JP6624387B2 - 触媒装置、触媒装置の製造方法、および触媒装置の製造装置 - Google Patents

触媒装置、触媒装置の製造方法、および触媒装置の製造装置 Download PDF

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本発明は、触媒装置、触媒装置の製造方法、および触媒装置の製造装置に関する。
ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる窒素酸化物(NO)の脱硝のための技術として、排ガスの流路内に、還元剤として、アンモニア、尿素等を吹き込みながら排ガスを還元触媒に接触させることでNOの還元を行う選択触媒還元(SCR)技術が知られている。SCRでは、還元剤の供給量を多くすることでNOの還元を十分に行うことができる反面、NOの還元反応に消費されなかったアンモニアが排出されるアンモニアスリップが問題となっている。
従来のSCR技術において、NOの脱硝後に、酸化触媒を用いてアンモニアを酸化分解し、無害化することが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された装置は、NOとアンモニアを反応させて脱硝する第1の反応部と、第1の反応部から漏出したアンモニアを酸化分解する第2の反応部と、を備えている。しかし、特許文献1の装置は、2つの反応部を備えるため、装置が大型化しやすく、製造コストの抑制が困難である。
一方で、アンモニアスリップを抑制するために、還元触媒で構成されたハニカム構造体の下流側の部分に、白金等の酸化触媒を配置した触媒装置が知られている(特許文献2および3)。特許文献2および3に記載の触媒装置によれば、ハニカム構造体の上流側の部分ではNOの脱硝還元が行われ、下流側の部分ではアンモニアの酸化分解が行われ、1つの装置内でNOの還元とアンモニアの酸化を行えるため、装置の小型化が可能となり、製造コストを抑制できることが期待される。
特開2005−238195号公報 特表2004−533320号公報 特開2003−175317号公報
特許文献2および3の技術では、ハニカム構造体の下流側の部分は、表面の全体が高価な白金等で被覆されているため、製造コストは増大する。他方、アンモニアスリップは厳しく規制される傾向にあり、十分な量のアンモニアを用いてNOの脱硝を行いつつ、酸化触媒の使用量を単純に減らすことは困難である。
本発明は、NOの還元およびアンモニアの酸化を十分に行うことができ、酸化触媒の使用量が低減された触媒装置を提供することにある。また、本発明は、そのような触媒装置の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられる触媒装置であって、
酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成され、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体と、
前記構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って配置された複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成され、サイズが20nm以下である複数の粒子と、を備え、
前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配を有しており、
前記粒子量勾配は、前記長手方向の一方の端に向かって前記粒子の量が増大し、前記一方の端において前記粒子の量が最大である、ことを特徴とする。
前記第2の触媒は、前記第1の触媒及び前記第2の触媒の合計量の1質量%以下である場合に好適である。
さらに、アルミナから主に構成された酸化膜であって、前記粒子量勾配が位置する前記構造体の長手方向領域において、前記内壁を被覆する酸化膜を備え、
前記粒子は前記酸化膜の表面に担持されていることが好ましい。
本発明の別の一態様は、触媒装置の製造方法であって、
酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成するステップを備え、
前記粒子を形成するステップでは、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配を形成し、
前記粒子を形成するステップでは、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行い、
窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする。
本発明の別の一態様は、触媒装置の製造方法であって、
酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成するステップを備え、
前記粒子を形成するステップでは、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配であって、前記長手方向の一方の端に向かって前記粒子の量が増大し、前記一方の端において前記粒子の量が最大である粒子量勾配を形成し、
前記粒子を形成するステップでは、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行い、
窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする。
前記粒子を形成するステップでは、前記原料ガスをキャリアガスと混合した混合ガスを、前記構造体の長手方向の長さに基づいて予め定められた、前記混合ガス中の前記原料ガスの濃度および前記混合ガスの流量に従って、前記構造体の長手方向の一方の側から前記処理空間に供給することが好ましい。
本発明の別の一態様は、触媒装置であって、
酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成する粒子形成部と、
前記粒子形成部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配が形成されるよう、前記粒子形成部を制御し、
前記粒子形成部は、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行うよう構成され、
窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする。
本発明の別の一態様は、触媒装置であって、
酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成する粒子形成部と、
前記粒子形成部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配であって、前記長手方向の一方の端に向かって前記粒子の量が増大し、前記一方の端において前記粒子の量が最大である粒子量勾配が形成されるよう、前記粒子形成部を制御し、
前記粒子形成部は、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行うよう構成され、
窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする。
本発明によれば、NOの還元およびアンモニアの酸化を十分に行うことができ、酸化触媒の使用量が低減された触媒装置が提供される。また、本発明は、そのような触媒装置を製造する製造方法および製造装置が提供される。
