JP6627538B2 - 蓄冷熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒を蒸発させる蓄冷熱交換器に関する。
従来、空調装置には、冷凍サイクル装置が用いられている。この冷凍サイクル装置が停止している状態においても、限定された冷房を提供する試みがなされている。例えば、車両用空調装置では、走行用エンジンによって冷凍サイクル装置が駆動される。このため、車両が一時的に停車している間に、エンジンが停止すると、冷凍サイクル装置が停止する。このような一時的な停車中に、限定された冷房を提供するために、蒸発器に蓄冷材を付加した蓄冷熱交換器が提案されている。例えば、特許文献1に記載の蓄冷熱交換器が知られている。
特開2013−224153号公報
上記従来の技術では、蓄冷材を蓄冷材容器に収容し、蓄冷材容器を冷媒流路間に配置している。蓄冷材容器への蓄冷材の充填口は、冷媒流路を通る空気の流れ方向に沿って、蓄冷材容器の側方に設けられている。充填口は、蓄冷材容器の重力方向上方側に設けられているけれども、蓄冷材を充填口よりも上までは充填することができなかった。そのため、冷媒流路と蓄冷材容器とが接触する領域に対して、実際に蓄冷材容器中に蓄冷材が配置される領域は小さくならざるを得ず、蓄冷までの時間がかかることに加え、放冷ポテンシャルも低いものであった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放冷ポテンシャルを向上することが可能な蓄冷熱交換器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る蓄冷熱交換器は、冷媒を蒸発させる蓄冷熱交換器(40)であって、冷媒通路を有し、互いに間隔をあけて空気通路が形成されるように配置されている複数の冷媒流路(45)と、複数の冷媒流路の一端側が連通するように設けられてなる第1ヘッダタンク(41,41C,43,43C)と、複数の冷媒流路の他端側が連通するように設けられてなる第2ヘッダタンク(42,44)と、圧縮機(10)の駆動時に減圧器(30)によって減圧された冷媒が蒸発することで冷却される一方で、圧縮機の停止時に放冷する蓄冷材(60)を収容する蓄冷材容器(47,47C)と、を備え、蓄冷材容器は空気通路に設けられるとともに、蓄冷材容器とは区画された区画空間(481,481A,481C)が第1ヘッダタンク側に形成されており、蓄冷材容器の内部空間と区画空間とが連通管部によって連通されている。区画空間は、第1ヘッダタンクの外周面と、外周面に当接するように設けられてなる外郭部材(48,48B,48C)と、によって画定されている。第1ヘッダタンクは、風上側に配置される風上側タンク(43,43C)と、風下側に配置される風下側タンク(41,41C)と、を有している。外郭部材は、風上側タンク及び風下側タンクの外周面に当接している。区画空間は、風上側タンクと、風下側タンクと、外郭部材と、によって画定されており、連通管部が風上側タンクと風下側タンクとの間を通るように配置されていることによって空気通路とは離隔されている。
このように構成することで、区画空間側から蓄冷材を蓄冷材容器に供給することが可能となり、蓄冷材容器の上端面近傍まで蓄冷材を充填することができる。また、冷媒流れが速く熱交換しやすい冷媒流路近傍に蓄冷材を多く配置することができる。従って、冷媒流路と蓄冷材とが間接的に接触し熱交換する領域をより広く確保することができるので、放冷ポテンシャルを向上することが可能となる。
本発明によれば、放冷ポテンシャルを向上することが可能な蓄冷熱交換器を提供することができる。
本発明の第1実施形態である蒸発器を用いた冷凍サイクル装置の構成図である。 第1実施形態の蒸発器の平面図である。 第1実施形態の蒸発器の側面図である。 図2のIV−IV線に沿う断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。 図3のV−V線に沿う断面の一部を模式的に示す拡大断面図である。 