[第1実施形態]
第1実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。まず、第1実施形態の画像形成装置について図1を用いて説明する。
<画像形成装置>
図1に示す画像形成装置100は、中間転写ベルト40に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを複数設けたタンデム型の中間転写方式のマルチカラープリンタである。
画像形成部PYでは、感光ドラム1Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト40に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム1Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト40上のイエロートナー像に重ねて転写される。画像形成部PC、PKでは、感光ドラム1C、1Kにそれぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト40に順次重ねて転写される。中間転写ベルト40は、トナー像を担持して回転する。
記録材P(用紙、OHPシートなどのシート材など)は、ピックアップローラ32により記録材カセット31から取り出されて、レジストローラ13へ送り出される。レジストローラ13は、中間転写ベルト40のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り出す。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは定着装置60へ送り込まれ、加熱手段としての加熱ローラ60aと加圧ローラ60bとによって加熱加圧を受ける。これにより、記録材上のトナー像が加熱されて記録材Pに定着される。
<画像形成部>
画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像装置5Y、5M、5C、5Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外はほぼ同様に構成される。そこで、以下では、画像形成部PYについて詳細に説明し、画像形成部PM、PC、PKについては、記号末尾のYをM、C、Kに読み替えて説明されるものとする。
画像形成部PYは、感光ドラム1Yを囲んで、帯電装置3Y、露光装置4Y、現像装置5Y、一次転写ローラ6Y、及びドラムクリーニング装置7Yが配置されている。像担持体としての感光ドラム1Yは、装置本体に回転可能に支持されたドラム状の電子写真感光体であって、不図示の感光ドラム駆動モータにより所定のプロセススピードで図1において反時計回り(図中矢印A方向)に回転する。
帯電装置3Yは、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が印加されることで、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の暗部電位に帯電させる。露光装置4Yは、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1Yの表面に画像の静電潜像を書き込む。
現像装置5Yは、負極性に帯電させたトナーを感光ドラム1Yに供給して静電潜像をトナー像に現像する。現像装置5Yは、感光ドラム1Yの表面にわずかな隙間を隔てて配置された不図示の現像スリーブを感光ドラム1Yのカウンタ方向に回転させる。また、現像装置5Yはトナーとキャリアを含む二成分現像剤を帯電させて、現像スリーブに担持させて感光ドラム1Yとの対向部へ搬送する。直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が現像スリーブに印加されることで、負極性に帯電したトナーが相対的に正極性になった感光ドラム1Yの露光部分へ移転して静電像が反転現像される。現像剤補給部51Yは、画像形成に伴うトナー消費などに応じて現像装置5Yに補給用現像剤を補給する。
一次転写ローラ6Yは中間転写ベルト40を押圧して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト40との間に一次転写部T1を形成する。一次転写ローラ6Yには一次転写高圧電源D1が接続され、一次転写高圧電源D1が正極性の一次転写バイアス電圧を一次転写ローラ6Yに印加することで、感光ドラム1Y上の負極性に帯電されたトナー像が中間転写ベルト40に転写される。なお、図1では図示の都合上、一次転写ローラ6Yのみに一次転写高圧電源D1が接続されているが、他の一次転写ローラ6M、6C、6Kにもそれぞれ一次転写高圧電源が接続されているのは勿論である。
ドラムクリーニング装置7Yは感光ドラム1Yに当接して、一次転写部T1を通過して感光ドラム1Y上に付着したトナーや紙粉等を感光ドラム1Yから除去する。
<中間転写ベルト>
中間転写ベルト40は、感光ドラム1Yに当接して回転可能な中間転写体である。中間転写ベルト40は、テンションローラ41、二次転写内ローラ42及び駆動ローラ43に掛け渡して支持され、駆動ローラ43に駆動されて図中矢印G方向に例えば250〜300mm/secの回転速度で回転する。テンションローラ41は、中間転写ベルト40を張力一定に張架する。
中間転写ベルト40は、基体としての芯金に芯金側から順に樹脂層、弾性層、表層が積層された無端ベルトである。樹脂層は例えばポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂材料が用いられ、厚みが70〜100μmに形成される。弾性層は例えばウレタンゴム、クロロプレンゴム等の弾性材料が用いられ、厚みが120〜180μmに形成されている。表層は、二次転写部T2で中間転写ベルト40から記録材Pへとトナーを転写させやすくするために、トナー付着力の小さいものが要求される。そのため、表層は例えばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の樹脂材料のうちの1種類、あるいは弾性材ゴム、エラストマー、ブチルゴム等の弾性材料のうちの2種類以上が用いられる。また、表面エネルギーを小さくして潤滑性を高めるために、表層には1種類又は2種類以上の例えばフッ素樹脂等の粉体や粒子が、又は異なる粒径の粉体や粒子が分散されている。表層は、厚みが5〜10μmに形成される。なお、中間転写ベルト40は体積抵抗率が例えば109Ω・cmに調整される。
中間転写ベルト40に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。中間転写ベルトクリーニング装置45は中間転写ベルト40に当接して、二次転写後に中間転写ベルト40に付着したままの残留トナー等を中間転写ベルト上(中間転写体上)から除去可能なクリーニングブレードである。中間転写ベルトクリーニング装置45は、中間転写ベルト40の回転方向(図中矢印G方向)に対してカウンタ方向に当接されてトナー等を中間転写ベルト40から除去可能な、例えばクリーニングブレードである。
<二次転写ベルトユニット>
二次転写ベルトユニット56は、二次転写回転体としての二次転写ベルト12に記録材Pを担持させて二次転写部T2を通過させる。二次転写ベルト12を用いることで、二次転写部T2におけるトナー像の二次転写後に、中間転写ベルト40からの記録材Pの分離が容易になる。
二次転写ベルトユニット56は、二次転写ベルト12、二次転写外ローラ10、分離ローラ21、テンションローラ22、駆動ローラ23を備える。二次転写ベルト12は、中間転写ベルト40に当接して二次転写部T2を形成する。二次転写部T2に転写電界が生じることで、中間転写ベルト40に担持されたトナー像が記録材Pへ転写される。また、本実施形態では、中間転写ベルト40に担持される帯状の供給トナー像(以下、トナー帯と記す)が二次転写ベルト12へ転写される。
二次転写ベルト12は高抵抗性の樹脂材料を用いて無端ベルト状に形成され、二次転写外ローラ10、分離ローラ21、テンションローラ22、駆動ローラ23によって張架されている。二次転写ベルト12は中間転写ベルト40に同期して図中矢印B方向に例えば300mm/secで回転し、レジストローラ13によって送り出された記録材Pを二次転写部T2を通過させて定着装置60へ搬送する。二次転写ベルト12は、中間転写ベルト40に担持されたトナー像を記録材Pに転写する際に帯電して記録材Pに密着して搬送する一方、トナー像の転写された記録材Pを中間転写ベルト40から分離して定着装置60側に送り出す。
二次転写ベルト12は、帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させたポリイミドやポリカーボネートなどの樹脂材料を用いて形成された無端ベルトである。二次転写ベルト12は、体積抵抗率が109〜1014Ω・cmに調整されている。また、二次転写ベルト12は厚みが0.07〜0.1mmに形成されている。さらに、二次転写ベルト12は、引っ張り試験法(JIS K 6301)で測定した場合のヤング率が100MPa以上、10GPa未満である。
二次転写外ローラ10は、中間転写ベルト40及び二次転写ベルト12を介して二次転写内ローラ42に圧接して、中間転写ベルト40と二次転写ベルト12との間で二次転写部T2を形成する。二次転写外ローラ10には、バイアス電圧可変の二次転写高圧電源11が取り付けられている。二次転写高圧電源11は+40〜60μAの転写電流が流れるように、バイアス電圧が定電流制御される。二次転写内ローラ42を接地電位(0V)に接続する一方で、二次転写高圧電源11により二次転写外ローラ10へトナーと逆極性の正極性のバイアス電圧(二次転写電圧)を印加することで、二次転写部T2に転写電界が生じる。この転写電界に応答して、中間転写ベルト40に担持されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの負極性のトナー像は、記録材Pへ一括二次転写される。また、本実施形態では、トナー帯が中間転写ベルト40から二次転写ベルト12へ二次転写される。
二次転写外ローラ10は、基体としての芯金にイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層が積層されて形成されている。二次転写外ローラ10は、例えば外径が24mmに形成される。弾性層は、表面粗さRzが6.0〜12.0μm、Asker‐C硬度が30〜40程度である。また、弾性層は、常温常湿環境(N/N環境:温度23℃、湿度50%RH)下にて2kVの電圧印加が行われた場合に測定される電気抵抗値が、105〜107Ωである。
分離ローラ21は、二次転写部T2よりも二次転写ベルト12の回転方向下流で二次転写ベルト12から記録材Pを分離させる。具体的には、二次転写ベルト12上の記録材Pは分離ローラ21に到達した後、分離ローラ21の周面に沿った二次転写ベルト12の湾曲面で二次転写ベルト12から曲率分離する。
駆動ローラ23は不図示の駆動モータに連結され、二次転写ベルト12を駆動して図中矢印B方向に回転させる。テンションローラ22は不図示の加圧ばねを有し、この加圧バネの付勢力によって二次転写ベルト12を内側から外側に向かって付勢することで、二次転写ベルト12に所定の張力を付与している。
二次転写ベルト12から曲率分離した記録材Pは、搬送ベルト61に搬送されて定着装置60に送り込まれる。定着装置60によってトナー像が定着された記録材は、画像形成装置100の機体外へ排出される。ただし、トナー像が定着された記録材Pは、記録材Pの片面のみに画像形成を行う片面印刷モードと、記録材Pの両面ともに画像形成を行う両面印刷モードとで、一面目(表面)のトナー像の定着後の搬送先が異なる。
