JP6625908B2 - 鍛造品の予備成形設備および予備成形方法 - Google Patents
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Description
I:丸棒状または角棒状の素材1が供給される。
II:素材1が適宜の長さに切断されてビレット2となる。
III:ビレット2が加熱炉10で加熱される。
IV:予備成形機20により予備成形される。予備成形された予備成形品3が図3の(A)に示されている。
V:予備成形品3が鍛造プレス30で熱間鍛造される。鍛造されたバリ付きの中間鍛造品4が図3の(B)に示されている。
VI:さらにツイスター等で振り成形され、冷却すると完成品5となる。
図3(B)に示すバリ付き中間鍛造品におけるバリ4bの重量は中間鍛造品4全体の約30%位である。このバリ4bの量が過少であると欠肉等の製品欠陥が生じ、過大であると素材が無駄になるので、鍛造時には中間鍛造品4の全周に適量の、つまり重量で約30%位のバリが発生するようにしている。そうすると、中間鍛造品4の全周に均等なバリができるので、欠肉欠陥等が生じない。そして、このバリ4bの量は主に予備成形品3の形状や寸法に現われる成形精度に依存して増減する。
ところが、この方法では成形精度の管理が受動的にしか行えないので、バリ量を現状(中間鍛造品全体の約30重量%)より減少させながら、欠肉発生を防止することはできなかった。また、成形精度を目標値まで高めるためには数度の試し成形が必要であり、不合格品が発生する可能性を否定できず材料の歩留まり向上には限界があった。
この従来技術では、製品寸法に大きく影響する加工前のワークの温度、硬度、寸法、およびプレス機の型の温度を測定し、これらの測定値に基づいてスライド下死点位置を補正するというものである。
しかるに、この従来技術では、プレスの入口直前でビレットの温度や寸法を計測するので、前工程に存在する加熱工程での熱影響を計測精度から排除することができず、加工品の成形精度の向上には限界があった。
第2発明の予備成形設備は、第1発明において、前記予備成形機に固有の成形精度変動情報を計測する成形機固有情報計測器を備え、成形機固有精度情報をさらに加えて、成形押込み量を補正する前記成形押込み量補正手段を備えることを特徴とする。
第3発明の予備成形設備は、第1発明において、前記物理量計測器が、ビレットの重量を計測する重量計測器と、ビレットの断面径を計測する断面径計測器と、ビレットの長さを計測する長さ計測器を含むことを特徴とする。
第4発明の予備成形設備は、第2発明において、前記成形機固有情報計測器が、成形機自体の剛性に影響する熱変動を計測する熱変動計測器を含むことを特徴とする。
第5発明の鍛造品の予備成形方法は、長尺の棒状素材を切断したビレットを加熱し、加熱されたビレットを予備成形機で成形する予備成形方法であって、各ビレットの物理量を加熱する前に計測する物理量計測工程と、加熱された各ビレットの温度を予備成形する前に計測する温度計測工程と、前記物理量計測工程で得られた物理量と前記温度計測工程で得られた温度とに基づき、前記予備成形機の成形押込み量を補正する成形押込み量補正工程とを各ビレット毎に実行することを特徴とする。
第6発明の予備成形方法は、第5発明において、前記予備成形機に固有の成形精度変動情報を計測する成形機固有情報計測工程を実行し、得られた成形精度変動情報をさらに加えて、前記成形押込み量補正工程を実行することを特徴とする。
第2発明によれば、成形機固有精度情報をさらに加えて成形押込み量を補正することができるので、予備成形品をさらに高精度に成形できる。
第3発明によれば、ビレットの重量と、ビレットの断面径と、ビレットの長さを含む物理量を成形押込み量の調整に利用できるので、成形押込み量の補正が正確に行える。
第4発明によれば、予備成形機自体の剛性に影響する熱変動情報を成形押込み量の調整に利用できるので、成形押し込み量の補正がより正確に行える。
第5発明によれば、ビレットの物理量とビレットの温度とに基づき、予備成形機の成形押込み量を各ビレット毎に補正する。つまり、前もって成形押込み量を最適値に調整しておけ、しかもその調整値を得るのに加熱炉の直前で計測した熱影響の入ってない物理量を用いるので、予備成形品を高精度に成形できる。このため、中間鍛造品のバリ量を従来より少なくしても欠肉等の製品欠陥を生ずることはない。
第6発明によれば、成形機固有精度情報をさらに加えて成形押し込み量を補正することができるので、予備成形品をさらに高精度に成形できる。
図1は本発明における予備成形方法を示しており、概略的にはつぎのI〜VIの工程で進行する。
I:丸棒状または角棒状の素材1が供給される。
II:素材1が適宜の長さに切断されてビレット2となる。
III:ビレット2が加熱炉10で加熱される。
IV:予備成形機20によりビレット2が予備成形される。符号3は予備成形品を示している。予備成形品3は、図3(A)にも示すように、後工程の熱間鍛造がやりやすい径違いの丸棒形状となっている。
VI:最後にツイスター等で振り成形され、冷却されると完成品5となる。
II工程におけるビレットの切断位置の下流側には、加熱炉10、予備成形機20および鍛造プレス30がその順で配置されている。加熱炉10と鍛造プレス30は従来技術のものと同様であるが、予備成形機20は後述する成形押込み量補正手段で押込み量が制御可能に構成されている点で、従来技術と異なっている。
