JP6625435B2 - 磁気シールド積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気シールド性に優れた磁気シールド積層体に関する。
マトリックス樹脂中に炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、軽量かつ優れた力学特性を有することから、自動車、航空宇宙、工業、医療など幅広い分野で普及が進んでいる。特に、自動車や航空機などの用途においては、マトリックス樹脂中の炭素繊維を一方向に配向させた異方性のCFRPからなる層を、炭素繊維の配向軸を任意の角度に回転させて複数積層させることにより強度を向上させた、擬似等方性のCFRP積層体などが用いられている。
自動車や航空機などの材料には、軽量かつ高強度であることに加えて、搭載された電子機器の誤作動等を防止するため、電磁波ノイズや磁気ノイズに対するシールド性も求められる。しかし、上記のようなCFRP積層体は、電磁波ノイズ及び高周波帯域の磁気ノイズに対してはシールド効果を有するものの、低周波帯域(例えば、1MHz以下)の磁気ノイズに対してはシールド効果を有するものではなかった。そのため、例えば、自動車においては、搭載されたラジオに多くの雑音が入ってしまい、その使用が困難になるなどの問題が生じていた。このような背景から、低周波帯域の磁気ノイズに対しても良好なシールド効果を有するCFRP積層体が求められている。
ところで、電子機器等における磁気ノイズ等の抑制に関しては、従来から様々な提案がなされており、例えば、特許文献1には、電子機器等の筐体に用いるシールド材として、繊維長4〜15mmの炭素繊維が層中に均一に分散した状態で含まれる層と、磁性材料を含有する層とを積層させたノイズ抑制シートが開示されている。
特開2008−186997号公報
上述のように、従来のCFRP積層体は、軽量かつ高い強度を有するものではあるが、低周波帯域(例えば、1MHz以下)の磁気ノイズに対するシールド効果を有していないため、車内や航空機内に設置した電子機器が誤作動や不具合を生じるという問題があった。また、特許文献1に記載のノイズ抑制シートは、500MHz以下の伝導ノイズを抑制することを主目的とするものであり、例えば、周波数1MHz以下の磁気ノイズを抑制できるようなものではなく、また、自動車などの材料に用いることができるような強度を有するものではなかった。
本発明は、上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明の課題は、軽量かつ高強度であり、電磁波ノイズ及び高周波帯域の磁気ノイズのみならず、例えば1MHz以下の低周波帯域の磁気ノイズに対しても優れたシールド効果を有する、磁気シールド積層体を提供することである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]2層以上の異方性炭素繊維強化樹脂層の間に、少なくとも1層の磁気シールド層が配置され、異方性炭素繊維強化樹脂層が擬似等方性を有するように積層されている、磁気シールド積層体。
[2]異方性炭素繊維強化樹脂層が、炭素繊維20〜80質量%を含有する上記[1]に記載の磁気シールド積層体。
[3]異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層とが、交互に配置されている上記[1]又は[2]に記載の磁気シールド積層体。
]磁気シールド層の1層あたりの厚さが、25〜300μmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
[5]磁気シールド層が磁性フィラーを含むものであり、磁性フィラーが、厚さ2.0μm以下で、偏平状又は針状である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
[6]磁性フィラーのアスペクト比が20以上である上記[5]に記載の磁気シールド積層体。
[7]磁性フィラーが、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Feベースアモルファス、Coベースアモルファス、Mn−Zn系フェライト及びNi−Zn系フェライトから選択される1以上である上記[5]又は[6]に記載の磁気シールド積層体。
[8]磁気シールド層がバインダーを含むものであり、バインダーがウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシリコーン樹脂から選択される1以上である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
[9]磁気シールド層が、磁性フィラー、及びバインダーを含むものであり、バインダーの固形分と磁性フィラーの質量比が30/70〜5/95である上記[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
本発明によれば、軽量かつ高強度であり、電磁波ノイズ及び磁気ノイズ、特に低周波帯域(例えば、1MHz以下)の磁気ノイズに対して優れたシールド効果を有する、磁気シールド積層体を提供することができる。
本発明の実施の形態にかかる、磁気シールド積層体の一例を示す模式図である。 本発明の実施の形態にかかる、異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層との積層態様の一例を示す模式図である。
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
(異方性炭素繊維強化樹脂層)
本発明に用いられる異方性炭素繊維強化樹脂層は、少なくとも、マトリックス樹脂及び炭素繊維を含むものであり、マトリックス樹脂中の炭素繊維が略一方向に配向した状態で含まれていることによって、異方性を有しているものである。
