JP6631247B2 - 軸受装置 - Google Patents

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Description

本開示は、軸受装置に関し、より詳しくは、車両に取り付けられる軸受装置に関する。
一般に、ハブユニットと称される車両用の軸受装置は、一対の軌道部材と、複数の転動体とを備えている。軌道部材は、それぞれ、外周面及び内周面に環状の軌道面を有する。軌道部材は、軌道面同士が対向するように同軸に配置される。軌道面上には、複数の転動体が配置される。
軸受装置には、通常、剛性の確保等の目的で予圧が付与されている。例えば、特許文献1には、締結部材の締付力によって予圧が付与される軸受装置が開示されている。当該軸受装置において、内側の軌道部材を構成する内軸及び固定軌道輪は、締結部材によって締結されている。締結部材は、車両の車輪に作用する軸方向荷重が大きい場合、その締付力が大きくなるように制御される。一方、軸方向荷重が小さい場合、締結部材は、その締付力が小さくなるように制御される。これにより、軸受装置の予圧が調整される。
特開2010−137658号公報
軸受装置では、車両の旋回時に軌道部材間の相対的な傾きが発生する。軌道部材は、通常、安定して相対変位しない。このため、車両の操舵性を向上させることは難しい。
本開示は、車両の操舵性を向上させることができる軸受装置を提供することを目的とする。
本開示に係る軸受装置は、車両に取り付けられる。軸受装置は、第1軌道部材と、第2軌道部材と、複数の転動体と、押圧部材と、制御部とを備える。第1軌道部材は、環状の第1軌道面を外周面に有する。第2軌道部材は、第1軌道部材の外周に配置される。第2軌道部材は、環状の第2軌道面を内周面に有する。第2軌道面は、第1軌道面と対向する。複数の転動体は、第1軌道部材と第2軌道部材との間に配置される。複数の転動体は、第1軌道面及び第2軌道面に接触角をもって接触する。押圧部材は、第1軌道部材の軸方向の一端部に配置される。制御部は、軸受装置への入力荷重と押圧部材の押圧力との予め定められた対応関係に基づき、車両の走行状態に応じた入力荷重から押圧力を特定する。制御部は、特定した押圧力で第1軌道部材を押圧するように押圧部材を制御する。対応関係は、軸受装置への入力荷重の変化に対して第1軌道部材と第2軌道部材との相対的な傾きが線形に変化するように、入力荷重に応じて押圧力が定まる関係である。
本開示によれば、車両の操舵性を向上させることができる。
図1は、軸受装置への入力荷重の変化に対する軌道部材間の相対傾きの変化を示す模式図である。 図2は、第1実施形態に係る軸受装置の概略構成を示す縦断面図である。 図3は、各実施形態に係る軸受装置において、入力荷重と押圧力との対応関係を示す模式図である。 図4は、第2実施形態に係る軸受装置の概略構成を示す縦断面図である。
一般的な軸受装置では、車両の旋回時において、一方の軌道部材が他方の軌道部材に対して傾く。軌道部材間の相対傾きは、軸受装置への入力荷重に伴って大きくなる。ただし、軌道部材間の相対傾きは、入力荷重の変化に対して線形に変化しない。軸受装置内に配置された転動体が旋回荷重を受けた際、軌道部材に対する転動体の接触角が変動して、軌道部材間の相対傾きに影響を及ぼすためである。
図1は、軸受装置への入力荷重の変化に対する軌道部材間の相対傾きの変化を示す模式図である。車両の旋回時に転動体の接触角が変動しない場合、軌道部材間の相対傾きは、図1において破線で示すように、入力荷重の変化に対して線形に変化する。すなわち、軌道部材間の相対傾きは、実質的に入力荷重に正比例する。
実際には、車両の旋回時に、軸受装置において転動体の接触角が変動する。このため、軌道部材間の相対傾きは、図1において実線で示すように、入力荷重の変化に対して非線形に変化する。この場合、高い操舵性を維持することは難しい。よって、ドライバに対して快適なハンドリングを提供することができなくなる。
高い操舵性を確保するためには、軸受装置への入力荷重の変化に対して軌道部材間の相対傾きを線形変化させて、軌道部材間の相対変位を安定させることが好ましい。そのためには、軸受装置に適切な押圧力を付与し、転動体の接触角の変動を抑制する必要がある。
