたはM622Lから選択された少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性(例えば、配列番号2のポリペプチド)を有する参照ポリペプチドと比較して乳汁中の増加したGOS産生を示し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明の変異体ラクターゼは、さらに上記に規定した以外の位置で親に比較して追加の修飾、例えば、1つ以上の追加の置換、付加または欠失を含むことができる。本発明の変異体は、この種類の修飾の様々なタイプの組み合わせを含むことができる。変異体は、1つ、2つ、3つ、4つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30以上のそのような修飾(全部が同一体であってよい、または異なるタイプの修飾であってよい)を含むことができる。典型的には、追加の修飾は置換であってよい。本発明はそこでさらに、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して1つ以上の変化した特性を有し、上記変異体ポリペプチドは、上記に規定した以外の追加の置換を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明による変異体(例えば、表1または表2に規定した1つ以上の置換を有する変異体)は、配列番号2のラクターゼなどの参照ラクターゼポリペプチドと少なくとも約60%、65%、70%、75%または80%の相同性/同一性を、例えば親ポリペプチドとの少なくとも約85%の相同性、例えば親ポリペプチドとの少なくとも約90%の相同性、親ポリペプチドとの少なくとも95%の相同性、親ポリペプチドとの少なくとも約98%の相同性または親ポリペプチドとの少なくとも約99%の相同性を有していてよい。そのような変異体は、典型的には、表1または表2に規定した1つ以上の置換または一連の置換を有するであろう。
そこで本発明はさらに、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、その変異体が、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して1つ以上の変化した特性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも80%の配列同一性を有する変異体ポリペプチドを提供する。
本発明の変異体は、典型的には、ラクターゼ活性を保持するであろう。すなわち、本発明の変異体は、典型的にはラクトースからグルコースおよびガラクトースへ変換させることができる、または本発明の変異体は、典型的にはラクトースからグルコースおよびガラクトースへ変換させてGOSを形成することができるであろう。本発明の変異体は、典型的にはラクトースの酵素的変換を実施することができ、例えば乳汁またはヨーグルトなどの乳製品の調製において使用できる変異体である。
好ましくは、本発明の変異体は、典型的にはその変異体がそれに由来する参照ラクターゼポリペプチドと比較して改良された特性を示すであろう。そのような改良された特性は、典型的には、下記に規定したように、例えば変異体が乳製品を調製するための方法において使用されなければならない場合に重要である特性であろう。
参照ラクターゼに関して改良されている特性を示すポリペプチド変異体は、典型的には変異体が、下記に規定したように、例えば乳製品を製造するための方法において使用するためにより適合するように、関連特性における測定可能な減少または増加を示すポリペプチド変異体である。
特性は、そこで少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%減少させることができる。または、特性は、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%または少なくとも1,000%増加させることができる。この状況における減少率または増加率は、参照ラクターゼポリペプチドと比較した減少率または増加率を表す。当業者には、そのような変化率を測定できることは周知である。変化率とは、参照ラクターゼと変異体ラクターゼの活性の比較である。
本明細書に記載した変異体は、用語「本発明によるポリペプチド」または「本発明による変異体」に集合的に含まれる。
用語「ペプチド」および「オリゴペプチド」は、(一般に認識されているように)同義語と見なされ、各用語は状況がペプチジル結合によって結合された少なくとも2つのアミノ酸の鎖を示すことを要求するときに互換的に使用できる。用語「ポリペプチド」は、本明細書では約7つより多いアミノ酸残基を含有する鎖に対して使用される。本明細書の全部のオリゴペプチドおよびポリペプチドの式または配列は、左から右へ、およびアミノ末端からカルボキシ末端への方向に記述される。本明細書で使用するアミノ酸の一文字コードは、当分野において一般に公知であり、Sambrook,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd,ed.Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)の中に見いだすことができる。
本発明のポリペプチドは、単離形態、例えば実質的に単離された形態にあってよい。「単離」ポリペプチドまたはタンパク質は、その自然環境から取り出されたポリペプチドまたはタンパク質であることが意図されている。例えば、宿主細胞中で発現した組換え生成ポリペプチドおよびタンパク質は、任意の好適な技術によって実質的に生成されている組換えポリペプチドと同様に、本発明のために単離されていると考えられる。本発明によるポリペプチド変異体は、当分野において公知の方法によって組換え細胞培養から回収および精製することができる。
本発明のポリペプチドには、化学的合成方法の生成物、および例えば、細菌、酵母、真菌、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む原核細胞または真核細胞宿主から組換え技術によって生成される生成物が含まれる。組換え生成手技において使用された宿主に依存して、本発明のポリペプチドはグリコシル化されてよい、またはグリコシル化されていなくてよい。さらに、本発明のポリペプチドは、さらに、一部の場合には宿主媒介性工程の結果として初期修飾メチオニン残基を含む場合がある。
本発明はさらに、本発明によるポリペプチド変異体の生物活性断片を特徴とする。そのような断片は、用語「本発明の変異体」の中に含まれると考えられる。
本発明のポリペプチド変異体の生物活性断片には、全長タンパク質より小数のアミノ酸を含むが、対応する全長タンパク質の少なくとも1つの生物活性を提示する本発明の変異体タンパク質のアミノ酸配列と十分に同一、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれる。典型的には、生物活性断片は、本発明の変異体タンパク質の少なくとも1つの活性を備えるドメインまたはモチーフを含む。本発明のタンパク質の生物活性断片は、例えば、長さが10、25、50、100アミノ酸以上であるポリペプチドであってよい。さらに、タンパク質の他の領域が欠失している他の生物活性部分は、組換え技術によって調製し、本発明のポリペプチドの自然形の1つ以上の生物活性について評価することができる。
典型的には、本発明のタンパク質断片は、本明細書に規定した1つ以上の置換を含むであろう。
本発明は、さらに上記の生物活性断片(その生物活性断片はそれ自体が本発明の変異体である)をコードする核酸断片も特徴とする。
本発明はさらに、本発明の変異体ポリペプチドをコードする核酸配列も提供する。本発明はそこで、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドをコードする核酸配列であって、その変異体は、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2(例えば、配列番号2のポリペプチド)を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して1つ以上の変化した特性を有し、および上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する核酸配列をさらに提供する。
本発明はさらに、本発明のポリペプチド変異体の少なくとも1つの機能的ドメインをコードする単離ポリヌクレオチドに関する。典型的には、そのようなドメインは、本明細書に規定した1つ以上の置換を含むであろう。
本発明の1つの実施形態では、本発明による核酸配列は1つのポリペプチドをコードするが、そのポリペプチドは親ラクターゼと比較して1つ以上の短縮および/または少なくとも1つの置換、欠失および/または1つのアミノ酸の挿入を有するアミノ酸配列を含む変異体である。しかしそのようなポリペプチドは、典型的には本明細書に記載した1つ以上の置換を含むであろう。
本明細書で使用する用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、本明細書に記載した変異体をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を意味する。遺伝子は、コーディング配列、非コーディング配列、イントロンおよび調節配列を含んでいてよい。すなわち、本明細書で使用する用語「遺伝子」は、本明細書に規定した単離核酸分子を意味する場合がある。したがって、本出願の状況における用語「遺伝子」は、天然型配列だけを意味する訳ではない。
本発明の核酸分子は、本明細書に提供した配列情報と組み合わせると、当業者には周知の標準的な分子生物学技術を使用して生成することができる。
例えば、標準合成技術を使用すると、必要とされる核酸分子をde novo合成することができる。そのような合成方法は、典型的には自動化法であろう。
または、本発明の核酸分子は、存在する核酸分子、例えば野生型核酸分子の特定部位突然変異誘発を使用することによって生成することができる。特定部位突然変異誘発は、当業者には周知の多数の技術を使用して実施することができる。
1つのそのような方法では、本明細書で単に例として言及すると、所望の置換をコードするオリゴヌクレオチド「プライマー」を使用してプラスミド鋳型上でPCRが実施される。プライマーは新規に合成されたストランドの末端であるので、鋳型DNAストランドを結合する際の第1サイクル中にはミスマッチが生じるはずであり、その第1ラウンドの後には、プライマーベースの(突然変異を含有する)ストランドの濃度は元の鋳型と同等にあるであろう。連続サイクル後には、ストランドは指数関数的に成長し、25サイクル後には8,000,000:1の範囲内で元の未突然変異ストランドより数が多くなり、結果として突然変異増幅断片のほぼ均質な溶液を生じさせるであろう。鋳型DNAは、次に、メチル化DNA、例えばDpn1だけを切断する制限酵素を使用して酵素的消化によって除去することができる。アルカリ溶菌法によるプラスミド調製から引き出される、このためメチル化されている鋳型はこの工程で破壊されるが、突然変異プラスミドは、in vitroで生成されたために保持され、その結果としてメチル化されない。
