JP6623604B2 - 筺体表面温度推定方法及び電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、筺体表面温度推定方法及び電子装置に関する。
スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPCなど、人の手やひざに触れる状況で使用される電子装置では、筺体表面の温度が高くなると、やけどなど人体への影響が懸念される。
従来、電子装置の筺体表面に配置された温度センサで温度を検出し、その結果がしきい値を超えた場合、表面温度を低減するような制御を行う技術があった。
特表2013−546214号公報 特開2011−010134号公報 特開2005−159317号公報 特開2000−252181号公報 特開平9−304195号公報 特表2001−520741号公報
ところで、携帯端末などの電子装置では、筺体表面に温度センサを配置するとデザインが悪くなる可能性があるため、筺体内の基板に温度センサを配置し、その温度センサでの測定値からある固定値を差し引くことで、筺体表面の温度を推定することが考えられる。
しかし、基板に配置された温度センサの測定値から固定値を差し引く方法では、熱源の温度の変動によって、実際の筺体表面の温度と算出された温度との誤差が増加してしまうという問題がある。
発明の一観点によれば、電子装置の基板に配置されたプロセッサが、前記基板に配置された第1の温度センサから第1の測定値を取得し、前記プロセッサが、前記基板上の熱源と前記電子装置の筺体の表面との間の第1の熱抵抗と第1の熱容量に基づく第1の伝達関数と、前記熱源と前記第1の温度センサとの間の第2の熱抵抗と第2の熱容量に基づく第2の伝達関数と、前記第1の測定値とに基づき前記表面の表面温度を算出する筺体表面温度推定方法が提供される。
また、発明の一観点によれば、筺体と、基板と、前記基板に配置され、温度を測定して第1の測定値を出力する第1の温度センサと、前記基板上の熱源と前記筺体の表面との間の第1の熱抵抗と第1の熱容量に基づく第1の伝達関数と、前記熱源と前記第1の温度センサとの間の第2の熱抵抗と第2の熱容量に基づく第2の伝達関数と、前記第1の測定値とに基づき前記表面の表面温度を算出する温度演算処理部と、を有する電子装置が提供される。
開示の筺体表面温度推定方法及び電子装置によれば、筺体表面の温度を精度よく算出できる。
第1の実施の形態の筺体表面温度推定方法及び電子装置の一例を示す図である。 第2の実施の形態の電子装置のハードウェアの一構成例を示す図である。 第2の実施の形態の電子装置の一部の断面の一例を示す図である。 第2の実施の形態の電子装置の一部を示す斜視図である。 第2の実施の形態の筺体表面温度推定方法の一例の流れを説明するフローチャートである。 基準温度と温度センサ16bでの測定値との一例の関係を示す図である。 熱回路モデルの一例を示す図である。 式(13)を演算する演算システムの一例を示す図である。 パラメータフィッティングの一例を示す図である。 筺体表面の温度の算出結果を示す図である。 温度変化の時定数に応じた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。 温度センサ16aで検出される温度変化の一例を示す図である。 温度センサ16aで検出される1秒当たりの温度変化と、差raの時間変化との関係の計算結果の例を示す図である。 温度センサ16aで検出される温度と、熱容量を含む熱回路モデルを用いて算出される筺体の表面温度の時間変化の計算結果の例を示す図である。 温度変化の大きさに応じた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。 ユーザによる電子装置の操作時間に基づいた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。 ユーザによる電子装置の単位時間当たりの操作回数に基づいた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。 2次のローパスフィルタに相当する熱回路モデルを説明するための電子装置の一部の断面の一例を示す図である。
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の筺体表面温度推定方法及び電子装置の一例を示す図である。
電子装置1は、筺体2、基板3、基板3に配置された温度センサ4、温度演算処理部5aを有する。
温度演算処理部5aは、基板3上の熱源と筺体2の表面との間の熱抵抗と熱容量に基づく伝達関数と、熱源と温度センサ4との間の熱抵抗と熱容量に基づく伝達関数と、温度センサ4の測定値と、に基づき筺体2の表面の温度を算出する。電子装置1における主熱源は、計算を行うプロセッサ5であるため、以下では、熱源=プロセッサ5として説明する。
図1の例では、上記の温度演算処理部5aの機能は、プロセッサ5にて実行される。
時間の関数であるプロセッサ5の温度、筺体2の表面の温度、温度センサ4の測定値をそれぞれラプラス変換したときの値をTcpu(s)、Tcase(s)、Tsensor(s)とする(sはラプラス変換の演算子である)。このときTcpu(s)とTcase(s)との関係は、伝達関数G(s)を用いて以下の式(1)のように表せる。
Tcase(s)=G(s)Tcpu(s) (1)
また、Tcpu(s)とTsensor(s)との関係は、伝達関数H(s)を用いて以下の式(2)のように表せる。
Tsensor(s)=H(s)Tcpu(s) (2)
式(1),(2)から、Tcase(s)は、以下の式(3)のように表せる。
Tcase(s)={G(s)/H(s)}Tsensor(s) (3)
伝達関数G(s),H(s)は、たとえば、1次のローパスフィルタ回路に相当する熱回路モデルを用いて以下の式(4),(5)のように表せる。
G(s)=KG/(1+sτG) (4)
H(s)=KH/(1+sτH) (5)
式(4)において、KGは、プロセッサ5と筺体2の表面との間における熱伝達係数であり、τGは、プロセッサ5と筺体2の表面間における熱時定数である。τGは、プロセッサ5と筺体2の表面との間の熱抵抗の値RGと熱容量の値CGの積で表される。