本考案者は、以上の知見に基づいて、実施形態に係る軸受装置を完成させた。
実施形態に係る軸受装置は、車両に取り付けられる。軸受装置は、第1軌道部材と、第2軌道部材と、複数の転動体と、押圧部材と、制御部とを備える。第1軌道部材は、環状の第1軌道面を外周面に有する。第2軌道部材は、第1軌道部材の外周に配置される。第2軌道部材は、環状の第2軌道面を内周面に有する。第2軌道面は、第1軌道面と対向する。複数の転動体は、第1軌道部材と第2軌道部材との間に配置される。複数の転動体は、第1軌道面及び第2軌道面に接触角をもって接触する。押圧部材は、第1軌道部材の軸方向の一端部に配置される。制御部は、軸受装置への入力荷重と押圧部材の押圧力との予め定められた対応関係に基づき、車両の走行状態に応じた入力荷重から押圧力を特定する。制御部は、特定した押圧力で第1軌道部材を押圧するように押圧部材を制御する。対応関係は、軸受装置への入力荷重の変化に対して第1軌道部材と第2軌道部材との相対的な傾きが線形に変化するように、入力荷重に応じて押圧力が定まる関係である(第1の構成)。
第1の構成によれば、車両の走行状態に応じ、予め定められた対応関係に基づいて押圧力が特定され、その押圧力で第1軌道部材が押圧される。このときの押圧力は、第1及び第2軌道部材間の相対傾きを線形変化させるために必要な押圧力である。よって、車両の走行時において、第1及び第2軌道部材を安定して相対変位させることができる。これにより、車両の操舵性を向上させることができる。
軸受装置は、対応関係を記憶する記憶部をさらに備えていてもよい(第2の構成)。
第2の構成によれば、制御部は、記憶部に記憶されている対応関係を参照することができる。よって、軸受装置に付与すべき押圧力を迅速に特定することができる。
制御部は、車両が直進状態である場合、第1軌道部材を押圧しないように押圧部材を制御してもよい(第3の構成)。
従来の軸受装置では、予圧の厳密な設定が困難であったため、剛性を確実に確保する等の目的で大きな予圧が付与されている。これに対して、実施形態に係る軸受装置では、車両の走行中に制御部及び押圧部材によって適宜押圧力を付与することができるため、大きな予圧をあらかじめ付与する必要はない。第3の構成によれば、車両が直進状態である場合、軸受装置には押圧力が付与されない。このため、予圧を小さくしておけば、車両が直進する際、転動体が過度の荷重を受けることなくスムーズに回転する。これにより、回転トルクが低減し、車両の燃費を向上させることができる。
以下、実施形態について図2〜図4を参照しつつ具体的に説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。説明の便宜上、各図において、構成を簡略化又は模式化して示したり、一部の構成を省略して示したりする場合がある。
<第1実施形態>
[軸受装置の構成]
図2は、直線X1を通る平面で第1実施形態に係る軸受装置1を切断した、軸受装置1の縦断面図である。直線X1が延びる方向は、軸受装置1の軸方向である。
軸受装置1は、車両の駆動輪に取り付けられる。軸受装置1において、駆動輪に取り付けられた状態で車体に近い方をインナ側、車体から遠い方をアウタ側と称する。以下、特に言及しない限りは車両が走行していないことを前提として、軸受装置1の構成を説明する。
図2に示すように、軸受装置1は、軌道部材11,12と、複数の転動体13,14と、押圧部材15と、制御部16と、記憶部17とを備える。
軌道部材11は、内軸111と、内輪112と、軌道面113,114とを有する。
内軸111は、軌道部材12に対して、軸周りに回転可能に配置されている。内軸111は、本体部111aと、フランジ部111bとを含む。本体部111aは、直線X1を軸心とする概略円筒状をなす。
本体部111aには、等速ジョイントの軸部9が挿入される。軸部9は、本体部111aとスプライン結合される。軸部9のアウタ側の端部には、ナット8が装着される。内軸111は、等速ジョイント6等を介して車両のエンジンに接続されている。
フランジ部111bは、本体部111aの外周面から径方向外側に延びている。フランジ部111bは、直線X1を軸心とする概略環状をなす。フランジ部111bは、本体部111aと一体的に形成されている。フランジ部111bには、例えば、車輪のホイールやブレーキディスク等が締結部材によって取り付けられる。