第2実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 第2実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 第3実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 第3実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 第4実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 第4実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 比較例の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。 比較例の実施形態の蒸発器を模式的に示す拡大断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第1実施形態であって、本発明の蓄冷熱交換器に相当する蒸発器40を用いた冷凍サイクル装置1の構成を示すブロック図である。冷凍サイクル装置1は、車両用の空調装置に用いられる。冷凍サイクル装置1は、圧縮機10、放熱器20、減圧器30、及び蒸発器40を有する。これら構成部品は、配管によって環状に接続され、冷媒循環路を構成する。
圧縮機10は、車両の走行用の動力源2である内燃機関によって駆動されるので、動力源2が停止すると、圧縮機10も停止する。圧縮機10は、蒸発器40から冷媒を吸引し、圧縮し、放熱器20へ吐出する。
放熱器20は、高温冷媒を冷却する。放熱器20は、凝縮器とも呼ばれる。減圧器30は、放熱器20によって冷却された冷媒を減圧する。減圧器30は、固定の絞り、温度式膨張弁、あるいはエジェクタによって提供されうる。
蒸発器40は、減圧器30によって減圧された冷媒を蒸発させ、媒体を冷却する。蒸発器40は、車室に供給される空気を冷却する。冷凍サイクル装置1は、さらに、高圧側液冷媒と低圧側ガス冷媒とを熱交換する内部熱交換、余剰冷媒を蓄えるレシーバまたはアキュムレータのタンク要素を備えることができる。また、動力源2は、内燃機関あるいは電動機によって提供されうる。
図2および図3において、蒸発器40は、複数に分岐した冷媒通路部材を有する。この冷媒通路部材は、アルミニウム等の金属製の通路部材によって提供される。冷媒通路部材は、組をなして位置づけられた第1ヘッダ41、第2ヘッダ42、第3ヘッダ43、第4ヘッダ44と、それらヘッダの間を連結する複数の冷媒流路45とによって提供されている。
図2および図3において、第1ヘッダ41と第2ヘッダ42とは、組をなしており、互いに所定距離離れて平行に配置されている。第3ヘッダ43と第4ヘッダ44とも、組をなしており、互いに所定距離れて平行に配置されている。第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43は重力方向で上方側に配置され、第2ヘッダ42及び第4ヘッダ44は重力方向で下方側に配置されている。第1ヘッダ41は、本発明の風下側タンクに相当し、第3ヘッダ43は、本発明の風上側タンクに相当する。第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43は、本発明の第1ヘッダタンクに相当する。第2ヘッダ42及び第4ヘッダ44は、本発明の第2ヘッダタンクに相当する。
第1ヘッダ41と第2ヘッダ42との間には、複数の冷媒流路45が等間隔に配列されている。各冷媒流路45は、その一端部において対応する第1ヘッダ41、第2ヘッダ42内に連通している。これら第1ヘッダ41と、第2ヘッダ42と、それらの間に配置された複数の冷媒流路45によって第1熱交換部49Aが形成されている。
第3ヘッダ43と第4ヘッダ44との間には、複数の冷媒流路45が等間隔に配列されている。各冷媒流路45は、その他端部において対応する第3ヘッダ43、第4ヘッダ44内に連通している。これら第3ヘッダ43と、第4ヘッダ44と、それらの間に配置された複数の冷媒流路45によって第2熱交換部49Bが形成されている。
この結果、蒸発器40は、2層に配置された第1熱交換部49Aと第2熱交換部49Bとを有する。空気の流れ方向に関して、第2熱交換部49Bが上流側に配置され、第1熱交換部49Aが下流側に配置されている。
第1ヘッダ41の端部には、冷媒入口としてのジョイントが設けられている。第1ヘッダ41内は、その長さ方向のほぼ中央に設けられた仕切板によって、第1区画と第2区画とに区画されている。これに対応して、複数の冷媒流路45は、第1区画に対応した第1群と、第2区画に対応した第2群とに区分されている。