本実施形態の触媒装置を模式的に示す外観斜視図である。 本実施形態の触媒装置の層構成を模式的に示す図である。 本実施形態の触媒装置の製造装置を模式的に示す図である。 (a)は、本実施形態の触媒装置を用いてNOおよびアンモニア分解試験を行ったときの、アンモニア流量とNO分解率との関係を参考例と対比して示すグラフであり、(b)は、アンモニア流量とスリップアンモニア濃度との関係を参考例と対比して示すグラフである。 (a)は、本実施形態の触媒装置を用いてNOおよびアンモニア分解試験を行ったときの、アンモニア流量とNO分解率との関係を比較例と対比して示すグラフであり、(b)は、アンモニア流量とスリップアンモニア濃度との関係を比較例と対比して示すグラフである。
以下、本実施形態の触媒装置、触媒装置の製造方法、および触媒の製造装置について詳細に説明する。
(触媒装置)
図1に、本実施形態の触媒装置1を模式的に示す外観斜視図を示す。
触媒装置1は、構造体3と、複数の粒子5(図2参照)とを備える。
構造体3は、酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から主に構成され、気体の流路を形成するよう一方向(X1およびX2方向)に延びた複数の貫通孔4を有する。一方、粒子5は、構造体3の少なくとも一部の長手方向領域に、貫通孔4を画定する構造体3の内壁3a(図2参照)に沿って配置されるとともに、貴金属を含む第2の触媒から主に構成され、サイズが20nm以下である。そして、触媒装置1は、粒子5の量(粒子量ともいう)がX1方向に連続的に増大した粒子量勾配を有している。このような触媒装置1によれば、酸化触媒の使用量を低減しつつ、NOの還元およびアンモニアの酸化を十分に行うことができる。
(a)構造体
第1の触媒は、NOの還元反応、具体的には、NOがアンモニアおよび酸素と反応して窒素および水が生成する反応を促進する(低温化、高速化する)ための還元触媒であり、酸化バナジウム(バナジア)および酸化タングステンのいずれか一方、あるいは、これらの両方(以降、まとめて酸化バナジウム等ともいう)を必須成分として含んでいる。第1の触媒は、酸化バナジウム等のほか、比較的安価であることから、好ましくは酸化チタン(チタニア)を含んでいるが、酸化チタンの代わりに、アルミナ、シリカ、酸化モリブデン等の酸化物を含んでいてもよい。第1の触媒は、バナジウムまたはタングステンを少なくとも含む2種類以上の元素のそれぞれの酸化物を含むことが好ましい。酸化バナジウム等以外の酸化物が第1の触媒に含まれる場合に、酸化バナジウム等と、酸化バナジウム等以外の酸化物との組成比は、好ましくは3:97〜30:70である。
構造体3が第1の触媒から主に構成されているとは、構造体3の95質量%以上が第1の触媒で構成されていることをいう。構造体3は、実質的に第1の触媒で構成されていることが好ましく、第1の触媒のみから構成されていることがより好ましい。第1の触媒以外の、構造体3を構成する成分としては、鉄、銅が挙げられる。実質的に第1の触媒から構成されるとは、不純物としてあるいは不可避的に他の成分が混入する場合を除いて、当該他の成分を意図的に含まないことをいう。構造体3中の他の成分の含有率は、二次イオン質量分析法(SIMS)によって確認できる。構造体3は、好ましくは多孔質な材料で構成され、例えば、バナジアおよびチタニアの混合物を押出成形し、焼成、乾燥させた一体(モノリス)成型物を用いることができる。
構造体3の構造は、複数の貫通孔4を有するものであれば特に制限されないが、ハニカム構造を好ましい例として挙げることができる。ハニカム構造では、構造体3の長手方向と直交する断面において、矩形状の複数の貫通孔4が格子状に並ぶよう配置されており、貫通孔の流路の断面形状は、長手方向に一定である。図1に示される例では構造体3の長手方向(X1およびX2方向)と直交する断面において、正方形の複数の貫通孔4が格子状に並んでいる。構造体3が有していてもよいハニカム構造は、これに制限されず、貫通孔4の断面形状は、正三角形、正六角形等であってもよい。ハニカム構造の仕様は、要求される触媒性能に応じて定められ、例えば、セル密度は10〜500セル/inchである。また、例えば、隣り合う貫通孔4の境界をなす内壁3aの厚みは0.1〜5mmである。なお、構造体3の構造は、ハニカム構造に制限されず、例えば、貫通孔の断面が長手方向に一定でないものであってもよい。
構造体3の外形形状は、図1に示される例では、直方体であるが、例えば、正三角柱、正六角柱等の正多角柱や、円柱、楕円柱等であってもよい。また、構造体3の長手方向の長さは、断面方向の長さより短くてもよい。なお、本明細書において、気体が流れる方向は、直線状でなくてもよく、屈曲あるいは湾曲していてもよく、構造体3の外形形状は、気体が流れる方向に沿って、屈曲あるいは湾曲したものであってもよい。
触媒装置1は、複数の構造体3を備えていてもよい。構造体3の数は、例えば、触媒装置1がセットされる排ガスの流路の部分の大きさ、形状に応じて定められる。複数の構造体3を備える場合、例えば、図1に示す構造体3と同様に構成された複数の構造体を、長手方向、あるいは、長手方向と直交する方向(以降、断面方向ともいう)に並べて配置したものを、触媒装置1として用いることができる。また、触媒装置1は、例えば、貫通孔の断面形状が互いに異なる複数の構造体を、長手方向あるいは断面方向に並べて配置したものであってもよい。
(b)粒子
第2の触媒は、アンモニアの酸化反応、具体的には、アンモニアが酸素と反応して窒素と水が生成する反応を促進する(低温化、高速化する)ための酸化触媒であり、貴金属を必須成分として含んでいる。貴金属は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの中から選択された1種または2種以上からなる合金である。貴金属の中でも、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の白金族元素が好ましく用いられる。なお、以降の説明では、第2の触媒として白金を用いた場合を例に説明する。
粒子5が第2の触媒から主に構成されているとは、各粒子5の95質量%以上が第2の触媒で構成されていることをいう。粒子5は、実質的に第2の触媒で構成されていることが好ましく、第2の触媒のみから構成されていることがより好ましい。第2の触媒以外の粒子5を構成する成分としては、炭素、水素、酸素が挙げられる。これらの成分は、例えば、後述する貴金属を含んだ原料ガス中の貴金属以外の成分として、粒子5に混入されうる。実質的に第2の触媒から構成されるとは、不純物としてあるいは不可避的に他の成分が混入する場合を除いて、当該他の成分を意図的に含まないことをいう。不可避的に含まれる成分として、塩素等のハロゲンが挙げられる。他の成分の含有率は、二次イオン質量分析法(SIMS)によって確認できる。
本実施形態の触媒装置1において、第2の触媒は、第1の触媒及び第2の触媒の合計量の1質量%以下であることが好ましい。第2の触媒に含まれる貴金属は高価なため、少量であることが望ましい反面、少量であると、その形態によってはアンモニアの酸化反応が十分に行われない場合がある。本実施形態の触媒装置1では、第2の触媒は、20nm以下のサイズの微小な粒子5の形態で存在するため、触媒活性が高く、少量であってもアンモニアの酸化反応を十分に促進することができる。第2の触媒量は、触媒装置1を粉砕し、蛍光X線分析等を行うことで定量可能である。第2の触媒量は、より好ましくは、第1の触媒および第2の触媒の合計量の0.5質量%以下である。第2の触媒量の下限値は、例えば1×10−6質量%である。