片面印刷モードでは、定着装置60を通過した記録材Pが排出ローラ33を通じてそのまま機体外へ排出される。他方、両面印刷モードでは、トナー像の定着された記録材Pが搬送部としての反転搬送経路34及び両面搬送経路35を通って、一面目と反対の二面目(裏面)が画像形成面になるように、つまり表裏が反転されて二次転写部T2へ再搬送される。具体的には、定着装置60を通過した記録材Pは反転搬送経路34へ送り込まれ、反転搬送経路34でスイッチバック動作が行われることによって先後端が入れ替えられてから両面搬送経路35へ搬送される。両面搬送経路35は、記録材Pをレジストローラ13に合流させることによって再び二次転写部T2へと搬送させる。この場合、記録材Pは二面目(裏面)にトナー像が転写され且つトナー像が定着されてから、排出ローラ33を通じて機体外へ排出される。なお、反転搬送経路34及び両面搬送経路35は複数枚の記録材Pを収容してそれらを同時に搬送し得る。
クリーニング手段としてのクリーニングブレード90は二次転写ベルト12に当接して、二次転写ベルト12に付着したトナー等を二次転写ベルト12(二次転写回転体上)から掻き取ることが可能な、例えばウレタンゴム製のゴムブレードである。クリーニングブレード90は、二次転写ベルト12の回転方向(図中矢印C方向)に対してカウンタ方向に当接されて、トナー等を二次転写ベルト12から掻き取る。二次転写ベルト12から掻き落とされたトナー等は、不図示の回収容器に排出される。
<二成分現像剤>
現像装置5Yでは、例えば現像剤として負帯電特性のトナー(非磁性)と正帯電特性のキャリアを含む二成分現像剤が用いられる。トナーは、結着樹脂(バインダとも呼ばれる)、着色剤、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。例えば、トナーは負帯電性のポリエステル系樹脂であり、平均粒径は5μm以上、8μm以下が好ましい。本実施形態では、平均粒径が7μmのトナーを用いた。
また、トナーには、記録材Pへのトナー像の定着時に定着装置60からの離型性やトナーの定着性などを向上させるためにワックスが含有されている。ワックスとしては、例えばポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素系ワックス、ジアルキルケトン系ワックス、エステル系ワックス、アミド系ワックスなどが用いられる。ワックスの融点は、通常40〜160℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃であるとよい。融点がこの範囲内であれば、トナーの耐熱性が確保される一方で、低温で定着が行われた場合でもコールドオフセットなどの画像不良を生じさせることなく画像形成が行われる。なお、トナー中のワックス含有量は3質量%〜30質量%が好ましい。
キャリアは、例えば表面酸化した鉄あるいは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用可能であり、これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。キャリアは、体積平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、体積抵抗率が107Ωcm以上、好ましくは108Ωcm以上であるとよい。本実施形態では、体積平均粒径が40μm、体積抵抗率が5×108Ωcm、また磁化量が260emu/ccのキャリアを用いた。
なお、トナーやキャリアの体積平均粒径は、以下に示す装置及び方法にて測定した。測定装置としては、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)、個数平均分布、体積平均分布を出力するためのインタフェース(日科機製)及びパーソナルコンピュータを使用した。また、電界水溶液には、一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を使用した。
測定方法は以下に示す通りである。100〜150mlの電界水溶液中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加えて、さらに測定試料を0.5〜50mgほど加える。測定試料を懸濁した電界水溶液は、超音波分散器で約1〜3分間にわたり分散処理を行い、コールターカウンターTA−II型により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求める。こうして求めた体積平均分布より、体積平均粒径を得る。
キャリアの体積抵抗率は、以下に示す方法により測定した。測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いて、片方の電極に1kgの重量の加圧下で、両電極間の印加電圧E(V/cm)を印加し、回路に流れた電流からキャリアの抵抗率を得る方法によって測定した。
上述のクリーニングブレード90は、二次転写ベルト12に付着したトナーの他に、さらに二次転写ベルト12に付着したワックスを掻き取り得る。しかしながら、ワックスはトナー等と異なり粘着性を有するが故に、掻き取られたワックスはクリーニングブレード90のエッジ部90aに溜まって堆積されやすく、両面印刷での画像形成の枚数が増えるに連れて堆積量は増加する。そして、堆積されたワックス(ワックス塊)の高さがトナーすり抜け可能な高さになってしまうとトナーのクリーニング不良が生じてしまい、その結果、記録材Pに画像不良が生じ得る。
そこで、上述の点に鑑み、本実施形態では連続画像形成ジョブ時にクリーニングブレード90に強制的にトナーを供給し、掻き取られたワックスがクリーニングブレード90のエッジ部90aに堆積されないようにしている。
<制御部>
図1に示すように、画像形成装置100は制御部200と操作部201とを備える。制御部200は画像形成装置100の各種制御を行う例えばCPU等であり、ROMやRAM等のメモリを有する。メモリには、画像形成装置100を制御するための各種プログラムやデータ等が格納されている。操作部201は、利用者による連続画像形成ジョブなどの各種プログラムの実行開始指示や各種データ入力などを受け付ける、例えばスキャナやパーソナルコンピュータ等の外部端末あるいは操作パネルなどである。本実施形態において、利用者は操作部201を用いて、記録材Pの両面に画像形成を行う両面印刷モード、記録材Pの片面のみに画像形成を行う片面印刷モードを指示可能である。また、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいくつかの色を組み合わせて複数色(マルチカラー)のトナー像を形成可能な複数色モード、ブラックなどの所望の1色だけでトナー像を形成可能な単色モードを指示可能である。さらに、記録材Pのサイズ及び搬送向き(例えば、A3縦、A4横など)を指定可能である。
操作部201から上記いずれかの印刷モードでの連続画像形成ジョブの開始指示がなされた場合、制御部200は操作部201から入力された画像データに基づいて、メモリに記憶されている画像形成処理(プログラム)を実行する。制御部200は、画像形成処理の実行に基づいて画像形成装置100を制御する。
ここで、連続画像形成ジョブとは、複数の記録材に連続して画像形成するプリント信号に基づいて、画像形成開始してから画像形成動作が完了するまでの期間である。具体的には、プリント命令信号を受けた(画像形成ジョブの入力)後の前回転(画像形成前の準備動作)から、後回転(画像形成後の動作)までのことを指し、画像形成期間、紙間を含む期間である。なお、例えば、1つのジョブの後に別のジョブが連続して入った場合、これらをまとめて1つのジョブと判断する。
図2に、制御部200によって実行される画像形成処理のフローチャートを示す。図2に示すように、制御部200は、両面印刷モードが指示されているか否かを判定する(S1)。片面印刷モードが指示されていると判定した場合(S1のNO)、制御部200は記録材Pの一面目(表面)にトナー像を形成する画像形成制御を実行する(S2)。その後、制御部200はS6の処理へ行く。このように、片面印刷モードの場合には、二次転写ベルト12にトナー帯(後述する図3参照)が形成されない。
両面印刷モードが指示されていると判定した場合(S2のYES)、制御部200は画像形成制御を行う対象面(画像形成面)が記録材Pの二面目(裏面)であるか否かを判定する(S3)。画像形成面が記録材Pの二面目でないと判定した場合(S3のNO)、制御部200はS2の処理へジャンプし、記録材Pの一面目にトナー像を形成する画像形成制御を実行する(S2)。このように、両面印刷モードであるが記録材Pの一面目に対する画像形成制御を行う場合、二次転写ベルト12にトナー帯は形成されない。
他方、画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は二次転写ベルト12にトナー帯を形成するトナー帯形成制御を実行する(S4)。この場合、制御部200は画像形成装置100を制御して、記録材Pと記録材Pとの間の紙間で二次転写ベルト12にトナー帯を形成する。詳しくは後述するように、連続する記録材間に相当する領域(紙間)のうち二面目に前後する領域の少なくともいずれか一方で、トナー帯を形成する。制御部200は画像形成部PYを用いて各色の中で最も明度の高いイエローのトナー帯を形成させ、該形成されたイエローのトナー帯を中間転写ベルト40に担持させる。そして、制御部200は二次転写高圧電源11を制御して、中間転写ベルト40に担持させたトナー帯を二次転写ベルト12へ転写する。こうして、イエローのトナー帯が二次転写ベルト12に形成される。トナー帯はベタ画像であり、例えば中間転写ベルト40の回転方向に交差する方向(幅方向と呼ぶ)の長さが二次転写ベルト12に当接するクリーニングブレード90の長手方向の長さに形成される。また、中間転写ベルト40の回転方向長さ(トナー帯長と呼ぶ)が、例えば5mmや15mmなどの所定長さに形成される。
図3に、二次転写ベルト12に形成されるトナー帯を示す。図3では説明を理解しやすくするために、最終的に二次転写ベルト12に形成されるトナー帯を時系列に示している。また、説明の都合上、記録材Pの位置を図示している。図中の「1」は記録材Pの一面目(表面)を示し、図中の「2」は記録材Pの二面目(裏面)を示す。勿論、図中に示した記録材Pは実際には存在せず、記録材Pに相当する分を含む領域が紙間として確保されていることを表す。図中の二面目の記録材Pは既に一面目にトナー像が形成されていることから、二面目の記録材Pの位置はワックスが付着している可能性がある領域である。
図3に示すように、トナー帯70は連続する記録材Pと記録材Pとの間の紙間(非通紙部)で二次転写ベルト12に形成される。ただし、第1実施形態では、トナー帯70が二次転写ベルト12の回転方向下流側で二面目の記録材Pの直前に形成される。記録材Pの直前に形成する理由は、トナーの供給が早すぎてワックスの到達までに時間がかかると、時間経過に従いクリーニングブレード90に供給されたトナーがほとんど掻き取られてしまって、エッジ部90aにワックス塊が生じやすくなるからである。そこで、ワックスに先んじてトナーがクリーニングブレード90に到達するように、トナー帯70は記録材Pのできる限り直前で形成されるのが望ましい。
図2に戻って、制御部200は記録材Pの二面目(裏面)にトナー像を形成する画像形成制御を実行する(S5)。その後、制御部200は、連続画像形成ジョブを終了するか否かを判定する(S6)。連続画像形成ジョブを終了すると判定した場合(S6のYES)、制御部200は当該画像形成処理を終了する。連続画像形成ジョブを終了しないと判定した場合(S6のNO)、制御部200はS1の処理に戻りS1〜S6の処理を繰り返す。
