JP6631156B2 - フォトマスクの作製方法、フォトマスクデータ処理装置及びプログラム - Google Patents

フォトマスクの作製方法、フォトマスクデータ処理装置及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、フォトマスクの作製方法、フォトマスクデータ処理装置及びプログラムに関する。
例えば集積回路の回路パターンは、一般に、フォトリソグラフィによって形成される。フォトリソグラフィでは、まず、集積回路用基板上に金属膜が積層され、その上にレジストが積層される。次いで、紫外線等の光がフォトマスクを介してレジストに所定のパターンで照射され、レジストが現像されることにより基板上にレジストパターンが形成される。次いで、レジストパターンをマスクとして金属膜がエッチングされることにより、回路パターンが形成される。
このようなフォトリソグラフィにおいて用いられるフォトマスクは、一般に、描画、現像及びエッチングを経て作製される。具体的には、まず、基板上にレジストが積層され、レジストが所望のマスクパターンに対応する描画パターンで電子線によって描画される。次いで、レジストが現像されることにより基板上にレジストパターンが形成される。次いで、レジストパターンをマスクとして基板がエッチングされ、これにより、マスクパターンが形成されたフォトマスクが完成する。
このようなフォトマスクの作製では、各工程がエラー要素を有しているため、エラー要素を修正する処理を行わない限り、実際のマスクパターンは、通常、所望のマスクパターンに一致しない。例えば、描画工程では、電子線がレジスト中に広がりながら貫通する前方散乱と、電子線が基板から光源側に広がりながら反射する後方散乱とが生じ、レジストパターンの寸法誤差ないし形状誤差が生じ、その結果、マスクパターンの寸法誤差ないし形状誤差が生じ得る。また、エッチング工程では、プラズマエッチングである場合に、レジストパターン中の露出部の間口が狭いとイオンが入りにくく基板に形成されるパターンが不所望に縮小するマイクロローディングと呼ばれる現象が生じ、マスクパターンの寸法誤差ないし形状誤差が生じ得る。これらの誤差によって、マスクパターンが、所望のマスクパターンに一致しない場合がある。
したがって、フォトマスクの作製では、従来より、各工程におけるエラー量を演算し、このエラー量を相殺するように事前に描画パターンを規定する描画データを補正する技術が用いられている。このような技術は、マスクプロセス補正(MPC:Mask Process Correction)と呼ばれる。例えば、特許文献1には、描画パターンのパターン幅と周辺面積密度との組合せでマイクロローディングを予測(シミュレーション)し、予測したマイクロローディングのエラー量を相殺するように描画データを補正するMPC関連技術が提案されている。
特開2003−195478号公報
特許文献1に係る技術は、ナノ〜マイクロメートルオーダに対応するローカルスケールで生じる寸法誤差ないし形状誤差をシミュレーションして、補正を行うことが可能な技術であるが、フォトマスクの作製においては、ミリ〜センチメートルオーダに対応するグローバルスケールでの寸法誤差ないし形状誤差が生じる現象が存在する。具体的には例えば、描画工程において電子線が描画装置内で多重散乱するフォギング現象や、エッチング工程においてチャンバ内のプラズマや反応生成物等の状態分布によって基板におけるエッチングの進み方が変化するローディング現象等は、グローバルスケールでの誤差を生じさせ得る現象として挙げられる。
このようなグローバルスケールで生じ得るエラーを補正する技術としては、描画装置によるドーズ量の調整等が挙げられる。しかしながら、このような補正は、ローカルスケールでの寸法誤差ないし形状誤差を考慮したものではなく、ローカルスケールの補正技術と併用したとしても、互いに関連性がない。そのため、ドーズ量の調整、又はこれとローカルスケールのMPCを行ったとしても、所望のマスクパターンを精度良く形成することができる描画データが必ず得られるわけではない。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであって、所望のマスクパターンが精度良く形成されたフォトマスクを作製することができるフォトマスクの作製方法、フォトマスクデータ処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製するフォトマスクの作製方法において、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、前記補正描画データを用いて前記フォトマスク用基材上のレジストに対して描画を行う描画工程と、前記描画工程にてレジスト上に描画された描画パターンを現像する現像工程と、前記現像工程にて現像されたレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うエッチング工程と、を備え、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、前記マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する面内位置依存型パラメータとなっており、当該面内位置依存型パラメータは、前記マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されている、フォトマスクの作製方法、である。
前記面内位置依存型パラメータは、実際の描画領域における複数の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンの寸法の実測値と、前記位置関数と前記位置関数パラメータとで規定される前記面内位置依存型パラメータを含む前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数において、前記位置関数パラメータに初期値を設定し、当該初期値が設定された前記面内位置依存型パラメータを含む前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果と、の各領域毎の誤差量を、最小化するように求められた、前記初期値から補正された前記位置関数パラメータと、前記位置関数とで規定されていてもよい。