粒子5のサイズは20nm以下であり、このような微小なサイズであることにより、粒子状でない(例えば膜状の)触媒と比べて、より少ない量であっても、より高い触媒機能を得ることができることが実験により確認されている。粒子5のサイズとは、粒子5の最大長さをいう。最大長さは、構造体3の内壁3aの表面と平行な平面方向の長さ(粒径)であってもよく、構造体3の内壁3aの表面と直交する方向の長さ(高さ)であってもよい。粒子5のサイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、もしくは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて取得した画像を用いて求めることができる。粒子5のサイズは、より高い触媒機能が発揮される点で、好ましくは1〜10nmである。触媒装置1に含まれる粒子5のサイズは、一定でなくてもよく、20nm以下の範囲で分布していてもよい。なお、触媒装置1は、20nmを超えるサイズの粒子を含んでいてもよい。20nmを超えるサイズの粒子数の、第2の触媒から主に構成される全ての粒子数に占める割合は、例えば10%以下である。
本実施形態の触媒装置1は、図1に示されるように、粒子5が高密度で配置された高密度領域10aと、粒子5が低密度で配置された低密度領域10bと、を有していることが好ましい。高密度領域10aは、構造体3の内壁3aに沿って1×1010〜1×1015個/cmの密度で粒子5が配置された領域をいい、主にアンモニアの酸化反応を促進する領域である。低密度領域10bは、内壁3aに沿って1×1010個/cm未満の密度で粒子5が配置された領域をいい、主にNOの還元反応を促進する領域である。なお、図1では、便宜的に、低密度領域10bの粒子5の図示を省略する。
高密度領域10aには、粒子の量が長手方向に連続的に増大した粒子量勾配が位置している。粒子量勾配があることで、触媒装置1が、下流側にかけて粒子量が増大するよう配置された場合に、効率的にアンモニアの分解を行うことができる。粒子量勾配は、図1に示される例では、高密度領域10aの全ての長手方向領域にわたって形成されているが、高密度領域10aの一部の長手方向領域にだけ形成されていてもよい。なお、図1において、粒子量勾配に含まれる粒子の大きさや、粒子量勾配の勾配の大きさ等は、概念的に示される。なお、粒子5の量とは、粒子5の数(密度)またはサイズをいい、粒子5の量が増大していることは、例えば、長手方向に並ぶ複数の単位測定領域(構造体3の内壁3aの表面に沿った、例えば1μm四方の測定領域。単に測定領域ともいう)の間で、測定領域に含まれる粒子5の数(密度)または平均サイズが増大していることによって確認できる。粒子5の密度または平均サイズは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られる画像を用いて求めることができる。連続的に増大したとは、例えば、長手方向に並ぶ複数の測定領域を長手方向の一方の側に順に見たときに、各測定領域の粒子5の数または平均サイズが、一度でも減少していないことをいう。したがって、隣り合う測定領域の間で等しい部分が、粒子量勾配に含まれていてもよい。粒子5の量が長手方向に連続的に増大していることは、構造体3と粒子5の色が異なって見える場合に目視によっても確認できる。
粒子量勾配は、粒子量の最も少ない測定領域では、例えば、粒子5の密度が1×1010〜1×1014個/cmであり、あるいは、粒子5の平均サイズが1〜10nmである。また、粒子量勾配は、粒子量の最も多い測定領域では、例えば、粒子5の密度が1×1011〜1×1015個/cmであり、あるいは、粒子5の平均サイズが1〜20nmである。粒子量の勾配の大きさは、粒子量勾配のすべての領域で、一定であってもよく、一定でなくてもよい。
本実施形態では、粒子量勾配において、粒子量は、構造体3の長手方向の一端(図1に示される例において、X1側の端)において最も多いことが好ましい。触媒装置1がセットされる排ガスの流路の部分(以降、設置箇所ともいう)では、最下流側の部分でNO濃度が最も低くなるため、最下流側を上記一端が向くよう触媒装置1がセットされることで、NOの還元に消費されなかったアンモニアの酸化を効率よく行うことができる。なお、粒子量は、構造体3の長手方向の一端以外の部分で最大であってもよい。また、高密度領域10aは、構造体3の長手方向の複数箇所に配置されていてもよい。
高密度領域10aにおいて、粒子5は、図2に示されるように互いに分散して配置されていてもよく、互いに接して配置されていてもよく、また、これらの両方の態様を含むよう配置されていてもよい。粒子5同士が互いに接している態様には、粒子同士が平面方向に連なっている態様も含まれる。なお、粒子5は、それぞれ独立して活性を有していると考えられ、互いに接している場合であっても、粒子同士の界面(粒界)において結晶構造のズレが表れていることで、それぞれを独立した粒子として特定することができる。独立した粒子であることの特定は、例えば透過電子顕微鏡(TEM)等を用いて行うことができる。
低密度領域10bの粒子5の密度は、1×1010個/cm未満であることが好ましく、実質的に粒子5が存在しなくてもよい。実質的に存在しないとは、例えば、所定数(例えば20個)以上の測定領域において、粒子5が確認されないことをいう。
高密度領域10aおよび低密度領域10bの境界は、構造体3の4つの側面を一周する方向に見たときに、異なる長手方向位置に位置していてもよく、また、境界の位置は、明確でなくてもよい。また、触媒装置1は、低密度領域10bを有していなくてもよい。すなわち、触媒装置1の全ての長手方向領域に、高密度領域10aが位置していてもよい。
なお、粒子5は、構造体3の表面に担持されていてもよく、後述する酸化膜7(図2参照)の表面に担持されていてもよい。図2は、触媒装置1の層構成を模式的に示す図である。図2において、粒子5のサイズ、形状、互いの間隔は、便宜的に均一に示されている。また、粒子5は、構造体3または酸化膜7の表面に担持された粒子5の上に重なって担持されていてもよい。粒子5は、構造体3または酸化膜7に直接担持されていなくても、触媒機能を発揮すると考えられる。
また、粒子5は、構造体3の内壁3aの表面に制限されず、構造体3の外形をなす表面や、その断面に配置されていてもよい。
(c)酸化膜
触媒装置1は、図2に示されるように、さらに、アルミナから主に構成され、少なくとも粒子量勾配が位置する構造体3の長手方向領において、内壁3aを被覆する酸化膜7を有していることが好ましい。この場合、粒子5は、酸化膜7の表面に担持される。酸化膜7は、粒子5を良好に担持させることができるとともに、粒子5を担持した部分では、粒子5との界面においてアンモニアを酸化する触媒性能が向上する。このため、酸化膜7は、好ましくは粒子量勾配が形成された領域において内壁3aを被覆し、より好ましくは高密度領域10aにおいて内壁3aを被覆している。なお、粒子5を担持していない酸化膜7の部分は、NOを還元する触媒として機能する。
酸化膜7は、95質量%以上がアルミナで構成され、好ましくは実質的にアルミナで構成され、より好ましくはアルミナのみから構成される。アルミナ以外に酸化膜7に含まれてもよい成分として、バナジア、ジルコニア、シリカ、チタニア、酸化タングステン等が挙げられる。酸化膜7の膜厚は、第1の触媒の性能を損なわない観点から、厚すぎないことが好ましく、例えば3〜20nmである。
なお、構造体3の表面には、酸化膜7のほか、他のコーティングが形成されていてもよい。そのようなコーティングの材質として、シリカ、ジルコニア、またはそれらの全てを含む混合材料等が挙げられる。