本願発明者らは、クリーニングブレード90にトナーを供給することによる画像不良の発生抑制の可否について確かめるべく、以下に示す条件のもとで実験を行った。連続画像形成ジョブ開始時の現像剤中のトナーとキャリアの重量比(T/D)を8%として、画像比率や環境等の条件を同じにして、A4用紙に画像形成を繰り返し行った。ワックスによる影響を分かりやすくするため、画像比率は25%とした。実験は、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行う実験、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給することなく連続画像形成ジョブを行う実験、片面印刷モードで連続画像形成ジョブを行う実験の3つを行った。なお、片面印刷モードでは両面印刷モードと同枚数の記録材Pに画像形成を行うと、記録材Pが二次転写部T2を通過する回数が両面印刷モードに比べて半分になる。そのため、片面印刷モード時には両面印刷モード時の2倍の枚数の記録材Pに画像形成を行った。
両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給することなく連続画像形成ジョブを行った場合には、1万枚程度で記録材Pにスジ状の画像不良が生じた。その原因を探ると、スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することが確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、20μm程度であった。一方、トナーの平均粒径は7μmであった。つまり、エッジ部90aには、トナーが横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積して、ワックス塊が生じていた。
他方、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行った場合には、2万枚の記録材Pに画像形成を繰り返し行っても記録材Pに画像不良が生じなかった。また、片面印刷モードで連続画像形成ジョブを行った場合には、4万枚の記録材Pに画像形成を繰り返し行っても画像不良が生じなかった。片面印刷モードで4万枚の記録材Pに画像形成を行った後に、エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べると、エッジ部90aにはワックスが堆積していなかった。一方、両面印刷モード(トナー帯あり)で2万枚の記録材Pに画像形成を行った後のエッジ部90aには多少のワックスが存在するものの、測定された高さは2μm以下であり、トナーの平均粒径7μmに対して十分に小さいことが確認された。
以上のように、第1実施形態では、トナー帯70が二次転写ベルト12の回転方向下流側で二面目の記録材Pの直前に形成される。記録材Pの直前にトナー帯70を形成すると、ワックスがエッジ部90aに到達する前に先んじて、トナーがエッジ部90aに到達する。トナーはエッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれることで潤滑材として機能し、トナーの後に到達してエッジ部90aによって掻き取られたワックスをそのまま通過させる。これにより、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間にワックスが挟まったままとならずにワックス塊が生じ難くなるので、ワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態について、図4乃至図6を用いて説明する。第2実施形態は、現像剤として平均粒径の小さいトナーを含む二成分現像剤を用いた場合である。トナーの平均粒径は小さい方が1dotの画素に対するトナーのはみ出し量が少なくてすみ、記録材Pに形成されたトナー像を見た利用者にノイズが認識され難い。そのため、平均粒径の小さいトナーを含む現像剤は、より高い画質のトナー像を記録材Pに形成したい場合などに利用される。上述した第1実施形態は平均粒径7μmのトナーを含む現像剤を用いた場合であるが、第2実施形態は平均粒径5μmのトナーを含む現像剤を用いた場合である。
図4は、現像剤に含まれるトナーの粒径分布を示す図である。図4に示すように、トナーの平均粒径(トナー粒径)が小さくなると、粒径の小さいトナーの割合(トナー個数)が総じて増える。トナーの粒径が小さいほど、トナーは微量であるがクリーニングブレード90をすり抜けやすい。それ故、クリーニングブレード90に粒径の小さいトナーを供給すると、微量にすり抜けるトナーによって、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まりつつあるワックスを押し出し得る。
図5は、第2実施形態の画像形成処理のフローチャートである。この画像形成処理は、制御部200によって実行される。図5に示す画像形成処理は、図2に示した画像形成処理とトナー帯形成制御(S4)と画像形成制御(S5)の順序が入れ替わっているだけであるので、それら以外の処理は説明を省略する。
図5に示す画像形成処理では、記録材Pの二面目にトナー像を形成した後に(S5)、二次転写ベルト12にトナー帯を形成している(S4)。図6に、第2実施形態の画像形成処理を行った場合に二次転写ベルト12に形成されるトナー帯を示す。
図6に示すように、トナー帯71は記録材Pと記録材Pとの間の紙間(非通紙部)に形成されるが、第2実施形態ではトナー帯71が二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後に形成される。トナー帯71は第1実施形態と同じ画像形成部PYが用いられ、各色の中で最も明度の高いイエローで形成される。
本願発明者らは、クリーニングブレード90にトナーを供給することによる画像不良の発生抑制の可否について確かめるべく実験を行った。実験条件は、上述した第1実施形態の場合と同じである。第2実施形態に関しては、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行う実験と、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給することなく連続画像形成ジョブを行う実験を行った。
両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給することなく連続画像形成ジョブを行った場合には、1万枚程度で記録材Pにスジ状の画像不良が生じた。その原因は、第1実施形態の場合と同じであった。即ち、スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することが確認された。
他方、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行った場合には、2万枚の記録材Pに画像形成を繰り返し行っても画像不良が生じなかった。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが多少溜まっているが、その高さは2μm以下であった。平均粒径の小さいトナーを含む現像剤を用いた場合、ワックス塊はトナーの平均粒径5μmに比べると十分に小さいことが確認された。
以上のように、第2実施形態では、トナー帯71が二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後に形成される。記録材Pの直後にトナー帯71を形成すると、ワックスがエッジ部90aの到達後すぐに、引き続きトナーがエッジ部90aに供給される。すると、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれたワックスは、トナーによって二次転写ベルト12の回転方向下流側に押し出されやすい。これにより、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間にワックスが挟まったままとならず、ワックス塊が生じ難くなるので、ワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態について、図7及び図8を用いて説明する。第3実施形態は、より生産性を高くすべく、単位時間あたりに画像形成を行う記録材Pの枚数を増やす場合などに採用される。即ち、単位時間あたりの画像形成枚数を増やす場合には、画像形成部PY〜PKの画像形成速度を速くするにつれて、中間転写ベルト40及び二次転写ベルト12の回転速度も速くする必要がある。例えば二次転写ベルト12の回転速度は、300mm/secから400mm/secに変更される。こうして、画像形成速度が速くなると、記録材Pはより高速で搬送される。それに伴い、上述した第1実施形態や第2実施形態の場合には、クリーニングブレード90に到達するワックス量に比べてトナーで解消可能なワックス量が少なくなることから、エッジ部90aに溜まるワックスが徐々に増えていく。このように単位時間あたりに二次転写ベルト12に付着するワックスの量が多くなると、エッジ部90aにワックス塊が生じやすくなる。この点に鑑み、第3実施形態では、2つのトナー帯70、71を、二次転写ベルト12の回転方向下流側で二面目の記録材Pの直前と、二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後とに形成する。
図7は、第3実施形態の画像形成処理のフローチャートである。この画像形成処理は、制御部200によって実行される。図7に示す画像形成処理は、図2に示した画像形成処理と比べると、トナー帯形成制御(S4)と画像形成制御(S5)の処理後に、さらにトナー帯形成制御(S11)を行う点が異なるだけであるので、それら以外の処理は説明を省略する。
図7に示す画像形成処理では、二面目の記録材Pの直前にトナー帯70が形成される(S4)にも関わらず、さらに、トナー像が形成された後(S5)の二面目の記録材Pの直後にもトナー帯71が形成される(S11)。つまり、二面目の記録材Pの前後にトナー帯70、71がそれぞれ形成される。図8に、第3実施形態の画像形成処理を行った場合に二次転写ベルト12に形成されるトナー帯を示す。
図8に示すように、トナー帯70、71は記録材Pと記録材Pとの間の紙間で二次転写ベルト12に形成される。ただし、トナー帯70は二次転写ベルト12の回転方向下流側で二面目の記録材Pの直前に形成され、トナー帯71は二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後に形成される。これらのトナー帯70、71は第1実施形態と同じ画像形成部PYが用いられて、各色の中で最も明度の高いイエローで形成される。
本願発明者らは、クリーニングブレード90にトナーを供給することによる画像不良の発生抑制の可否について確かめるべく実験を行った。実験条件は、上述した第1実施形態の場合と同じである。ただし、二次転写ベルト12は第1実施形態の場合よりも速い400mm/secの回転速度で回転させた。第3実施形態に関しては、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行う実験と、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給することなく連続画像形成ジョブを行う実験を行った。
両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給することなく連続画像形成ジョブを行った場合には、6千枚程度で記録材Pにスジ状の画像不良が生じた。また、トナー像が形成される記録材Pのできる限り直前で二次転写ベルト12にトナー帯70を形成する第1実施形態の場合でも、1万4千枚程度で記録材Pにスジ状の画像不良が生じた。これらスジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することが確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、30μm程度であった。トナーの平均粒径は7μmであるので、エッジ部90aには、トナーがワックスの横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積し、ワックス塊が生じていた。