冷媒は、第1ヘッダ41の第1区画に供給される。冷媒は、第1区画から、第1群に属する複数の冷媒流路45に分配される。冷媒は、第1群を通して第2ヘッダ42に流入し、集合される。冷媒は、第2ヘッダ42から、第2群に属する複数の冷媒流路45に再び分配される。冷媒は、第2群を通して第1ヘッダ41の第2区画に流入する。このように、第1熱交換部49Aにおいては、冷媒をU字状に流す流路が形成される。
第3ヘッダ43の端部には、冷媒出口としてのジョイントが設けられている。第3ヘッダ43内は、その長さ方向のほぼ中央に設けられた仕切板によって、第1区画と第2区画とに区画されている。これに対応して、複数の冷媒流路45は、第1区画に対応した第1群と、第2区画に対応した第2群とに区分されている。
第3ヘッダ43の第1区画は、第1ヘッダ41の第2区画に隣接している。第3ヘッダ43の第1区画と第1ヘッダ41の第2区画とは連通している。
冷媒は、第1ヘッダ41の第2区画から、第3ヘッダ43の第1区画に流入する。冷媒は、第1区画から、第1群に属する複数の冷媒流路45に分配される。冷媒は、第1群を通して第4ヘッダ44に流入し、集合される。冷媒は、第4ヘッダ44から、第2群に属する複数の冷媒流路45に再び分配される。冷媒は、第2群を通して第3ヘッダ43の第2区画に流入する。このように、第2熱交換部49においては、冷媒をU字状に流す流路が形成される。第3ヘッダ43の第2区画内の冷媒は、冷媒出口から流出し、圧縮機10へ向けて流れる。
冷媒流路45は、内部に複数の冷媒通路を有する多穴管である。冷媒流路45は、扁平管とも呼ばれる。この多穴管は、押出製法や、板を折り曲げて形成する製法によって得ることができる。複数の冷媒通路は、冷媒流路45の長手方向に沿って延びており、冷媒流路45の両端に開口している。複数の冷媒流路45は、列をなして並べられている。各列において、複数の冷媒流路45は、その主面が対向するように配置されている。複数の冷媒流路45は、互いに隣接する2つの冷媒流路45の間に、空気と熱交換するための空気通路と、後述する蓄冷材容器を収容するための収容部とを区画している。
蒸発器40は、車室へ供給される空気と接触面積を増加させるためのフィン部材を備える。フィン部材は、複数のコルゲート型のフィン46によって提供されている。フィン46は、隣接する2つの冷媒流路45の間に区画された空気通路に配置されている。フィン46は、隣接する2つの冷媒流路45と熱的に結合している。フィン46は、熱伝達に優れた接合材によって、隣接する2つの冷媒流路45に接合されている。接合材としては、ろう材を用いることができる。フィン46は、薄いアルミニウム等の金属板が波状に曲げられた形状をもっており、ルーバーと呼ばれる空気通路を備える。
蒸発器40は、さらに、複数の蓄冷材容器47を有している。蓄冷材容器47は、アルミニウム等の金属製である。蓄冷材容器47は、扁平な筒状である。蓄冷材容器47は、2枚のプレートを合わせることで内部に蓄冷材を収容するための部屋を区画している。蓄冷材容器47は、広い主面を両面に有している。これら2つの主面を提供する2つの主壁は、それぞれが冷媒流路45と平行に配置されている。蓄冷材容器47は、隣接する2つの冷媒流路45の間に配置されている。
図2において、複数の冷媒流路45は、ほぼ一定の間隔で配置されている。それら複数の冷媒流路45の間には、複数の隙間が形成されている。これら複数の隙間には、複数のフィン46と複数の蓄冷材容器47とが、所定の規則性をもって配置されている。隙間のうちの一部は、空気通路である。隙間のうちの残部は、収容部である。収容部には、蓄冷材容器47が配置されている。
続いて、蓄冷材容器47に加えて、蓄冷材容器47に連通する区画空間について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4及び図5に示されるように、冷媒流路45の一端は、第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43の内部に挿入されている。複数配置された冷媒流路45の外側にはサイドプレート50が設けられている。
第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43の外周面に当接するように、外郭部材としてのプレート48が設けられている。第1ヘッダ41の外周面と、第3ヘッダ43の外周面と、プレート48とによって、区画空間481が形成されている。区画空間481は、蓄冷材容器47の内部空間とは区画された空間である。プレート48に代えて、シート状部材を用いることもできる。
