(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波プローブを説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。
図1は、第1の実施形態に係る超音波プローブ1において、エレベーション(elevation)方向に垂直な断面の一例を示す図である。本実施形態に係る超音波プローブ1は、1次元アレイプローブである。1次元アレイプローブ1は、配列方向またはアジマス(azimuth)方向に配列された複数の振動子を有する。
図1において、エレベーション方向は紙面に垂直な方向(E方向)である。アジマス方向は、複数の振動子が配列された方向(A方向)である。アジマス方向とエレベーション方向とに垂直な方向は、音響放射に係る方向(AR方向)である。図2は、本実施形態に係る超音波プローブ1において、アジマス方向に垂直な断面の一例を示す図である。
図1、図2に示すように、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1は、共通電極11と、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed circuit:FPC)13と、複数の振動子15と、空隙層17と、支持部材19とを有する。複数の振動子15は、所定の間隔Iを有する分割溝150により隔てて、フレキシブルプリント基板13上に、アジマス方向に沿って配列される。すなわち、複数の振動子15は、短冊状にフレキシブルプリント基板13上に設けられる。エレベーション方向に沿った複数の分割溝150各々には、所定の気体(例えば空気)が封入される。
共通電極11は、複数の振動子15の前面に設けられる。図1において、共通電極11は、複数の振動子15に亘って、第1の音響整合層153と接合されている。具体的には、共通電極11と複数の第1の音響整合層153とは、物理的かつ電気的に接合する。共通電極11は、例えば、銅箔により形成される。共通電極11から引き出される配線は、任意の形態により、例えばフレキシブルプリント基板13における配線を介して、図示していないケーブルに接続される。共通電極11の前面には図示していない音響レンズが配置、接合される。また、音響レンズの前面には、音響レンズを覆う図示していないカバー(生体接触部材)が設けられる。
フレキシブルプリント基板13は、非分割構造であって、複数の振動子15に接合される。すなわち、フレキシブルプリント基板13は、複数の振動子15を支持する。フレキシブルプリント基板13は、複数の振動子15にそれぞれ対応する複数の配線を有していてもよい。このとき、複数の振動子15と複数の配線とは、それぞれ電気的に接続される。
複数の振動子15各々は、圧電体151と、第1の音響整合層153と、第2の音響整合層155と、高インピーダンス層(背面音響整合層)157と、個別電極159とを有する。複数の振動子15各々は、アジマス方向に沿って、所定の間隔Iでフレキシブルプリント基板13上に配列される。
すなわち、複数の振動子15各々は、アジマス方向に平行な所定の間隔Iを有し、エレベーション方向に沿った分割溝150により、それぞれ物理的に分離する。複数の振動子15各々は切断されていないフレキシブルプリント基板13上に接合されているため、複数の振動子15各々は構造的に安定である。
圧電体151における音響放射方向の前面には、第2の音響整合層155が接合され、第2の音響整合層155の前面には、第1の音響整合層153が接合される。圧電体151の背面には、高インピーダンス層157が接合される。高インピーダンス層157の背面には、個別電極159が接合される。第1の音響整合層153と、第2の音響整合層155と、高インピーダンス層157とは、導電性を有する。
圧電体151は、エレベーション方向に沿った長辺を有し、アジマス方向に沿った短辺を有する矩形状に整形され、超音波の送受信に関わる圧電変換素子である。圧電変換素子とは、例えば、圧電セラミックスなどである。圧電体151は、図示していない超音波診断装置または超音波探傷装置から図示していない電子回路を介して供給された駆動信号(電気信号)を受けて、超音波を発生する。圧電体151は、被検体もしくは超音波探傷に関する物質により反射された超音波を受けて、エコー信号(電気信号)を発生する。発生されたエコー信号は、超音波プローブに接続された図示していないケーブルを介して超音波診断装置または超音波探傷装置に供給される。
第1の音響整合層153および第2の音響整合層155は、圧電体151の超音波照射側(前面側)に設けられる。第1の音響整合層153および第2の音響整合層155は、導電性材料からなる金属粉入りエポキシ樹脂等の音響整合材により形成される。第1の音響整合層153及び第2の音響整合層155における音速、厚さ、音響インピーダンス等の物理的パラメータを調整することで、被検体と圧電体151との音響インピーダンスの整合を図ることができる。
具体的には、第1の音響整合層153および第2の音響整合層155は、被検体もしくは超音波探傷に関する物質の音響インピーダンスと圧電体151の音響インピーダンスとの違いに起因する超音波の反射を抑える。なお、図1には、2層の音響整合層(第1の音響整合層153および第2の音響整合層155)が図示されているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、1層、3層、あるいは4層以上の音響整合層が、圧電体151の前面に配置され、それぞれ接合されてもよい。
