JP6703273B2 - 電子装置、電子装置の表面温度推定方法および電子装置の表面温度推定プログラム - Google Patents

電子装置、電子装置の表面温度推定方法および電子装置の表面温度推定プログラム Download PDF

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Description

本発明は電子装置、電子装置の表面温度推定方法および電子装置の表面温度推定プログラムに関する。
現在、スマートフォンやタブレット端末やノートPC(Personal Computer)などの電子装置が普及しており、電子装置の多機能化や高性能化が進んでいる。多機能化や高性能化に伴い、電子装置に搭載されるプロセッサや無線インタフェースなどの部品の発熱量が増大している。一方、形状の制約から、電子装置の冷却能力を向上させることは容易でない。そのため、部品を長時間高負荷にして使用すると冷却が不十分となり、部品から電子装置の筐体の表面に熱が伝達して表面温度が高くなることがある。
筺体の表面温度が閾値を超えた場合、プロセッサの演算速度や無線インタフェースの通信速度を下げるなど部品の動作レベルを制限することで、表面温度を下げることが考えられる。ただし、筺体の形状の制約から、表面温度を直接測定するための温度センサを筐体表面付近に配置することが難しいことがある。そこで、電子装置の内部温度などの測定データから間接的に表面温度を推定することが行われている。
例えば、熱源近くの温度センサによって測定された温度と伝達関数とを用いて筐体の表面温度を推定する筐体表面温度推定方法が提案されている。提案の筐体表面温度推定方法では、熱抵抗と熱時定数とを含む熱回路モデルに基づいて、熱源から温度センサへの熱伝達を示す伝達関数と、熱源から筐体の表面への熱伝達を示す伝達関数が定義される。この温度センサの温度と熱源から遠い基準温度センサによって測定された基準温度との差に対して、上記2種類の伝達関数を適用することで、熱源からの熱伝達によって生じた表面温度上昇量が推定される。そして、表面温度上昇量と基準温度から表面温度が算出される。
また、例えば、発熱部品と同一筐体内に設けられた温度センサを用いて筐体の周囲温度を推定するプリンタ装置が提案されている。提案のプリンタ装置は、温度センサにより測定された温度と周囲温度との差が、電源投入から一定時間経過すると一定に収束するものと仮定する。プリンタ装置は、この仮定に基づいて、温度センサにより測定された温度と電源投入からの経過時間とから周囲温度を推定する。
また、例えば、車両に搭載された熱源から一定の距離にある部品の温度を推定する部品温度推定装置が提案されている。提案の部品温度推定装置は、熱源温度を算出し、熱源温度と熱源から部品への熱伝達の程度と部品の作動状態とから部品温度を推定する。また、例えば、周囲温度とプロセッサの現在温度とプロセッサの現在の動作状態とからプロセッサ温度の変化を予測し、予測したプロセッサ温度の変化に基づいてプロセッサの動作状態を変更するデータ処理システムが提案されている。
また、例えば、周辺温度に応じて冷却ファンを制御するストレージ装置が提案されている。提案のストレージ装置は、発熱部品の温度を測定する第1の温度センサの値と、発熱部品の近くに配置されておりストレージ装置外部の温度を測定する第2の温度センサの値とを取得する。ストレージ装置は、第1の温度センサの値と第2の温度センサの値と経過時間とから補正値を算出し、補正値を用いて第2の温度センサの値を補正する。
特開平9−159541号公報 特開2010−276074号公報 特開2012−74064号公報 特開2015−10873号公報
石井雅俊、中島善康、高本健至、「熱伝達関数モデルを用いたスマートフォン筐体表面温度推定手法の開発」、第30回エレクトロニクス実装学会講演大会論文集、第212〜215頁、2016年3月22日
上記の筐体表面温度推定方法では、基準温度センサによって測定される基準温度が、筐体外部の外気温度と同一か外気温度に十分近いことを想定している。しかし、筺体の形状の制約から、基準温度センサの位置によっては、測定される基準温度が熱源の発熱の影響を受けてしまうことがある。例えば、電子装置の小型化によって熱源と基準温度センサとの距離が小さくならざるを得ず、測定される基準温度が熱源の発熱の影響を受けることがある。この場合、表面温度の推定精度が低下するという問題がある。
1つの側面では、本発明は、筐体の表面温度の推定精度が向上する電子装置、電子装置の表面温度推定方法および電子装置の表面温度推定プログラムを提供することを目的とする。
1つの実施態様では、筐体と、基板と、複数の部品と、基準温度センサと、複数の温度センサと、演算処理部とを有する電子装置が提供される。
基板は筐体に内蔵される。複数の部品は基板上に配置される。基準温度センサは基板上に配置され、基準温度を取得する。複数の温度センサは基板上に複数の部品に対応させて配置され、それぞれ温度を取得する。演算処理部は、基準温度と、複数の温度センサにより取得した複数の温度と、複数の部品から基準温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第1の伝達関数と、複数の部品から各温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第2の伝達関数と、複数の部品から筐体の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第3の伝達関数とを用いて、外気温度を推定し外気温度に基づいて筐体の表面温度を推定する。
また、1つの実施態様では、電子装置の表面温度推定方法が提供される。また、1つの実施態様では、電子装置の表面温度推定プログラムが提供される。
1つの側面では、基板上の基準温度センサの位置にかかわらず、筐体の表面温度の推定精度を向上できる。
第1の実施の形態の電子装置の例を示す図である。 携帯端末装置のハードウェア例を示すブロック図である。 設計装置のハードウェア例を示すブロック図である。 熱源と温度センサの配置例を示す図である。 熱伝導の過渡応答を示す熱回路モデルの例を示す図である。 複数の熱源からの熱伝導の例を示す図である。 複数の温度センサの測定温度の変化例を示すグラフである。 熱源の動作時の測定温度の一例を示す図である。 熱源温度と基準温度との一例の関係を示す図である。 携帯端末装置が外部基準温度を取得する様子を示す図である。 CPU制御テーブルの例を示す図である。 携帯端末装置と設計装置の機能例を示すブロック図である。 熱源制御の手順例を示すフローチャートである。 外気温度推定の手順例を示すフローチャートである。 基準温度を外気温度とした場合の表面温度の推定例を示すグラフである。 外気温度を推定した場合の表面温度の推定例を示すグラフである。
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態の電子装置の例を示す図である。
第1の実施の形態の電子装置10は、人間がその表面に触れることのある装置である。電子装置10は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット端末、ノート型コンピュータなどの携帯型の端末装置である。電子装置10は、現在の表面温度を推定し、表面温度が高い場合には表面温度が下がるように構成部品を制御する(例えば、構成部品の処理速度を下げる)。
電子装置10は、筐体11、基板12、部品13,14を含む複数の部品、演算処理部15、温度センサ16,17,18を含む複数の温度センサ、基準温度センサ19を有する。
基板12は、筐体11に内蔵されている。部品13,14、演算処理部15、温度センサ16,17,18および基準温度センサ19は、基板12上に配置されている。なお、図1の例では、演算処理部15は、部品(熱源)の1つとして基板12上に配置されているが、筐体11の内側に配置されていればよく、基板12上に配置されていなくてもよい。
部品13,14は、電子装置10が有する複数の部品のうち比較的発熱量の大きい部品である。部品13,14の例として、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ、充電回路、無線インタフェースの電力増幅器などが挙げられる。図1には演算処理部15を含めると、3個の熱源となる部品が記載されているが、電子装置10は4個以上の部品を有していてもよい。
温度センサ16,17,18は、それが配置された位置の温度を測定(取得)する電子部品である。温度センサ16〜18の例として、サーミスタが挙げられる。温度センサ16は、部品13に対応して配置されており、温度センサ17は部品14に対応して配置されており、温度センサ18は、演算処理部15に対応して配置されている。例えば、温度センサ16は、他の部品よりも部品13に近い位置に配置される。同様に温度センサ17は、他の部品よりも部品14に近い位置に配置され、温度センサ18は、他の部品よりも演算処理部15に近い位置に配置される。図1には、3個の温度センサ16〜18が示されているが、電子装置10は、4個以上の部品と対応して、4個以上の温度センサを有していてもよい。
基準温度センサ19は、それが配置された位置の温度(基準温度)を測定(取得)する電子部品である。基準温度センサ19の例として、サーミスタが挙げられる。基準温度センサ19は、温度センサ16〜18と比べて、熱源である部品13,14、演算処理部15から離れている。熱源の温度変化が基準温度センサ19の測定温度に影響するまでの遅延時間は、温度センサ16〜18と比べて長いものとする。すなわち、後述する熱時定数は、基準温度センサ19の方が温度センサ16〜18よりも大きい。
演算処理部15は、温度センサ16〜18によって測定された測定温度16a,17a,18a、および基準温度センサ19によって測定された測定基準温度19aに基づいて、外気温度19bを推定する。また、演算処理部15は、温度センサ16〜18によって測定された測定温度16a〜18aおよび推定された外気温度19bに基づいて、筐体11の表面の所定位置における表面温度11aを推定する。