式(5)において、KHは、プロセッサ5と温度センサ4との間における熱伝達係数であり、τHは、プロセッサ5と温度センサ4との間における熱時定数である。τHは、プロセッサ5と温度センサ4との間の熱抵抗の値RHと熱容量の値CHの積で表される。
上記のパラメータ、KG,KH,τG,τHは、予め、実測値に基づき決定され、たとえば、図示しない記憶部に記憶されている(パラメータの決定方法の例については後述する)。
温度演算処理部5aは、Tsensor(s)の値を式(3)に適用することで、Tcase(s)を求めることができる。温度演算処理部5aは、Tcase(s)を逆ラプラス変換することで、筺体2の表面の温度を算出することができる。
本実施の形態の筺体表面温度推定方法の流れをまとめる。
ステップS1:測定値取得
電子装置1内の基板3に配置されたプロセッサ5が、温度センサ4から測定値を取得する。
ステップS2:筺体表面温度算出
プロセッサ5は、上記伝達関数G(s),H(s)と、取得した温度センサ4の測定値とに基づき、式(3)を用いて表面の温度を算出する。
以上のように、プロセッサ5は、筺体2の表面温度を、熱源と筺体2の表面間及び熱源と基板3上の温度センサ4との間の熱抵抗と熱容量に基づく伝達関数G(s),H(s)と、温度センサ4での測定値とに基づき算出する。これにより、熱源と筺体2の表面間及び、熱源と基板3上の温度センサ4との間の、熱の伝わる時間が計算結果に反映される。
たとえば、熱源と筺体2の表面間の熱抵抗と熱容量の大きさで決まる熱時定数τGが、熱源と温度センサ4との間の熱抵抗と熱容量の大きさで決まる熱時定数τHより大きいと、熱源の熱は、温度センサ4より筺体2の表面に遅く伝わる。
温度センサ4の測定値から単に固定値を差し引いて、筺体2の表面温度を算出する方法では、このような情報が計算結果に反映されない。そのため、熱源の温度が変化したとき、温度センサ4の測定値に基づく筺体2の表面温度の計算値が、実際の表面温度よりも速く変化し、計算値と実測値の誤差が生じる。
これに対し、本実施の形態の筺体表面温度推定方法及び電子装置によれば、上記の伝達関数G(s),H(s)を用いることで、熱の伝わる時間が計算結果に反映されるようになるため、熱源の温度変化への追従性が高まり、計算精度が向上する。
また、基板3に配置した温度センサ4での測定値から精度よく筺体2の表面温度を算出できるため、筺体2の表面への温度センサの配置を避けられ、電子装置1のデザインを損なう可能性が少なくなる。
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態の電子装置のハードウェアの一構成例を示す図である。
電子装置10は、たとえば、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯端末装置またはノートPCなどのコンピュータであるが、特にこれらに限定されるわけではなく、デスクトップPCなどであってもよい。
電子装置10は、プロセッサ11、メモリ12、グラフィック処理部13、入力インタフェース14、通信処理部15、温度センサ16a,16b、接続機器インタフェース17を有している。
プロセッサ11は、電子装置10全体を制御する。プロセッサ11は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ11は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ11は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
なお、電子装置10における主熱源は、計算を行うプロセッサ11であるため、以下では、熱源=プロセッサ11として説明する。
メモリ12は、たとえば、フラッシュメモリや、DDRSDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などである。メモリ12には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム及び、温度の測定データや、前述した熱伝達係数や熱時定数などの各種データが格納される。
グラフィック処理部13には、ディスプレイ13aが接続されており、プロセッサ11からの命令にしたがって、画像を液晶表示装置などのディスプレイ13aの画面に表示させる。
入力インタフェース14には、タッチパネル14aまたはキーボード14bなどが接続されている。入力インタフェース14は、タッチパネル14aまたはキーボード14bから送られてくる信号をプロセッサ11に送信する。
通信処理部15は、図示しないアンテナを介して、たとえば、無線基地局との間でデータの送受信を行う。
温度センサ16a,16bは、温度を測定する。
接続機器インタフェース17は、電子装置10に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。たとえば接続機器インタフェース17には、メモリ装置17aなどを接続することができる。メモリ装置17aは、接続機器インタフェース17との通信機能を搭載した記録媒体である。
以上のようなハードウェア構成によって、以下に示す第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。
電子装置10は、たとえばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。電子装置10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。たとえば、電子装置10に実行させるプログラムをメモリ12に格納しておくことができる。プロセッサ11は、メモリ12に格納されたプログラムを実行する。電子装置10に実行させるプログラムを、光ディスクや図2に示したようなメモリ装置17aなどの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、たとえばプロセッサ11からの制御により、メモリ12に格納された後、実行可能となる。またプロセッサ11が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