内輪112は、直線X1を軸心とする概略円筒状をなす。内輪112は、内軸111のインナ側の端部に装着される。内輪112には、内軸111の本体部111aが圧入されている。
軌道面113,114は、それぞれ、直線X1を軸心とする環状をなす。軌道面114は、軌道面113よりもインナ側に配置されている。軌道面113は、内軸111の本体部111aの外周面に設けられる。軌道面114は、内輪112の外周面に設けられる。
軌道部材12は、一般に外輪と称される部材である。軌道部材12は、軌道部材11の外周に配置される。軌道部材12は、軌道部材11のフランジ部111bよりもインナ側に配置されている。
軌道部材12は、本体部121a及びフランジ部121bを含む。軌道部材12は、軌道面123,124を有する。
本体部121aは、直線X1を軸心とする概略円筒状をなす。本体部121aは、内軸111の本体部111aと同軸に配置される。
フランジ部121bは、本体部121aの外周面から径方向に延びる。フランジ部121bは、直線X1を軸心とする概略環状をなす。フランジ部121bは、本体部121aと一体的に形成されている。フランジ部121bには、車両の懸架装置が締結部材によって取り付けられる。懸架装置は、車両の転舵装置に接続されている。
軌道面123,124は、それぞれ、直線X1を軸心とする環状をなす。軌道面123,124は、本体部121aの内周面に設けられる。軌道面124は、軌道面123よりもインナ側に配置されている。軌道面123は、軌道部材11の軌道面113に対向する。軌道面124は、軌道部材11の軌道面114に対向する。
転動体13,14は、軌道部材11と軌道部材12との間に配置される。軌道部材11の外周面と軌道部材12の内周面との間には、軸受内部空間Sが形成されている。転動体13,14は、軸受内部空間Sに配置される。軸受内部空間Sは、シール部材18,19によって密封される。
転動体13は、軌道面113,123に接触する。転動体14は、軌道面114,124に接触する。
転動体13,14は、それぞれ接触角を有する。すなわち、直線X1を通る平面における断面で軸受装置1を見たとき、転動体13が軌道面113,123に接触する点同士を結ぶ直線Aは、軸方向に垂直な線に対して傾斜する。また、当該断面で軸受装置1を見たとき、転動体14が軌道面114,124に接触する点同士を結ぶ直線Bは、軸方向に垂直な線に対して傾斜する。直線A,Bは、転動体13,14よりも径方向外側において交差する。
等速ジョイント6に対し軸受装置1を締結することによって、軸受装置1には予圧が付与されている。すなわち、軸受装置1の内部すきまは、あらかじめ負すきまに設定されている。負すきまは、全ての転動体が、対応する軌道面に対して滑らずに接触して、荷重を支持する状態をいう。軸受装置1の初期すきま量は、できるだけ0に近いことが好ましい。軸受装置1の初期すきま量は、例えば、−10μm以上に設定することができる。初期すきま量は、等速ジョイント6に対し軸受装置1を締結することによって生じる内部すきま量である。
押圧部材15は、軌道部材11の軸方向の一端部に配置される。押圧部材15は、内軸111及び内輪112のインナ側の端面上に配置されている。押圧部材15は、軌道部材11と等速ジョイント6との間に配置されている。押圧部材15は、直線X1を軸心とする概略環状をなす。
押圧部材15は、軌道部材11を押圧可能に構成されている。特に限定されるものではないが、押圧部材15は、例えば、電圧を押圧力に変換する圧電素子アクチュエータである。押圧部材15が圧電素子アクチュエータである場合、押圧部材15には、図示しない給電装置から電圧が供給される。給電装置は、スリップリング等を介して押圧部材15に給電してもよいし、押圧部材15に対して無線給電を行ってもよい。
制御部16は、押圧部材15を制御する。制御部16は、車両の走行状態に応じた軸受装置1への入力荷重から、押圧部材15の押圧力を判断する。制御部16は、メモリ上の制御プログラムを読み込んで実行するCPUや、その他の回路を1以上用いて構成することができる。制御部16による押圧部材15の制御については、後で詳しく説明する。