演算処理部15は、例えば、CPUやDSPなどのプロセッサである。ただし、演算処理部15は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの特定用途の電子回路を含んでもよい。プロセッサは、RAM(Random Access Memory)などのメモリに記憶されたプログラムを実行する。プログラムには、以下に説明する処理を記載した表面温度計算プログラムが含まれる。複数のプロセッサの集合(マルチプロセッサ)を「プロセッサ」と呼ぶこともある。
演算処理部15は、測定温度16a〜18aと、測定基準温度19aとを取得する。すると、演算処理部15は、予め定義された複数の伝達関数X1(s),X2(s),X3(s)、複数の伝達関数Hij(s)(iおよびjは1,2,3)を用いて、外気温度19bを推定(算出)する。なお、「s」は、周波数領域の変数を示している。
伝達関数X1(s)は、部品13から基準温度センサ19までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。伝達関数X2(s)は、部品14から基準温度センサ19までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。伝達関数X3(s)は、演算処理部15から基準温度センサ19までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。伝達関数Hij(s)は、j番目の部品(演算処理部15を含む)から、i番目の温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。例えば、部品13を1番目の部品、部品14を2番目の部品、演算処理部15を3番目の部品、温度センサ16を1番目の温度センサ、温度センサ17を2番目の温度センサ、温度センサ18を3番目の温度センサとする。このとき、例えば、i=1、j=2とした伝達関数H12(s)は、部品14から、温度センサ16までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。なお、熱抵抗や熱時定数の値は、例えば、電子装置10のメモリに記憶されている。
演算処理部15は、測定温度16a〜18aと、伝達関数X1(s)〜X3(s)、複数の伝達関数Hij(s)を用いることで、各熱源が発する熱による測定基準温度19aの上昇分を推定できる。そして、演算処理部15は、測定基準温度19aをその上昇分を用いて補正することで、外気温度19bを推定する。
演算処理部15は、推定した外気温度19bと、測定温度16a〜18aおよび、予め定義された複数の伝達関数G1(s),G2(s),G3(s)および複数の伝達関数Hij(s)を用いて、表面温度11aを推定(算出)する。
伝達関数G1(s)は、部品13から筐体11の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。伝達関数G2(s)は、部品14から筐体11の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。伝達関数G3(s)は、演算処理部15から筐体11の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される伝達関数である。
演算処理部15は、測定温度16a〜18aと、複数の伝達関数G1(s)〜G3(s)、複数の伝達関数Hij(s)を用いることで、各熱源が発する熱による表面温度11aの上昇分を推定できる。各熱源が発する熱による表面温度11aの上昇分の和と、推定した外気温度19bに基づく値との和により、表面温度11aが推定される。
演算処理部15は、推定した表面温度11aに基づいて熱源である部品13,14、または自身(演算処理部15)を制御する。例えば、演算処理部15は、表面温度11aが所定の閾値を超える場合、表面温度11aが下がるように部品13,14または自身の少なくとも一部の動作を制御する。ある部品がプロセッサである場合、演算処理部15は、当該プロセッサのクロック周波数の上限を引き下げるなどにより、演算速度を制限してもよい。また、ある部品が充電回路である場合、演算処理部15は、間欠的に充電を停止してもよい。また、ある部品が無線インタフェースである場合、演算処理部15は、当該無線インタフェースの通信速度の上限を引き下げるなど通信速度を制限してもよい。演算処理部15は、筐体11の表面の位置に応じた伝達関数G1(s)〜G3(s)の組を複数使用することで、筐体11の表面の複数の位置について表面温度を算出することもできる。その場合、例えば、演算処理部15は、複数の表面温度のうち最大の表面温度と所定の閾値とを比較して部品13,14または自身を制御する。
第1の実施の形態の電子装置10によれば、測定基準温度19a、測定温度16a〜18a、伝達関数X1(s)〜X3(s)および伝達関数Hij(s)に基づいて、外気温度19bが推定される。また、外気温度19b、測定温度16a〜18a、伝達関数Hij(s)および伝達関数G1(s)〜G3(s)に基づいて、筐体11の表面温度11aが推定される。
測定基準温度19aを筐体11の外部の外気温度とみなして表面温度11aを算出する場合、基準温度センサ19の位置によっては、測定基準温度19aが熱源の発熱の影響を受けてしまい、表面温度11aの推定精度が低下する可能性がある。これに対し、電子装置10によれば、測定基準温度19a、測定温度16a〜18a、伝達関数X1(s)〜X3(s)および伝達関数Hij(s)を用いることで、熱源の発熱が基準温度センサ19に与える影響を考慮して外気温度19bを推定できる。そして、推定した外気温度19bに基づいて表面温度11aを推定できるため、基板12上の基準温度センサ19の位置にかかわらず、筐体11の表面温度を正確に推定できる。そのため、例えば、筐体11が狭くて、基準温度センサ19の位置を熱源から十分離すことができなくても(測定基準温度19aが熱源の影響を受けても)、表面温度11aの推定精度を向上させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を説明する。
図2は、携帯端末装置のハードウェア例を示すブロック図である。
第2の実施の形態の携帯端末装置100は、ユーザがその表面に触れることのある携帯型の端末装置である。携帯端末装置100は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、PDA、タブレット端末、ノート型コンピュータなどである。なお、携帯端末装置100は、第1の実施の形態の電子装置10に対応する。
携帯端末装置100は、制御部111、RAM112、不揮発性メモリ113、無線インタフェース114、ディスプレイ115、タッチパネル116、撮像装置117、スピーカ118、マイクロホン119および媒体リーダ120を有する。また、携帯端末装置100は、電力制御部121、温度センサ122a,122b,122c,122d、バッテリ123および充電回路124を有する。
制御部111は、携帯端末装置100を制御する。制御部111は、CPU111a,111b、DSP111cおよびGPU111dを有する。
CPU111a,111bは、プログラムの命令を実行する演算回路を含むプロセッサである。CPU111a,111bは、不揮発性メモリ113に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部をRAM112にロードし、プログラムを実行する。CPU111a,111bは複数のCPUコアを有していてもよい。複数のCPUまたは複数のCPUコアを用いて、第2の実施の形態の処理を並列に実行することも可能である。
DSP111cは、デジタル信号を処理する。例えば、DSP111cは、無線インタフェース114から送信される送信信号や無線インタフェース114が受信する受信信号を処理する。また、例えば、DSP111cは、スピーカ118に出力する音声信号やマイクロホン119から入力される音声信号を処理する。GPU111dは、画像信号を処理する。例えば、GPU111dは、ディスプレイ115に表示する画像を生成する。
RAM112は、CPU111a,111bが実行するプログラムや演算に用いられるデータを一時的に記憶する揮発性の半導体メモリである。なお、携帯端末装置100は、RAM以外の種類のメモリを有してもよく、複数個のメモリを有してもよい。
不揮発性メモリ113は、OS(Operating System)やミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、および、データを記憶する不揮発性の記憶装置である。プログラムには、携帯端末装置100の表面温度を推定する表面温度計算プログラムが含まれる。不揮発性メモリ113として、例えば、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などが用いられる。ただし、携帯端末装置100は、HDD(Hard Disk Drive)など他の種類の不揮発性の記憶装置を有してもよい。
無線インタフェース114は、無線リンクを介して基地局やアクセスポイントなどの他の通信装置と通信する通信インタフェースである。ただし、携帯端末装置100は、有線ケーブルを介してスイッチやルータなどの他の通信装置と通信する有線インタフェースを有していてもよい。また、無線インタフェース114は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信機能を有していてもよい。無線インタフェース114は、送信信号を増幅する電力増幅器114aを有する。電力増幅器114aは、単に増幅器と言うこともあり、高出力増幅器(HPA:High Power Amplifier)と言うこともある。