以下、電子装置10におけるプロセッサ11と温度センサ16a,16bの配置例を説明する。
図3は、第2の実施の形態の電子装置の一部の断面の一例を示す図である。
また、図4は、第2の実施の形態の電子装置の一部を示す斜視図である。
基板20上には、バンプ11aを介してプロセッサ11が配置されている。また、温度センサ16a,16bが基板20上に配置されている。図3、図4の例では、温度センサ16aは、温度センサ16bよりも、プロセッサ11に近い位置に配置されている。
なお、図3、図4では図示を省略しているが、基板20には配線が形成されており、プロセッサ11と温度センサ16a,16bとは電気的に接続される。
また、基板20、プロセッサ11及び温度センサ16a,16b上には筺体21が配置されている。図3、図4の例では、プロセッサ11と筺体21との間には隙間があるが、接触していてもよい。筺体21は、たとえば、基板20を囲うように配置されているが、図3、図4では筺体21の一部分が示されている。
なお、電子装置10では、プロセッサ11と筺体21と温度センサ16a,16bにおける熱時定数τcpu,τsurface,τsensor1,τsensor2の大きさの関係が、τcpu<τsensor1<τsurface<τsensor2となるように各要素が配置されている。プロセッサ11は、筺体21の表面温度を、温度センサ16aでの測定値に基づき算出するため、筺体21の表面よりも、温度センサ16aの方がより熱源の熱の影響を受けやすいように、τsensor1<τsurfaceの関係になっている。また、温度センサ16bは、後述するように電子装置10の周囲の温度に相当する基準温度を算出するために設けられているので、熱源(プロセッサ11)で発生する熱の影響を受けにくいように、τsensor1<τsurface<τsensor2の関係になっている。
なお、図3、図4の例では、τsensor1<τsurface<τsensor2となるように、温度センサ16bが温度センサ16aより熱源から遠くに配置されているが、これに限定されない。たとえば、基板20において、熱源と温度センサ16bの間に開口部を設けて、熱を伝わりにくくして、上記のような熱時定数の関係になるようにしてもよい。
図4では、筺体21の表面の温度分布の一例を示している。熱源であるプロセッサ11の直上に位置する領域22aの温度が最も高く、直上の領域22aから離れるほど温度が下がっていく傾向にある。つまり、領域22b,22c,22dの順に温度が下がっていく。
筺体21の表面温度の算出は、たとえば、領域22aの最高温度となる点23(予め実機測定で検出しておく)で行われる。なお、点23は、必ずしもプロセッサ11の直上でなくてもよい。また以下では、筺体21の表面において、温度センサ16bの直上の点24を温度基準点といい、点24の温度を基準温度Tgndという。基準温度Tgndは、電子装置10の周囲の温度(以下外気温という)に相当するものである。なお、基準温度Tgndは、外気温に相当する温度であれば、必ずしも温度センサ16bの直上の点24の温度でなくてもよい。
図5は、第2の実施の形態の筺体表面温度推定方法の一例の流れを説明するフローチャートである。
まず、プロセッサ11は、温度センサ16a,16bでの測定値を取得し(ステップS10)、温度センサ16bでの測定値に基づき、基準温度Tgndを算出する(ステップS11)。
基準温度Tgndは、電子装置1の実機での測定結果に基づき以下のように算出される。
図6は、基準温度と温度センサ16bでの測定値との一例の関係を示す図である。
横軸は温度センサ16bの測定値Tsensor2(℃)、縦軸は基準温度Tgnd(℃)を示している。
基準温度Tgndは、電子装置10の筺体21の表面の点24(温度基準点)において、熱電対などで測定された温度である。
図6に示すように、温度センサ16bの測定値Tsensor2をx、基準温度Tgndをyとすると、y=0.98175x−1.57175、という関係が得られる。この関係から、基準温度Tgndは、温度センサ16bの測定値Tsensor2よりも約1.6℃低いことが分かる。
プロセッサ11は、実機測定に基づく上記の関係から、温度センサ16bの測定値Tsensor2に基づき、固定値(上記の例では1.6℃)を差し引いて、基準温度Tgndを算出する。
次に、プロセッサ11は、温度センサ16aでの測定値Tsensor1から、基準温度Tgndを減算し(ステップS12)、減算した値に基づき、基準温度Tgndからの筺体21の表面温度の変化分を計算する(ステップS13)。
ステップS13の処理は、たとえば、以下のように行われる。
時間の関数である筺体21の点23の温度から基準温度Tgndを引いた値をy(t)、温度センサ16aの測定値から基準温度Tgndを引いた値をx(t)とする。そして、y(t)とx(t)をそれぞれラプラス変換したときの値を、Y(s)、X(s)とする(sはラプラス変換の演算子である)。
このとき、前述した式(3)と同様に、Y(s)とX(s)との関係は、以下の式(6)のように表せる。
Y(s)={G1(s)/H1(s)}X(s) (6)
G1(s)は、熱源であるプロセッサ11と点23の間の熱抵抗と熱容量に基づく伝達関数であり、H1(s)は、プロセッサ11と温度センサ16aの間の熱抵抗と熱容量に基づく伝達関数である。
伝達関数G1(s),H1(s)は、たとえば、1次のローパスフィルタ回路に相当する熱回路モデルを用いて算出される。
図7は、熱回路モデルの一例を示す図である。
図7では、プロセッサ11と点23の間における熱回路モデル30の例を示している。熱回路モデル30は、熱抵抗31と熱容量32とアンプ33を含む。熱抵抗31の一端には熱容量32の一端とアンプ33の入力端子が接続されており、熱容量の32の他端は接地されている。アンプ33のゲインKG1は、熱伝達係数を示している。
熱抵抗31の他端に図7に示すような振幅が1の矩形状の信号が入力されると、アンプ33の出力端子から出力される信号は、熱抵抗31の値RG1と熱容量32の値CG1の積で表される熱時定数τG1分だけKG1までの立ち上がりが遅くなる。このような熱回路モデル30を、伝達関数G1(s)で表すと、以下の式(7)のように表せる。
G1(s)=KG1/(1+sτG1) (7)
同様に、伝達関数H1(s)も以下の式(8)で表せる。
