JP6626484B2

JP6626484B2 - 車両用暖房装置

Info

Publication number: JP6626484B2
Application number: JP2017187708A
Authority: JP
Inventors: 角田　隆; 隆角田
Original assignee: Subaru Corp
Current assignee: Subaru Corp
Priority date: 2017-09-28
Filing date: 2017-09-28
Publication date: 2019-12-25
Anticipated expiration: 2037-09-28
Also published as: US11124042B2; DE102018115105A1; CN109572354A; US20190092119A1; JP2019059432A

Description

本発明は、車両の挙動で発生する熱源を利用して蓄熱した熱にて、車両シートの前部に設けた足載部を暖房する車両用暖房装置に関する。

従来、自動車を代表とする車両は、エンジン等の燃焼熱を熱源として室内暖房を行うことが主流であったが、今後は燃焼機関に頼らない、いわゆる電動車両が増加する傾向にある。電動車両では燃焼機関のように、大きな熱量を発生する発熱源がないため、室内暖房の熱源は、ヒートポンプ式空調装置やヒータ等の電気発熱手段で確保する必要がある。

しかし、ヒートポンプ式空調装置や電気発熱手段は電気エネルギによって駆動されるため、この電気エネルギを車載バッテリから受けると、当該車載バッテリの電力消費量が増加し車両の走行航続距離が短くなり、特に寒冷地では大きな問題となる。

そのため、本出願人は特許文献１（特開２０１０−２２１９６８号公報）において、乗員が乗車する前の車室内を、外部電源から供給される電力でプレ暖房することで、走行時のバッテリ消費を抑制し、航続距離を延ばすようにした技術を提案した。

特開２０１０−２２１９６８号公報

しかし、上述した文献に開示されている技術では、外部電源を供給する設備が整っていない環境に車両が駐車されている場合には、適用することができない。又、外部電源によるプレ暖房を毎回行うと、電気料金が余分に嵩んでしまう不都合がある。

本発明は、上記事情に鑑み、外部電源を用いることなく少ない電力での暖房を可能として、余分な電気料金の増加を抑制し、冷態時においても少ない電力で乗員が温感を早期に取得することのできる車両用暖房装置を提供することを目的とする。

本発明は、車両の挙動で発生する熱源と該車両の外部から取り入れる自然熱源との少なくとも１つから熱エネルギを回収する熱エネルギ回収手段と、前記熱エネルギ回収手段で回収した熱エネルギを蓄熱する蓄熱材とを有し、前記蓄熱材に蓄熱されている熱で乗員を温める車両用暖房装置において、前記車両の室内に設けた車両シートの前部に設けられて、前記蓄熱材を断熱材を介して内装する足載部と、前記蓄熱材の上面と前記足載部の上面との間に介装されている前記断熱材に設けられて、該蓄熱材と前記足載部の上面とを伝熱させる伝熱領域と、前記蓄熱材の蓄熱を、前記車両に前記乗員が乗車するに際しての所定タイミングで前記伝領域から放熱させて前記足載部を加温させる加温制御手段とを備える。

本発明によれば、車両の室内に設けた車両シートの前部に設けられた足載部に内装されている蓄熱材に対し、車両の挙動で発生する熱源と車両の外部から取り入れる自然熱源との少なくとも１つからの熱エネルギで蓄熱し、蓄熱された熱を車両に乗員が乗車する際の所定タイミングで放熱させて記足載部を加温させるようにしたので、外部電源を用いることなく、少ない電力での暖房が可能となる。又、余分な電気料金の増加が抑制され、冷態時においても少ない電力で乗員が温感を早期に取得することができる。

前部にオットマンを有する車両シートの斜視図オットマンに収納されている蓄熱ユニットの斜視図暖房装置の概略構成図蓄熱処理ルーチンを示すフローチャート暖房処理ルーチンを示すフローチャート蓄熱ユニットによる暖房と空調装置との切換えタイミングを示すタイムチャート