また、本発明は、フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製するフォトマスクの作製方法において、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、前記補正描画データを用いて前記フォトマスク用基材上のレジストに対して描画を行う描画工程と、前記描画工程にてレジスト上に描画された描画パターンを現像する現像工程と、前記現像工程にて現像されたレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うエッチング工程と、を備え、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数が、前記マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、前記複数の領域の代表点毎に設定される前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、前記複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている、フォトマスクの作製方法、である。
前記領域固有パラメータは、前記複数の領域に対応する実際の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンの寸法の実測値と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての各前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果と、の各領域毎の誤差量を、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータに置き換えられた際に、最小化するように求められた値であり、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数のうちの前記領域固有パラメータを含む関数は、対応する前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数のうちの少なくとも1つ以上のパラメータを、前記最小化するように求められた値である前記領域固有パラメータに置き換えてなる、ものであってもよい。
前記複数の領域は格子状に配置され、前記補正描画データ演算工程では、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数の固定値のパラメータが、前記所望点に隣接する複数の前記代表点に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータを線形補間することで特定したパラメータに置き換えられた各関数を用いて実行する、ようになっていてもよい。
前記補正描画データ演算工程では、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記所望点が含まれる前記領域に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行する、ようになっていてもよい。
前記補正描画データ演算工程では、前記所望のマスクパターンと、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記設計描画データに基づくシミュレーション結果と、の誤差量を、所定値以下とする描画パターンの形状を規定する描画データを前記補正描画データとして求めると共に、当該補正描画データに対応する描画時のドーズ量を求める、ようになっていてもよい。
また、本発明は、フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製する際に用いる描画データを取得するためのフォトマスクデータ処理装置であって、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得部と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算部と、を備え、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、前記マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する面内位置依存型パラメータとなっており、当該面内位置依存型パラメータは、前記マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されている、フォトマスクデータ処理装置、である。
前記面内位置依存型パラメータは、実際の描画領域における複数の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンの寸法の実測値と、前記位置関数と前記位置関数パラメータとで規定される前記面内位置依存型パラメータを含む前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数において、前記位置関数パラメータに初期値を設定し、当該初期値が設定された前記面内位置依存型パラメータを含む前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果と、の各領域毎の誤差量を、最小化するように求められた、前記初期値から補正された前記位置関数パラメータと、前記位置関数と、で規定されていてもよい。
また、本発明は、フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製する際に用いる描画データを取得するためのフォトマスクデータ処理装置であって、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得部と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算部と、を備え、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数が、前記マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、前記複数の領域の代表点毎に設定される前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、前記複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている、フォトマスクデータ処理装置、である。
前記領域固有パラメータは、前記複数の領域に対応する実際の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンの寸法の実測値と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての各前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果と、の各領域毎の誤差量を、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータに置き換えられた際に、最小化するように求められた値であり、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数のうちの前記領域固有パラメータを含む関数は、対応する前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数のうちの少なくとも1つ以上のパラメータを、前記最小化するように求められた値である前記領域固有パラメータに置き換えてなる、ものであってもよい。
