以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[第1実施形態]
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録する画像記録装置の一例である。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(印刷流体カートリッジの一例)が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(印刷流体の一例)が貯留されている。カートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21(記録部の一例)とがインクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ給送された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
[インクカートリッジ30]
図2、3に示されるように、インクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留する貯留室36である。貯留室36は、インクカートリッジ30の本体31の筐体によって形成されているが、例えば、インクカートリッジ30の外観を形成している本体31の筐体とは別の部材である内部フレームなどによって形成されていてもよい。インクカートリッジ30の表面には、例えば不揮発性メモリの一例として強誘電体メモリ84(第1メモリの一例)を備えたICが搭載されたIC基板85と、被検知部33と、を備えている。
インクカートリッジ30は、図2、3に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して挿入方向51及び脱抜方向52に沿って挿抜される。挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向に沿っている。インクカートリッジ30は、起立状態のままカートリッジ装着部110に挿抜される。この起立状態が、装着姿勢に相当する。また、起立状態における下方向54が重力方向に相当する。
すなわち、インクカートリッジ30は、挿入方向51へカートリッジ装着部110に挿入され、また、脱抜方向52へカートリッジ装着部110から抜き出される。なお、本実施形態では、挿入方向51及び脱抜方向52が水平方向に沿っているが、挿入方向51及び脱抜方向52は、重力方向や、水平方向及び重力方向と交差する方向であってもよい。挿入方向51及び脱抜方向52が例えば重力方向であれば、インクカートリッジ30の挿入方向51の前面が下方へ向いていることになる。
図2、3に示されるように、インクカートリッジ30は、平面又は曲面で構成される立体形状、例えば、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、全体として、右方向55及び左方向56に細く、上方向53及び下方向54に沿った寸法、及び前方向57及び後方向58に沿った寸法が、右方向55及び左方向56に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。
図2、3に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに挿入方向51の前方側となる本体31の壁が前壁40であり、挿入方向51の後方側となる本体31の壁が後壁41である。本実施形態における前方向57及び後方向58は、前壁40と後壁41とが貯留室36を挟んで対向する方向に相当する。前壁40と後壁41とは、挿入方向51及び脱抜方向52において対向している。前壁40及び後壁41は、挿入方向51及び脱抜方向52に延びる左右一対の側壁37、38と接続されている。また、上壁39は、側壁37、38と前壁40及び後壁41とを接続し、かつ前壁40の上端から後壁41の上端に渡って挿入方向51及び脱抜方向52に沿って拡がっている。また、下壁42は、前壁40の下端から後壁41の下端に渡って挿入方向51及び脱抜方向52に沿って拡がっている。挿入方向51及び脱抜方向52は前方向57及び後方向58と平行である。
図2、3に示されるように、本体31の前壁40における上方向53及び下方向54の中央付近には、被検知部33が設けられている。被検知部33は、内部空間が貯留室36と連続する空間を有する凸部である。被検知部33は、センサ114の発光部から出力される光と同じ波長の光を透過する透光性を有する。被検知部33は、前壁40から前方向57へ突出している。
貯留室36内には、被検知部材60が配置されている。被検知部材60は、右方向55及び左方向56に沿って延びる回動軸61に支持されており、回動軸61周りに回動可能である。
被検知部材60は、フロート63を有している。フロート63は、貯留室36に貯留されたインクより比重が小さい。したがって、貯留室36内において、フロート63はインク中に存在する状態において浮力を生じさせる。貯留室36がインクでほぼ満たされている状態では、フロート63の浮力によって、被検知部材60は、図3における反時計回りに回動する。被検知部材60の一部である検出子62は、被検知部33内に進入しており、検出子62が被検知部33の下方向54の端を確定する壁に当接することによって、被検知部材60の姿勢が維持される。この状態において、被検知部材60は、被検知部33を右方向55又は左方向56に進行するセンサ114の光を遮断等する。