以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図１に示す車両シート１は、例えば、電動車両の運転席に設けられた運転席シートである。この車両シート１のシートクッション１ａの前部に、足載部としてのオットマン１ｂが配設されている。このオットマン１ｂに蓄熱ユニット２が収納されている。

ところで、電動車両が自動運転車両であり、アクセル操作やブレーキ操作をフットペダルによって行う必要がない場合、運転者はリラックスした状態での乗車が可能となる。その結果、運転者は、乗車直後からその下腿部（足首を含む）をオットマン１ｂに乗せた状態で電動車両を走行させることが可能となる。尚、この車両シート１は、運転席シートに限らず、助手席に設けた助手席シート、後部に設けた後部シートであっても良い。

図２に示すように、蓄熱ユニット２は、内部にパラフィン等の周知の蓄熱材２ｅ（図３参照）が充填されている蓄熱容器２ａを有し、この蓄熱容器２ａの外周が発泡ウレタン等の断熱材２ｂで囲繞されている。この断熱材２ｂの上面、すなわち、シート着座者の下腿部が載るオットマン１ｂの上面側に伝熱領域としての放熱窓２ｃが開口されている。この放熱窓２ｃに、樹脂など熱伝導率の低い材料で形成した伝熱開閉手段としての暖房シャッタ２ｄがスライド自在に配設されており、この暖房シャッタ２ｄが電磁ソレノイド等からなるシャッタアクチュエータ２２に連設されている。暖房シャッタ２ｄはシャッタアクチュエータ２２のＯＮ／ＯＦＦ動作により開閉自在にされている。尚、このシャッタアクチュエータ２２は、後述するコントローラ１１ａからの駆動信号に従ってＯＮ／ＯＦＦ動作される。

又、電動車両には、図２に示す暖房装置１１が搭載されている。この暖房装置１１はコントローラ１１ａを有しており、このコントローラ１１ａにて暖房を行うための蓄熱、及び、乗員が乗車するに際しての所定タイミングでの暖房が実行される。この暖房を実行するタイミングは、乗員が乗車するときと、乗車する前の所定タイミングとの双方で設定可能であるが、本実施形態では、乗員が乗車する前の所定タイミングで暖房を開始する態様で説明する。尚、以下においては、乗員が乗車する前に車室内を事前に暖房することを「プレ暖房」と称する。

このコントローラ１１ａは、周知のＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、及び不揮発性メモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、ＲＯＭにはＣＰＵが実行する各種プログラム、各種固定データ等が記憶されている。ＣＰＵでは、ＲＯＭに記憶されているプログラムに従い暖房用の蓄熱、及び、暖房制御を行う。

コントローラ１１ａの入力側に、熱エネルギ回収手段としての熱回収ユニット１２が接続されている。この熱回収ユニット１２は発熱源１３で発生した熱エネルギを電気エネルギに変換して回収するものである。発熱源１３としては電動車両の挙動で発生する熱源と自然熱源がある。電動車両の挙動による発熱源１３としては、走行時の電動車両に発生するタイヤ摩擦熱、フレーム、マウント、サスペンション等の振動熱、空気抵抗による摩擦熱等がある。自然熱源による発熱源１３としては太陽熱、風力等がある。そして、熱回収ユニット１２で回収した電気エネルギをコントローラ１１ａへ送信する。

更に、このコントローラ１１ａの入力側に受信機１４が接続されている。この受信機１４は、運転者等が携帯する送信機１５からの信号を受信するもので、運転者等の操作者は、送信機１５に設けられている暖房スイッチ（図示せず）をＯＮすることで、遠隔地から暖房信号を受信機１４に無線送信する。受信機１４が暖房信号を受信すると、それをトリガーとして、コントローラ１１ａが予め記憶されている制御プログラムに従い暖房制御を実行する。

又、コントローラ１１ａの出力側にＰＴＣヒータ等、抵抗加熱で発熱する電気ヒータ２１が接続されており、この電気ヒータ２１が、上述した蓄熱容器２ａ内に配設されて、蓄熱材２ｅを加熱可能にしている。