前記複数の領域は格子状に配置され、前記補正描画データ演算部は、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数の固定値のパラメータが、前記所望点に隣接する複数の前記代表点に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータを線形補間することで特定したパラメータに置き換えられた各関数を用いて実行する、ようになっていてもよい。
前記補正描画データ演算部は、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記所望点が含まれる前記領域に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行する、ようになっていてもよい。
また、本発明は、フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製する際に用いる描画データを取得するためのプログラムであって、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、をコンピュータに実行させ、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、前記マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する面内位置依存型パラメータとなっており、当該面内位置依存型パラメータは、前記マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されている、プログラム、である。
また、本発明は、フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製する際に用いる描画データを取得するためのプログラムであって、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、をコンピュータに実行させ、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数が、前記マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、前記複数の領域の代表点毎に設定される前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、前記複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている、プログラム、である。
本発明によれば、所望のマスクパターンが精度良く形成されたフォトマスクを作製することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るフォトマスク製造システムの概略図である。 図1に示すフォトマスク製造システムに設けられるフォトマスクデータ処理装置の機能構成図である。 第1の実施の形態に係るフォトマスクの作製方法を説明するフローチャートである。 図3に示すフォトマスクの作製方法において実行される描画シミュレーションを説明するフローチャートである。 図3に示すフォトマスクの作製方法において実行される現像シミュレーションを説明するフローチャートである。 図3に示すフォトマスクの作製方法において実行されるエッチングシミュレーションを説明するフローチャートである。 第1の実施の形態において用いられる各シミュレーション関数の導出の様子を説明する概念図である。 第1の実施の形態において用いられるシミュレーション関数のパラメータの様子を説明する概念図である。 第2の実施の形態において用いられる各シミュレーション関数の導出の様子を説明する概念図である。 第2の実施の形態において用いられるシミュレーション関数のパラメータの様子を説明する概念図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
(製造システム)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るフォトマスク製造システム1を示している。図1に示すように、フォトマスク製造システム1は、フォトマスク用基材100上の加工膜に積層されたレジストに電子線によって所定の描画パターンを描画する描画装置2と、描画装置2によって描画されたレジストを例えば溶剤により現像してレジストパターンを形成する現像装置3と、レジストパターンをマスクとしてフォトマスク用基材100上の加工膜を例えばプラズマによりドライエッチングするエッチング装置4と、描画装置2に描画パターンに対応する(描画パターンを規定する)描画データ、詳しくは後述する補正描画データを出力するフォトマスクデータ処理装置5と、を備えている。
この製造システム1では、フォトマスクデータ処理装置5から出力される描画データが規定する描画パターンを描画装置2がレジストに描画し、その後、現像装置3による現像及びエッチング装置4によるエッチングが行われる。これにより、マスクパターンが形成されたフォトマスク101が作製される。フォトマスク用基材100上の加工膜は、金属膜等であるが、特に限定されるものでない。なお、本実施の形態において、マスクパターンは、フォトマスクにおいて形成される所定の形状を意味する。描画パターンは、描画装置2がレジストを電子線によって描画する形状を意味する。描画データは、描画パターンを規定する情報を意味する。
(フォトマスクデータ処理装置)
次にフォトマスクデータ処理装置5について説明する。フォトマスクデータ処理装置5(以下、処理装置5と呼ぶ。)は、所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを補正し、当該補正した補正描画データを描画装置2に出力するようになっている。元描画パターンは、何ら補正がなされていない初期の描画パターンを意味する。この元描画パターンは、典型的には、所望のマスクパターンの形状と同一の形状、又は、所望のマスクパターンの形状を例えば極小の矩形等の幾何学図形で近似させて表現した形状とされる。所望のマスクパターンに対応する元描画データを何ら補正せずに、このデータに基づき描画装置2が元描画データで規定される所定の描画パターンをレジストに描画し、その後、現像及びエッチングが行われたとしても、形成されるフォトマスク上のマスクパターンは、通常、所望のマスクパターンに一致しない。したがって、処理装置5は、元描画データを補正した補正描画データを描画装置2に出力するようになっている。
