<第1実施形態>
以下、モータの第1実施形態について説明する。
図1に示すように、モータ31は、有底筒状のハウジング32と、同ハウジング32の内周面に固定された磁石33(図5参照)とを有するステータ34を備えている。ハウジング32の開口部は、略円板状のエンドフレーム35によって閉塞されている。また、磁石33(図5参照)は、N極とS極とが周方向に交互に配置されるようにハウジング32の内周面に固定されている。なお、本実施形態のモータ31は、磁石33の磁極数が「4」となっている。
また、図1及び図5に示すように、モータ31は、磁石33の内側に配置された電機子41を有する。電機子41は、ステータ34に対して回転可能に設けられた回転軸42と、回転軸42に固定された電機子コア43と、電機子コア43に巻装された複数のコイル44と、回転軸42に固定された整流子45とを備えている。
図1、図2(a)及び図5に示すように、電機子コア43は、ハウジング32の内部で磁石33と径方向に対向するとともに、その中心部から放射状に延び周方向に並ぶ16個のティース46を有する。周方向に隣り合うティース46の間の空間は、ティース46に巻回されるコイル44を収容するためのスロット47となっている。電機子コア43は、16個のティース46を有することにより、16個のスロット47を備えている。なお、各スロット47に対して、図2(a)に示すように、時計方向に順に「1」〜「16」のスロット番号を付すことにする。
図1に示すように、整流子45は、回転軸42において電機子コア43よりもハウジング32の開口部寄りの位置に同回転軸42と一体回転可能に固定されており、電機子コア43と共にハウジング32の内部に収容されている。図2(b)に示すように、整流子45は、その外周面に16個のセグメント48を有する。16個のセグメント48は、整流子45の回転方向R(以下、単に回転方向Rとする)の幅が全て等しいとともに、回転方向Rに等角度間隔に配置されている。また、回転方向Rに隣り合うセグメント48同士は回転方向Rに離間している。なお、各セグメント48に対して、図2(b)に示すように、時計方向に順に「1」〜「16」のセグメント番号を付すことにする。以下、「セグメント番号」及び「スロット番号」は、何れも「番号」と省略して記載することにする。
図5に示すように、各コイル44は、前記ティース46に巻回された導線49から構成されている。導線49は、周方向に連続して並んだ3つのティース46に跨って巻回、所謂分布巻にて巻回されている。具体的には、導線49は、番号「2」のセグメント48から番号「11」のスロット47に延び、該番号「11」のスロット47と番号「8」のスロット47との間の3つのティース46に複数回巻回された後に、番号「1」のセグメント48に接続されている。次いで、導線49は、番号「1」のセグメント48から番号「10」のスロット47に延び、該番号「10」のスロット47と番号「7」のスロット47との間の3つのティース46に複数回巻回された後に、番号「16」のセグメント48に接続されている。次いで、導線49は、番号「16」のセグメント48から番号「9」のスロット47に延び、該番号「9」のスロット47と番号「6」のスロット47との間の3つのティース46に複数回巻回された後に、番号「15」のセグメント48に接続されている。同様にして、全てのセグメント48及び全てのスロット47に導線49が巻装されることにより、16個のコイル44が形成されている。即ち、本実施形態のモータ31は、コイル44の数が「16」となっている。
また、整流子45は、同電位となる所定のセグメント48同士を短絡する短絡部材51を備えている。具体的には、番号「1」のセグメント48と番号「9」のセグメント48とが短絡部材51により短絡されている。また、番号「2」のセグメント48と番号「10」のセグメント48とが短絡部材51により短絡されている。更に、番号「3」のセグメント48と番号「11」のセグメント48とが短絡部材51により短絡されている。同様にして、他のセグメント48も短絡部材51により短絡されている。即ち、互いに180°の間隔を有するセグメント48同士が短絡部材51によって短絡されている。
また、図1に示すように、モータ31は、ハウジング32の開口部に配置されたブラシホルダ61を有する。ブラシホルダ61は、エンドフレーム35と略等しい大きさの略円板状をなすベース部材62と、ベース部材62に対して固定された4つのブラシ保持部63とを備えている。ベース部材62は、ハウジング32の開口部にエンドフレーム35と軸方向に隣り合って配置されている。
4つのブラシ保持部63は、ベース部材62におけるハウジング32の内側(底部側)を向いた側面に配置されて固定されている。各ブラシ保持部63は、例えば、真鍮の板材から形成されている。図3に示すように、4つのブラシ保持部63は、ベース部材62において、周方向(回転方向Rに同じ)に離間した4か所に設けられている。そして、各ブラシ保持部63は、径方向に沿うように延びるとともに、径方向と直交する断面の形状がベース部材62側に開口した略コ字状をなしている。
各ブラシ保持部63の内側には、それぞれ給電ブラシ64が挿入されている。本実施形態のモータ31は、磁石33(図5参照)の磁極数と同数の4つの給電ブラシ64を備えている。各給電ブラシ64は、径方向に長い略直方体状(略四角柱状)をなしている。図1及び図3に示すように、各給電ブラシ64の径方向内側の先端部は、各々が収容されたブラシ保持部63から径方向内側に突出するとともに、整流子45の外周面(即ちセグメント48)に摺接可能に接触している。また、図1、図3及び図4に示すように、各給電ブラシ64の径方向外側の後端部は、各ブラシ保持部63に収容された付勢部材65によって整流子45側に付勢されている。なお、本実施形態の付勢部材65は、圧縮コイルばねである。そして、各給電ブラシ64は、各々が挿入されたブラシ保持部63によって回転方向Rの移動が規制されるとともに、各給電ブラシ64における後端から先端に向かう方向の移動がブラシ保持部63によって案内される。
図3に示すように、ベース部材62におけるブラシ保持部63と反対側の側面には、一対の給電用ターミナル66,67が設けられている。更に、ベース部材62における4つのブラシ保持部63が固定された側面には、雑音防止用の2つのチョークコイル68,69及びコンデンサ71が設けられている。そして、4つの給電ブラシ64のうち同極となる2つの給電ブラシ64から延びるピッグテール72は、一方のチョークコイル68を介して一方の給電用ターミナル66に電気的に接続されている。また、同極となる残りの2つの給電ブラシ64から延びるピッグテール73は、他方のチョークコイル69を介して他方の給電用ターミナル67に電気的に接続されている。なお、コンデンサ71は、一対の給電用ターミナル66,67に電気的に接続されている。そして、給電用ターミナル66,67は、図示しない外部の電源装置に接続される。給電用ターミナル66,67から、チョークコイル68,69及びピッグテール72,73を介して給電ブラシ64に供給された電流は、整流子45を介してコイル44に供給される。すると、電機子41が周方向に回転される。なお、本実施形態のモータ31では、電機子41は、一方向にのみ回転される。そして、電機子41(整流子45)の回転に伴って、各給電ブラシ64は、整流子45の複数のセグメント48に順次摺接していく。
ここで、本実施形態の給電ブラシ64について詳述する。
図3及び図6に示すように、それぞれ前記ブラシ保持部63にて保持された4つの給電ブラシ64は、回転方向Rに略等角度間隔に配置されている。
図6に示すように、4つの給電ブラシ64のうち2つの給電ブラシ64は、陽極の第1の陽極側給電ブラシ81及び第2の陽極側給電ブラシ82である。また、残りの2つの給電ブラシ64は、陰極の第1の陰極側給電ブラシ83及び第2の陰極側給電ブラシ84である。そして、4つの給電ブラシ64は、回転方向Rに、第1の陽極側給電ブラシ81、第1の陰極側給電ブラシ83、第2の陽極側給電ブラシ82、第2の陰極側給電ブラシ84の順に並んでいる。また、本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ81と第1の陰極側給電ブラシ83とが同じ外形形状をなすとともに、第2の陽極側給電ブラシ82と第2の陰極側給電ブラシ84とが同じ外形形状をなしている。
第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83は、回転方向Rに電気抵抗値が一定(即ち、電気抵抗値が変化しない構成)となっている。また、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84は、回転方向Rに電気抵抗値が一定(即ち、電気抵抗値が変化しない構成)となっている。そして、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84は、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83よりも電気抵抗値が高い。即ち、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83は、その全体が、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92となっている。なお、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83は、例えば、Cu(銅)とC(炭素)とを主成分とした材料を焼成して形成されたものである。また、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84は、例えば、C(炭素)を主成分とした材料を焼成して形成されたものである。
図6及び図7に示すように、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84における回転方向Rの幅D1は、セグメント48における回転方向Rの幅D2と等しくなっている。また、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83における回転方向Rの幅D3は、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の幅D1よりも狭くなっている。本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の幅D3は、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の幅D1の4分の3の幅となっている。
図7に示すように、第2の陽極側給電ブラシ82は、軸方向から見て、その中心線L2を整流子45の径方向内側に延長した延長線M2が、整流子45の中心軸線Lを通るように配置されている。なお、第2の陽極側給電ブラシ82の中心線L2は、第2の陽極側給電ブラシ82における回転方向Rの中央を通り径方向に延びる直線である。また、第2の陽極側給電ブラシ82と同極の第1の陽極側給電ブラシ81は、第2の陽極側給電ブラシ82から回転方向Rに180°離間した位置から、その中心線L1が第2の陽極側給電ブラシ82の中心線L2と平行をなす状態を維持したまま、回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第1の陽極側給電ブラシ81の中心線L1を整流子45の径方向内側に延長した延長線M1は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。即ち、延長線M1は、軸方向(即ち中心軸線L方向)から見て、延長線M1と直交し且つ整流子45の中心軸線Lを通る直線T1と第1の陽極側給電ブラシ81との間の部分において、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側に位置する。
また、図2(b)及び図6に示すように、第2の陰極側給電ブラシ84は、第2の陽極側給電ブラシ82から回転方向Rに90°離間した位置に配置されている。また、第2の陰極側給電ブラシ84は、軸方向から見て、その中心線L4を整流子45の径方向内側に延長した延長線M4が、整流子45の中心軸線Lを通るように配置されている。そして、同極の第1の陰極側給電ブラシ83と第2の陰極側給電ブラシ84との位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ81と第2の陽極側給電ブラシ82との位置関係と同様になっている。即ち、第1の陰極側給電ブラシ83は、第2の陰極側給電ブラシ84から回転方向Rに180°離間した位置から、その中心線L3が第2の陰極側給電ブラシ84の中心線L4と平行をなす状態を維持したまま、回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第1の陰極側給電ブラシ83の中心線L3を整流子45の径方向内側に延長した延長線M3は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。即ち、延長線M3は、軸方向から見て、延長線M3と直交し且つ整流子45の中心軸線Lを通る直線T2と第1の陰極側給電ブラシ83との間の部分において、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側に位置する。そして、第1の陽極側給電ブラシ81と第1の陰極側給電ブラシ83とは、回転方向Rに90°離間している。
また、陽極の2つの給電ブラシ64は、第1の陽極側給電ブラシ81における回転方向Rの前方側の端部が、セグメント48における回転方向Rの前方側の端部に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ82における回転方向Rの前方側の端部が、セグメント48における回転方向Rの前方側の端部に位置するように配置されている。同様に、陰極の2つの給電ブラシ64は、第1の陰極側給電ブラシ83における回転方向Rの前方側の端部が、セグメント48における回転方向Rの前方側の端部に位置する時に、第2の陰極側給電ブラシ84における回転方向Rの前方側の端部が、セグメント48における回転方向Rの前方側の端部に位置するように配置されている。例えば、図6に示すように、第1の陽極側給電ブラシ81の回転方向Rの前方側の端部が番号「2」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ82の回転方向の前方側の端部が番号「10」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置する。そして、第2の陽極側給電ブラシ82が番号「10」のセグメント48のみに接触している場合、第1の陽極側給電ブラシ81は番号「10」のセグメント48と短絡された番号「2」のセグメント48のみに接触する。また、第1の陰極側給電ブラシ83の回転方向Rの前方側の端部が番号「6」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置する時に、第2の陰極側給電ブラシ84の回転方向Rの前方側の端部が番号「14」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置する。そして、第2の陰極側給電ブラシ84が番号「14」のセグメント48のみに接触している場合、第1の陰極側給電ブラシ83は番号「14」のセグメント48と短絡された番号「6」のセグメント48のみに接触する。
4つの給電ブラシ64の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ82は、同極の第1の陽極側給電ブラシ81より先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、第1の陽極側給電ブラシ81の整流終了時間(セグメント48から離間する時間)と、第2の陽極側給電ブラシ82の整流終了時間とが同じになる。また、第2の陰極側給電ブラシ84は、同極の第1の陰極側給電ブラシ83より先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、第1の陰極側給電ブラシ83の整流終了時間と、第2の陰極側給電ブラシ84の整流終了時間とが同じになる。なお、この場合、上記したように同極の第1の陽極側給電ブラシ81及び第2の陽極側給電ブラシ82は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ83及び第2の陰極側給電ブラシ84は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ81〜84は、同一のコイル44を整流するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
一般的に、給電ブラシは、セグメントに接触し始める時とセグメントから離間する時に火花が発生する。特に、給電ブラシがセグメントから離間する時に大きな火花が発生し、この時の火花によって給電ブラシの摩耗が大きく進行する。本実施形態のモータにおいては、同極の第1の陽極側給電ブラシ81と第2の陽極側給電ブラシ82とは、同電位のセグメント48から離間する時間(タイミング)が同じである。また、同極の第1の陰極側給電ブラシ83と第2の陰極側給電ブラシ84とは、同電位のセグメント48から離間する時間(タイミング)が同じである。そのため、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84よりも電気抵抗値の低い第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の少なくとも一方においてのみで、セグメント48から離間する時の火花が発生することが抑制されている。その一方で、全ての給電ブラシ64において、セグメント48から離間する時に火花が発生する可能性がある。
図7に示すように、本実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81は、中心線L1の延長線M1が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通るように配置されている。ここで、図8(a)に、第1の陽極側給電ブラシ81が任意の1つのセグメント48に接触してから離間するまでの間における整流子45の回転角度と、同セグメント48と第1の陽極側給電ブラシ81との間の接触抵抗との関係を示すグラフを図示する。図8(a)に示す回転角度P1は、図8(b)に示すように、第1の陽極側給電ブラシ81がセグメント48に接触し始めたときの整流子45の回転角度である。また、図8(a)に示す回転角度P2は、図8(b)に二点鎖線で図示したように、第1の陽極側給電ブラシ81がセグメント48から離間するときの整流子45の回転角度である。