H1(s)=KH1/(1+sτH1) (8)
H1は、プロセッサ11と温度センサ16aの間の熱伝達係数であり、τH1は、プロセッサ11と温度センサ16aの間の熱抵抗の値と熱容量の値の積である熱時定数である。
式(6)〜(8)から、Y(s)は以下のように表せる。
Y(s)=I(s)X(s) (9)
I(s)=(KG1/KH1){(1+sτH1)/(1+sτG1)} (10)
以下では、計算を簡略化するために、Z変換と差分方程式を用いる。
ある入力信号x(nT)と出力信号y(nT)との関係が、y(nT)=i(n)x(nT)で表せるとき(Tはサンプリング周期、nは自然数)、Z変換により、変数zを使って、Y(z)=I(z)X(z)と表せる。
式(10)の伝達関数I(s)をZ変換で表すと、I(z)は以下の式(11)のように表せる。
Figure 0006623604
y(nT)は、Y(s)の逆Z変換で求められるが、差分方程式を用いて展開すると、以下の式(12)のように表せる。
Figure 0006623604
式(12)は、式(11)で示した伝達関数I(z)を用いて、さらに以下の式(13)のように表せる。
y(nT)=a0x(nT)+a1x(nT−T)−b1y(nT−T) (13)
式(13)において、a0=(KG1/KH1){(T+2τH1)/(T+2τG1)}、a1=(KG1/KH1){(T−2τH1)/(T+2τG1)}、b1=(T−2τG1)/(T+2τG1)である。
図8は、式(13)を演算する演算システムの一例を示す図である。
演算システム40は、遅延部41,42、乗算部43,44,45、加減算部46,47を有している。
遅延部41は、入力信号x(nT)を1サンプリング周期(T)分遅らせる。
遅延部42は、出力信号y(nT)を1サンプリング周期分遅らせる。
乗算部43は、入力信号x(nT)とa0との乗算を行う。乗算部44は、入力信号x(nT)の1サンプリング周期分前の信号、すなわちx(nT−T)とa1との乗算を行う。乗算部45は、出力信号y(nT)の1サンプリング周期分前の信号、すなわちy(nT−T)とb1との乗算を行う。
加減算部46は、乗算部43,44での演算結果を足し合わせる。加減算部47は、加減算部46での演算結果から、乗算部45での演算結果を引いて、出力信号y(nT)を出力する。
プロセッサ11は、図8に示すような各部の機能を実行して、式(13)の演算を行う。式(13)の演算を行う場合は、プロセッサ11は、温度センサ4からサンプリング周期(T)で測定値Tsensor1を取得し、測定値Tsensor1から基準温度Tgndを減算した値をx(nT)として、式(13)に適用する。
なお、式(13)における、a0,a1,b1に含まれる、熱伝達係数KG1,KH1、熱時定数τG1,τH1の値は、実測値に基づくパラメータフィッティングにより予め求められている。
図9は、パラメータフィッティングの一例を示す図である。
横軸は時間(単位はSec)であり、縦軸は温度変化(dT)(単位は℃)を示している。なお、図9の例では、基準温度Tgndの実測値は、25℃としている。
波形50は、熱源であるプロセッサ11の温度の実測値から基準温度Tgndの実測値を引いた値の時間変化を示し、波形51は、筺体21の表面温度の実測値から基準温度Tgndの実測値を引いた値の時間変化を示している。筺体21の表面温度は、サーモグラフィーを用いて最高温度となった位置にて、熱電対を用いて測定される。波形52は、温度センサ16aでの測定値Tsensor1から基準温度Tgndの実測値を引いた値の時間変化を示している。
波形53は、筺体21の表面の温度から基準温度Tgndを引いた値の時間変化の計算結果である。
波形53は、たとえば、以下のように算出される。
プロセッサ11の温度と筺体21の表面の温度をラプラス変換したものを、それぞれ第1の実施の形態と同様にTcpu(s)、Tcase(s)と表記すると、Tcase(s)は、以下のように表せる。
Tcase(s)=G1(s)Tcpu(s) (14)
なお、伝達関数G1(s)は、前述の式(7)で表せる。たとえば、設計者は、コンピュータに、プロセッサ11の温度の実測値に基づき、式(14)を計算させる。このとき設計者は、Tcase(s)の逆ラプラス変換結果から基準温度Tgndの実測値を引いた値の時間変化が、波形51に近づくように、伝達関数G1(s)のパラメータである熱伝達係数KG1と熱時定数τG1を、コンピュータに変化させる。このようなパラメータフィッティングによって、波形53が得られる。
波形54は、温度センサ16aでの測定値Tsensor1から基準温度Tgndを引いた値の時間変化の計算結果である。
波形54は、たとえば、以下のように算出される。
温度センサ16aでの測定値Tsensor1をラプラス変換したものを、Tsensor1(s)と表記すると、Tsensor1(s)は、以下のように表せる。
Tsensor1(s)=H1(s)Tcpu(s) (15)
なお、伝達関数H1(s)は、前述の式(8)で表せる。たとえば、設計者は、コンピュータに、プロセッサ11の温度の実測値に基づき、式(15)を計算させる。このとき設計者は、Tsensor1(s)の逆ラプラス変換結果から基準温度Tgndを引いた値の時間変化が、波形52に近づくように、伝達関数H1(s)のパラメータである熱伝達係数KH1と熱時定数τH1を、コンピュータに変化させる。このようなパラメータフィッティングによって、波形54が得られる。
なお、波形53,54は、波形51,52と完全に一致しなくてもよく、たとえば、計算時間などを考慮して、所定の誤差の範囲であれば一致しているとみなされる。
図9の例では、パラメータフィッティングによって得られるパラメータの値は、KG1=0.425、KH1=0.500、τG1=85、τH1=40となる。
パラメータの値は、たとえば、電子装置10のメモリ12に格納され、プロセッサ11が、式(13)の計算を行うときに読み出されて用いられる。