図2に示すように、処理装置5は、元描画データ取得部6と、補正描画データ演算部7と、を有している。元描画データ取得部6は、外部から「所望のマスクパターン」に対応する元描画データを取得し、補正描画データ演算部7に出力する。補正描画データ演算部7は、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、「所望のマスクパターン」が得られる補正描画データを求める。
詳しくは、補正描画データ演算部7は、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての元描画データに基づくシミュレーションを実行し、シミュレーション結果を得る。そして、補正描画データ演算部7は、このシミュレーション結果を「所望のマスクパターン」と比較して、誤差量を評価し、誤差量が十分に小さくなるまで、元描画データによって規定される初期の元描画パターンの形状を1回または段階的に(通常は、段階的に)修正して補正描画データを得ると共に、描画条件を修正するようになっている。なお、本実施の形態において、描画条件の修正とは、電子線のドーズ量の初期設定に対する修正を意味する。
ここで、本実施の形態では、上述のシミュレーションで用いられる描画シミュレーション関数が1つ以上のパラメータを含み、現像シミュレーション関数が1つ以上のパラメータを含み、エッチングシミュレーション関数が1つ以上のパラメータを含む。そして、これら描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する面内位置依存型パラメータとなっている。面内位置依存型パラメータは、マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されているパラメータであり、上述の領域内の位置に応じて、その値が必ずしも一致しないパラメータである。
なお、本実施の形態に係る処理装置5は、コンピュータであり、CPU、ROM、RAM等を含んで構成される。上述の各機能部6,7は、CPU、ROM、RAM等によって実現される。
(フォトマスクの作製方法)
図3は、本実施の形態に係るフォトマスクの作製方法を説明するフローチャートを示している。
図3に示すように、本実施の形態に係るフォトマスクの作製方法では、まず、ステップS31において、処理装置5の元描画データ取得部6が、外部から所望のマスクパターンに対応する元描画データを取得し、補正描画データ演算部7に出力する。
次いで、ステップS32において、補正描画データ演算部7は、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての元描画データに基づくシミュレーションを実行する。このステップS32における最初のシミュレーションは、元描画データによって規定される何ら補正が行われていない初期の描画パターンを用いて、且つ電子線のドーズ量を初期値に設定した状態で実行される。
次いで、ステップS33において、補正描画データ演算部7は、ステップS32のシミュレーション結果、すなわちシミュレーションによるマスクパターンと、描画データ取得部6が取得した元描画データに対応する所望のマスクパターンとを比較して、誤差量を評価する。
次いで、本実施の形態では、ステップS34において、補正描画データ演算部7が、ステップS33で得られた誤差量が所定値以下か否かを判定する。ここで、所定値以下である場合には、処理がステップS36に進み、所定値より大きい場合には、処理がステップS35に進む。
誤差量が所定値より大きい場合のステップS35では、補正描画データ演算部7が、ステップS32のシミュレーションで用いた描画パターンの形状を修正すると共に、必要に応じて電子線のドーズ量を初期値から修正する。なお、本実施の形態では、誤差量の大きさや位置に応じて、所定の基準で、描画パターン及びドーズ量の修正が行われるが、ドーズ量の修正は行わなくてもよい。
そして、ステップS35で修正が行われた後には、処理がステップS32に戻り、補正描画データ演算部7が、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについてのステップS35での修正が反映された描画データに基づくシミュレーションを実行する。そして、ステップS33において、補正描画データ演算部7は、ステップS32のシミュレーション結果と、描画データ取得部6が取得した元描画データに対応する所望のマスクパターンとを比較して、誤差量を評価し、その後、誤差量が、所定値以下か否かを判定する。以上のようにステップS32、S33、S34、S35が繰り返されることにより、所望のパターンが得られる補正描画データが得られる。なお、本実施の形態では、ステップS33で得られた誤差量が所定値以下か否かを判定することで、補正描画データを決定するが、ステップS32、S33、S34、S35が所定回数だけ繰り返された場合の描画データが所望のパターンが得られる補正描画データとして決定されてもよい。
そして、所望のパターンが得られる補正描画データが得られた場合、ステップS36において、補正描画データ演算部7は、描画装置2に補正描画データを出力する。その後、ステップS37において描画装置2による描画が行われ、ステップS38において現像装置3による現像が行われ、ステップS39においてエッチング装置4によるエッチングが行われる。これにより、所望のパターンが形成されたフォトマスクが作製されることになる。
(描画・現像・エッチングシミュレーション)
以下では、本実施の形態に製造方法における、描画、現像、エッチングの各シミュレーションの流れについて詳述する。
本実施の形態における描画シミュレーションでは、電子線の描画時の前方散乱及び後方散乱を考慮した、描画時にレジストに蓄積されるドーズ潜像量を計算する。図4に示すように、この描画シミュレーションでは、まず、ステップS41において、補正描画データ演算部7が、描画パターンを読み込む。ここで、読み込まれる描画パターンは、元描画データによって規定される初期の描画パターン又は当該描画パターンがステップS35で修正された描画パターンである。
次いで、ステップS42において、補正描画データ演算部7は、ステップS41で読み込んだ描画パターンで電子線が照射された際の前方散乱を考慮したドーズ潜像量を計算するために用いる描画パターンの面積密度マップ1を作成する。面積密度は、描画パターンをメッシュで区分けし、1つのメッシュ内に存在するパターンの面積を1つのメッシュの面積で除したものであり、面積密度マップは、面積密度の描画パターン全体における分布を示すものである。