また、図9(a)に、従来のモータにおける給電ブラシ501が任意の1つのセグメントに接触してから離間するまでの間における整流子502の回転角度と、同セグメントと給電ブラシ501との間の接触抵抗との関係を示すグラフを図示する。図9(b)に示すように、従来のモータに備えられた複数の給電ブラシ501は、その中心線L51を整流子502の径方向内側に延長した延長線M51が、整流子502の中心軸線L52を通っている。そして、図9(a)に示す回転角度P3は、給電ブラシ501がセグメントに接触し始めたときの整流子502の回転角度であり、図9(a)に示す回転角度P4は、給電ブラシ501が同セグメントから離間するときの整流子502の回転角度である。図9(a)に示すように、従来のモータにおいては、給電ブラシ501とセグメントとの間の接触抵抗は、給電ブラシ501がセグメントに接触し始めた時に高い値となっている。そして、整流子502の回転に伴って接触抵抗は急激に低下した後、給電ブラシ501がセグメントから離間する直前に再び高い値に変化する。
図8(a)に示すように、本実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81とセグメント48との間の接触抵抗は、従来のモータと同様に、第1の陽極側給電ブラシ81がセグメント48に接触し始めた時に高い値となっている。そして、整流子45の回転に伴って接触抵抗は急激に低下した後、第1の陽極側給電ブラシ81がセグメントから離間する時に再び高い値に変化する。しかしながら、第1の陽極側給電ブラシ81とセグメント48との間の接触抵抗は、整流子45の回転に伴って低くなった後に高くなり始める時期が、従来のモータにおける給電ブラシ501とセグメントとの間の接触抵抗よりも早まっている。そのため、第1の陽極側給電ブラシ81は、セグメント48から離間する時に、従来の給電ブラシ501よりもセグメント48にしっかり接触した状態で離間する。
なお、第1の陰極側給電ブラシ83についても上記した作用と同様の作用が得られる。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84は、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83(即ち低抵抗部92)よりも電気抵抗値が高い。また、同極の第1の陽極側給電ブラシ81と第2の陽極側給電ブラシ82とは、セグメント48から離間する時間が同じである。同様に、同極の第1の陰極側給電ブラシ83と第2の陰極側給電ブラシ84とは、セグメント48から離間する時間が同じである。そのため、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84よりも電気抵抗値の低い第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の少なくとも一方のみで火花が発生することが抑制されている。従って、各給電ブラシ64において大きな火花が発生することが抑制されている。
また、一般的に、各セグメントと給電ブラシとの間の接触抵抗は、給電ブラシがセグメントに接触し始めた時に高い値から低い値に変化し、その後、給電ブラシが同セグメントから離間する時に低い値から高い値に変化する。そして、中心線L1を整流子45側に延長した延長線M1が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陽極側給電ブラシ81は、整流子45の回転に伴って摺接中のセグメント48との間の接触抵抗が低くなった後、同接触抵抗が高くなり始める時期が早まる。同様に、中心線L3を整流子45側に延長した延長線M3が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陰極側給電ブラシ83は、整流子45の回転に伴って摺接中のセグメント48との間の接触抵抗が低くなった後、同接触抵抗が高くなり始める時期が早まる。そのため、これら第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83は、セグメント48から離間する時に、同セグメント48にしっかり接触した状態で離間する。従って、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83がセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。その結果、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の寿命の低下を更に抑制することができる。
(2)中心線L1を整流子45側に延長した延長線M1が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陽極側給電ブラシ81は、セグメント48から離間する時に同セグメント48にしっかり接触した状態で離間する。また、中心線L3を整流子45側に延長した延長線M3が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陰極側給電ブラシ83は、セグメント48から離間する時に同セグメント48にしっかり接触した状態で離間する。従って、第1の陽極側給電ブラシ81ががたつく等して、第1の陽極側給電ブラシ81が同極の第2の陽極側給電ブラシ82よりも遅くセグメント48から離間することが抑制される。また、第1の陰極側給電ブラシ83ががたつく等して、第1の陰極側給電ブラシ83が同極の第2の陰極側給電ブラシ84よりも遅くセグメント48から離間することが抑制される。よって、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83がセグメント48から離間する時に大きな火花が発生することが抑制される。
(3)第1の陽極側給電ブラシ81は、回転方向Rの幅D3が同極の第2の陽極側給電ブラシ82の回転方向Rの幅D1よりも狭い。従って、中心線L1の延長線M1が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陽極側給電ブラシ81が、同極の第2の陽極側給電ブラシ82よりも後にセグメント48から離間しないように各給電ブラシ81,82を配置することが容易となる。また、第1の陰極側給電ブラシ83は、回転方向Rの幅D3が同極の第2の陰極側給電ブラシ84の回転方向Rの幅D1よりも狭い。従って、中心線L3の延長線M3が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陰極側給電ブラシ83が、同極の第2の陰極側給電ブラシ84よりも後にセグメント48から離間しないように各給電ブラシ83,84を配置することが容易となる。
(4)第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83は、全体が第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92である。そして、第1の陽極側給電ブラシ81の回転方向Rの幅D3は、同極の第2の陽極側給電ブラシ82の回転方向Rの幅D1の4分の3の幅となっている。同様に、第1の陰極側給電ブラシ83の回転方向Rの幅D3は、同極の第2の陰極側給電ブラシ84の回転方向Rの幅D1の4分の3の幅となっている。従って、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の体積が第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の体積よりも小さいことに伴う電気的な損失の増大を抑えつつ、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83がセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。従って、モータ31の出力の低下を抑えつつ、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の寿命の低下を抑制することができる。
<第2実施形態>
以下、モータの第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81に代えて第1の陽極側給電ブラシ101を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陰極側給電ブラシ83に代えて図示しない第1の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態の第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ101と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、本実施形態の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシ84との位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ101と第2の陽極側給電ブラシ82との位置関係と同じである。従って、第1の陽極側給電ブラシ101についてのみ、形状や配置位置について説明し、第1の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。
第1の陽極側給電ブラシ101は、略直方体状をなしており、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81と同様に、その全体が、第2の陽極側給電ブラシ82よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92となっている。そして、第1の陽極側給電ブラシ101における回転方向Rの幅D5は、第2の陽極側給電ブラシ82における回転方向Rの幅D1よりも狭くなっている。本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ101の幅D5は、第2の陽極側給電ブラシ82の幅D1の4分の3の幅となっている。
第2の陽極側給電ブラシ82と同極の第1の陽極側給電ブラシ101は、第2の陽極側給電ブラシ82から回転方向Rに略180°離間した位置に配置されている。この第1の陽極側給電ブラシ101の中心線L5は、第1の陽極側給電ブラシ101の後端における位置よりも第1の陽極側給電ブラシ101の先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。そして、第1の陽極側給電ブラシ101の中心線L5を整流子45の径方向内側に延長した延長線M5は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。即ち、延長線M5は、軸方向から見て、延長線M5と直交し且つ整流子45の中心軸線Lを通る直線(図示略)と第1の陽極側給電ブラシ101との間の部分において、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側に位置する。
また、陽極の2つの給電ブラシ64は、第1の陽極側給電ブラシ101の先端面において中心線L5がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するときに、第2の陽極側給電ブラシ82の先端面における回転方向Rの中央がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ101及び第2の陽極側給電ブラシ82の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ82は、第1の陽極側給電ブラシ101より先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、第2の陽極側給電ブラシ82の整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)が、第1の陽極側給電ブラシ101の整流終了時間よりも遅くなる。第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシ84についても、同様に、第2の陰極側給電ブラシ84の方が第1の陰極側給電ブラシより先に摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、第2の陰極側給電ブラシ84の整流終了時間が、第1の陽極側給電ブラシの整流終了時間よりも遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ101及び第2の陽極側給電ブラシ82は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシ84は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル44を整流するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のモータにおいては、同極の第1の陽極側給電ブラシ101と第2の陽極側給電ブラシ82とは、第2の陽極側給電ブラシ82の方が同電位のセグメント48から離間する時間が遅い。また、同極の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシ84とは、第2の陰極側給電ブラシ84の方が同電位のセグメント48から離間する時間が遅い。そのため、セグメント48から離間する時間が遅い第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84においてのみ該セグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。即ち、第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシよりも電気抵抗値が高い第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84においてのみセグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。
また、第1の陽極側給電ブラシ101は、その中心線L5を整流子45の径方向内側に延長した延長線M5が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そのため、第1の陽極側給電ブラシ101とセグメント48との間の接触抵抗は、第1の陽極側給電ブラシ101がセグメント48に接触してから整流子45の回転に伴って低くなった後に高くなり始める時期が、従来のモータにおける給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗よりも早まる。従って、第1の陽極側給電ブラシ101は、セグメント48から離間する時に、従来の給電ブラシよりもセグメント48にしっかり接触した状態で離間する。なお、本実施形態の第1の陰極側給電ブラシにおいても同様の作用が得られる。
本実施形態によれば、上記第1実施形態の(2)〜(4)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(1)中心線L5を整流子45側に延長した延長線M5が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第1の陽極側給電ブラシ101は、整流子45の回転に伴って摺接中のセグメント48との間の接触抵抗が低くなった後、同接触抵抗が高くなり始める時期が早まる。第1の陰極側給電ブラシについても同様である。そのため、これら第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシは、セグメント48から離間する時に、同セグメント48にしっかり接触した状態で離間する。従って、第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシがセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。その結果、第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシの寿命の低下を更に抑制することができる。
(2)第2の陽極側給電ブラシ82は、当該第2の陽極側給電ブラシ82と同極の第1の陽極側給電ブラシ101よりもセグメント48から離間する時間が遅くなるように配置されている。同様に、第2の陰極側給電ブラシ84は、当該第2の陰極側給電ブラシ84と同極の第1の陰極側給電ブラシよりもセグメント48から離間する時間が遅くなるように配置されている。そのため、セグメント48から離間する時間が遅い第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84においてのみ該セグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。従って、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84よりも電気抵抗値の低い第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシとセグメント48との間で火花が発生することが抑制されるため、第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシの寿命の低下をより抑制することができる。また、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84は、第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシよりも電気抵抗値が高いため、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84がセグメント48から離間する時に大きな火花が発生することが抑制される。従って、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84においてのみセグメント48から離間する時の火花が発生する構成であっても、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の火花摩耗による寿命の低下を抑制することができる。
<第3実施形態>
以下、モータの第3実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81に代えて第1の陽極側給電ブラシ111を備え、上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82に代えて第2の陽極側給電ブラシ112を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陰極側給電ブラシ83に代えて図示しない第1の陰極側給電ブラシを備え、上記第1実施形態の第2の陰極側給電ブラシ84に代えて図示しない第2の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態の第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ111と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成され、本実施形態の第2の陰極側給電ブラシは、第2の陽極側給電ブラシ112と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、本実施形態の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとの位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ111と第2の陽極側給電ブラシ112との位置関係と同じである。従って、陽極の第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ112についてのみ、形状や配置位置について説明し、陰極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。