又、この蓄熱容器２ａ内に蓄熱材２ｅの温度を検知する温度センサ１６が配設されており、この温度センサ１６がコントローラ１１ａの入力側に接続されている。

更に、このコントローラ１１ａの出力側に上述したシャッタアクチュエータ２２が接続されていると共に、空調装置２３が接続されている。この空調装置２３はヒートポンプ式で、車室内全体を暖房するものであり、コントローラ１１ａからのＯＮ信号によって暖房終了後、或いは暖房と共に起動されて、空調暖房を行う。

コントローラ１１ａは、電動車両が走行中は熱回収ユニット１２で回収した発熱源１３から電気エネルギにて電気ヒータ２１を発熱させて蓄熱材２ｅを加熱させる。そして、この蓄熱材２ｅの熱を利用して、乗員が電動車両に乗車する際に、オットマン１ｂを予め加温させるプレ暖房を行う。このコントローラ１１ａで行う蓄熱処理、及びプレ暖房処理は、具体的には、図４、図５に示す蓄熱処理ルーチン、暖房処理ルーチンに従って処理される。尚、図４の蓄熱処理ルーチンで実行される処理が、本発明の加温制御手段に対応している。

先ず、蓄熱処理ルーチンについて説明する。上述したように、電動車両が走行すると、熱回収ユニット１２は発熱源１３からの熱エネルギを電気エネルギに変換する。コントローラ１１ａは、この電気エネルギにて電気ヒータ２１を発熱させて、蓄熱材２ｅを加熱する。

蓄熱処理ルーチンでは、先ず、ステップＳ１で、温度センサ１６で検出した蓄熱材２ｅの温度（蓄熱温度）を読込み、ステップＳ２で蓄熱材２ｅが蓄熱可能か否か、換言すれば、蓄熱容量に余裕があるか否かを、予め設定した閾値に基づいて判定する。閾値は、蓄熱材２ｅの飽和温度（沸点）以下であれば良く、オットマン１ｂの表面温度の上昇特性等に応じて適宜設定する。そして、蓄熱温度が閾値以下の場合、蓄熱可能と判定してステップＳ３へ進む。又、蓄熱温度が閾値を超えている場合は、蓄熱不能と判定し、ステップＳ５へ分岐する。

ステップＳ３へ進むと熱回収処理を実行してステップＳ４へ進む。この熱回収処理は、熱回収ユニット１２で回収した電気エネルギを、ＤＣ／ＤＣコンバータ等の回路を介して電気ヒータ２１を発熱可能な電圧まで調圧させる処理を含む。

そして、ステップＳ４ヘ進み、調圧した電圧で電気ヒータ２１を発熱させて、ルーチンを抜ける。一方、ステップＳ５へ分岐すると、電気ヒータ２１をＯＦＦさせてルーチンを抜ける。蓄熱材２ｅはその周囲が断熱材２ｂで覆われており、断熱材２ｂに開口されている放熱窓２ｃは、熱伝導率の低い材料で形成した暖房シャッタ２ｄによって閉塞されているため、放熱され難く、蓄熱状態が長時間保持される。

一方、図５に示す暖房処理ルーチンは、送信機１５からの暖房スイッチのＯＮ信号が受信するまで待機している。そして、暖房スイッチのＯＮ信号が検知された場合、ステップＳ１１からステップＳ１２へ進む。この送信機１５は、運転者（乗員）が駐車状態にある電動車両に乗車しようとする際にＯＮさせることで、プレ暖房を遠隔操作するものである。従って、この送信機１５は高機能携帯電話（スマートフォン）やパーソナルコンピュータであってもよく、この場合、受信機１４はインターネット回線を通じてＯＮ信号を受信する。

ステップＳ１２へ進むと、コントローラ１１ａはシャッタアクチュエータ２２をＯＮさせる。図２に示すように、このシャッタアクチュエータ２２は暖房シャッタ２ｄに連設されており、シャッタアクチュエータ２２のＯＮにより、暖房シャッタ２ｄが開動作される。その結果、蓄熱材２ｅを囲繞する断熱材２ｂに開口されている放熱窓２ｃを介して蓄熱材２ｅに蓄熱されている熱がオットマン１ｂに伝熱されて、このオットマン１ｂの上面を加温する。