車両の走行状態には、例えば、車両の操舵角及び車速が含まれる。本実施形態では、軸受装置1への入力荷重は、操舵角及び車速に基づいて求められる。ただし、入力荷重は、操舵角及び車速以外の走行状態に基づいて評価することもできる。
車両の走行状態は、検出部7によって検出される。検出部7は、例えば、舵角センサ71と、車速センサ72とを有する。
舵角センサ71は、操舵角を検出する。舵角センサ71は、例えば、車両の転舵装置に設けることができる。車速センサ72は、車速を検出する。車速センサ72は、例えば、軌道部材11の一端部に取り付けられるABSセンサ等、軸受装置1に設けられた回転速度センサであってもよい。制御部16には、舵角センサ71が検出した操舵角信号と、車速センサ72が検出した車速信号とが入力される。
記憶部17は、制御部16がアクセス可能なように構成される。記憶部17は、軸受装置1への入力荷重と押圧部材15の押圧力との対応関係を記憶する。対応関係は、入力荷重の変化に対して軌道部材11と軌道部材12との相対的な傾きが線形変化するように、入力荷重に応じて押圧部材15の押圧力を定めた関係である。
図3は、軸受装置1への入力荷重と押圧部材15の押圧力との対応関係を示す模式図である。図3において、軸受装置1への入力荷重に対する軌道部材11,12の相対傾きの理想的な変化及び実際の変化を示す線を、それぞれV,Vで示す。軌道部材11,12の相対傾きは、軌道部材12のフランジ部121bに対する軌道部材11のフランジ部111bの傾きで評価することができる。
線Vが示すように、軌道部材11,12の相対傾きは、入力荷重の変化に伴って線形に変化するのが理想的である。つまり、軌道部材11,12の相対傾きは、入力荷重に実質的に正比例することが好ましい。
しかしながら、実際に車両が走行する際には、線Vが示すように、軌道部材11,12の相対傾きは、入力荷重の変化に対して非線形に変化する。このような軌道部材11,12の相対傾きの変化は、前述の通り、転動体13,14の接触角の変動に起因する。
軌道部材11,12の相対傾きの理想的な変化と実際の変化との差を埋めるため、軸受装置1に適切な押圧力Pを付与して、転動体13,14の接触角の変動を抑制する。押圧部材15の押圧力Pは、入力荷重の変化に対して軌道部材11,12の相対傾きが線形変化するように、入力荷重に応じて定められる。
入力荷重に応じた押圧力Pは、CAE(Computer Aided Engineering)を利用した軸受装置1の剛性解析により、あらかじめ求めることができる。剛性解析は、軸受装置1の設計工程又は製造工程で実施される。
CAEを利用した剛性解析の手法自体は公知であるので詳細な説明を省略するが、入力荷重に応じた押圧力Pは、概ね以下のような手順で求められる。
剛性解析では、転動体13,14の接触角が一定の条件で、入力荷重を変化させながら軌道部材11,12の相対傾きのデータを取得する。当該データは、軌道部材11,12の相対傾きの理想的な変化を示す線Vを構成するデータである。
また、剛性解析では、入力荷重に応じて転動体13,14の接触角を変化させながら、軌道部材11,12の相対傾きのデータを取得する。当該データは、軌道部材11,12の相対傾きの実際の変化を示す線Vを構成するデータである。線Vを構成するデータと線Vを構成するデータとの差から、線Vを線Vに近づけるための押圧力Pを入力荷重ごとに求めることができる。
対応する押圧力Pを有する入力荷重の範囲は、できるだけ広いことが好ましい。例えば、少なくとも入力荷重が10[KNm]以下の範囲において、入力荷重に応じた押圧力Pが設定される。
対応する押圧力Pを有する入力荷重の間隔は、できるだけ小さいことが好ましい。つまり、できるだけ多くの入力荷重の値について、対応する押圧力Pが設定されていることが好ましい。例えば、0.01[KNm]以下の間隔で、入力荷重に応じた押圧力Pを設定することができる。
[軸受装置の動作]
以下、軸受装置1の動作について説明する。
軸受装置1が取り付けられた車両の走行中、検出部7は、車両の走行状態を検出する。具体的には、舵角センサ71及び車速センサ72が、それぞれ操舵角及び車速を検出する。制御部16には、検出された操舵角及び車速を示す信号が入力される。