検出子62は、センサ114の発光部から出力された光の少なくとも一部を吸収、反射、又は屈折させるものであればよく、センサ114の受光部で検出される発光部からの光の強度を所定の強度未満(例えば、ゼロ)にするものであればよい。
貯留室36においてインクが減り、被検知部材60が被検知部33を進行する光を遮断等するときの姿勢におけるフロート63の位置より、インクの液面が下降すると、フロート63がインクの液面と共に下降する。これにより、被検知部材60は、図3における反時計回りに回動する。この時計回りの回動によって、被検知部33内にある検出子62は、センサ114の発光部から受光部への光路から外れる。これにより、センサ114の受光部に到達する光の強度が所定の強度以上となる。このような被検知部33の透光状態の変化をセンサ114が検出し、演算装置130が貯留室36内のインク残量が所定量未満になったことを判定する。なお、センサ114から出射される光は赤外光でもよいし、可視光であってもよい。
本体31の前壁40側における被検知部33の下方に、インク供給部34が設けられている。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしており、前壁40から前方向57へ突出している。インク供給部34の突出端にはインク供給口71が形成されている。
インク供給部34の内部空間には、前方向57及び後方向58に延びてインク供給口71と貯留室36とをつなぐインク流路72が形成されている。インク流路72は、一端がインク供給口71において本体31の外部に開口され、インク供給口71から本体31の内部に渡って後方向58に延設されている。インク供給口71は、コイルバネ73によってインク供給口71に付勢されたインク供給バルブ70によって開閉可能に構成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル117(図4参照)がインク供給口71に挿入され、コイルバネ73の付勢力に抗してインク供給バルブ70をインク供給口71から離間させる。これにより、貯留室36内のインクは、インク流路72を通じてカートリッジ装着部110に設けられたインクニードル117に流出する。
なお、インク供給口71は、必ずしもインク供給バルブ70によって開閉可能な構成に限定されず、例えば、インク供給口71がフィルムなどで閉塞されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インクニードル117がフィルムを突き破ることによりインク供給口71が開かれる構成であってもよい。また、本実施形態では示されていないが、本体31には、負圧に維持された状態の貯留室36の気圧を外気圧とするための大気連通口が設けられていてもよい。
本体31の上壁39における前方向57及び後方向58の中央付近から後壁41に渡って、係止部45が形成されている。係止部45は、上壁39において前方向57及び後方向58に延びる溝を有する。係止部45は、溝の挿入方向51の端部において、インクカートリッジ30の前方向57及び後方向58、並びに上方向53及び下方向54に拡がる係止面46を有している。係止面46には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述される係合部材145(図4参照)が係合する。係止面46は、インクカートリッジ30を脱抜方向52に押し出させる付勢力とは反対向きの外力、すなわち本実施形態では係合部材145からの力を受けるものである。溝の脱抜方向52の端部は、本体31の外部に開口している。
本体31の係止部45には、回動部材80が設けられている。回動部材80は、例えば、屈曲された平板形状をなしており、その長手方向が前方向57及び後方向58に沿うように配置されている。回動部材80は、その屈曲された位置に軸83を有する。回動部材80は、軸83周りに回動可能である。回動部材80の先端部81は、軸83から係止面46側へ延出されている。回動部材80の後端部82は、軸83から後壁41側へ延出されている。
先端部81が最も上側に位置するまで回動部材80が回動すると、先端部81は、本体31の上壁39よりも外側に突出する。回動部材80の先端部81が下向きへ押し下げられることにより、回動部材80は、図3における時計回りへ回動する。回動部材80が最も時計回りに回動された状態において、先端部81は、係止面46の下端付近に位置する。なお、回動部材80は本体31と一体にされていてもよい。また、回動部材80は、コイルバネによって時計回りに付勢されていてもよいし、自重により一方側に回動するものであってもよい。
図2及び図3に示されるように、本体31の上壁39における係止部45より前壁40側には、IC基板85が設けられている。IC基板85の上面には、電極86、87、88が形成されている。電極86、87、88は、各々がIC基板85の上面において前方向57及び後方向58に延設されており、且つ右方向55及び左方向56に互いに離間して設けられている。電極86、87、88は、例えば、HOT電極、GND電極、及びシグナル電極等である。IC基板85には、各電極86、87、88に電気的に接続されたIC(不図示)が設けられている。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報、例えば、ロット番号や製造年月日、インク色などの情報を示すデータが書き込み及び読み出し可能に格納されている。なお、ICにおける記憶領域には、書き換え不能な領域が存在する。ここで書き換え不能とは、書き込んだ情報を書き換えるには、パスワードやPINコードの入力が必要であったり、特定の電子機器との電気的な接続が必要であることを指し、必ずしも物理的に書き換え不能である必要はない。例えば、インク・ローを示すフラグは、オフからオンに一度のみ書き換え可能である。