第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ112は、略直方体状をなしている。そして、第1の陽極側給電ブラシ111における回転方向Rの幅D7は、第2の陽極側給電ブラシ112における回転方向Rの幅D8と等しい。また、本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ111の回転方向Rの幅D7及び第2の陽極側給電ブラシ112の回転方向Rの幅D8は、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。
また、第1の陽極側給電ブラシ111は、回転方向Rに電気抵抗値が一定(即ち、電気抵抗値が変化しない構成)となっている。また、第2の陽極側給電ブラシ112は、回転方向Rに電気抵抗値が一定(即ち、電気抵抗値が変化しない構成)となっている。そして、第2の陽極側給電ブラシ112は、第1の陽極側給電ブラシ111よりも電気抵抗値が高い。即ち、第1の陽極側給電ブラシ111は、その全体が、第2の陽極側給電ブラシ112よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92となっている。なお、第1の陽極側給電ブラシ111は、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81と同様の材料から形成されたものであり、第2の陽極側給電ブラシ112は、上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82と同様の材料から形成されたものである。
第1の陽極側給電ブラシ111は、軸方向から見て、その中心線L7を整流子45の径方向内側に延長した延長線M7が、整流子45の中心軸線Lを通るように配置されている。また、第2の陽極側給電ブラシ112は、第1の陽極側給電ブラシ111から回転方向Rに180°離間した位置から、その中心線L8が第1の陽極側給電ブラシ111の中心線L7と平行をなす状態を維持したまま、回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第2の陽極側給電ブラシ112の中心線L8を整流子45の径方向内側に延長した延長線M8は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。即ち、延長線M8は、軸方向から見て、延長線M8と直交し且つ整流子45の中心軸線Lを通る直線T3と第2の陽極側給電ブラシ112との間の部分において、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側に位置する。
なお、本実施形態の第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ111から回転方向Rに90°離間した位置に配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ112の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ112の整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)が、第1の陽極側給電ブラシ111の整流終了時間よりも遅くなる。同様に、第2の陰極側給電ブラシの整流終了時間は、第1の陰極側給電ブラシの整流終了時間よりも遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ112は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシは、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル44を整流するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
同極の第1の陽極側給電ブラシ111と第2の陽極側給電ブラシ112とは、第2の陽極側給電ブラシ112の方が同電位のセグメント48から離間する時間が遅い。また、同極の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとは、第2の陰極側給電ブラシの方が同電位のセグメント48から離間する時間が遅い。そのため、セグメント48から離間する時間が遅い第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシにおいてのみ該セグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。即ち、第1の陽極側給電ブラシ111及び第1の陰極側給電ブラシよりも電気抵抗値が高い第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシにおいてのみセグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。
また、第2の陽極側給電ブラシ112は、その中心線L8を整流子45の径方向内側に延長した延長線M8が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そのため、第2の陽極側給電ブラシ112とセグメント48との間の接触抵抗は、第2の陽極側給電ブラシ112がセグメント48に接触してから整流子45の回転に伴って低くなった後に高くなり始める時期が、従来のモータにおける給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗よりも早まる。従って、第2の陽極側給電ブラシ112は、セグメント48から離間する時に、従来の給電ブラシよりもセグメント48にしっかり接触した状態で離間する。なお、本実施形態の第2の陰極側給電ブラシにおいても同様の作用が得られる。
本実施形態によれば、上記第2実施形態の(2)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(1)中心線L8を整流子45側に延長した延長線M8が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る第2の陽極側給電ブラシ112は、整流子45の回転に伴って摺接中のセグメント48との間の接触抵抗が低くなった後、同接触抵抗が高くなり始める時期が早まる。第2の陰極側給電ブラシについても同様である。そのため、これら第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシは、セグメント48から離間する時に、同セグメント48にしっかり接触した状態で離間する。従って、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシがセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。その結果、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシの寿命の低下を更に抑制することができる。
(2)一般的に、電気抵抗値の高い給電ブラシと電気抵抗値の低い給電ブラシとがモータに備えられた場合、電気抵抗値の高い給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗は、当該電気抵抗値の高い給電ブラシの材質に依存する。また、一般的に、給電ブラシがセグメントから離間する時の給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗が高い方が、給電ブラシがセグメントから離間する時に発生する火花を小さく抑えることができる。しかし、電気抵抗値の高い給電ブラシの材質を変更するのみで同給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗を高めるには限界がある。そこで、本実施形態のように、第1の陽極側給電ブラシ111(低抵抗部92)よりも電気抵抗値の高い第2の陽極側給電ブラシ112の中心線L8の延長線M8が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通るようにすることで、当該第2の陽極側給電ブラシ112がセグメント48から離間する時の接触抵抗を高くできる。従って、同第2の陽極側給電ブラシ112がセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。第2の陰極側給電ブラシについても同様に、同第2の陰極側給電ブラシがセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。その結果、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシの寿命の低下を抑制することができる。更に、第2の陽極側給電ブラシ112の中心線L8の延長線M8が整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通るようにすることで、当該第2の陽極側給電ブラシ112がセグメント48から離間する時の接触抵抗を高くできるため、第2の陽極側給電ブラシ112の材質の選択肢が広がる。第2の陰極側給電ブラシについても同様に材質の選択肢が広がる。
<第4実施形態>
以下、モータの第4実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態及び上記第3実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81に代えて第1の陽極側給電ブラシ111を備え、上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82に代えて第2の陽極側給電ブラシ122を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陰極側給電ブラシ83に代えて図示しない第1の陰極側給電ブラシを備え、上記第1実施形態の第2の陰極側給電ブラシ84に代えて図示しない第2の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態の第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ111と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成され、本実施形態の第2の陰極側給電ブラシは、第2の陽極側給電ブラシ122と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、本実施形態の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとの位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ111と第2の陽極側給電ブラシ122との位置関係と同じである。従って、陽極の第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ122についてのみ、形状や配置位置について説明し、陰極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。なお、第1の陽極側給電ブラシ111と本実施形態の第1の陰極側給電ブラシとの位置関係は、上記第3実施形態と同様である。
第2の陽極側給電ブラシ122は、略直方体状をなしており、その全体が、第1の陽極側給電ブラシ111(低抵抗部92)よりも電気抵抗値が高い。そして、第2の陽極側給電ブラシ122における回転方向Rの幅D10は、第1の陽極側給電ブラシ111における回転方向Rの幅D7と等しい。また、本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ111の回転方向Rの幅D7及び第2の陽極側給電ブラシ122の回転方向Rの幅D10は、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。
第2の陽極側給電ブラシ122は、同極の第1の陽極側給電ブラシ111から回転方向Rに略180°離間した位置に配置されている。そして、第2の陽極側給電ブラシ122の中心線L10は、第2の陽極側給電ブラシ122の後端における位置よりも第2の陽極側給電ブラシ122の先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。また、中心線L10の回転方向Rの位置は、第2の陽極側給電ブラシ122の先端面においては、第1の陽極側給電ブラシ111の中心線L7から回転方向Rに180°離間した位置となっている。そして、第2の陽極側給電ブラシ122の中心線L10を整流子45の径方向内側に延長した延長線M10は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。即ち、延長線M10は、軸方向から見て、延長線M10と直交し且つ整流子45の中心軸線Lを通る直線(図示略)と第2の陽極側給電ブラシ122との間の部分において、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側に位置する。
また、陽極の2つの給電ブラシ64は、第1の陽極側給電ブラシ111の先端面において中心線L7がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ122の先端面において中心線L10がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ122の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ122の整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)が、第1の陽極側給電ブラシ111の整流終了時間よりも僅かに遅くなる。第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシについても、同様に、第2の陰極側給電ブラシの整流終了時間が、第1の陽極側給電ブラシの整流終了時間よりも僅かに遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ111及び第2の陽極側給電ブラシ122は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシは、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル44を整流するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
同極の第1の陽極側給電ブラシ111と第2の陽極側給電ブラシ122とは、第2の陽極側給電ブラシ122の方が同電位のセグメント48から離間する時間が遅い。また、同極の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとは、第2の陰極側給電ブラシの方が同電位のセグメント48から離間する時間が遅い。そのため、セグメント48から離間する時間が遅い第2の陽極側給電ブラシ122及び第2の陰極側給電ブラシにおいてのみ該セグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。即ち、第1の陽極側給電ブラシ111及び第1の陰極側給電ブラシよりも電気抵抗値が高い第2の陽極側給電ブラシ122及び第2の陰極側給電ブラシにおいてのみセグメント48から離間する時の火花が発生するようになる。
また、第2の陽極側給電ブラシ122は、その中心線L10を整流子45の径方向内側に延長した延長線M10が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そのため、第2の陽極側給電ブラシ122とセグメント48との間の接触抵抗は、第2の陽極側給電ブラシ122がセグメント48に接触してから整流子45の回転に伴って低くなった後に高くなり始める時期が、従来のモータにおける給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗よりも早まる。従って、第2の陽極側給電ブラシ122は、セグメント48から離間する時に、従来の給電ブラシよりもセグメント48にしっかり接触した状態で離間する。なお、本実施形態の第2の陰極側給電ブラシにおいても同様の作用が得られる。
本実施形態によれば、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第5実施形態>
以下、モータの第5実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態及び上記第3実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81に代えて第1の陽極側給電ブラシ131を備え、上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82に代えて上記第3実施形態の第2の陽極側給電ブラシ112を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陰極側給電ブラシ83に代えて第1の陰極側給電ブラシ133を備え、上記第1実施形態の第2の陰極側給電ブラシ84に代えて上記第3実施形態の第2の陰極側給電ブラシ(本実施形態では第2の陰極側給電ブラシ114とする)を備えている。本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ131と第1の陰極側給電ブラシ133とは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。また、第2の陽極側給電ブラシ112と第2の陰極側給電ブラシ114とは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、第1の陰極側給電ブラシ133と第2の陰極側給電ブラシ114との位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ131と第2の陽極側給電ブラシ112との位置関係と同じである。従って、陽極の第1の陽極側給電ブラシ131及び第2の陽極側給電ブラシ112についてのみ、形状や配置位置について説明し、陰極の第1の陰極側給電ブラシ133及び第2の陰極側給電ブラシ114の形状及び配置位置の説明を省略する。