ディスプレイ115は、制御部111からの命令に従って画像を表示する。ディスプレイ115として、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどが用いられる。
タッチパネル116は、ディスプレイ115に重ねて配置されている。タッチパネル116は、ディスプレイ115に対するユーザのタッチ操作を検出する。タッチパネル116は、指またはタッチペンによってタッチされた位置を検出し、検出した位置を制御部111に通知する。位置検出方法として、例えば、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが用いられる。ただし、携帯端末装置100は、キーパッドなど他の入力装置を有していてもよい。例えば、キーパッドは、1または2以上の入力キーを有する。キーパッドは、ユーザによる入力キーの押下を検出し、押下された入力キーを制御部111に通知する。
撮像装置117は、静止画像または動画像を撮像する。イメージセンサとして、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどが用いられる。撮像装置117は、撮像した画像を示す画像データをRAM112または不揮発性メモリ113に保存する。
スピーカ118は、制御部111から音声信号としての電気信号を取得し、電気信号を物理信号に変換して音を再生する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、通話相手の声や背景雑音が再生される。マイクロホン119は、音の物理信号を電気信号に変換し、音声信号としての電気信号を制御部111に出力する。例えば、ユーザが通話を行っているとき、当該ユーザの声や背景雑音がマイクロホン119から入力される。
媒体リーダ120は、記録媒体120aに記録されたプログラムやデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体120aとして、例えば、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDDなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)などが用いられる。媒体リーダ120は、記録媒体120aから読み取ったプログラムやデータをRAM112または不揮発性メモリ113に保存する。
電力制御部121は、制御部111および無線インタフェース114の動作レベルを変更して、制御部111および無線インタフェース114の消費電力を制御する。動作レベルが高いほど、消費電力が大きく発熱量も大きくなる。例えば、電力制御部121は、CPU111a,111bのクロック周波数を変更する。クロック周波数が高いほど、CPU111a,111bの演算能力が高くなり、消費電力や発熱量も大きくなる。また、例えば、電力制御部121は、無線インタフェース114の通信速度を変更する。通信速度が大きいほど、電力増幅器114aの消費電力や発熱量が大きくなる。
温度センサ122a〜122dは、その温度センサが配置された位置における温度を測定する。温度センサ122a〜122dとして、例えば、サーミスタが用いられる。温度センサ122aは、CPU111aの近くに配置されている。温度センサ122bは、充電回路124の近くに配置されている。温度センサ122cは、電力増幅器114aの近くに配置されている。温度センサ122dは、バッテリ123の近くに配置されている。温度センサ122a〜122dは、測定した温度を制御部111に通知する。
バッテリ123は、蓄電と放電を繰り返すことが可能な二次電池である。バッテリ123には、充電回路124によって電気エネルギーが蓄積される。バッテリ123は、蓄積した電気エネルギーを携帯端末装置100の構成部品に供給する。例えば、バッテリ123は、CPU111a,111bや無線インタフェース114に電気エネルギーを供給する。充電回路124は、携帯端末装置100の外部にある外部電源から電気エネルギーを取得し、電気エネルギーをバッテリ123に充電する。充電回路124による充電は、携帯端末装置100が外部電源に接続されたときに行われる。
ここで、ユーザが携帯端末装置100の表面に触れる可能性があるため、携帯端末装置100の表面温度が高くなり過ぎないことが好ましい。そこで、携帯端末装置100は、温度センサ122a〜122dを用いて表面温度を推定する。推定した表面温度が閾値を超えている場合、携帯端末装置100は、構成部品の動作レベルを下げて表面温度が下がるようにする。表面温度を推定するための推定式は、予め設計装置によって生成されて携帯端末装置100に保存される。
図3は、設計装置のハードウェア例を示すブロック図である。
第2の実施の形態の設計装置200は、携帯端末装置100の表面温度の推定に用いる各種パラメータの値を決定する。設計装置200によって生成されたパラメータの値は、予め携帯端末装置100の不揮発性メモリ113に保存される。ただし、設計装置200または他の装置からネットワーク経由で携帯端末装置100に推定式が送信されてもよい。設計装置200は、ユーザによって操作されるクライアントコンピュータなどのクライアント装置でもよいし、サーバコンピュータなどのサーバ装置でもよい。設計装置200は、CPU211、RAM212、HDD213、画像信号処理部214、入力信号処理部215、媒体リーダ216および通信インタフェース217を有する。
CPU211は、プログラムの命令を実行する演算回路を含むプロセッサである。CPU211は、HDD213に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部をRAM212にロードし、プログラムを実行する。RAM212は、CPU211が実行するプログラムやCPU211が演算に用いるデータを一時的に記憶する揮発性の半導体メモリである。HDD213は、OSやミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、および、データを記憶する不揮発性の記憶装置である。なお、設計装置200は、フラッシュメモリやSSDなどの他の種類の記憶装置を備えてもよい。
画像信号処理部214は、CPU211からの命令に従って、設計装置200に接続されたディスプレイ221に画像を出力する。入力信号処理部215は、設計装置200に接続された入力デバイス222から入力信号を取得し、CPU211に出力する。入力デバイス222としては、マウスやタッチパネルやタッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、リモートコントローラ、ボタンスイッチなどを用いることができる。また、設計装置200に、複数の種類の入力デバイスが接続されていてもよい。
媒体リーダ216は、記録媒体223に記録されたプログラムやデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体223として、例えば、フレキシブルディスクやHDDなどの磁気ディスク、CDやDVDなどの光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどが用いられる。媒体リーダ216は、例えば、記録媒体223から読み取ったプログラムやデータをRAM212またはHDD213に格納する。
通信インタフェース217は、ネットワーク224に接続され、ネットワーク224を介して他の装置と通信を行う。通信インタフェース217は、スイッチなどの通信装置とケーブルで接続される有線通信インタフェースでもよいし、基地局と無線リンクで接続される無線通信インタフェースでもよい。
次に、携帯端末装置100における熱の伝達について説明する。
図4は、熱源と温度センサの配置例を示す図である。
携帯端末装置100は、筐体101および基板102を有する。筐体101は、携帯端末装置100の構成部品を囲んでいる。筐体101の外側はユーザによって触れられる可能性がある。基板102は、筐体101の内側に配置されている。基板102上には、携帯端末装置100の構成部品の少なくとも一部が配置されている。基板102には、2以上の構成部品を電気的に接続する配線(例えば、銅線)が形成されている。
基板102上には、CPU111a、充電回路124および電力増幅器114aが配置されている。CPU111a、充電回路124および電力増幅器114aは、比較的発熱量の大きい構成部品であり、熱源と言うことができる。基板102上には、これら複数の熱源に対応付けて温度センサ122a〜122cが配置されている。温度センサ122aは、複数の熱源の中でCPU111aに最も近い位置にある。温度センサ122bは、複数の熱源の中で充電回路124に最も近い位置にある。温度センサ122cは、複数の熱源の中で電力増幅器114aに最も近い位置にある。
また、携帯端末装置100は、基準温度を測定する温度センサ122dを有する。温度センサ122dは、温度センサ122a〜122cと比べて、熱源であるCPU111a、充電回路124および電力増幅器114aから離れている。熱源の温度変化が温度センサ122dの測定温度に影響するまでの遅延時間は、温度センサ122a〜122cと比べて長いものとする。すなわち、熱時定数は、温度センサ122dの方が温度センサ122a〜122cよりも大きい。温度センサ122dは、基板102上に配置されている。
CPU111aの熱は、基板102を介して温度センサ122a〜122dに伝達する。ただし、温度センサ122aがCPU111aに最も近いため、CPU111aの熱は温度センサ122aの測定温度に最も大きく影響を与える。同様に、充電回路124の熱は、基板102を介して温度センサ122a〜122dに伝達する。ただし、温度センサ122bが充電回路124に最も近いため、充電回路124の熱は温度センサ122bの測定温度に最も大きく影響を与える。電力増幅器114aの熱は、基板102を介して温度センサ122a〜122dに伝達する。ただし、温度センサ122cが電力増幅器114aに最も近いため、電力増幅器114aの熱は温度センサ122cの測定温度に最も大きく影響を与える。