高インピーダンス層157は、複数の圧電体各々の背面に接合される。すなわち、高インピーダンス層157は、複数の圧電体151各々とフレキシブルプリント基板13との間に位置する。高インピーダンス層157は、圧電体151の音響インピーダンスより高い音響インピーダンスを有する。高インピーダンス層157は、例えば、タングステンや、タングステンの炭化物などにより構成される。なお、高インピーダンス層157は、振動子15の構成において、省略されてもよい。
個別電極159は、高インピーダンス層157の背面に接合される。個別電極159は、例えば、銀や金などによる金属メッキやスパッタリングなどにより形成される。
図3は、本実施形態に係る超音波プローブ1において、エレベーション方向とアジマス方向とに直交するAR方向に垂直な断面における空隙層17の一例を示す図である。図4は、本実施形態に係る超音波プローブ1において、支持部材19に支持された空隙層17と、空隙層17における複数の接続部材171、173と、フレキシブルプリント基板13と、複数の振動子15とを示す斜視図である。
空隙層17は、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられる。例えば、空隙層17は、フレキシブルプリント基板13と支持部材19との間に設けられる。空隙層17は、複数の接続部材171、173と、空隙部分175とを有する。図1、図2に示すように複数の接続部材171、173各々は、空隙層17の前面の前面構造物と空隙層17の背面の背面構造物とを接続する。
前面構造物とは、図1乃至図4に示すように、例えば、共通電極11、フレキシブルプリント基板13、短冊状の複数の振動子15、図示していない音響レンズなどである。背面構造物とは、例えば、図1、図2に示すように、支持部材19である。
接続部材171は、図1乃至図4に示すように、柱状構造を有する。接続部材171、173は、支持部材19の前面側に、振動子15に対して多数配置される。図1乃至図4に示すように、複数の接続部材171は、振動子15を分割する分割溝150の直下(真後ろ)であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられる。
すなわち、接続部材171、173は、最も近い2つの圧電体151の間の位置であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に位置する。また、空隙層17における端部に位置する複数の接続部材173は、図1乃至図4に示すように、アジマス方向およびエレベーション方向に関して、振動子15の外側に配置される。これにより、空隙部分175は、封止密閉される。なお、接続部材171は、図5に示すように、フレキシブルプリント基板13を介した振動子15の直下(真後ろ)に設けられてもよい。
具体的には、接続部材171、173の一端(先端)は、分割溝150の直下のフレキシブルプリント基板13に、接着剤等により接着される。接続部材171、173の他端(先端)は、分割溝150直下の支持部材19に、接着剤等により接着される。接続部材171、173とフレキシブルプリント基板13との接着時、および接続部材171、173と支持部材19との接着時において、接着剤は、空隙部分175には、充填されない。
すなわち、空隙部分175は、前面構造物における音響インピーダンスに比べて小さい音響インピーダンスを有する気体(例えば空気)が封入される領域である。以上のような構造により、本超音波プローブ1は、構造的に安定を保つことができる。
フレキシブルプリント基板13により振動子に関する配線が引き出されるとき、接続部材171、173は導電体である必要はない。このとき、接続部材171、173は、例えば、フレキシブルプリント基板13上に塗布されたソルダレジスト(solder resist、例えば熱硬化性エポキシ樹脂皮膜)等であってもよい。また、接続部材171、173は、導電体であってもよい。このとき、接続部材171、173は、銅メッキを厚く柱状に形成した銅バンプ(bump)などである。
支持部材19は、背面側への音響反射が無いため、高硬度の金属(例えばアルミニウム等)により構成される。すなわち、本実施形態における超音波プローブ1の支持部材19は、前面構造物を支持する機械的安定性を有する支持体である。
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態に係る1次元アレイプローブ(超音波プローブ)1によれば、振動子15の背面側に、切断および分離されないフレキシブルプリント基板13と、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられた空隙層17とを有する。空隙層17における空隙部分175により、本実施形態に係る超音波プローブ1は、振動子15の背面側への音響放射を極力抑えることができ、前面側への感度を高めることができる。さらに、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1によれば、圧電体151の背面に高インピーダンス層157を有する。これにより、振動子15の背面側への音響放射を更に低減でき、前面側への感度をさらに高めることができる。
また、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1によれば、非分割のフレキシブルプリント基板13上に1次元アレイ振動子15を形成することができる。このため、製造工程が容易となり、製造コストを低減することができる。加えて、振動子の音響的な良否検査が簡単となる。加えて、分割溝150に気体を封入させることが可能であるため、隣接振動子間のクロストークは低減される。
