以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は略同一の構成および動作をするので、相違点を除き重複する説明を適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る劣化管理システム10を示す図である。劣化管理システム10は、構造物の劣化度を算出する。さらに、劣化管理システム10は、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する。
構造物は、道路の路面、線路、橋梁、建物またはトンネルの壁面等であってよい。また、構造物は、建物内における床または壁面、液体またはガス等の配管であってもよい。
劣化度は、構造物のひび割れ、傷、へこみ、ひずみ、はがれまたは汚れ等、もしくは、これらの組み合わせの度合いである。劣化度は、例えば、多値で表される。劣化度は、例えば、0.0以上、1.0以下の数値であってよい。また、劣化度は、例えば、0以上、100以下の数値であってもよい。劣化度は、複数のレベルを表す情報であってもよい。
劣化度の測定単位は、どのような単位であってもよい。例えば、構造物が道路である場合、50cm×50cmの領域であってもよいし、100m×100m程度の領域であってもよいし、地域単位であってもよい。
必要性は、劣化度を追加して測定すべき度合を表す。必要性は、例えば値が大きい程、より早急に劣化度を測定すべきであることを表す。必要性は、例えば多値で表される。必要性は、例えば、0.0以上、1.0以下の数値であってよい。必要性は、例えば、0以上、100以下の数値であってもよい。また、必要性は、「必要である」または「必要でない」を表す2値であってもよい。必要性は、例えば、劣化度の測定単位毎に算出される。また、必要性は、劣化度の測定単位を複数個まとめた単位毎に算出されてもよい。
また、日時は、劣化管理システム10が用いられる地点での標準時間であってもよいし、構造物を使用開始時から起算した時間であってもよい。
劣化管理システム10は、移動体装置20と、情報処理装置40とを備える。移動体装置20と情報処理装置40とはネットワーク12を介して接続可能である。
移動体装置20は、車両等の移動体に搭載される情報処理機器である。移動体は、ロボットまたは小型無線航空機等であってもよい。移動体装置20は、移動をしながら構造物を撮像する。移動体装置20は、構造物を撮像した画像に基づき、構造物における劣化度を測定する。これとともに、移動体装置20は、劣化度を測定した構造物における位置、および、劣化度の算出の基となる画像が撮像された日時を示す測定時刻を取得する。
情報処理装置40は、例えば、専用または汎用コンピュータである。情報処理装置40は、PC、あるいは、情報を保存および管理するサーバに含まれるコンピュータであってもよい。情報処理装置40は、劣化度、位置および測定時刻をネットワーク12を介して取得する。情報処理装置40は、構造物における任意の対象位置について、異なる複数の測定時刻の劣化度に基づき、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する。
移動体装置20は、撮像装置21と、位置検出装置22と、第1通信ユニット23と、第1記憶回路24と、第1処理回路30とを有する。
撮像装置21は、移動体に搭載される。撮像装置21は、移動体から、外部の構造物を撮像する。撮像装置21は、撮像して得られた画像を第1処理回路30に与える。撮像装置21が撮像した画像は、可視光画像、赤外線画像、距離画像等の種々の画像であってよい。
位置検出装置22は、撮像装置21が画像を撮像した構造物における位置を検出する。例えば、構造物が道路である場合、位置検出装置22は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号等を用いて、緯度および経度を検出する。位置検出装置22は、他の方法で、撮像装置21が画像を撮像した構造物における位置を検出してもよい。
第1通信ユニット23は、ネットワーク12を介して、情報処理装置40等の外部の装置と情報の入出力を行うインターフェースである。
第1記憶回路24は、第1処理回路30が行う処理に応じて必要なデータを記憶する。また、第1記憶回路24は、第1処理回路30により実行されるプログラムを記憶する。
例えば、第1記憶回路24は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。また、第1記憶回路24が行う処理は、移動体装置20の外部の記憶装置で代替されてもよい。第1記憶回路24は、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体であってもよい。
第1処理回路30は、制御機能31と、画像取得機能32と、位置取得機能33と、測定時刻特定機能34と、劣化度算出機能35と、情報送信機能36を含む。これらの機能は、後述する。
なお、制御機能31は、制御部の一例である。画像取得機能32は、画像取得部の一例である。位置取得機能33は、位置取得部の一例である。測定時刻特定機能34は、測定時刻特定部の一例である。劣化度算出機能35は、劣化度算出部の一例である。情報送信機能36は、情報送信部の一例である。
第1記憶回路24には、第1処理回路30に、制御機能31、画像取得機能32、位置取得機能33、測定時刻特定機能34、劣化度算出機能35および情報送信機能36を実現させるためのプログラムが記憶されている。第1処理回路30は、プログラムを第1記憶回路24から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。各プログラムを読み出した状態の第1処理回路30は、図1の第1処理回路30内に示された各機能を有する。また、第1処理回路30は、単一のプロセッサにより構成されてもよいし、複数の独立したプロセッサにより構成されてもよい。また、第1処理回路30は、特定の機能が、専用の独立したプログラム実行回路がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
また、「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
情報処理装置40は、入力装置41と、表示装置42と、第2通信ユニット43と、第2記憶回路44と、第2処理回路50とを有する。
入力装置41は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置41は、例えば、マウスまたはトラックボール等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。
表示装置42は、各種の情報を表示する。表示装置42は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
第2通信ユニット43は、ネットワーク12を介して、移動体装置20等の外部の装置と情報の入出力を行うインターフェースである。
第2記憶回路44は、第2処理回路50が行う処理に応じて必要なデータを記憶する。また、第2記憶回路44は、第2処理回路50により実行されるプログラムを記憶する。
例えば、第2記憶回路44は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。また、第2記憶回路44が行う処理は、情報処理装置40の外部の記憶装置で代替されてもよい。第2記憶回路44は、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体であってもよい。
第2処理回路50は、情報受信機能51と、劣化管理機能52とを含む。これらの機能は、後述する。なお、情報受信機能51は、情報受信部の一例である。劣化管理機能52は、劣化管理部の一例である。
第2記憶回路44には、第2処理回路50に、情報受信機能51および劣化管理機能52を実現させるためのプログラムが記憶されている。第2処理回路50は、プログラムを第2記憶回路44から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。各プログラムを読み出した状態の第2処理回路50は、図1の第1処理回路30内に示された各機能を有する。また、第2処理回路50は、単一のプロセッサにより構成されてもよいし、複数の独立したプロセッサにより構成されてもよい。また、第2処理回路50は、特定の機能が、専用の独立したプログラム実行回路がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