(車両が旋回している場合)
車両が旋回している場合、制御部16には、操舵角が0°でないことを示す信号が入力される。操舵角が0°でない場合、制御部16は、操舵角及び車速に基づいて、軸受装置1への入力荷重を算出する。例えば、制御部16は、操舵角に車速を乗じて入力荷重を算出する。制御部16は、記憶部17にアクセスし、軸受装置1の入力荷重と押圧部材15の押圧力との対応関係を参照する。制御部16は、当該対応関係に基づき、入力荷重に応じた押圧力を特定する。
図3に示すように、軸受装置1に荷重Lが入力された場合、制御部16は、入力荷重Lに対応する押圧力Pを特定する。軸受装置1に荷重Lが入力され、入力荷重Lに対応する押圧力が見つからない場合、入力荷重Lに最も近い入力荷重Lに対応する押圧力Pを、入力荷重Lに対応する押圧力としてもよい。
制御部16は、押圧部材15に軌道部材11を押圧させる。押圧部材15が圧電素子アクチュエータである場合、制御部16は、図示しない給電装置に指示信号を与え、特定した押圧力Pを発生させるための電圧を押圧部材15に供給させる。これにより、押圧部材15は、押圧力Pで軌道部材11を押圧する。これにより、軸受装置1の内部すきま量が調整され、転動体13,14の接触角の変動が抑制される。
(車両が直進している場合)
車両が直進している場合、制御部16には、操舵角が0°であることを示す信号が入力される。操舵角が0°の場合、制御部16は、押圧部材15に電圧を供給しないように、給電装置に対して指示信号を与える。このため、押圧部材15は軌道部材11を押圧しない。軸受装置1の内部すきま量は、あらかじめ設定された初期すきま量となる。
[効果]
第1実施形態に係る軸受装置1は、予め定められた対応関係に基づいて入力荷重に応じた押圧力を特定し、その押圧力で軌道部材11を押圧する。この押圧力は、入力荷重の変化に対し、軌道部材11,12の相対傾きを線形変化させるための押圧力である。よって、車両の走行時において、軌道部材11,12の相対傾きを線形変化に近づけることができる。これにより、ある入力荷重では車両が旋回しやすく、別の入力荷重では車両が旋回しにくいという事態が生じにくくなる。そのため、車両の操舵性を向上させることができる。
第1実施形態において、軸受装置1への入力荷重と押圧部材15の押圧力との対応関係は、記憶部17に予め記憶されている。制御部16は、記憶された対応関係を参照し、車両の走行状態に応じた適切な押圧力を迅速に特定することができる。
従来の軸受装置では、予圧の厳密な設定が困難であったため、あらかじめ大きな予圧が付与されている。従来の軸受装置における初期すきま量は、一般に、−30〜−60μm程度に設定される。これに対して、第1実施形態に係る軸受装置1では、車両の走行中に適宜押圧力が付与されるため、あらかじめ大きな予圧を付与する必要はない。軸受装置1では、初期すきま量を、従来の軸受装置よりも正すきま寄りに設定することができる。
車両が直進状態の場合、軸受装置1には押圧力が付与されない。よって、初期すきま量を正すきま寄りに設定すれば、車両の直進時において、転動体13,14が過度の荷重を受けず、スムーズに回転する。その結果、直進時における回転トルクが低減され、車両の燃費を向上させることができる
<第2実施形態>
図4は、直線X2を通る平面で第2実施形態に係る軸受装置2を切断した、軸受装置2の縦断面図である。直線X2が延びる方向は、軸受装置2の軸方向である。
第1実施形態に係る軸受装置1が車両の駆動輪に取り付けられるのに対し、軸受装置2は車両の従動輪に取り付けられる。軸受装置2において、従動輪に取り付けられた状態で車体に近い方をインナ側、車体から遠い方をアウタ側と称する。
軸受装置2は、主に、内側に配置される軌道部材21の構成において、第1実施形態に係る軸受装置1と異なる。軌道部材21は、内軸211を有する。第1実施形態では、内軸111が等速ジョイント6等を介して車両のエンジンに接続されているが、第2実施形態では、内軸211は車両のエンジンに接続されない。
内軸211の本体部211aは、直線X2を軸心とする概略円柱状をなす。本体部211aは、軸方向の両端に凹部を有する。本体部211aのインナ側の端部には、内輪112及び押圧部材15が装着されている。本体部211aのインナ側の端部は、径方向外側にかしめられている。押圧部材15は、内輪112と本体部211aのかしめ部分との間に配置される。押圧部材15は、内輪112のインナ側の端面に接触する。