次いで、ステップS43において、補正描画データ演算部7は、ステップS42で作成した面積密度マップ1と、描画シミュレーション関数とを用いた描画シミュレーションを実行し、前方散乱を考慮したドーズ潜像量のマップ(前方散乱マップ)を計算する。なお、この例における描画シミュレーション関数には、前方散乱を考慮した描画シミュレーション関数と、後方散乱を考慮した描画シミュレーション関数と、が含まれている。ステップS43におけるシミュレーションは、前方散乱を考慮した描画シミュレーション関数を用いて実行される。この前方散乱を考慮した描画シミュレーション関数には、1つ以上のパラメータが含まれている。また、前方散乱マップとは、描画パターン全体における前方散乱を考慮したドーズ潜像量の分布を示すものである。
次いで、ステップS44において、補正描画データ演算部7は、ステップS41で読み込んだ描画パターンで電子線が照射された際の後方散乱を考慮したドーズ潜像量を計算するために面積密度マップ2を作成する。
次いで、ステップS45において、補正描画データ演算部7は、ステップS44で作成した面積密度マップ2と、描画シミュレーション関数とを用いた描画シミュレーションを実行し、後方散乱を考慮したドーズ潜像量のマップ(後方散乱マップ)を計算する。ステップS45におけるシミュレーションは、後方散乱を考慮した描画シミュレーション関数を用いて実行される。この後方散乱を考慮した描画シミュレーション関数には、1つ以上のパラメータが含まれている。また、後方散乱マップとは、描画パターン全体における後方散乱を考慮したドーズ潜像量の分布を示すものである。
そして、ステップS46において、補正描画データ演算部7は、ステップS43で計算した前方散乱マップと、ステップS45で計算した後方散乱マップとを足し合わせることで、描画時にレジストに蓄積されるドーズ潜像マップを計算する。このドーズ潜像マップは、現像シミュレーションにおいて用いられる。ドーズ潜像マップは、描画パターン全体における前方散乱及び後方散乱を考慮したドーズ潜像量の分布を示すものである。
続いて、図5に示すように、現像シミュレーションでは、まず、ステップS51において、補正描画データ演算部7が、描画パターンを読み込む。ここで、読み込まれる描画パターンは、元描画データによって規定される初期の描画パターン又は当該描画パターンがステップS35で修正された描画パターンである。
次いで、ステップS52において、補正描画データ演算部7は、ステップS51で読み込んだ描画パターンのパターン形状に基づき、現像ローディング量を計算するための面積密度マップ3を作成する。現像ローディングは、現像時にパターンの面積密度等に応じてレジストパターンの形状が変化する現象である。したがって、現像ローディング量を見積もるには、パターンの面積密度が考慮されるべきであるため、ステップS52では、面積密度マップ3を作成する。
次いで、ステップS53において、補正描画データ演算部7は、ステップS52で作成した面積密度マップ3と、現像シミュレーション関数とを用いて、現像ローディングに関する現像シミュレーションを実行し、現像ローディングマップを計算する。なお、この例における現像シミュレーション関数には、現像ローディングマップを計算するための現像シミュレーション関数と、計算された現像ローディングマップからレジストの解像閾値マップを計算するための現像シミュレーション関数と、解像閾値マップとドーズ潜像マップとからレジストパターンを計算するための現像シミュレーション関数と、が含まれている。ステップS53において用いられる現像ローディングマップを計算するための現像シミュレーション関数には、1つ以上のパラメータが含まれている。当該関数は、面積密度マップ3から、面積密度に応じた現像ローディング量を計算できる。
次いで、ステップS54において、補正描画データ演算部7は、ステップS53で計算した現像ローディングマップと、レジストの解像閾値マップを計算するための現像シミュレーション関数とを用いて、解像閾値マップを計算する。現像ローディング量は、パターンの面積密度に応じて、レジストが解像するために必要なドーズ潜像量を変化させる指標ともいえる。したがって、ここで計算される現像ローディングマップを考慮した解像閾値マップを用いることによって、ドーズ潜像量に応じたレジストパターンの形状を正確に計算できることになる。なお、この例では、ここで用いられる解像閾値マップを計算するための現像シミュレーション関数には、1つ以上のパラメータが含まれている。
次いで、ステップS55において、補正描画データ演算部7は、描画シミュレーションで計算したドーズ潜像マップ(S46)を読み込む。そして、ステップS56において、補正描画データ演算部7は、読み込んだドーズ潜像マップと上述の解像閾値マップとに基づき、レジストパターンを計算するための現像シミュレーション関数を用いて、レジストパターンを計算する。このレジストパターンは、エッチングシミュレーションにおいて用いられる。
続いて、図6に示すように、エッチングシミュレーションでは、まず、ステップS61において、補正描画データ演算部7が、現像シミュレーションで計算されたレジストパターンを読み込む。
次いで、ステップS62において、補正描画データ演算部7は、ステップS61で読み込んだレジストパターンの形状と、エッチングシミュレーション関数とを用いてエッチング量を計算する。ここで用いられるエッチングシミュレーション関数には、1つ以上のパラメータが含まれている。
そして、ステップS63において、補正描画データ演算部7は、ステップS62で計算したエッチング量を基に、レジストパターンを変形させることで、シミュレーションによるマスクパターンを形成する。このシミュレーションによるマスクパターンが、描画データ取得部6が取得した元描画データに対応する所望のマスクパターンと比較されて、誤差量が評価され(S32)、その後、補正描画データが特定されることになる。
(シミュレーション関数の導出方法)
次に、本実施の形態におけるシミュレーションに用いられる描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数について説明する。上述したように、本実施の形態では、シミュレーションで用いられる描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する面内位置依存型パラメータとなっており、この面内位置依存型パラメータは、マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されている。
本実施の形態において、面内位置依存型パラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数は、当該面内位置依存型パラメータを含むシミュレーション関数において、位置関数パラメータに初期値を設定して行うシミュレーションと、実験値と、の誤差量に基づき導出されている。