また、CPU111a、充電回路124および電力増幅器114aの熱は、基板102と筐体101の間に存在する有形物質または空間を介して、筐体101の表面に伝達する。筐体101の表面のうち表面温度が最大になる位置は、CPU111a、充電回路124および電力増幅器114aの発熱量の組み合わせに依存する。よって、表面温度が最大になる位置は固定ではなく、構成部品の使用状況に応じて変化する。
なお、CPU111aは、第1の実施の形態の演算処理部15に対応する。充電回路124は、第1の実施の形態の部品13に対応する。電力増幅器114aは、第1の実施の形態の部品14に対応する。温度センサ122aは、第1の実施の形態の温度センサ18に対応し、温度センサ122bは、第1の実施の形態の温度センサ16に対応し、温度センサ122cは、第1の実施の形態の温度センサ17に対応する。また、温度センサ122dは、第1の実施の形態の基準温度センサ19に対応する。
ここで、最初に、基板102上の熱源が1つのみである場合の熱伝達モデルについて説明する。一例として、充電回路124と電力増幅器114aの発熱量が無視できるほど小さく、CPU111aのみが熱源である場合を考える。
なお、以下では、まず、温度センサ122dの測定温度(基準温度)が外気温度と等しいものと仮定した場合について説明する。
熱源であるCPU111aの熱が温度センサ122aに伝達する。CPU111aから温度センサ122aには徐々に熱が伝達するため、温度センサ122aの測定温度には非定常状態としての過渡応答が発生する。また、熱源であるCPU111aの熱が筐体101の表面に伝達する。CPU111aから筐体101の表面には徐々に熱が伝達するため、筐体101の表面温度には非定常状態としての過渡応答が発生する。ここでは、CPU111aから温度センサ122aへの過渡応答と、CPU111aから筐体101への過渡応答の両方を考慮した熱伝達モデルを考える。
温度センサ122aの測定温度Ts1は、数式(1)のように定義することができる。Ts0は、温度センサ122dの測定温度(基準温度)を表し、Th1は、CPU111aの温度を表している。H(s)は、CPU111aの温度を温度センサ122aの測定温度に変換する周波数領域上の伝達関数である。H(s)は、過渡応答を考慮した伝達関数であり、パラメータとしてkHとτHを含む。kHは熱伝達係数(第1の実施の形態の熱抵抗に相当する)であり、τHは熱時定数である。kH,τHの値は設計装置200を用いて予め算出する。例えば、kH=0.500,τH=40である。
Figure 0006703273
図5は、熱伝導の過渡応答を示す熱回路モデルの例を示す図である。
伝達関数H(s)は、図5に示した熱回路モデルから導出される。この熱回路モデルは、CPU111aと温度センサ122aの間に存在するものとみなされる。熱回路モデルは、熱抵抗21、熱容量22および熱増幅器23を有する。熱抵抗21の大きさはRHである。熱容量22の大きさはCHである。RHとCHの積が熱時定数τHである。熱増幅器23の増幅率はkHである。熱抵抗21の入力は、熱回路モデルの入力である。熱抵抗21の出力は、熱容量22の入力と熱増幅器23の入力に接続されている。熱容量22の出力はアースに接続されている。熱増幅器23の出力は、熱回路モデルの出力である。
熱抵抗21の入力が「0」から「1」に急激に変化したとする。すると、熱増幅器23の出力は「0」から「kH」に変化する。ただし、熱増幅器23の出力は急激には変化せず、「0」から「kH」に向かって徐々に変化する。熱増幅器23の出力が変化し始めてから「kH」に十分近づくまでの遅延時間が熱時定数τHである。よって、温度センサ122aの測定温度は、熱伝達係数kHが大きいほど大きくなり、熱伝達係数kHが小さいほど小さくなる。また、CPU111aの発熱量が変化したときの温度センサ122aの測定温度の変化は、熱時定数τHが小さいほど速くなり、熱時定数τHが大きいほど遅くなる。
CPU111aから筐体101への熱伝達についても、CPU111aから温度センサ122aへの熱伝達と同様の熱回路モデルを用いてモデル化することができる。ただし、熱伝達係数や熱時定数などのパラメータの値は、前者と後者とで異なる。
筐体101の表面温度Tsurfaceは、数式(2)のように定義することができる。G(s)は、CPU111aの温度を筐体101の表面温度に変換する周波数領域上の伝達関数である。G(s)は、過渡応答を考慮した伝達関数であり、パラメータとしてkGとτGを含む。kGは熱伝達係数であり、τGは熱時定数である。kG,τGの値は設計装置200を用いて予め算出する。例えば、kG=0.425,τG=85である。
Figure 0006703273
筐体101の表面温度Tsurfaceは、数式(1)と数式(2)とから数式(3)のように定義することができる。また、ある時点の筐体101の表面温度Tsurface(t)は、逆ラプラス変換を用いて数式(4)のように定義することができる。
Figure 0006703273
Figure 0006703273
逆ラプラス変換を差分方程式に展開すると、数式(4)は数式(5)のように変換することができる。数式(5)の右辺の第1項は、温度センサ122aの測定温度から基準温度を引いたものであり、右辺の第2項は、温度センサ122aのΔt時間前の測定温度からΔt時間前の基準温度を引いたものである。Δtは測定周期であり、例えば、10秒程度とする。t−Δtは、前回の測定タイミングを意味する。
Figure 0006703273
右辺の第3項は、筐体101のΔt時間前の表面温度からΔt時間前の基準温度を引いたものであり、右辺の第1項には係数a0、右辺の第2項には係数a1、右辺の第3項には係数b1が掛けられる。a0,a1,b1は、kH,kG,τH,τGを用いて数式(5)のように定義される。これにより、温度センサ122aの測定温度、基準温度、温度センサ122aの前回の測定温度、前回の基準温度、および、筐体101の前回の表面温度の推定値を用いて、筐体101の表面温度を推定できる。
次に、上記の熱伝達モデルを熱源が複数存在する場合に拡張することを試みる。
図6は、複数の熱源からの熱伝導の例を示す図である。
CPU111aの温度をTh1とする。CPU111aの熱は、伝達関数H11(s)を介して温度センサ122aに伝達し、伝達関数H21(s)を介して温度センサ122bに伝達し、伝達関数H31(s)を介して温度センサ122cに伝達する。同様に、充電回路124の温度をTh2とする。充電回路124の熱は、伝達関数H12(s)を介して温度センサ122aに伝達し、伝達関数H22(s)を介して温度センサ122bに伝達し、伝達関数H32(s)を介して温度センサ122cに伝達する。電力増幅器114aの温度をTh3とする。電力増幅器114aの熱は、伝達関数H13(s)を介して温度センサ122aに伝達し、伝達関数H23(s)を介して温度センサ122bに伝達し、伝達関数H33(s)を介して温度センサ122cに伝達する。
温度センサ122aの測定温度をTs1とする。Ts1は、CPU111aからの寄与と充電回路124からの寄与と電力増幅器114aからの寄与とを合成したものとなる。よって、Ts1は、数式(6)のように定義することができる。Hij(s)はj番目の熱源からi番目の温度センサへの熱伝達を表す伝達関数である。kHijはj番目の熱源からi番目の温度センサへの熱伝達係数であり、τHijはj番目の熱源からi番目の温度センサへの熱時定数である。kHij,τHijの値は設計装置200を用いて予め算出する。
Figure 0006703273
同様に、温度センサ122bの測定温度をTs2とする。Ts2は、CPU111aからの寄与と充電回路124からの寄与と電力増幅器114aからの寄与とを合成したものとなる。温度センサ122cの測定温度をTs3とする。Ts3は、CPU111aからの寄与と充電回路124からの寄与と電力増幅器114aからの寄与とを合成したものとなる。よって、Ts1,Ts2,Ts3は、数式(7)のように行列形式で表現できる。行列Hは伝達関数の行列である。行列Hのi行j列の要素はHij(s)であり、j番目の熱源からi番目の温度センサへの熱伝達を表す。
Figure 0006703273
また、CPU111aの熱は、伝達関数G1(s)を介して筐体101の表面に伝達する。充電回路124の熱は、伝達関数G2(s)を介して筐体101の表面に伝達する。電力増幅器114aの熱は、伝達関数G3(s)を介して筐体101の表面に伝達する。
筐体101の表面温度をTsurとする。Tsurは、CPU111aからの寄与と充電回路124からの寄与と電力増幅器114aからの寄与とを合成したものとなる。よって、Tsurは、数式(8)のように定義することができる。Gi(s)はi番目の熱源から筐体101への熱伝達を表す伝達関数である。kGiは、i番目の熱源から筐体101への熱伝達係数であり、τG1i,τG2iはi番目の熱源から筐体101への材質(例えば、基板102の材質と、基板102と筐体101間の空気)毎の熱時定数である。kGi,τG1i,τG2iの値は設計装置200を用いて予め算出する。
Figure 0006703273
数式(8)は行列形式で表現できる。数式(7)を用いてTh1,Th2,Th3を展開すると、数式(9)のように表現することができる。
Figure 0006703273
Hの逆行列は数式(10)のように定義される。ただし、数式(10)では各伝達関数の引数sは省略している。Δは固有値であり、Δ=(H1122−H1221)H33+(H1321−H1123)H32+(H1223−H1322)H31である。