さらに、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1によれば、複数の接続部材171が、振動子15を分割する分割溝150の直下であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けることができる。これにより、各振動子15としてはフレキシブルプリント基板13を挟んで空隙構造となっており、背面方向への音響放射をさらに低く抑えることが可能である。すなわち、本実施形態によれば、振動子15からの後方放射を、効率よく遮断することができる。したがって、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1によれば、送信時に投入した電力は、無駄なく前面側に超音波として放射される。
加えて、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1によれば、背面構造物として、高硬度の材料(例えば金属)で構成することができ、音響吸収材は不要となり、製造コストを低減させることができる。
以上のことから、本実施形態に係る1次元アレイプローブ1によれば、振動子15の背面に空隙構造を確保しながら1次元アレイ化が可能である。エアーバック構造により振動子15からの後方放射を効率よく抑制でき、すなわち音響分離性能を向上させることができる。加えて、本超音波プローブ1は、フレキシブルプリント基板13により機械的に安定した構造となり、低製造コストおよびエネルギー変換を高効率に実現でき、かつ背面方向への音響放射による超音波画像への影響を低減することができる。
(変形例)
第1の実施形態に係る超音波プローブ1と本変形例に係る超音波プローブとの相違は、空隙層17のかわりに、空隙部分175に所定のアンダーフィル材が充填または配置された樹脂層を有することにある。なお、以下の説明において、第1の実施形態にと略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。
図16は、本変形例に係る超音波プローブ3において、エレベーション方向に垂直な断面の一例を示す図である。図16に示すように、樹脂層18は、第1の実施形態における空隙層17の空隙部分175にアンダーフィル材が充填された構造または配置された構造を有する。
樹脂層18は、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられる。例えば、樹脂層18は、フレキシブルプリント基板13と支持部材19との間に設けられる。樹脂層18は、複数の接続部材171、173と、複数の樹脂部分181とを有する。図16に示すように複数の接続部材171、173各々と複数の樹脂部分181とは、樹脂層18の前面の前面構造物と樹脂層18の背面の背面構造物とを接続する。
前面構造物とは、図16に示すように、例えば、共通電極11、フレキシブルプリント基板13、短冊状の複数の振動子15、図示していない音響レンズなどである。背面構造物とは、例えば、図16に示すように、支持部材19である。
接続部材171は、図16に示すように、柱状構造を有する。接続部材171、173は、支持部材19の前面側に、振動子15に対して多数配置される。図16に示すように、複数の接続部材171は、圧電体151の真後ろの位置とは異なる位置に配置される。換言すれば、複数の接続部材171は、振動子15を分割する分割溝150の直下(真後ろ)であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられる。
すなわち、接続部材171、173は、最も近い2つの圧電体151の間の位置であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に位置する。また、空隙層17における端部に位置する複数の接続部材173は、図16に示すように、アジマス方向およびエレベーション方向に関して、振動子15の外側に配置される。
複数の接続部材のうち隣接する2つの接続部材の間の空間は、アンダーフィル材が配置される樹脂部分181である。アンダーフィル材は、前面構造物における音響インピーダンスに比べて小さい音響インピーダンスを有する。ここで、アンダーフィル材とは、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン(silicone:ケイ素樹脂(有機ケイ素化合物の重合体))などの樹脂である。
具体的には、接続部材171、173の一端(先端)は、分割溝150の直下のフレキシブルプリント基板13に、接着剤等により接着される。また、樹脂層18における樹脂部分181は、前面構造物と背面構造物とを接着する。接続部材171、173とフレキシブルプリント基板13との接着時、および接続部材171、173と支持部材19との接着時において、アンダーフィル材は、隣接する2つの接続部材171の間の樹脂部分181に充填される。なお、樹脂層18は、接続部材173とアンダーフィル材とにより予め一体成形されてもよい。このとき、アンダーフィル材は、樹脂部分181に配置される。以上のような構造により、本超音波プローブ3は、構造的に安定を保つことができる。