蓄冷材容器47の上端面471には、連通管部472が設けられている。連通管部472は、区画空間481に繋がっている。連通管部472は、第1ヘッダ41と第3ヘッダ43との間に設けられた開口部を通って区画空間481に繋がっている。この開口部は、第2ヘッダ42と第4ヘッダ44との間にも設けられており、排水連通部として機能している。
区画空間481に連通し、且つ空気の流れる空気通路ではない領域に、充填口473が設けられている。蓄冷材60は、充填口473から充填され、区画空間481を通って連通管部472を経由し、蓄冷材容器47に供給される。蓄冷材60は、蓄冷材容器47の上端面471近傍まで充填することができる。
このように第1実施形態では、蓄冷材容器47は空気通路に設けられるとともに、蓄冷材容器47とは区画された区画空間481が第1ヘッダタンクである第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43側に形成されており、蓄冷材容器47の内部空間と区画空間481とが連通されている。このように構成することで、区画空間481側から蓄冷材60を蓄冷材容器47に供給することが可能となり、蓄冷材容器47の上端面471近傍まで蓄冷材60を充填することができる。従って、冷媒流路45と蓄冷材60とが間接的に接触し熱交換する領域をより広く確保することができるので、蓄冷までの時間を短縮し放冷ポテンシャルも向上することが可能となる。
また、蓄冷材60を充填した後においては、蓄冷材容器47の内部空間は主に蓄冷材60によって占められており、区画空間481は主に空気によって占められているように構成することができる。蓄冷材60の蓄冷効果を発揮するためには、空気通路に配置しつつ冷媒流路45と接触させることが好ましいので、蓄冷材容器47の内部空間は主に蓄冷材60によって占めるようにすることが効果的である。尚、区画空間481内を空気ではなく不活性ガスといった他の気体で占めることもできる。
また、区画空間481は、蓄冷材容器47の内部空間に対して、重力方向上方側に配置されている。区画空間481を上方側に配置することで、区画空間481を経由した蓄冷材60を確実に蓄冷材容器47の内部空間に導くことができる。
また、蓄冷材容器47は、複数の空気通路である冷媒流路45の間に対応するように複数設けられており、区画空間481は、複数の蓄冷材容器47それぞれと繋がっている。このため、区画空間481に蓄冷材60を供給すると、複数の蓄冷材容器47に蓄冷材60を分配しながら供給することができる。
また、区画空間481に連通するように、1つの充填口473が設けられている。1つの充填口473から蓄冷材60を区画空間481内に供給することで、複数の蓄冷材容器47に蓄冷材60を分配しながら供給することができる。
また、充填口473は、蓄冷材容器47の内部空間に対して、重力方向上方側に配置されている。充填口473から蓄冷材60を供給することで、重力の作用により蓄冷材容器47の内部空間に蓄冷材60を供給することができる。
また、区画空間481は、第1ヘッダタンクである第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43の外周面と、その外周面に当接するように設けられてなる外郭部材としてのプレート48によって画定されている。本実施形態では、プレート48を第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43の外周面に接合するという簡易な構成で区画空間481を形成することができる。
また、充填口473は、第1ヘッダ41と第3ヘッダ43との間に位置するように設けられている。
区画空間481の形成態様は、図4及び図5を参照しながら説明したものに限られるものではない。区画空間形成の第2実施形態として、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、図4に対応する部分断面図であり、図7は、図5に対応する部分断面図である。