Figure 0006703273
ここで、数式(10)に表れる伝達関数Hij(s)は熱時定数τHijを含んでいる。そのため、Hの逆行列と温度センサ122a〜122cの相対温度との積の計算量が膨大になってしまい、携帯端末装置100の負荷が過大になるという問題がある。数式(9)によってTsurを算出する場合、6次のフィルタ計算を9回行うことになる。一般に、熱源と温度センサの組がn個(nは2以上の整数)存在する場合、2n次のフィルタ計算をn2回行うことになる。
そこで、第2の実施の形態では、携帯端末装置100は近似的に計算量の少ない方法でTsurを算出することとする。具体的には、携帯端末装置100は、温度センサ122a〜122cの測定温度からCPU111aと充電回路124と電力増幅器114aの熱源温度を推定するときには、基板102上の過渡応答を考慮しない伝達関数を使用する。そして、携帯端末装置100は、CPU111aと充電回路124と電力増幅器114aの熱源温度から筐体101の表面温度を推定するときに、基板102から筐体101への過渡応答を考慮すると共に、基板102上の伝達遅延も考慮した伝達関数を使用する。このような近似計算は、以下の熱伝達の性質を利用している。
図7は、複数の温度センサの測定温度の変化例を示すグラフである。
グラフ31は、基準温度からの温度センサ122a〜122cの温度(T)の変化を表している。曲線31aは、CPU111aの近くにある温度センサ122aの測定温度Ts1の変化を表す。曲線31bは、充電回路124の近くにある温度センサ122bの測定温度Ts2の変化を表す。曲線31cは、電力増幅器114aの近くにある温度センサ122cの測定温度Ts3の変化を表す。
グラフ31に示すように、充電回路124が動作を開始すると、すぐに温度センサ122a〜122cの測定温度Ts1〜Ts3が上昇し始める。また、充電回路124が動作を停止すると、すぐに温度センサ122a〜122cの測定温度Ts1〜Ts3が下降し始める。同様に、CPU111aが動作を開始すると、すぐに温度センサ122a〜122cの測定温度Ts1〜Ts3が上昇し始める。また、CPU111aが動作を停止すると、すぐに温度センサ122a〜122cの測定温度Ts1〜Ts3が下降し始める。
このように、熱源温度の変化に対して、温度センサ122a〜122cの測定温度Ts1〜Ts3の変化の遅延は比較的小さく、応答速度が速い。すなわち、温度センサ122a〜122cの測定温度Ts1〜Ts3の熱時定数は、筐体101の表面温度と比べて小さい。また、温度センサ122a〜122cの間で応答速度のばらつきも小さい。これは、基板102には銅線など熱抵抗の小さい物質が使用されており、各熱源から温度センサ122a〜122cへの熱伝達が速くなるためである。
そこで、行列Hの逆行列を近似的に数式(11)のように分解する。これは、伝達関数Hij(s)の分子であるkHijと分母である1+sτHijを分解することを意味する。数式(11)の右辺の演算子はアダマール積であり、通常の行列積と異なり、対応する行列要素毎に積を求める演算子である。右辺の第2項は、熱伝達係数KHijを含み、熱時定数を含まない行列の逆行列であり、熱源温度の推定に用いられる。右辺の第1項は、熱源毎に1つの熱時定数を含む行列であり、熱源温度から表面温度を推定するときに用いられる。
Figure 0006703273
第2項を用いて熱源温度を推定することは、非定常状態としての過渡応答を考慮せず、定常状態を仮定することを意味する。これにより、熱源温度の推定の計算量を大きく削減することができる。第2項を用いて推定される熱源温度は、熱源から温度センサ122a〜122cへの熱伝達の遅延を無視しているため、温度センサ122a〜122cによる温度測定時よりも所定時間前の熱源温度に相当する。そこで、熱源温度から表面温度を推定する伝達関数に、第1項が組み込まれる。これは、表面温度を推定するときに、熱源温度の推定遅延を考慮することを意味する。
数式(11)では、CPU111aに対応する熱時定数τH1と、充電回路124に対応する熱時定数τH2と、電力増幅器114aに対応する熱時定数τH3とが使用されている。ただし、基板102上の熱時定数は小さいため、τH1,τH2,τH3として同じ値を用いてもよい。τHiの値は設計装置200を用いて予め算出する。
上記の近似計算によれば、熱源の温度Th1,Th2,Th3は、数式(12)のように算出することができる。行列Kは、基板102上の近似的な伝達関数の行列である。行列Kのi行j列の要素はkHijであり、j番目の熱源からi番目の温度センサへの熱時定数を無視した熱伝達を表す。行列Kは、数式(13)のように定義される。Δは固有値であり、Δ=(kH11H22−kH12H21)kH33+(kH13H21−kH11H23)kH32+(kH12H23−kH13H22)kH31である。過渡応答を考慮しないため、行列KとTs1,Ts2,Ts3との積の計算量は、Hの逆行列とTs1,Ts2,Ts3との積の計算量と比べて大きく減少する。
Figure 0006703273
Figure 0006703273
そして、上記の近似計算によれば、筐体101の表面温度Tsurは、数式(9)と数式(12)とから数式(14)のように表現できる。
Figure 0006703273
また、数式(14)は、数式(15)のように展開できる。
Figure 0006703273
ところで熱源から温度センサ122a〜122cまでの熱時定数と比べて、熱源から温度センサ122dまでの熱時定数が大きい。そのため、数式(15)において、Gi(s)(1+sτHi)が時間無限大(ラプラス変換の最終値の定理によりs→0に相当する)のときkGiとなることを利用して、Tsurは、数式(16)のように表現できる。
Figure 0006703273
以上の説明では、基準温度Ts0が、外気温度と等しいものとしているが、温度センサ122dの位置によっては、測定される基準温度が熱源の発熱の影響を受けてしまうことがある。例えば、電子装置の小型化によって熱源と基準温度センサとの距離が小さくならざるを得ず、測定される基準温度が熱源の発熱の影響を受けることがある。この場合、表面温度の推定精度が低下する。
そこで、第2の実施の形態の携帯端末装置100は、以下のように外気温度を推定する。
以下、携帯端末装置100による外気温度の推定方法について説明する。
温度センサ122dの測定温度(基準温度)Ts0と外気温度TGとの関係は、数式(17)のように表現できる。X1(s)は、CPU111aから温度センサ122dへの熱伝達を表す伝達関数である。X2(s)は、充電回路124から温度センサ122dへの熱伝達を表す伝達関数である。X3(s)は、電力増幅器114aから温度センサ122dへの熱伝達を表す伝達関数である。kXiはi番目の熱源から温度センサ122dへの熱伝達係数であり、τXiはi番目の熱源から温度センサ122dへの熱時定数である。kXi,τXiの値は設計装置200を用いて予め算出する。
Figure 0006703273
基準温度Ts0は、前述したHの逆行列を用いて、数式(18)のように表現できる。
Figure 0006703273
数式(18)のHの逆行列は、前述した数式(11)のように近似できるため、数式(18)は、数式(12)〜数式(16)と同様に式を変形していくことができ、数式(19)のように表現できる。
Figure 0006703273
基準温度Ts0は、温度センサ122dの測定温度であるため、外気温度TGは、数式(20)から算出できる。
Figure 0006703273
したがって、数式(16)において、基準温度Ts0の代わりに、算出した外気温度TGを用いると、Tsurは、数式(21)のように算出できる。
Figure 0006703273
次に、設計装置200による伝達関数Xi(s),Hij(s),Gi(s)に用いられるパラメータの値の決定方法の例を説明する。
設計装置200は、携帯端末装置100の実機またはサンプル実装を用いて、各熱源を単独で動作させたときの温度センサ122a〜122cの測定温度、熱電対などで測定した筐体101の表面温度、および外気温度を取得する。
図8は、熱源の動作時の測定温度の一例を示す図である。縦軸は消費電力Pおよび温度Tを表し、横軸は時間t(単位はsec(秒))を表している。
波形40は、熱源の消費電力を表し、波形41は、熱源に対応して配置されている温度センサ(温度センサ122a〜122cの何れか)の測定温度を表している。
図8の例では、ある熱源がt=100〜500[sec]の間、ステップ動作している。熱源が動作を開始するとその熱源に対応して配置されている温度センサの測定温度が上昇する。設計装置200は、熱源の動作時において、例えば、定常状態の測定温度を取得する。
CPU111aを単独で動作させる場合には、例えば、CPU111aにベンチマークソフトを起動させる。電力増幅器114aを単独で動作させる場合には、例えば、電力増幅器114aに、無線入力信号を最小値から最大値に変更させる。充電回路124を単独で動作させる場合には、例えば、充電回路124に急速充電を開始させる。
CPU111aが単独で動作するときの、筐体101の表面温度Tsur1は、数式(22)のように表現できる。電力増幅器114aが単独で動作するときの、筐体101の表面温度Tsur2は、数式(23)のように表現できる。充電回路124が単独で動作するときの、筐体101の表面温度Tsur3は、数式(24)のように表現できる。
Figure 0006703273
Figure 0006703273
Figure 0006703273
なお、数式(22)〜数式(24)では、kH11=kH22=kH33=1、τH11=τH21=τH31=τH1、τH12=τH22=τH32=τH2、τH13=τH23=τH33=τH3としている。