なお、移動体装置20は、撮像装置21により撮像された画像に基づき構造物の劣化度を算出する。これに代えて、移動体装置20は、撮像装置21以外のセンサにより検出された情報に基づき、劣化度を算出してもよい。例えば、センサは、電磁波センサまたは超音波センサ等であってもよい。この場合、移動体装置20は、電磁波信号または超音波信号に基づき、構造物の劣化度を算出する。
図2は、第1実施形態に係る第1処理回路30および第2処理回路50の構成を示す図である。第1処理回路30は、制御機能31と、画像取得機能32と、位置取得機能33と、測定時刻特定機能34と、劣化度算出機能35と、情報送信機能36とを有する。
制御機能31は、撮像装置21による撮像動作を制御する。制御機能31は、例えば、移動体装置20が予め設定された撮像位置に移動したタイミングにおいて、撮像装置21に構造物を撮像させる。
画像取得機能32は、撮像装置21により撮像された画像を取得する。位置取得機能33は、撮像装置21が撮像した構造物における位置を、位置検出装置22から取得する。測定時刻特定機能34は、撮像装置21が構造物を撮像した日時である測定時刻を特定する。劣化度算出機能35は、画像取得機能32が取得した画像に基づき、構造物の劣化度を算出する。
情報送信機能36は、第1通信ユニット23を制御して、劣化度の算出の基となる画像が撮像された構造物における位置(すなわち、劣化度を測定した位置)、劣化度、および、劣化度の算出の基となる画像が撮像された測定時刻を、情報処理装置40へと送信する。
第2処理回路50は、情報受信機能51と、劣化管理機能52とを有する。
情報受信機能51は、第2通信ユニット43を制御して、移動体装置20から、位置、劣化度および測定時刻を受信する。情報受信機能51は、送信された位置、劣化度および測定時刻を、第2記憶回路44に記憶させる。例えば、情報受信機能51は、対応する劣化度および測定時刻を含む測定情報を生成し、位置毎に、測定情報を第2記憶回路44に記憶させる。
なお、第2記憶回路44は、位置が指定されることにより、その位置に対応する劣化度および測定時刻を読み出させることができれば、どのような方法で位置、劣化度および測定時刻を記憶してもよい。例えば、第2記憶回路44は、位置、劣化度および測定時刻のそれぞれに、劣化度算出機能35による劣化度の算出処理毎に付けられた固有のIDを付加してもよい。これにより、第2記憶回路44は、位置が指定されれば、同一のIDを有する劣化度および測定時刻を読み出させることができる。
劣化管理機能52は、必要性の算出する対象位置の指定を受け付ける。劣化管理機能52は、指定された対象位置について、異なる測定時刻の複数の劣化度を、第2記憶回路44から読み出す。そして、劣化管理機能52は、異なる測定時刻の複数の劣化度に基づき、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する。
なお、第1処理回路30が劣化度算出機能35を有するのではなく、情報処理装置40の第2処理回路50が、劣化度算出機能35を有してもよい。この場合、第1処理回路30の情報送信機能36は、劣化度に代えて、構造物を撮像した画像を情報処理装置40に送信する。そして、情報処理装置40の劣化度算出機能35は、受信した画像に基づき劣化度を算出する。
また、情報処理装置40の第2処理回路50に含まれる劣化管理機能52の一部または全部の機能を、移動体装置20の第1処理回路30が有してもよい。また、移動体装置20と情報処理装置40とは、ネットワーク12により常時接続されていてもよいし、移動体装置20が情報処理装置40にアクセスした場合に接続されてもよい。
図3は、劣化度算出機能35の構成を示す図である。例えば、構造物が道路であって、劣化度が、路面におけるひび割れ率であるとする。この場合、劣化度算出機能35は、例えば、図3に示すように、輝度画像生成機能61と、候補特定機能62と、特徴量算出機能63と、判定機能64と、比率算出機能65とを有する。
輝度画像生成機能61は、撮像装置21により撮像された画像から、輝度成分で表された輝度画像を生成する。候補特定機能62は、輝度画像から、ひび割れの候補部分を抽出する。画像上において、ひび割れは、線状であって、周囲とは異なる輝度となっている。そこで、候補特定機能62は、例えば、輝度画像に対して微分処理をして、輝度値が谷または山となっている画素を検出する。続いて、候補特定機能62は、検出した画像を連結する。候補特定機能62は、連結した部分の長さが所定の範囲であり、周囲との輝度差が所定値以上の部分を、ひび割れの候補として特定する。
特徴量算出機能63は、特定したひび割れの候補の部分画像を、周囲の画素を含めて取得する。そして、特徴量算出機能63は、特定したひび割れの候補の部分画像における所定種類の特徴量を算出する。
判定機能64は、ひび割れの候補の部分画像の特徴量から、特定した候補がひび割れであるかひび割れではないかを判定する。判定機能64は、例えば教師有り学習方式により予め学習をした判定器を用いて、判定処理を実行する。
比率算出機能65は、予め定められた範囲内における、ひび割れと判定された候補の個数を算出する。すなわち、比率算出機能65は、ひび割れの面積率を算出する。そして、劣化度算出機能35は、このように算出したひび割れ面積率を、劣化度として出力する。
なお、図3に示した劣化度の算出方法は一例であり、劣化度算出機能35は、他の方法で劣化度を算出してもよい。また、劣化度算出機能35は、ひび割れに限らず、傷、へこみ、ひずみ、はがれまたは汚れ等の度合いを劣化度として算出してもよい。
図4は、第1実施形態に係る劣化管理機能52の構成を示す図である。劣化管理機能52は、基準時刻特定機能71と、対象位置特定機能72と、測定情報読出機能73と、劣化度取得機能74と、測定時刻取得機能75と、必要性算出機能76とを含む。
基準時刻特定機能71は、基準時刻特定部の一例である。対象位置特定機能72は、対象位置特定部の一例である。測定情報読出機能73は、測定情報読出部の一例である。劣化度取得機能74は、劣化度取得部の一例である。測定時刻取得機能75は、測定時刻取得部の一例である。必要性算出機能76は、必要性算出部の一例である。
基準時刻特定機能71は、必要性の算出の基準日時である基準時刻を特定する。基準時刻は、現在の日時であってもよいし、任意の日時であってもよい。基準時刻が過去の日時である場合、劣化管理機能52は、過去の時点における必要性を提供することができる。また、基準時刻が将来の日時である場合、劣化管理機能52は、将来の時点にける必要性を提供することができる。
対象位置特定機能72は、必要性を算出する構造物の位置を特定する。例えば、対象位置特定機能72は、ユーザから位置の指定を受け付けて、対象位置を特定する。
測定情報読出機能73は、第2記憶回路44から、対象位置に対応して記憶された複数の測定情報を読み出す。それぞれの測定情報には、劣化度および測定時刻が含まれる。
劣化度取得機能74は、測定情報読出機能73により読み出された複数の測定情報のそれぞれから、劣化度を取得する。これにより、劣化度取得機能74は、対象位置について、複数の劣化度を取得することができる。なお、劣化度取得機能74は、基準時刻および基準時刻以前に測定された劣化度を取得する。
測定時刻取得機能75は、測定情報読出機能73により読み出された複数の測定情報のそれぞれから、測定時刻を取得する。これにより、測定時刻取得機能75は、劣化度取得機能74が取得したそれぞれの劣化度に対応する測定時刻を取得することができる。すなわち、測定時刻取得機能75は、劣化度取得機能74が取得したそれぞれの劣化度について、劣化度の算出の基となる画像が撮像された日時を表す測定時刻を取得することができる。
必要性算出機能76は、基準時刻特定機能71から基準時刻を受け取る。また、必要性算出機能76は、劣化度取得機能74から複数の劣化度を受け取る。また、必要性算出機能76は、測定時刻取得機能75から複数の測定時刻を受け取る。そして、必要性算出機能76は、測定時刻が異なる複数の劣化度に基づき、予め定められた算出処理により、対象位置についての、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する。