以上のようなステップS13の処理が終了すると、プロセッサ11は、ステップS13の処理で算出した筺体表面温度の変化分(筺体21の点23の温度から基準温度Tgndを引いた値)に、基準温度Tgndを加算する(ステップS14)。これにより、筺体21の表面温度が求まる。図示を省略するが、その後、プロセッサ11は、たとえば、算出した表面温度に基づいて、表面温度が所定の値よりも高いときには、消費電力を抑える動作を行うようにしてもよい。また、プロセッサ11は、グラフィック処理部13を制御して、ディスプレイ13aにユーザに注意を促すメッセージを表示させるようにしてもよい。
図10は、筺体表面の温度の算出結果を示す図である。
横軸は時間(単位はSec)を示し、左の縦軸は温度(単位は℃)、右の縦軸は誤差(単位は℃)を示している。
波形60は、筺体表面温度(筺体21の点23の温度)の実測値であり、波形61は、式(13)に基づき算出された値である。
また、波形62は、実測値と式(13)に基づき算出された値との差(誤差)を示している。
図10に示すように、誤差が約1℃以内で筺体表面温度を推定できることが分かる。
以上のように、プロセッサ11は、熱抵抗と熱容量に基づく伝達関数G1(s),H1(s)を用いて筺体21の表面温度を算出するため、熱の伝わる時間が計算結果に反映されるようになる。そのため、熱源の温度変化への追従性が高まり、計算精度が向上する。
また、プロセッサ11は、温度センサ16aでの測定値から基準温度Tgndを減算して、測定値の変化分から上記伝達関数G1(s),H1(s)を用いて筺体21の表面温度の変化分を算出し、基準温度Tgndを加算する。このような処理により、外気温に相当する基準温度を差し引いた各実測値に基づくパラメータフィッティングで得られたパラメータに基づく伝達関数G1(s),H1(s)が適用できる。伝達関数G1(s),H1(s)は、熱源の温度変化をより反映したものであるため、熱源の温度変化に対応した筺体21の表面温度の変化を、温度センサ16aの測定値からより精度よく計算できる。
さらに、プロセッサ11は、Z変換と差分方程式を利用した、式(13)のような演算を行い、筺体21の表面温度の変化分を算出することで、計算量を減らすことができる。
また、基板20に配置した温度センサ16a,16bでの測定値から精度よく筺体21の表面温度を算出できるため、筺体21の表面への温度センサの配置を避けられ、電子装置10のデザインを損なう可能性が少なくなる。また、筺体21の表面へ温度センサを配置すると、温度センサと基板20をつなぐケーブルなどが設けられることになりコストも増加するが、本実施の形態の電子装置10では、温度センサ16a,16bは基板20に配置されているため、コストの増加を抑えられる。
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態の筺体表面温度推定方法を説明する。
プロセッサ11は、温度センサ16aで検出した温度変化の時定数が、熱時定数τsensor1よりも大きい場合、熱容量を含まない熱回路モデルを用いて筺体21の表面温度を計算するようにしてもよい。
図11は、温度変化の時定数に応じた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。
プロセッサ11は、温度センサ16aでの測定値Tsensor1の変化を検出すると(ステップS20)、その変化の時定数が、熱時定数τsensor1以下か否かを判定する(ステップS21)。測定値Tsensor1の変化の時定数が、熱時定数τsensor1以下であるときには、プロセッサ11は、熱容量を含む熱回路モデル(図7参照)で上記のように筺体21の表面温度を算出する(ステップS22)。
一方、測定値Tsensor1の変化の時定数が、熱時定数τsensor1より大きいときには、プロセッサ11は熱容量を含まない熱回路モデルで筺体21の表面温度を算出する(ステップS23)。熱容量を含まない熱回路モデルは、熱抵抗に基づくものであり、プロセッサ11は、温度センサ16aの測定値から、所定の固定値を減算して筺体21の表面温度を算出する。所定の固定値は、たとえば、予め実測により求められ、メモリ12に格納されている。
熱源の温度変化が比較的遅いときには、熱が伝わる時間を考慮しなくても筺体21の表面温度を比較的精度よく算出できるため、上記のような熱容量を含まない熱回路モデルを用いることで、計算量を削減できる。
(第4の実施の形態)
以下、第4の実施の形態の筺体表面温度推定方法を説明する。
プロセッサ11は、温度センサ16aで検出した単位時間当たりの温度変化の大きさ(絶対値)に基づいて、筺体21の表面温度を計算する際に用いる熱回路モデルを切り替えるようにしてもよい。
図12は、温度センサ16aで検出される温度変化の一例を示す図である。
横軸は時間を示し、縦軸は、温度センサ16aで検出される温度を示している。
たとえば、プロセッサ11は、時刻t0〜t1,t2〜t3の間と、時刻t4以降では、単位時間当たりの温度変化が小さいので、熱容量を含まない熱回路モデルを用いて筺体21の表面温度を計算する。また、プロセッサ11は、時刻t1〜t2,t3〜t4の間では、単位時間当たりの温度変化が大きいので、熱容量を含む熱回路モデル(前述した伝達関数で表される熱回路モデル)を用いて筺体21の表面温度を計算する。
プロセッサ11が使用する熱回路モデルを切り替える際の閾値は、たとえば、以下のように算出できる。
単位時間当たりの温度変化が一定であると仮定したとき、伝達関数で表される熱回路モデルを用いて算出される筺体21の表面温度をTramp(t)とすると、Tramp(t)は、式(3)〜(5)やランプ関数を用いて以下の式(16)で表せる。
Figure 0006623604
式(16)において、1/s2は単位ランプ関数をラプラス変換したものである。αは、KG/KHである。
温度センサ16aで検出される温度の1秒あたりの温度変化をd℃/secとした場合の温度センサ16aの測定値と、伝達関数で表される熱回路モデルを用いて算出される筺体21の表面温度との差raは、以下の式(17)で表せる。
Figure 0006623604
熱容量を含まない熱回路モデルを用いて算出される筺体21の表面温度は、温度センサ16aの測定値から、所定の固定値を減算したものになるため、式(17)の差raは、両熱回路モデルで表面温度を計算したときの誤差を反映したものとなる。
以下では、差ra≦r0(たとえば、1℃)となる温度変化dのとき、プロセッサ11は、両熱回路モデルで表面温度を計算したときの誤差は小さいと判定し、熱容量を含まない熱回路モデルを用いて筺体21の表面温度を算出するものとする。