触媒装置1は、粒子5を被覆する第2の酸化膜(図示せず)をさらに有していてもよい。第2の酸化膜が配置されていることで、高温(例えば500〜1000℃)の環境下であっても粒子5同士の凝集が抑制される。また、第2の酸化膜が配置されていることで、粒子5に貴金属以外の成分が含まれる場合に、その成分が酸化され、活性を失うことが抑制される。第2の酸化膜は、酸化膜7(第1の酸化膜)と同様に構成されたものであってもよく、ジルコニウム、希土類元素等の酸化物で構成されたものであってもよい。希土類元素の中では、活性が高く、結晶化させやすい点で、セリウムが好ましい。
触媒装置1は、後述する触媒装置の製造方法を行うことで、あるいは、製造装置を用いて製造することができる。
(触媒装置の特徴)
本実施形態の触媒装置1は、高密度領域10aが配置された構造体3の長手方向の側が下流側を向くように、排ガスの設置箇所にセットして使用することができる。この状態で、粒子量勾配は、粒子量が下流側に連続的に増大している。なお、触媒装置1がセットされた設置箇所の上流側には、NOの脱硝のための還元剤としてアンモニアを流路内に供給するための図示されない供給管が接続され、排ガスの濃度および流量に応じた濃度および流量でアンモニアが流路内に供給される。アンモニアは、尿素水を加水分解して得たものであってもよい。このような排ガス処理システムにおいて、NOを含んだ排ガスは、触媒装置1の貫通孔4内を通って下流側に流れる。このとき、構造体3の内壁3aと接触したNOは、アンモニアを還元剤として、構造体3または酸化膜7の触媒作用によって窒素に還元され、下流側に排出される。これにより、排ガスは触媒装置1を通過する間に、NOの濃度が徐々に低下する。一方、アンモニアは、排ガス中のNO濃度の低下に伴い、還元反応に消費される速度が徐々に小さくなり、排ガス中に残存するが、粒子5と接触して粒子5の触媒作用によって酸化分解される。これにより、アンモニアのスリップ量が低減される。
本実施形態の触媒装置1では、酸化触媒である第2の触媒が粒子5の形態で配置されていることで、粒子5が配置された長手方向の領域内であっても、粒子5が配置された部分以外の構造体3または酸化膜7の表面によってNOは還元され、NOの還元およびアンモニアの酸化の両方が行われる。この領域のうち、粒子量勾配が形成された領域(図1に示される例において高密度領域10a)において、より上流側の部分では、粒子量が少ないため、酸化されて消費されるアンモニア量が少なく、NOの還元を十分に行えるとともに、より下流側の部分では、粒子量が多いため、還元反応に消費されなかった過剰なアンモニアの酸化を十分に行える。このようにして、NOの還元とアンモニアの酸化が、限られたスペースで効率的に行われ、触媒装置1のコンパクト化が可能である。アンモニアの酸化分解を行うSCRプロセスでは、触媒装置において、脱硝還元が行われる領域と、酸化分解が行われる領域との間に明確な境界が存在せず、いずれの領域においても、脱硝還元および酸化分解の双方が行われうる。本実施形態の触媒装置1によれば、粒子量勾配が存在することで、双方の反応が効率的に行われる。
なお、粒子量勾配が形成された領域では、下流側であるほど粒子量が増大しているため、NO濃度を十分に低下させた後でアンモニアの酸化を行うことができ、NOの還元に必要なアンモニアが上流側で無駄に酸化分解されてしまうことが抑制される。
また、本実施形態の触媒装置1では、第2の触媒はサイズ20nm以下の微小な複数の粒子の形態で配置されていることで、表面積が大きく、触媒活性が高い。このため、第2の触媒が膜状の形態で配置されている場合と比べ、触媒装置の同じ長手方向長さあたりの触媒機能が高くなっている。このため、第2の触媒が膜状の形態である触媒装置と比べ、より少ない触媒量でも、アンモニアの酸化を十分に行うことができる。
なお、第2の触媒が膜状の形態で配置されている場合は、その領域では、NOの還元に寄与する第1の触媒が被覆され、ガスと接触しにくくなるため、NO分解性能を低下させてしまい、下流側において排ガス中に残存するNOの濃度を十分に低減することができない。ここで、NOの還元を十分に行うために、触媒装置の上流側の部分を大きくすると、触媒装置をコンパクト化できない。また、NOの還元を十分に行うために、アンモニアの供給量を増やすと、アンモニアスリップを抑えるために第2の触媒量を多くする必要があり、コストが増大する。特に、膜状に形態の酸化触媒は、粒子状である場合と比べ、触媒活性が低く、より多くの触媒量を必要とするため、コストが増大しやすい。
本実施形態の触媒装置1では、粒子5の量が、構造体3の長手方向の一端において最も多いことによって、NO濃度が最も低くなる最下流側に上記一端が配置されるよう触媒装置1を流路内にセットすることにより、効率よくアンモニアの酸化分解を行うことができる。
本実施形態の触媒装置1では、第2の触媒は、第1の触媒及び第2の触媒の合計量の1質量%以下であっても、微小なサイズの複数の粒子5の形態で存在することによって、表面積が大きく、触媒活性が高いことで、アンモニアの酸化反応が十分に促進される。
本実施形態の触媒装置1では、酸化膜7を有していることで、粒子5を良好に担持させることができるとともに、粒子5を担持した部分では、粒子5と界面においてアンモニアを酸化する触媒性能が向上する。
本実施形態の触媒装置1は、比較的低温(例えば200〜350℃)でもアンモニアの酸化を十分に促進することができる。
本実施形態の触媒装置1は、構造体3または酸化膜7と粒子5との密着性が良好であるため、高温環境下で粒子が凝集し一体化することが抑制され、耐熱性に優れる。このため、使用済みの触媒装置であっても、高温で処理して再生することができ、繰り返し使用することができる。例えば、使用に伴って、排ガス中のすす等が粒子5の表面を覆うように付着し、触媒機能が低下した場合であっても、使用済みの触媒装置1を高温の炉内に配置して、すす等を酸化し除去すること、あるいは、バーナーの焔であぶること等によって、触媒装置1を再生させることができる。
本実施形態の触媒装置1は、強酸等の薬液と接触する環境であっても粒子5が構造体3または酸化膜7から剥がれにくく、耐薬品性に優れる。含浸法で作製した膜状の第2の触媒を有する触媒装置は、強酸の溶液中に浸漬すると、構造体から容易に剥がれ落ちてしまう。
(触媒装置の用途)
触媒装置1は、NOを含んだ排ガスの浄化に用いることができ、そのような排ガスを発生する輸送機関に設けられた排ガス処理システムに好適に用いることができる。触媒装置1は、排ガス処理システムにおいて、エンジンからの排ガスの流路上の設置箇所にセットして用いることができる。また、触媒装置1は、エンジンに排ガス再循環(EGR)システムが接続されている場合、システム内に設けられた過給機の上流側および下流側のいずれの側にセットしても用いることもできる。輸送機関としては、例えば、ディーゼルエンジンを搭載した船舶や大型車両のほか、ガスエンジンを搭載した船舶が挙げられる。船舶に搭載されるディーゼルエンジンは、例えば、2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジンである。なお、一般的な船舶用ディーゼルエンジンは、排ガス中に硫黄分を多く含み、第2の触媒として白金等を用いた場合、触媒材料は容易に被毒する。このため、SOを含んだ排ガスを処理する場合は、被毒化した粒子5が配置された構造体3の下流側の部分を、例えば切り落とせる程度に高密度領域10aを長手方向に長く形成する、あるいは、硫黄に対して被毒し難い材料を触媒材料として選択する、あるいは、触媒装置1の上流側に脱硫装置を配置することが好ましい。