ここで、必要性算出機能76は、単位時間当たりの劣化度の変化量が大きい程、必要性を高くする算出処理により、必要性を算出する。これに加えて、この算出処理は、測定時刻から必要性の算出の基準日時までの経過期間が長い程、必要性を高くする処理であってよい。なお、この算出処理については、図6、図7等を参照してさらに説明する。
また、必要性算出機能76は、測定時刻が異なる複数の劣化度に基づき、対象位置について、構造物における対象位置についての集計劣化度を算出してもよい。集計劣化度は、測定時刻が異なる複数の劣化度を、測定時刻に応じて重みを付けて集計した値である。
図5は、第1実施形態に係る劣化管理機能52の処理の流れを示すフローチャートである。劣化管理機能52は、図5に示すフローチャートに従って処理を実行する。
まず、劣化管理機能52は、基準時刻を特定する(S111)。続いて、劣化管理機能52は、対象位置を特定する(S112)。続いて、劣化管理機能52は、対象位置に対応する複数の測定情報を読み出す(S113)。なお、劣化管理機能52は、基準時刻および基準時刻以前に測定された劣化度を含む複数の測定情報を読み出す。
続いて、劣化管理機能52は、測定時刻が異なる複数の劣化度に基づき、予め定められた算出処理により、対象位置について、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する(S114)。この算出処理は、単位時間当たりの劣化度の変化量が大きい程、必要性を高くする処理である。これに加えて、この算出処理は、測定時刻から必要性の算出の基準日時までの経過期間が長い程、必要性を高くする処理であってよい。なお、S114の具体的な処理例については、図8のフローチャートを参照してさらに説明する。
続いて、劣化管理機能52は、算出した必要性を出力する(S115)。例えば、劣化管理機能52は、必要性を表示装置42に表示する。
続いて、劣化管理機能52は、必要性の算出処理とともに集計劣化度を算出した場合には、集計劣化度を出力する(S116)。例えば、劣化管理機能52は、集計劣化度を表示装置42に表示する。
図6は、必要性を算出する算出処理を説明するための第1図である。図6には、3つのグラフが示されている。図6は、右側のグラフの方が、左側のグラフよりも単位時間当たりの劣化度が高くなっている。さらに、図6では、必要性算出機能76において実行される算出処理が、右側のグラフのような場合の方が、左側のグラフのような場合よりも、必要性を高くすることを示している。
必要性算出機能76における算出処理は、この図6に示すように、単位時間当たりの劣化度の変化量が大きい程、必要性を高くする処理である。これにより、必要性算出機能76は、例えば撮影時の天候および撮影時の周囲の状況等の要因により劣化度の測定精度が悪い場合、および、劣化度の悪化が進行しているような場合に、必要性を高くすることができる。
図7は、必要性を算出する算出処理を説明するための第2図である。図7には、3つのグラフが示されている。図7は、右側のグラフの方が、左側のグラフよりも、基準時刻の直近の測定時刻から、基準時刻までの経過期間が長くなっている。さらに、図7では、必要性算出機能76において実行される算出処理が、右側のグラフのような場合の方が、左側のグラフのような場合よりも、必要性を高くすることを示している。
必要性算出機能76における算出処理は、図6に示したような処理に加えて、図7に示すように、経過期間が長い程、必要性を高くする処理であってよい。例えば、この算出処理は、変化量が同一である場合、経過期間が長い程、必要性を高くする処理であってもよい。これにより、必要性算出機能76は、劣化が進んでいる可能性が高い程、必要性を高くすることができる。
図8は、必要性を算出する算出処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図9は、S124において比重を算出するために用いる第1関数の一例を示す図である。図10は、S126において分散を算出するために用いる第2関数の一例を示す図である。図11は、S128で算出される確率分布の第1例を示す図である。図12は、S128で算出される確率分布の第2例を示す図である。図13は、S130で生成される合成確率分布の一例を示す図である。図14は、S131において必要性を算出するために用いる第3関数の一例を示す図である。
まず、S121において、必要性算出機能76は、対象位置について、基準時刻以前に測定された複数の劣化度のうち、1つの劣化度を選択する。続いて、S122において、必要性算出機能76は、選択した劣化度に対応する測定時刻を選択する。
続いて、S123において、必要性算出機能76は、経過期間を算出する。具体的には、必要性算出機能76は、基準時刻から測定時刻を減じることにより、経過期間を算出する。なお、測定時刻は、基準時刻以前の日時である。従って、経過期間は、非負の値となる。
続いて、S124において、必要性算出機能76は、経過期間に基づき比重を算出する。経過期間をT、比重をetとした場合、必要性算出機能76は、下記の式(1)に示す第1関数により比重を算出する。
et=fa(T) …(1)
第1関数は、例えば、図9に示されるようなグラフで表される関数である。例えば、第1関数は、T=0の場合に、et=1とし、T=T1の場合に、et=0とする。T1は、予め定められた期間であって、例えば「1年」等である。さらに、第1関数は、0<T<T1の範囲において、Tが大きくなる程、etを減少させる。例えば、第1関数は、0<T<T1の範囲において、Tが大きくなる程、etの減少割合を増加させる。さらに、第1関数は、T1<Tの範囲において、etを0とする。
必要性算出機能76は、このような第1関数を用いることにより、測定時刻が基準時刻に近い程(測定時刻が最近である程)、大きい比重を算出することができる。さらに、必要性算出機能76は、一定時間以上過去の劣化度については、比重を0とすることができる。
続いて、S125において、必要性算出機能76は、比重に基づき集計パラメータを算出する。比重をet、集計パラメータをqとした場合、必要性算出機能76は、下記の式(2)により、集計パラメータを算出する。
q=et …(2)
なお、式(2)は、集計パラメータを比重と同一の値としている。しかし、必要性算出機能76は、比重に基づく値であれば、集計パラメータを他の値としてもよい。例えば、必要性算出機能76は、集計パラメータを比重に比例する値としてもよい。
続いて、S126において、必要性算出機能76は、集計パラメータに基づき分散を算出する。集計パラメータをq、分散をσ2とした場合、必要性算出機能76は、下記の式(3)に示す第2関数により分散を算出する。
σ2=fb(q) …(3)
第2関数は、例えば、図10に示されるようなグラフで表される関数である。すなわち、第2関数は、qが0に近い程、σ2を大きくし、qが大きい程σ2を0に漸近するような単調減少関数である。なお、第2関数は、qが0の場合に、正の所定値を出力する。
必要性算出機能76は、このような第2関数を用いることにより、測定時刻が基準時刻に近い程(すなわち、新しい測定で得られた劣化度である程)、分散を小さくすることができる。また、必要性算出機能76は、測定時刻が基準時刻から遠い程(すなわち、過去の測定で得られた劣化度である程)、分散を大きくすることができる。
続いて、S127において、必要性算出機能76は、劣化度に基づき平均を算出する。劣化度をd、平均をxとした場合、必要性算出機能76は、下記の式(4)により、平均を算出する。
xk=d …(4)
なお、式(4)は、平均を劣化度と同一の値としている。しかし、必要性算出機能76は、劣化度に基づく値であれば、平均を他の値としてもよい。例えば、必要性算出機能76は、平均を劣化度に比例する値としてもよい。
続いて、S128において、必要性算出機能76は、S126において算出した分散およびS127において算出した平均となる確率分布を生成する。確率分布は、例えば、ガウス分布(正規分布)である。
例えば、平均がx1、分散がσ1 2であるガウス分布は、図11に示すように表される。また、平均がx2、分散がσ2 2であるガウス分布は、図12に示すように表される。なお、ここでは、任意の平均をxk、任意の分散をσk 2とした場合、ガウス分布を下記の式(5)により表す。