すなわち、図7に示すように、本実施の形態では、まず、実際の描画領域における複数の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンA〜Aの寸法の実測値を求める。次いで、位置関数と位置関数パラメータとで規定される面内位置依存型パラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数において、位置関数パラメータに初期値を設定し、当該初期値が設定された面内位置依存型パラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果を求める。
そして、上述の実測値とシミュレーション結果との、各領域毎の誤差量を求める。そして、これら誤差量を最小化するように、上述の初期値を補正した位置関数パラメータを求める。そして、誤差量を最小化したものと評価される位置関数パラメータと位置関数とで、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれる少なくとも1つ以上のパラメータを表現する。このように表現された描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数は、上述の誤差量を最小化するシミュレーションを行うものとして機能することになる。
なお、本実施の形態におけるシミュレーションに用いられる描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数においては、各関数のパラメータの全てが、面内位置依存型パラメータに置き換えられなくてもよい。例えば、上述の実測値と、シミュレーション結果との、各領域毎の誤差量を最小化できるのであれば、例えば、描画シミュレーション関数に含まれるパラメータのみが、面内位置依存型パラメータに置き換えられてもよく、他の現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータは、固定値であってもよい。また、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数の全てのパラメータが、面内位置依存型パラメータに置き換えられてもよい。
以下に、面内位置依存型パラメータが適用された描画シミュレーション関数の具体例を説明する。まず、以下の式1及び式2は、含まれる全てのパラメータが固定値である従来型描画シミュレーション関数の一例を示している。
このような従来型描画シミュレーション関数に対して、本実施の形態に係る面内位置依存型パラメータを含む描画シミュレーション関数は、以下の式3及び式4で表される。
なお、式3及び式4において、位置関数fp1(x,y)では、位置座標x,yのみで定まる値が算出される。位置関数fp2(x,y)では、位置座標x,y及びパターン面積密度のみで定まる値が算出される。位置関数fp3(x,y)では、位置座標x,y及びエッジ長密度のみで定まる値が算出される。なお、エッジ長密度は、元描画パターンから計算することができる。
また図8は、上述の描画シミュレーション関数のパラメータ(σf,σb)の様子を説明する概念図である。図8(A)及び図8(B)における濃淡は、パラメータの値が描画領域において異なっていることを示している。面内位置依存型パラメータは、図8(A),(B)に示されるように、描画領域の位置に応じた変化を、位置関数と位置関数パラメータで表すようになっている。
以上に説明した実施の形態では、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める。ここで、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する面内位置依存型パラメータとなっており、当該面内位置依存型パラメータは、マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されている。
このような面内位置依存型パラメータが含まれるシミュレーション関数では、その面内位置依存型パラメータが、実際に形成されたパターンの実測値に基づき、ローカルスケールの誤差とグローバルスケールの誤差とを最小化し得る、マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する値(パラメータ)を適正に表現する或いは設定することで、ローカルスケールの誤差とグローバルスケールの誤差との双方を考慮した、マスクパターンについてシミュレーションを実行することが可能となる。
したがって、本実施の形態では、上述のような面内位置依存型パラメータを含むシミュレーション関数を用いてマスクパターンについてシミュレーションを実行することにより、シミュレーションの精度が向上する。そのため、正確な補正描画データを得ることができ、その結果、所望のマスクパターンが精度良く形成されたフォトマスクを作製することができる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、マスクパターンについてのシミュレーションに用いる描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数が、マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、これら複数の領域の代表点毎に設定される描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている。
図9を参照し、本実施の形態では、まず、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数が各別に設定される複数の領域に対応する実際の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンA〜Aの寸法の実測値を求める。本実施の形態においては、各領域に対して必ず一つのテストパターンを挿入しなければならない。次いで、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての各テスト描画データに基づくシミュレーション結果を求める。
そして、上述の実測値とシミュレーション結果との、各領域毎の誤差量を求める。そして、これら誤差量を最小化するように、上述の基本描画シミュレーション関数、基本現像シミュレーション関数および基本エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータの値を補正する。そして、誤差量を最小化したものと評価される、補正された少なくとも1つ以上のパラメータを、領域固有パラメータとする。すなわち、領域固有パラメータは、上述の誤差量を、基本描画シミュレーション関数、基本現像シミュレーション関数および基本エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータに置き換えられた際に、最小化するように求められた値となる。つまり、本実施の形態における描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数のうちの領域固有パラメータを含む関数は、対応する基本描画シミュレーション関数、基本現像シミュレーション関数および基本エッチングシミュレーション関数のうちの少なくとも1つ以上のパラメータを、上述の最小化するように求められた値である領域固有パラメータに置き換えてなる。