式(17)において、tを無限大としたときには、以下の式(18)を満たすとき、ra≦r0となる。
d≦r0/{α(τG−τH)} (18)
図13は、温度センサ16aで検出される1秒当たりの温度変化と、差raの時間変化との関係の計算結果の例を示す図である。
なお、図13の例では、式(17)で、α=1、τH=45、τG=80としている。横軸は、時間(単位はsec)を示し、縦軸は差ra(単位は℃)を示している。
また、図13には、温度変化dが、0.3,0.2,0.1,0.029℃/secのときの差raの時間変化が示されている。
たとえば、式(18)において、r0=1℃とすると、温度変化dが、1/(80−45)=0.029℃/sec以下であれば、図13からもわかるように、ra≦1℃となる。
このように、プロセッサ11は、式(18)の右辺を、温度変化が大きくなっていくときに(温度が上昇するときも下降するときも)、使用する熱回路モデルを、熱容量を含まないものから熱容量を含むものに切り替える閾値として用いることができる。r0は、許容する誤差に応じて適宜変更可能であるため、許容する誤差に応じた計算手法の切り替えが可能となる。
一方、温度変化が小さくなっていくときに、プロセッサ11が使用する熱回路モデルを、熱容量を含まないものに切り替える閾値は、たとえば、以下のように算出できる。
温度センサ16aで検出される温度の変化がステップ応答特性を示すと仮定する。このとき伝達関数で表される熱回路モデルを用いて算出される筺体21の表面温度をTstep(t)とすると、Tstep(t)は、式(3)〜(5)やステップ関数を用いて以下の式(19)で表せる。
Figure 0006623604
式(19)において、1/sは単位ステップ関数をラプラス変換したものである。αは、KG/KHである。
ステップ応答による変化後の、温度センサ16aの測定値(1℃)と、伝達関数で表される熱回路モデルを用いて算出される筺体21の表面温度との差rbは、以下の式(20)で表せる。
rb=1−Tstep(t) (20)
熱容量を含まない熱回路モデルを用いて算出される筺体21の表面温度は、温度センサ16aの測定値から、所定の固定値を減算したものになるため、式(20)の差rbは、両熱回路モデルで表面温度を計算したときの誤差を反映したものとなる。
以下では、差rb=r1となる時間taのとき、プロセッサ11は、両熱回路モデルで表面温度を計算したときの誤差は小さいと判定し、熱容量を含まない熱回路モデルを用いて筺体21の表面温度を算出するものとする。なおr1は前述したr0と同じでもよい。差rb=r1となる時間taは、以下の式(21)で表せる。
Figure 0006623604
図14は、温度センサ16aで検出される温度と、熱容量を含む熱回路モデルを用いて算出される筺体の表面温度の時間変化の計算結果の例を示す図である。
なお、図14の例では、式(19)で、α=1、τH=45、τG=80としている。横軸は、時間(単位はsec)を示し、縦軸は温度(単位は℃)を示している。
また、波形70は、温度センサ16aで検出される温度の時間変化(単位ステップ応答)を示し、波形71は、熱容量を含む熱回路モデルを用いて算出される筺体の表面温度の時間変化を示している。
たとえば、式(21)において、r1=0.16℃とすると、時間ta=80secとなる。
プロセッサ11は、温度センサ16aで検出される温度の単位時間当たりの変化の大きさがある値(以下では±Rとする)以内となってから、時間ta経過したときに、使用する熱回路モデルを、熱容量を含むものから熱容量を含まないものに切り替える。つまり、プロセッサ11は、時間taを、使用する熱回路モデルを、熱容量を含むものから、熱容量を含まないものに切り替えるための閾値として用いることができる。
r1は、許容する誤差に応じて適宜変更可能であるため、許容する誤差に応じた計算手法の切り替えが可能となる。
上記のような各閾値を用いた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを以下にまとめる。
図15は、温度変化の大きさに応じた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。
プロセッサ11は、温度センサ16aで検出される温度変化dを検出し(ステップS30)、d>r0/α(τG−τH)であるか否かを判定する(ステップS31)。
d>r0/α(τG−τH)でないときには、プロセッサ11は熱容量を含まない熱回路モデルで筺体21の表面温度を算出する(ステップS32)。熱容量を含まない熱回路モデルは、熱抵抗に基づくものであり、プロセッサ11は、温度センサ16aの測定値から、所定の固定値を減算して筺体21の表面温度を算出する。所定の固定値は、たとえば、予め実測により求められ、メモリ12に格納されている。ステップS32の処理後は、ステップS30からの処理が繰り返される。
一方、d>r0/α(τG−τH)のときは、プロセッサ11は、熱容量を含む(伝達関数で表される)熱回路モデルで上記のように筺体21の表面温度を算出する(ステップS33)。そして、プロセッサ11は、温度変化dと経過時間を検出し(ステップS34)、温度変化dが±Rとなってからの経過時間tが、式(21)に示した時間taよりも長いか否かを判定する(ステップS35)。温度変化dが±Rとなってからの経過時間tが、時間taよりも長いときには、ステップS32の処理が行われ、温度変化dが±Rにならないか、経過時間tが、時間ta以下のときには、ステップS33からの処理が繰り返される。
上記のように、プロセッサ11は、温度センサ16aで検出される温度変化に基づき、使用する熱回路モデルを切り替える。これにより、両熱回路モデル間での計算精度に差が少ないときにも、熱容量を含む熱回路モデルを使用しなくてもよくなる。このため、精度を維持しつつ、計算量を削減できる。
(第5の実施の形態)
以下、第5の実施の形態の筺体表面温度推定方法を説明する。
プロセッサ11は、ユーザによる電子装置10の操作を検出し、その操作時間に基づいて、筺体21の表面温度を計算する際に用いる熱回路モデルを切り替えるようにしてもよい。