N(x|xk,σk 2) …(5)
ここで、ガウス分布は、平均において確率がピークとなり、平均から離れるほど確率が低くなる。従って、必要性算出機能76は、劣化度が近い場合、互いのピークが近いガウス分布を生成する。しかし、必要性算出機能76は、劣化度が遠い場合、互いのピークが遠いガウス分布を生成する。
また、ガウス分布は、分散が小さい程、鮮鋭となり、分散が大きい程、平たくなる。従って、必要性算出機能76は、測定時刻が基準時刻に近い程(すなわち、新しい測定で得られた劣化度である程)、鮮鋭なガウス分布を生成する。また、必要性算出機能76は、測定時刻が基準時刻から遠い程(すなわち、過去の測定で得られた劣化度である程)、平たいガウス分布を生成する。
このように、必要性算出機能76は、平均が劣化度に基づく値であり、分散が、測定時刻から基準時刻までの経過期間が短い程小さくなる値である確率分布を生成する。
続いて、S129において、必要性算出機能76は、基準時刻以前に測定された複数の劣化度の全てを選択し、それぞれの劣化度について確率分布を生成したか否かを判断する。まだ全ての劣化度について確率分布を生成していない場合には(S129のNo)、必要性算出機能76は、処理をS121に戻して、次の劣化度について処理を進める。必要性算出機能76は、全ての劣化度について確率分布を生成した場合には(S129のYes)、処理をS130に進める。
S121からS129までの処理を実行することにより、必要性算出機能76は、測定時刻が異なる複数の劣化度のそれぞれについて、平均が劣化度に基づく値であり、分散が、測定時刻から必要性の算出の基準日時までの経過期間が短い程小さくなる値である確率分布を生成することができる。
S130において、必要性算出機能76は、測定時刻が異なる複数の劣化度のそれぞれについて算出した確率分布を合成することにより、合成確率分布を生成する。例えば、必要性算出機能76は、測定時刻が異なる複数の劣化度のそれぞれについて算出した確率分布を平均化した合成確率分布を生成する。
例えば、図11および図12に示されたようなガウス分布を合成した合成確率分布は、図13のように表される。例えば、Kを劣化度の個数、M(x)を合成確率分布とした場合、必要性算出機能76は、下記の式(6)のように合成確率分布を算出する。
なお、合成確率分布の分散(σ
m 2)は、下記の式(7)のように表される。
また、合成確率分布の平均(x
m)は、下記の式(8)のように表される。
続いて、S131において、必要性算出機能76は、合成確率分布の分散に基づき、必要性を算出する。合成確率分布の分散をσm 2、必要性をymとした場合、必要性算出機能76は、下記の式(9)に示す第3関数により必要性を算出する。
ym=fc(σm 2) …(9)
第3関数は、例えば、図14に示されるようなグラフで表される関数である。すなわち、第3関数は、合成確率分布の分散が大きくなる程大きくなる値を出力する単調増加関数である。例えば、第3関数は、ym=σm 2であってもよい。
続いて、S132において、必要性算出機能76は、合成確率分布の平均に基づき、集計劣化度を算出する。合成確率分布の平均をxm、集計劣化度をdmとした場合、必要性算出機能76は、下記の式(10)により、集計劣化度を算出する。
dm=xm …(10)
なお、式(10)は、集計劣化度を合成確率分布の平均と同一の値としている。しかし、必要性算出機能76は、合成確率分布の平均に基づく値であれば、集計劣化度を他の値としてもよい。例えば、必要性算出機能76は、集計劣化度を合成確率分布の平均に比例する値としてもよい。
なお、必要性算出機能76は、集計劣化度を出力しない場合には、S132の処理を実行しなくてよい。S132の処理を終了すると、必要性算出機能76は、処理をメインのフローに戻す。
図15は、測定時刻が3日前および1日前の2個の劣化度から得られる集計劣化度の一例を示す図である。図16は、測定日時が7日前および1日前の2個の劣化度から得られる集計劣化度の一例を示す図である。
必要性算出機能76は、合成確率分布の平均を集計劣化度として出力する。例えば、図15に示すように、測定時刻が3日前の劣化度が0.2であり、測定時刻が1日前の劣化度が0.4であるとする。このような場合、必要性算出機能76は、例えば、0.35を集計劣化度として出力する。0.35は、測定時刻が3日前の劣化度より、測定時刻が1日前の劣化度により近い値である。
また、例えば、図16に示すように、測定時刻が7日前の劣化度が0.2であり、測定時刻が1日前の劣化度が0.4であるとする。このような場合、必要性算出機能76は、例えば、0.375を集計劣化度として出力する。0.375は、測定時刻が7日前の劣化度より、測定時刻が1日前の劣化度により近い値である。
このように必要性算出機能76は、測定時刻が基準時刻に近い程(すなわち、新しい測定で得られた劣化度である程)、重みを大きくして劣化度を補間した値を、集計劣化度として出力する。これにより、必要性算出機能76は、精度の良い集計劣化度を出力することができる。
図17は、経過期間が短く、劣化度の変化量が小さい場合における、複数の確率分布の一例を示す図である。必要性算出機能76は、経過期間が短い場合、分散が小さい確率分布を生成する。また、必要性算出機能76は、劣化度の変化量が小さい(すなわち、複数の劣化度が近似している)場合、ピーク位置が近似した複数の確率分布を生成する。
必要性算出機能76は、このような複数の確率分布を合成した場合、分散が小さく鮮鋭な合成確率分布を生成する。従って、経過期間が短く、且つ、劣化度の変化量が小さい場合、必要性算出機能76は、必要性を低くすることができる。
図18は、劣化度の変化量が大きい場合における、複数の確率分布の一例を示す図である。必要性算出機能76は、劣化度の変化量が大きい(すなわち、複数の劣化度が離れている)場合、ピークが離れている複数の確率分布を生成する。
必要性算出機能76は、このような複数の確率分布を合成した場合、分散が大きく平たい合成確率分布を生成する。従って、劣化度の変化量が大きい場合、必要性算出機能76は、必要性を高くすることができる。
図19は、経過期間が長く、劣化度の変化量が小さい場合における、複数の確率分布の一例を示す図である。必要性算出機能76は、経過期間が長い場合、分散の大きい確率分布を生成する。
必要性算出機能76は、このような複数の確率分布を合成した場合、分散が大きく平たい合成確率分布を生成する。従って、必要性算出機能76は、例えば劣化度の変化量が同一であるような場合であっても、経過期間が長い場合には、必要性を高くすることができる。
以上のように、必要性算出機能76は、劣化度の変化量が大きい程、必要性を高くする算出処理により、必要性を算出することができる。さらに、必要性算出機能76は、測定時刻から必要性の算出の基準日時までの経過期間が長い程、必要性を高くする算出処理により、必要性を算出することができる。
これにより、劣化管理システム10によれば、劣化度を追加して測定すべき必要性を精度良く算出することができる。
なお、必要性算出機能76は、以上の方法に限らず、同様の傾向となる他の算出処理を用いて必要性を算出してもよい。例えば、必要性算出機能76は、下記の式(11)に示す算出処理により必要性を算出してもよい。
ym=w0×(1/qm)+w1×σx 2…(11)
式(11)において、qmは、それぞれの劣化度の経過期間に基づく比重から算出した集計パラメータの平均値である。σx 2は、複数の劣化度の分散である。ymは、必要性である。w0、w1は、第1項と第2項とを線形加算するための予め定められた係数である。
式(11)の第1項は、それぞれの劣化度の経過期間が長い程、大きくなる項である。第2項は、複数の劣化度の分散が大きい程大きくなる項である。このような式(11)は、劣化度の変化量が大きい程、必要性を高くし、且つ、経過期間が長い程、必要性を高くすることができる。従って、必要性算出機能76は、このような式(11)を用いて必要性を算出することにより、確率分布を用いる場合と同様に、精度の良い必要性を算出することができる。なお、式(11)は、1/qmに代えて、経過期間の平均値または合計値を表すパラメータを含んでもよい。
また、必要性算出機能76は、一定時間以上過去に測定した劣化度の影響を排除する処理をさらに実行してもよい。これにより、必要性算出機能76は、参考にできないような古い測定結果を排除することができる。