[カートリッジ装着部110]
図4に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を構成するケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。ケース101には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能であるが、図4においては、1つのインクカートリッジ30が収容可能なケース101の空間が示されている。
図4に示されるように、ケース101は、開口112と、挿入方向51及び脱抜方向52において開口112と対向する終面102とを有する。終面102の下部には、接続部103が設けられている。接続部103は、終面102において、ケース101に装着された各インクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている。
接続部103は、インクニードル117と、保持溝116とを有する。インクニードル117は、管状の樹脂針からなる。インクニードル117は、ケース101の終面102と表裏をなす外面側でインクチューブ20に接続されている。各インクニードル117からケース101の終面102と表裏をなす外面側で接続された各インクチューブ20は、ケース101の当該外面に沿って上方へ引き上げられたのち、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に延出されている。なお、図4においては、インクチューブ20は省略されている。
保持溝116は、終面102に形成された円筒状の溝である。保持溝116の中心にインクニードル117が配置されている。図8に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インク供給部34が保持溝116に挿入される。このとき、円筒状のインク供給部34の外周面が保持溝116を構成する終面102の円筒状の内周面に接触する。インク供給部34が保持溝116へ挿入されると、インクニードル117がインク供給部34のインク供給口71に挿入される。これにより、貯留室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。貯留室36から流出されたインクは、インクニードル117及びインクチューブ20を通じて、記録ヘッド21に供給される。
図4に示されるように、ケース101の終面102には、接続部103より上方にセンサ114が設けられている。センサ114は、馬蹄形の筐体の一方側の先端に設けられた発光素子と、他方側の先端に設けられた受光素子とで構成されている。発光素子は、例えばLED等であって、挿入方向51及び脱抜方向52と垂直な水平方向(右方向55又は左方向56)へ光を照射する。受光素子は、例えばフォトトランジスタ等であって、発光素子から照射された光を受光する。発光素子と受光素子との間の空間には、インクカートリッジ30の被検知部33が進入可能である。センサ114の光路に被検知部33が進入すると、センサ114は、被検知部33による透過光量の変化を検知し得る。図5に示されるように、センサ114の検知信号は、演算装置130へ出力される。
図4に示されるように、天面104には、IC基板85の上面に設けられた電極86、87、88に対向する位置に3つの接点124が右方向55及び左方向56に並んで設けられている。図5に示されるように、各接点124を介して、IC基板85が演算装置130(制御部の一例)に電気的に接続される。演算装置130は、CPU132、ROM133、RAM134(第2メモリの一例)などからなるものであり、プリンタ10の制御部として装置筐体の内部に制御基板として配置されてもよいし、プリンタ10の制御部とは独立した別個の制御基板としてケース101などに設けられてもよい。1つの接点124とHOT電極86とが電気的に導通されることによって、電源131から供給される電圧がHOT電極86に印加される。1つの接点124とGND電極87とが電気的に導通されることにより、GND電極87がアースされる。これら接点124とHOT電極85及びGND電極86との導通によって、IC基板85上のICに電力が供給される。接点124とシグナル電極87とが電気的に導通されることにより、IC(強誘電体メモリ84)に格納されたデータにアクセス可能となる。IC基板85からの出力は演算装置130に入力される。
図4に示されるように、係合部材145がケース101に設けられている。係合部材145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に保持するためのものである。係合部材145は、例えば、ケース101の開口112側に設けられた支軸147を中心に揺動可能に形成されている。これにより、係合部材145は、支軸147を中心に時計回り及び反時計回りに回動可能に構成されている。係合部材145の支軸147と反対側の端部には、係合端部146が配置される。係合端部146は、インクカートリッジ30の係止面46と係合可能である。係合端部146は、係止面46と係合することによって、インクカートリッジ30を脱抜方向52に移動させる力に抗して、インクカートリッジ30をケース101の装着位置に保持する。