その後、ステップＳ１３へ進み、カウンタタイマのカウント値Ｔｉｍをインクリメントして経過時間の計時を開始し、ステップＳ１４へ進み、カウント値Ｔｉｍが設定時間である乗車予定時間Ｔｏに達したか否かを調べる。この乗車予定時間Ｔｏは運転者（乗員）の乗車予定時間であり、運転者（乗員）が予め登録しておくことができる。尚、この乗車予定時間Ｔｏは適宜変更することも可能である。又、タイマのカウント値Ｔｉｍの初期値は０である。

そして、Ｔｉｍ＜Ｔｏの場合、ステップＳ１３へ戻り、乗車予定時間Ｔｏに達するまで待機する。一方、カウント値（経過時間）Ｔｉｍが乗車予定時間Ｔｏに達した場合（Ｔｉｍ≧Ｔｏ）、ステップＳ１５へ進み、シャッタアクチュエータ２２をＯＦＦさせる。すると、このシャッタアクチュエータ２２に連設する暖房シャッタ２ｄが閉動作し、放熱窓２ｃが遮蔽され、オットマン１ｂの加温が停止されて、プレ暖房が終了する。次いで、コントローラ１１ａによる処理は、ステップＳ１６へ進み、空調装置２３をＯＮさせて、暖房を空調暖房に引き継がせた後、ルーチンを終了する。

図６にプレ暖房と空調暖房との動作タイミングを示す。運転者（乗員）が送信機１５の暖房スイッチ（図示せず）をＯＮすると（経過時間ｔｏ）、暖房シャッタ２ｄが開動作し、蓄熱材２ｅの熱が放熱される。すると、オットマン１ｂの表面温度Ｔｅｍが次第に上昇し、蓄熱材２ｅの保持温度に達すると一定となる。

そして、予め設定されている乗車予定時間Ｔｏ（経過時間ｔ１）に達すると、シャッタアクチュエータ２２のＯＦＦにより、暖房シャッタ２ｄが放熱窓２ｃを遮蔽する。すると、図６に実線で示すように、蓄熱材２ｅからの伝熱は急激に低下するが、オットマン１ｂの表面温度Ｔｅｍは余熱（残熱）によって、一点鎖線で示すように、緩やかに低下する。一方、乗車予定時間（経過時間ｔ１）に達すると、破線で示すように、空調暖房が開始されるため、室温が次第に上昇される。

例えば、外気温が低い環境で運転者（乗員）が乗車しようとする場合、少なくとも上半身は厚着により保温されているが、下腿部は外気に晒されている部位が上半身よりも多く、寒さを感じやすい。運転者（乗員）が電動車両に乗車した際に下腿部をオットマン１ｂに乗せると、その部位がオットマン１ｂの表面温度により加温される。上述したように、下腿部は外気に晒されている部位が多いため、逆に、素早く加温され、しかも、オットマン１ｂに密着され易い部位であるため、即座に効率良く暖められる。その結果、冷態時においても少ない電力で運転者（乗員）が温感を早期に取得することができる。

又、発熱源１３は走行時に発生する熱、振動エネルギ、或いは自然熱源としているため、外部電源が不要で、余分な電気料金の増加を抑制することができる。

尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えばステップＳ１３、ステップＳ１４では、オットマン１ｂの表面温度Ｔｅｍが、予め設定した閾温度に達するまで、暖房を継続させるようにしても良い。その際、この閾温度を室内温度、運転者（乗員）のオットマン１ｂに接触する際の時の体温に基づいて可変設定されるようにしても良い。又、放熱窓２ｃに伝熱性の高い材料が充填されていても良い。

又、ステップＳ１５において、遮断される暖房シャッタ２ｄはシャッタアクチュエータ２２をデューティ制御等により段階的に遮断させるようにしても良い。

更に、上述したステップＳ１６において空調装置をＯＮさせるタイミングを、経過時間Ｔｉｍが乗車予定時間Ｔｏに達する所定時間前として、運転者（乗員）が乗車する際には、室温をある程度昇温させておくようにしても良い。