(第1実施形態の変形例)
図20は、第1実施形態の変形例に係る劣化管理機能52の構成を示す図である。第1実施形態の変形例に係る劣化管理機能52は、第1実施形態の構成に加えて、補正機能81と、劣化パラメータ生成機能82と、劣化度集計機能83とを、さらに有する。補正機能81は、補正部の一例である。劣化パラメータ生成機能82は、劣化パラメータ生成部の一例である。劣化度集計機能83は、劣化度集計部の一例である。
補正機能81は、与えられたパラメータに基づき、必要性算出機能76から出力された必要性を補正する。そして、補正機能81は、補正後の必要性を出力する。本変形例においては、補正機能81は、劣化パラメータ生成機能82から受け取った劣化パラメータに基づき必要性を補正する。
劣化パラメータ生成機能82は、対象位置についての測定時刻が異なる複数の劣化度を受け取る。さらに、測定時刻取得機能75から、受け取った複数の劣化度のそれぞれに対応する測定時刻を受け取る。劣化パラメータ生成機能82は、受け取った複数の劣化度および対応する測定時刻に基づき、劣化パラメータを算出する。
ここで、劣化パラメータは、時間経過に従って劣化度が良くなる方向に変化したか、時間経過に従って劣化度が悪くなる方向に変化したかを示すパラメータである。そして、補正機能81は、劣化パラメータに基づき、時間経過に従って劣化度が良くなる方向に変化した場合より、時間経過に従って劣化度が悪くなる方向に変化した場合に、必要度を高くする。
補正前の必要性をymとし、劣化パラメータをgdとし、補正後の必要性をyとする。この場合、補正機能81は、例えば、下記の式(12)に示すように、必要性を補正する。
y=ym×gd… (12)
補正機能81が式(12)に示すように必要性を補正する場合、劣化パラメータ生成機能82は、時間経過に従って劣化度が良くなる方向に変化した場合、gdを1とし、時間経過に従って劣化度が悪くなる方向に変化した場合、gdを1より大きい値とする。
また、補正機能81は、下記の式(13)に示すように、必要性を補正してもよい。
y=ym+gd… (13)
補正機能81が式(13)に示すように必要性を補正する場合、劣化パラメータ生成機能82は、時間経過に従って劣化度が良くなる方向に変化した場合、gdを0とし、時間経過に従って劣化度が悪くなる方向に変化した場合、gdを0より大きい値とする。
このように、本変形例に係る劣化管理機能52は、時間経過に従って劣化度が良くなる方向に変化する場合より、時間経過に従って劣化度が悪くなる方向に変化する場合に、必要度を高くすることができる。
劣化度集計機能83は、測定時刻が異なる複数の劣化度を受け取る。さらに、劣化度集計機能83は、必要性算出機能76から、受け取ったそれぞれの劣化度について算出された集計パラメータを受け取る。集計パラメータは、劣化度の測定時刻が基準時刻に近い程(すなわち、新しい測定で得られた劣化度である程)、大きい値である。
劣化度集計機能83は、受け取った複数の劣化度のそれぞれを対応する集計パラメータにより重み付けし、重み付けをした複数の劣化度の平均値を算出する。そして、劣化度集計機能83は、算出した平均値を集計劣化度として出力する。これにより、劣化度集計機能83は、必要性算出機能76に代わり、集計劣化度を出力することができる。
なお、本変形例に係る劣化管理機能52は、劣化度集計機能83を有さない構成であってもよい。また、本変形例に係る劣化管理機能52は、補正機能81および劣化パラメータ生成機能82を有さない構成であってもよい。
(第2実施形態)
図21は、第2実施形態に係る第1処理回路30および第2処理回路50の構成を示す図である。第2実施形態に係る劣化管理システム10は、算出した劣化度に対する信頼性をさらに算出し、算出した信頼性をさらに用いて必要性を算出する。
本実施形態に係る第1処理回路30は、第1実施形態の構成に加えて、信頼性算出機能91をさらに有する。信頼性算出機能91は、信頼性算出部の一例である。信頼性算出機能91は、劣化度算出機能35により算出された劣化度に対する信頼性を、画像を撮像した環境に基づき算出する。
劣化度は、画像を撮像した環境によってばらつく。例えば、良い環境で撮像された画像に基づき算出された劣化度は、信頼性が高い。反対に、悪い環境で撮像された画像に基づき算出された劣化度は、信頼性が低い。信頼性算出機能91は、このような信頼性を評価して、数値化する。
信頼性は、例えば0.0以上、1.0以下の数値であってよい。また、信頼性は、例えば、0以上、100以下の数値であってもよい。信頼性は、複数のレベルを表す情報であってもよい。
情報送信機能36は、劣化度の算出の基となる画像が撮像された構造物における位置、劣化度、測定時刻および信頼性を、情報処理装置40へと送信する。第2処理回路50の情報受信機能51は、移動体装置20から、位置、劣化度、測定時刻および信頼性を受信する。
情報受信機能51は、受信した劣化度、測定時刻および信頼性を含む測定情報を、位置毎に第2記憶回路44に記憶させる。なお、第2記憶回路44は、位置が指定されることにより、その位置に対応する劣化度、測定時刻および信頼性を読み出させることができれば、どのような方法で位置、劣化度、測定時刻および信頼性を記憶してもよい。例えば、第2記憶回路44は、位置、劣化度、測定時刻および信頼性のそれぞれに、算出処理毎に付けられた固有のIDを付加してもよい。
なお、信頼性算出機能91を、第1処理回路30が有するのではなく、第2処理回路50が有してもよい。この場合、第1処理回路30の情報送信機能36は、信頼性を算出するために必要な情報を収集して、劣化度とともに第2処理回路50に送信する。第2処理回路50の信頼性算出機能91は、第1処理回路30から送信された情報に基づき、信頼性を算出する。
図22は、輝度に対する信頼性を表すグラフの一例を示す図である。信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像を取得し、取得した画像の輝度が予め定められた基準輝度に近い程高くなるような信頼性を算出してもよい。
劣化度に対する信頼性は、構造物を撮像した撮像時の天候および時間帯等により変化する。例えば、日中の時間帯に十分に明るさを確保できた状態で構造物を撮影し、且つ、影がない画像は、信頼性の高い劣化度を算出させることができる。しかし、夕方または夜間等に十分な明るさが確保できていない状態で構造物を撮像した画像、または、構造物に影が映り込んでいる画像は、信頼性の高い劣化度を算出させることができない。また、明るすぎて白とびした画像も、信頼性の高い劣化度を算出させることができない。
そこで、信頼性算出機能91は、日中の時間帯に十分に明るさを確保できた状態で構造物を撮影し、且つ、影がない適切な画像を、予め撮像して取得する。信頼性算出機能91は、このような適切な画像の平均輝度を、基準輝度として記憶しておく。
劣化度が算出された場合、信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像の平均輝度を測定輝度として算出し、測定輝度と基準輝度との差を算出する。そして、信頼性算出機能91は、差が0であれば、信頼性を最も高くし、差が大きくなる程、信頼性を低くする。例えば、信頼性算出機能91は、図22に示すような関数により信頼性(el)を算出してよい。elは、測定輝度(l)と基準輝度(l0)との差が0である場合に1となり、差が大きくなる程、0に近づく。これにより、信頼性算出機能91は、適切な明るさで影の無い画像である場合には、高くなり、夜間に撮像していたり、影ができていたり、または、白とびしている画像である場合には、低くなるような信頼性を算出することができる。
図23は、解像度に対する信頼性を表すグラフの一例を示す図である。信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像を取得し、取得した画像における構造物の解像度が予め定められた基準解像度に近い程高くなるような信頼性を算出してもよい。
劣化度に対する信頼性は、構造物の解像度により変化する。例えば、非常に近い位置から構造物を撮影したため、構造物の解像度が高すぎる画像、または、非常に遠い位置から構造物を撮像したため、構造物の解像度が低すぎる画像は、信頼性の高い劣化度を算出させることができない。例えば、正確な劣化度を算出することができる構造物の解像度は、機械学習等により予め特定することができる。