係合端部146と係止面46とが係合可能となる係合部材145の位置(図8参照)がロック位置と称され、係合端部146と係止部45とが係合しない係合部材145の位置(図6参照)がアンロック位置と称される。係合部材145は、自重によって、重力方向下向きへ回動する。回動部材80の先端部81が上側に移動することにより、係合部材145が支軸147を中心に上側へ回動し、ロック位置からアンロック位置へ移動する。
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、図6〜図8が参照されつつ、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される動作が説明される。
図6に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して挿入方向51に挿入されると、本体31の上壁39によって係合部材145が上向きに回動されて、係合部材145がロック位置からアンロック位置に移動する。
図7に示されるように、インク供給部34が保持溝116に接する位置までインクカートリッジ30が挿入されると、インクニードル117は、インク供給部34のインク供給口71に挿入される。インクニードル117に押されたインク供給バルブ70は、コイルバネ73の付勢力に抗してインク供給口71から離間する。また、IC基板85は、接点124を上方に押し上げ挿入方向51へ移動する。これにより、電極86、87、88と各接点124とが互いに当接され、IC基板85のICとプリンタ10側の演算装置130とが電気的に接続される。
本体31の係止部45に到達した係合部材145は、本体31の上壁39に支持されなくなって下向きに回動し、ロック位置へ至る。そして、前方向57及び後方向58において係合端部146と係止面46とが対向する。なお、図7に示されるインクカートリッジ30は、インク供給部34の先端が保持溝116の終面に当接する過挿入状態(オーバーシュート)であり、係合端部146と係止面46とが前方向57及び後方向58に離間された状態である。
図7の状態からインクカートリッジ30を挿入方向51に押す力が消失すると、図8に示されるように、インクカートリッジ30は、係合端部146と係止面46とが接する位置まで脱抜方向52に後退する。これにより、係合部材145は、インクカートリッジ30を脱抜方向52に押す力に抗して、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。また、図8における回動部材80の先端部81は、係合部材145の下側に位置する。また、回動部材80の後端部82は、係止部45の溝の底面から離間されて、本体31の上壁39より上側に位置されている。以上により、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。以下、図8に示されるインクカートリッジ30の位置が装着位置と表記される。
装着位置におけるインク供給部34の先端は、保持溝116の終面から僅かに離間している。装着位置において、インクニードル117は、インク供給バルブ70をインク供給口71から離間させた状態にある。そのため、インクニードル117の先端に設けられたインク導入口(不図示)を通じて、貯留室36からインクを流出させることができる。装着位置における被検知部33は、センサ114の検知位置に位置する。
演算装置130は、インクカートリッジ30が装着位置に到達したかを判定する。具体的には、IC基板85と接点125とが電気的に接続されたことを検知して、インクカートリッジ30が装着位置に到達したと判定したり、また、不図示の光学センサがインクカートリッジ30の一部を検知することによりインクカートリッジ30が装着位置に到達したと判定したりする。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、回動部材80の後端部82が、ユーザによって下向きへ押し下げられる。これにより、回動部材80の先端部81が上向きへ移動して、係止部45の底面から離間する。この先端部81の移動に伴って、係合部材145がロック位置からアンロック位置まで上向き回動されて、係合部材145によるインクカートリッジ30の保持が解除される。
係合部材145がアンロック位置に移動されることにより、インクカートリッジ30を脱抜方向52に押す力によって、インクカートリッジ30が脱抜方向52に移動される。また、インクカートリッジ30が脱抜方向52へ移動することによって、インクニードル117がインク供給部34から抜け出る。これにより、インク供給バルブ70がコイルバネ73の復元力によって押され、インク供給口71を閉塞する。
さらに、インクカートリッジ30が脱抜方向52へ移動することによって、IC基板85は、本体31と共に脱抜方向52に移動し、電極86、87、88と各接点124とが離間され、IC基板85側のICとプリンタ10側の演算装置130との電気的な接続が解除される。被検知部33は、センサ114の検知位置から外れる。
[インクカートリッジ30の残量判定]
インクカートリッジ30が装着位置に到達したと判定すると、演算装置130は、センサ114から被検知部33へ向けて光を出射させる。図8に示されるように、貯留室36がインクでほぼ満たされている状態では、フロート63の浮力によって、被検知部材60の検出子62は、被検知部33を右方向55又は左方向56に進行するセンサ114の光を遮断等する。センサ114は受光部において、検出子62により遮断等された光量を受光して、ローレベル信号を出力する。演算装置130は、センサ114からローレベル信号を受信したことを条件として、貯留室30に所定量以上のインクが満たされていると判定して、貯留室30に所定量以上のインクが満たされていることをディスプレイ等に表示すべく、これを示す信号を出力する。