設計装置200は、各熱源を単独で動作させたときの温度センサ122a〜122cの測定温度、熱電対などで測定した筐体101の表面温度、および外気温度を取得する。そして、設計装置200は、数式(22)〜数式(24)に基づいて、kG1,kG2,kG3,τG11,τG21,τG22,τG12,τG23,τG13,τH1,τH2,τH3を決定する。
例えば、CPU111aを単独で動作させたときの、筐体101の表面温度の測定値を、Tsur.mesとしたとき、数式(25)で示されるTsur.mesと、Tsur1との二乗誤差Eが最小になるようにkG1,τG11,τG21,τH1が決定される。
Figure 0006703273
CPU111aが単独で動作するときの基準温度Ts01は、数式(26)のように表現できる。電力増幅器114aが単独で動作するときの基準温度Ts02は、数式(27)のように表現できる。充電回路124が単独で動作するときの基準温度Ts03は、数式(28)のように表現できる。
Figure 0006703273
Figure 0006703273
Figure 0006703273
設計装置200は、各熱源を単独で動作させたときの温度センサ122a〜122dの測定温度、熱電対などで測定した外気温度を取得する。そして、設計装置200は、数式(26)〜数式(28)に基づいて、kX1,kX2,kX3,τX1,τX2,τx3,τH1,τH2,τH3を決定する。
例えば、CPU111aを単独で動作させたときの、温度センサ122dの測定温度(基準温度)と、Ts01との二乗誤差が最小になるようにkX1,τX1,τH1が決定される。
なお、τH1,τH2,τH3は、数式(22)〜数式(24)に基づいて既に決定している場合には、それらの値を用いてもよい。
数式(13)に示したような行列Kに含まれるパラメータは、熱源による温度上昇が収束したときのTs1,Ts2,Ts3,TGから以下のように算出できる。
CPU111aが単独で動作するときのTs1,Ts2,Ts3,TGから、kH21=(Ts2−TG)/(Ts1−TG)、kH31=(Ts3−TG)/(Ts1−TG)が得られる。
電力増幅器114aが単独で動作するときのTs1,Ts2,Ts3,TGから、kH12=(Ts1−TG)/(Ts2−TG)、kH32=(Ts3−TG)/(Ts2−TG)が得られる。
充電回路124が単独で動作するときのTs1,Ts2,Ts3,TGから、kH13=(Ts1−TG)/(Ts3−TG)、kH23=(Ts2−TG)/(Ts3−TG)が得られる。
以上のように設計装置200にて算出されたパラメータの値は、携帯端末装置100に格納されることになる。
ところで、携帯端末装置100は、後述する差分方程式を計算する際、1つ前のサンプリング時刻における各熱源からTs0への寄与を示す遅延データを使用する。しかし、携帯端末装置100の休止状態からの復帰時(再起動時(初回起動時も含む))には、その遅延データがない。そのため、外気温度TGの初期値が決まらない。
熱時定数τXiは、比較的大きいため、再起動時には、各熱源による熱が残っていてTs0が外気温度TGよりも高い場合もある。このような場合も考慮して、再起動時の外気温度TGの初期値の定義を適切に設定し、外気温度TGを推定するための計算の収束速度が遅くならないようにすることが望ましい。
以下、初期値設定方法の4つの例を説明する。
図9は、熱源温度と基準温度との一例の関係を示す図である。縦軸は温度Tを表し、横軸は時間tを表している。
波形42は、熱源の温度を表し、波形43は、温度センサ122dが測定した基準温度を表している。なお、波形43は、例えば、熱源であるCPU111a、電力増幅器114a、充電回路124を、同時に動作させたときの、各熱源からの寄与によって変化する基準温度を表している。
初期値設定の1つ目の方法は、携帯端末装置100の再起動時には、十分冷却されており、TG=Ts0であると仮定する方法である。つまり、図9の温度T1を外気温度TGの初期値とする方法である。
この場合、前述の数式(19)は、数式(29)のように変形できる。
Figure 0006703273
数式(29)の右辺の1項目は、時間変動項である。数式(13)と数式(29)とから、この時間変動項の初期値は、数式(30)のように表現できる。なお、数式(30)では、初期値が列ベクトルで表現されているが、行列計算上、初期値は、列ベクトルの各要素の和として定義される。以下も同様である。
Figure 0006703273
この時間変動項の初期値を用いることで、数式(20)より、TGの初期値が算出できる。
初期値設定の2つ目の方法は、携帯端末装置100は、休止前に基準温度Ts0が、飽和温度(図9の温度T2)まで上昇しており、再起動時には、あまり冷却されていないと仮定する方法である。
この場合、数式(19)の右辺の1項目である時間変動項において、時間を無限大としたときの値(ラプラス変換の最終値の定理によりs→0とすることに対応)は、数式(31)のように表現できる。
Figure 0006703273
この時間変動項の初期値を用いることで、数式(20)より、TGの初期値が算出できる。
初期値設定の3つ目の方法は、上記2つの方法で得られる2つの初期値の中間値(図9の例では、(T1+T2)/2)を、外気温度TGの初期値とする方法である。この方法では、上記2つの方法で上記の仮定が成立しない場合に外気温度TGを推定するための計算の収束速度が遅くなるリスクを緩和できる。
3つ目の方法では、数式(19)の右辺の1項目である時間変動項の初期値を、数式(32)のように算出する。
Figure 0006703273
初期値設定の4つ目の方法は、携帯端末装置100が、通信機能を備えた温度計などの外部センサで測定された温度(以下外部基準温度という)を、外気温度TGの初期値として取得する方法である。
図10は、携帯端末装置が外部基準温度を取得する様子を示す図である。
携帯端末装置100は、再起動時、近距離無線通信機能によって、外部センサ300で測定された外部基準温度TGiniを外気温度TGの初期値として取得する。
4つ目の方法では、数式(19)の右辺の1項目である時間変動項の初期値を、数式(33)のように算出する。
Figure 0006703273
初期値設定の4つ目の方法では、実際に外部センサ300で測定した精度のよい外気温度を初期値として用いることができる。
なお、携帯端末装置100は、定期的に(負荷を抑えるために表面温度を推定する周期よりも長い周期で)外部センサ300から外気温度の時系列データを取得し、前述の方法で推定した外気温度TGを補正してもよい。
次に、携帯端末装置100による表面温度の推定方法について説明する。
携帯端末装置100は、温度センサ122a〜122dの測定温度や、数式(20)に含まれるパラメータの値を取得する。すると、携帯端末装置100は、数式(20)に従って、外気温度TGを推定する。
ある時刻の外気温度TGは、数式(20)の右辺を逆ラプラス変換することで算出できる。外気温度TGの時間変動項は、数式(34)のように表現できる。なお、数式(34)では、時間変動項は列ベクトルで表現されているが、行列計算上、時間変動項は、列ベクトルの各要素の和として定義される。
Figure 0006703273
外気温度TGの時間変動項の逆ラプラス変換は、差分方程式を用いて、数式(35)のように時間領域上の計算に展開することができる。
Figure 0006703273
数式(35)において、xi(t−Δt)、yi(t−Δt)は、Δt時間前のxiとyiの値である遅延データである。このような遅延データと、数式(35)に含まれるa0i,a1i,b1i,b0iも、数式(35)を計算する際に用いるために、携帯端末装置100に記憶される。なお、a0i,a1i,b1i,b0iは、予め設計装置200で計算され、携帯端末装置100に記憶される。数式(35)から、時間変動項は、y1(t)+y2(t)+y3(t)となり、数式(20)から、外気温度TGは、(Ts0−(y1(t)+y2(t)+y3(t)))/βとなる。
その後、携帯端末装置100は、推定した外気温度TGを用いて、数式(21)に従って、表面温度Tsurを推定する。ある時刻の表面温度Tsurは、数式(21)の右辺を逆ラプラス変換することで算出できる。表面温度Tsurの時間変動項は、数式(36)のように表現できる。なお、数式(36)でも、時間変動項は列ベクトルで表現されているが、行列計算上、時間変動項は、列ベクトルの各要素の和として定義される。
Figure 0006703273
表面温度Tsurの時間変動項の逆ラプラス変換は、差分方程式を用いて、数式(37)のように時間領域上の計算に展開することができる。
Figure 0006703273
数式(37)において、xi(t−Δt)、y* i(t−Δt)は、Δt時間前のxiとy* iの値である遅延データであり、xi(t−2Δt)、y* i(t−2Δt)は、2Δt時間前のxiとy* iの値である遅延データである。このような遅延データと、数式(37)に含まれるa* 0i,a* 1i,a* 2i,b* 1i,b* 2i,b* 0iも、数式(37)を計算する際に用いるために、携帯端末装置100に記憶される。なお、a* 0i,a* 1i,a* 2i,b* 1i,b* 2i,b* 0iは、予め設計装置200で計算され、携帯端末装置100に記憶される。
その後、携帯端末装置100は、推定した表面温度に基づいて熱源を制御する。表面温度の推定値が閾値を超えた場合、携帯端末装置100は、表面温度が下がるように1または2以上の熱源の動作レベルを制限する。2以上の位置の表面温度を推定した場合、携帯端末装置100は、推定した表面温度の最大値と閾値とを比較する。例えば、携帯端末装置100は、表面温度の推定値が閾値を超えた場合、CPU111aのクロック周波数を下げる。
図11は、CPU制御テーブルの例を示す図である。
CPU制御テーブル44は、CPU111aの動作レベルの仕様を示す。携帯端末装置100は、CPU111aの動作レベルを制御するために、CPU制御テーブル44を保持していてもよい。CPU制御テーブル44は、制限ステップとクロック周波数とを対応付ける。制限ステップは、CPU111aの演算能力の制限の強さを表す整数である。制限ステップ=0は制限なしを意味し、制限ステップ=5は最大の制限を意味する。