図13に示すように、第1の陽極側給電ブラシ131は、第2の陽極側給電ブラシ112と同様の略直方体状をなしている。そして、第1の陽極側給電ブラシ131における回転方向Rの幅D11は、第2の陽極側給電ブラシ112における回転方向Rの幅D8と等しい。また、本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ131の回転方向Rの幅D11及び第2の陽極側給電ブラシ112の回転方向Rの幅D8は、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。
第1の陽極側給電ブラシ131は、回転方向Rに電気抵抗値が変化するように構成されている。詳しくは、第1の陽極側給電ブラシ131は、第1の陽極側給電ブラシ131における回転方向Rの前方側の端部(図14においては右側の端部)を含む部分に設けられた高抵抗部91と、第1の陽極側給電ブラシ131における高抵抗部91以外の部分に設けられ高抵抗部91よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92とから構成されている。第1の陽極側給電ブラシ131において、高抵抗部91と低抵抗部92とは回転方向Rに並んでいる。また、第1の陽極側給電ブラシ131は、電気抵抗値の異なる高抵抗部91及び低抵抗部92(2つのブラシ層)が回転方向Rに重なった多層構造をなしている(即ち積層ブラシである)。また、第1の陽極側給電ブラシ131において、高抵抗部91と低抵抗部92とは、回転方向Rの幅が等しく、第1の陽極側給電ブラシ131における高抵抗部91が占める体積の割合は2分の1となっている。そして、第1の陽極側給電ブラシ131の先端面においては、回転方向Rの前方側の半分の領域を高抵抗部91が占め、回転方向Rの後方側の半分の領域を低抵抗部92が占めている。更に、第1の陽極側給電ブラシ131は、径方向と直交する断面形状が径方向に一定となっており、同断面においては、高抵抗部91及び低抵抗部92は共に同じ大きさの四角形状をなしている。また、高抵抗部91は、C(炭素)を主成分とした材料を焼成して形成されたものであり、低抵抗部92は、Cu(銅)とC(炭素)とを主成分とした材料を焼成して形成されたものである。更に、低抵抗部92の電気抵抗値は、第2の陽極側給電ブラシ112の電気抵抗値よりも低い。また、本実施形態では、高抵抗部91の電気抵抗値は、第2の陽極側給電ブラシ112の電気抵抗値と同じである。
第1の陽極側給電ブラシ131と第2の陽極側給電ブラシ112とは、回転方向Rに180°離間した位置に配置されている。詳しくは、第1の陽極側給電ブラシ131と第2の陽極側給電ブラシ112とは、軸方向から見て、互いの中心線L11,L8が整流子45の中心軸線Lを通る同一直線上にある状態から、互いの中心線L11,L8が平行をなす状態を維持したまま中心線L11,L8がそれぞれ回転方向Rの前方側に所定量だけずれた位置に配置されている。そして、第1の陽極側給電ブラシ131と第2の陽極側給電ブラシ112とは、整流子45の中心軸線Lを対称軸とした回転対称の位置関係にある。従って、第1の陽極側給電ブラシ131の中心線L11を整流子45の径方向内側に延長した延長線M11は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。同様に、第2の陽極側給電ブラシ112の中心線L8を整流子45の径方向内側に延長した延長線M8は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。
なお、図13及び図14に示すように、第1の陰極側給電ブラシ133は、第1の陽極側給電ブラシ131から回転方向Rに90°離間した位置に配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ131及び第2の陽極側給電ブラシ112の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第1の陽極側給電ブラシ131と第2の陽極側給電ブラシ112とは、整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)が同じになる。同様に、第1の陰極側給電ブラシ133と第2の陰極側給電ブラシ114とは、整流終了時間が同じになる。そして、同極の第1の陽極側給電ブラシ131及び第2の陽極側給電ブラシ112は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ133及び第2の陰極側給電ブラシ114は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ131,133,112,114は、同一のコイル44を整流するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
同極の第1の陽極側給電ブラシ131と第2の陽極側給電ブラシ112とは、同電位のセグメント48から離間する時間が同じである。また、同極の第1の陰極側給電ブラシ133と第2の陰極側給電ブラシ114とは、同電位のセグメント48から離間する時間が同じである。そのため、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92を有する第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の少なくとも一方においてのみで、セグメント48から離間する時の火花が発生することが抑制されている。その一方で、全ての給電ブラシ131,133,112,114において、セグメント48から離間する時に火花が発生する可能性がある。
第1の陽極側給電ブラシ131は、その中心線L11を整流子45の径方向内側に延長した延長線M11が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そのため、第1の陽極側給電ブラシ131とセグメント48との間の接触抵抗は、第1の陽極側給電ブラシ131がセグメント48に接触してから整流子45の回転に伴って低くなった後に高くなり始める時期が、従来のモータにおける給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗よりも早まる。従って、第1の陽極側給電ブラシ131は、セグメント48から離間する時に、従来の給電ブラシよりもセグメント48にしっかり接触した状態で離間する。なお、第1の陰極側給電ブラシ133においても同様の作用が得られる。
また、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114については、上記第3実施形態に記載した第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114についての作用と同様の作用が得られる。
本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1),(2)と同様の効果、及び上記第3実施形態の(1),(2)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(1)どの給電ブラシ64(即ち給電ブラシ131,133,112,114)においても、回転する整流子45のセグメント48から離間する時に火花が発生する場合には、火花は、給電ブラシ64における回転方向Rの前方側の端部で発生する。本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133は、各給電ブラシ131,133における回転方向Rの前方側の端部を含む部分に設けられた高抵抗部91と、高抵抗部91と回転方向Rに並び高抵抗部91よりも電気抵抗値の低い低抵抗部92とを有する。そして、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の高抵抗部91と、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114とは、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の低抵抗部92よりも電気抵抗値が高い。即ち、何れの給電ブラシ131,133,112,114においても、回転方向Rの前方側の端部は、低抵抗部92よりも電気抵抗値が高くなっている。従って、各給電ブラシ131,133,112,114がセグメント48から離間する時に大きな火花が発生することが抑制される。
また、第2の陽極側給電ブラシ112におけるセグメント48に摺接する部分が欠けていたり同第2の陽極側給電ブラシ112ががたついたりして、第2の陽極側給電ブラシ112よりも第1の陽極側給電ブラシ131の方がセグメント48から離間するタイミングが遅くなる可能性がある。この場合においても、第1の陽極側給電ブラシ131における回転方向Rの前方側の端部は、電気抵抗値の高い高抵抗部91であるため、第1の陽極側給電ブラシ131の全体が低抵抗部92と同じ電気抵抗値である場合に比べて大きな火花の発生が抑制され、火花による摩耗が低減される。また、第1の陰極側給電ブラシ133についても同様に、第1の陰極側給電ブラシ133の全体が低抵抗部92と同じ電気抵抗値である場合に比べて大きな火花の発生が抑制され、火花による摩耗が低減される。
これらのことから、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114に比べて電気抵抗値の低い低抵抗部92を有する第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の寿命の低下を抑制することができる。
(2)モータに備えられた全ての給電ブラシ131,133,112,114は、各給電ブラシ131,133,112,114の中心線を整流子45側に延長した延長線が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そのため、全ての給電ブラシ131,133,112,114は、摺接中のセグメント48から離間する時に、同セグメント48にしっかり接触した状態で離間することができる。従って、全ての給電ブラシ131,133,112,114において、セグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。その結果、全ての給電ブラシ131,133,112,114の寿命の低下を抑制することができる。
(3)第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における高抵抗部91が占める体積の割合は、2分の1である。そのため、高抵抗部91を有する第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における電気的な損失が大きくなることを抑制しつつ、各給電ブラシ131,133がセグメント48から離間する時に発生する火花を一層低減させることができる。従って、モータの出力の低下を抑えつつ、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の寿命の低下を抑制することができる。
<第6実施形態>
以下、モータの第6実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態、上記第4実施形態及び上記第5実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81に代えて第1の陽極側給電ブラシ141を備え、上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82に代えて上記第4実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第1実施形態の第1の陰極側給電ブラシ83に代えて図示しない第1の陰極側給電ブラシを備え、上記第1実施形態の第2の陰極側給電ブラシ84に代えて上記第4実施形態の図示しない第2の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ141と第1の陰極側給電ブラシとは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。また、第2の陽極側給電ブラシ122と第2の陰極側給電ブラシとは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとの位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ141と第2の陽極側給電ブラシ122との位置関係と同じである。従って、陽極の第1の陽極側給電ブラシ141及び第2の陽極側給電ブラシ122についてのみ、形状や配置位置について説明し、陰極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。
第1の陽極側給電ブラシ141は、第2の陽極側給電ブラシ122と同様の略直方体状をなしている。そして、第1の陽極側給電ブラシ141における回転方向Rの幅D13は、第2の陽極側給電ブラシ122における回転方向Rの幅D10と等しい。また、本実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ141の回転方向Rの幅D13及び第2の陽極側給電ブラシ122の回転方向Rの幅D10は、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。
第1の陽極側給電ブラシ141は、回転方向Rに電気抵抗値が変化するように構成されている。詳しくは、第1の陽極側給電ブラシ141は、第1の陽極側給電ブラシ141における回転方向Rの前方側の端部を含む部分に設けられた高抵抗部91と、第1の陽極側給電ブラシ141における高抵抗部91以外の部分に設けられた低抵抗部92とから構成されている。第1の陽極側給電ブラシ141において、高抵抗部91と低抵抗部92とは回転方向Rに並んでおり、第1の陽極側給電ブラシ141は、高抵抗部91及び低抵抗部92が回転方向Rに重なった多層構造をなしている(即ち積層ブラシである)。また、第1の陽極側給電ブラシ141において、高抵抗部91と低抵抗部92とは、回転方向Rの幅が等しく、第1の陽極側給電ブラシ141における高抵抗部91が占める体積の割合は2分の1となっている。そして、第1の陽極側給電ブラシ141の先端面においては、回転方向Rの前方側の半分の領域を高抵抗部91が占め、回転方向Rの後方側の半分の領域を低抵抗部92が占めている。更に、第1の陽極側給電ブラシ141は、径方向と直交する断面形状が径方向に一定となっており、同断面においては、高抵抗部91及び低抵抗部92は共に同じ大きさの四角形状をなしている。なお、低抵抗部92の電気抵抗値は、第2の陽極側給電ブラシ122の電気抵抗値よりも低い。また、本実施形態では、高抵抗部91の電気抵抗値は、第2の陽極側給電ブラシ122の電気抵抗値と同じである。
第1の陽極側給電ブラシ141と第2の陽極側給電ブラシ122とは、回転方向Rに180°離間した位置に配置されている。そして、第1の陽極側給電ブラシ141の中心線L13は、第1の陽極側給電ブラシ141の後端における位置よりも第1の陽極側給電ブラシ141の先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。また、第1の陽極側給電ブラシ141と第2の陽極側給電ブラシ122とは、整流子45の中心軸線Lを対称軸とした回転対称の位置関係にある。従って、第1の陽極側給電ブラシ141の中心線L13を整流子45の径方向内側に延長した延長線M13は、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。
また、陽極の2つの給電ブラシ64は、第1の陽極側給電ブラシ141の先端面において中心線L13がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ122の先端面において中心線L10がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。
なお、本実施形態の第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ141から回転方向Rに90°離間した位置に配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ141及び第2の陽極側給電ブラシ122の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第1の陽極側給電ブラシ141と第2の陽極側給電ブラシ122とは、整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)が同じになる。同様に、第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとは、整流終了時間が同じになる。そして、同極の第1の陽極側給電ブラシ141及び第2の陽極側給電ブラシ122は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシは、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル44を整流するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
同極の第1の陽極側給電ブラシ141と第2の陽極側給電ブラシ122とは、同電位のセグメント48から離間する時間が同じである。また、同極の第1の陰極側給電ブラシと第2の陰極側給電ブラシとは、同電位のセグメント48から離間する時間が同じである。そのため、第2の陽極側給電ブラシ122及び第2の陰極側給電ブラシよりも電気抵抗値の低い低抵抗部92を有する第1の陽極側給電ブラシ141及び第1の陰極側給電ブラシの少なくとも一方においてのみで、セグメント48から離間する時の火花が発生することが抑制されている。その一方で、全ての給電ブラシ64において、セグメント48から離間する時に火花が発生する可能性がある。
第1の陽極側給電ブラシ141は、その中心線L13を整流子45の径方向内側に延長した延長線M13が、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そのため、第1の陽極側給電ブラシ141とセグメント48との間の接触抵抗は、第1の陽極側給電ブラシ141がセグメント48に接触してから整流子45の回転に伴って低くなった後に高くなり始める時期が、従来のモータにおける給電ブラシとセグメントとの間の接触抵抗よりも早まる。従って、第1の陽極側給電ブラシ141は、セグメント48から離間する時に、従来の給電ブラシよりもセグメント48にしっかり接触した状態で離間する。なお、第1の陰極側給電ブラシにおいても同様の作用が得られる。
また、第2の陽極側給電ブラシ122及び第2の陰極側給電ブラシについては、上記第4実施形態に記載した第2の陽極側給電ブラシ122及び第2の陰極側給電ブラシについての作用と同様の作用が得られる。
本実施形態によれば、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第7実施形態>