インクカートリッジ30の貯留室36内のインクが消費されると、貯留室36において、インクの液面が被検知部材60のフロート63まで降下する。さらにインクの液面が降下すると、図8において破線で示されるようにフロート63も回動軸61周りに回動しつつ下方へ降下する。この被検知部材60の回動によって、検出子62が被検知部33の上端へ向かって移動し、センサ114から出射される光路から外れる。したがって、センサ114の受光部は、検出子62により遮断されていない光量を受信して、ハイレベル信号を出力する。
演算装置130は、センサ114からハイレベル信号を受信した後、記録ヘッド21により使用されたインクの使用量の累積値を算出して記憶する。記録ヘッド21により使用されたインクの使用量とは、画像記録において記録ヘッド21から吐出されたインクの使用量のほか、フラッシング(空吐出)やパージ(記録ヘッド21のノズルからの強制的なインクの吸引)などのメンテナンスにおいて使用されたインクの使用量を含む。インクの使用量は、例えば、記録ヘッド21から吐出されたインク滴の大きさ(容量)及び数を演算装置130がカウントすることにより算出可能である。
演算装置130は、インクの使用量の累積値が、予め定められて記憶されている第1閾値を超えたと判定すると、貯留室36内のインクが所定量未満になった、すなわちインク・ローであると判定して、プリンタ10のディスプレイ等に表示すべく、インク残量が第1閾値に対応する所定量未満、すなわちインク・ローであることを示す電子信号(検知情報の一例)を出力する。また、演算装置130は、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30がインク・ローであることを示す電子情報を、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域に書き込む。すなわち、インク・ロー・フラグをオフからオンにする。なお、第1閾値は、センサ114からハイレベル信号を出力したときの貯留室36に残っていると想定されるインク残量の範囲内であって、貯留室36にほぼインクが無くなる前に、インクカートリッジ30の交換が必要なことをユーザに警告するための適当な猶予時間に対応したインク残量を考慮して予め設定される。
演算装置130は、インクの使用量の累積値が、予め定められて記憶されている第2閾値を超えたと判定すると、貯留室36内のインクが無くなった、すなわちエンプティであると判定して、プリンタ10のディスプレイ等に表示すべく、インク残量が無くなった、すなわちエンプティであることを示す信号を出力する(表示処理の一例)。なお、第2閾値は、センサ114からハイレベル信号を出力したときの貯留室36に残っていると想定されるインク残量と概ね同量に対応させて予め設定される。したがって、第2閾値は第1閾値より大きい。
ディスプレイ等にエンプティの表示がされることにより、ユーザは、貯留室36内のインクがすべて消費されたことを認識する。そして、ユーザは、使用済みのインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から取り外し、新しいインクカートリッジ30をカートリッジ装着部へ装着する。
[インクが再充填されたインクカートリッジ30の判定]
演算装置130は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されたと判定したタイミングで、或いは、画像記録の一単位、すなわち1ページの画像記録が終了したタイミングや、1パス分の画像記録が終了したタイミングで、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30が、インクが再充填されたものであるかを判定する。なお、以下では、画像記録の一単位が終了したタイミングにおいて、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30が、インクが再充填されたものであるかが判定されるフローチャートを例に説明がされる。また、以下の説明では、1つのインクカートリッジ30のみについて説明がなされるが、カートリッジ装着部110に装着されている複数個のインクカートリッジ30について、同様の判定がなされることは言うまでもない。
図9に示されるように、画像記録が開始されたタイミングで、演算装置130は、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域から、インク・ロー・フラグのオン/オフを読み出して、インク・ロー・フラグの状態を記憶する(ステップS10)。例えば、インクが再充填されていない新しいインクカートリッジ30であれば、IC基板85においてインク・ロー・フラグはオフである。他方、既にインクが消費されてインク・ローとなっているインクカートリッジ30であったり、インクが再充填されて貯留室36に満たされているインクカートリッジ30であれば、IC基板85においてインク・ロー・フラグはオンである。その後、演算装置130は、印刷データに基づいて一単位分の画像記録を行う(ステップS11)。
演算装置130は、一単位分の画像記録が終了すると、センサ114からの出力がローレベル信号であるかハイレベル信号であるかを判定する(ステップS12)。貯留室36においてインクが満たされている状態から被検知部材60が回動していなければ、センサ114は、ローレベルの信号を出力する(ステップS12:NO)。その場合、演算装置130は、再充填判定処理を行う(ステップS20)。