例えば、制限ステップ=0では、CPU111aがクロック周波数2.0GHzで動作する。制限ステップ=1では、CPU111aがクロック周波数1.8GHzで動作する。制限ステップ=2では、CPU111aがクロック周波数1.6GHzで動作する。制限ステップ=3では、CPU111aがクロック周波数1.4GHzで動作する。制限ステップ=4では、CPU111aがクロック周波数1.2GHzで動作する。制限ステップ=5では、CPU111aがクロック周波数1.0GHzで動作する。制限ステップが小さいほどクロック周波数が高いため、演算能力が高く発熱量が大きくなる。制限ステップが大きいほどクロック周波数が低いため、演算能力が低く発熱量が小さくなる。
同様に、携帯端末装置100は、推定した表面温度に基づいて充電回路124のONとOFFを切り替えるようにしてもよい。例えば、携帯端末装置100は、表面温度の推定値が閾値を超えた場合、充電回路124をOFFにして充電を中断する。また、携帯端末装置100は、推定した表面温度に基づいて無線インタフェース114の通信速度を制限してもよい。例えば、携帯端末装置100は、表面温度の推定値が閾値を超えた場合、無線インタフェース114の通信速度を下げる。
次に、携帯端末装置100と設計装置200の機能について説明する。
図12は、携帯端末装置と設計装置の機能例を示すブロック図である。
携帯端末装置100は、パラメータ記憶部131、遅延データ記憶部132、温度測定部133、外気温度推定部134、表面温度推定部135および熱源制御部136を有する。パラメータ記憶部131および遅延データ記憶部132は、例えば、RAM112または不揮発性メモリ113に確保した記憶領域を用いて実装される。温度測定部133、外気温度推定部134、表面温度推定部135および熱源制御部136は、例えば、CPU111aまたはCPU111bが実行するプログラムモジュールを用いて実装される。
パラメータ記憶部131は、設計装置200が決定した熱伝達係数、熱時定数や差分方程式を計算するために用いられる係数などの各種パラメータの値を記憶する。パラメータの値は、携帯端末装置100の製造時または出荷時にパラメータ記憶部131に格納されてもよい。また、パラメータの値は、記録媒体120aに格納されて携帯端末装置100に配布されてもよい。また、パラメータの値は、無線ネットワークを介してサーバ装置から携帯端末装置100に配布されてもよい。遅延データ記憶部132は、前述の差分方程式に含まれる遅延データを記憶する。
温度測定部133は、周期Δt(例えば、Δt=10秒)で定期的に、温度センサ122a〜122dの測定温度を取得する。
外気温度推定部134は、周期Δtで定期的に外気温度を推定する。具体的には、外気温度推定部134は、温度測定部133から温度センサ122a〜122dの測定温度を取得する。外気温度推定部134は、取得した温度センサ122a〜122dの測定温度、パラメータ記憶部131に記憶されたパラメータの値、遅延データ記憶部132に記憶された遅延データに基づいて、数式(35)の差分方程式を用いて外気温度を算出する。また、外気温度推定部134は、外気温度推定の結果を用いて、遅延データ記憶部132に記憶された遅延データを更新する。具体的には、外気温度推定部134は、数式(35)のyi(t)をyi(t−Δt)とし、xi(t)をxi(t−Δt)とし、遅延データ記憶部132に記憶する。
なお、外気温度推定部134は、外気温度の初期値を、前述の4つの方法の何れかで決定する。
表面温度推定部135は、周期Δtで定期的に筐体101の表面温度を推定する。具体的には、表面温度推定部135は、温度測定部133から温度センサ122a〜122cの測定温度を取得する。表面温度推定部135は、取得した温度センサ122a〜122cの測定温度、パラメータ記憶部131に記憶されたパラメータの値、遅延データ記憶部132に記憶された遅延データに基づいて、数式(37)の差分方程式を用いて筐体101の表面温度を算出する。表面温度推定部135は、異なるパラメータを用いて複数位置の表面温度を算出することもできる。表面温度推定部135は、表面温度推定の結果を用いて、遅延データ記憶部132に記憶された遅延データを更新する。具体的には、表面温度推定部135は、数式(37)のy* i(t)をy* i(t−Δt)とし、y* i(t−Δt)をy* i(t−2Δt)とし、x* i(t)をx* i(t−Δt)とし、x* i(t−Δt)をx* i(t−2Δt)として遅延データ記憶部132に記憶する。
熱源制御部136は、表面温度推定部135によって推定された表面温度に基づいて、熱源である携帯端末装置100の構成部品を制御する。表面温度推定部135が定期的に複数の表面温度を算出している場合、熱源制御部136は、算出された表面温度の中から最大の表面温度を選択する。熱源制御部136は、表面温度推定部135から取得した1つの表面温度または選択した1つの表面温度と、所定の閾値とを比較する。表面温度が閾値を超えている場合、熱源制御部136は、熱源の動作レベルを制限する。
例えば、熱源制御部136は、図11に示したCPU制御テーブル44に従って、CPU111aの制限ステップを増加させる。これにより、CPU111aのクロック周波数が下がる。また、例えば、熱源制御部136は、無線インタフェース114の通信速度を下げる。また、例えば、熱源制御部136は、充電回路124による充電を中断させる。CPU111aおよび無線インタフェース114の動作レベルは、例えば、CPU111aが電力制御部121に指示することで電力制御部121を介して制御される。
設計装置200は、パラメータ記憶部231、温度データ取得部232および伝達関数生成部233を有する。パラメータ記憶部231は、例えば、RAM212またはHDD213に確保した記憶領域を用いて実装される。温度データ取得部232および伝達関数生成部233は、例えば、CPU211が実行するプログラムモジュールを用いて実装される。
パラメータ記憶部231は、前述したパラメータの値の決定方法によって決定された、熱伝達係数および熱時定数の他、差分方程式を計算するために用いられる係数などの各種パラメータの値を記憶する。パラメータの値は、携帯端末装置100の製造時または出荷時に携帯端末装置100の不揮発性メモリ113に格納されてもよい。また、パラメータの値は、記録媒体120aに格納されてもよく、ネットワーク経由で配信されてもよい。
温度データ取得部232は、携帯端末装置100の実機またはサンプル実装を用いて測定した各種の測定温度を取得する。測定温度は、設計装置200のユーザによって設計装置200に入力されてもよい。また、測定温度は、設計装置200に接続された携帯端末装置100の実機またはサンプル実装から直接取得してもよい。
伝達関数生成部233は、温度データ取得部232から取得した各種の測定温度を用いて、前述したパラメータ決定方法により、伝達関数に表れる熱伝達係数や熱時定数を決定するとともに、差分方程式に現れる係数を算出する。伝達関数生成部233は、決定および算出したパラメータの値をパラメータ記憶部231に格納する。なお、表面温度を推定する1または2以上の位置は、設計装置200のユーザによって指定される。
図13は、熱源制御の手順例を示すフローチャートである。
また、図14は、外気温度推定の手順例を示すフローチャートである。
(S10)温度測定部133は、温度センサ122a〜122dによって測定された測定温度(および基準温度)を取得する。
(S11)外気温度推定部134と表面温度推定部135は、パラメータ記憶部131に記憶されているパラメータの値と、遅延データ記憶部132に記憶されている遅延データを取得する。なお、再起動時には、外気温度推定部134が用いる遅延データはない。
(S12)外気温度推定部134は、取得した各測定温度(および基準温度)、パラメータの値、遅延データに基づいて、数式(20)と、数式(35)の差分方程式を用いて外気温度を推定する。
なお、外気温度の推定手順は、図14に示す処理を含む。
(S12a)外気温度推定部134は、携帯端末装置100が再起動したのか否かを判定する。外気温度推定部134は、例えば、遅延データ記憶部132に遅延データが記憶されていない場合に、携帯端末装置100が再起動したと判定する。外気温度推定部134が、携帯端末装置100が再起動したと判定した場合には、ステップS12bに処理が進み、再起動していないと判定した場合には、ステップS12cに処理が進む。
(S12b)外気温度推定部134は、前述した4つの方法の何れかにより、遅延データに相当する初期値、すなわち、Δt時間前における各熱源から基準温度への寄与の推定値を設定する。なお、4つの方法のうち、図10に示したような外部センサ300を用いて初期値を設定する際には、外気温度推定部134は、外部センサ300で測定された外部基準温度を取得する処理を行う。なお、外部基準温度を取得する処理は、再起動時にステップS10の処理の前に行われるようにしてもよい。
(S12c)取得した各測定温度(および基準温度)、パラメータの値、遅延データ(再起動時には設定した初期値)に基づいて、数式(20)と、数式(35)の差分方程式を用いて外気温度を計算する。
(S13)外気温度推定部134は、外気温度推定の結果を用いて、遅延データ記憶部132に記憶された遅延データを更新する。
(S14)表面温度推定部135は、温度センサ122a〜122cの測定温度、パラメータの値、遅延データに基づいて、数式(21)と、数式(37)の差分方程式を用いて、時刻tの筐体101の表面温度を算出する。
(S15)表面温度推定部135は、表面温度推定の結果を用いて、遅延データ記憶部132に記憶された遅延データを更新する。以上のステップS14〜S15は、表面温度を推定する推定点が2以上指定されている場合には、推定点毎に実行される。