触媒装置1によって処理される排ガスは、ガスエンジン、ディーゼルエンジンから排出されたものであってもよく、点火プラグを備えるレシプロエンジン等から排出されたものであってもよい。エンジンの燃料の種類は特に制限されず、例えば、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、他の燃料(例えば、高オクタン価のガソリン)が挙げられる。LNGおよびLPGは、燃料として積載されたものであってもよく、積み荷として積載されたもののうち一部が気化したもの(ボイルオフガス)であってもよい。
(触媒装置の製造方法および製造装置)
次に、本実施形態の触媒装置の製造方法(以降、本実施形態の方法ともいう)、および、触媒装置の製造装置(以降、本実施形態の装置ともいう)について説明する。
本実施形態の方法では、構造体3の少なくとも一部の長手方向領域に、構造体3の内壁3aに沿って、複数の粒子5を形成するステップ(粒子を形成するステップ)を備えている。粒子を形成するステップでは、粒子量勾配を形成する。なお、本実施形態の方法および装置において、構造体、粒子、および、粒子量勾配は、上記説明した触媒装置1の構造体3、粒子5、および、粒子量勾配と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態の方法は、本実施形態の装置を用いて行うことができる。以下、本実施形態の装置を用いて本実施形態の方法を行う場合を例に説明する。
(製造装置の概略構成)
まず、図3を参照して、本実施形態の装置の概略構成を説明する。図3は、本実施形態の装置11を模式的に示す図である。図3に示される装置11は、化学蒸着堆積法(CVD)、原子層堆積法(ALD)等のドライプロセスによって、触媒装置を製造する装置である。装置11は、粒子形成部13と、粒子を形成するステップが行われるよう、粒子形成部13の動作を制御する制御部15と、を備える。
粒子形成部13は、処理容器20と、ガス供給部22とを有する。
処理容器20は、処理空間(成膜室)21を取り囲む容器である。処理容器20は、処理空間21内に配置された構造体3を加熱するホットウォール式の電気炉(図示せず)を有している。電気炉は、構造体3が配置される処理空間21内の領域を取り囲むよう配置されたヒータを有しており、粒子を形成するステップの間、構造体3を所定の温度域に保持する。構造体3は、処理空間21内で、その長手方向がX2方向を向くよう配置される。処理容器20は、後述する供給管27および排出管29のそれぞれと接続されており、粒子を形成するステップにおいて、原料ガスおよび反応ガスのX2方向への流れが処理空間21内に形成される。
ガス供給部22は、原料ガス供給源25と、反応ガス供給源23と、キャリアガス供給源(図示せず)と、これらのガス供給源と処理容器20とを接続する供給管27と、を有している。
原料ガス供給源25は、原料ガスが充填されたタンクを有し、タンク内の気相空間は、粒子を形成するステップの間、例えば、大気圧に近い圧力(例えば数kPa〜100kPa)に保たれる。原料ガスは、貴金属を含有するガスであり、例えば、貴金属に炭化水素基が配位した有機白金化合物である。原料ガスは、キャリアガスと混合され、混合ガスとして処理空間21内に供給される。
反応ガス供給源23は、原料ガスと反応する反応ガスが充填されたタンクを有している。反応ガスには、例えば、オゾンが用いられる。
キャリアガス供給源からは、原料ガスと不活性なガスが供給される。キャリアガスには、例えば、N、希ガス、Hが用いられる。
供給管27の途中には、制御部15によって開閉が制御されるバルブ(図示せず)が設けられており、処理空間21へのガスの供給量が制御される。
排出管29は、図示されない真空ポンプに接続されており、処理空間21内のガスが排出される。排出管29の途中には、制御部15によって開閉が制御されるバルブ(図示せず)が設けられている。バルブが開いた状態で、処理空間21内が減圧され、ガスが排出されるとともに、バルブが閉じた状態で、ガスが処理空間21内に保持される。
制御部15は、粒子を形成するステップが行われる間、構造体3に粒子量勾配が形成されるよう、粒子形成部13を制御する。制御部15は、粒子量勾配を形成するために、構造体3の長手方向の長さに基づいて予め定められた作製条件を記憶する記憶装置(図示せず)を有している。作製条件には、原料ガスの濃度、および、混合ガスの流量が含まれる。原料ガスの濃度は、原料ガスとキャリアガスとの混合ガス中の原料ガスの濃度である。本発明者の研究により、原料ガスの濃度を制御することによって、粒子量勾配が形成される構造体3の長手方向の位置を調整できることが見出された。そこで、原料ガスの濃度と、粒子量勾配の形成位置とを対応付けた参照テーブルが記憶装置に記憶されている。一方、本発明者の研究により、混合ガスの流量を制御することによって、粒子量勾配の勾配の大きさ(傾きの大きさ)を調整することができることが見出された。そこで、混合ガスの流量と、粒子量勾配の勾配の大きさとを対応付けた参照テーブルが記憶装置に記憶されている。なお、勾配の大きさは、例えば、粒子量勾配の長手方向長さに対する、粒子の密度が最も高い測定領域と最も低い測定領域との差によって特定することができる。これらの作製条件は、実際に触媒装置を製造したときの製造条件またはシミュレーションによって求められる。なお、構造体3の長手方向の長さに基づいて定めるとは、例えば、粒子5を有しない構造体3を排ガスの流路にセットして、使用時に想定される条件で排ガスを流したときの、構造体3の長手方向にわたるNO濃度の分布に応じた、粒子量勾配の長手方向の位置および勾配の大きさとなるよう、作製条件を定めることをいう。
なお、作製条件のうち、混合ガスの流速の代わりに、供給管27のバルブの前後での圧力差が用いられてもよい。このような圧力差を制御することによっても、粒子量勾配の勾配の大きさを調整できることが、本発明者の研究により見出された。この場合、記憶装置は、上記圧力差と、粒子量勾配の勾配の大きさとを対応づけた参照テーブルが格納され、制御部は、この参照テーブルを参照して、バルブの前後での圧力差を決定し、決定された圧力差に従って動作するよう粒子形成部13を制御する。なお、制御部15は、後述するサイクルを繰り返すごとに作製条件を変化させてもよい。
制御部15は、記憶装置内の参照テーブルを参照して、作製しようとする粒子量勾配の長手方向位置および勾配の大きさに応じて、原料ガスの濃度および混合ガスの流速を決定し、決定された濃度および流速に従って動作するよう、粒子形成部13を制御する。
本実施形態の装置11は、混合ガスおよび反応ガスを処理空間21内に供給することを繰り返し行うことで、構造体3の内壁3aに、第2の触媒から主に構成される複数の核を形成し、それぞれの核を成長させることで、サイズが20nm以下の複数の粒子5を、粒子量勾配を伴って形成する。このとき、制御部15は、決定された原料ガスの濃度に従って、例えば、原料ガス供給源25のタンクに設けられたバルブ(図示せず)の開度を調整して、または、原料の加熱温度を調整して、原料ガスの濃度を調整する。原料ガスは、濃度が高いほど、処理空間21の奥側(X2方向の側)まで達し、濃度が低いほど、処理空間21の手前側(X1方向の側)で原料ガスが消費されることが分かった。このため、原料ガスの濃度を調整することで、粒子量勾配が形成される長手方向位置を調整することができる。また、制御部15は、決定された混合ガスの流量に従って、例えば、供給管27のバルブおよび排出管29のバルブを制御して、供給管27のバルブの前後での圧力差を形成し、マスフローコントローラを用いて混合ガスの流量を調整する。このように粒子形成部13が制御されることで、構造体3には、X2方向に粒子量が漸減した粒子量勾配が形成される。製造された触媒装置1は、粒子量が減少する側(図1および図2においてX2方向)が上流側を向くよう、排ガスの流路内にセットして用いられる。