21はベッドで、このベッド21上に両サイドのフレーム22が立設されている。左右のフレーム22、22には上下の成形ロール23、24が軸支されていて、図示しない駆動源により回転させられる。上成形ロール23はフレーム22に対し偏心軸や昇降機構等を用いた押込み量調整装置25に連結されており、下成形ロール24との間の軸間距離d、すなわち成形押込み量が調整できるようになっている。
(1)フレーム22の熱による伸びを検出する熱電対41
熱電対41で温度検出することによりフレーム22の伸びを計測することができる。
(2)上成形ロール23または下成形ロール24の熱量を計測する放射温度計等の非接触温度計42
成形ロール23、24が熱をもつと、パス形状が変化するので成形精度が変動することによる。
予備成形前の各ビレット2の物理量は予備成形機20における成形押込み量の重要な制御ファクターであるが、その計測は本発明では加熱炉の直前で行うこととしている。そうする理由は、加熱後に生ずるはずの熱影響による誤差を避けるためであり、加熱前に計測した重量や長さなどの物理量であれば、冷却後の物理量を正確に反映するはずだからである。
さらに、加熱された各ビレット2の温度を予備成形機20の入側直前で計測する温度計測器48として、放射温度計やパイロメーターなどの計測器が用いられている。この温度計測器48のみは、加熱炉10の出側であり予備成形機20の入側より前、好ましくは直前に配置されている。
さらに、成形機に固有の成形精度変動情報として、フレーム22の熱による伸びとロール23、24の熱による膨張等の計測情報を受入れる。
算出された成形押込み量は、駆動制御部51に送られ、駆動制御部51からの駆動信号によって、成形押込み量補正が実行される。
このようにして、本発明に係る予備成形機20では、個々のビレット2を成形する直前に最適の成形押込み量を演算し、それによって予備成形することができる。
(a)物理量計測工程
各ビレット2の物理量(重量、断面径、長さ)を加熱炉10の直前で計測し、押込み量補正手段50に送る。
(b)温度計測工程
加熱炉10を出た後、加熱された各ビレット2の温度を予備成形機20の入側直前で計測し、押込み量補正手段50に送る。
(c)成形機固有情報計測工程
予備成形機20に固有の成形精度変動情報を計測し、フレーム22のもつ熱による伸び、ロール23のもつ熱による膨張などの熱変動情報を押込み量補正手段50に送る。
前記各計測情報に基づき、各ビレット2毎の成形押し込み量を演算し補正する。補正値演算には、加熱炉の直前で計測した熱影響の入ってない物理量を用い、成形機固有精度情報も加えて成形押込み量を補正することができるので、予備成形品を高精度に成形できる。また、予備成形機自体の剛性に影響する熱変動情報を成形押込み量の調整に利用できるので、成形押し込み量の補正がより正確に行える。
このようにして、各ビレット毎に補正された成形押込み量に基づいてビレット2が予備成形される。
2 ビレット
3 予備成形品
4 中間鍛造品
5 完成品
10 加熱炉
20 予備成形機
23 上成形ロール
24 下成形ロール
30 鍛造プレス
41 熱電対
42 非接触温度計
45 重量計測器
46 断面径計測器
47 長さ計測器
48 温度計測器
50 成形押込み量補正手段
51 駆動制御部
(a) 物理量計測工程
(b) 温度計測工程
(c) 成形機固有情報計測工程
(d) 成形押込み量補正工程
Claims (6)
- 長尺の棒状素材を切断したビレットを加熱する加熱炉と、
加熱されたビレットを予備成形する予備成形機と、
各ビレットの物理量を前記加熱炉の直前で計測する物理量計測器と、
加熱された各ビレットの温度を前記予備成形機の入側直前で計測する温度計測器と、
前記物理量計測器で得られた物理量と前記温度計測器で得られた温度とに基づき、前記予備成形機の成形押込み量を各ビレット毎に補正する成形押込み量補正手段とを備える
ことを特徴とする鍛造品の予備成形設備。 - 前記予備成形機に固有の成形精度変動情報を計測する成形機固有情報計測器を備え、成形機固有精度情報をさらに加えて、成形押込み量を補正する前記成形押込み量補正手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の予備成形設備。 - 前記物理量計測器が、ビレットの重量を計測する重量計測器と、ビレットの断面径を計測する断面径計測器と、ビレットの長さを計測する長さ計測器を含む
ことを特徴とする請求項1記載の予備成形設備。 - 前記成形機固有情報計測器が、成形機自体の剛性に影響する熱変動を計測する熱変動計測器を含む
ことを特徴とする請求項2記載の予備成形設備。 - 長尺の棒状素材を切断したビレットを加熱し、加熱されたビレットを予備成形機で成形する予備成形方法であって、
各ビレットの物理量を加熱する前に計測する物理量計測工程と、
加熱された各ビレットの温度を予備成形する前に計測する温度計測工程と、
前記物理量計測工程で得られた物理量と前記温度計測工程で得られた温度とに基づき、前記予備成形機の成形押込み量を補正する成形押込み量補正工程とを各ビレット毎に実行する
ことを特徴とする鍛造品の予備成形方法。 - 前記予備成形機に固有の成形精度変動情報を計測する成形機固有情報計測工程を実行し、得られた成形精度変動情報をさらに加えて、前記成形押込み量補正工程を実行する
ことを特徴とする請求項5記載の予備成形方法。
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