以下、モータの第7実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図16に示す本実施形態のモータ201は、磁石33の磁極数が「6」となっている。また、モータ201に備えられた電機子202の電機子コア203は、周方向に並ぶ26個のティース46を有することにより、24個のスロット47を備えている。なお、各スロット47に対して、図16に示すように、回転方向Rに順に「1」〜「24」のスロット番号を付すことにする。
また、電機子202の整流子204は、その外周面に周方向に等角度間隔に設けられた24個のセグメント48を有する。なお、各セグメント48に対して、図16に示すように、回転方向Rに順に「1」〜「24」のセグメント番号を付すことにする。
前記電機子コア203には、導線49が巻回されることにより複数のコイル205が巻装されている。導線49は、周方向に連続して並んだ3つのティース46に跨って巻回、所謂分布巻にて巻回されている。具体的には、導線49は、番号「24」のセグメント48から番号「1」のスロット47に延び、該番号「1」のスロット47と番号「4」のスロット47との間の3つのティース46に複数回巻回された後に、番号「1」のセグメント48に接続されている。次いで、導線49は、番号「1」のセグメント48から番号「2」のスロット47に延び、該番号「2」のスロット47と番号「5」のスロット47との間の3つのティース46に複数回巻回された後に、番号「2」のセグメント48に接続されている。次いで、導線49は、番号「2」のセグメント48から番号「3」のスロット47に延び、該番号「3」のスロット47と番号「6」のスロット47との間の3つのティース46に複数回巻回された後に、番号「3」のセグメント48に接続されている。同様にして、全てのセグメント48及び全てのスロット47に導線49が巻装されることにより、24個のコイル205が形成されている。即ち、本実施形態のモータ201は、コイル205の数が「24」となっている。
また、整流子204は、同電位となる所定のセグメント48同士、本実施形態では120°間隔に配置されたセグメント48同士を短絡する短絡部材51を備えている。具体的には、番号「1」,「9」,「17」の3つのセグメント48が短絡部材51により短絡されている。また、番号「2」,「10」,「18」の3つのセグメント48が短絡部材51により短絡されている。更に、番号「3」,「11」,「19」の3つのセグメント48が短絡部材51により短絡されている。同様にして、他のセグメント48も短絡部材51により短絡されている。
また、モータ201は、整流子204の外周面に摺接する6つの給電ブラシ64を備えている。即ち、モータ201は、磁石33の磁極数と同数の6つの給電ブラシ64を備えている。そして、本実施形態の6つの給電ブラシ64は、整流子204の回転方向Rに略60°間隔に配置されている。
6つの給電ブラシ64のうち3つの給電ブラシ64は、陽極の給電ブラシであって、第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ212である。また、残りの3つの給電ブラシ64は、陰極の給電ブラシであって、第1の陰極側給電ブラシ213a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ214である。そして、6つの給電ブラシ64は、回転方向Rに、第1の陽極側給電ブラシ211a、第1の陰極側給電ブラシ213a、第1の陽極側給電ブラシ211b、第1の陰極側給電ブラシ213b、第2の陽極側給電ブラシ212、第2の陰極側給電ブラシ214の順に並んでいる。
本実施形態のモータ201においては、第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第1の陰極側給電ブラシ213a,213bは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。また、第2の陽極側給電ブラシ212と第2の陰極側給電ブラシ214とは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、第1の陰極側給電ブラシ213a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ214の位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ212の位置関係と同じである。従って、陽極の第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ212についてのみ、形状や配置位置について説明し、陰極の第1の陰極側給電ブラシ213a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ214の形状及び配置位置の説明を省略する。
図17に示すように、第1の陽極側給電ブラシ211aと第1の陽極側給電ブラシ211bとは、それぞれ上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81と同じ材料から形成され同様の形状をなしている。第2の陽極側給電ブラシ212は、上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82と同じ材料から形成され同様の形状をなしている。従って、第1の陽極側給電ブラシ211aの回転方向Rの幅D21及び第1の陽極側給電ブラシ211bの回転方向Rの幅D22は、第2の陽極側給電ブラシ212の回転方向Rの幅D23の4分の3の幅となっている。更に、第2の陽極側給電ブラシ212の回転方向Rの幅D23は、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。また、各第1の陽極側給電ブラシ211a,211bは、全体が低抵抗部92であり、第2の陽極側給電ブラシ212よりも電気抵抗値が低い。
そして、第2の陽極側給電ブラシ212は、軸方向から見て、その中心線L23を整流子204の径方向内側に延長した延長線M23が、整流子204の中心軸線Lを通るように配置されている。ここで、第2の陽極側給電ブラシ212の中心線L23(延長線M23)から回転方向Rに120°離間した位置で整流子204の径方向に延び同整流子204の中心軸線Lを通る直線を基準線N21(図17において破線で図示)とする。第1の陽極側給電ブラシ211aは、軸方向から見て、その中心線L21が基準線N21と同一直線上になる位置から、中心線L21が基準線N21と平行をなす状態を維持したまま回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第1の陽極側給電ブラシ211aの中心線L21を整流子204の径方向内側に延長した延長線M21は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。
また、第2の陽極側給電ブラシ212の中心線L23(延長線M23)から回転方向Rに240°離間した位置、即ち基準線N21から回転方向Rに120°離間した位置で整流子204の径方向に延び同整流子204の中心軸線Lを通る直線を基準線N22(図17において破線で図示)とする。第1の陽極側給電ブラシ211bは、その中心線L22が基準線N22と同一直線上になる位置から、中心線L22が基準線N22と平行をなす状態を維持したまま回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第1の陽極側給電ブラシ211bの中心線L22を整流子204の径方向内側に延長した延長線M22は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。また、第1の陽極側給電ブラシ211aと第1の陽極側給電ブラシ211bとは、回転方向Rに120°離間した位置に配置されている。
なお、図16及び図17に示すように、第2の陰極側給電ブラシ214は、第2の陽極側給電ブラシ212から回転方向Rに60°離間した位置に配置されている。
また、陽極の3つの給電ブラシ64は、各第1の陽極側給電ブラシ211a,211bにおける回転方向Rの前方側の端部が、セグメント48における回転方向Rの前方側の端部に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ212における回転方向Rの前方側の端部が、セグメント48における回転方向Rの前方側の端部に位置するように配置されている。例えば、図16に示すように、第1の陽極側給電ブラシ211aの回転方向Rの前方側の端部が番号「2」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置し、第1の陽極側給電ブラシ211bの回転方向Rの前方側の端部が番号「10」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置する時、第2の陽極側給電ブラシ212の回転方向の前方側の端部が番号「18」のセグメント48の回転方向Rの前方側の端部に位置する。
図16及び図17に示すように、第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ212の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ212は、第1の陽極側給電ブラシ211a、211bより先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、各第1の陽極側給電ブラシ211a,211bの整流終了時間(セグメント48から離間する時間)と、第2の陽極側給電ブラシ212の整流終了時間とが同じになる。また、第1の陰極側給電ブラシ213a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ214についても、同様に、第2の陰極側給電ブラシ214の方が第1の陰極側給電ブラシ213a、213bより先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、各第1の陰極側給電ブラシ213a,213bの整流終了時間と、第2の陰極側給電ブラシ214の整流終了時間とが同じになる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ212は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ213a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ214は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル205を整流するようになっている。
6つの給電ブラシ64を備えた本実施形態のモータ201においても、上記第1実施形態の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
<第8実施形態>
以下、モータの第8実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態、上記第2実施形態及び上記第7実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態のモータは、上記第7実施形態のモータ201において、第1の陽極側給電ブラシ211a,211bに代えて第1の陽極側給電ブラシ221a,221bを備えている。また、本実施形態のモータは、上記第7実施形態のモータ201において、第1の陰極側給電ブラシ213a,213bに代えて図示しない2つの第1の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態の2つの第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ221a,221bと同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、当該2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシ214の位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ221a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ212の位置関係と同じである。従って、第1の陽極側給電ブラシ221a,221bについてのみ、形状や配置位置について説明し、2つの第1の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。
第1の陽極側給電ブラシ221aと第1の陽極側給電ブラシ221bとは、同じ形状をなしており、それぞれ上記第2実施形態の第1の陽極側給電ブラシ101と同じ材料から形成され同様の形状をなしている。従って、第1の陽極側給電ブラシ221aの回転方向Rの幅D25及び第1の陽極側給電ブラシ221bの回転方向Rの幅D26は、第2の陽極側給電ブラシ212の回転方向Rの幅D23の4分の3の幅となっている。また、各第1の陽極側給電ブラシ221a,221bは、全体が低抵抗部92であり、第2の陽極側給電ブラシ212よりも電気抵抗値が低い。
第1の陽極側給電ブラシ221aは、第2の陽極側給電ブラシ212から回転方向Rに略120°離間した位置に配置されている。そして、第1の陽極側給電ブラシ221aの中心線L25は、第1の陽極側給電ブラシ221aの後端における位置よりも第1の陽極側給電ブラシ221aの先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。また、第1の陽極側給電ブラシ221aの中心線L25を整流子204の径方向内側に延長した延長線M25は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そして、第1の陽極側給電ブラシ221aの先端面においては、中心線L25は、基準線N21と回転方向Rの位置が同じであり、延長線M25は、基準線N21よりも回転方向Rの前方側に位置する。また、第1の陽極側給電ブラシ221aは、第2の陽極側給電ブラシ212の先端面における回転方向Rの中央がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第1の陽極側給電ブラシ221aの先端面において中心線L25がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。
また、第1の陽極側給電ブラシ221bは、第2の陽極側給電ブラシ212から回転方向Rに略240°離間した位置であって、第1の陽極側給電ブラシ221aから回転方向Rに120°離間した位置に配置されている。そして、第1の陽極側給電ブラシ221bの中心線L26は、第1の陽極側給電ブラシ221bの後端における位置よりも第1の陽極側給電ブラシ221bの先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。また、第1の陽極側給電ブラシ221bの中心線L26を整流子204の径方向内側に延長した延長線M26は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そして、第1の陽極側給電ブラシ221bの先端面においては、中心線L26は、基準線N22と回転方向Rの位置が同じであり、延長線M26は、基準線N22よりも回転方向Rの前方側に位置する。また、第1の陽極側給電ブラシ221bは、第2の陽極側給電ブラシ212の先端面における回転方向Rの中央がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第1の陽極側給電ブラシ221bの先端面において中心線L26がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ221a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ212の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ212は、第1の陽極側給電ブラシ221a、221bより先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、第2の陽極側給電ブラシ212の整流終了時間(セグメント48から離間する時間)が、各第1の陽極側給電ブラシ211a,211bの整流終了時間よりも遅くなる。また、2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシ214についても、同様に、第2の陰極側給電ブラシ214の方が各第1の陰極側給電ブラシより先に、摺接中のセグメント48の隣のセグメント48に接触する。更に、第2の陰極側給電ブラシ214の整流終了時間が、各第1の陰極側給電ブラシの整流終了時間よりも遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ221a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ212は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシ214は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル205を整流するようになっている。
上記した6つの給電ブラシ64を備えた本実施形態のモータにおいても、上記第2実施形態の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
<第9実施形態>
以下、モータの第9実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態、上記第3実施形態及び上記第7実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態のモータは、上記第7実施形態のモータ201において、第1の陽極側給電ブラシ211a,211bに代えて第1の陽極側給電ブラシ231a,231bを備えるとともに、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて第2の陽極側給電ブラシ232を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第7実施形態のモータ201において、第1の陰極側給電ブラシ213a,213bに代えて図示しない2つの第1の陰極側給電ブラシを備えるとともに、第2の陰極側給電ブラシ214に代えて図示しない第2の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態では、2つの第1の陰極側給電ブラシは、第1の陽極側給電ブラシ231a,231bと同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。また、第2の陰極側給電ブラシは、第2の陽極側給電ブラシ232と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ232の位置関係と同じである。従って、第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ232についてのみ、形状や配置位置について説明し、2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。