(S16)熱源制御部136は、ステップS14で2以上の推定点の表面温度が推定された場合、最大の表面温度を選択する。熱源制御部136は、推定された1つの表面温度または選択した1つの表面温度であるTsurと所定の閾値とを比較し、Tsurが閾値を超えているか判断する。Tsurが閾値を超える場合はステップS17に処理が進み、それ以外の場合はステップS18に処理が進む。以下では、一例として、熱源の1つであるCPU111aを制御する場合を説明する。熱源制御部136は、充電回路124や電力増幅器114aなどの他の熱源を制御してもよい。
(S17)熱源制御部136は、CPU111aの制限ステップを1つ増加させて、CPU111aの演算速度の制限を強化する。これにより、CPU111aのクロック周波数が下がり発熱量が低下する。ただし、制限ステップが既に最大である場合、熱源制御部136は制限ステップを変更しない。この場合、熱源制御部136は、代わりに他の熱源の動作レベルを引き下げてもよい。そして、ステップS19に処理が進む。
(S18)熱源制御部136は、CPU111aの制限ステップを1つ減少させて、CPU111aの演算速度の制限を緩和する。これにより、CPU111aのクロック周波数が上がり発熱量が増加する可能性がある。ただし、制限ステップが既に最小である場合、熱源制御部136は制限ステップを変更しない。また、Tsur=閾値の場合にも熱源制御部136は制限ステップを変更しない。
(S19)温度測定部133、外気温度推定部134および表面温度推定部135は、Δt時間(例えば、10秒)待機する。Δt時間経過後、ステップS10から処理が再実行される。
第2の実施の形態の携帯端末装置100および設計装置200によれば、測定温度Ts1〜Ts3、基準温度Ts0、伝達関数Xi(s)および伝達関数Hij(s)に基づいて、外気温度TGが推定される。また、外気温度TG、測定温度Ts1〜Ts3および伝達関数Gi(s)に基づいて、筐体101の表面温度Tsurが推定される。
これにより、携帯端末装置100内部の熱源により、基準温度Ts0が上昇しても表面温度Tsurを正確に推定することが可能となる。また、基準温度Ts0を測定する温度センサ122dを熱源から十分離れるように配置しなくてもよくなり、設計時に温度センサ122dの配置自由度が高くなり、携帯端末装置100の小型化の妨げになることを抑制できる。
図15は、基準温度を外気温度とした場合の表面温度の推定例を示すグラフである。
グラフ45は、表面温度の推定値と、実際の表面温度と、両者の誤差を表している。曲線45aは、外気温度を推定せずに、基準温度を外気温度として推定した表面温度の推定値を表す。曲線45bは、携帯端末装置100の実機またはサンプル実装を用いて測定した表面温度を表す。曲線45cは、曲線45aと曲線45bの誤差を表す。曲線45cが示すように、この推定例によれば、誤差の絶対値が1℃以内には収まらない。
図16は、外気温度を推定した場合の表面温度の推定例を示すグラフである。
グラフ46は、表面温度の推定値と、実際の表面温度と、両者の誤差を表している。曲線46aは、上記の方法で推定した外気温度を用いて算出した表面温度の推定値を表す。曲線46bは、携帯端末装置100の実機またはサンプル実装を用いて測定した表面温度を表す。曲線46cは、曲線46aと曲線46bの誤差を表す。曲線46cが示すように、この推定例によれば、誤差の絶対値が概ね1℃以内に収まっている。
なお、前述のように、第1の実施の形態の情報処理は、電子装置10にプログラムを実行させることで実現できる。第2の実施の形態の情報処理は、携帯端末装置100や設計装置200にプログラムを実行させることで実現できる。
プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、記録媒体120a,223)に記録しておくことができる。記録媒体として、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどを使用できる。磁気ディスクには、FDおよびHDDが含まれる。光ディスクには、CD、CD−R(Recordable)/RW(Rewritable)、DVDおよびDVD−R/RWが含まれる。プログラムは、可搬型の記録媒体に記録されて配布されることがある。その場合、可搬型の記録媒体から他の記録媒体(例えば、不揮発性メモリ113やHDD213)にプログラムをコピーして実行してもよい。
以上、実施の形態に基づき、本発明の電子装置、電子装置の表面温度推定方法および電子装置の表面温度推定プログラムの一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
10 電子装置
11 筐体
11a 表面温度
12 基板
13,14 部品
15 演算処理部
16,17,18 温度センサ
16a,17a,18a 測定温度
19 基準温度センサ
19a 測定基準温度
19b 外気温度

Claims (8)

  1. 筐体と、
    前記筐体に内蔵される基板と、
    前記基板上に配置される複数の部品と、
    前記基板上に配置され、基準温度を取得する基準温度センサと、
    前記基板上に前記複数の部品に対応させて配置され、それぞれ温度を取得する複数の温度センサと、
    前記基準温度と、前記複数の温度センサにより取得した複数の温度と、前記複数の部品から前記基準温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第1の伝達関数と、前記複数の部品から各温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第2の伝達関数と、前記複数の部品から前記筐体の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第3の伝達関数とを用いて、外気温度を推定し前記外気温度に基づいて前記筐体の表面温度を推定する演算処理部と、
    を有する電子装置。
  2. 前記演算処理部は、前記基準温度と前記複数の温度と前記複数の第1の伝達関数と前記複数の第2の伝達関数とを用いて前記外気温度を推定し、前記外気温度と前記複数の温度と前記複数の第2の伝達関数と前記複数の第3の伝達関数とを用いて前記表面温度を推定する、
    請求項1記載の電子装置。
  3. 前記演算処理部は、前記複数の第2の伝達関数と前記複数の第3の伝達関数とを用いて前記複数の温度から第1の値を算出し、前記外気温度に応じた第2の値を前記第1の値に加算することで前記表面温度を推定する、
    請求項2記載の電子装置。
  4. 前記演算処理部は、前記複数の第1の伝達関数と前記複数の第2の伝達関数とを用いて前記複数の温度から第1の値を算出し、前記基準温度に応じた第2の値と前記第1の値との差に基づいて前記外気温度を推定する、
    請求項2記載の電子装置。
  5. 前記演算処理部は、過去に算出した他の第1の値が記録されている場合、前記他の第1の値を参照して前記第1の値を算出し、前記他の第1の値が記録されていない場合、前記基準温度および前記複数の温度の少なくとも一方を用いて前記他の第1の値に相当する初期値を決定し、前記初期値を参照して前記第1の値を算出する、
    請求項4記載の電子装置。
  6. 外部センサから外部基準温度を取得する通信インタフェースを更に有し、
    前記演算処理部は、過去に算出した他の第1の値が記録されている場合、前記他の第1の値を参照して前記第1の値を算出し、前記他の第1の値が記録されていない場合、前記外部基準温度を用いて前記他の第1の値に相当する初期値を決定し、前記初期値を参照して前記第1の値を算出する、
    請求項4記載の電子装置。
  7. 演算処理部を有する電子装置の表面温度推定方法において、
    前記演算処理部が、
    前記電子装置の筐体に内蔵された基板上に配置された基準温度センサを用いて基準温度を取得し、また、前記基板上に配置された複数の部品に対応させて前記基板上に配置された複数の温度センサを用いて複数の温度を取得し、
    前記基準温度と、前記複数の温度と、前記複数の部品から前記基準温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第1の伝達関数と、前記複数の部品から各温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第2の伝達関数と、前記複数の部品から前記筐体の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第3の伝達関数とを用いて、外気温度を推定し前記外気温度に基づいて前記筐体の表面温度を推定する、
    電子装置の表面温度推定方法。
  8. 演算処理部を有する電子装置の表面温度推定プログラムにおいて、
    前記演算処理部に、
    前記電子装置の筐体に内蔵された基板上に配置された基準温度センサを用いて基準温度を取得し、また、前記基板上に配置された複数の部品に対応させて前記基板上に配置された複数の温度センサを用いて複数の温度を取得させ、
    前記基準温度と、前記複数の温度と、前記複数の部品から前記基準温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第1の伝達関数と、前記複数の部品から各温度センサまでの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第2の伝達関数と、前記複数の部品から前記筐体の表面までの熱抵抗と熱時定数とに基づいて定義される複数の第3の伝達関数とを用いて、外気温度を推定し前記外気温度に基づいて前記筐体の表面温度を推定させる、
    電子装置の表面温度推定プログラム。
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