他方、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行った場合には、2万枚の記録材Pに画像形成を繰り返し行っても画像不良が生じなかった。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが多少溜まっているが、その高さは3μm以下であった。このワックス塊は、トナーの平均粒径7.0μmに比べると十分に小さいことが確認された。
以上のように、第3実施形態では、トナー帯70が二次転写ベルト12の回転方向下流側で二面目の記録材Pの直前と、トナー帯71が二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後とに形成される。記録材Pの直前に形成されたトナー帯70は、ワックスがエッジ部90aに到達する前に先んじてエッジ部90aに供給される。記録材Pの直後に形成されたトナー帯71は、ワックスがエッジ部90aの到達後すぐに供給される。即ち、トナーはワックスがエッジ部90aに到達する前後でクリーニングブレード90に供給される。その結果、トナーはエッジ部90aで掻き取ったワックスを通過させることができ、また例え掻き取ったワックスがエッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれても、そのワックスを押し出すことができる。これらの相乗効果によってエッジ部90aにワックス塊が生じ難くなるので、ワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。
上述した第1〜第3実施形態では、トナー帯70、71を最も明度の高いイエローで形成した。これは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうち最も明度の高いイエローでトナー帯を形成することで、例えトナーの飛散によって記録材Pが多少汚れたとしても、その汚れは他の色に比べると目立たないからである。また、図1に示すように、イエローのトナー像を生成する画像形成部PYは、複数の画像形成部PY〜PKのうち中間転写ベルト40の回転方向最上流に配置されている。そのため、中間転写ベルト40に転写されたイエローのトナー像は、残りの他の画像形成部PM〜PKと中間転写ベルト40との間に形成される一次転写部T1を通過することになる。これら一次転写部T1には、感光ドラム1M〜1Kから中間転写ベルト40にトナー像を転写させるためのバイアス電圧が印加される。そのため、中間転写ベルト40に転写されたイエローのトナー像は、一次転写部T1を通過する度に電荷が付与されてトナー帯電量が増加する。トナー帯電量が増加すると、中間転写ベルト40との付着力が増してトナー像からトナーが飛散し難くなる。トナー帯電量が一番大きくなるのは、一次転写部T1を4回通過する画像形成部PYで形成されたイエローのトナー像である。つまり、トナー飛散を低減する効果は、中間転写ベルト40の回転方向最上流に配置された画像形成部PYで形成されるイエローのトナー像が最も高いため、トナー帯もイエローを用いて形成している。
[第4実施形態]
ところで、画像形成装置100はマルチカラーの画像を形成できるだけでなく、ブラック単色の画像を形成することも可能である。そこで、ブラック単色の画像を形成するブラック単色モードが指示されている場合には、画像形成部PKを用いてブラックのトナー帯を形成する。以下、説明する。なお、ここでは、2つのトナー帯70、71を、二次転写ベルト12の回転方向下流側で二面目の記録材Pの直前と、二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後とに形成する場合を例に説明する。
図9は、第4実施形態の画像形成処理のフローチャートである。図9に示す画像形成処理は、制御部200によって実行される。なお、図9では第3実施形態の画像形成処理(図7参照)と同じ処理に同じ符号を付し、それらの処理の詳しい説明は省略する。
図9に示すように、片面印刷モード時(S1のNO)、制御部200は記録材Pの一面目(表面)にトナー像を形成する画像形成制御を実行するが(S2、S22)、その前にブラック単色モードが指示されているか否かを判断する(S21)。ブラック単色モードが指示されている場合(S21のYES)、制御部200は画像形成部PKのみを用いてブラック単色でトナー像を形成する(S22)。複数色モードが指示されている場合(S21のNO)、制御部200は画像形成部PY〜PKを用いて複数色で1面目のトナー像を形成し得る(S2)。
画像形成面が記録材Pの二面目でないと判定した場合(S3のNO)、制御部200はS21の処理へジャンプし、上記したようにして記録材Pの一面目にトナー像を形成する(S2、S22)。画像形成面が記録材Pの二面目であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は二次転写ベルト12にトナー帯を形成するトナー帯形成制御を実行するが、その前にブラック単色モードが指示されているか否かを判断する(S31)。
ブラック単色モードが指示されている場合(S31のYES)、制御部200は記録材Pと記録材Pとの間の紙間で二次転写ベルト12にブラックのトナー帯を形成する(S32)。ここでは、ブラックのトナー帯が二面目の記録材Pの直前に形成される。そして、制御部200は記録材Pの二面目にブラックのトナー像を形成する画像形成制御を実行する(S33)。さらに、制御部200は、記録材Pと記録材Pとの間の紙間で二次転写ベルト12にブラックのトナー帯を形成する(S34)。ここでは、ブラックのトナー帯が二面目の記録材Pの直後に形成される。複数色モードが指示されている場合(S31のNO)、制御部200は二面目の記録材Pの前後にイエローのトナー帯をそれぞれ形成する(S4、S11)。
図9に示した画像形成処理を行った場合、ブラック単色モードの場合にはブラックの、複数色モードの場合にはイエローのトナー帯70、71が形成される(図8参照)。トナー帯70は二面目の記録材Pの直前に形成され、トナー帯71は二面目の記録材Pの直後に形成される。
複数色モードとブラック単色モードとでは、クリーニングブレード90に供給するトナー量を異ならせてよい。即ち、連続画像形成ジョブを行った場合に、複数色モードでは4色分のワックス量が、ブラック単色モードでは1色分のワックス量が二次転写ベルト12に付着し得る。そのため、複数色モードではワックス塊を生じさせないために、ブラック単色モードに比べると4倍の量のトナーをクリーニングブレード90に供給する必要がある。例えばトナー帯のトナー帯長が同じであれば、4倍のトナー載り量が必要である。そのため、複数色モードではブラック単色モードの場合よりも、トナー載り量が多いトナー帯を形成する。なお、本実施形態では、複数色モード時の最大トナー載り量を、単色モード時のトナーの最大載り量を100%とした場合の300%を最大とした。そのため、トナー帯のトナー載り量も、複数色モード時にはブラック単色モード時の3倍にするとよい。
本願発明者らは、クリーニングブレード90にトナーを供給することによる画像不良の発生抑制の可否について確かめるべく実験を行った。実験条件は、上述した第1実施形態の場合と同じである。ただし、二次転写ベルト12は400mm/secの回転速度で回転させた。第4実施形態に関しては、複数色モードとブラック単色モードとに分けて、両面印刷モードでクリーニングブレード90にトナーを供給しつつ連続画像形成ジョブを行う実験を行った。
まず、複数色モード時の実験結果について述べる。本実験では、イエローのトナー帯を形成した場合、イエローのトナー帯と同じトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合、イエローのトナー帯の1/3のトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合とに分けて連続画像形成ジョブを行った。
イエローのトナー帯を形成した場合、イエローのトナー帯と同じトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合には、2万枚の記録材Pに画像形成を繰り返し行ったが画像不良は生じなかった。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが多少溜まっているが、その高さは3μm以下であり、トナーの平均粒径7μmに比べると十分に小さいことが確認された。しかしながら、イエローのトナー帯と同じトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合は、2万枚の記録材Pを重ねてみるとコバ部(側面部)がトナーで汚れているのがはっきりと確認された。これに対し、イエローのトナー帯を形成した場合は、記録材Pのコバ部にトナーによる汚れが確認されなかった。
イエローのトナー帯の1/3のトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合には、6千枚程度で記録材Pにスジ状の画像不良が生じた。スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することが確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、20μm程度であった。トナーの平均粒径は7μmであるので、エッジ部90aには、トナーがワックスの横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積し、ワックス塊が生じていた。
次に、ブラック単色モード時の実験結果について述べる。本実験では、複数色モード時のイエローのトナー帯と同じトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合と、イエローのトナー帯の1/3のトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合とに分けて連続画像形成ジョブを行った。
複数色モード時のイエローのトナー帯と同じトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合、2万枚の記録材Pに画像形成を繰り返し行ったが画像不良は生じなかった。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが多少溜まっているが、その高さは3μm以下であり、トナーの平均粒径7μmに比べると十分に小さいことが確認された。しかしながら、2万枚の記録材Pを重ねてみるとコバ部(側面部)がトナーで汚れていた。他方、イエローのトナー帯の1/3のトナー載り量でブラックのトナー帯を形成した場合は、記録材Pのコバ部にトナーによる汚れが確認できなかった。これは、ブラック単色モードで複数色モード時のイエローのトナー帯と同じトナー載り量でブラックのトナー帯を形成すると、過剰な量のトナーが供給されてトナー飛散が生じ、それによりコバ部のトナー汚れが発生するからである。これに対し、イエローのトナー帯の1/3のトナー載り量でブラックのトナー帯を形成すれば、画像不良を生じさせずに且つコバ部にトナー汚れを発生させることなく画像形成を行うことができる。
以上のように、ブラック単色モードの実行時は、複数色モードの実行時よりも少ないトナー載り量でトナー帯を形成すればよいことから、トナー消費量を抑えつつワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。また、トナー飛散による記録材Pのコバ部のトナー汚れも生じ難くなる。さらに、ブラック単色モードでは画像形成部PKを動作させてトナー帯を形成すればよく、画像形成部PK以外の他の画像形成部PY〜PCをわざわざ動作させなくて済むので、装置の寿命を延ばすことが可能となる。