第1の陽極側給電ブラシ231aと第1の陽極側給電ブラシ231bとは、同じ形状をなしており、それぞれ上記第3実施形態の第1の陽極側給電ブラシ111と同じ材料から形成され同様の形状をなしている。また、第2の陽極側給電ブラシ232は、上記第3実施形態の第2の陽極側給電ブラシ112と同じ材料から形成され同様の形状をなしている。従って、第1の陽極側給電ブラシ231aの回転方向Rの幅D31、第1の陽極側給電ブラシ231bの回転方向Rの幅D32、及び第2の陽極側給電ブラシ232の回転方向Rの幅D33は、同じ値であり、本実施形態では、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。また、各第1の陽極側給電ブラシ231a,231bは、全体が低抵抗部92であり、第2の陽極側給電ブラシ232よりも電気抵抗値が低い。
ここで、軸方向から見て、回転方向Rに等角度間隔(即ち120°間隔)となる3箇所で、整流子204の外周面から同整流子204の中心軸線Lまで延びる直線(図19において破線で図示)を、基準線N31,N32,N33とする。基準線N31,N32,N33は、回転方向Rに、基準線N31、基準線N32、基準線N33の順に並んでいる。
第1の陽極側給電ブラシ231aは、軸方向から見て、その中心線L31を整流子204の径方向内側に延長した延長線M31が、基準線N31と同一直線上となり、整流子204の中心軸線Lを通るように配置されている。また、第1の陽極側給電ブラシ231bは、第1の陽極側給電ブラシ231aから回転方向Rに120°離間した位置に配置されている。そして、第1の陽極側給電ブラシ231bは、軸方向から見て、その中心線L32を整流子204の径方向内側に延長した延長線M32が、基準線N32と同一直線上となり、整流子204の中心軸線Lを通るように配置されている。
また、第2の陽極側給電ブラシ232は、その中心線L33が基準線N33と同一直線上になる位置から、中心線L33が基準線N33と平行をなす状態を維持したまま回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第2の陽極側給電ブラシ232の中心線L33を整流子204の径方向内側に延長した延長線M33は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。
なお、第2の陰極側給電ブラシは、第2の陽極側給電ブラシ232から回転方向Rに60°離間した位置に配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ232の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ232の整流終了時間(セグメント48から離間する時間)が、各第1の陽極側給電ブラシ231a,231bの整流終了時間よりも遅くなる。また、2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシについても、同様に、第2の陰極側給電ブラシの整流終了時間が、各第1の陰極側給電ブラシの整流終了時間よりも遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ232は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシは、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル205を整流するようになっている。
上記した6つの給電ブラシ64を備えた本実施形態のモータにおいても、上記第3実施形態の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
<第10実施形態>
以下、モータの第10実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態、上記第4実施形態、上記第7実施形態及び上記第9実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図20に示すように、本実施形態のモータは、上記第9実施形態のモータにおいて、第2の陽極側給電ブラシ232に代えて第2の陽極側給電ブラシ242を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第9実施形態の第2の陰極側給電ブラシに代えて、図示しない第2の陰極側給電ブラシを備えている。本実施形態の第2の陰極側給電ブラシは、第2の陽極側給電ブラシ242と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ242の位置関係と同じである。従って、第2の陽極側給電ブラシ242についてのみ、形状や配置位置について説明し、第2の陰極側給電ブラシの形状及び配置位置の説明を省略する。
第2の陽極側給電ブラシ242は、上記第4実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122と同じ材料から形成され同様の形状をなしている。従って、第1の陽極側給電ブラシ231aの回転方向Rの幅D31、第1の陽極側給電ブラシ231bの回転方向Rの幅D32、及び第2の陽極側給電ブラシ242の回転方向Rの幅D34は、同じ値であり、本実施形態では、各セグメント48における回転方向Rの幅と等しい。また、第2の陽極側給電ブラシ212は、各第1の陽極側給電ブラシ231a,231bよりも電気抵抗値が高い。
第2の陽極側給電ブラシ242は、第1の陽極側給電ブラシ231bから回転方向Rに略120°離間した位置に配置されている。そして、第2の陽極側給電ブラシ242の中心線L34は、第2の陽極側給電ブラシ242の後端における位置よりも第2の陽極側給電ブラシ242の先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。また、第2の陽極側給電ブラシ242の中心線L34を整流子204の径方向内側に延長した延長線M34は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そして、第2の陽極側給電ブラシ242の先端面においては、中心線L34は、基準線N33と回転方向Rの位置が同じであり、延長線M34は、基準線N33よりも回転方向Rの前方側に位置する。また、第2の陽極側給電ブラシ242は、各第1の陽極側給電ブラシ231a,231bの先端面における回転方向Rの中央がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ242の先端面において中心線L34がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ242の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第2の陽極側給電ブラシ242の整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)が、各第1の陽極側給電ブラシ231a,231bの整流終了時間よりも僅かに遅くなる。2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシについても、同様に、第2の陰極側給電ブラシの整流終了時間が、各第1の陰極側給電ブラシの整流終了時間よりも僅かに遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ231a,231b及び第2の陽極側給電ブラシ242は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシは、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル205を整流するようになっている。
上記した6つの給電ブラシ64を備えた本実施形態のモータにおいても、上記第4実施形態の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
<第11実施形態>
以下、モータの第11実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態、上記第5実施形態、上記第7実施形態及び上記第9実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図21に示すように、本実施形態のモータは、上記第7実施形態のモータ201において、第1の陽極側給電ブラシ211aに代えて第1の陽極側給電ブラシ251aを備えるとともに、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて上記第9実施形態の第2の陽極側給電ブラシ232を備えている。また、本実施形態のモータは、上記第7実施形態のモータ201において、第1の陰極側給電ブラシ213aに代えて第1の陰極側給電ブラシ253aを備えるとともに、第2の陰極側給電ブラシ214に代えて上記第9実施形態の第2の陰極側給電ブラシ(本実施形態では第2の陰極側給電ブラシ234とする)を備えている。本実施形態の第1の陽極側給電ブラシ251aと第1の陰極側給電ブラシ253aとは、同じ形状をなすとともに同じ材料から形成されている。更に、陰極の第1の陰極側給電ブラシ253a、第1の陰極側給電ブラシ213b及び第2の陰極側給電ブラシ234の位置関係は、陽極の第1の陽極側給電ブラシ251a、第1の陽極側給電ブラシ211b及び第2の陽極側給電ブラシ232の位置関係と同じである。従って、第1の陽極側給電ブラシ251aについてのみ、形状や配置位置について説明し、第1の陰極側給電ブラシ253aの形状及び配置位置の説明を省略する。
図22に示すように、第1の陽極側給電ブラシ251aは、上記第5実施形態の第1の陽極側給電ブラシ131と同じ材料から形成され、同第1の陽極側給電ブラシ131と構成及び形状が同様である。即ち、第1の陽極側給電ブラシ251aは、第1の陽極側給電ブラシ251aにおける回転方向Rの前方側の端部に設けられた高抵抗部91と、高抵抗部91よりも回転方向Rの後方側に設けられた低抵抗部92とから構成された多層構造の給電ブラシである。そして、第1の陽極側給電ブラシ251aにおける回転方向Rの幅D35は、第2の陽極側給電ブラシ232における回転方向Rの幅D33と等しく、本実施形態では、各セグメント48における回転方向Rの幅と同じ値である。また、第1の陽極側給電ブラシ211bにおける回転方向Rの幅D22は、第2の陽極側給電ブラシ232における回転方向Rの幅D33の4分の3の幅となっている。
第2の陽極側給電ブラシ232は、軸方向から見て、その中心線L33が基準線N33と同一直線上になる位置から、中心線L33が基準線N33と平行をなす状態を維持したまま回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第2の陽極側給電ブラシ232の中心線L33を整流子204の径方向内側に延長した延長線M33は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。
また、第1の陽極側給電ブラシ251aは、第2の陽極側給電ブラシ232から回転方向Rに120°離間した位置に配置されている。詳しくは、第1の陽極側給電ブラシ251aは、軸方向から見て、その中心線L35が基準線N31と同一直線上になる位置から、中心線L35が基準線N31と平行をなす状態を維持したまま回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第1の陽極側給電ブラシ251aの中心線L35を整流子204の径方向内側に延長した延長線M35は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。因みに、本実施形態では、基準線N31からの第1の陽極側給電ブラシ251aの中心線L35のずれ量は、基準線N33からの第2の陽極側給電ブラシ232の中心線L33のずれ量と等しい。
また、第1の陽極側給電ブラシ211bは、軸方向から見て、その中心線L22が基準線N32と同一直線上になる位置から、中心線L22が基準線N32と平行をなす状態を維持したまま回転方向Rの前方側に若干ずれた位置に配置されている。従って、第1の陽極側給電ブラシ211bの中心線L22を整流子204の径方向内側に延長した延長線M22は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。因みに、本実施形態では、基準線N32からの第1の陽極側給電ブラシ211bの中心線L22のずれ量は、基準線N33からの第2の陽極側給電ブラシ232の中心線L33のずれ量よりも少ない。
なお、図21及び図22に示すように、第1の陰極側給電ブラシ253aは、第1の陽極側給電ブラシ251aから回転方向Rに60°離間した位置に配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ251a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ232の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第1の陽極側給電ブラシ251aの整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)と第2の陽極側給電ブラシ232の整流終了時間とが同じになる。また、第2の陽極側給電ブラシ232の整流終了時間が、第1の陽極側給電ブラシ211bの整流終了時間よりも遅くなる。第1の陰極側給電ブラシ253a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ234についても、同様に、第1の陰極側給電ブラシ253aの整流終了時間と第2の陰極側給電ブラシ234の整流終了時間とが同じになるとともに、第2の陰極側給電ブラシ234の整流終了時間が、第1の陰極側給電ブラシ213bの整流終了時間よりも遅くなる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ251a,211b及び第2の陽極側給電ブラシ232は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ253a,213b及び第2の陰極側給電ブラシ234は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル205を整流するようになっている。
そして、第1の陽極側給電ブラシ251a及び第1の陰極側給電ブラシ253aについては、上記第5実施形態に記載した第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133についての作用と同様の作用が得られる。また、第1の陽極側給電ブラシ211b及び第1の陰極側給電ブラシ213bについては、上記第1実施形態に記載した第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83についての作用と同様の作用が得られる。更に、第2の陽極側給電ブラシ232及び第2の陰極側給電ブラシ234については、上記第3実施形態に記載した第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシについての作用と同様の作用が得られる。
そして、第1の陽極側給電ブラシ251a,211b及び第1の陰極側給電ブラシ253a,213bについては、上記第1実施形態の(2)と同様の効果を得ることができる。また、第1の陽極側給電ブラシ251a及び第1の陰極側給電ブラシ253aについては、上記第1実施形態の(1)、上記第5実施形態の(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。また、第1の陽極側給電ブラシ211b及び第1の陰極側給電ブラシ213bについては、上記第1実施形態の(3),(4)及び上記第2実施形態の(1),(2)と同様の効果を得ることができる。更に、第2の陽極側給電ブラシ232及び第2の陰極側給電ブラシ234については、上記第3実施形態の(1),(2)と同様の効果を得ることができる。
<第12実施形態>
以下、モータの第12実施形態について説明する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態、上記第6実施形態、上記第8実施形態及び上記第10実施形態と同一の構成及び対応する構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図23に示すように、本実施形態のモータは、上記第8実施形態のモータにおいて、第1の陽極側給電ブラシ221aに代えて第1の陽極側給電ブラシ271aを備えるとともに、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて上記第10実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242を備えている。また、本実施形態のモータは、第1の陽極側給電ブラシ271a,221bと同じ形状をなすとともに同じ材料から形成された図示しない2つの第1の陰極側給電ブラシ、及び、第2の陽極側給電ブラシ242と同じ形状をなすとともに同じ材料から形成された図示しない第2の陰極側給電ブラシを備えている。2つの陰極の第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシの位置関係は、第1の陽極側給電ブラシ271a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ242の位置関係と同じである。従って、陽極の第1の陽極側給電ブラシ271a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ242についてのみ形状や配置位置について説明する。
第1の陽極側給電ブラシ271aは、上記第6実施形態の第1の陽極側給電ブラシ141と同じ材料から形成され、同第1の陽極側給電ブラシ141と構成及び形状が同様である。即ち、第1の陽極側給電ブラシ271aは、第1の陽極側給電ブラシ271aにおける回転方向Rの前方側の端部に設けられた高抵抗部91と、高抵抗部91よりも回転方向Rの後方側に設けられた低抵抗部92とから構成された多層構造の給電ブラシである。そして、第1の陽極側給電ブラシ271aにおける回転方向Rの幅D37は、第2の陽極側給電ブラシ242における回転方向Rの幅D34と等しく、本実施形態では、各セグメント48における回転方向Rの幅と同じ値である。また、第1の陽極側給電ブラシ221bにおける回転方向Rの幅D26は、第2の陽極側給電ブラシ242における回転方向Rの幅D34の4分の3の幅となっている。