図6及び図7に示されるように、第1ヘッダ41Aと第3ヘッダ43Aとの間に、区画タンク48Aが設けられている。区画タンク48Aは、第1ヘッダ41A及び第3ヘッダ43Aからなる第1ヘッダタンクとは別に設けられた独立したタンクである。区画タンク48Aの内部空間が区画空間481Aとして構成されている。蓄冷材容器47の内部空間と区画空間481Aとは、連通管部472によって連通されている。区画空間481Aに連通するように、充填口473も設けられている。従って、充填口473に充填された蓄冷材60は、区画空間481Aを通って、各蓄冷材容器47に供給される。
このように、第1ヘッダ41A及び第3ヘッダ43Aからなる第1ヘッダタンクとは別に区画タンク48Aを設け、その内部空間を区画空間481Aとすることで、区画空間481Aの封止性を確実に確保することができ、組立工程が簡便なものとなる。
区画空間形成の第3実施形態として、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、図4に対応する部分断面図であり、図9は、図5に対応する部分断面図である。
図8及び図9に示されるように、第1ヘッダ41の外周面及び第3ヘッダ43の外周面に当接する外郭部材として、パッキン48Bが設けられている。パッキン48Bは、蒸発器40と蒸発器40を収容するケースとの間に配置され、気密性を保つためのものである。区画空間481は、第1ヘッダタンクである第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43の外周面と、その外周面に当接するように設けられてなる外郭部材としてのパッキン48Bによって画定されている。パッキン48Bの少なくとも表面には気密性材料が用いられており、区画空間481を通って蓄冷材容器47に充填される蓄冷材60が漏れだすことがない。また、蒸発器40と蒸発器40を収容するケースとの間に配置され、気密性を保つためのパッキン48Bを利用することで、別途部材を追加せずに区画空間481を形成することができる。
区画空間形成の第4実施形態として、図10及び図11を参照しながら説明する。図10は、図4に対応する部分断面図であり、図11は、図5に対応する部分断面図である。
図10及び図11に示されるように、第1ヘッダ41及び第3ヘッダ43の外周面に当接するように、外郭部材としてのプレート48Cが設けられている。第1ヘッダ41の外周面と、第3ヘッダ43の外周面と、プレート48Cとによって、区画空間481Cが形成されている。蓄冷材容器47Cの上端面471Cには、連通管部472Cが設けられている。連通管部472Cは、区画空間481Cを貫通し、プレート48Cも貫通して外部に連通している。従って、連通管部472Cがプレート48Cから突出した部分は、充填口473Cとして機能している。連通管部472Cの途中には、孔部474Cが設けられている。孔部474Cは区画空間481Cに連通しているので、連通管部472Cは、区画空間481Cに繋がっている。蓄冷材60は、充填口473Cから充填されると、連通管部472Cが直結する蓄冷材容器47Cに流れ込む。また、孔部474Cを通って区画空間481Cにも蓄冷材60が流れ込むので、区画空間481Cを通って他の蓄冷材容器47にも蓄冷材60が供給される。
比較例としての蓄冷材容器47Dについて、図12及び図13を参照しながら説明する。図12及び図13に示されるように、蓄冷材容器47Dにおいては、上端面471Dと交わる側面474Dに充填口473Dが設けられている。充填口473Dは、上端面471Dに極力近づけるように設けられたとしても、上端面471Dと蓄冷材60の上面との間には必ず空気層が形成されることになる。このような空気層は蓄冷及び放冷に寄与しないので、上記した本実施形態のように蓄冷材容器47,47Cの上端面471,471C近傍まで蓄冷材60を溜められる構成は、蓄冷までの時間を短縮し放冷ポテンシャルも向上することが可能となる。尚、上記した本実施形態では、蓄冷材容器47,47Cの上端面471,471C近傍まで蓄冷材60を溜めた構成を例示したけれども、若干の空気層が存在しても構わないし、連通管部472,472Cまで蓄冷材60が蓄積されていても構わない。
上記した本実施形態の蒸発器40を用いると、自動車の走行中であってエアコンが駆動している際に、冷媒流路45を流れる冷媒により蓄冷材容器47,47Cに保持された蓄冷材60に冷熱が蓄冷(凝固)される。自動車の停車時であってエアコンが駆動していない場合には、冷媒が流れなくなり、蓄冷(凝固)した蓄冷材の冷熱を、フィン46を介して放出することで車室内を冷却することができる。