本実施形態の方法の説明に戻り、粒子を形成するステップでは、構造体3を処理空間21内に配置し、原料ガスおよび反応ガスを処理空間に供給することを繰り返し行うことが好ましい。このようなドライプロセスを用いることで、構造体3の表面に、粒子量勾配を比較的容易に形成することができる。特に、複数の貫通孔4を有し、複雑な表面構造を有する構造体3の表面に、長手方向にかけて一様に粒子5を形成できる。また、ドライプロセスで形成された粒子5は、粒子径が細かく、極めて高い触媒活性を発揮する。このため、貴金属の使用量が極めて少なくて済み、第2の触媒を付加したことによるコストアップを最小限に抑制できる。また、ドライプロセスで作製された粒子5は、ハロゲン含有量が少なく、実質的に含まれていない。このため、使用中に、ハロゲンが粒子5から脱離して、触媒装置1の設置箇所あるいはその下流側の流路の部分が腐食することを抑制できる。含浸法で作製した触媒は、通常、塩化物を含んだ溶液を用いて作製されるため、ハロゲン含有量が高く、使用中に、流路を腐食させるおそれがある。また、塩素は、触媒毒として働き、触媒機能を低下させる場合がある。
また、含浸法等のウェットプロセスを用いた場合、次のような不都合がある。含浸法では、貴金属を含んだ希釈溶液をpH調整したものが用いられ、構造体3を溶液に浸漬すると貴金属の濃度が変化するため、触媒装置を1つ製造するたびに、濃度調整およびpH調整を行う必要がある。このため、作業が煩雑になり、製造コストが増大する。また、構造体を溶液に浸漬した後、焼成により乾燥させるため、貴金属のロスが生じ易い。また、塩素を含有する溶液が用いられるため、触媒中に塩素が混入され、触媒活性を低下させる場合がある。
粒子を形成するステップでは、上述したように、原料ガスをキャリアガスと混合した混合ガスを、構造体の長手方向の長さに基づいて予め定められた、混合ガス中の原料ガスの濃度および混合ガスの流量に従って、構造体3の長手方向の一方の側から処理空間に供給することが好ましい。具体的に、原料ガスの濃度は、例えば、1〜300ppmに調整される。このように原料ガスの濃度が低いと、処理空間21の上流側の部分で多くの原料ガスが消費されて、下流側の部分では起きる反応が少なくなるため、構造体3上流側の領域に粒子量勾配を形成することができる。また、混合ガスの流量は、例えば、0.1〜50L/分に調整される。処理空間21の圧力は、例えば、混合ガスの投入前において1〜10Paであり、混合ガス投入後において0.5kPa〜100kPaとなるよう調整される。このような大きな圧力差を生じさせて反応ガスを処理空間21内に供給することで、原料ガスは処理空間21全体にむらなく行き渡り、粒子量勾配の勾配の大きさを緩やかにする(長手方向に広げる)ことができる。このように、極めて低い濃度の原料ガスを、大きな圧力差によって一気に大量に投入することで、構造体3の上流側の部分に、勾配が緩やかな粒子量勾配を形成することができる。また、このように薄く希釈した原料ガスを大量に供給することで、処理空間21の下流側の部分では反応ガスが枯渇するため、実質的に原料ガスの全部を処理空間21内で消費させることができ、排気される原料ガスをほとんど発生させずにすむ。このため、貴金属の使用量を顕著に低減できる。
また、本実施形態の方法では、粒子を形成するステップの前に、構造体の表面に酸化膜を形成するステップを行うことが好ましい。酸化膜を形成するステップは、構造体を配置した処理空間内で、ドライプロセスを用いて行うことができ、粒子を形成するステップを、同じ処理空間内で続けて行うことができる。酸化膜として、上述のアルミナ酸化膜を形成する場合は、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム、反応ガスとしてオゾンを用いることができる。
さらに、本実施形態の方法では、粒子を形成するステップを、下記説明するように行うことが好ましい。
(1)処理空間への原料ガスの供給、および、処理空間への反応ガスの供給、を交互に行うことを繰り返し行うALD法を用いることが好ましい。この場合、原料ガスあるいは反応ガスを処理空間に供給した後、各ガスを処理空間内に保持することを行うことがより好ましい。これにより、粒子の核の成長を促進させることができる。各ガスの保持は、具体的には、処理空間に供給された後、上記装置11の排出管29のバルブを閉じて処理空間を密閉(封止)することで行われる。各ガスは、処理空間21内で保持された後、処理空間21から排気される。このように、粒子を形成するステップでは、原料ガスの供給、原料ガスの保持、原料ガスの排気、反応ガスの供給、反応ガスの保持、反応ガスの排気を行うことを1つのサイクルとして、このサイクルを繰り返すことが好ましい。原料ガスの排気は、反応ガスの処理空間への供給と並行して行われてもよい。
また、ALD法を用いる場合に、上記サイクルにおいて、例えば、原料ガスの供給を1〜5秒、原料ガスの保持を3〜10秒、反応ガスの供給(並行して行われる原料ガスの排気)を2〜5秒、反応ガスの保持を3〜15秒、反応ガスの排気を1〜10秒、順に行うことが好ましい。このように、処理空間に供給した原料ガスおよび反応ガスを排気せずに、そのまま処理空間内に留め保持することで、少ない成膜サイクルで20nm以下のサイズの粒子を、粒子量勾配を伴って成長させることを促進できる。ALD法では、通常は、精度の良い成膜を行うために、処理空間を封止せず、成膜に関与しない余分な原料ガスと酸化剤をすぐに排気できるようにして成膜が行われる。ALD法を用いて粒子を形成する際に、敢えて処理空間を封止することで、少ないサイクル数で20nm以下のサイズの粒子を均等に成長させられることがわかった。また、このような原料ガスの保持を行うことにより、原料ガスの供給量が少なくても粒子を形成することができる。
(2)構造体が350℃未満の温度に維持されるよう、ホットウォール式の電気炉で構造体3の全体を加熱しながら粒子を形成することが好ましい。20nm以下のサイズの複数の粒子を、粒子量勾配を伴って形成するために、電気炉内の温度を350℃未満に維持して、構造体の温度を例えば100〜300℃に低く維持することが好ましいことがわかった。構造体の温度が300℃を超えると、初期の段階で構造体の表面に形成される粒子(核)が、構造体の表面に沿って移動して凝集し(癒着し)やすくなり、20nm以下のサイズの粒子を高密度で形成し難くなる。電気炉内の温度は、常温〜350℃未満の温度に維持されるのが好ましく、200〜350℃未満に維持されるのがより好ましい。
(3)反応ガスとして、オゾン、酸素ラジカル、酸素イオン、酸素プラズマ(以降、オゾン等ともいう)のうち少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。オゾン等を用いた場合、構造体3の温度が300℃未満の条件下でも、20nm以下のサイズの粒子を、粒子量勾配を伴って形成できることがわかった。特にオゾンは酸化力が強く、原料ガスとの反応が進行しやすいため、反応ガスとしてそのまま用いることができ、例えばプラズマにする必要がない。また、オゾンは、有機白金化合物に対して還元剤となるため、白金粒子を形成する場合に水素等の還元性ガスを使用する必要がない。なお、酸素プラズマには、酸素を反応ガスとして用いつつ、反応を促進するためにプラズマとしたものを用いてもよい。粒子を形成するステップでは、酸素等、オゾン等以外の反応ガスを用いてもよい。