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本変形例に係る1次元アレイプローブ(超音波プローブ)3によれば、振動子15の背面側に、切断および分離されないフレキシブルプリント基板13と、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられた樹脂層18とを有する。樹脂層18は、樹脂層18の前面の前面構造物と背面構造物とを接続する複数の接続部材と、複数の接続部材のうち隣接する接続部材の間の空間に配置された所定の樹脂(樹脂部分176)とを有する。接続部材171、173は、圧電体151の真後ろの位置すなわち振動子15真後ろの位置とは異なる位置に配置される。
樹脂層18における樹脂部分176により、本変形例に係る超音波プローブ3は、振動子15の背面側への音響放射を極力抑えることができ、前面側への感度を高めることができる。樹脂部分181に充填または配置されたアンダーフィル材がシリコーンであるとき、シリコーンの密度はエポキシ樹脂よりも低く、シリコーンの音響インピーダンスは、エポキシ樹脂より低いため、振動子15の背面側への音響放射の抑制効果は、樹脂部分181に充填または配置されたアンダーフィル材がエポキシ樹脂である場合よりも大きくなる。
加えて、樹脂層18の樹脂部分176は、振動子15の振動において、長期間に亘る尾引き的な振動を抑制することができる。例えば、樹脂部分181に充填または配置されたアンダーフィル材がエポキシ樹脂であるとき、尾引き的な振動の抑制効果は、樹脂部分181に充填または配置されたアンダーフィル材がシリコーンである場合よりも大きくなる。
樹脂層18の樹脂部分181に充填される樹脂は、上記説明のように、超音波プローブ3の用途等に応じて適宜選択可能で有り、エポキシ樹脂またはシリコーンに限定されない。
さらに、本変形例に係る1次元アレイプローブ3によれば、圧電体151の背面に高インピーダンス層157を有する。これにより、振動子15の背面側への音響放射を更に低減でき、前面側への感度をさらに高めることができる。
また、本変形例に係る1次元アレイプローブ3によれば、非分割のフレキシブルプリント基板13上に1次元アレイ振動子15を形成することができる。このため、製造工程が容易となり、製造コストを低減することができる。加えて、振動子の音響的な良否検査が簡単となる。加えて、分割溝150に気体を封入させることが可能であるため、隣接振動子間のクロストークは低減される。
さらに、本実施形態に係る1次元アレイプローブ3によれば、複数の接続部材171が、振動子15を分割する分割溝150の直下であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けることができる。これにより、各振動子15としてはフレキシブルプリント基板13を挟んで樹脂構造となっており、背面方向への音響放射をさらに低く抑えることが可能である。すなわち、本変形例によれば、振動子15からの後方放射を、効率よく低減させることができる。したがって、本変形例に係る1次元アレイプローブ3によれば、送信時に投入した電力は、無駄なく前面側に超音波として放射される。
以上のことから、本変形例に係る1次元アレイプローブ3によれば、振動子15の背面に樹脂構造を確保しながら1次元アレイ化が可能あり、音響分離性能を向上させることができる。加えて、本超音波プローブ3は、樹脂層18により機械的に剛性が安定した構造となり、超音波プローブ3に対する剛性的な信頼性が向上し、低製造コストおよびエネルギー変換を高効率に実現でき、かつ背面方向への音響放射による超音波画像への影響を低減することができる。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波プローブを説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態にと略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合に行う。本実施形態は、振動子の下面に、切断分離されないフレキシブルプリント基板と、フレキシブルプリント基板の背面側に空隙層を備え、フレキシブルプリント基板と背面側の構造体との間は、振動子の分割溝の直下(真後ろ)に柱状構造が存在し、アレイ状振動子を支える。特に2次元アレイの場合は、格子状の振動子の分割溝の交点に柱状構造を備える。これにより、アレイ振動子において、効率よく背面側への音響放射を抑制できる。
図6は、第2の実施形態に係る超音波プローブ2において、エレベーション方向に垂直な断面の一例を示す図である。本実施形態に係る超音波プローブ2は、2次元アレイプローブである。2次元アレイプローブ2は、アジマス方向(第1方向)と、アジマス方向に直交するエレベーション方向(第2方向)とに沿って配列された複数の振動子とを有する。
図6において、エレベーション方向は紙面に垂直な方向(E方向)であり、アジマス方向はエレベーション方向に垂直な方向(A方向)であり、アジマス方向とエレベーション方向とに垂直な方向は音響放射に係る方向(AR方向)である。2次元アレイプローブである本超音波プローブ2において、アジマス方向に垂直な断面は、図6と同様な図となる。
図6に示すように、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2は、共通電極11と、フレキシブルプリント基板13と、複数の振動子15と、空隙層17と、中継基板21と、集積回路(Integarted Circuit:IC)23と、放熱部材27とを有する。