図16は、ユーザによる電子装置の操作時間に基づいた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。
電子装置10のスリープ状態のときに(ステップS40)、プロセッサ11は、ユーザによる電子装置10の操作(たとえば、画面をオンする操作)を検出すると(ステップS41)、ステップS42の処理を行う。
ステップS42の処理では、プロセッサ11は、ユーザによる電子装置10の操作時間(たとえば、ユーザによるタッチパネル14aの操作が行われている時間)が、閾値Tthより長いか否かを判定する。
操作時間が、閾値Tth以下であるときには、プロセッサ11は、熱容量を含まない熱回路モデルで筺体21の表面温度を算出する(ステップS43)。
閾値Tthは、たとえば、熱時定数τに基づいて設定される。たとえば、Tth=τ/2であれば、プロセッサ11で発生する熱による筺体2の表面温度の変動は比較的少ないため、熱容量を含まない熱回路モデルを用いても熱容量を含む熱回路モデルを用いたときとの計算精度の差が小さい。なお、許容される誤差がより小さいときには、閾値Tthをより短く設定するようにしてもよい。
その後ステップS42からの処理が繰り返される。
操作時間が閾値Tthより長くなると、プロセッサ11は、熱容量を含む(伝達関数で表される)熱回路モデルで筺体21の表面温度を算出する(ステップS44)。その後、ユーザによる電子装置10の操作が終了されると(たとえば、画面をオフする操作が行われると)(ステップS45)、ステップS40からの処理が繰り返される。
上記のように、本実施の形態では、プロセッサ11は、ユーザによる電子装置10の操作時間と閾値との比較結果に基づき、使用する熱回路モデルを切り替える。これにより、両熱回路モデル間での計算精度に差が少ないときにも、熱容量を含む熱回路モデルを使用しなくてもよくなる。このため、精度を維持しつつ、計算量を削減できる。
(第6の実施の形態)
以下、第6の実施の形態の筺体表面温度推定方法を説明する。
プロセッサ11は、ユーザによる電子装置10の単位時間当たりの操作回数に基づいて、筺体21の表面温度を計算する際に用いる熱回路モデルを切り替えるようにしてもよい。
図17は、ユーザによる電子装置の単位時間当たりの操作回数に基づいた表面温度の推定アルゴリズムの一例の流れを示す図である。
ステップS50,S51の処理は、図16に示したステップS40,S41の処理と同じである。ステップS51の処理後、プロセッサ11は、電子装置10の単位時間当たりの操作回数が閾値Nthより多いか否かを判定する(ステップS52)。
電子装置10の単位時間当たりの操作回数が、閾値Nth以下であるときには、プロセッサ11は、熱容量を含まない熱回路モデルで筺体21の表面温度を算出する(ステップS53)。
閾値Nthは、たとえば、事前のシミュレーションによって、許容する誤差(両熱回路モデルで計算したときの表面温度の差)に応じて設定される。たとえば、10秒間で10回の操作回数以下であれば、誤差が許容の範囲となるときには、その値(10回/10秒)が、閾値Nthとして適用される。
その後ステップS52の処理が繰り返される。
電子装置10の単位時間当たりの操作回数が閾値Nthより多くなると、プロセッサ11は、熱容量を含む(伝達関数で表される)熱回路モデルで筺体21の表面温度を算出する(ステップS54)。また、プロセッサ11は、ステップS52と同様の判定処理を行い(ステップS55)、電子装置10の単位時間当たりの操作回数が閾値Nthより多いときには、ステップS54の処理を繰り返す。電子装置10の単位時間当たりの操作回数が閾値Nth以下のときには、ステップS53の処理が行われる。
上記のように、本実施の形態では、プロセッサ11は、ユーザによる電子装置10の単位時間当たりの操作回数と閾値との比較結果に基づき、使用する熱回路モデルを切り替える。これにより、熱容量を含まない熱回路モデルを用いても誤差が比較的小さいときにも、熱容量を含む熱回路モデルを使用しなくてもよくなる。このため、精度を維持しつつ、計算量を削減できる。
ところで、上記の説明は、伝達関数を、1次のローパスフィルタ回路に相当する熱回路モデルを用いて式(4),(5)や式(7),(8)で表したが、2次以上のローパスフィルタ回路に相当する熱回路モデルを用いて表すようにしてもよい。
図18は、2次のローパスフィルタに相当する熱回路モデルを説明するための電子装置の一部の断面の一例を示す図である。
図18において、図3に示した要素と同様のものについては同一の符号が付されている。
プロセッサ11で発生した熱が、基板20とセンサ80を介して筺体21表面上の点23aに伝わるとしたとき、たとえば、式(4)で表される伝達関数G(s)は、以下の式(22)に書き換えられる。
Figure 0006623604
式(22)において、τGaは、プロセッサ11と点23a間の、基板20の熱抵抗の値と熱容量の値の積で表される。τGbは、プロセッサ11と点23a間の、センサ80の熱抵抗の値と熱容量の値の積で表される。
伝達関数H(s)は、式(5)と同じとすると、点23aの温度Tcaseは、たとえば、以下の式(23)で表せる。
Figure 0006623604
また、前述したZ変換や差分方程式を用いると、温度Tcaseに相当する出力信号y(nT)は、以下の式(24)で表せる。
y(nT)=a0x(nT)+a1x(nT−T)+a2x(nT−2T)−[b1y(nT−T)+b2y(nT−2T)] (24)
bb=4τGaτGb+2T(τGa+τGb)+T2とすると、式(24)において、a0=α(2TτH+T2)/bb、a1=2αT2/bb、a2=α(−2TτH+T2)/bbである。また、b1=(−8τGaτGb+2T2)/bb、b2=(4τGaτGb−2T(τGa+τGb)+T2)/bbである。
このように、2次のローパスフィルタに相当する熱回路モデルを用いると、計算精度は上がるが計算量が増えるため、計算量の削減が可能な第3乃至第6の実施の形態の手法を用いることが、より好ましい。
なお、上記各実施の形態の手法を組み合わせてもよい。
以上、実施の形態に基づき、本発明の筺体表面温度推定方法及び電子装置の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