そこで、信頼性算出機能91は、正確な劣化度を算出することができる解像度を予め取得する。信頼性算出機能91は、このような適切な解像度を、基準解像度として記憶しておく。
劣化度が算出された場合、信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像における構造物の解像度を測定解像度として算出し、測定解像度と基準解像度との差を算出する。そして、信頼性算出機能91は、差が0であれば、信頼性を最も高くし、差が大きくなる程、信頼性を低くする。例えば、信頼性算出機能91は、図23に示すような関数により信頼性(es)を算出してよい。esは、測定解像度(s)と基準解像度(s0)との差が0である場合に1となり、差が大きくなる程、0に近づく。これにより、信頼性算出機能91は、適切な距離から構造物を撮像した画像である場合には、高くなり、近距離から構造物を撮像した画像(高解像度)であったり、遠距離から構造物で撮像した画像(低解像度)であったりする場合には、低くなるような信頼性を算出することができる。
図24は、移動速度に対する信頼性を表すグラフの一例を示す図である。撮像装置21は、移動体装置20に搭載されており、例えば移動しながら構造物を撮像する。信頼性算出機能91は、例えば移動体装置20の移動速度を、撮像装置21の移動速度として特定する。そして、信頼性算出機能91は、画像を撮像した時における撮像装置21の移動速度が遅い程高くなる信頼性を算出してもよい。
撮像装置21が撮像した画像は、撮像装置21の移動速度に応じてモーションブラーが生じる。従って、劣化度に対する信頼性は、撮像装置21の移動速度により変化する。具体的には、劣化度に対する信頼性は、撮像装置21の移動速度が遅い程高くなる。
劣化度が算出された場合、信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像の撮像時における撮像装置21の移動速度を取得し、取得した移動速度が0であれば、信頼性を最も高くし、移動速度が速くなる程、信頼性を低くする。例えば、信頼性算出機能91は、図24に示すような関数により信頼性(eb)を算出してよい。ebは、移動速度(b)が0である場合に1となり、移動速度(b)が速くなる程、0に近づく。これにより、信頼性算出機能91は、撮像装置21の移動速度が遅い場合(モーションブラーが生じない場合)には、高くなり、撮像装置21の移動速度が速い場合(モーションブラーが生じる場合)には、低くなるような信頼性を算出することができる。
図25は、障害物量に対する信頼性を表すグラフの一例を示す図である。信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像を取得し、取得した画像に含まれる障害物量を検出する。そして、信頼性算出機能91は、画像に含まれる障害物量が少ない程高くなる信頼性を算出してもよい。
画像の撮像時に、歩行者、車両またはその他の障害物が画像に含まれる場合がある。劣化度に対する信頼性は、このような障害物量により変化する。具体的には、劣化度に対する信頼性は、含まれる障害物量が少ない程高くなり、障害物量が多い程低くなる。
劣化度が算出された場合、信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像を取得し、画像に含まれる障害物量を検出する。例えば、信頼性算出機能91は、画像を解析して、測定対象範囲内の障害物が占める面積、面積割合、または、個数等を障害物量として検出する。信頼性算出機能91は、障害物量が0であれば、信頼性を最も高くし、障害物量が多くなる程、信頼性を低くする。例えば、信頼性算出機能91は、図25に示すような関数により信頼性(eo)を算出してよい。eoは、障害物量(o)が0である場合に1となり、障害物量(o)が多くなる程、0に近づく。これにより、信頼性算出機能91は、障害物量が少ない場合には、高くなり、障害物量が多い場合には、低くなるような信頼性を算出することができる。
図26は、カメラ性能に対する信頼性を表すグラフの一例を示す図である。信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像を撮像した撮像装置21の性能を表すカメラ性能を取得し、カメラ性能が高い程高くなる信頼性を算出してもよい。
劣化度を撮像する場合、様々な種類の撮像装置21が用いられる。劣化度に対する信頼性は、撮像装置21の性能を表すカメラ性能により変化する。具体的には、劣化度に対する信頼性は、カメラ性能が高い程高くなる。
劣化度が算出された場合、信頼性算出機能91は、劣化度の算出の基となる画像の撮像時におけるカメラ情報を取得する。カメラ情報は、例えば、撮像素子(イメージセンサ)の大きさおよび方式、画素数、焦点距離、F値、光学ズーム、手ブレ補正機能のあり/なし、ISO、シャッタースピード、フラッシュあり/なし等の情報である。信頼性算出機能91は、カメラ情報に基づき、カメラ性能を算出する。信頼性算出機能91は、カメラ情報における何れかの値を、そのままカメラ性能としてもよい。また、信頼性算出機能91は、劣化度の測定に適切であるカメラ情報を予め保持しておき、取得したカメラ情報と、予め保持している適切なカメラ情報との一致度を算出し、一致度が高い程カメラ性能を高くしてもよい。
そして、信頼性算出機能91は、算出したカメラ性能が高い程、信頼性を高くする。例えば、信頼性算出機能91は、図26に示すような関数により信頼性(ec)を算出してよい。ecは、カメラ性能(c)が最も高い場合に1となり、カメラ性能(c)が低くなる程、0に近づく。これにより、信頼性算出機能91は、カメラ性能が高い場合には、高くなり、カメラ性能が低い場合には、低くなるような信頼性を算出することができる。
なお、信頼性算出機能91は、輝度に基づく信頼性(el)、解像度に基づく信頼性(es)、移動速度に基づく信頼性(eb)、障害物量に基づく信頼性(eo)およびカメラ性能に基づく信頼性(ec)のうちの、2以上の組み合わせの信頼性を算出してもよい。この場合、信頼性算出機能91は、これらを乗じて合成した信頼性を算出する。例えば、信頼性算出機能91は、下記の式(14)に示すように、輝度に基づく信頼性(el)、解像度に基づく信頼性(es)、移動速度に基づく信頼性(eb)、障害物量に基づく信頼性(eo)およびカメラ性能に基づく信頼性(ec)を合成した、合成信頼性(r)を算出してもよい。
r=el×es×eb×eo×ec …(14) (0≦r≦1)
合成信頼性(r)は、0.0以上、1.0以下の数値であってよい。なお、5個の要因に基づく合成信頼性(r)を算出する例を示したが、信頼性算出機能91は、他の要因に基づく信頼性をさらに用いて合成信頼性(r)を算出してもよい。
図27は、第2実施形態に係る劣化管理機能52の構成を示す図である。劣化管理機能52は、第1実施形態の構成に加えて、信頼性取得機能92をさらに含む。信頼性取得機能92は、信頼性取得部の一例である。
信頼性取得機能92は、測定情報読出機能73により読み出された複数の測定情報のそれぞれから、劣化度取得機能74が取得した劣化度に対する信頼性を取得する。必要性算出機能76は、信頼性取得機能92が取得した複数の信頼性を受け取る。そして、必要性算出機能76は、測定時刻が異なる複数の劣化度および信頼性に基づき、予め算出された算出処理により、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する。この場合において、算出処理は、信頼性が低い程、必要性を高くする処理である。
図28は、第2実施形態において、必要性算出機能76が必要性を算出する算出処理の流れを示すフローチャートである。なお、図29は、S126において分散を算出するために用いる第4関数の一例を示す図である。また、必要性算出機能76の処理は、図8において説明した処理と略同一であるので、相違点を中心に説明する。
必要性算出機能76は、S122の後に、処理をS141に進める。S141において、必要性算出機能76は、S121で選択した劣化度に対応する信頼性を選択する。必要性算出機能76は、S141を終えると、処理をS123に進める。