異方性炭素繊維強化樹脂層に含まれる炭素繊維としては、特に限定はされず、ピッチ系、PAN系、レーヨン系のいずれの炭素繊維を用いてもよいが、例えば、電磁波ノイズに対するシールド特性に優れるという観点から、ピッチ系炭素繊維を用いることが好ましい。
異方性炭素繊維強化樹脂層に含まれる炭素繊維の含有量としては、特に制限はないが、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、炭素繊維の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。層中に含まれる炭素繊維の含有量が20質量%未満である場合は、電磁波ノイズ及び高周波帯域における磁気ノイズに対するシールド特性や強度が低下する傾向にあり、また、80質量%を超える場合は、成形性が低下する傾向にある。
異方性炭素繊維強化樹脂層に含まれるマトリックス樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリプロリレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリメチルメタアクリレートなどの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂などを用いることができる。これらの中でも、軽量で優れた機械特性を示し、型成形や溶接、部分的な補強が可能で高強度であるという観点から、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドが好ましい。なお、これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、異方性炭素繊維強化樹脂層には、マトリックス樹脂及び炭素繊維の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、紫外線吸収剤、導電性付与剤、難燃剤、赤外線吸収剤、無機フィラーなどの任意の成分が含まれていてもよい。
(磁気シールド層)
本発明の磁気シールド層としては、低周波帯域における磁界シールド効果を有するものであれば、特に制限はされず、例えば、ロール・トゥ・ロール工法等の公知の方法によって、以下のようなバインダー及び磁性フィラーを含む磁気シールド塗料を支持体上に塗布し、それを乾燥させることにより得られる磁性シートを用いることができる。また、以下のような磁気シールド塗料を炭素繊維強化樹脂材上に塗布して形成することも可能である。
磁気シールド塗料に含まれるバインダーとしては、特に制限はないが、例えば、塗布面への密着性に優れ、且つ、磁気フィラーの密度が高く、柔軟性の高い磁性シートが得られやすいという観点から、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシリコーン樹脂から選択される1以上の樹脂を用いることが好ましく、ウレタン樹脂を用いることがより好ましい。
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。ウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタンが挙げられる。中でも、破断伸度が高く柔軟性に優れている点で、ポリカーボネート系ポリウレタンが好ましい。
ポリエーテル系ポリウレタンは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物である。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリウレタンは、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物である。ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等)と、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等)とを反応させて得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
ポリエステル系ポリウレタンは、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物である。ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸等)と、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)とを反応させて得られるものなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートの3量体、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、1000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましい。また、ウレタン樹脂の重量平均分子量は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。ウレタン樹脂の重量平均分子量が1000未満となると、磁性シートの耐久性が低下したり、磁気シールド特性が低下する傾向にあり、ウレタン樹脂の重量平均分子量が100000を超えると、磁性シートの柔軟性や、被塗布面との密着性が低下し、磁性フィラーの配向性が悪くなる傾向にある。