比較例としての蓄冷材容器47Dと比較して、蓄冷材容器47,47Cの蓄冷材充填率を高めることができるので、蓄冷材容器47,47Cの配置効率を上げることができ、フィン46の面積や空気通路の面積を不必要に減少させる必要がなくなる。
また比較例としての蓄冷材容器47Dと比較して、蓄冷材容器47,47Cは蓄冷しやすいともいえるので、短時間で蓄冷材60に冷熱を蓄冷できる。その結果、同じ時間走行した場合であっても、停車時に放出する冷熱量が多くなる。このように放出する冷熱量を多くすることができるので、蓄冷材容器47,47Cの数を減らすことができ、フィン46の面積や空気通路の面積を不必要に減少させる必要がなくなる。
40:蒸発器(蓄冷熱交換器)
45:冷媒流路
41,41C:第1ヘッダ(第1ヘッダタンク)
43,43C:第3ヘッダ(第1ヘッダタンク)
42:第2ヘッダ(第2ヘッダタンク)
44:第4ヘッダ(第2ヘッダタンク)
47,47C:蓄冷材容器
60:蓄冷材
481,481A,481C:区画空間

Claims (10)

  1. 冷媒を蒸発させる蓄冷熱交換器(40)であって、
    冷媒通路を有し、互いに間隔をあけて空気通路が形成されるように配置されている複数の冷媒流路(45)と、
    前記複数の冷媒流路の一端側が連通するように設けられてなる第1ヘッダタンク(41,41C,43,43C)と、
    前記複数の冷媒流路の他端側が連通するように設けられてなる第2ヘッダタンク(42,44)と、
    圧縮機(10)の駆動時に減圧器(30)によって減圧された冷媒が蒸発することで冷却される一方で、前記圧縮機の停止時に放冷する蓄冷材(60)を収容する蓄冷材容器(47,47C)と、を備え、
    前記蓄冷材容器は前記空気通路に設けられるとともに、前記蓄冷材容器とは区画された区画空間(481,481A,481C)が前記第1ヘッダタンク側に形成されており、
    前記蓄冷材容器の内部空間と前記区画空間とが連通管部によって連通されてなり、
    前記区画空間は、前記第1ヘッダタンクの外周面と、前記外周面に当接するように設けられてなる外郭部材(48,48B,48C)と、によって画定され、
    前記第1ヘッダタンクは、風上側に配置される風上側タンク(43,43C)と、風下側に配置される風下側タンク(41,41C)とを有し、
    前記外郭部材は、前記風上側タンク及び前記風下側タンクの外周面に当接し、
    前記区画空間は、前記風上側タンクと、前記風下側タンクと、前記外郭部材と、によって画定されており、前記連通管部が前記風上側タンクと前記風下側タンクとの間を通るように配置されていることによって前記空気通路とは離隔されている、蓄冷熱交換機。
  2. 前記内部空間は主に蓄冷材によって占められており、前記区画空間は主に気体によって占められている、請求項1記載の蓄冷熱交換器。
  3. 前記区画空間は、前記内部空間に対して、重力方向上方側に配置されている、請求項2記載の蓄冷熱交換器。
  4. 前記蓄冷材容器は、複数の前記空気通路に対応するように複数設けられており、
    前記区画空間は、複数の前記蓄冷材容器それぞれと繋がっている、請求項1から3のいずれか記載の蓄冷熱交換器。
  5. 前記区画空間に連通するように、少なくとも1つの充填口(473,473C)が設けられている、請求項4記載の蓄冷熱交換器。
  6. 前記充填口は、前記内部空間に対して、重力方向上方側に配置されている、請求項5記載の蓄冷熱交換器。
  7. 前記区画空間に連通するように、少なくとも1つの充填口が設けられ、
    前記充填口は、前記風上側タンクと前記風下側タンクとの間に配置されている、請求項1記載の蓄冷熱交換器。
  8. 前記外郭部材は、前記蓄冷熱交換器と前記蓄冷熱交換器を収容するケースとの間に配置され、前記蓄冷熱交換器と前記蓄冷熱交換器を収容するケースとの間の気密性を保つためのパッキン(48B)である、請求項1記載の蓄冷熱交換器。
  9. 前記外郭部材は、気密性を有するシート状部材である、請求項1記載の蓄冷熱交換器。
  10. 前記区画空間(481A)は、前記第1ヘッダタンクとは別に設けられてなる区画タンク(48A)の内部空間として設けられている、請求項1から6のいずれか記載の蓄冷熱交換器。
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