上述した第1〜第4実施形態では、二次転写ベルト12を介してクリーニングブレード90のエッジ部90aに強制的にトナーを供給することで、ワックス塊による画像不良の発生を抑制している。それ故、トナーの消費量はどうしても多くなりがちである。そこで、トナーの消費量を抑える方策が必要となる。トナーの消費量を抑えるには、例えばトナー帯のトナー形成幅を調整する、トナー帯のトナー載り量を調整するなどの方法がある。以下、トナー消費量を抑制可能な実施形態について説明する。なお、説明を理解しやすくするために、トナー帯70が二面目の記録材Pの直前に形成される場合を例に説明するが、これに限られない。即ち、トナー帯70が二面目の記録材Pの直後に形成される場合や、二面目の記録材Pの前後に形成される場合にも適用可能である。
図10に、エッジ部90aに留まるトナーのトナー量の時間推移と、クリーニングブレード90に供給されるトナーとの関係を示す。トナー量の指標として、画像形成中の装置を所定のタイミングで(ここでは0.5秒毎に)一旦停止し、クリーニングブレード90を外して二次転写ベルト12に残っているトナーの幅(区別するためにトナー残幅と呼ぶ)を測定した。トナー帯は、5、10、15mmのトナー帯長で且つクリーニングブレード90の長手方向全域に、イエローのトナーでトナー載り量50%のベタ画像でそれぞれ形成した。
図10から理解できるように、トナーの供給直後(0.5秒後)はエッジ部90aに十分な量のトナーが留まっているが、時間の経過に伴い徐々にトナー残幅が減る。そして、トナー帯のトナー帯長を例えば5mmから15mmに大きくすると、トナー残幅が同じになるまでの時間が伸びる。
本願発明者らは、平均画像比率を変えた場合の画像不良の発生有無について調べる実験を行った。実験として、連続画像形成ジョブ開始時の現像剤中のトナーとキャリアの重量比(T/D)を8%にまた環境等の条件を同じにし、その一方で平均画像比率を変化させて、両面印刷モードで2千枚のA3用紙に画像形成を繰り返し行った。ここで、平均画像比率とは、複数の記録材Pに関し一面目に形成されるトナー像の画像面積が記録材Pの全域の面積に占める比率(画像比率、または印字率)の平均値である。
トナー帯を形成しなかった場合の実験結果を表1に示す。表1では、平均画像比率毎に、エッジ部90aに堆積されたワックスの高さと、記録材Pにスジ状の画像不良が生じたか否かを示した。なお、スジ状の画像不良が生じた場合を「×」で表記した。
表1から理解できるように、平均画像比率が50%以上である場合には、スジ状の画像不良が発生した。その原因を探ると、スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することが確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、平均画像比率100%で65μm程度、平均画像比率75%で20μm程度であった。トナーの平均粒径は7μmであることから、クリーニングブレード90のエッジ部90aには、トナーがワックスの横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積し、ワックス塊が生じていた。
トナー帯を形成した場合の実験結果を表2に示す。ただし、この実験ではトナー帯長を変えて画像形成を繰り返し行った。なお、表2でもスジ状の画像不良が生じた場合を「×」で表記した。
表2から理解できるように、トナー帯のトナー帯長は15mm以上に設定すれば、平均画像比率によらずワックス塊による画像不良の発生を抑制できる。しかし、トナー消費量の抑制の観点からすれば、平均画像比率に応じてトナー帯長を変えてトナー帯を形成できるようにするとよい。表2の実験結果から、平均画像比率が25%未満では、トナー帯を形成しなくてよい。平均画像比率が25%以上50%未満では、5mm幅でトナー帯を形成すればよい。平均画像比率が50%以上75%未満では、10mm幅でトナー帯を形成すればよい。平均画像比率が75%以上100%以下では、15mm幅のトナー帯を形成すればよい。このように、平均画像比率が大きくなるほどトナー帯長を大きくするのが望ましい。
[第5実施形態]
上述のように、平均画像比率に応じてトナー帯長を変えてトナー帯を形成することで、トナー消費量を抑制しつつワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。図11に具体的な制御を示す。図11は、第5実施形態の画像形成処理を示すフローチャートである。図11に示す画像形成処理は、制御部200によって実行される。なお、図11では第1実施形態の画像形成処理(図2参照)と同じ処理に同じ符号を付し、それらの処理の詳しい説明は省略する。
制御部200は、記録材Pの一面目にトナー像を形成する画像形成制御を実行後(S2)、複数の記録材Pの一面目(表面)に形成されたトナー像の画像比率の平均値(平均画像比率)を求める(S41)。一面目の平均画像比率を求める理由は、トナー像が定着された記録材Pの一面目が二面目のトナー像の二次転写時に二次転写ベルト12に接した際に、トナー像から二次転写ベルト12へワックスが付着し得るからである。平均画像比率は、記録材Pの1ページあたりに対する各画素のデジタル画像信号出力レベルの積算値(ビデオカウント値VC)から求められる。例えば、イエローの画像形成部PYのビデオカウント値VCyは、画像を構成する各画素の信号値ni,j(i、jはそれぞれ縦横の座標)の積算値であり、数1により算出される。数1において「W」は画像の主走査方向(幅方向に該当する)の幅に相当する座標、「h」は画像の副走査方向(二次転写ベルト12の回転方向)の幅に相当する座標を示す。
[数1]
VCy=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
最終的なビデオカウント値VCは、4色それぞれのビデオカウント値が合計されることにより求められる。そして、平均画像比率は、ビデオカウント値VCを記録材Pの1ページの面積で除算して求められる。ここで、単色でA3サイズの記録材Pの全域にベタ画像を形成した場合を、平均画像比率100%とする。そうならば、例えば2色を用いてA3サイズの記録材Pの全域にベタ画像を形成した場合、平均画像比率は200%になる。
図11の説明に戻り、画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は平均画像比率が所定値未満(例えば25%未満)であるか否かを判定する(S42)。平均画像比率が所定値未満である場合(S42のYES)、制御部200はS5の処理へジャンプする。このように、両面印刷モードで平均画像比率が25%未満の場合、二次転写ベルト12にトナー帯は形成されない。平均画像比率が所定値以上(例えば25%以上)である場合(S42のNO)、制御部200は二次転写ベルト12にトナー帯を形成するトナー帯形成制御を実行する(S4)。ただし、この場合、制御部200は平均画像比率に応じたトナー帯長のトナー帯を形成する。具体的には、上述したように、平均画像比率が25%以上50%未満では5mm幅、平均画像比率が50%以上75%未満では10mm幅、平均画像比率が75%以上100%以下では15mm幅のトナー帯が形成される。このように、一面目に形成されたトナー像のトナー量が閾値よりも小さいと、トナー帯長が所定値(例えば15mm)よりも短いトナー帯が形成される。
以上のように、第5実施形態では、一面目に形成したトナー像の平均画像比率に応じてトナー帯長を変えてトナー帯が生成される。つまり、一面目に形成されたトナー像から染み出し得るワックス量に対応可能なトナー量をクリーニングブレード90に供給し得るトナー帯長のトナー帯が形成される。これにより、トナー消費量を抑制しつつワックス塊による画像不良の発生が抑制され得る。
既に述べた通り、クリーニングブレード90に供給されたトナーはエッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれることで潤滑材として機能し、エッジ部90aによって掻き取られたワックスを通過させ得る。しかしながら、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれたトナーは、僅かな量であるがエッジ部90aをすり抜け得るので、トナー供給がないと時間経過に応じて徐々に減少する(図10参照)。記録材Pの搬送方向のサイズが長い記録材Pに画像形成を行う場合、同方向のサイズが短い記録材Pに比べると、二次転写ベルト12に形成されるトナー帯とトナー帯との間隔が大きくなる。つまり、トナーが供給される間隔が空く。そのため、トナーがクリーニングブレード90に供給されるまでつまりは記録材Pに画像形成を行っている間に、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれたトナーが減少してしまい、ワックス塊の発生を抑制する効果が得られ難くなる。また、クリーニングブレード90に微振動(所謂ビビり)が生じ得る。
本願発明者らは、トナー帯のトナー帯長を変えた場合の画像不良の発生有無について調べる実験を行った。実験として、連続画像形成ジョブ開始時の現像剤中のトナーとキャリアの重量比(T/D)を8%とし、また画像比率や環境等の条件を同じにして、両面印刷モードで2千枚のA3サイズの記録材Pに画像形成を繰り返し行った。なお、ワックスによる影響を分かりやすくするため、画像比率は200%とした。トナー帯は、5、10、15mmのトナー帯長で且つクリーニングブレード90の長手方向全域に、イエローのトナーでトナー載り量50%のベタ画像でそれぞれ形成した。
表3に実験結果を示す。表3では、トナー帯のトナー帯長毎に、クリーニングブレード90のエッジ部90aに堆積されたワックスの高さと、記録材Pにスジ状の画像不良が生じたか否かを示した。なお、スジ状の画像不良が生じた場合を「×」で表記した。
表3から理解できるように、トナー帯のトナー帯長が10mm以下である場合には、スジ状の画像不良が発生した。その原因を探ると、スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することによるものと確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、トナー帯長10mmで15μm程度、トナー帯長5mmで65μm程度であった。トナーの平均粒径は7μmであることから、エッジ部90aには、トナーがワックスの横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積し、ワックス塊が生じていた。
また、本願発明者らは、記録材PのサイズをA4サイズにして上記したA3サイズの場合と同様の画像形成を繰り返し行った。ただし、記録材Pに形成するトナー像の画像面積を同じにするため、4千枚のA4サイズの記録材Pに画像形成を行った。表4に実験結果を示す。
表4から理解できるように、トナー帯のトナー帯長が5mmの場合には、スジ状の画像不良が発生した。ワックスの高さを測定すると、トナーの平均粒径7μmより大きい63μmであった。つまり、エッジ部90aにワックス塊が生じたが故に、トナーがエッジ部90aをすり抜けて画像不良を生じさせたと考えられる。
表3と表4に示した実験結果から理解できるように、トナー帯のトナー帯長は15mm以上にすれば、A3サイズでもA4サイズでもワックス塊による画像不良の発生を抑制し得る。しかし、常にトナー帯長が15mm以上のトナー帯を形成すると、トナー消費量が増えてしまう。そこで、トナー消費量を抑制する観点からは、記録材Pのサイズにあわせてトナー帯のトナー帯長を変えるのが望ましい。
図12は、トナー帯のトナー帯長毎にサイズの異なる記録材Pにおける画像不良の発生有無を示したグラフである。図中に記した二重丸は画像不良が生じていないことを表し、図中に記したバツは画像不良が生じたことを表している。なお、A4サイズの記録材Pが二次転写部T2を通過するのにかかる時間(通紙時間)は約1.4秒程であり、A3サイズの記録材Pが二次転写部T2を通過するのにかかる時間は約2.8秒程である。
図12に示すように、A4サイズ、A3サイズともに、トナー残幅が0.4mm以上である場合には、トナー帯のトナー帯長に関わらず画像不良が生じない。つまり、トナー残幅は、時間の経過に伴い徐々に減る。しかし、A4サイズやA3サイズの記録材Pが二次転写部T2を通過し終わるまでの間は、トナー残幅が0.4mm以上に確保され潤滑材としてトナーが機能する。そのため、エッジ部90aにワックス塊が形成され難くなる。