共通電極11は、複数の振動子15の前面に設けられる。共通電極11の前面には図示していないカバー(生体接触部材)が設けられる。すなわち、本実施形態に係る超音波プローブ2は2次元アレイプローブであるため、音響レンズは不要となる。
複数の振動子15各々は、圧電体151と、第1の音響整合層153と、第2の音響整合層155と、高インピーダンス層(背面音響整合層)157と、個別電極159と、図示していない独立パッドとを有する。複数の振動子15各々は、アジマス方向およびエレベーション方向に沿って、所定の間隔Iでフレキシブルプリント基板13上に配列される。
具体的には、複数の振動子15は、所定の間隔Iを有する分割溝150により隔てられて、フレキシブルプリント基板13上に、アジマス方向およびエレベーション方向に沿って、格子状に配列される。分割溝150は、アジマス方向に平行な所定の間隔Iを有し、かつエレベーション方向に平行な所定の間隔Iを有する。複数の振動子15各々は、アジマス方向およびエレベーション方向に沿った分割溝150により、それぞれ物理的に分離する。
なお、アジマス方向における所定の間隔Iと、エレベーション方向における所定の間隔Iとは、それぞれ異なる長さであってもよい。複数の振動子各々は切断されていないフレキシブルプリント基板13上に接合されているため、複数の振動子15各々は構造的に安定である。エレベーション方向およびアジマス方向に沿った複数の分割溝150各々には、所定の気体(例えば空気)が封入される。
圧電体151は、エレベーション方向およびアジマス方向に対して略同一の幅を有するように整形された圧電変換素子である。圧電体151は、集積回路23を介して供給された駆動信号(電気信号)を受けて、超音波を発生する。圧電体151は、被検体もしくは超音波探傷に関する物質により反射された超音波を受けて、エコー信号(電気信号)を発生する。発生されたエコー信号は、集積回路23に供給される。
図示していない独立パッドは、振動子15の下面の個別電極159と電気的および物理的に接合される。すなわち、独立パッドは、振動子15各々の個別電極159の直下に設けられる。独立パッドは、例えば、はんだ付け用銅箔である。独立パッドは導電性を有し、フレキシブルプリント基板13におけるスルーホール(through hole)131に設けられたランド133に電気的および物理的に接合される。
フレキシブルプリント基板13は、非分割構造であって、複数の振動子15に接合される。すなわち、フレキシブルプリント基板13は、複数の振動子15を支持する。フレキシブルプリント基板13は、表裏に銅箔の配線パターンを備える両面板である。フレキシブルプリント基板13は、各振動子15の直下に、フレキシブルプリント基板13の両面を接続するスルーホール(through hole)131を有する。
スルーホール131は、フレキシブルプリント基板13をAR方向に貫通する貫通孔である。スルーホール131の数は、本2次元アレイプローブ2における複数の振動子15の数に対応する。
スルーホール131には、貫通穴の壁面にメッキを施した貫通スルーホールと、フレキシブルプリント基板13の片面の導体を残し、フレキシブルプリント基板13の裏面からベース層を除去してメッキを施す非貫通スルーホールとの2種がある。本実施形態においては、上記2種のスルーホールのうちいずれのスルーホールが用いられてもよい。また、スルーホール131の内面には、導電性材料が充填されてもよい。なお、フレキシブルプリント基板13の裏面(背面)におけるスルーホール131の端部は、この端部を覆うようにソルダレジスト等で絶縁処理されてもよい。
フレキシブルプリント基板13の前面におけるスルーホール131の端部には、ランド(以下、前面ランドと呼ぶ)133が設けられる。前面ランド133は、振動子15各々の個別電極159の直下に設けられた独立パッドに接合される。フレキシブルプリント基板13の背面におけるスルーホール131の端部には、ランド(以下、背面ランドと呼ぶ)135が設けられる。背面ランド135は、フレキシブルプリント基板13の背面の配線パターン137と電気的に接続される。
フレキシブルプリント基板13の背面の配線パターン137は、背面ランド135とバンプ接続用パッド(以下、接続パッドと呼ぶ)139とを電気的に接続する配線のパターンである。接続パッド139は、例えば、2番目に近い2つの圧電体151(または振動子15)の間の位置の直下(背面側)であって、フレキシブルプリント基板13の背面に設けられる。
すなわち、配線パターン137は、フレキシブルプリント基板13の背面において、振動子15の直下の位置から、エレベーション方向に沿った分割溝150とアジマス方向に沿った分割溝150との交点の直下の位置まで、電気的に接続する導線である。換言すれば、配線パターン137は、背面ランド135と、この背面ランド135に最も近い接続パッド139とを電気的に1対1で接続する配線である。
接続パッド139の数は、スルーホール131の数に対応する。すなわち、複数の接続パッド139は、複数の振動子15に電気的にそれぞれ接続されている。換言すると、接続パッドは、スルーホール131に接続された背面ランド135と接続パッド139とは、配線パターン137により、複数の振動子15各々独立に接続される。
図7は、本実施形態に係る超音波プローブ2において、AR方向に垂直な断面における空隙層17を、中継基板21の前面からフレキシブルプリント基板13の背面に向けて見た断面図である。図8は、本実施形態に係る超音波プローブ2において、空隙層17と、空隙層17における複数の接続部材171、173と、フレキシブルプリント基板13と、複数の振動子15とを示す斜視図である。