そのような方法では、(本明細書で記載した置換をコードする)2つ以上の突然変異は、例えば、各々が1つ以上のミスマッチを含む1つ以上のオリゴヌクレオチドを使用することによって、単一PCR反応において核酸分子内に導入することができる。または、2つ以上の突然変異は、2回以上のPCR反応を実施することによって核酸分子内に導入することができるが、各反応は2つ以上の突然変異を導入するので、変化した核酸が連続的な反復法で核酸内に導入される。
本発明の核酸は、鋳型としてのcDNA、mRNA、またはゲノムDNAおよび上記に記載した特定部位突然変異誘発技術による適切なミスマッチのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して生成することができる。この方法で引き出された核酸分子は、適切なベクター内にクローン化し、DNA配列分析によって特徴付けることができる。
本発明の核酸配列は、親ラクターゼと比較して1つ以上の欠失、すなわちギャップを含んでいてよい。そのような欠失/ギャップは、さらに適切なオリゴヌクレオチドを使用する特定部位突然変異誘発を使用して生成することもできる。そのような欠失を生成するための技術は、当業者には周知である。
さらに、本発明によるヌクレオチド配列に対応する、または本発明によるヌクレオチド配列にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって、例えば自動化DNA合成装置を使用して調製することができる。
さらに、本発明には、相補的核酸分子が含まれる。また別のヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、他のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができ、それにより安定性二本鎖を形成できるように他のヌクレオチド配列にとって十分に相補的である核酸分子である。
本発明の1つの態様は、本発明の変異体をコードする単離核酸分子、またはそれらの生物活性断片もしくはドメインならびに本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するために十分な核酸分子および例えば本発明の核酸分子を調製するためなどの核酸分子を増幅もしくは突然変異させるためのPCRプライマーとして使用するために好適なそのような核酸分子の断片に関する。
「単離ポリヌクレオチド」または「単離核酸」は、それが由来する生物の天然型ゲノム内で直接(1つは5’末端上および1つの3’末端上)隣接しているコーディング配列の両端は直接隣接していないDNAまたはRNAである。そこで、1つの実施形態では、単離核酸には、コーディング配列に直接隣接している5’非コーディング配列(例、プロモーター)の一部または全部が含まれる。このためこの用語には、例えば、ベクター内、自己複製プラスミドもしくはウイルス内、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれている、または他の配列からは独立した別個の分子(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ処理によって生成されるcDNAまたはゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAが含まれる。この用語には、さらに(組換えDNA技術によって生成された場合は)細胞物質、ウイルス物質もしくは(化学的に合成された場合は)培養培地または化学的前駆物質もしくは他の化学薬品を実質的に含んでいない追加のポリペプチド変異体をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAもまた含まれる。さらに、「単離核酸断片」は、断片として自然に発生することはなく、自然状態では見いだされないであろう核酸断片である。
本明細書で使用する用語「ポリヌクレオチド」もしくは「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチドアナログを使用して生成されたDNAもしくはRNAのアナログを含むことが意図されている。核酸分子は、一本鎖もしくは二本鎖であってよいが、好ましくは二本鎖DNAである。核酸は、オリゴヌクレオチドアナログもしくは誘導体(例えば、イノシンもしくはホスホロチオエートヌクレオチド)を使用して合成されてよい。そのようなオリゴヌクレオチドを使用すると、例えば、変化した対合能力またはヌクレアーゼに対する増加した耐性を有する核酸を調製することができる。
本発明のまた別の実施形態は、本発明の核酸分子に対してアンチセンスである単離核酸分子を提供する。
用語「相同性」もしくは「同一性率」は、本明細書では互換的に使用する。本発明のためには、本明細書では、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性率を決定するためには、最適比較のために配列がアライメントされると規定される(例えば、ギャップは第2アミノ酸もしくは核酸配列との最適なアラインメントのために第1アミノ酸もしくは核酸の配列内に導入できる)。次に、対応するアミノ酸もしくはヌクレオチドの位置でアミノ酸もしくはヌクレオチド残基が比較される。第1配列内の位置が第2配列内の対応する位置と同一のアミノ酸もしくはヌクレオチド残基によって占有されている場合は、その位置にある分子は同一である。2つの配列間の同一性率は、配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性率(%)=同一位置の数/位置の総数(すなわち、重複する位置)×100)。好ましくは、2つの配列は長さが同一である。
配列比較は、比較対象の2つの配列の全長にわたって、または2つの配列の断片にわたって実施することができる。典型的には、比較は比較対象の2つの配列の全長にわたって実施される。しかし、配列同一性は、例えば、20、50、100個以上の隣接アミノ酸残基の領域にわたって実施することができる。
当業者であれば、2つの配列間の相同性を決定するために数種のコンピュータプログラムを利用できるという事実を承知しているであろう。例えば、2つの配列間の配列比較および同一性率の決定は、数学アルゴリズムを使用して実施できる。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間もしくは核酸配列間の同一性率は、Blosum 62マトリックスもしくはPAM250マトリックスのいずれかおよび16、14、12、10、8、6もしくは4のギャップ重量ならびに1、2、3、4、5もしくは6の長さ重量を用いるAccelrys GCGソフトウエアパッケージ(http://www.accelrys.com/products/gcg/で入手できる)内のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970))アルゴリズムを使用して決定される。当業者であれば、これらの異なるパラメータ全部はほんのわずかに異なる結果を生じさせるであろうが、2つの配列の全同一性率は異なるアルゴリズムを使用した場合でも有意には変わらないことを認識するであろう。
本発明のタンパク質配列もしくは核酸配列は、さらに例えば、他のファミリーメンバーもしくは関連配列を同定するために公衆データベースに対して検索を実施するための「クエリー配列」として使用することができる。そのような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のBLASTNおよびBLASTPプログラム(バージョン2.0)を使用して実施できる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子と相同であるアミノ酸配列を得るためにBLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実施できる。比較目的でギャップを入れたアラインメントを得るためには、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389−3402に記載されたようにギャップ付きBLASTを利用できる。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合は、各プログラム(例えば、BLASTPおよびBLASTN)のデフォルトパラメータを使用できる。全米バイオテクノロジー情報センターのホームページ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照されたい。
本発明はさらに、ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築物であって、その変異体は、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、アミノ酸233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む1つのアミノ酸配列を有し、上記の位置は配列番号2を参照して規定されており、その変異体はラクターゼ活性を有する参照ポリペプチド((例えば、配列番号2のポリペプチド))と比較して1つ以上の変化した特性を有し、上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有しており、および上記核酸配列は、好適な発現宿主においてラクターゼの発現を指令することができる1つ以上の制御配列に機能的に連結している核酸構築物を提供する。
本発明のまた別の態様は、本発明の変異体ラクターゼポリペプチドをコードする核酸配列を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。