本実施の形態では、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数が各別に設定される複数の領域が、格子状に配置されている。図9は、領域固有パラメータの様子を説明する概念図である。濃淡は、パラメータの値が異なっていることを示している。複数の領域の描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれる領域固有パラメータは、領域毎に異なる値をとり得る。
なお、描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数が各別に設定される複数の領域が格子状に配置されている場合には、各領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、基本描画シミュレーション関数、基本現像シミュレーション関数および基本エッチングシミュレーション関数の固定値のパラメータが、所望点に隣接する複数の代表点に設定された描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータを線形補間することで特定したパラメータに置き換えられた各関数を用いて実行してもよい。
一方で、各領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、所望点が含まれる領域に設定された描画シミュレーション関数、現像シミュレーション関数およびエッチングシミュレーション関数を用いて実行してもよい。
本実施の形態によれば、柔軟なパラメータ分布の表現が可能となり、シミュレーションの精度を向上させることができる。
以上、本発明の一実施の形態及びその変形例を説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々の変更を加えることが可能である。なお、本実施の形態では、処理装置5の各機能がソフトウェアで構成される。ソフトウェアで構成する場合には、処理装置5の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
1 フォトマスク製造システム
2 描画装置
3 現像装置
4 エッチング装置
5 フォトマスクデータ処理装置
6 描画データ取得部
7 補正描画データ演算部
100 フォトマスク用基材
101 フォトマスク

Claims (10)

  1. フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製するフォトマスクの作製方法において、
    所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、
    描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、
    前記補正描画データを用いて前記フォトマスク用基材上のレジストに対して描画を行う描画工程と、
    前記描画工程にてレジスト上に描画された描画パターンを現像する現像工程と、
    前記現像工程にて現像されたレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うエッチング工程と、
    を備え、
    前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数が、前記マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、前記複数の領域の代表点毎に設定される前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、前記複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている、
    フォトマスクの作製方法。
  2. 前記領域固有パラメータは、前記複数の領域に対応する実際の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンの寸法の実測値と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての各前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果と、の各領域毎の誤差量を、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータに置き換えられた際に、最小化するように求められた値であり、
    前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数のうちの前記領域固有パラメータを含む関数は、対応する前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数のうちの少なくとも1つ以上のパラメータを、前記最小化するように求められた値である前記領域固有パラメータに置き換えてなる、
    請求項に記載のフォトマスクの作製方法。
  3. 前記複数の領域は格子状に配置され、
    前記補正描画データ演算工程では、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数の固定値のパラメータが、前記所望点に隣接する複数の前記代表点に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータを線形補間することで特定したパラメータに置き換えられた各関数を用いて実行する、
    請求項に記載のフォトマスクの作製方法。
  4. 前記補正描画データ演算工程では、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記所望点が含まれる前記領域に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行する、
    請求項又はに記載のフォトマスクの作製方法。
  5. フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製するフォトマスクの作製方法において、