記録材Pが二次転写部T2を通過するのにかかる時間は、記録材Pのサイズ(詳しくは搬送方向長さ)によって決まる。記録材Pが二次転写部T2を通過し終わるまでの間、0.4mm以上のトナー残幅を確保するには、記録材Pのサイズが大きいほどトナー帯のトナー帯長を大きくするとよい。図12に示すように、A4サイズではトナー帯長が10mmのトナー帯を形成すればよく、A3サイズではトナー帯長が15mmのトナー帯を形成すればよい。なお、ここではA4サイズ、A3サイズの記録材Pを例に挙げて説明したが、記録材Pはその他のサイズであってもよい。その場合でも、記録材Pのサイズに応じてトナー帯のトナー帯長を変えることで、トナー消費量を抑えつつワックス塊による画像不良の発生を抑制できる。
[第6実施形態]
上述のように、記録材Pのサイズに応じてトナー帯長を変えてトナー帯を形成すれば、トナー消費量を抑えつつワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。図13に具体的な制御を示す。図13は、第6実施形態の画像形成処理を示すフローチャートである。図13に示す画像形成処理は、制御部200によって実行される。なお、図13では第1実施形態の画像形成処理(図2参照)と同じ処理に同じ符号を付し、それらの処理の詳しい説明は省略する。また、説明を理解しやすくするために、A4サイズとA3サイズの記録材Pを用いた場合を例に説明する。
画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は記録材Pのサイズに応じたトナー帯長を決める(S51)。記録材Pのサイズは、例えば利用者によって操作部201から連続画像形成ジョブの実行開始が指示されたときに、利用者によって操作部201が操作されることで指定される。そして、トナー帯長は、サイズ毎に予め決められた幅に決定される。サイズ毎のトナー帯長は、制御部200のメモリ等に予め記憶されている。トナー帯形成制御を実行する際に(S4)、制御部200は画像形成装置100を制御して、決定したトナー帯長のトナー帯を二次転写ベルト12に形成する。このように記録材Pのサイズにあわせてトナー帯長が変更される。具体的には、A4サイズで10mm幅、A3サイズで15mm幅のトナー帯が形成される。
以上のように、第6実施形態では、記録材Pのサイズに応じてトナー帯長を変えてトナー帯を生成できるようにした。つまり、記録材Pのサイズが大きいほどより大きなトナー像が一面目に形成され得るので、その場合に一面目に形成されたトナー像から染み出し得るワックス量に対応可能なトナー量を含んだトナー帯長でトナー帯を形成できるようにした。これにより、トナー消費量を抑えつつワックス塊による画像不良の発生が抑制され得る。
また、トナー消費量の抑制と画像不良の発生抑制の両立を図ることに鑑みれば、記録材Pのサイズに応じてトナー帯のトナー帯長を変更することに限らず、記録材Pのサイズに応じてトナー帯のトナー載り量を変えるようにしてもよい。要は、クリーニングブレード90に供給するトナー量を調整できればよい。
図14に、トナー帯のトナー載り量とエッジ部90aのトナー量の時間推移との関係を示す。トナー量の指標として、上述のように二次転写ベルト12に残っているトナーの幅(トナー残幅)を測定した。トナー帯は5mmのトナー帯長で且つクリーニングブレード90の長手方向全域に、イエローのトナーでトナー載り量50%、75%、100%のベタ画像でそれぞれ形成した。
図14から理解できるように、トナーの供給直後(0.5秒後)はエッジ部90aに十分な量のトナーが留まっているが、時間の経過に伴い徐々にトナー残幅が減っている。そして、トナー帯のトナー載り量を例えば50%から100%に増やすと、トナー残幅が同じになるまでの時間が伸びる。
本願発明者らは、トナー帯のトナー載り量を変えた場合の画像不良の発生有無について調べる実験を行った。実験として、連続画像形成ジョブ開始時の現像剤中のトナーとキャリアの重量比(T/D)を8%とし、また画像比率や環境等の条件を同じにして、両面印刷モードで2千枚のA3サイズの記録材Pに画像形成を繰り返し行った。なお、ワックスによる影響を分かりやすくするため、画像比率は200%とした。
表5に実験結果を示す。表5では、トナー帯のトナー載り量毎に、エッジ部90aに堆積されたワックスの高さと、記録材Pにスジ状の画像不良が生じたか否かを示した。なお、スジ状の画像不良が生じた場合を「×」で表記した。
表5から理解できるように、トナー帯のトナー載り量が75%以下である場合には、スジ状の画像不良が発生した。その原因を探ると、スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することによるものと確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、トナー載り量75%で21μm程度、トナー載り量50%で80μm程度であった。トナーの平均粒径は7μmであることから、エッジ部90aには、トナーがワックスの横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積し、ワックス塊が生じていた。
また、本願発明者らは記録材PのサイズをA4サイズにして、上記したA3サイズと同様の画像形成を繰り返し行った。ただし、記録材Pに形成するトナー像の画像面積を同じにするため、4千枚のA4サイズの記録材Pに画像形成を行った。表6に実験結果を示す。
表6から理解できるように、トナー帯のトナー載り量が50%以下である場合には、スジ状の画像不良が発生した。ワックスの高さを測定すると、トナーの平均粒径7μmより大きい79μmであった。つまり、エッジ部90aにワックス塊が生じたが故に、トナーがエッジ部90aをすり抜けて画像不良を生じさせたと考えられる。
表5と表6に示した実験結果から理解できるように、トナー帯のトナー載り量は100%以上にすれば、A3サイズでもA4サイズでもワックス塊による画像不良の発生を抑制し得る。しかし、常にトナー載り量が100%のトナー帯を形成すると、トナー消費量が増えてしまう。そこで、トナー消費量を抑制する観点からは、記録材Pのサイズにあわせてトナー帯のトナー載り量を変えるのが望ましい。
図15は、トナー帯のトナー載り量毎にサイズの異なる記録材Pにおける画像不良の発生有無を示したグラフである。図中に記した二重丸は画像不良が生じていないことを表し、図中に記したバツは画像不良が生じたことを表している。
図15に示すように、A4サイズ、A3サイズともに、トナー残幅が0.4mm以上である場合には、トナー帯のトナー載り量に関わらず画像不良が生じない。つまり、トナー残幅は、時間の経過に伴い徐々に減る。しかし、A4サイズやA3サイズの記録材Pが二次転写部T2を通過し終わるまでの間は、トナー残幅が0.4mm以上に確保され潤滑材としてトナーが機能する。そのため、エッジ部90aにワックス塊が形成され難くなる。
記録材Pが二次転写部T2を通過するのにかかる時間は、記録材Pのサイズ(搬送方向長さ)によって決まる。ここでは、A4サイズでは約1.4秒程であり、A3サイズでは約2.8秒程である。記録材Pが二次転写部T2を通過し終わるまでの間、0.4mm以上のトナー残幅を確保するには、記録材Pのサイズが大きいほどトナー帯のトナー載り量を大きくする必要がある。図15に示すように、A4サイズではトナー載り量が75%のトナー帯を形成すればよく、A3サイズではトナー載り量が100%のトナー帯を形成すればよい。
[第7実施形態]
上述のように、記録材Pのサイズに応じてトナー載り量を変えてトナー帯を形成することで、トナー消費量を抑えつつワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。具体的な制御を図16に示す。図16は、第7実施形態の画像形成処理を示すフローチャートである。図16に示す画像形成処理は、制御部200によって実行される。なお、第7実施形態の画像形成処理は、図16に示したS61の処理が第6実施形態の画像形成処理(図13参照)と異なるだけで、その他は同じであるので説明を省略する。また、説明を理解しやすくするために、A4サイズとA3サイズの記録材Pを用いた場合を例に説明する。
画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は記録材Pのサイズに応じたトナー載り量を決める(S61)。記録材Pのサイズは、例えば利用者によって操作部201から連続画像形成ジョブの実行開始が指示されたときに、利用者によって操作部201が操作されることで指定される。そして、サイズ毎に予め決められたトナー帯長が決定される。サイズ毎のトナー載り量は、制御部200のメモリ等に予め記憶されている。トナー帯形成制御を実行する際に(S4)、制御部200は画像形成装置100を制御して、決定したトナー載り量でトナー帯を二次転写ベルト12に形成する。このように記録材Pのサイズにあわせてトナー載り量が変更される。具体的には、A4サイズの場合に75%、A3サイズの場合に100%のトナー載り量でトナー帯が形成される。
以上のように、第7実施形態では、記録材Pのサイズに応じてトナー載り量を変えてトナー帯を生成できるようにした。つまり、記録材Pのサイズが大きいほどより大きなトナー像が一面目に形成され得るので、その場合に一面目に形成されたトナー像から染み出し得るワックス量に対応可能なトナー載り量でトナー帯を形成できるようにした。これにより、トナー消費量を抑制しつつワックス塊による画像不良の発生が抑制され得る。ただし、トナー載り量を多くし過ぎると、クリーニングブレード90がトナー帯自体をクリーニングしきれずに画像不良が生じ得るし、またトナー飛散が生じる可能性も高いことから、トナー帯長を変える方が好ましい。なお、記録材Pのサイズに応じてトナー帯のトナー帯長及びトナー載り量の両方を変えることで、トナー消費量の抑制と画像不良の発生抑制の両立を図ってもよい。
上述した第1〜第7各実施形態では、二次転写ベルト12に当接するクリーニングブレード90の長手方向の全域にわたってトナー帯を形成する。しかし、エッジ部90aでは、トナー像が形成された一面目の記録材Pの位置(領域)に対応する箇所にワックスが溜まる。そこで、トナー消費量の抑制の観点から、クリーニングブレード90の長手方向の全域にわたってトナー帯を形成せずに、トナー像が形成された一面目の記録材Pの位置(領域)に対応する箇所のみにトナー帯を形成するのが望ましい。また、一面目の記録材Pの画像比率に応じてトナー帯の形成有無を決めるのが望ましい。以下、詳しく説明する。
[第8実施形態]
図17は、第8実施形態の画像形成処理を示すフローチャートである。図17に示す画像形成処理は、制御部200によって実行される。なお、図17では第1実施形態の画像形成処理(図2参照)と同じ処理に同じ符号を付し、それらの処理の詳しい説明は省略する。
制御部200は、記録材Pの一面目(表面)にトナー像を形成する画像形成制御を実行後(S2)、一面目の記録材Pの画像比率と、一面目の記録材Pに形成された画像の副走査方向の長さを求める(S71)。求めた画像比率及び画像の副走査方向の長さは、記録材P毎に制御部200のメモリ等に記憶される。既に述べたが、一面目の画像比率を求める理由は、トナー像が定着された記録材Pの一面目が二面目のトナー像の二次転写時に二次転写ベルト12に接した際に、トナー像から二次転写ベルト12へワックスが付着するからである。画像比率は、記録材Pの1ページあたりに対する各画素のデジタル画像信号出力レベルの積算値(ビデオカウント値VC)から求められる。
本実施形態では、1ページ内のビデオカウント値VCを画像の主走査方向で8つの複数領域に分割して、これら複数領域毎のビデオカウント値VC1〜VC8を求める。ビデオカウント値VC1〜VC8は、1ページ×8分割分の各画像を構成する画素の信号値ni,j(i、jはそれぞれ縦横の座標)の積算値であり、数2により求められる。数2において「W」は8分割された各画像の主走査方向の幅に相当する座標、「h」は8分割された各画像の副走査方向の幅に相当する座標を示す。なお、ここでは1ページ内のビデオカウント値VCを画像の主走査方向で8分割した場合を例に挙げたがこれに限られず、トナー消費量の抑制の観点からすれば、より細かく分割するのが好ましい。