たとえば、上記の説明では、基準温度Tgndを求めるための温度センサ16bを1つとしているが、複数であってもよく、プロセッサ11は、複数の温度センサでの測定値に基づき、基準温度Tgndを算出するようにしてもよい。
また、プロセッサ11は、たとえば、CPUとDSPを含み、CPUを熱源としたときの筺体21の表面の温度を、DSPが算出するようにしてもよい。
また、プロセッサ11は、単位時間当たりの自身の動作時間が一定値を超えたとき、熱容量を含む熱回路モデルを用いて表面温度を算出し、動作時間が一定値以下のときには、熱容量を含まない熱回路モデルを用いて表面温度を算出するようにしてもよい。
また、プロセッサ11は、電力を比較的多く消費するアプリケーションが起動されたときに、熱容量を含む熱回路モデルを用いて表面温度を算出し、電力消費の少ないアプリケーションの起動時には、熱容量を含まない熱回路モデルを用いるようにしてもよい。
1 電子装置
2 筺体
3 基板
4 温度センサ
5 プロセッサ(熱源)
5a 温度演算処理部

Claims (13)

  1. 電子装置の基板に配置されたプロセッサが、前記基板に配置された第1の温度センサから第1の測定値を取得し、
    前記プロセッサが、前記基板上の熱源と前記電子装置の筺体の表面との間の第1の熱抵抗と第1の熱容量に基づく第1の伝達関数と、前記熱源と前記第1の温度センサとの間の第2の熱抵抗と第2の熱容量に基づく第2の伝達関数と、前記第1の測定値とに基づき前記表面の表面温度を算出する、
    ことを特徴とする筺体表面温度推定方法。
  2. 前記第2の熱抵抗と前記第2の熱容量との積である第1の熱時定数は、前記第1の熱抵抗と前記第1の熱容量との積である第2の熱時定数より小さいことを特徴とする請求項1に記載の筺体表面温度推定方法。
  3. 前記プロセッサは、前記第1の温度センサ及び前記表面よりも熱時定数が大きくなるように前記基板に配置された第2の温度センサから第2の測定値を取得し、
    前記プロセッサは、前記第2の測定値から第1の値を引くことで基準温度を算出し、
    前記プロセッサは、前記第1の測定値から前記基準温度を引いた値と、前記第1の伝達関数及び前記第2の伝達関数とに基づき前記表面温度の前記基準温度からの変化分を算出し、
    前記プロセッサは、算出した前記変化分に前記基準温度を加算することで、前記表面温度を算出する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の筺体表面温度推定方法。
  4. 前記プロセッサは、第1のサンプリング周期で前記第1の測定値を取得し、前記第1の測定値から前記基準温度を引いた前記値を、前記第1の伝達関数及び前記第2の伝達関数に基づく差分方程式に適用して、前記表面温度の前記変化分を算出することを特徴とする請求項3に記載の筺体表面温度推定方法。
  5. 前記プロセッサは、前記第1の測定値の変化の時定数が、前記第1の熱時定数よりも大きいときは、前記第1の測定値から第2の値を引くことで、前記表面温度を算出することを特徴とする請求項2に記載の筺体表面温度推定方法。
  6. 前記プロセッサは、前記第1の伝達関数、前記第2の伝達関数及び前記第1の測定値に基づいて前記表面温度を算出する第1の算出方法を実行するか、前記第1の測定値から第2の値を引くことで前記表面温度を算出する第2の算出方法を実行するかを、前記第1の測定値の単位時間当たりの変化の大きさに基づいて決定する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の筺体表面温度推定方法。
  7. 前記プロセッサは、前記単位時間当たりの変化の大きさが、第3の値以下のときには、前記第2の算出方法で前記表面温度を算出する、ことを特徴とする請求項6に記載の筺体表面温度推定方法。
  8. 前記第3の値は、前記熱源と前記第1の温度センサとの間の、第1の熱伝達係数及び第3の熱時定数と、前記熱源と前記表面との間の、第2の熱伝達係数及び第4の熱時定数と、前記第1の算出方法で得られる第1の算出値と前記第2の算出方法で得られる第2の算出値との間の許容する第1の差と、に基づいて算出される、ことを特徴とする請求項7に記載の筺体表面温度推定方法。
  9. 前記プロセッサは、前記単位時間当たりの変化の大きさが、第4の値以下となってから、第1の時間経過したときには、前記第1の算出方法から、前記第2の算出方法に切り替えて前記表面温度を算出する、ことを特徴とする請求項6に記載の筺体表面温度推定方法。
  10. 前記第1の時間は、前記熱源と前記第1の温度センサとの間の、第1の熱伝達係数及び第3の熱時定数と、前記熱源と前記表面との間の、第2の熱伝達係数及び第4の熱時定数と、前記第1の算出方法で得られる第1の算出値と前記第2の算出方法で得られる第2の算出値との間の許容する第1の差と、に基づいて算出される、ことを特徴とする請求項9に記載の筺体表面温度推定方法。
  11. 前記プロセッサは、前記電子装置に対するユーザの操作を検出し、
    前記プロセッサは、前記第1の伝達関数、前記第2の伝達関数及び前記第1の測定値に基づいて前記表面温度を算出するか、前記第1の測定値から第2の値を引くことで前記表面温度を算出するかを、前記操作の時間または単位時間当たりの前記操作の回数に基づき決定する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の筺体表面温度推定方法。
  12. 前記プロセッサが、前記熱源であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の筺体表面温度推定方法。
  13. 筺体と、
    基板と、
    前記基板に配置され、温度を測定して第1の測定値を出力する第1の温度センサと、
    前記基板上の熱源と前記筺体の表面との間の第1の熱抵抗と第1の熱容量に基づく第1の伝達関数と、前記熱源と前記第1の温度センサとの間の第2の熱抵抗と第2の熱容量に基づく第2の伝達関数と、前記第1の測定値とに基づき前記表面の表面温度を算出する温度演算処理部と、
    を有することを特徴とする電子装置。
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