磁気シールド塗料に含まれる磁性フィラーとしては、軟磁性材料であれば特に限定されないが、例えば、優れた磁気シールド特性が得られるという観点から、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Feベースアモルファス、Coベースアモルファス、Mn−Zn系フェライト及びNi−Zn系フェライトから選択される1以上であることが好ましく、Fe−Si−Al合金(例えば、センダスト)がより好ましい。
磁性フィラーの形状は特に限定されないが、例えば、厚さ2.0μm以下で偏平状又は針状であることが好ましい。このような形状の磁性フィラーを用いることで、得られるフィルムが、その膜厚方向に多くの磁性フィラーを含んだものとなり、優れた磁気シールド特性を有するものとなる。なお、扁平状とは、例えば、球状や直方体等の立体形状のものを一方向で押し潰したような形状を有するものであり、板状、鱗片状、薄膜状等の形状も含む概念である。また、針状とは、一方向に直線状に延びる細長い形状をいう。
磁性フィラーの厚さは、得られる磁性シートの平面方向に磁性フィラーが配向しやすくなり、得られる磁性シートの磁気シールド特性がより向上するという観点から、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。
磁性フィラーのアスペクト比は、20以上であることが好ましい。アスペクト比が20以上の磁性フィラーを用いることで、得られる磁性シートが、その膜厚方向に多くの磁性フィラーを含んだものとなり、優れた磁気シールド特性を有するものとなる傾向にある。磁性フィラーのアスペクト比は、磁性シートの磁性フィラー間の空隙を少なくし、磁気シールド特性をより向上させるという観点から、40以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。ここで、アスペクト比とは、磁性フィラーの最も長い部分の長さを平均厚さで除したものをいう。アスペクト比が20未満となると、膜厚方向の磁性フィラーの個数が減少し磁気シールド特性が低下する。
磁気シールド塗料は、バインダーの固形分と磁性フィラーの質量比が30/70〜5/95であることが好ましく、25/75〜10/90であることがより好ましく、20/80〜10/90であることがさらに好ましい。バインダーの固形分と磁性フィラーの質量比が30/70より大きくなると、すなわち、バインダーの固形分が多すぎると、得られる磁性シートの磁気シールド特性が低下する傾向にあり、バインダーの固形分と磁性フィラーの質量比が5/95より小さくなると、すなわち、バインダーの固形分が少なすぎると、得られる磁性シートの柔軟性が失われ脆くなったり、磁性フィラー間の接触が不十分になり磁気シールド特性が低下する傾向にある。
磁気シールド塗料は、溶媒として有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、キシレンなどが用いられる。中でも、乾燥性および塗布作業性の観点から、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロパノールが好ましい。
磁気シールド塗料中の溶媒の含有量としては、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、磁気シールド塗料中の溶媒の含有量は、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。磁気シールド塗料中の溶媒の含有量が30質量%未満の場合は、粘度が高くなり、得られる磁性シートの平面方向に磁性フィラーが配向しにくくなる結果、磁性シートの磁気シールド特性が低下する傾向にある。また、磁気シールド塗料中の溶媒の含有量が70質量%を越える場合は、粘度が低くなり、塗布時に塗料がダレてしまう傾向にある。
また、磁気シールド塗料には、バインダー、磁性フィラー、有機溶剤の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、分散剤、消泡剤、顔料、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、などの任意の成分が含まれていてもよい。
磁気シールド塗料の粘度は、1.0dPa・s以上であることが好ましく、2.0dPa・s以上であることがより好ましい。また、磁気シールド塗料の粘度は、100dPa・s以下であることが好ましく、50dPa・s以下であることがより好ましい。磁気シールド塗料の粘度が1.0dPa・sより低くなると、塗布時に塗料がダレてしまう傾向にある。一方、磁気シールド塗料の粘度が100dPa・sより高くなると、磁性フィラーの配向性が悪くなり、得られる磁性シートの平面方向に磁性フィラーが配向しにくくなる結果、磁性シートの磁気シールド特性が低下する傾向にある。なお、磁気シールド塗料の粘度は、有機溶剤の含有量を調整することなどにより、調整することができる。
塗布した磁気シールド塗料の乾燥方法としては、特に限定されず、常温で乾燥してもよく、加熱乾燥してもよいが、磁性フィラーが膜厚方向に垂直な方向に配向しやすくなるという観点からは、常温で乾燥することが好ましく、生産性の観点からは、加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥する際の加熱温度としては、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。また、加熱乾燥する際の加熱温度としては、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。加熱乾燥する際の加熱時間としては、10分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましい。また、加熱乾燥する際の加熱時間としては、60分以下であることが好ましく、40分以下であることがより好ましい。なお、磁性フィラーを膜厚方向に垂直な方向に配向しやすくさせ、かつ、生産性も高めるという観点からは、例えば、常温に近いような温度(例えば、40℃程度)である程度乾燥させた後に、加熱乾燥を行なうことが好ましい。