本明細書で使用する用語「ベクター」は、それが連結しているまた別の核酸を輸送できる核酸分子を意味する。ベクターの1つのタイプは、その中に追加のDNAセグメントをライゲートできる環状二本鎖DNAループを意味する「プラスミド」である。ベクターのまた別のタイプは、ウイルスベクターであって、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム内にライゲートすることができるウイルスベクターである。特定のベクターは、その中に特定のベクターが導入される宿主細胞内で自己複製することができる(例えば、細菌性複製起源を有する細菌性ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内に導入されると宿主細胞のゲノム内に統合され、それにより宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、特定のベクターが機能的に連結している遺伝子の発現を指令することができる。そのようなベクターを本明細書では「発現ベクター」と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術において有用である発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。用語「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるので、本明細書では互換的に使用できる。しかし、本発明は、発現ベクターのそのような他の形態、同等の機能に役立つ、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠損性のレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴性ウイルス)を含むことが意図されている。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内での核酸を発現させるために好適な形態にある本発明の核酸を含むが、これは組換え発現ベクターが、発現させるべき核酸配列に機能的に連結している発現のために使用すべき宿主細胞に基づいて選択された1つ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内では、「機能的に連結した」は、当該のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする方法(例えば、in vitro転写/翻訳系内またはベクターが宿主細胞内に導入された場合は宿主細胞内)で調節配列に連結していることを意味することが意図されている。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよびその他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図されている。そのような調節配列は、例えば、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。調節配列には、多数のタイプの宿主細胞内でのヌクレオチド配列の構成的発現を指令する調節配列および特定の宿主細胞内でのみヌクレオチド配列の発現を指令する調節配列(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。当業者であれば、発現ベクターの設計が形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存する可能性があることを理解するであろう。本発明の発現ベクターは、それにより本明細書に記載した核酸によってコードされるタンパク質もしくはペプチドを生成するために宿主細胞内に導入することができる(例えば、配列番号2のラクターゼ変異体、例えば機能的同等物もしくは断片、または1つ以上のそのような変異体を含む融合タンパク質)。
本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞もしくは真核細胞内で本発明の変異体タンパク質を発現させるために設計することができる。例えば、本発明の変異体タンパク質は、例えば大腸菌(E.coli)などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞または哺乳動物細胞中で発現させることができる。好適な宿主細胞は、さらにGoeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)において考察されている。または、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用してin vitroで転写および翻訳することができる。
本発明において有用な発現ベクターには、染色体、エピソームおよびウイルス由来ベクター、例えば細菌性プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体要素、例えばバキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽ジフテリアウイルス、仮性狂犬病およびレトロウイルスなどのウイルス由来のベクター、ならびにそれらの組み合わせに由来するベクター、例えばコスミドおよびファージミドなどのプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝要素由来のベクターなどが含まれる。
DNAインサートは、適切なプロモーター、例えば少数を挙げると、ファージラムダPLプロモーター、大腸菌(E.coli)lac、trpおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーターならびにレトロウイルスLTRsのプロモーターに機能的に連結しなければならない。他の好適なプロモーターは、当業者には公知であろう。特定の実施形態では、糸状菌内のラクターゼの高発現レベルを指令できるプロモーターが好ましい。そのようなプロモーターは、当分野において公知である。発現構築物は、転写の開始、終了のための部位、および転写領域内では、翻訳のためのリボソーム結合部位を含有している可能性がある。構築物により発現した成熟転写産物のコーディング部分は、翻訳対象のポリペプチドの開始時の翻訳開始AUGおよび終了時の適切に配置された終止コドンを含むであろう。
ベクターDNAは、従来型形質転換またはトランスフェクション技術によって原核細胞内または真核細胞内へ導入することができる。本明細書で使用する用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、異種核酸(例えば、DNA)を宿主細胞内へ導入するための、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈降法、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、形質導入、インフェクション、リポフェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクションもしくはエレクトロポレーションを含む当分野において認識された様々な技術を意味することが意図されている。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするために好適な方法は、Sambrook,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd,ed.Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989),Davis et al.,Basic Methods in Molecular Biology(1986)ならびにその他の実験マニュアルの中に見いだすことができる。
哺乳動物細胞の安定的トランスフェクションのためには、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞のほんの小さな部分しか異種DNAをそれらのゲノム内に統合できないことが公知である。これらの要素を同定および選択するためには、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子は、一般に当該の遺伝子と一緒に宿主細胞内に導入される。好ましい選択可能なマーカーには、薬物、例えばG418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートに耐性を付与するマーカーが含まれる。選択可能なマーカーをコードする核酸は、本発明の変異体タンパク質をコードするベクターと同一ベクター上で宿主細胞内に導入できる、または別個のベクター上に導入できる。導入された核酸で安定的にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定できる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んでいる細胞は生残するであろうが、他の細胞は死滅する)。
原核細胞内でのタンパク質の発現は、融合もしくは非融合タンパク質の発現を指令する構成的もしくは誘導性プロモーターを含有するベクターを用いて大腸菌(E.coli)内で実施されることが多い。融合ベクターは、その中でコードされたタンパク質、例えば組換えタンパク質のアミノ末端に多数のアミノ酸を加える。そのような融合ベクターは、典型的には3つの目的:1)組換えタンパク質の発現を増加させる;2)組換えタンパク質の溶解度を増加させる;および3)親和性精製におけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を助けるために役立つ。融合発現ベクター内では頻回に、タンパク質分解性切断部位は、融合タンパク質の精製に引き続いて融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能にするために融合部分と組換えタンパク質との接合部で導入される。
上述のように、発現ベクターは、好ましくは選択可能なマーカーを含有するであろう。そのようなマーカーには、ジヒドロ葉酸還元酵素もしくは真核細胞培養に対するネオマイシン耐性および大腸菌(E.coli)および他の細菌内で培養するためのテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性が含まれる。適切な宿主の代表的な例には、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセス菌(Streptomyces)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)および特定のバシラス種、例えば枯草菌(B.subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バシラス・リケニフォルミスス(B.licheniformis)およびB.クラウシイ(B.clausii);真菌細胞、例えばアスペルギルス種(Aspergillus)、例えば、A.ニガー(A.niger)、A.オリザエ(A.oryzae)およびA.ニドランス(A.nidulans)および/またはフザリウム種(Fusarium)、例えば、F.ベネナツム(F.venenatum)および/またはトリコデルマ種(Trichoderma)、例えば、T.レーゼイ(T.reeser);酵母細胞、例えばクルイベロミセス種(Kluyveromyces)、例えばK.ラクティス(K.lactis)およびK.マルキシアヌス(K.marxianus)および/またはピチア種(Pichia)、例えばP.パストリス(P.pastoris)および/またはサッカロミセス種(Saccharomyces)、例えばS.セレビジアエ(S.cerevisiae)および/またはハンセヌラ種(Hansenula)、例えば、H.ポリモルファ(H.polymorpha);昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9;動物細胞、例えばCHO、COSおよびBowes黒色腫;ならびに植物細胞が含まれる。上述した宿主細胞のために適切な培養培地および培養条件は、当分野において公知である。