[数2]
VC1=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC2=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC3=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC4=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC5=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC6=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC7=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
VC8=n1,1+n1,2+n1,3+・・・n2,1+n2,2+n2,3+・・・nW,h
最終的なビデオカウント値VC1〜VC8は、4色それぞれのビデオカウント値が合計されることにより求められる。そして、画像比率は、ビデオカウント値VC1〜VC8を8分割した各領域内にある記録材Pの面積で除算して求められる。例えば画像の主走査方向の幅が324mmである場合に8分割すると、8分割された各領域の主走査方向の幅は40.5mmである。そのため、各領域内にある記録材Pの面積は、「40.5mm×記録材Pの搬送方向長さ」となる。ただし、記録材Pの端部が含まれる領域に関しては、「当該領域における記録材Pの端部までの長さ×記録材Pの搬送方向長さ」とする。
図18は、各領域の画像比率について説明する図である。図18には、8分割した領域のうちのAREA1とAREA2には全域にベタ画像を、AREA3とAREA5には半分の範囲にベタ画像を、AREA4には4分の1の範囲にベタ画像を形成し、AREA6〜AREA8には画像を形成していない場合を示した。上記のようにして各領域毎の画像比率を求めると、AREA1とAREA2は100%、AREA3とAREA5は50%、AREA4は25%、AREA6〜AREA8は0%と求められる。
また、一面目の記録材Pに形成された画像の主走査方向の長さを8分割された各領域毎に求める。主走査方向の長さは、例えば搬送向きが横向きのA4横の記録材Pの全域にベタ画像を形成すると210mm、搬送向きが縦向きのA3縦の記録材Pの全域にベタ画像を形成すると420mm、B4縦の記録材Pの全域にベタ画像を形成すると364mmである。
図17の説明に戻り、画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は各領域毎にS72〜S74の処理を実行する。制御部200は、画像形成面の記録材Pの画像比率をメモリから読み出し、該読み出した画像比率が所定値未満(例えば50%未満)であるか否かを判定する(S72)。画像比率が所定値未満である場合(S72のYES)、制御部200はS5の処理へジャンプする。このように、画像比率が50%未満の領域では、一面目にトナー像が形成されていても二次転写ベルト12にトナー帯が形成されない。
画像比率が所定値以上(例えば50%以上)である場合(S72のNO)、制御部200は仮形成幅が基準値未満(例えば5mm以上)であるか否かを判定する(S73)。仮形成幅が基準値未満(例えば5mm未満)である場合(S73のYES)、制御部200はS5の処理へジャンプする。この場合も、二次転写ベルト12にトナー帯が形成されない。
仮形成幅が基準値以上(例えば5mm以上)である場合(S73のNO)、制御部200は二次転写ベルト12にトナー帯を形成するトナー帯形成制御を実行する(S74)。この場合、制御部200は画像形成装置100を制御して、記録材Pと記録材Pとの間の紙間で二次転写ベルト12にトナー帯を形成する。上述の図18の場合、画像比率が50%以上の領域であるAREA1〜AREA3及びAREA5に相当する箇所にはトナー帯が形成され、画像比率が50%未満の領域であるAREA4及びAREA6〜AREA8に相当する箇所にはトナー帯が形成されない。即ち、この場合、トナー帯は主走査方向(幅方向)で記録材Pに対応する範囲内の少なくとも一部に形成される。また、例えばA3サイズ(420×297mm)の記録材Pの全域にベタ画像が形成された場合に、5mmのトナー帯長でトナー帯を形成すれば、画像不良は生じないことが実験から得られている。そこで、本実施形態ではトナー帯長の基準値として「5mm」が設定される。なお、基準値はこれに限られない。
本実施形態では、記録材Pに形成された画像の副走査方向の長さに応じてトナー帯の形成頻度を変えている。既に述べた通り、記録材PがA3サイズである場合にトナー帯長5mmのトナー帯が形成されれば画像不良が生じないことに鑑みれば、A3サイズに相当する長さ(基準長さ)の画像が記録材Pに形成されるまでは、トナー帯を形成する必要がない。そこで、画像比率が50%以上である場合の画像の副走査方向の長さの積算値に基づいて仮のトナー帯長(仮形成幅と記す)を求め、仮形成幅が基準値(例えば5mm)以上であればトナー帯を形成するようにした。仮形成幅は数3によって求められる。数3において、「VCP」は画像比率が50%以上である場合の画像の副走査方向の長さの積算値である。
[数3]
仮形成幅=直前の仮形成幅+{トナー帯長の基準値×VCP/基準長さ}
制御部200は、仮形成幅が基準値以上(例えば5mm以上)であればトナー帯を形成し、仮形成幅が基準値未満(例えば5mm未満)であればトナー帯を形成しない(S73参照)。そして、トナー帯を形成した場合、制御部200は仮形成幅から基準値を減算する。例えば、全域にベタ画像が形成されたA4横の記録材Pの1枚目が搬送された場合には、画像比率が100%であっても、仮形成幅が2.5mm(5×210/420)であるので、トナー帯は形成されない。引き続き2枚目が搬送された場合には、仮形成幅が5.0mm(5×210×2/420)であるので、トナー帯が形成される。その後、仮形成幅は基準値が減算されて0mmになる。
例えば、全域にベタ画像が形成されたB4縦の記録材Pの1枚目が搬送された場合には、仮形成幅が4.33mm(5×364/420)であるので、トナー帯は形成されない。引き続き2枚目が搬送された場合には、仮形成幅が8.67mm(5×364×2/420)であるので、トナー帯が形成される。その後、仮形成幅は基準値が減算されて3.67mmになる。引き続き3枚目が搬送された場合には、仮形成幅が8.00mm「3.67+(5×364/420)」であるので、トナー帯が形成される。その後、仮形成幅は基準値が減算されて3.00mmになる。
以上のように、第8実施形態では、分割した各領域の一面目に形成されたトナー像のトナー量を求め、該トナー量が閾値よりも大きい領域に関してトナー帯を形成する。これにより、高い画像比率でトナー像が形成された箇所にだけトナー帯を形成することができることから、トナー消費量を抑えつつワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。
さらに、本願発明者らは、トナー帯の形成頻度及びトナー帯長を変えた場合の画像不良の発生有無について調べる実験を行った。実験として、連続画像形成ジョブ開始時の現像剤中のトナーとキャリアの重量比(T/D)を8%にまた環境等の条件を同じにする一方で、トナー帯を形成する頻度及びトナー帯長を変えて、両面印刷モードで5万枚以上のA3用紙に画像形成を繰り返し行った。表7に実験結果を示す。表7には、記録材Pにスジ状の画像不良が生じた場合を「×」で表記し、またそのときの記録材Pの枚数を示した。
表7から理解できるように、トナー帯長が10mm以下である場合には(条件1〜条件3)、スジ状の画像不良が発生した。その原因を探ると、スジ状の画像不良が発生した位置では、トナーがクリーニングブレード90の表側から裏側(二次転写ベルト12の回転方向上流側から下流側)へと移動することが確認された。エッジ部90aを顕微鏡で拡大して調べてみると、ワックスが堆積している横をトナーがすり抜けることが分かった。ワックスの高さを測定すると、トナー帯長5mmでトナー帯を形成した場合で20μm程度であった。トナーの平均粒径は7μmであることから、クリーニングブレード90のエッジ部90aには、トナーがワックスの横を通過するのに十分な高さまでワックスが堆積し、ワックス塊が生じていた。
これに対し、トナー帯長が25mmである場合には、トナー形成頻度を1枚毎にすると(条件4)、5万枚以上の記録材Pに画像形成を行っても画像不良が生じなかった。しかし、トナー形成頻度を20枚毎にすると(条件5)、3千枚程度で画像不良が生じた。つまり、トナー帯長を25mmに且つトナー形成頻度を1枚毎にすれば、ワックス塊による画像不良の発生を抑制することはできる。しかしながら、その場合にはトナー消費量が大きくなってしまう。
そこで、条件6に示すように、トナー帯長5mmのトナー帯を1枚毎に、トナー帯長25mmのトナー帯を20枚毎に形成した。この場合には、5万枚以上の記録材Pに画像形成を行っても画像不良が生じなかった。トナー帯長5mmのトナー帯は、クリーニングブレード90に供給できるトナー量が比較的に少ない。しかし、エッジ部90aに少量のトナーを常に供給できれば、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間に挟まれて潤滑材として機能するトナーの量を維持できる。こうすると、エッジ部90aと二次転写ベルト12との間にワックスが挟まったままとならず、ワックス塊が生じ難くなる。ただし、多数の記録材Pに連続して画像形成を行うと、場合によってはワックスが残り得る。残ったワックスはワックス塊が生じる原因となる。そこで、クリーニングブレード90に供給できるトナー量が比較的に多い、トナー帯長25mmのトナー帯を所定のタイミングで形成することで、エッジ部90aに溜まりつつあるワックスを洗い流すようにしている。また、この場合には、条件4に比べてトナー消費量が少なくて済む。
[第9実施形態]
図19は、第9実施形態の画像形成処理を示すフローチャートである。この画像形成処理は、制御部200によって実行される。図19に示す画像形成処理は、図7に示した画像形成処理と比べると、S81とS82の処理が追加されている点が異なるだけであるので、それら以外の処理は詳しい説明を省略する。
図19に示すように、制御部200は、画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)でないと判定した場合(S3のNO)、記録材Pの一面目(表面)にトナー像を形成する画像形成制御を実行する前に(S2)、トナー帯形成制御を実行する(S81)。即ち、トナー帯が一面目の記録材Pの直前に形成される。ここで形成されるトナー帯は、例えばトナー帯長が5mmである。
また、図19に示すように、画像形成面が記録材Pの二面目(裏面)であると判定した場合(S3のYES)、制御部200は二次転写ベルト12にトナー帯を形成するトナー帯形成制御を実行する(S4)。即ち、トナー帯が二面目の記録材Pの直前に形成される。ここで形成されるトナー帯は、例えばトナー帯長が5mmである。さらに、制御部200は記録材Pの二面目にトナー像を形成し(S5)、その後に、当該連続画像形成ジョブ時に連続して画像形成した記録材Pの累積枚数(連続枚数)が所定値以上(例えば20枚以上)であるか否かを判定する(S82)。記録材Pの累積枚数が所定値未満である場合(S82のNO)、S6の処理へいく。記録材Pの累積枚数が所定値以上である場合(S82のYES)、トナー像が形成された後(S5)の二面目の記録材Pの直後にトナー帯を形成する(S11)。ここで形成されるトナー帯は、例えばトナー帯長が25mmである。図20に、第9実施形態の画像形成処理を行った場合に二次転写ベルト12に形成されるトナー帯を示す。