貯留室36においてインクが満たされている状態からインクの液面が降下して、被検知部材60の検出子62がセンサ114の光路から外れるまで被検知部材60が回動していれば、センサ114は、ハイレベル信号を出力する(ステップS12:YES)。その場合、演算装置130は、一単位分の画像記録において使用したインクの使用量を累積値に加算して記憶する(ステップS13:累積使用量更新処理の一例)。
演算装置130は、加算後の累積値が、第1閾値未満、第1閾値以上かつ第2閾値未満、または第2閾値以上のいずれであるかを判定する(ステップS14)。演算装置130は、加算後の累積値が第1閾値未満、すなわちインク・ローではないと判定したときは、再充填判定処理を行う(ステップS20)。
演算装置130は、加算後の累積値が第1閾値以上かつ第2閾値未満であると判定した場合であって、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域においてインク・ロー・フラグがオフであるときには(ステップS15:NO)、演算装置130は、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30IC基板85のメモリ領域においてインク・ロー・フラグをオンにする(ステップS16:検知情報記憶処理の一例)。その後、演算装置130は、再充填判定処理を行う(ステップS20)。他方、演算装置130は、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域においてインク・ロー・フラグがオンであるときには(ステップS15:YES)、再充填判定処理を行う(ステップS20)。
また、演算装置130は、加算後の累積値が、第2閾値以上であると判定すると、累積値を初期値、例えばゼロに更新して(ステップS17)、インクカートリッジ30がエンプティであることをプリンタ10のディスプレイ等に表示する(ステップS18)。そして、インクカートリッジ30が交換されると(ステップS19)、再充填判定処理を行う(ステップS20)。
図10に示されるように、再充填判定処理において、演算装置130は、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30のIC基板85におけるインク・ロー・フラグを読み取る(ステップS30)。演算装置30は、インク・ロー・フラグがオフである場合には(ステップS30:OFF)、インクカートリッジ30が再充填されたものではないと判定し(ステップS31)、インクカートリッジ30が再充填(リフィル)されたものではないことを示すフラグを記憶する(ステップS32)。
演算装置30は、IC基板85のメモリ領域におけるインク・ロー・フラグがオンである場合には(ステップS30:ON)、センサ114の出力信号を判定する(ステップS33)。演算装置130は、センサ114の出力信号がハイレベル信号であるときには、インクカートリッジ30が再充填されたものではないと判定し(ステップS33:YES)、インクカートリッジ30が再充填されたものではないことを示すフラグを記憶する(ステップS32)。
演算装置130は、センサ114の出力信号がローレベル信号であるときには(ステップS33:NO)、インクカートリッジ30が再充填されたものと判定する(ステップS34)。そして、演算装置130は、インクカートリッジ30が再充填されたものであるか否かを示す表示をディスプレイ等に行う(ステップS35)。
[第1実施形態の作用効果]
第1実施形態によれば、インクカートリッジ30の被検知部33の状態がセンサ114により検出された後のインクの使用量の累積量に基づいて、演算装置130において、貯留室36に貯留されたインクの残量を正確かつ安定して判定することができる。また、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域に記憶された電子情報、すなわちインク・ロー・フラグとセンサ114の出力信号による残量判定の結果とに基づいて、インクカートリッジ30の貯留室36に貯留されているインクが再充填されたものであるかを判定することができる。
また、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域は、インク・ロー・フラグをオフからオンに一度のみ書き換え可能なものなので、インクカートリッジ30において、IC基板85のメモリ領域に記憶された電子情報が改ざんされ難い。
また、演算装置130は、インクの使用量の累積量が第1閾値より大きな第2閾値以上であることを条件として、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30の交換を促す表示を行う表示処理を実行するので、インクカートリッジ30の貯留室36に貯留されたインクが無駄なく使用される。また、インクカートリッジ30の交換を促す表示がされる前に、インクカートリッジ30が交換されたとしても、再充填判定処理において、インクが再充填されたものであることと判定可能である。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域にインク・ロー・フラグが書き込まれるが、IC基板85のメモリ領域には、インク・ロー又はメカエンプティになった回数を示すカウント値が書き込まれることとしてもよい。IC基板85のメモリ領域において、カウント値は、カウントアップのみが書き換え可能である。なお、カウント値は、例えば、初期値からカウントダウンされて示されてもよい。その場合、IC基板85のメモリ領域に書き込まれるカウント値は、カウントダウンのみが書き換え可能である。また、第2実施形態において、インクが再充填されたインクカートリッジ30の判定以外は、上記第1実施形態と同様なので、プリンタ10やインクカートリッジ30などの構成についての説明は省略される。