そして、第1の陽極側給電ブラシ271a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ242は、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)に配置されている。
第1の陽極側給電ブラシ271aは、その先端面における中心線L37の回転方向Rの位置が基準線N31の回転方向Rの位置と一致する位置に配置されている。そして、第1の陽極側給電ブラシ271aの中心線L37は、第1の陽極側給電ブラシ271aの後端における位置よりも第1の陽極側給電ブラシ271aの先端における位置の方が回転方向Rの前方側に位置するように傾斜している。また、第1の陽極側給電ブラシ271aの中心線L37を整流子204の径方向内側に延長した延長線M37は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そして、第1の陽極側給電ブラシ251aの中心線L37の延長線M37は、基準線N31よりも回転方向Rの前方側に位置する。
また、第1の陽極側給電ブラシ271aから回転方向Rに120°離間した位置に第1の陽極側給電ブラシ221bが配置されている。第1の陽極側給電ブラシ221bの中心線L26の延長線M26は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そして、第1の陽極側給電ブラシ221bの先端面においては、中心線L26は、基準線N32と回転方向Rの位置が同じであり、延長線M26は、基準線N32よりも回転方向Rの前方側に位置する。
また、第1の陽極側給電ブラシ221bから回転方向Rに120°離間した位置に第2の陽極側給電ブラシ242が配置されている。第2の陽極側給電ブラシ242の中心線L34の延長線M34は、軸方向から見て、整流子204の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。そして、第2の陽極側給電ブラシ242の先端面においては、中心線L34は、基準線N33と回転方向Rの位置が同じであり、延長線M34は、基準線N33よりも回転方向Rの前方側に位置する。
なお、第1の陽極側給電ブラシ271aの先端面において中心線L37がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第1の陽極側給電ブラシ221bの先端面において中心線L26がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するとともに、第2の陽極側給電ブラシ242の先端面において中心線L34がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する。
第1の陽極側給電ブラシ271a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ242の回転方向Rの幅及び配置位置が上記のように構成されることにより、第1の陽極側給電ブラシ271aの整流終了時間(摺接中のセグメント48から離間する時間)と第2の陽極側給電ブラシ242の整流終了時間とが同じになる。また、第2の陽極側給電ブラシ242の整流終了時間が、第1の陽極側給電ブラシ221bの整流終了時間よりも遅くなる。陰極2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシについても、同様に、第1の陽極側給電ブラシ271aと同様の構成の一方の第1の陰極側給電ブラシの整流終了時間と第2の陰極側給電ブラシの整流終了時間とが同じになる。また、第2の陰極側給電ブラシの整流終了時間が、第1の陽極側給電ブラシ221bと同様の構成の他方の第1の陰極側給電ブラシの整流終了時間よりも遅くなる。なお、この場合、陽極の第1の陽極側給電ブラシ271a,221b及び第2の陽極側給電ブラシ242は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、陰極の2つの第1の陰極側給電ブラシ及び第2の陰極側給電ブラシは、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ64は、同一のコイル205を整流するようになっている。
上記した6つの給電ブラシ64を備えた本実施形態のモータにおいても、上記第11実施形態の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・図24に示すように、上記第1実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ82に代えて、上記第3実施形態の第2の陽極側給電ブラシ112をモータ31に備えてもよい。このようにすると、上記第1実施形態の効果に加えて、上記第3実施形態の効果を得ることができる。なお、上記第1実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ82に代えて、上記第4実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122をモータ201に備えても、同様の効果を得ることができる。また、第2の陰極側給電ブラシ84についても同様に、上記第3実施形態の第2の陽極側給電ブラシ112もしくは上記第4実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122と同様の形状をなすものに変更してもよい。
・図25に示すように、上記第2実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ82に代えて、上記第4実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122をモータに備えてもよい。このようにすると、上記第2実施形態の効果に加えて、上記第4実施形態の効果(即ち上記第3実施形態と同様の効果)を得ることができる。なお、上記第2実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ82に代えて、上記第3実施形態の第2の陽極側給電ブラシ112をモータに備えても、同様の効果を得ることができる。また、第2の陰極側給電ブラシ84についても同様に、上記第3実施形態の第2の陽極側給電ブラシ112もしくは上記第4実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122と同様の形状をなすものに変更してもよい。
・上記第3実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ112の回転方向Rの幅D8と同じ回転方向Rの幅D7を有する第1の陽極側給電ブラシ111を、その中心線L7の延長線M7が整流子45の中心軸線Lの回転方向Rの前方側を通るようにしてもよい。この場合、第1の陽極側給電ブラシ111は、例えば、上記第1実施形態の第1の陽極側給電ブラシ81のように、中心線L7が第2の陽極側給電ブラシ112の中心線L8と平行を維持したまま回転方向Rの前方側にずれるように配置される。また、第1の陽極側給電ブラシ111は、例えば、上記第2実施形態の第1の陽極側給電ブラシ101のように、その中心線L5が、第1の陽極側給電ブラシ111の後端における位置よりも第1の陽極側給電ブラシ111の先端における位置の方が回転方向Rの前方側となるように傾斜した構成とされる。但し、何れの場合においても、第1の陽極側給電ブラシ111は、同電位のセグメント48から離間する時間が第2の陽極側給電ブラシ112よりも遅くならないように配置される。そして、上記第3実施形態の第1の陰極側給電ブラシについても同様に、その中心線の延長線が整流子45の中心軸線Lの回転方向Rの前方側を通るようにしてもよい。このようにすると、第1の陽極側給電ブラシ111及び第1の陰極側給電ブラシは、セグメント48から離間する時に、同セグメント48にしっかり接触した状態で離間するようになる。従って、第1の陽極側給電ブラシ111及び第1の陰極側給電ブラシがセグメント48から離間する時に発生する火花を更に低減させることができ、その結果、第1の陽極側給電ブラシ111及び第1の陰極側給電ブラシの寿命の低下を更に抑制することができる。
なお、第4実施形態においても、第1の陽極側給電ブラシ111及び第1の陰極側給電ブラシを同様に変更すると、同様の効果を得ることができる。
・図27に示すように、上記第7実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて、上記第9実施形態の第2の陽極側給電ブラシ232をモータ201に備えてもよい。このようにすると、上記第7実施形態の効果に加えて、上記第9実施形態の効果を得ることができる。なお、上記第7実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて、上記第10実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242をモータ201に備えても、同様の効果を得ることができる。また、第2の陰極側給電ブラシ214についても同様に、上記第9実施形態の第2の陽極側給電ブラシ232もしくは上記第10実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242と同様の形状をなすものに変更してもよい。
・図28に示すように、上記第8実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて、上記第10実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242をモータに備えてもよい。このようにすると、上記第8実施形態の効果に加えて、上記第10実施形態の効果(即ち上記第9実施形態と同様の効果)を得ることができる。なお、上記第8実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ212に代えて、上記第9実施形態の第2の陽極側給電ブラシ232をモータに備えても、同様の効果を得ることができる。また、第2の陰極側給電ブラシ214についても同様に、上記第9実施形態の第2の陽極側給電ブラシ232もしくは上記第10実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242と同様の形状をなすものに変更してもよい。
・上記第9実施形態のモータにおいて、第1の陽極側給電ブラシ231aに代えて上記第7実施形態の第1の陽極側給電ブラシ211aを備える、もしくは、第1の陽極側給電ブラシ231bに代えて上記第7実施形態の第1の陽極側給電ブラシ211bを備えてもよい。例えば、図29に示す例では、第1の陽極側給電ブラシ231aに代えて、上記第7実施形態の第1の陽極側給電ブラシ211aを備えている。このようにすると、モータに備えられた第1の陽極側給電ブラシ211aもしくは第1の陽極側給電ブラシ211bについて、上記第7実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第1の陽極側給電ブラシ231a,231bの何れか一方を、上記第8実施形態の第1の陽極側給電ブラシ221a,221bのうちの対応するものに代えても、同様の効果を得ることができる。そして、2つの第1の陰極側給電ブラシについても同様に、何れか一方の第1の陰極側給電ブラシを第7実施形態の第1の陰極側給電ブラシ213a,213bもしくは第8実施形態の2つの第1の陰極側給電ブラシのうちの対応するものに代えてもよい。また、この例において、第2の陽極側給電ブラシ232は、その中心線L33の延長線M33が基準線N33と同一直線上となるように(即ち、延長線M33が整流子204の中心軸線Lを通るように)構成されてもよい。即ち、本例において、第2の陽極側給電ブラシ232に代えて、上記第7実施形態の第2の陽極側給電ブラシ212をモータに備えてもよい。第2の陰極側給電ブラシについても同様である。
・上記第10実施形態のモータにおいて、第1の陽極側給電ブラシ231aに代えて上記第8実施形態の第1の陽極側給電ブラシ221aを備える、もしくは、第1の陽極側給電ブラシ231bに代えて上記第8実施形態の第1の陽極側給電ブラシ221bを備えてもよい。例えば、図30に示す例では、第1の陽極側給電ブラシ231aに代えて、上記第8実施形態の第1の陽極側給電ブラシ221aを備えている。このようにすると、モータに備えられた第1の陽極側給電ブラシ221aもしくは第1の陽極側給電ブラシ221bについて、上記第8実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第1の陽極側給電ブラシ231a,231bの何れか一方を、上記第7実施形態の第1の陽極側給電ブラシ211a,211bのうちの対応するものに代えても、同様の効果を得ることができる。そして、2つの第1の陰極側給電ブラシについても同様に、何れか一方の第1の陰極側給電ブラシを第7実施形態の第1の陰極側給電ブラシ213a,213bもしくは第8実施形態の2つの第1の陰極側給電ブラシのうちの対応するものに代えてもよい。また、この例において、第2の陽極側給電ブラシ242は、その中心線L34の延長線M34が基準線N33と同一直線上となるように(即ち、延長線M34が整流子204の中心軸線Lを通るように)構成されてもよい。即ち、本例において、第2の陽極側給電ブラシ242に代えて、上記第7実施形態の第2の陽極側給電ブラシ212をモータに備えてもよい。第2の陰極側給電ブラシについても同様である。
・上記第11実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ232は、その中心線L33の延長線M33が基準線N33と同一直線上となるように(即ち、延長線M33が整流子204の中心軸線Lを通るように)構成されてもよい。即ち、上記第11実施形態において、第2の陽極側給電ブラシ232に代えて、上記第7実施形態の第2の陽極側給電ブラシ212をモータに備えてもよい。第2の陰極側給電ブラシについても同様である。また、上記第12実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242及び第2の陰極側給電ブラシについても同様である。
・上記第11実施形態において、第1の陽極側給電ブラシ251aは、その中心線L35の延長線M35が基準線N31と同一直線上となるように(即ち、延長線M35が整流子204の中心軸線Lを通るように)構成されてもよい。また、上記第11実施形態において、第1の陽極側給電ブラシ211bは、その中心線L22の延長線M22が基準線N32と同一直線上となるように(即ち、延長線M22が整流子204の中心軸線Lを通るように)構成されてもよい。第1の陰極側給電ブラシ253a,213bについても同様である。また、上記第12実施形態の第1の陽極側給電ブラシ271a,221b及び2つの第1の陰極側給電ブラシについても同様である。
・上記第5実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における高抵抗部91が占める体積の割合は、2分の1となっている。しかしながら、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における高抵抗部91が占める体積の割合は、これに限らず、適宜変更してもよい。例えば、図26及び図31に示す例では、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々において、回転方向Rの前方側の端部に設けられた高抵抗部91における回転方向Rの幅は、各給電ブラシ131,133の回転方向Rの幅の4分の1の幅となっている。そのため、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における高抵抗部91が占める体積の割合は4分の1である。そして、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における低抵抗部92が占める体積の割合は4分の3である。このように、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々における高抵抗部91が占める体積の割合が、2分の1以下であると、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133における電気的な損失が大きくなることを抑制しつつ、これら給電ブラシ131,133がセグメント48から離間する時に発生する火花を一層低減させることができる。従って、モータの出力の低下を抑えつつ、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の寿命の低下を抑制することができる。なお、上記第6実施形態の第1の陽極側給電ブラシ141及び第1の陰極側給電ブラシについても同様に、高抵抗部91が占める体積の割合を変更してもよい。また、上記第11実施形態の第1の陽極側給電ブラシ251a及び第1の陰極側給電ブラシ253a、並びに、上記第12実施形態の第1の陽極側給電ブラシ271a及び同第1の陽極側給電ブラシ271aと同様の構成の第1の陰極側給電ブラシについても同様に、高抵抗部91が占める体積の割合を変更してもよい。
・上記第5実施形態において、第1の陽極側給電ブラシ131における回転方向Rの幅D11は、第2の陽極側給電ブラシ112における回転方向Rの幅D8と同じでなくてもよい。例えば、第1の陽極側給電ブラシ131における回転方向Rの幅D11を、第2の陽極側給電ブラシ112における回転方向Rの幅D8よりも狭くしてもよい。なお、第1の陽極側給電ブラシ131は、その中心線L11の延長線M11が、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lよりも回転方向Rの前方側を通る。この場合、第2の陽極側給電ブラシ112に代えて上記第1実施形態の第2の陽極側給電ブラシ82をモータに備えてもよい。但し、第1の陽極側給電ブラシ131の回転方向Rの幅D11は、第2の陽極側給電ブラシ82がセグメント48から離間する時間が、第1の陽極側給電ブラシ131がセグメント48から離間する時間と同じ、もしくは第1の陽極側給電ブラシ131がセグメント48から離間する時間よりも遅くなるように設定される。そして、第1の陰極側給電ブラシ133においても、同様にして回転方向Rの幅を変更してもよい。この場合、同様にして、第2の陰極側給電ブラシ114に代えて上記第1実施形態の第2の陰極側給電ブラシ84をモータに備えてもよい。
また、上記第6実施形態の第1の陽極側給電ブラシ141及び第1の陰極側給電ブラシについても同様に、回転方向Rの幅を変更してもよい。また、上記第11実施形態の第1の陽極側給電ブラシ251a及び第1の陰極側給電ブラシ253a、並びに、上記第12実施形態の第1の陽極側給電ブラシ271a及び同第1の陽極側給電ブラシ271aと同様の構成の第1の陰極側給電ブラシについても同様に、回転方向Rの幅を変更してもよい。