押圧部材15は、第1実施形態と同様に制御部16によって制御され、車両の走行時に内輪112を押圧する。押圧部材15は、軸受装置2への入力荷重に応じて、軌道部材21,12の相対傾きを線形変化させるための押圧力で内輪112を押圧する。このため、第1実施形態と同様に、車両の操舵性を向上させることができる。
従来の車両では、電子制御カップリングを用いて各駆動輪への駆動力の配分制御を行い、車両をスムーズに旋回させている。軸受装置2によれば、電子制御カップリングによる駆動輪の制御に加えて、従動輪を剛性制御することができる。よって、さらにスムーズに車両を旋回させることが可能となる。
軸受装置2は、第1実施形態に係る軸受装置1と併用することができる。1の車両において、軸受装置2を従動輪に適用し、且つ軸受装置1を駆動輪に適用した場合、駆動輪及び従動輪の各々について軌道部材間の相対傾きを安定して変化させることができる。よって、車両の操舵性をさらに向上させることができる。
以上、実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
1,2:軸受装置
11:第1軌道部材
113,114:第1軌道面
12:第2軌道部材
123,124:第2軌道面
13,14:転動体
15:押圧部材
16:制御部
17:記憶部

Claims (2)

  1. 車両に取り付けられる軸受装置であって、
    環状の第1軌道面を外周面に有する第1軌道部材と、
    前記第1軌道部材の外周に配置され、前記第1軌道面と対向する環状の第2軌道面を内周面に有する第2軌道部材と、
    前記第1軌道部材と前記第2軌道部材との間に配置され、前記第1軌道面及び前記第2軌道面に接触角をもって接触する複数の転動体と、
    前記第1軌道部材の軸方向の一端部に配置される押圧部材と、
    前記軸受装置への入力荷重と前記押圧部材の押圧力との予め定められた対応関係に基づき、前記車両の走行状態に応じた前記入力荷重から前記押圧力を特定して、特定した前記押圧力で前記第1軌道部材を押圧するように前記押圧部材を制御する制御部と、
    前記対応関係を記憶する記憶部と、
    を備え、
    前記対応関係は、前記軸受装置への前記入力荷重に対する前記転動体の接触角の変動を抑制すべく、前記軸受装置への前記入力荷重の変化に対して前記第1軌道部材と前記第2軌道部材との相対的な傾きが線形に変化するように、前記入力荷重に応じて前記押圧力が定まる関係であり、
    前記制御部は、前記車両が直進状態である場合、前記第1軌道部材を押圧しないように前記押圧部材を制御する、軸受装置。
  2. 車両に取り付けられる軸受装置の制御方法であって、
    前記軸受装置は、
    環状の第1軌道面を外周面に有する第1軌道部材と、
    前記第1軌道部材の外周に配置され、前記第1軌道面と対向する環状の第2軌道面を内周面に有する第2軌道部材と、
    前記第1軌道部材と前記第2軌道部材との間に配置され、前記第1軌道面及び前記第2軌道面に接触角をもって接触する複数の転動体と、
    前記第1軌道部材の軸方向の一端部に配置される押圧部材と、
    を備え、
    前記制御方法は、
    前記軸受装置への入力荷重に対する前記転動体の接触角の変動を抑制すべく、前記軸受装置への前記入力荷重の変化に対して前記第1軌道部材と前記第2軌道部材との相対的な傾きが線形に変化するように定められた、前記軸受装置への前記入力荷重と前記押圧部材の押圧力との対応関係を記憶する記憶工程と、
    前記対応関係に基づき、前記車両の走行状態に応じた前記入力荷重から前記押圧力を特定して、特定した前記押圧力で前記第1軌道部材を押圧するように前記押圧部材を制御する制御工程と、
    を備え、
    前記制御工程は、
    前記車両が直進状態である場合、前記第1軌道部材を押圧しないように前記押圧部材を制御する工程を含む、軸受装置の制御方法。
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