又、本発明は、乗員が乗車するときのタイミングで暖房を開始する場合にも適用できる。この場合、ステップＳ１１で検出する暖房スイッチのＯＮ信号としては、キーレススイッチからのドアアンロック信号、乗員がドアノブを操作してドアをアンロックさせるドアロックスイッチ、ドアの開放を検知するドアスイッチ、或いはスマートキーからの近接信号を適用する。

１…車両シート、
１ａ…シートクッション、
１ｂ…オットマン、
２…蓄熱ユニット、
２ａ…蓄熱容器、
２ｂ…断熱材、
２ｃ…放熱窓、
２ｄ…暖房シャッタ、
２ｅ…蓄熱材、
１１…暖房装置、
１１ａ…コントローラ、
１２…熱回収ユニット、
１３…発熱源、
１４…受信機、
１５…送信機、
１６…温度センサ、
２１…電気ヒータ、
２２…シャッタアクチュエータ、
２３…空調装置、
ｔ１…経過時間、
Ｔｅｍ…表面温度、
Ｔｉｍ…カウント値、
ｔｏ…経過時間、
Ｔｏ…乗車予定時間

Claims

車両の挙動で発生する熱源と該車両の外部から取り入れる自然熱源との少なくとも１つから熱エネルギを回収する熱エネルギ回収手段と、
前記熱エネルギ回収手段で回収した熱エネルギを蓄熱する蓄熱材と
を有し、前記蓄熱材に蓄熱されている熱で乗員を温める車両用暖房装置において、
前記車両の室内に設けた車両シートの前部に設けられて、前記蓄熱材を断熱材を介して内装する足載部と、
前記蓄熱材の上面と前記足載部の上面との間に介装されている前記断熱材に設けられて、該蓄熱材と前記足載部の上面とを伝熱させる伝熱領域と、
前記蓄熱材の蓄熱を、前記車両に前記乗員が乗車するに際しての所定タイミングで前記伝熱領域から放熱させて前記足載部を加温させる加温制御手段と
を備えることを特徴とする車両用暖房装置。
前記加温制御手段は、前記蓄熱材の蓄熱を前記乗員が乗車する前の所定タイミングで放熱させて前記足載部を加温させる
ことを特徴とする請求項１記載の車両用暖房装置。
前記伝熱領域に該伝熱領域を開放遮断する伝熱開閉手段が設けられており、
前記伝熱開閉手段の開閉が前記加温制御手段にて制御される
ことを特徴とする請求項１又は２に記載の車両用暖房装置。
前記加温制御手段は、前記乗員の外部からの乗車意思を示す信号を受信した際に前記伝熱開閉手段を動作させて、前記伝熱領域を開放させる
ことを特徴とする請求項３記載の車両用暖房装置。
前記加温制御手段は、前記伝熱開閉手段にて前記伝熱領域を開放させた後、前記足載部の上面温度が予め設定した閾温度を超えたとき、前記伝熱開閉手段にて前記伝熱領域を遮断する
ことを特徴とする請求項４記載の車両用暖房装置。
前記加温制御手段は、前記乗員からの乗車意思を示す信号を受信したときから乗車予定時間を計測し、該乗車予定時間の残り時間が予め設定した閾値以下となったとき、空調装置に対して起動信号を送信する
ことを特徴とする請求項４又は請求項５記載の車両用暖房装置。
前記加温制御手段は、前記空調装置に起動信号を送信した後、前記伝熱開閉手段により前記伝熱領域を遮断或いは段階的に遮断させる
ことを特徴とする請求項６記載の車両用暖房装置。
前記加温制御手段に設定されている前記閾温度は前記車両の室内温度、前記乗員の接触時の体温に基づいて可変設定される
ことを特徴とする請求項５記載の車両用暖房装置。
前記加温制御手段に設定されている前記閾温度は予め手動にて調整可能な可変値である
ことを特徴とする請求項５記載の車両用暖房装置。