細菌内で使用するために好ましいベクターは、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/074468(A1−3)号パンフレットに開示されている。他の好適なベクターは、当業者であれば容易に明らかになるであろう。
本発明において使用するために好適な細菌性プロモーターは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/074468(A1−3)号パンフレットに開示されている。
本発明の変異体をコードするDNAの高等真核細胞による転写は、ベクター内にエンハンサー配列を挿入する工程によって増加させることができる。エンハンサーは、所定の宿主細胞タイプ内でプロモーターの転写活性を増加させるために作用する、通常は約10〜300bpのDNAのシス作用性要素である。エンハンサーの例には、bp100〜270で複製起源の後側に位置するSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起源の後側上のポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。
小胞体の内腔内、細胞周辺腔内または細胞外環境内へ翻訳タンパク質を分泌させるためには、適切な分泌シグナルを発現したポリペプチド内に組み込むことができる。シグナルは、ポリペプチドにとって内因性であってよい、または異種シグナルであってよい。
本発明の変異体は、追加の異種機能領域、例えば分泌シグナルを含むことができるような形態で発現させられてよい。本発明の変異体はさらに、例えば、精製中またはその後の取扱いおよび貯蔵中に宿主細胞内での安定性および残留を改良するためにポリペプチドのN末端に加えられた追加のアミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸をさらに含んでいてよい。さらに、例えばヒスチジン残基またはT7タグの添加によって精製を容易にするために、ペプチド成分が本発明の変異体に加えられてよい。
本発明の変異体、例えば本発明のタンパク質もしくはそれらの機能的同等物、例えばそれらの生物活性部分および断片は、融合タンパク質を形成するために非変異体ポリペプチド(例えば、異種アミノ酸配列)に機能的に連結することができる。これに関連する「非変異体ポリペプチド」は、本発明の変異ラクターゼと実質的に同種ではないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。
融合タンパク質内で、本発明の変異体は、本発明のポリペプチドの全長配列または生物活性断片に対応することができる。1つの好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、少なくとも2つの生物活性部分を含む。融合タンパク質内で、用語「機能的に連結している」は、変異体ポリペプチドおよび非変異体ポリペプチドが相互にフレーム単位で融合していることを示すことが意図されている。非変異体ポリペプチドは、変異体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合させることができる。
変異体ラクターゼの発現および分泌は、融合タンパク質の形態で変異体を発現させることによって強化することができる。これに関連して、核酸配列は、ラクターゼを含む融合タンパク質をコードすることができる。より詳細には、融合パートナーは、グルコアミラーゼまたはその断片であってよい。1つの実施形態では、ラクターゼまたはその融合タンパク質は、宿主細胞膜を越えて分泌される。
例えば、1つの実施形態では、融合タンパク質は、変異体配列がGST配列のC末端に融合している融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、本発明による組換え変異体の精製を促進できる。別の実施形態では、融合タンパク質は、そのN末端で異種シグナル配列を含有する本発明の変異体である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物および酵母宿主細胞)では、本発明の変異体の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用によって増加させることができる。
また別の例では、バキュロウイルスエンベロープタンパク質のgp67分泌配列は、異種シグナル配列として使用できる(Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.,John Wiley & Sons,1992)。真核生物異種シグナル配列の他の例には、メリチンおよびヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列が含まれる(Stratagene;La Jolla,California)。さらにまた別の例では、有用な原核生物異種シグナル配列にはphoA分泌シグナル(Sambrook et al.,上記)およびタプロテインA分泌シグナル(Pharmacia Biotech;ニュージャージー州ピスカタウェイ)が含まれる。
シグナル配列を使用すると、本発明の分泌および単離を促進することができる。シグナル配列は、典型的には一般に1つ以上の切断事象において分泌中に成熟タンパク質から切断される疎水性アミノ酸のコアを特徴とする。そのようなシグナルペプチドは、それらが分泌経路を通過するにつれて成熟タンパク質からのシグナル配列の切断を可能にするプロセッシング部位を含有する。シグナル配列は、例えば、その中に発現ベクターが形質転換される真核細胞宿主からなどの変異体の分泌を指令することができ、さらにシグナル配列は次に引き続いて、または同時に切断することができる。本発明の変異体は、次に、公知の方法によって細胞外培地から容易に精製することができる。または、シグナル配列は、例えばGSTドメインを用いて精製を促進する配列を使用して当該の変異体に連結させることができる。そこで、例えば、本発明の変異体をコードする配列は、本発明の融合変異体の精製を促進する、ペプチドをコードする配列などのマーカー配列に融合させることができる。本発明のこの態様の特定の好ましい実施形態では、マーカー配列は、特にpQEベクター(Qiagen社)中で提供されるタグなどのヘキサ−ヒスチジンペプチドであるが、それらの多くは市販で入手できる。Gentz et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−3824(1989)に記載されているように、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは融合タンパク質の便宜的な精製を提供する。HAタグは、例えばWilson et al.,Cell 37:767(1984)によって記載されている、インフルエンザ・ヘマグルチニン(influenza hemaglutinin)タンパク質に由来するエピトープに対応する、精製のために有用なまた別のペプチドである。
本発明の融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術によって生成できる。例えば、様々のポリペプチド配列をコードするDNA断片は、従来技術にしたがってフレーム単位で、例えばライゲーションのための平滑末端もしくは付着末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、望ましくない接合を回避するために適切なアルカリホスファターゼ処理としての相補末端の充填および酵素的ライゲーションを使用することによって一緒にライゲートされる。また別の実施形態では、融合遺伝子は、自動化DNA合成装置を含む従来型技術によって合成することができる。または、遺伝子断片のPCR増幅は、キメラ遺伝子配列を生成するために引き続いてアニーリングおよび再増幅することのできる2つの連続遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じさせる、アンカープライマーを使用して実施することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.John Wiley & Sons:1992を参照されたい)。さらに、すでに融合成分(例えば、GSTポリペプチド)をコードする多数の発現ベクターは市販で入手できる。変異体コーディング核酸は、融合成分が上記変異体にフレーム単位で連結されるようにそのような発現ベクター内にクローン化することができる。
用語「機能的同等物」および「機能的変異体」は、本明細書では互換的に使用する。本発明による機能的同等物は、本明細書に規定した変異体の特定機能を示すポリペプチドをコードする単離DNA断片である。このため機能的同等物は、さらに生物活性断片を含み、それら自体が本発明の用語「変異体」に含まれている。
好ましくは、本発明の機能的同等物は、本明細書に記載した1つ以上の置換を含む。しかし、機能的同等物は、上述した置換に加えて1つ以上の修飾を含む可能性がある。
機能的核酸同等物は、典型的には、サイレント突然変異またはコードされたポリペプチドの生物学的機能を変化させない突然変異を含有する可能性がある。したがって、本発明は、特定の生物活性にとって必須ではないアミノ酸残基内の変化を含有している変異体ラクターゼタンパク質をコードする核酸分子を提供する。そのような変異体タンパク質は、それらが由来するが、依然としてそれの少なくとも1つの生物活性を保持している、好ましくはそれらが少なくともラクターゼ活性を保持している親ラクターゼからのアミノ酸配列において相違する。1つの実施形態では、単離核酸分子は1つのタンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、上記タンパク質は参照アミノ酸配列(例えば配列番号2に示した配列)と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上相同である実質的に相同のアミノ酸配列を含むヌクレオチド配列である。
本明細書に規定したように、用語「実質的に相同」は、第1および第2アミノ酸もしくはヌクレオチド配列が共通ドメインを有するように、第2アミノ酸もしくはヌクレオチド配列に対して十分数もしくは最小数の同一もしくは同等(例えば、類似の側鎖を備える)アミノ酸もしくはヌクレオチドを含有する第1アミノ酸もしくはヌクレオチド配列を意味する。例えば、約60%、好ましくは65%、より好ましくは70%、いっそうより好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上の同一性を有する共通ドメインを含有するアミノ酸もしくはヌクレオチド配列は、本明細書では十分に同一であると規定されている。
当業者であれば、本発明によるヌクレオチド配列内への突然変異によって変化を導入でき、それによりそのようなタンパク質の機能を実質的に変化させることなく結果として生じるタンパク質のアミノ酸配列における変化をもたらせることを認識するであろう。