[インクが再充填されたインクカートリッジ30の判定]
演算装置130は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されたと判定したタイミングで、或いは、画像記録の一単位、すなわち1ページの画像記録が終了したタイミングや、1パス分の画像記録が終了したタイミングで、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30が、インクが再充填されたものであるかを判定する。なお、以下では、画像記録の一単位が終了したタイミングにおいて、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30が、インクが再充填されたものであるかが判定されるフローチャートを例に説明がされる。また、以下の説明では、1つのインクカートリッジ30のみについて説明がなされるが、カートリッジ装着部110に装着されている複数個のインクカートリッジ30について、同様の判定がなされることは言うまでもない。
図11に示されるように、画像記録が開始されたタイミングで、演算装置130は、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30に対して既にインク・ローが判定されたか否かを記憶する(ステップS40)。また、演算装置130は、センサ114の出力信号を示す電子情報、すなわちローレベル信号又はハイレベル信号を記憶する(ステップS40)。つまり、演算装置130は、一単位の画像記録を行う前において、インク・ローであるか否かの情報、並びにセンサ114の出力信号を記憶している。その後、演算装置130は、印刷データに基づいて一単位分の画像記録を行う(ステップS40)。
演算装置130は、一単位分(例えば1ページ)の画像記録が終了すると、センサ114からの出力がローレベル信号であるかハイレベル信号であるかを判定する(ステップS42)。貯留室36においてインクが満たされている状態から被検知部材60が回動していなければ、センサ114は、ローレベル信号を出力する(ステップS42:NO)。その場合、演算装置130は、再充填判定処理を行う(ステップS53)。
貯留室36においてインクが満たされている状態からインクの液面が降下して、被検知部材60の検出子62がセンサ114の光路から外れるまで被検知部材60が回動していれば、センサ114は、ハイレベル信号を出力する(ステップS42:YES)。その場合、演算装置130は、一単位分の画像記録において使用したインクの使用量を累積値に加算して記憶する(ステップS43:累積使用量更新処理の一例)。
演算装置130は、一単位の画像記録を行う前のセンサ114の出力信号がローレベル信号であるときには(ステップS44:YES)、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域に記憶されたカウント値を読み出す(ステップS45)。カウント値が1回以上であれば(ステップS45:YES)、IC基板85のメモリ領域において、カウント値をカウントアップしてから(ステップS46:検知情報記憶処理の一例)、再充填判定処理を行う(ステップS53)。すなわち、既にインク・ローが判断されているインクカートリッジ30に対しては、演算装置130は、一単位の画像記録の前後において、センサ114の出力信号がローレベル信号からハイレベル信号に変化したことに基づいて、IC基板85のメモリ領域においてカウント値をカウントアップする。
演算装置130は、IC基板85のメモリ領域から読み出したカウント値が1回未満、すなわちゼロであれば(ステップS45:NO)、IC基板85のメモリ領域に対してカウントアップせずに再充填判定処理を行う(ステップS53)。すなわち、未だインク・ローが判断されていないインクカートリッジ30に対しては、演算装置130は、一単位の画像記録の前後において、センサ114の出力信号がローレベル信号からハイレベル信号に変化したことに基づいては、カウント値をカウントアップしない。
演算装置130は、一単位の画像記録を行う前のセンサ114の出力信号がハイレベル信号であるときには(ステップS44:NO)、加算後の累積値が、第1閾値未満、第1閾値以上かつ第2閾値未満、または第2閾値以上のいずれであるかを判定する(ステップS47)。演算装置130は、加算後の累積値が第1閾値未満、すなわちインク・ローではないと判定したときは、再充填判定処理を行う(ステップS53)。
演算装置130は、加算後の累積値が第1閾値以上かつ第2閾値未満であると判定した場合であって、一単位の画像記録を行う前のインクカートリッジ30に対してインク・ローの判定がされておらず、かつIC基板85のメモリ領域にカウント値としてゼロが記憶されているときには(ステップS48:YES)、演算装置130は、IC基板85のメモリ領域において、カウント値をカウントアップ、すなわち1回とする(ステップS49:検知情報記憶処理の一例)。すなわち、未だインク・ローが判断されていないインクカートリッジ30に対しては、演算装置130は、一単位の画像記録の前後において、インク・ローの判定が変化し、かつIC基板85のメモリ領域においてカウント値としてゼロが記憶されているときに、カウント値をカウントアップする。その後、演算装置130は、再充填判定処理を行う(ステップS53)。