空隙層17は、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられる。例えば、空隙層17は、フレキシブルプリント基板13と、中継基板21との間に設けられる。なお、中継基板21が省略される場合、空隙層17は、フレキシブルプリント基板13と、集積回路23との間に設けられる。
空隙層17は、複数の接続部材171、173と、空隙部分175とを有する。図6に示すように複数の接続部材171、173各々は、空隙層17の前面の前面構造物と空隙層17の背面の背面構造物とを接続する。前面構造物とは、図6に示すように、例えば、共通電極11、フレキシブルプリント基板13、格子状の複数の振動子15などである。背面構造物とは、例えば、図6に示すように、中継基板21、集積回路23、放熱部材27である。
図7において、フレキシブルプリント基板13の図示は省略されている。図7に示すように、個別電極159は、図示していない独立パッドを介して前面ランド133と接合される。図7において、前面ランド133は、背面ランド135と重複しているため、不図示となっている。
前面ランド133および背面ランド135の中心部分にはスルーホール131が位置している。背面ランド135は、フレキシブルプリント基板13の背面に配置された配線パターン137の一端に接合される。配線パターン137の他端は、接続パッド139に接合される。接続パッド139の中心部分には、接続部材171が接合される。
接続部材171、173は、図6乃至図8に示すように、柱状構造を有する。接続部材171、173は、背面構造物である中継基板21および集積回路23への電気的接点として機能する。このため、接続部材171、173は、必ず導電性を有する。導電性の柱状構造を有する接続部材171、173は、フレキシブルプリント基板13の背面側の導体(接続パッド139))上に形成される銅バンプであるか、中継基板21または集積回路23上に形成される金バンプ又は半田バンプである。
導電性であって柱状構造の接続部材171、173は、銅バンプまたは金バンプの場合は導電ペースト等を用いた手法により、また半田バンプの場合はリフロー等を用いた手法により、中継基板21と接続、固着される。なお、中継基板21が省略される場合、接続部材171、173は、集積回路23と接続、固着される。フレキシブルプリント基板13における接続パッド139と接続部材171、173との接着時、および接続部材171、173と中継基板21との接着時において、接着剤は、空隙部分175には、充填されない。
接続部材171、173は、中継基板21の前面側に、接続パッド139に応じて振動子15に対して多数配置される。図6乃至図8に示すように、複数の接続部材171、173は、エレベーション方向に沿った分割溝150とアジマス方向に沿った分割溝150との交点の直下(真後ろ)等であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられる。
すなわち、接続部材171、173は、2番目に近い2つの圧電体151の間の位置の直下(真後ろ)、または最も近い2つの圧電体151の間の位置の直下(真後ろ)であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に位置する。すなわち、接続部材173は、周囲の4つの圧電体の位置で規定される矩形(例えば正方形)における2つの対角線の交点の位置の背面側に配置される。また、空隙層17における端部に位置する複数の接続部材173は、図6、図8に示すように、アジマス方向およびエレベーション方向に関して、振動子15の外側に配置される。これにより、空隙部分175は、封止されかつ密閉される。
図9は、フレキシブルプリント基板13に設けられた格子状の複数の振動子15を、AR方向から見た図である。図9に示すように、接続部材171、173は、エレベーション方向に沿った分割溝150とアジマス方向に沿った分割溝150との交点の直下に設けられる。また、空隙層17おける端部に位置する複数の接続部材173は、図9に示すように、アジマス方向およびエレベーション方向に関して、振動子15の外側に配置される。
なお、接続パッド139は、最も近い2つの圧電体151(または振動子15)の間の位置の直下(背面側)であって、フレキシブルプリント基板13の背面に設けられてもよい。すなわち、接続パッド139は、フレキシブルプリント基板13の背面において、エレベーション方向に沿った分割溝150とアジマス方向に沿った分割溝150とのうち少なくとも一方の直下の位置に設けられてもよい。このとき、接続部材171、173は、最も近い2つの圧電体151の間の位置の直下であって、フレキシブルプリント基板13の背面に設けられる。
図10は、フレキシブルプリント基板13に設けられた格子状の複数の振動子15を、AR方向から見た図である。図10に示すように、接続部材171、173は、エレベーション方向に沿った分割溝150の直下と、アジマス方向に沿った分割溝150の直下とに設けられる。また、空隙層17における端部に位置する複数の接続部材173は、図10に示すように、アジマス方向およびエレベーション方向に関して、振動子15の外側に配置される。
図6乃至図10に示すように、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、非切断のフレキシブルプリント基板13の存在と、複数の振動子15と略同密度で配置された接続部材(柱状構造)171、173により、構造的な安定が確保される。