したがって、本発明のラクターゼ変異体は、好ましくは参照アミノ酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上相同である、例えば配列番号2に示した、および参照ポリペプチドの少なくとも1つの機能的活性もまた保持しているアミノ酸配列を含むタンパク質である。本発明の変異体、例えば本発明によるタンパク質の機能的同等物は、さらにまた例えば、本発明のタンパク質の突然変異体、例えばラクターゼ活性についての短縮変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによっても同定できる。1つの実施形態では、変異体の多彩なライブラリーは、核酸レベルでのコンビナトリアル突然変異誘発によって生成される。変異体の多彩なライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列内に、潜在的タンパク質配列の縮重セットが個別ポリペプチドとして、または1組の大きな融合タンパク質として(例えば、ファージディスプレイのために)発現可能であるように酵素的にライゲートすることによって生成できる。縮重オリゴヌクレオチド配列から本発明のポリペプチドの潜在的変異体のライブラリーを生成するために使用できる様々な方法が存在する。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当分野において公知である(例えば、Narang(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.(1984)Science 198:1056;Ike et al(1983)Nucleic Acid Res.11:477)。
さらに、本発明のポリペプチドをコードする配列の断片のライブラリーを使用すると、その後の変異体の選択をスクリーニングするためのポリペプチドの多彩な集団を生成することができる。例えば、コーディング配列断片のライブラリーは、当該のコーディング配列の二本鎖PCR断片を、ニッキングが1分子当たり約1回しか発生しない条件下でヌクレアーゼを用いて処理する工程、二本鎖DNAを変性させる工程、様々なニック付き産物からセンス/アンチセンス対を含むことができる二本鎖DNAを形成するためにDNAを復元する工程、S1ヌクレアーゼを用いた処理によって改質された二本鎖から一本鎖部分を取り除く工程および生じた断片ライブラリーを発現ベクター内にライゲートする工程によって生成することができる。この方法によって、当該のタンパク質のN末端および様々なサイズの内部断片をコードする発現ライブラリーを引き出すことができる。
当分野においては、短縮の点変異によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングする、および選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための数種の技術が公知である。大規模遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための高スループット分析に適用できる最も広範に使用されている技術には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクター内にクローン化すること、生じたベクターのライブラリーを用いて適切な細胞を形質転換させる工程、および所望の活性の検出が産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を促進する条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現させる工程が含まれる。ライブラリー内の機能的突然変異体の発生頻度を強化する技術であるリカーシブ・アンサンブル突然変異誘発(REM)は、本発明のタンパク質の変異体を同定するためにスクリーニングアッセイと組み合わせて使用できる(Arkin and Yourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgrave et al.(1993)Protein Engineering 6(3):327−331)。
本発明によるポリヌクレオチドの断片は、さらに機能的ポリペプチドをコードしないポリヌクレオチドもまた含んでいてよい。そのようなポリヌクレオチドは、PCR反応のためのプローブまたはプライマーとして機能することができる。
本発明による核酸は、それらが機能的または非機能的ポリペプチドをコードするかどうかとは無関係にハイブリダイゼーションプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして使用できる。ラクターゼ活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分子の使用には、特に、(1)Verma et al.,Human Chromosomes:a Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York(1988)に記載されているようなラクターゼコーディング遺伝子の正確な染色体位置を提供するためのメタファーゼ染色体スプレッドへのin situハイブリダイゼーション(例えば、FISH);(2)特定組織および/または細胞内でのラクターゼmRNAの発現を検出するためのノーザンブロット分析;および(3)所定の生物学的(例えば、組織)サンプル中でのそのようなプローブまたはプライマーにハイブリダイズできる核酸の存在を分析するための診断用ツールとして使用できるプローブおよびプライマーが含まれる。
所定の参照ラクターゼ酵素の変異体は、下記の標準手法:
− 変異体の突然変異誘発(エラー傾向がある、ドープされたオリゴ、スパイクされたオリゴ)または合成
− 例えば大腸菌(E.coli)またはK.ラクティス(K.lactis)内での形質転換
− 形質転換体の培養、形質転換体の選択
− 発現
− 任意選択的な生成および濃縮
− プライマリースクリーニング
− 改良された変異体の(例えば、特異的活性に関連付けた)同定によって入手できる。
1つの実施形態では、本発明は、本発明によるラクターゼポリペプチド変異体を生成する方法であって、
a)参照ラクターゼポリペプチドを選択する工程;
b)233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する工程であって、上記の位置は配列番号2を参照して規定される工程;
c)任意選択的に、b)に規定した1つ以上のまた別のアミノ酸を置換する工程;
d)工程a)〜c)の結果として生じる変異体を調製する工程;
e)例えば実施例の項に規定したように変異体の1つの特性を決定する工程;および
f)参照ラクターゼポリペプチドと比較して変化した特性を有する変異体を選択する工程であって、上記変異体は配列番号2との少なくとも60%の配列同一性を有する工程を含む方法に関する。
本発明によるラクターゼポリペプチド変異体を生成する方法における1つの好ましい実施形態では、参照ラクターゼポリペプチドは、配列番号2に規定した配列を有する。
より好ましくは、本発明による方法の工程b)では、233、257、258、263、274、284、297、415、440、483、619、621、622、633、862または1004のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基が置換され、上記の位置は配列番号2を参照して規定される。参照ポリペプチドは、配列番号2との少なくとも約80%相同性を有していてよい。
また別の実施形態では、本発明は、細胞、特に本発明に含まれる核酸を含有する形質転換宿主細胞または組換え宿主細胞を特徴とする。「形質転換細胞」または「組換え細胞」は、組換えDNA技術によって本発明による核酸がその中に(またはその原細胞内に)導入されている細胞である。原核細胞および真核細胞の両方、例えば細菌、真菌、酵母などが含まれ、特に好ましいのは酵母からの細胞、例えばK.ラクティス(K.lactis)である。宿主細胞には、さらに哺乳動物細胞系、例えばCHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、WI38および脈絡叢細胞系が含まれるがそれらに限定されない。
適切な細菌宿主生物の例は、グラム陽性細菌種、例えばバシラス・サブチリス(枯草菌:Bacillus subtilis)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・レンツス(Bacillus lentus)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バシラス・アルカロールフィルス(Bacillus alkalophilus)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・ラウツス(Bacillus lautus)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)およびバシラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)を含むバシラス種(Bacillaceae)、ストレプトマイセス・ムリナス(Streptomyces murinus)を含むストレプトマイセス種(Streptomyces species)、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、例えばラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)を含むラクトバシラス種(Lactobacillus spp.)、リューコノストック種(Leuconostoc spp.)およびストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)を含む乳酸細菌種である。または、グラム陰性細菌種、例えば大腸菌(E.coli)を含む腸内細菌科(Enterobacteriaceae)またはシュードモナス科(Pseudomonadaceae)に属する種などを宿主生物として選択できる。
好適な酵母宿主生物は、有益にはサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)を含むサッカロミセス属(Saccharomyces)の種またはシゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)に属する種から選択されてよい。また別の有用な酵母宿主生物には、ピチア種(Pichia spp.)、例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)を含むこれらのメチロトローフ種およびクルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)を含むクルイベロミセス種(Kluyveromyces spp.)が含まれる。