演算装置130は、加算後の累積値が第1閾値以上かつ第2閾値未満であると判定した場合であって、一単位の画像記録を行う前のインクカートリッジ30に対してインク・ローの判定がされているか、或いはIC基板85のメモリ領域にカウント値としてゼロ以外が記憶されているときには(ステップS48:NO)、演算装置130は、カウント値をカウントアップせずに、再充填判定処理を行う(ステップS53)。
また、演算装置130は、加算後の累積値が、第2閾値以上であると判定すると、累積値を初期値、例えばゼロに更新して(ステップS50)、インクカートリッジ30がエンプティであることをプリンタ10のディスプレイ等に表示する(ステップS51)。そして、インクカートリッジ30が交換されると(ステップS52:YES)、再充填判定処理を行う(ステップS53)。
図12に示されるように、再充填判定処理において、演算装置130は、カートリッジ装着部110に装着されているインクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域に記憶されている電子情報、すなわちカウント値を読み取る(ステップS60)。演算装置30は、IC基板85のメモリ領域からカウント値としてゼロを読み出した場合には(ステップS60:0)、インクカートリッジ30が再充填されたものではないと判定し(ステップS61)、インクカートリッジ30が再充填されたものであることを示すフラグを記憶する(ステップS62)。
演算装置30は、カウント値として1回を読み出した場合には(ステップS60:1)、センサ114の出力信号を判定する(ステップS63)。演算装置130は、センサ114の出力信号がハイレベル信号であるときには(ステップS63:YES)、インクカートリッジ30が再充填されたものではないと判定し(ステップS61)、インクカートリッジ30が再充填されたものではないことを示すフラグを記憶する(ステップS62)。他方、演算装置130は、センサ114の出力信号がローレベル信号であるときには(ステップS63:NO)、インクカートリッジ30が再充填されたものと判定する(ステップS64)。そして、演算装置130は、インクカートリッジ30が再充填されたものであるか否かを示す表示をディスプレイ等に行う(ステップS65)。
演算装置30は、カウント値として2回以上を読み出した場合には(ステップS60:2以上)、インクカートリッジ30が再充填されたものと判定し(ステップS64)、インクカートリッジ30が再充填されたものであるか否かを示す表示をディスプレイ等に行う(ステップS65)。
[第2実施形態の作用効果]
第2実施形態によっても、演算装置130において、貯留室36に貯留されたインクの残量を正確かつ安定して判定するとともに、インクカートリッジ30の貯留室36に貯留されているインクが再充填されたものであるかを判定することができる。
また、インクカートリッジ30のIC基板85のメモリ領域に記憶されているカウント値が1回であるときに、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30が、インクが再充填されたものであると確実に判定することができる。
また、インクカートリッジ30の貯留室36においてインクが揺れ動くことにより、被検知部材60が時計回り及び反時計回りへの回動を交互に繰り返し、センサ114の出力信号に揺らぎ(チャタリング)が生じるおそれがある。しかし、1回を示すカウント値は、インクの使用量の累積量に基づいて変更されているので、カウント値が変更されるタイミングが安定している。したがって、カウント値が2回以上となるときは、インクが貯留室36に再充填されたときとみなせるので、センサ114によるインクの残量判定が可能になれば、直ちにカウント値を変更することにより、再充填されたことの判定を早期に行うことができる。
また、IC基板85のメモリ領域は、カウント値を増加又は減少の一方にのみ書き換え可能なので、メモリ領域に書き込まれたカウント値が改ざんされても、再充填判定処理の判定結果に影響が生じ難い。
[変形例]
前述された各実施形態では、被検知部33は、センサ114により光学的に検知されるものとしたが、被検知部33におけるインク残量の検知は光学的なものに限定されず、例えば、磁気などの他の物理量に基づいてインク残量が検知されてもよい。
また、インクカートリッジ30が再充填されたものであるか否かの判定は、プリンタ10のディスプレイ等に表示されるが、この判定は、表示以外に使用されてもよい。例えば、インクカートリッジ30が再充填されたものであるか否かによって、フラッシングやパージなどのメンテナンス処理を変更してもよいし、再充填されたインクカートリッジ30が使用されていることの情報が、クラウドサーバなどに送信されてもよい。
また、演算装置130は、インクカートリッジ30が再充填されたものではないと判定したときには、インクカートリッジ30が再充填されたものではないことを示すフラグを記憶することとしたが、これに代えて、例えば、演算装置130に記憶されている、パージなどのメンテナンスにおける動作などプリンタ部10の動作を制御するための変数などを、演算装置130が書き換えることとしてもよい。
また、前述された実施形態では、インクを印刷流体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インク等の液体に代えて、トナー等の粉体を印刷流体としてもよい。