    所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、
    描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、
    前記補正描画データを用いて前記フォトマスク用基材上のレジストに対して描画を行う描画工程と、
    前記描画工程にてレジスト上に描画された描画パターンを現像する現像工程と、
    前記現像工程にて現像されたレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うエッチング工程と、
    を備え、
    前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータが、前記マスクパターンが形成される領域内での位置に応じて変化する関数として表現される面内位置依存型パラメータとなっており、当該面内位置依存型パラメータは、前記マスクパターンが形成される領域における位置を変数とする位置関数と当該位置関数に含まれる位置関数パラメータとで規定されており、
    前記補正描画データ演算工程では、前記所望のマスクパターンと、前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーション結果と、の誤差量を、所定値以下とする描画パターンの形状を規定する描画データを前記補正描画データとして求めると共に、当該補正描画データに対応する描画時のドーズ量を求めるフォトマスクの作製方法。
  6. フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製する際に用いる描画データを取得するためのフォトマスクデータ処理装置であって、
    所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得部と、
    描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算部と、
    を備え、
    前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数が、前記マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、前記複数の領域の代表点毎に設定される前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、前記複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている、
    フォトマスクデータ処理装置。
  7. 前記領域固有パラメータは、前記複数の領域に対応する実際の領域にテスト描画データを描画し、現像およびエッチングを経て形成されたテストパターンの寸法の実測値と、描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含み当該パラメータが固定値である基本エッチングシミュレーション関数を用いて実行した、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての各前記テスト描画データに基づくシミュレーション結果と、の各領域毎の誤差量を、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータに置き換えられた際に、最小化するように求められた値であり、
    前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数のうちの前記領域固有パラメータを含む関数は、対応する前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数のうちの少なくとも1つ以上のパラメータを、前記最小化するように求められた値である前記領域固有パラメータに置き換えてなる、
    請求項に記載のフォトマスクデータ処理装置。
  8. 前記複数の領域は格子状に配置され、
    前記補正描画データ演算部は、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記基本描画シミュレーション関数、前記基本現像シミュレーション関数および前記基本エッチングシミュレーション関数の固定値のパラメータが、前記所望点に隣接する複数の前記代表点に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータを線形補間することで特定したパラメータに置き換えられた各関数を用いて実行する、
    請求項に記載のフォトマスクデータ処理装置。
  9. 前記補正描画データ演算部は、前記領域の代表点とは異なる所望点におけるシミュレーションを、前記所望点が含まれる前記領域に設定された前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数を用いて実行する、
    請求項又はに記載のフォトマスクデータ処理装置。
  10. フォトマスク用基材上に加工膜およびレジストを形成し、描画、現像およびエッチングにより加工膜にマスクパターンを形成してフォトマスクを作製する際に用いる描画データを取得するためのプログラムであって、
    所望のマスクパターンに対応する元描画パターンを規定する元描画データを取得する元描画データ取得工程と、
    描画シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む描画シミュレーション関数、現像シミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含む現像シミュレーション関数、およびエッチングシミュレーションを実行するための1つ以上のパラメータを含むエッチングシミュレーション関数を用いて、描画、現像およびエッチングにより形成されるマスクパターンについての前記元描画データに基づくシミュレーションを実行することにより、前記所望のマスクパターンが得られる補正描画データを求める補正描画データ演算工程と、
    をコンピュータに実行させ、
    前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数が、前記マスクパターンが形成される領域において分割された複数の領域の代表点毎に設定されると共に、前記複数の領域の代表点毎に設定される前記描画シミュレーション関数、前記現像シミュレーション関数および前記エッチングシミュレーション関数に含まれるパラメータのうちの少なくとも1つ以上のパラメータは、前記複数の領域毎に特有の領域固有パラメータとして特定されている、
    プログラム。
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