(4)構造体3が300℃未満の温度に維持されるよう構造体3を加熱しながら粒子を形成し、さらに、反応ガスとしてオゾン等を用いた場合は、上記サイクルを、10回以上600回以下繰り返すことが好ましい。この範囲でサイクルを繰り返すことで、20nm以下のサイズの粒子を、粒子量勾配を伴って成長させられることがわかった。
なお、本実施形態において、ALD法には、より高速に粒子形成を行うことのできるスペーシャル(Spatial)ALD法が用いられてもよい。スペーシャルALD法では、例えば、互いに分離された、原料ガスを供給する空間および反応ガスを供給する空間が交互に並んだ装置を用いて、これらの空間を順に通過するよう構造体を搬送しながら各空間でガスの供給を行うことで、構造体の表面に粒子を形成することができる。
本実施形態の方法によって作製された触媒装置は、排ガスの流路中の設置箇所の大きさ、形状に合わせて、長手方向長さを調節するよう切削等されてもよい。
(実施例)
以下、実施例を示して、本発明をより具体的に説明する。
バナジアを10質量%、チタニアを90質量%含み、長手方向長さが100mm、断面方向のサイズが30mm×30mmであるハニカム構造体を、上記実施形態の装置11の電気炉内に配置し、下記の要領で、酸化膜を形成するステップ、および、粒子を形成するステップを続けて行った。なお、ハニカム構造体は、セル密度25セル/inchのものを用いた。
酸化膜を形成するステップでは、ハニカム構造体を、100〜250℃に加熱し、処理空間を100Paに減圧した状態で、トリメチルアルミニウムとオゾンを交互に供給しながら、ハニカム構造体の表面のうち、長手方向の一端(X1側の端)を含む40mmの長さ領域に、厚さ20nmのアルミナ酸化膜を作製した。
続けて、粒子を形成するステップでは、電気炉内の雰囲気温度を300〜350℃未満に維持しながら、アルミナ酸化膜付きハニカム構造体を270℃に加熱し、処理空間を1Paに減圧した状態で、トリメチルメチルシクロペンタジエニルプラチナ((CH(CH)Pt)とNとの混合ガスと、オゾンガスとを交互に処理空間に供給しながら、白金粒子を、アルミナ酸化膜が形成された領域と同じ長さ領域に形成した。その際、原料ガスの濃度を28ppm、混合ガスの流量を10L/分に調整して、原料ガスの供給を1.5秒、その後の処理空間の封止を10秒、オゾンの供給(並行して原料ガスの排気)を2秒、その後の処理空間の封止を10秒、オゾンの排気を5秒、順に行うことを1サイクルとして、このサイクルを140回繰り返し、触媒装置を作製した(実施例)。なお、処理空間の圧力は、原料ガス供給時の圧力で50kPa、オゾン供給時の圧力で5kPaとした。原料ガスの濃度および混合ガスの流量は、実験的に最適化して決定した。
一方、実施例で用いたのと同じハニカム構造体を用いて、酸化膜を形成するステップを行わずに、含浸法により、実施例において高密度領域が形成された長さ領域に相当する領域に、ハニカム構造体の内壁に一部が含浸されかつ内壁を被覆する膜状の白金を形成し、触媒装置を作製した(比較例)。含浸法は、以下の手順で行った。まず、蒸留水に塩化白金塩を溶解した塩化白金塩溶液に、ハニカム構造体の長手方向の一端を含む長さ領域を浸漬し、70℃に保ったまま1時間撹拌し、その後取り出し、12時間真空乾燥を行った。次いで、500℃で5時間焼成し、400℃で4時間、H還元を行って、0.5質量%の白金担持ハニカム構造体を得た。
(粒子の形態の確認)
実施例および比較例の触媒装置の表面を、SEMで撮影し、白金粒子または白金膜の形態を確認した。実施例では、1μm四方の複数の測定領域で粒子量を測定したところ、長手方向の一端を含んだ40mmの長手方向領域に高密度領域が形成され、この高密度領域の全体にわたって粒子量が増大する粒子量勾配が形成されていることを確認できた。具体的に、20nm以下のサイズの粒子の密度が最も低いところで1×1010個/cm、最も高い部分で1.5×1012個/cmであった。粒子量が連続的に増大することは、構造体の4つの側面を一周する方向の12箇所の位置のそれぞれにおいて、長手方向に異なる5箇所の測定領域を用いて確認した。なお、長手方向の他端(X2側の端)を含んだ60mmの長手方向領域に低密度領域が形成されていることを確認した。低密度領域では、最も密度の高いところで1×1012個/cm未満であり、最も密度の低いところで実質的に0個/cm未満であり、長手方向の90%以上の領域で0個/cmであった。なお、実施例では、得られた粒子を、X線光電子分光(XPS)装置を用いて分析した結果、70.9eVと74eVの2箇所で白金の鋭いピークが現れており、粒子が白金からなることを確認できた。
一方、比較例では、平均厚さ2μmの膜が、長手方向の一端を含む40mmの領域に形成されていた。
(NOおよびアンモニアの分解試験)
反応管の途中に、粒子量が増大する側が下流側を向くよう、実施例の触媒装置をセットし、反応管を加熱して300℃に維持し、NO、O、およびアンモニアの混合ガスを流量を変えながら反応管内に流し、NOおよびアンモニアの分解試験を行った。混合ガスは、アンモニア濃度1000ppm、NO濃度550ppm、O濃度16%となるようNでバランスさせて調製した。混合ガスの流量は、アンモニア流量が0〜600sccm(0℃、1atm)の間で100sccmごとに変化するように変えた。混合ガスの総流量は3.5L/分であった。なお、この実験を行った温度領域は、例えば、船舶のガスエンジンから排出される排気ガスが、エンジンの下流側に配置された過給器の後段部分を流れるときの一般的な温度領域に相当する。
同様に、参考例の触媒装置として、実施例で用いたのと同じハニカム構造体であって酸化膜および粒子を形成しなかったもの、および、比較例の触媒装置を用いて同様の試験を行った。
各アンモニア流量において、反応管の出口側で濃度計を用いてNO濃度およびアンモニア濃度(スリップアンモニア濃度)を測定し、下記式に従って、NO分解率(脱硝率)を計算した。
NO分解率(%)={1−(反応管を通過したガスのNO濃度/反応管をバイパスしたガスのNO濃度)}×100
結果を、図4および図5に示す。図4(a)および図5(a)は、アンモニア流量とNO分解率との関係を示すグラフである。図4(b)および図5(b)は、アンモニア流量とスリップアンモニア濃度との関係を示すグラフである。なお、図4では、実施例と参考例とを比較して示し、図5では、実施例と比較例とを比較して示す。
図4(a)に示されるように、実施例の触媒装置は、NO分解能を有していることが確認された。また、アンモニア流量が少ない場合(200sccm以下の場合)に、参考例の触媒装置よりも高い脱硝率が得られることがわかった。これは、アンモニアの供給量が少ない環境下において、参考例ではNOの分解速度が小さくなるのに対し、実施例では第2の触媒が還元触媒として機能したためと考えられる。
図4(b)に示されるように、実施例の触媒装置は、アンモニア分解性能を有し、スリップアンモニア濃度が低く抑えられることがわかった。具体的に、実施例の触媒装置は、アンモニア流量に殆ど影響されることなくスリップアンモニア濃度が極めて低く抑えられ、アンモニア流量が大きい600sccmの場合でもスリップアンモニア濃度は1.2ppmに抑えられていた。
図5(a)に示されるように、第2の触媒を粒子の形態で含む実施例では、第2の触媒を膜状の形態で含む比較例よりも高い脱硝率が得られることがわかった。これは、第2の触媒の形態が、膜状であるよりも、微小なサイズの粒子であるほうが、還元触媒として高い機能を発揮するためと考えられる。