好適な宿主生物、特に糸状菌には、アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、フラリウム属(Fusarium)、フミコラ属(Humicola)、ムコール属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophtora)、ニューロスポラ属(Neurospora)、ペニシリウム属(Penicillium)、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)もしくはトリコデルマ属(Trichoderma)の種、例えばアスペルギルス・アキュレータス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)もしくはアスペルギルス・ニガー変種アワモリ(Aspergillus nigervar.awamori)を含むアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、フザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・シリアルス(Fusarium cereals)、フザリウム・クロックウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レティクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サムブシナム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichiodes)、フザリウム・サルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロサム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ランギノサ(Humicola langinosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、マイセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophtora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・カメンベルティ(Penicillium camenbertii)、ペニシリウム・パープロゲナム(Penicillium purpurogenum)、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terestris)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesii)またはトリコデルマ・ビリデ(Trochoderma viride)が含まれる。
特異的な所望の方法で、挿入された配列の発現を調節する、または組み込まれた核酸配列によりコードされた産物を修飾および処理する宿主細胞を選択できる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセッシング(例えば、切断)は、コードされたタンパク質の最適な機能化を促進できる。
様々な宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセッシングおよび修飾のための特徴的および特異的機構を有している。発現した異種タンパク質の所望および正確な修飾およびプロセッシングを保証するために、分子生物学および/または微生物学の当業者にはよく知られている適切な細胞系または宿主系を選択できる。このためには、転写一次産物の適正なプロセッシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞を使用できる。そのような宿主細胞は、当分野において周知である。
所望であれば、安定的にトランスフェクトされた細胞系は、本発明による変異体を生成することができる。哺乳動物細胞の安定的トランスフェクションのために好適な多数のベクターは公的に利用可能であり、そのような細胞系を構築するための方法もまた例えばAusubel et al.(上記)において公的に公知である。
本発明は、さらに本発明によるラクターゼ変異体を含む組成物を開示している。本発明はそこで、本明細書に記載した変異体ポリペプチドと塩(例えば、塩化ナトリウムもしくはカリウム)、保存料、ポリオール(例えば、グリセロール)、金属イオン(例えば、マグネシウムもしくはマンガンイオン)から選択された少なくとも1つの成分とを含む組成物を提供する。
本組成物は、任意選択的に、他の成分、例えば他の酵素類を含むことができる。そのような組成物は、本発明の変異体ポリペプチドまたは変異体ラクターゼを同定するための本発明の方法によって入手できる組成物を含んでいてよい。
変異体ラクターゼ、および存在する場合は1つ以上の追加の酵素に加えて、本発明による組成物は、例えばKClまたはグリセロールなどのラクターゼ調製物において便宜的に使用される添加物を含んでいてよい。
本発明はさらに、乳製品の調製における本発明の変異体ポリペプチドまたは本発明の組成物の使用に関する。
本発明はさらに、乳製品を製造するための方法であって、有効量の本発明による変異体ポリペプチドまたは本発明の組成物を乳汁に添加する工程および変異体ポリペプチドがその酵素活性を発揮することを可能にする工程を含む方法に関する。
本発明は、そのような方法によって入手できる乳製品に関する。本明細書で使用するように、乳製品は、乳汁から生成される任意の組成物、例えばカゼインおよび/または乳清タンパク質を含んでいる。例は、乳汁、乳汁由来製品、発酵乳製品(例えば、ヨーグルト)、練乳、UHT乳、蒸発乳、粉ミルク、冷凍乳、アイスクリーム、クリーム、バター、バターミルク、乳清および/またはチーズである。製品は、加水分解物または乳汁もしくは乳清の分画化によって得られた製品、例えばカゼイン塩、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳清タンパク質分離物(WPI)または(濃縮)乳清透過物およびそれらから製造された製品であってよい。
乳汁は、例えばウシ、バッファロー、ヤギ、ヒツジ、ラクダ、ロバ、ウマ、トナカイ、ヘラジカもしくはヤクから入手される。
先行技術として提供されている特許文献または他の物質についての本明細書での言及は、その文献または物質が公知である、またはそれが含有する情報が特許請求項のいずれかの優先日において普及している一般的知識の一部であったとの承認と見なすべきではない。
以下では、下記の実施例を参照しながら、しかしそれらに限定せずに本発明について説明する。
[実施例]
[一般的な物質および方法]
[分子および遺伝子技術]
標準の遺伝子および分子生物学技術は、当分野において公知である(例えば、Maniatis et al.“Molecular cloning:a laboratory manual”(1982)Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.;Miller“Experiments in molecular genetics”(1972)Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.;Sambrook and Russell“Molecular cloning:a laboratory manual(3rd edition)”(2001)Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel“Current protocols in molecular biology”(1987)Green Publishing and Wiley Interscience,New Yorkを参照されたい)。
[プラスミドおよび菌株]
pBAD/HisAは、Invitrogen(商標)(LifeTechnologies Corporation、米国カリフォルニア州カールスバッド)から入手した。β−ガラクトシダーゼ欠損性菌株大腸菌(Escherichia coli)BW25113(Δ(araD−araB)567、ΔlacZ4787(::rmB−3)、λ、rph−1、Δ(rhaD−rhaB)568、hsdR514)(Datsenko KA,Wanner BL(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97:6640−6645)を使用してクルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)β−ガラクトシダーゼ変異体を発現させた。
[培地]
大腸菌(Escherichia coli)を成長させるために2xPY培地(16g/LのBD BBL(商標)Phytone(商標)Peptone、10g/Lの酵母抽出物、5g/LのNaCI)を使用した。プラスミドを維持するために、抗生物質(100μg/mLのアンピシリン)を補給した。遺伝子発現を誘導するために、L−アラビノースを0.02%の最終濃度で使用した。
[実施例1:DNA構築物および形質転換]
合成DNA構築物は、結果としてNcol互換オーバーハングを生じさせるBbsl制限部位から始まり、結果としてHindlll互換オーバーハングを生じさせる停止コドンの後のBbsl制限部位で終了するように設計した。内部Bbsl制限部位は合成DNA構築物の設計において取り除いた。1つの例として、野生型K.ラクティス(K.lactis)β−ガラクトシダーゼ配列をコードするDNA断片は配列番号1として列挙した。全ての変異体は類似の方法で設計し、発現ベクターpBAD/HisAのNcol/Hindlll部位内のBbsl断片としてクローン化した。
14の変異体内に導入したアミノ酸変化は表2に示した。変化の位置は、野生型K.ラクティス(K.lactis)β−ガラクトシダーゼアミノ酸配列(配列番号2)と比較して示した。一部の変異体は、変異体8番および7番のような、β−ガラクトシダーゼタンパク質のアミノ酸配列内に導入された複数の変化を有している。未変化β−ガラクトシダーゼタンパク質をコードする野生型遺伝子は、遺伝子クローニングおよび形質転換においても使用し、後に変異体遺伝子を用いて作製した酵素と比較するために使用した。
Figure 0006632526
大腸菌(E.coli)BW25113の形質転換は、Zymo Research Z−Competent(商標)大腸菌(E.coli)形質転換キット&バッファーセット(T3001)を使用して実施した。形質転換大腸菌(E.coli)菌株は、100μg/mLのアンピシリン、0.02%のL−アラビノースおよび40μg/mLの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)を含有する2xPY寒天プレート上でプレーティングし、30℃で一晩インキュベートした。