S125において、必要性算出機能76は、S124で算出した比重、および、S141で選択した信頼性に基づき集計パラメータを算出する。比重をet、信頼性をr、集計パラメータをqとした場合、必要性算出機能76は、下記の式(15)により、集計パラメータを算出する。
q=et×r… (15)
なお、式(15)は、集計パラメータを比重と信頼性とを乗じた値としている。しかし、必要性算出機能76は、比重と信頼性とを乗じた値に基づく値であれば、集計パラメータを他の値としてもよい。例えば、必要性算出機能76は、集計パラメータを比重と信頼性とを乗じた値に比例する値としてもよい。
続いて、S126において、必要性算出機能76は、集計パラメータに基づき分散を算出する。集計パラメータをq、分散をσ2とした場合、必要性算出機能76は、下記の式(16)に示す第4関数により分散を算出する。
σ2=fd(q) …(16)
第4関数は、例えば、図29に示されるようなグラフで表される関数である。すなわち、第4関数は、比重と信頼性とを乗じた値であるqが0に近い程、σ2を大きくし、比重と信頼性とを乗じた値であるqが大きい程σ2を0に近くするような単調減少関数である。
必要性算出機能76は、このような第4関数を用いることにより、測定時刻が基準時刻に近く且つ信頼度が高い程、分散を小さくし、測定時刻が基準時刻から遠く且つ信頼度が低い程、分散を大きくすることができる。
図30は、信頼性が高く、経過期間が短く且つ劣化度の変化量が小さい場合における、複数の確率分布の一例を示す図である。必要性算出機能76は、信頼性が高く且つ経過期間が短い場合、分散が小さい確率分布を生成する。また、必要性算出機能76は、劣化度の変化量が小さい(すなわち、複数の劣化度が近似している)場合、ピークが近似した複数の確率分布を生成する。
必要性算出機能76は、このような複数の確率分布を合成した場合、分散が小さく鮮鋭な合成確率分布を生成する。従って、信頼性が高く、経過期間が短く、且つ、劣化度の変化量が小さい場合、必要性算出機能76は、必要性を低くすることができる。
図31は、信頼性が低いまたは経過時間が長く、劣化度の変化量が小さい場合における、複数の確率分布の一例を示す図である。必要性算出機能76は、信頼性が低い場合、分散の大きい確率分布を生成する。
必要性算出機能76は、このような複数の確率分布を合成した場合、分散が大きく平たい合成確率分布を生成する。従って、劣化度の変化量が同一であるような場合であっても、信頼性が低い場合、必要性を高くすることができる。
以上のように、必要性算出機能76は、信頼性が低い程、必要性を高くする算出処理により、必要性を算出することができる。これにより、本実施形態に係る劣化管理システム10によれば、劣化度を追加して測定すべき必要性を、精度良く算出することができる。なお、必要性算出機能76は、以上の方法に限らず、同様の傾向となる算出処理を用いて必要性を算出してもよい。
また、必要性算出機能76は、合成確率分布の平均を集計劣化度として出力する。従って、必要性算出機能76は、信頼性が高い程、重みを大きくして劣化度を補間した集計劣化度を、出力することができる。
(第2実施形態の変形例)
図32は、第2実施形態の変形例に係る劣化管理機能52の構成を示す図である。第2実施形態の変形例に係る劣化管理機能52は、第2実施形態の構成に加えて、補正機能81と、劣化パラメータ生成機能82と、劣化度集計機能83と、使用状況パラメータ生成機能93とを、さらに有する。使用状況パラメータ生成機能93は、使用状況パラメータ生成部の一例である。
本変形例においては、補正機能81は、劣化パラメータ生成機能82から受け取った劣化パラメータ、および、使用状況パラメータ生成機能93から受け取った使用状況パラメータに基づき、必要性算出機能76から出力された必要性を補正する。
使用状況パラメータ生成機能93は、構造物の使用量を取得する。使用量は、構造物を使用した量を表す数値である。例えば、使用量は、構造物が道路である場合、所定時点から基準時刻までの期間において、車両が通過した台数であってよい。また、使用量は、構造物が線路である場合、所定時点から基準時刻までの期間において、列車が通過した回数であってよい。
また、構造物が道路である場合、構造物を劣化させる可能性は、小型車より大型車の方が高い。そこで、構造物が道路である場合、小型車、中型車および大型車の順で大きくなるポイントを、それぞれの車両の種別に割り当る。この場合、使用量は、所定時点から基準時刻までの期間において、通過した車両のポイントを累積した値であってもよい。
使用状況パラメータ生成機能93は、このような使用量に基づき、使用状況パラメータを生成する。ここで、使用状況パラメータは、構造物の使用量を示すパラメータである。そして、補正機能81は、このような使用状況パラメータに基づき、必要性算出機能76から出力された使用量を補正する。具体的には、補正機能81は、構造物の使用量が少ない場合より、構造物の使用量が多い場合に、必要性を高くする。
補正前の必要性をymとし、劣化パラメータをgdとし、使用状況パラメータをguとし、補正後の必要性をyとする。この場合、補正機能81は、下記の式(17)に示すように、必要性を補正する。
y=ym×gd×gu… (17)
補正機能81が式(17)に示すように必要性を補正する場合、gdは、式(12)と同様である。また、使用状況パラメータ生成機能93は、構造物の使用量がほとんど無い場合、guを1とし、構造物の使用量が多い場合、guを1より大きい値とする。
また、補正機能81は、下記の式(18)に示すように、必要性を補正してもよい。
y=ym+gd+gu… (18)
補正機能81が式(18)に示すように必要性を補正する場合、gdは、式(13)と同様である。また、使用状況パラメータ生成機能93は、構造物の使用量がほとんど無い場合、guを0とし、構造物の使用量が多い場合、guを0より大きい値とする。
このように本変形例に係る劣化管理機能52は、構造物の使用量が多くなる程、必要性を高くすることができる。
また、劣化度集計機能83は、受け取った複数の劣化度のそれぞれを対応する集計パラメータで重み付けし、重み付けをした複数の劣化度の平均値を算出する。第2実施形態においては、集計パラメータは、信頼性が高い劣化度である程、大きな値となる。従って、劣化度集計機能83は、より精度の良い集計劣化度を出力することができる。
なお、本変形例に係る劣化管理機能52は、劣化度集計機能83を有さない構成であってもよい。また、本変形例に係る劣化管理機能52は、補正機能81、劣化パラメータ生成機能82および使用状況パラメータ生成機能93を有さない構成であってもよい。また、本変形例に係る劣化管理機能52は、劣化パラメータ生成機能82または使用状況パラメータ生成機能93の何れか一方を有さない構成であってもよい。
(第3実施形態)
図33は、第3実施形態に係る劣化管理機能52の構成を示す図である。第3実施形態に係る移動体装置20は、移動しながら道路等の構造物を撮像して劣化度を測定する。第3実施形態に係る情報処理装置40は、移動体装置20の移動に先立って、移動体装置20が劣化度の測定を希望する少なくとも1つの希望位置を取得する。情報処理装置40は、取得した少なくとも1つの希望位置のそれぞれについて、必要性を算出して出力する。これにより、情報処理装置40は、それぞれの希望位置の中から、劣化度を測定すべき位置を判断させることができる。よって、情報処理装置40は、移動体装置20に効率良く移動しながら、劣化度を測定させることができる。
本実施形態に係る劣化管理機能52は、第1実施形態の構成に加えて、希望位置取得機能101と、出力機能102とを、さらに有する。希望位置取得機能101は、希望位置取得部の一例である。出力機能102は、出力部の一例である。
希望位置取得機能101は、例えば移動体装置20から、測定を希望する少なくとも1つの希望位置の集合を取得する。希望位置取得機能101は、ユーザにより入力された情報から希望位置の集合を取得してもよいし、移動体装置20以外の装置から受信した情報から希望位置の集合を取得してもよい。
対象位置特定機能72は、希望位置の集合の中から、順次に、1つの対象位置を特定する。測定情報読出機能73、劣化度取得機能74、測定時刻取得機能75および必要性算出機能76は、対象位置特定機能72により特定された対象位置について処理を実行する。必要性算出機能76は、それぞれの対象位置について必要性を算出する。