(磁気シールド積層体)
図1は、本発明の磁気シールド積層体の一例を示す模式図である。図1では、炭素繊維3aが配向された状態で含まれる異方性炭素繊維強化樹脂層1aの上に、磁気シールド層2が積層され、さらにその上に、炭素繊維3bが炭素繊維3aの配向方向に垂直な方向に配向された状態で含まれる異方性炭素繊維強化樹脂層1bが積層されている。本発明の磁気シールド積層体は、電磁波ノイズ及び高周波帯域の磁界ノイズに対して優れたシールド特性を有する異方性炭素繊維強化樹脂層1と、低周波帯域の磁気ノイズに対して優れたシールド特性を有する磁気シールド層2とを積層させることで、電磁波ノイズ及び高周波帯域の磁気ノイズ、並びに低周波帯域の磁気ノイズに対して、優れたシールド特性を有するものとなっている。
また、2層以上の異方性炭素繊維強化樹脂層が、該樹脂層中における炭素繊維の配向軸を任意の角度(例えば、図1では90°)に回転させて積層されていることにより、異方性炭素繊維強化樹脂層が1層の場合よりも、高い強度を有するものとなっている。なお、2層以上の異方性炭素繊維強化樹脂層を上記のように積層させた場合、積層体全体としては、等方的な性質を有するようになる。本明細書においては、このような状態を、擬似等方性を有するという。
異方性炭素繊維強化樹脂層を積層させる際の炭素繊維の配向軸の回転角度としては、磁気シールド積層体が擬似等方性を有するような角度であれば、特に限定はされない。例えば、最下層の異方性炭素繊維強化樹脂層の炭素繊維の配向軸を0°と定義したとき、最下層より上層は、その配向軸を、15°、30°、45°、60°、75°、90°、−15°、−30°、−45°、−60°、−75°、0°(つまり、回転させない)などの角度に回転させて積層させることが挙げられる。このように、例えば、180°を等分(例えば、2等分、3等分、4等分など)した角度ずつ回転させることで、磁気シールド積層体が擬似等方性を有するものとなる。なお、磁気シールド積層体には、配向軸の回転角度が同じ層が含まれていてもよい。
磁気シールド積層体における、異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層との積層態様は、特に限定されないが、異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層とが、交互に配置されて積層されることが好ましい。このように積層させた場合、積層体中における磁気シールド層の界面(他の層と接する面)が多くなり、その結果、低周波帯域における磁気シールド効果が向上する傾向にある。なお、異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層とが、交互に配置されて積層されるとは、交互に配置された異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層との間に、本発明の効果を阻害しないような他の層が含まれている場合も含まれる。
図2は、異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層との積層態様の一例を示す模式図である。図2では、4層の異方性炭素繊維強化樹脂層1と、3層の磁気シールド層2とが、交互に配置されて積層されている。最下層の異方性炭素繊維強化樹脂層1aにおける炭素繊維の配向軸4aを0°としたとき、異方性炭素繊維強化樹脂層1bにおける炭素繊維の配向軸4bの回転角度は45°であり、異方性炭素繊維強化樹脂層1cにおける炭素繊維の配向軸4cの回転角度は90°であり、異方性炭素繊維強化樹脂層1dにおける炭素繊維の配向軸4dの回転角度は−45°である。なお、図2においては、隣接する層間がその一部においてしか重なり合っていないように図示されているが、これは各層の積層態様を分かりやすくするためである。実際には、隣接する層間では、その略全面が重なり合うように積層されることが好ましい。
磁気シールド積層体における磁気シールド層の1層あたりの厚さは、25μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、また、300μm以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。磁気シールド層の1層あたりの厚さが25μm未満の場合は、低周波数帯域の磁気シールド特性が低下する傾向にあり、また、1層あたりの厚さが300μmを超える場合は、磁気シールド層の1層あたりの重量が増加するため、軽量性を損なわず、かつ、積層体中における磁気シールド層の界面を多くすることが困難となる傾向にある。
磁気シールド積層体における異方性炭素繊維強化樹脂層の合計の厚さは、200μm以上であることが好ましい。また、異方性炭素繊維強化樹脂層の合計の厚さは、6000μm以下であることが好ましい。異方性炭素繊維強化樹脂層の合計の厚さが、200μm未満の場合は、磁気シールド積層体の強度が低下する傾向にあり、また、6000μmを超えても、それ以上は強度に大きな差が出なくなる傾向にある。
磁気シールド積層体の製造方法としては、特に限定はされないが、例えば、UD(Uni Direction)プリプレグなどシート状の異方性炭素繊維強化樹脂と、磁性シートとを重ね合わせ、真空加熱プレスをするなどの方法により製造することが好ましい。従来のCFRP積層体も、UDプリプレグなどシート状の異方性炭素繊維強化樹脂を複数枚積層させた後、真空加熱プレスして製造されることが多いため、上記のような製造方法であれば、従来の製造工程から工程数を増やさずに、本発明の磁気シールド積層体を製造することが可能である。