X−galはラクトースのアナログであり、β−ガラクトシダーゼ酵素によって加水分解した。X−galは、β−ガラクトシダーゼにより切断されると、ガラクトースおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−ヒドキシインドールを産生する。後者は次に自然に二量体化し、不溶性である濃青色の生成物である5,5’−ジブロモ−4,4’−ジクロロ−インジゴに酸化される。プレートは、X−Galの加水分解後に青色を形成させるために4℃で少なくとも24時間にわたり貯蔵した。野生型大腸菌(E.coli)菌株BW25113にはlacオペロンが欠失しているためにβ−ガラクトシダーゼが欠如するので、青色の形成は選択されたβ−ガラクトシダーゼ変異体の活性発現を確証した。各構築物中、3つの青色形成形質転換体は、小規模24ウエル培養を使用してβ−ガラクトシダーゼ産生について試験し(実施例2)、最高に産生している形質転換体をその後の酵素特性付けのために選択した。
[実施例2:β−ガラクトシダーゼ酵素サンプルの培養および調製]
変異体β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現する大腸菌(E.coli)BW25113形質転換体を寒天プレートから96ワイドウエルプレート(NUNC 267334、NUNC A/S、デンマーク国ロスキレ)内に200μLの2PYおよび100μg/mLのアンピシリンを用いて複製し、その後にINFORS HT Microtronシェーカー(Infors社、スイス国ボットミンゲン)内で30℃、550rpmおよび湿度80%で一晩インキュベートした。これらの前培養からの15μLを使用して100μg/mLのアンピシリンとともに3mLの2PYを含む24ウエルプレート(AXYGPDW10ML24CLIDS、Axygen(商標)、Corning社、米国ニューヨーク州14831)に接種した。24ウエルプレートはbreathseal(6786051、greiner bio−one、独国フリッケンハウゼン)により被覆し、600nmでの光学密度が0.4〜0.6に達するまでINFORS HT Microtronシェーカー内で30℃、550rpmおよび湿度80%でインキュベートした。次に、L−アラビノースおよびを0.02%の最終濃度となるように加え、24ウエルプレートをさらに20〜24時間にわたりINFORS HT Microtronシェーカー内で30℃、750rpmおよび湿度80%でインキュベートした。24ウエルプレートを2,750rpmおよび4℃で10分間遠心し、プレートをデカンテーションすることにより上清を除去した。入手した細胞ペレットを、少なくとも24時間にわたり−20℃で貯蔵した。冷凍細胞ペレットは1mLの抽出用バッファー(50mMのTris−HCl(pH7.5)、0.2mMのMgSO4、2mg/mLのリゾチーム、0.1mg/mLのDNAse I、1×完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAフリー、Roche社))中にボルテックスミキサーを使用して再懸濁させ、室温で30分間インキュベートし、その後に2,750rpmおよび4℃で10分間遠心した。過剰発現したβ−ガラクトシダーゼを含む上清(無細胞抽出物、CFE)は1容積のグリセロールを添加することによって調製し、様々な活性アッセイにおいて使用した。
[実施例3:ラクターゼタンパク質の量の決定]
大腸菌(E.coli)により生成したラクターゼタンパク質の量は、HP−SEC(Thermo Scientific Dionex UltiMate 3000 Rapid Separation)を使用して決定した。このために2μLの実施例1の無細胞抽出物(CFE)をBEH200、sec 1.7μm、4.6×150mmカラム(Waters社)上に装填した。移動相は100mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.32)から構成し、0.1mL/分の流量で維持した。カラム温度は25℃で維持したが、他方流量は0.1mL/分に設定した。タンパク質の溶出は、280nmで吸光度を測定することによって追跡した。ラクターゼタンパク質はCFE内の大多数の他のタンパク質より大きいので、これらの条件下でカラムから溶出したのは最初のタンパク質ピークであった。このピーク下の面積を計算し、ウシ血清アルブミン(BSA)標準物質の比較によって定量した。この定量結果を使用して、実施例4〜7に記載したタンパク質の(比)活性を計算した。
Figure 0006632526
Figure 0006632526
[実施例4:基質としてのONPG上の活性の決定]
基質としてo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)を使用する活性の決定は、本質的には食品用工程化学品集(Food Chemical Codex(FCC 8th edition,p1319−1320:Lactase(neutral)β−galactosidase activity)に記載された方法にしたがった。
実施例2において生成したサンプルは、バッファーA(0.05mMのEDTA、0.1mMのMgSO4および0.2%(W/V)のTriton X100を含有する100mMのリン酸カリウム(pH6.5))を使用して1mL当たり約0.1中性ラクターゼ単位(NLU)まで200倍に希釈した。Triton X100を含んでいない以外は同一のバッファーを使用して基質(20mL中の50mgのo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(Sigma−Aldrich社))を調製した。基質を予備加熱した後、下記の125μLの基質および25μLのサンプルを一緒に混合した。10分間にわたり37℃で反応を進行させ、その後に25μLの炭酸ナトリウム(30g/L)および20μLの超純水を添加することによって反応を停止させた。405nmで生じた吸光度を使用すると、o−ニトロフェノール(ONP)から作成された検量線と比較することができた。これらの測定はKonelab臨床分析装置(Thermo Scientific Arena 30)上で実施した。活性の計算は、食品用工程化学品集に記載されたように実施し、アッセイ温度の相違について補正した。補正係数は1.25であり、経験により確定された。様々なラクターゼ変異体の比活性は、これらの数値をアッセイにおけるタンパク質用量(実施例3において決定したように)で割ることで決定し、この結果は表3に表示した。
[実施例5:基質としてのラクトース上の活性の決定]
サンプルは、バッファーB(0.05mMのEDTAおよび1mMのMgSO4を含有する100mMのリン酸ナトリウム(pH6.5))中で約0.4NLU/mLに希釈した。基質は、バッファーB中に溶解させた4.8%のラクトースモノヒドレートから構成した。酵素ミックスは、総量10mLのバッファーB中の780単位のホースラディッシュペルオキシダーゼ(Sigma Aldrich社)、0.25単位のグルコースオキシダーゼ(DSM)および12.5mg(±1mg)の2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩(ABTS、Sigma Aldrich社)から構成した。アッセイは、中性ラクターゼの連続希釈に相対的に比較して測定した(0.1〜0.8NLU/mL)。反応を発生させるために、以下の25μLのバッファーB、25μLのサンプルもしくは標準物質、25μLの酵素ミックスを標準マイクロタイタープレートの1つのウエルに移す。10分間プレインキュベーションした後、175μLの基質を加え、30分間にわたり420nmおよび30℃でMTPリーダー(Tecan Infinity M1000)上で反応を測定した。吸光度を30秒毎に測定し、5つのデータポイント(2.5分間)当たりの傾斜を計算した。全アッセイにわたる最高傾斜を使用して活性を計算した。この最高傾斜は、本明細書に記載した条件下での1分当たりラクターゼにより生成したグルコース(μモル)として表示した(LACU)。様々なラクターゼ変異体の比活性は、これらの数値をアッセイにおけるタンパク質濃度(mg/mL)(実施例3において決定したように)で割ることによって計算した。これらのラクターゼ変異体の比活性(LACU/mg)は表3に描出した。ラクトース上の高比活性は、可能性のある用途における酵素のより低用量をもたらす可能性がある。
[実施例6:ガラクトースの存在下での活性の決定]
サンプルはバッファーB中で約0.4NLU/mLに希釈した。基質は、バッファーB中に溶解させた4.8%のラクトースモノヒドレートから構成した。酵素ミックスは、総量10mLのバッファーB中の780単位のホースラディッシュペルオキシダーゼ(Sigma Aldrich社)、0.25単位のグルコースオキシダーゼ(DSM)および12.5mg(±1mg)の2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩(ABTS、Sigma Aldrich社)から構成した。阻害バッファーCは、バッファーB中の1,500mMのガラクトース(純度>99.9%)から構成した。アッセイは、中性ラクターゼの連続希釈に相対的に比較して測定した(0.1〜0.8NLU/mL)。反応を発生させるために、以下の25μLのバッファーC(標準物質を除く)、25μLのサンプルもしくは標準物質、25μLの酵素ミックスを標準マイクロタイタープレートの1つのウエルに移す。10分間プレインキュベーションした後、175μLの基質を加え、30分間にわたり420nmおよび30℃でMTPリーダー(Tecan Infinity M1000)上で反応を測定した。吸光度を30秒毎に測定し、5つのデータポイント当たりの傾斜を計算した。全アッセイにわたる最高傾斜を使用して活性を計算した。この最高傾斜は、本明細書に記載した条件下での1分当たりラクターゼにより生成したグルコース(μモル)として表示した(LACGU)。様々なラクターゼ変異体の比活性(LACGU/mg)は、これらの数値をアッセイにおけるタンパク質濃度(mg/mL)で(実施例3において決定したように)割ることで決定し、この結果は表3に表示した。
ガラクトースによる阻害率は、式:
阻害率(%)=100(x−y)/x
(式中、xは実施例5に記載したLACU/mg(ラクターゼ)での比活性を表し、yは実施例6に記載したLACGU/mg(ラクターゼ)での比活性を表す)を使用して計算した。阻害率(%)の計算の結果は、表3に報告した。低い阻害率(%)は用途における条件下でより高い活性をもたらす可能性があるが、このとき低残留ラクトース濃度が必要とされる場合、ラクトース濃度は低くガラクトース濃度は高い。
[実施例7:低温での乳汁中の活性測定]