図20に示すように、トナー帯80、81は記録材Pと記録材Pとの間の紙間で二次転写ベルト12に形成される。二次転写ベルト12の回転方向下流側で一面目の記録材Pの直前と、二面目の記録材Pの直前には、常にトナー帯長が5mmのトナー帯80が形成される。その一方で、二次転写ベルト12の回転方向上流側で二面目の記録材Pの直後には、所定のタイミング(ここでは累積枚数)でトナー帯長が25mmのトナー帯81が形成される。即ち、第一供給トナー像としてのトナー帯80は二面目の記録材全ての直前に常に形成されている。他方、第二供給トナー像としてのトナー帯81は、トナー像が形成された記録材Pの累積枚数が閾値を超えた場合にトナー帯80に追加して形成される。
以上のように、第9実施形態では、トナー帯80が常に形成される一方で、トナー帯81が所定のタイミングでのみ形成される。これにより、トナー消費量を抑制しつつワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。また、トナー載り量の少ないトナー帯80を二次転写ベルト12の回転方向下流側で一面目の記録材Pの直前に形成することで、トナー消費量を無駄に増やすことなしに潤滑材として機能するトナーが常時確保される。これによって、クリーニングブレード90に微小な振動(所謂ビビり)が生じ難くなり、トナー除去性能が落ちることもない。
なお、上述した第9実施形態では、トナー帯長が25mmのトナー帯を形成するようにしたがこれに限られず、二面目の記録材Pの直前に形成するトナー帯よりもトナー載り量が多いトナー帯を形成してもよい。要は、二面目の記録材Pの直前に形成するトナー帯よりもクリーニングブレード90に供給するトナー量が多ければよい。また、連続画像形成ジョブ時に画像形成した記録材Pの枚数の累算値が所定値以上である場合に、トナー像が形成された後の二面目の記録材Pの直後にトナー帯長が25mmのトナー帯を形成するようにしたが、これに限られない。例えば、既に述べたように、平均画像比率が所値以上である場合や、一面目の記録材Pの画像比率が所定値以上である場合に、二面目の記録材Pの直後にクリーニングブレード90に供給するトナー量が多いトナー帯を形成してよい。
[他の実施形態]
なお、上述した第1〜第9実施形態では、クリーニング手段としてクリーニングブレード90を例に説明したがこれに限られず、クリーニング手段は静電方式のクリーニング装置であってもよい。図21に、静電方式の二次転写ベルトクリーニング装置を有した画像形成装置を示す。
図21に示す二次転写ベルトクリーニング装置901は、正極性の電圧を印加されたファーブラシ91Bを用いて負極性に帯電したトナーを回収した後に、負極性の電圧を印加されたファーブラシ92Bを用いて正極性に帯電したトナーを回収する。
静電除去回転体としてのファーブラシ91B、92B、摺擦去回転体としての金属ローラ91C、92Cは、歯車機構により連結され、不図示の駆動モータに駆動されてそれぞれ矢印方向に回転する。具体的に、ファーブラシ91B、92Bは、二次転写ベルト12の移動方向に対してカウンタ方向に回転して二次転写ベルト12を摺擦する。ファーブラシ92Bは、金属ローラ92Cの回転方向に対してもカウンタ方向に回転して金属ローラ92Cを摺擦する。ファーブラシ91Bは、金属ローラ91Cの回転方向に対してウイズ方向に回転して金属ローラ91Cを摺擦する。
支持ローラ91Aは、接地電位に接続された金属ローラであって、二次転写ベルト12に従動して回転し、ファーブラシ91Bによって摺擦される二次転写ベルト12を支持する。電源91Eは、金属ローラ91Cに正極性の電圧を印加する。金属ローラ91Cに接触するファーブラシ91Bは正極性に帯電して、二次転写ベルト12に付着した負極性に帯電したトナーを静電的に吸着する。ファーブラシ91Bに回収されたトナーは、より正極性の電位が高い金属ローラ91Cへ移転した後に、クリーニングブレード91Dによって掻き落とされる。
また、ファーブラシ91Bに付着して回転するうちに負極性から正極性に帯電極性が変化したトナーは、ファーブラシ91Bから二次転写ベルト12へ戻された後、ファーブラシ92Bを通過する過程でファーブラシ92Bに回収される。駆動ローラ23は、導電性のゴムで被覆された金属ローラであって、二次転写ベルト12を回転駆動し、ファーブラシ92Bによって摺擦される二次転写ベルト12を支持する。電源92Eは、金属ローラ92Cに負極性の電圧を印加する。金属ローラ92Cに接触するファーブラシ92Bは負極性に帯電して、二次転写ベルト12に付着した正極性に帯電したトナーを静電的に吸着する。ファーブラシ92Bに回収されたトナーは、より負極性の電位が高い金属ローラ92Cへ移転した後に、クリーニングブレード92Dによって掻き落とされる。
画像形成装置100Aで両面印刷を行った場合、記録材Pの二次転写ベルト65側に転写済みのトナー像に含まれるワックスが、記録材Pの二次転写部T2の通過時に記録材Pから二次転写ベルト65に付着され得る。そして、二次転写ベルト65に付着したワックスはファーブラシ91B、92Bに転移し得る。ファーブラシ91B、92Bに転移したワックスはクリーニングブレード91D、92Dにより掻き取られるが、掻き取られたワックスはクリーニングブレード91D、92Dのエッジ部に溜まり堆積し得る。そうなると、トナーや紙粉のクリーニング性能が著しく低下する。そこで、静電方式の二次転写ベルトクリーニング装置901の場合でも、上述した各実施形態を適用してよい。
なお、上述した第1〜第9実施形態では、二次転写ベルト12にトナー帯を形成し、これによって二次転写ベルト12をクリーニングするためのクリーニングブレード90にトナーを供給するものを示したが、これに限られない。例えば、中間転写ベルト40にトナー帯を形成し、これによって中間転写ベルト40をクリーニング装置45にトナーを供給するようにしてもよい。即ち、中間転写ベルト40に担持されたトナー帯を二次転写ベルト12に転写することなく、そのまま中間転写ベルトクリーニング装置45へと搬送させてもよい。こうすると、二次転写ベルト12を介して中間転写ベルト40に付着したワックスが中間転写ベルトクリーニング装置45のエッジ部に溜まり堆積することがないので、ワックス塊による画像不良の発生を抑制することができる。
また、上述した第1〜第9実施形態では、二次転写ベルト12をクリーニングするクリーニングブレード90でのワックス塊の発生を抑制するものを説明したがこれに限らない。トナー帯を中間転写ベルト40から二次転写ベルト12に転写させないことで、中間転写ベルト40をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置45にトナーを供給するようにしてもよい。クリーニング手段としての中間転写ベルトクリーニング装置45はクリーニングブレード(図1参照)に限らず、静電方式のクリーニング装置でもよい。図22に、静電方式の中間転写ベルトクリーニング装置を示す。
図22に示す中間転写ベルトクリーニング装置45Aは、負極性(トナーと同極性)のバイアス電圧が印加されるファーブラシ192Bを用いて正極性に帯電したトナーを回収する。その後に、正極性(トナーと逆極性)のバイアス電圧が印加されるファーブラシ191Bを用いて負極性に帯電したトナーを回収する。本実施形態では、ファーブラシ192Bが中間転写ベルト40の回転方向上流側で、ファーブラシ191Bが中間転写ベルト40の回転方向下流側で中間転写ベルト40をそれぞれ摺擦している。
中間転写ベルトクリーニング装置45Aは、第1クリーニング部191と第2クリーニング部192とを有する。第1クリーニング部191は、ファーブラシ191Bと、金属ローラ191Cと、電源191Eと、クリーニングブレード191Dとを有する。第2クリーニング部192は、ファーブラシ192Bと、金属ローラ192Cと、電源192Eと、クリーニングブレード192Dとを有する。静電除去回転体としてのファーブラシ191B、192B、摺擦回転体としての金属ローラ191C、192Cは、不図示の歯車機構により連結され、不図示の駆動モータに駆動されてそれぞれ回転する。ファーブラシ191B、192Bは、中間転写ベルト40との当接位置において中間転写ベルト40の回転方向と反対方向に回転し、中間転写ベルト40を摺擦する。ファーブラシ191Bは、ファーブラシ192Bが摺擦した後の中間転写ベルト40の周面を摺擦する。
また、ファーブラシ191B、192Bは、それぞれ金属ローラ191C、192Cを摺擦する。ファーブラシ191Bは、金属ローラ191Cとの当接位置において金属ローラ191Cの回転方向と同じ方向に回転して金属ローラ191Cを摺擦する。ファーブラシ192Bは、金属ローラ192Cとの当接位置において金属ローラ192Cの回転方向と同じ方向に回転して金属ローラ192Cを摺擦する。
支持ローラ192Aは接地電位(0V)に接続された金属ローラであって、ファーブラシ192Bによって摺擦される中間転写ベルト40を内周側から支持し、中間転写ベルト40に従動して回転する。支持ローラ192Aは、アルミニウムの円柱ローラで例えば直径13mmに形成される。駆動ローラ43は接地電位(0V)に接続された金属ローラであって、ファーブラシ191Bによって摺擦される中間転写ベルト40を内周側から支持し、上述したように中間転写ベルト40を回転駆動させる。
電源192Eは金属ローラ192Cに負極性の電圧を印加して、ファーブラシ192Bと支持ローラ192Aとの間に電界を発生させる。これにより、金属ローラ192Cに摺擦するファーブラシ192Bは負極性に帯電し、中間転写ベルト40に付着している正極性に帯電したトナーを吸着し得る。ファーブラシ192Bに吸着されたトナーは、より負極性の電位が高い金属ローラ192Cへ移転されて、クリーニングブレード192Dによって掻き落とされる。クリーニングブレード192Dは、金属ローラ192Cの回転方向に対してカウンタ方向に当接して、金属ローラ192Cからトナーを掻き落とす。
他方、電源191Eは金属ローラ191Cに正極性の電圧を印加して、ファーブラシ191Bと駆動ローラ43との間に電界を発生させる。これにより、金属ローラ191Cに摺擦するファーブラシ191Bは正極性に帯電し、中間転写ベルト40に付着している負極性に帯電したトナーを吸着し得る。ファーブラシ191Bに吸着されたトナーは、より正極性の電位が高い金属ローラ191Cへ移転されて、クリーニングブレード191Dによって掻き落とされる。クリーニングブレード191Dは、金属ローラ191Cの回転方向に対してカウンタ方向に当接して、金属ローラ191Cからトナーを掻き落とす。
画像形成装置100Aで両面印刷を行った場合、記録材Pの二次転写ベルト65側に転写済みのトナー像に含まれるワックスが、記録材Pの二次転写部T2の通過時に記録材Pから二次転写ベルト65に付着され得る。そして、二次転写ベルト65に付着したワックスはファーブラシ91B、92Bに転移し得る。ファーブラシ91B、92Bに転移したワックスはクリーニングブレード91D、92Dにより掻き取られるが、掻き取られたワックスはクリーニングブレード91D、92Dのエッジ部に溜まり堆積し得る。そうなると、トナーや紙粉のクリーニング性能が著しく低下する。そこで、静電方式の中間転写ベルトクリーニング装置45Aの場合にも上述した各実施形態を同様に適用してよい。
なお、上述した各実施形態では二次転写ベルトユニット56を用いたものを示したが、これに限らず、二次転写ローラであってもよい。
なお、以上説明した本実施形態においては、画像形成装置の一例としてマルチカラープリンタを用いて説明したが、これに限らず、中間転写体を用いて二次転写を行う画像形成装置であればどのようなものでもよい。すなわち、中間転写体を用いて二次転写を行う画像形成装置であれば、タンデム型/1ドラム型、帯電方式、静電像形成方式、現像方式、転写方式、定着方式の区別無く実施できる。そのような画像形成装置としては、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機などが挙げられる。