・上記第5実施形態では、高抵抗部91の電気抵抗値は、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114の電気抵抗値と同じである。しかしながら、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114の電気抵抗値と、高抵抗部91の電気抵抗値とは異なる値であってもよい。例えば、高抵抗部91の電気抵抗値は、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114の電気抵抗値よりも低い値であってもよい。このようにすると、高抵抗部91を有する第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133における電気的な損失が大きくなることを抑制しつつ、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114で発生する火花を小さく抑えることができる。なお、上記第6実施形態、上記第11実施形態及び上記第12実施形態においても同様に、高抵抗部91の電気抵抗値を変更してもよい。
・上記第5実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133は、高抵抗部91と低抵抗部92とが回転方向Rに重なった積層構造をなす積層ブラシである。しかし、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133は、必ずしも積層構造をなさなくてもよい。例えば、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133は、回転方向Rの前方側に向かうにつれて徐々に電気抵抗値が高くなる構成であってもよい。なお、上記第6実施形態の第1の陽極側給電ブラシ141及び第1の陰極側給電ブラシについても同様である。また、上記第11実施形態の第1の陽極側給電ブラシ251a及び第1の陰極側給電ブラシ253a、並びに、上記第12実施形態の第1の陽極側給電ブラシ271a及び同第1の陽極側給電ブラシ271aと同様の構成の第1の陰極側給電ブラシについても同様である。
・図32に示すように、上記第5実施形態のモータにおいて、第1の陽極側給電ブラシ131における回転方向Rの幅D11及び第2の陽極側給電ブラシ112における回転方向Rの幅D8を、セグメント48における回転方向Rの幅D2よりも広くしてもよい。同様に、第1の陰極側給電ブラシ133における回転方向Rの幅及び第2の陰極側給電ブラシ114における回転方向Rの幅を、セグメント48における回転方向Rの幅D2よりも広くしてもよい。なお、図32に示す例では、各給電ブラシ131,133,112,114における回転方向Rの幅が互いに等しくなっている。また、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の各々は、高抵抗部91の回転方向Rの幅は上記第5実施形態のままに、低抵抗部92の回転方向Rの幅を広くすることにより、その回転方向Rの幅が広げられている。このようにすると、各給電ブラシ131,133,112,114の体積を大きくできるため、各給電ブラシ131,133,112,114の長寿命化を図ることができる。なお、陽極の給電ブラシ131,112のみ、もしくは陰極の給電ブラシ133,114のみの回転方向Rの幅を、セグメント48の回転方向Rの幅D2よりも広くしてもよい。
そして、上記第1乃至第4実施形態、及び上記第6乃至第12実施形態においてその回転方向Rの幅がセグメント48における回転方向Rの幅と等しい給電ブラシ64の幅を、セグメント48における回転方向Rの幅よりも広くしてもよい。このようにすると、上記と同様の効果を得ることができる。
・上記第1実施形態では、全体が低抵抗部92である第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の回転方向Rの幅D3は、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の回転方向Rの幅D1の4分の3の幅となっている。しかしながら、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の回転方向Rの幅D3は、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の回転方向Rの幅D1より狭ければ、これに限らず適宜変更してもよい。この場合、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の回転方向Rの幅D3を、第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の回転方向Rの幅D1の2分の1以上の幅とすることが好ましい。このようにすると、第1の陽極側給電ブラシ81の体積が同極の第2の陽極側給電ブラシ82の体積よりも小さいことに伴う電気的な損失の増大を抑えつつ、第1の陽極側給電ブラシ81がセグメントから離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。また、第1の陰極側給電ブラシ83の体積が同極の第2の陰極側給電ブラシ84の体積よりも小さいことに伴う電気的な損失の増大を抑えつつ、第1の陰極側給電ブラシ83がセグメントから離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。従って、モータの出力の低下を抑えつつ、第1の陽極側給電ブラシ81及び第1の陰極側給電ブラシ83の寿命の低下を抑制することができる。なお、第1の陽極側給電ブラシ81と第1の陰極側給電ブラシ83とは、必ずしも回転方向Rの幅が同じでなくてもよい。
そして、上記第2実施形態においても同様に、第1の陽極側給電ブラシ101及び第1の陰極側給電ブラシの少なくとも一方の給電ブラシにおける回転方向Rの幅D5を変更してもよい。また、上記第7実施形態においても同様に、第1の陽極側給電ブラシ211a,211b及び第1の陰極側給電ブラシ213a,213bのうちの少なくとも1つの給電ブラシにおける回転方向Rの幅を変更してもよい。また、上記第8実施形態においても同様に、第1の陽極側給電ブラシ221a,221b及び2つの第1の陰極側給電ブラシのうちの少なくとも1つの給電ブラシにおける回転方向Rの幅を変更してもよい。また、上記第11実施形態においても同様に、第1の陽極側給電ブラシ211b及び第1の陰極側給電ブラシ213bの少なくとも一方の給電ブラシにおける回転方向Rの幅を変更してもよい。また、上記第12実施形態においても同様に、第1の陽極側給電ブラシ221b及び同第1の陽極側給電ブラシ221bと同じ形状をなす第1の陰極側給電ブラシの少なくとも一方の給電ブラシにおける回転方向Rの幅を変更してもよい。
・上記第5実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ131、第1の陰極側給電ブラシ133、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114は、回転方向Rに等角度間隔に配置されているが、必ずしも回転方向Rに等角度間隔に配置されなくてもよい。但し、第1の陽極側給電ブラシ131は、同電位のセグメント48から離間する時間が、第2の陽極側給電ブラシ112と同時、もしくは第2の陽極側給電ブラシ112よりも早くなるように構成される。更に、第1の陽極側給電ブラシ131は、その中心線L11の延長線M11が、軸方向から見て、整流子45の中心軸線Lの回転方向Rの前方側を通るように構成される。第1の陰極側給電ブラシ133及び第2の陰極側給電ブラシ114についても同様に構成される。
例えば、図33に示す例では、第1の陰極側給電ブラシ133は、第1の陽極側給電ブラシ131から回転方向Rに角度θだけずれた位置に配置されている。また、第2の陽極側給電ブラシ112は、第1の陰極側給電ブラシ133から回転方向Rに角度(θ+α)だけずれた位置、即ち、第1の陽極側給電ブラシ131から回転方向Rに角度(2θ+α)だけずれた位置に配置されている。更に、第2の陰極側給電ブラシ114は、第2の陽極側給電ブラシ112から回転方向Rに角度θだけずれた位置、即ち、第1の陰極側給電ブラシ133から回転方向Rに角度(2θ+α)だけずれた位置に配置されている。そして、第2の陰極側給電ブラシ114と第1の陽極側給電ブラシ131とは回転方向Rに角度(θ−α)だけずれている。なお、本例では、角度θは90°である。また、角度αは予め設定される角度であり、本例では、各給電ブラシ64における回転方向Rの幅の半分に相当する角度となっている。
このように、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114の回転方向Rの配置位置を角度αだけずらすと、第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114の整流終了時間を、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133の整流終了時間よりも所定時間だけ容易に遅くすることができる。なお、この場合、同極の第1の陽極側給電ブラシ131及び第2の陽極側給電ブラシ112は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触し、同極の第1の陰極側給電ブラシ133及び第2の陰極側給電ブラシ114は、短絡部材51により短絡されたセグメント48にそれぞれ接触する。そのため、各給電ブラシ131,133,112,114は、同一のコイル44を整流するようになっている。そして、第1の陽極側給電ブラシ131及び第1の陰極側給電ブラシ133に対して第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114の整流終了時間が所定時間だけ遅くなるため、各セグメント48から離間する時の火花は、低抵抗部92よりも電気抵抗値の高い第2の陽極側給電ブラシ112及び第2の陰極側給電ブラシ114においてのみ発生するようになる。
なお、上記第1乃至第4実施形態、及び上記第6乃至第12実施形態においても、同様にして給電ブラシ64の回転方向Rの位置を変更してもよい。
・上記第5実施形態のモータは、陽極の給電ブラシ64と陰極の給電ブラシ64とをそれぞれ2つずつ、合計4個の給電ブラシ64を備えている。しかしながら、モータに備えられる給電ブラシ64の数を、磁石33の磁極数より減少させてもよい。但し、陽極及び陰極の少なくとも一方の極の給電ブラシ64は、モータに複数備えられる。例えば、図34に示す例では、第2の陰極側給電ブラシ114が省略されており、モータは、陽極の第1の陽極側給電ブラシ131及び第2の陽極側給電ブラシ112と、陰極の第1の陰極側給電ブラシ133との合計3つの給電ブラシ64を備えた構成である。また例えば、図35に示す例では、第1の陽極側給電ブラシ131が省略されて、モータは、陽極の第2の陽極側給電ブラシ112と、陰極の第1の陰極側給電ブラシ133及び第2の陰極側給電ブラシ114との合計3つの給電ブラシ64を備えた構成である。
上記第1乃至第4実施形態、及び上記第6乃至第12実施形態においても、同様に、給電ブラシ64の数を磁石33の磁極数より減少させてもよい。例えば、図36に示すように、上記第11実施形態のモータにおいて、第1の陽極側給電ブラシ211b及び第1の陰極側給電ブラシ213bを省略してもよい。なお、図36に示す例では、第2の陽極側給電ブラシ232及び第2の陰極側給電ブラシ234は、上記第11実施形態の配置位置から回転方向Rと反対方向に120°ずれた位置に配置されている。
・上記第4実施形態では、第2の陽極側給電ブラシ122は、その中心線L10の回転方向Rの位置が、第2の陽極側給電ブラシ122の先端面において、第1の陽極側給電ブラシ111の中心線L7から回転方向Rに180°離間した位置となっている。しかしながら、第2の陽極側給電ブラシ122は、その中心線L10の回転方向Rの位置が、第2の陽極側給電ブラシ122の先端面において、第1の陽極側給電ブラシ111の中心線L7から回転方向Rに180°離間した位置から更に回転方向Rの前方側となる位置に配置されてもよい。第2の陰極側給電ブラシについても同様である。また、上記第6実施形態の第2の陽極側給電ブラシ122及び第2の陰極側給電ブラシについても同様である。
また、上記第10実施形態では、第2の陽極側給電ブラシ242は、その中心線L34の回転方向Rの位置が、第2の陽極側給電ブラシ242の先端面において、基準線N33の回転方向Rの位置と同じとなる位置に配置されている。しかしながら、第2の陽極側給電ブラシ242は、その中心線L34の回転方向Rの位置が、第2の陽極側給電ブラシ242の先端面において、基準線N33よりも回転方向Rの前方側となる位置に配置されてもよい。第2の陰極側給電ブラシについても同様である。また、上記第12実施形態の第2の陽極側給電ブラシ242及び第2の陰極側給電ブラシについても同様である。
・上記第2実施形態では、第1の陽極側給電ブラシ101は、その先端面において中心線L5がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第2の陽極側給電ブラシ82の先端面における回転方向Rの中央がセグメント48の回転方向Rの中央に位置するように配置されている。しかしながら、第1の陽極側給電ブラシ101は、第2の陽極側給電ブラシ82の先端面における回転方向Rの中央がセグメント48の回転方向Rの中央に位置する時に、第1の陽極側給電ブラシ101の先端面において中心線L5がセグメント48の回転方向の中央よりも回転方向Rの前方側に位置するように配置されてもよい。但し、第1の陽極側給電ブラシ101は、セグメント48から離間する時間が、第2の陽極側給電ブラシ82がセグメント48から離間する時間よりも遅くならないように配置される。第1の陰極側給電ブラシについても同様にしてもよい。
また、上記第8実施形態において、第1の陽極側給電ブラシ221aは、その先端面における中心線L25の回転方向Rの位置が、基準線N21よりも回転方向Rの前方側となるように配置されてもよい。第1の陽極側給電ブラシ221bについても同様に、その先端面における中心線L26の回転方向Rの位置が、基準線N22よりも回転方向Rの前方側となるように配置されてもよい。但し、第1の陽極側給電ブラシ221a,221bは、セグメント48から離間する時間が、第2の陽極側給電ブラシ212がセグメント48から離間する時間よりも遅くならないように配置される。2つの第1の陰極側給電ブラシについても同様にしてもよい。また、第12実施形態において、第1の陽極側給電ブラシ221b、及び同第1の陽極側給電ブラシ221bと同じ構成の一方の第1の陰極側給電ブラシの配置位置を同様に変更してもよい。
・上記第1実施形態において、低抵抗部92を備えない第2の陽極側給電ブラシ82及び第2の陰極側給電ブラシ84の少なくとも一方は、給電されていなくてもよい。このようにすると、給電されていない給電ブラシにおいて、セグメント48から離間する時の火花をより一層低減することができる。なお、上記第2乃至第12実施形態についても同様にしてもよい。
・上記各実施形態において、セグメント48の数、コイル44,205の数、及び磁石33の磁極数は適宜変更してもよい。
例えば、図37に示すモータ301は、磁石33の磁極数が「6」となっている。また、モータ301に備えられた電機子302の電機子コア303は、周方向に並ぶ9個のティース46を有することにより、9個のスロット47を備えている。なお、図37では、各スロット47に対して、回転方向Rに順に「1」〜「9」のスロット番号を付している。また、電機子302の整流子304は、その外周面に周方向に等角度間隔に設けられた9個のセグメント48を有する。なお、図37では、各セグメント48に対して、回転方向Rに順に「1」〜「9」のセグメント番号を付している。
電機子コア303の各ティース46に集中巻にて導線49が巻回されることにより、同電機子コア303には9個のコイル305が巻装されている。具体的には、導線49は、番号「1」のセグメント48から番号「1」のスロット47に延び、番号「1」のスロット47と番号「2」のスロット47との間のティース46に複数回巻回されることにより1つのコイル305を構成し、番号「2」のセグメント48に接続されている。同様にして、全てのセグメント48及び全てのスロット47に導線49が巻装されることにより、9個のコイル305が形成されている。
また、整流子304は、同電位となる所定のセグメント48同士、本例では120°間隔に配置されたセグメント48同士を短絡する短絡部材51を備えている。具体的には、番号「1」,「4」,「7」の3つのセグメント48が短絡部材51により短絡されている。また、番号「2」,「5」,「8」の3つのセグメント48が短絡部材51により短絡されている。更に、番号「3」,「6」,「9」の3つのセグメント48が短絡部材51により短絡されている。
そして、モータ301は、整流子304の外周面に摺接する6つの給電ブラシ64を備えている。6つの給電ブラシ64のうち3つの給電ブラシ64は、陽極の給電ブラシであり、上記第11実施形態の第1の陽極側給電ブラシ251a、第1の陽極側給電ブラシ311b、及び上記第11実施形態の第2の陽極側給電ブラシ232である。残りの3つの給電ブラシ64は、陰極の給電ブラシであり、上記第11実施形態の第1の陰極側給電ブラシ253a、第1の陰極側給電ブラシ313b、及び上記第11実施形態の第2の陰極側給電ブラシ234である。第1の陽極側給電ブラシ311bは、第1の陽極側給電ブラシ251aと同じ材料から形成されるとともに同じ形状をなしており、第1の陽極側給電ブラシ251aから回転方向Rに120°離間した位置に配置されている。また、第1の陰極側給電ブラシ313bは、第1の陰極側給電ブラシ253aと同じ材料から形成されるとともに同じ形状をなしており、第1の陰極側給電ブラシ253aから回転方向Rに120°離間した位置に配置されている。
このようなモータ301においても、各給電ブラシ251a,311b,232,253a,313b,234において大きな火花が発生することが抑制される。
・上記各実施形態及び上記各変更例を組み合わせて実施してもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項3に記載のモータにおいて、前記少なくとも1つの第1の給電ブラシは、全体が前記低抵抗部であり、当該第1の給電ブラシにおける前記整流子の回転方向の幅が、同極の前記第2の給電ブラシにおける前記整流子の回転方向の幅の2分の1の幅よりも広いことを特徴とするモータ。
この構成によれば、第1の給電ブラシの体積が同極の第2の給電ブラシの体積よりも小さいことに伴う電気的な損失の増大を抑えつつ、同第1の給電ブラシがセグメントから離間する時に発生する火花を更に低減させることができる。従って、モータの出力の低下を抑えつつ、第1の給電ブラシの寿命の低下を抑制することができる。
(ロ)請求項4に記載のモータにおいて、前記少なくとも1つの第1の給電ブラシにおける前記高抵抗部が占める体積の割合は、2分の1以下であることを特徴とするモータ。
この構成によれば、高抵抗部を有する第1の給電ブラシにおける電気的な損失が大きくなることを抑制しつつ、同第1の給電ブラシがセグメントから離間する時に発生する火花を一層低減させることができる。従って、モータの出力の低下を抑えつつ、第1の給電ブラシの寿命の低下を抑制することができる。