1mLの乳脂分を半分除去した商業用UHT乳(Campina社)をディープウエル型マイクロタイタープレート内で、実施例2において生成された0.2mLの酵素(約20NLU/mL)と混合した。サンプルは、6℃の静的条件下で4、24または48時間にわたりインキュベートした。このインキュベーション後、90℃での6分間にわたる加熱処理によって反応を停止させ、その後にサンプルは分析時まで−20℃の冷凍室内に直ちに配置した。NMRのためのサンプル調製は、以下のように実施した:48μLの4.0MのHClを加え、プレートを密閉して傾斜させることによって混合した。次に、プレートを600rpmで20分間振とうし、引き続いて10分間、4,750rpmで遠心した。透明な上清から0.3mLを新規のプレートに移し、20g/Lのマレイン酸(内部標準物質)およびDO中の40g/LのEDTAを含有する0.2mLの溶液と結合した。プレートを密閉し、傾斜させることによって混合し、短時間遠心した。凍結乾燥後、残留物を0.05mLのDO中に溶解させ、凍結乾燥を繰り返した。乾燥残留物を0.7mLのDO中に溶解させ、再び一晩凍結乾燥し、再び0.7mLのDO中に溶解させた。注意深く混合した後、サンプルを4,750rpmで10分間遠心し、0.6mLをNMRチューブに移した。サンプルは、700MHzのプロトン周波数、290Kのプローブ温度で作動する凍結深計を装備したBruker Avance III分光計上で測定した。サンプルは8回の走査および30秒間の遅延時間を使用する単一フォールドで測定した。NMRスペクトルから、下記の化合物を定量した:ラクトース(δ=4.67(d)),グルコース(δ=4.64(d))、ガラクトース(δ=4.58(d))およびガラクトオリゴ糖(GOS、δ=4.52〜およそδ=4.38の面積の積分)。表3では、4時間にわたるインキュベーション後に検出された、添加された酵素1mg当たりのグルコースの量を指示した。さらに、ほとんどのラクトースが加水分解され、残留ラクトースが殆ど残されていない(<0.5g/L)時点である48時間後のGOSの量も描出した。
低温(4〜12℃)での乳汁中の酵素の高いラクトース加水分解活性は、乳製品産業のために関連のあるような用途における酵素の用量を減少させる可能性がある。GOS産生の増加は、生成された乳汁のプレバイオティクス作用を生じさせる可能性がある。
[実施例8:ラクターゼ変異体の組み合わせ]
ラクターゼ遺伝子における突然変異の様々な組み合わせは、遺伝子構築物の発現産物において複数のアミノ酸変化を組み合わせた以外は、実施例1に記載したように生成した。表4には、これらの組み合わされたアミノ酸変化を含有する様々な変異体を描出した。変化の位置は、野生型K.ラクティス(K.lactis)β−ガラクトシダーゼアミノ酸配列(配列番号2)と比較して示した。
Figure 0006632526
再度、実施例2に記載したように、改質したラクターゼ遺伝子を大腸菌(E.coli)中で発現させ、ラクターゼタンパク質を単離した。発現したラクターゼタンパク質の量は、実施例3に記載したように決定した。ラクトースの加水分解に及ぼすこれらの酵素サンプルの活性は実施例5に記載したように決定し、発現した野生型酵素の活性と比較し、同一の方法で正確に単離した。4時間後の低温での乳汁中のラクトースの加水分解に及ぼす酵素サンプル活性もまた実施例7に記載したように決定した。
様々なラクターゼ変異体の比活性は、測定した数値をアッセイにおけるラクターゼタンパク質濃度(mg/mL)で割ることによって計算した。両方のアッセイにおけるこれらのラクターゼ変異体の比活性は、同一アッセイにおいて得られた野生型酵素の活性に比較した相対活性として表示した。このために野生型ラクターゼの比活性は両方のアッセイにおいて100に設定し、変異体の計算比活性をこれに関連付けた。この分析の結果は、下記の表5に描出した。
Figure 0006632526
この分析から、両方のアッセイにおいて数種の組み合わせ変異体が有益なラクトース加水分解を示すと推論できる。

Claims (19)

  1. ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドであって、
    前記変異体ポリペプチドは、配列番号2に規定された配列を含むラクターゼとアラインメントされた場合に、D233V、D257GE297G、A258T、N263SK274EN284S、T415C、T415A、Y440F、A483S、V619I、I621V、M622L、T633G、L862VまたはA1004Pから選択される少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、前記置換の位置は配列番号2を参照して規定されており、
    前記変異体ポリペプチドはラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して、
    ONPGへの増加した比活性;
    ラクトースへの増加した比活性;
    乳汁中のラクトースへの増加した活性;
    低下したガラクトース阻害;および/または
    乳汁中の増加したGOS産生を示し、
    前記変異体ポリペプチドは配列番号2との少なくとも90%の配列同一性を有し、
    前記参照ポリペプチドは、配列番号2のラクターゼである、
    変異体ポリペプチド。
  2. 前記変異体ポリペプチドは、非天然型ポリペプチドである、請求項1に記載の変異体ポリペプチド。
  3. 前記変異体ポリペプチドは、ラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較してONPGへの増加した比活性を示し、
    配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、T415C、T415A、A483S、V619I、I621V、M622LまたはT633Gから選択される少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1または2に記載の変異体ポリペプチド。
  4. 前記変異体ポリペプチドは、ラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較してラクトースへの増加した比活性を示し、
    配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、T415C、T415A、Y440FまたはA483Sから選択される少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1または2に記載の変異体ポリペプチド。
  5. 前記変異体ポリペプチドは、ラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して乳汁中のラクトースへの増加した活性を示し、
    配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、D233V、D257G、A258T、N263S、K274E、N284S、E297G、Y440F、V619I、T633G、L862VまたはA1004Pから選択される少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1または2に記載の変異体ポリペプチド。
  6. 配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、N263S、K274EまたはN284Sから選択される少なくとも2つの置換を含むアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の変異体ポリペプチド。
  7. 配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、少なくともD257GおよびE297Gの置換を含むアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の変異体ポリペプチド。
  8. 前記変異体ポリペプチドは、ラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して低下したガラクトース阻害を示し、
    配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、V619I、I621VまたはM622Lから選択される少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1または2に記載の変異体ポリペプチド。
  9. 前記変異体ポリペプチドは、ラクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較して乳汁中の増加したGOS産生を示し、
    配列番号2に規定された配列とアラインメントされた場合に、V619IまたはM622Lから選択される少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1または2に記載の変異体ポリペプチド。
  10. 請求項1に規定した以外の追加の置換を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の変異体ポリペプチド。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の変異体ポリペプチドをコードする核酸。
  12. 好適な発現宿主中でのラクターゼの発現を指令できる1つ以上の制御配列に機能的に連結した請求項11に記載の核酸を含む核酸構築物。
  13. 請求項12に記載の核酸構築物を含む組換え発現ベクター。
  14. 請求項13に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
  15. ラクターゼの産生を導く条件下で請求項14に記載の宿主細胞を培養する工程および前記ラクターゼを回収する工程を含む、ラクターゼを生成するための方法。
  16. ラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドを生成する方法であって、
    (a)ラクターゼ活性を有するポリペプチドを選択する工程;
    (b)D233V、D257GE297G、A258T、N263SK274EN284S、T415C、T415A、Y440F、A483S、V619I、I621V、M622L、T633G、L862VまたはA1004Pから選択される少なくとも1つの置換を行う工程であって、前記置換の位置は配列番号2を参照して規定される工程;
    (c)任意選択的に、1つ以上の前記置換をさらに行う工程;
    (d)工程(a)〜(c)の結果として生じる変異体ポリペプチドを調製する工程;
    (e)前記変異体ポリペプチドの特性を決定する工程;
    (f)(a)の前記ポリペプチドと比較して変化した特性を有する変異体ポリペプチドを選択し、それによりラクターゼ活性を有する変異体ポリペプチドを生成する工程を含む方法。
  17. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の変異体ポリペプチドと、
    塩、保存料、ポリオールまたは金属イオンから選択される少なくとも1つの構成成分と、を含む組成物。
  18. 低ラクトースまたはラクトースフリー乳製品の調製における請求項1〜10のいずれか一項に記載の変異体ポリペプチドまたは請求項17に記載の組成物の使用。
  19. 乳製品を製造するための方法であって、有効量の請求項1〜10のいずれか一項に記載の変異体ポリペプチドまたは請求項17に記載の組成物を乳製品に添加する工程および前記変異体ポリペプチドにその酵素活性を発揮させる工程を含む方法。
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