なお、複数の振動子15を支持するフレキシブルプリント基板13は、中継基板21からの信号の引き出しのために、図11に示すように放熱部材27に沿って延長されてもよい。なお、接続部材171、173は、図12に示すように、フレキシブルプリント基板13を介した振動子15の直下に設けられてもよい。
中継基板21は、空隙層17と、集積回路23との間に設けられる。中継基板21は、フレキシブルプリント基板13と集積回路23との電気的接続を中継する基板である。中継基板21は、例えば、インターポーザ(Inter Poser:IP)である。インターポーザ21は、複数の接続部材171、173において隣接する2つの接続部材間のピッチと、集積回路23における入出力(I/O)端子間のピッチとを電気的に中継する基板である。インターポーザ21は、例えば、所定の厚みを有するアルミナセラミック基板である。
インターポーザ21の前面には、複数の振動子15各々に対応する電極パッドが設けられる。図示していない電極パッドは、具体的には、インターポーザ21の前面において、接続パッド139に対向する位置に設けられる。電極パッド上には、ワイヤボンダー装置等により、金バンプ(接続部材171、173)が設置される。金バンプの場合、フレキシブルプリント基板13側の電極パッド(接続パッド139)の表面には、導電接着剤が塗布される。
インターポーザ21とフレキシブルプリント基板13とに対して位置合わせが実行される。この位置合わせの後、インターポーザ21上にフレキシブルプリント基板13が仮に(一時的に)マウントされる。仮にマウントされたインターポーザ21とフレキシブルプリント基板13との間における接着剤が、硬化炉により硬化される。これにより、接続部材171、173とインターポーザ21とは、電気的な導通がとられると同時に機械的にも固着される。
インターポーザ21における電極パッド上には、金バンプの代わりに、半田ボールバンプ(接続部材171、173)が形成されてもよい。このとき、同じく仮マウント後リフロー等の手段により、半田を溶融、冷却により、接続部材171、173とインターポーザ21とは、導通され、固着される。なお、インターポーザ21からの信号の引き出しは、ワイヤボンディング(wire bonding)、ACF(Anisotropic conductive film:異方性導電フィルム)ボンディング等により行われてもよい。
集積回路23は、フリップチップボンディング等によりインターポーザ21に接続される電子回路である。このとき、集積回路23とインターポーザ21との間には、液状硬化性樹脂であるアンダーフィル材(underfill)213と称される接着剤が充填される。
なお、集積回路23は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Comlex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を有していてもよい。
具体的には、集積回路23は、インターポーザ21における振動子15毎の入出力(I/O)端子に対して設けられたバンプ211またはACFにより、インターポーザ21に接合される。例えば、集積回路23は、振動子15ごとにインターポーザ21に実装される。複数の振動子15にそれぞれ対応する複数の集積回路23各々は、超音波診断装置本体による制御に応じて、インターポーザ21、接続部材171、173、スルーホール131等を介して電気的に接続された振動子15に、駆動信号(駆動電圧)を印可する。集積回路23は、インターポーザ21、接続部材171、173、スルーホール131等を介して、振動子15で発生されたエコー信号を処理する。
放熱部材27は、熱伝導グリス25を介して、集積回路23の背面に接合される。熱伝導グリス25は、放熱グリスとも称される。放熱部材27には、集積回路23により発生された熱が、熱伝導グリス25を介して伝導される。また、放熱部材27は、熱伝導グリス25を介して伝導された熱を、放熱する。本実施形態によれば背面側への超音波の反射がほとんど無いため、放熱部材27は、硬度が高く、高熱伝導性の素材、例えばアルミニウム等の金属を用いることができる。また、放熱部材27は、前面構造物および、空隙層17、中継基板21、集積回路23を安定的に支持可能な剛性を有する。これにより、放熱部材27は、本超音波プローブ2の機械的安定性および放熱性を高めることが可能になる。
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態に係る2次元アレイプローブ(超音波プローブ)2によれば、振動子15の背面側に、切断および分離されないフレキシブルプリント基板13と、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けられた空隙層17とを有する。これにより、本実施形態に係る超音波プローブ2は、空隙層17における空隙部分175により、振動子15の背面側への音響放射を極力抑えることができ、すなわち音響分離性能が向上し、前面側への感度を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、圧電体の背面に高インピーダンス層157を有する。これにより、振動子15の背面側への音響放射をさらに低減でき、前面側への感度をさらに高めることができる。加えて、分割溝150に気体(空気)を封入させることが可能であるため、2次元アレイ振動子2における隣接振動子間のクロストークを低減することができる。