以下に、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
(磁気シールド塗料の調製)
ウレタン樹脂(荒川化学工業株式会社製、ポリカーボネート系ポリウレタン「ユリアーノ5242」、重量平均分子量14000)22.97質量部、センダスト(大同特殊鋼株式会社製、「DAPMSA10」、厚さ1.0μm、アスペクト比40)38.28質量部、分散剤としてリン酸ポリエステル系分散剤(ビックケミ−ジャパン株式会社製、「BYK−111」)0.31質量部、有機溶剤としてトルエン38.28質量部、及び消泡剤として非シリコーン系消泡剤(ビックケミ−ジャパン株式会社製、「BYK−1752」)0.15質量部を、ディスパーを用いて混合し、磁気シールド塗料を得た。得られた磁気シールド塗料の不揮発分は45%であり、粘度は5.0dPa・sであった。該磁気シールド塗料の組成、不揮発分、及び粘度について、表1に示す。
(磁性シートの製造)
上記で得られた磁気シールド塗料を、ロール・トゥ・ロール塗工機を用いて、ライン速度0.5m/分で、厚さ50μmの片面Si処理PETフィルム上に、ナイフクリアランス0.75mm、塗布有効幅850〜900mm、塗布厚さ0.19〜0.21mmの条件で塗布し、温度40℃の第1ゾーン及び第2ゾーン、並びに温度80℃の第3ゾーン(各ゾーンの間隔は5m)を通過させることで乾燥させ、3インチ紙管に巻き取り、磁性シート1を得た。得られた磁性シート1の厚さは、100μmであった。
(実施例1)
厚さ250μmのUDプリプレグ(Bond−Laminates GmbH製、TEPEX°dynalite207、炭素繊維:ポリフェニレンサルファイド樹脂(質量比)=60:40)を2枚、上記で得られた磁性シート1を1枚準備し、UDプリプレグを最下層として、UDプリプレグと磁性シート1を交互に積層させた。なお、UDプリプレグは、最下層のUDプリプレグの長手方向(炭素繊維の配向方向)を0°としたとき、その上層に積層されるUDプリプレグの長手方向を90°の角度で回転させて積層させた。次に、離型剤を塗布したカプトンフィルムで最外層を挟み、真空加熱プレス成形機を用いて、大気中で加熱プレス成形を行い、計3層からなる磁気シールド積層体を得た。
(比較例1)
磁性シートを用いず、UDプリプレグのみを積層させたこと以外は、実施例1と同様の方法により、計2層からなる擬似等方性のCFRP積層体を作製した。
(実施例2)
UDプリプレグを8枚、磁性シートを7枚としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、計15層からなる磁気シールド積層体を得た。なお、UDプリプレグは、最下層のUDプリプレグの長手方向(炭素繊維の配向方向)を0°としたとき、積層させる順に、それぞれの長手方向を、45°、−45°、90°、90°、−45°、45°、0°の角度で回転させて積層させた。
(比較例2)
磁性シートを用いず、UDプリプレグのみを積層させたこと以外は、実施例2と同様の方法により、計8層からなる擬似等方性のCFRP積層体を作製した。実施例1〜2の磁気シールド積層体、及び比較例1〜2の炭素繊維強化樹脂板について、用いた磁性シートの厚さ、及び枚数、並びに用いたUDプリプレグの厚さ、及び枚数を、表1に示す。
Figure 0006625435
(評価結果)
実施例1〜2の磁気シールド積層体、ならびに比較例1〜2の炭素繊維強化樹脂板について、KEC法による1MHzにおける磁気シールド効果の測定結果を表2に示す。
Figure 0006625435
1 炭素繊維強化樹脂層
2 磁気シールド層
3 炭素繊維
4 炭素繊維の配向軸

Claims (8)

  1. 2層以上の異方性炭素繊維強化樹脂層の間に、少なくとも1層の磁気シールド層が配置され、
    磁気シールド層が磁性フィラーを含むものであり、磁性フィラーが、厚さ2.0μm以下で、偏平状又は針状であり、
    異方性炭素繊維強化樹脂層が擬似等方性を有するように積層されている、磁気シールド積層体。
  2. 異方性炭素繊維強化樹脂層が、炭素繊維20〜80質量%を含有する、請求項1に記載の磁気シールド積層体。
  3. 異方性炭素繊維強化樹脂層と磁気シールド層とが、交互に配置されている、請求項1又は2に記載の磁気シールド積層体。
  4. 磁気シールド層の1層あたりの厚さが、25〜300μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
  5. 磁性フィラーのアスペクト比が20以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
  6. 磁性フィラーが、Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Feベースアモルファス、Coベースアモルファス、Mn−Zn系フェライト及びNi−Zn系フェライトから選択される1以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
  7. 磁気シールド層がバインダーを含むものであり、バインダーがウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシリコーン樹脂から選択される1以上である、請求項1〜のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
  8. 磁気シールド層が、磁性フィラー、及びバインダーを含むものであり、バインダーの固形分と磁性フィラーの質量比が30/70〜5/95である、請求項1〜のいずれかに記載の磁気シールド積層体。
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