図5(b)に示されるように、実施例の触媒装置は、比較例の触媒装置よりもスリップアンモニア濃度が低いことがわかった、特にアンモニア流量が多い場合(400sccm以上の場合)に、比較例の触媒装置ではアンモニア分解率が大きく低下したのに対して、実施例の触媒装置では高いアンモニア分解率を維持できることがわかった。
このように、実施例の触媒装置は、NOの還元およびアンモニアの酸化を十分に行うことができることが確認された。
また、実施例の触媒装置に含まれる白金の重量は、含浸法で作製した比較例の触媒装置に含まれる白金の重量の1/50程度であった。白金の重量の測定は、含浸法で作製した比較例に関しては、坦持前後の重量を実測してその差分から計測することにより行い、実施例に関しては、TEMで計測した白金粒子の高さ、粒径の平均から体積を算出し、重量に換算することにより行った。このことから、実施例の触媒装置によれば、含浸法で作製した触媒装置と比べ、アンモニア分解率が高いにも関わらず、白金の使用量は1/50以下で済むことがわかった。すなわち、白金の形態が20nm以下の微小なサイズの粒子であることで、NOの還元およびアンモニアの酸化を十分に行うことができるだけでなく、白金の使用量が低減されることがわかった。また、実施例では、下流側の端(X2側の端)を含む領域に白金粒子が確認されず、触媒装置作製のために投入された原料ガスの全てが消費されたことが確認された。すなわち、実施例によれば、排気される原料ガスが発生せず、この点でも、白金の使用量を顕著に低減できることがわかった。
以上、本発明の触媒装置、触媒装置の製造方法、および触媒装置の製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 触媒装置
3 構造体
3a 構造体の内壁
4 貫通孔
5 粒子
7 酸化膜
10a 高濃度領域
10b 低濃度領域
11 触媒装置の製造装置

Claims (8)

  1. 窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられる触媒装置であって、
    酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成され、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体と、
    前記構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って配置された複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成され、サイズが20nm以下である複数の粒子と、を備え、
    前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配を有しており、
    前記粒子量勾配は、前記長手方向の一方の端に向かって前記粒子の量が増大し、前記一方の端において前記粒子の量が最大である、ことを特徴とする触媒装置。
  2. 前記第2の触媒は、前記第1の触媒及び前記第2の触媒の合計量の1質量%以下である、請求項1記載の触媒装置。
  3. さらに、アルミナから主に構成された酸化膜であって、前記粒子量勾配が位置する前記構造体の長手方向領域において、前記内壁を被覆する酸化膜を備え、
    前記粒子は前記酸化膜の表面に担持されている、請求項1又は2に記載の触媒装置。
  4. 酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成するステップを備え、
    前記粒子を形成するステップでは、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配を形成し、
    前記粒子を形成するステップでは、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行い、
    窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする触媒装置の製造方法。
  5. 酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成するステップを備え、
    前記粒子を形成するステップでは、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配であって、前記長手方向の一方の端に向かって前記粒子の量が増大し、前記一方の端において前記粒子の量が最大である粒子量勾配を形成し、
    前記粒子を形成するステップでは、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行い、
    窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする触媒装置の製造方法。
  6. 前記粒子を形成するステップでは、前記原料ガスをキャリアガスと混合した混合ガスを、前記構造体の長手方向の長さに基づいて予め定められた、前記混合ガス中の前記原料ガスの濃度および前記混合ガスの流量に従って、前記構造体の長手方向の一方の側から前記処理空間に供給する、請求項4又は5に記載の触媒装置の製造方法。
  7. 酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成する粒子形成部と、
    前記粒子形成部の動作を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配が形成されるよう、前記粒子形成部を制御し、
    前記粒子形成部は、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行うよう構成され、
    窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする触媒装置の製造装置。
  8. 酸化バナジウムおよび酸化タングステンの少なくとも一方を含む第1の触媒から95質量%以上が構成された構造体であって、気体の流路を形成するよう一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体の少なくとも一部の長手方向領域に、前記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って、サイズが20nm以下である複数の粒子であって、前記粒子それぞれの95質量%以上が貴金属を含む第2の触媒から構成された複数の粒子を形成する粒子形成部と、
    前記粒子形成部の動作を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記粒子の量が前記長手方向に連続的に増大した粒子量勾配であって、前記長手方向の一方の端に向かって前記粒子の量が増大し、前記一方の端において前記粒子の量が最大である粒子量勾配が形成されるよう、前記粒子形成部を制御し、
    前記粒子形成部は、前記貴金属を含有する原料ガス、および、前記原料ガスと反応する反応ガスを、前記構造体が配置された処理空間に供給することを繰り返し行うよう構成され、
    窒素酸化物の還元反応及びアンモニアの酸化反応に用いられることを特徴とする触媒装置の製造装置。
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