図13は、本実施形態に係り、振動子15直下に接続部材171、173が配置された時におけるある時相の音圧分布の一例を示す図である。図13に示すように、背面構造物に対する音圧は、接続部材171、173を通じてのみ伝搬している。図13から明らかなように、本実施形態における超音波プローブ2は、振動子15の背面側への音響放射を極力抑えることができ、隣接する振動子間において、クロストークを低減することができる。
また、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、非分割のフレキシブルプリント基板13上に2次元アレイ振動子を形成することができる。すなわち、本2次元アレイプローブ2によれば、共通電極11、フレキシブルプリント基板13、振動子15、空隙層17等を有する音響部分3と、中継基板(インターポーザ)21、バンプおよびアンダーフィルを有する接続層22、集積回路23、放熱部材27等を有する電子回路部分4とを、それぞれ独立して製造可能である。
これにより、集積回路等の電子回路部分4を、音響部分3に接続する前に、音響部分3における音響的な良否検査を、簡単に実行することができる。これらのことから、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、音響部分3の歩留まりによる集積回路の無駄を低減させることができる。加えて、本2次元アレイプローブ2によれば、インターポーザ21を用いることができるため、電子回路部分4における設計自由度および製造自由度を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、複数の接続部材171、173が、振動子15を分割する分割溝150の直下であって、フレキシブルプリント基板13の背面側に設けることができる。これにより、各振動子15としてはフレキシブルプリント基板13を挟んで空隙構造となっており、背面方向への音響放射をさらに低く抑えることが可能である。すなわち、本実施形態によれば、振動子15からの後方放射を、効率よく遮断することができる。したがって、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、送信時に投入した電力は、無駄なく前面側に超音波として放射される。
図14は、本実施形態に係り、分割溝150の直下に接続部材171、173が配置された時において、図13における時相と同時相の音圧分布の一例を示す図である。図14に示すように、背面構造物に対する音圧は、図13に比べてさらに低減され、効率よく背面放射が抑制されている。図14から明らかなように、本実施形態における超音波プローブ2は、振動子15の背面側への音響放射をさらに抑えることができ、隣接する振動子間において、クロストークを低減することができる。
図15は、図13に関する本実施形態の超音波プローブと、図14に関する本実施形態の超音波プローブとに関して、放熱部材27の同位置における音圧の時間的変化を示すグラフである。図15におけるAは、図14に関する本実施形態の超音波プローブにおいて、放熱部材27の所定の位置における音圧の時間的変化を示すグラフである。図15におけるBは、図13に関する本実施形態の超音波プローブにおいて、放熱部材27の所定の位置における音圧の時間的変化を示すグラフである。図15に示すように、図14に関する本実施形態の超音波プローブは、図13に関する本実施形態の超音波プローブに比べて、背面放射を効率よく抑制していることがわかる。
加えて、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、背面構造物を放熱部材27として高硬度の材料(例えば金属)で構成することができ、音響吸収材は不要となり、製造コストを低減させることができる。
以上のことから、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2によれば、振動子15の背面に空隙構造(空隙部分175)を確保しながら2次元アレイ化が可能である。特に、本実施形態における構造は、フレキシブルプリント基板13と、インターポーザ21または集積回路23とをバンプ(接続部材171、173)で接続できるため、2次元アレイに適する。加えて、振動子15の背面が空隙構造であるから、音響分離性能が高く、効率よく背面側への音響放射を抑制できる。
また、本実施形態によれば、中継基板21としてインターポーザ基板を用いることができるため、集積回路23における入出力(I/O)パッドの再配置等、設計自由度が高い。さらに、音響部分3と電子回路部分4とを独立して製造、検査後、良品同士を組み合わせて完成することができるので、歩留りによるコストへの影響を最小限にできる。
なお、本実施形態の変形例として、第1の実施形態における変形例と同様に、空隙部分175にアンダーフィル材を充填または配置してもよい。このとき、本実施形態に係る2次元アレイプローブ2は、空隙層17を樹脂層18に置換した構造となる。このとき、樹脂層18における複数の接続部材各々は、2番目に近い2つの圧電体の間の位置の背面側、すなわち周囲の4つの圧電体の位置を角(エッジ)とする矩形(例えば正方形)の2つの対角線の交点の位置の背面側に配置される。樹脂層18に関する構造および樹脂層18に起因する効果については、第1の実施形態における変形例と同様なため、説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。