出力機能102は、それぞれの希望位置についての必要性を出力する。例えば、出力機能102は、移動体装置20が移動するためのガイドとなるマップ上における、それぞれの希望位置に対応する部分に、必要性を表す情報を表示する。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、必要性算出機能76は、対象位置について、測定時刻が異なる複数の劣化度が存在していることが、必要性を算出する前提となっている。しかし、本実施形態においては、必要性算出機能76は、対象位置について、測定時刻が異なる複数の劣化度が存在していない場合、予め定められた値の必要性を出力してもよい。例えば、必要性算出機能76は、対象位置について、劣化度が存在しなかったまたは劣化度が1つしか存在しなかった場合、最も高い必要性を出力してもよい。また、必要性算出機能76は、対象位置について、劣化度が存在しなかった場合、集合劣化度を不明としてもよい。
また、必要性算出機能76は、1つの劣化度しか存在しない対象位置については、測定時刻に基づき必要性を出力してもよい。この場合、必要性算出機能76は、測定時刻が基準時刻から遠い程(すなわち、古い測定で得られた劣化度である程)、必要性を大きくしてもよい。また、必要性算出機能76は、1つの劣化度しか存在しない対象位置については、存在した劣化度を、そのまま集合劣化度としてもよい。
図34は、第3実施形態に係る劣化管理機能52の処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態に係る劣化管理機能52は、図34に示すフローチャートに従って処理を実行する。
まず、劣化管理機能52は、基準時刻を特定する(S151)。続いて、劣化管理機能52は、希望位置の集合を取得する(S152)。
続いて、劣化管理機能52は、希望位置の集合の中から、1つの対象位置を特定する(S153)。続いて、劣化管理機能52は、特定した対象位置に対応する測定情報を読み出す(S154)。
続いて、劣化管理機能52は、測定時刻が異なる複数の劣化度に基づき、予め定められた算出処理により、劣化度を追加して測定すべき必要性を算出する(S155)。なお、劣化管理機能52は、対象位置について、劣化度が存在しなかった場合または1つしか劣化度が存在しなかった場合、予め定められた値の必要性を出力してもよい。また、劣化管理機能52は、対象位置について、1つの劣化度しか存在しなかった場合、経過期間が長い程、必要性を高くする算出処理により、必要性を算出してもよい。
続いて、劣化管理機能52は、全ての希望位置について必要性を算出したか否かを判断する(S156)。全ての希望位置について必要性を算出していない場合には(S156のNo)、劣化管理機能52は、処理をS153に戻して、次の対象位置について処理を繰り返す。全ての希望位置について必要性を算出した場合には(S156のYes)、劣化管理機能52は、処理をS157に進める。
S157において、出力機能102は、それぞれの希望位置についての必要性を出力する。例えば、出力機能102は、マップ上における希望位置に対応する部分に、必要性を表す情報を表示する。
図35は、出力機能102による必要性の第1表示例を示す図である。出力機能102は、それぞれの希望位置についての必要性を集計して、マップ上における対応する位置に表示する。この場合において、出力機能102は、必要性が閾値以上の位置と、必要性が閾値より低い位置とを区別してマップに表示してもよい。
例えば、図35に示すように、構造物が道路である場合、出力機能102は、必要性が閾値以上の位置に所定の色またはハッチングを付けたマップを表示してもよい。また、出力機能102は、ユーザによる閾値の変更操作を受け付けてもよい。これにより、出力機能102は、閾値を増減させた場合の、必要性が閾値以上の位置の変化をユーザに確認させることができる。
なお、出力機能102は、必要性が閾値以上の位置に、「要測定」といったポップアップマークを付けたマップを表示してもよい。また、出力機能102は、マップを表示するのではなく、追加で測定すべき区間を表すIDまたは区間名をリスト表示してもよい。
図36は、出力機能102による必要性の第2表示例を示す図である。また、出力機能102は、必要性を複数の段階に分割し、段階毎に、ヒートマップのような異なる色またはハッチングを付けたマップを表示してもよい。例えば、出力機能102は、必要度が最も高い区間には赤を付け、必要度が最も低い区間は青を付けて、必要度が中間の各段階には、赤から青へと変化するような色を段階的に付けたマップを表示してもよい。
さらに、出力機能102は、このようなヒートマップのような色またはハッチングに加えて、必要性の段階を示したポップアップマークを付けたマップを表示してもよい。また、出力機能102は、マップを表示するのではなく、追加で測定すべき区間を表すIDまたは区間名を、ランキング形式でリスト表示してもよい。さらに、出力機能102は、例えば、必要性が上位の所定数の位置(または区間)を抽出して、マップまたはリストに表示してもよい。
以上のように本実施形態に係る劣化管理システム10は、それぞれの希望位置の中から、劣化度を追加して測定すべき位置を特定することができるので、移動体装置20に効率良く移動しながら劣化度を測定させることができる。
(第3実施形態の変形例)
図37は、第3実施形態の変形例に係る劣化管理機能52の構成を示す図である。第3実施形態の変形例に係る劣化管理機能52は、第3実施形態の構成に加えて、補正機能81と、劣化パラメータ生成機能82と、劣化度集計機能83と、信頼性取得機能92と、使用状況パラメータ生成機能93と、計画パラメータ生成機能103とを、さらに有する。計画パラメータ生成機能103は、計画パラメータ生成部の一例である。
本変形例において、補正機能81は、劣化パラメータ、使用状況パラメータ、および、計画パラメータを受け取る。補正機能81は、受け取ったこれらのパラメータに基づき、必要性算出機能76から出力された必要性を補正する。そして、補正機能81は、補正した必要性を出力機能102に与える。
計画パラメータ生成機能103は、対象位置について、測定計画を受け取る。測定計画は、劣化度の測定が予定されているか否かを示す情報を含む。また、測定計画は、対象位置について劣化度の測定が予定されている場合には、測定予定時刻をさらに含んでよい。計画パラメータ生成機能103は、測定計画に基づき、対象位置についての計画パラメータを生成する。
ここで、計画パラメータは、対象位置について、劣化度を測定することが計画されているか否かを示す。さらに、計画パラメータは、測定することが計画されている場合において、基準時刻から測定予定時刻までの期間を表す。
補正機能81は、このような計画パラメータに基づき、対象位置について、劣化度を測定することが計画されている場合に必要性を低くする。さらに、補正機能81は、このような計画パラメータに基づき、測定予定時刻が基準時刻よりも遠い程、必要性を高くする。
補正前の必要性をymとし、劣化パラメータをgdとし、使用状況パラメータをguとし、計画パラメータをgpとし、補正後の必要性をyとする。この場合、補正機能81は、下記の式(19)に示すように、必要性を補正する。
y=ym×gd×gu×gp …(19)
補正機能81が式(19)に示すように必要性を補正する場合、gdおよびguは、式(17)と同様である。計画パラメータ生成機能103は、測定することが計画されていない場合、gpを1.0に設定する。また、計画パラメータ生成機能103は、測定することが計画されている場合、gpを0.0に近い所定の値とする。また、計画パラメータ生成機能103は、測定することが計画されている場合、測定予定時刻が基準時刻から近い程、gpを0.0に近くなる、0.0以上、1.0以下の可変値としてもよい。
また、補正機能81は、下記の式(20)に示すように、必要性を補正してもよい。
y=ym+gd+gu+gp …(20)
補正機能81が式(20)に示すように必要性を補正する場合、gdおよびguは、式(18)と同様である。計画パラメータ生成機能103は、測定することが計画されていない場合、gpを0.0に設定する。また、計画パラメータ生成機能103は、測定することが計画されている場合、gpを0.0より小さい所定の値(マイナス値)とする。また、計画パラメータ生成機能103は、測定することが計画されている場合、gpを、0.0より小さい値であって、測定予定時刻が基準時刻から近い程、小さくなる可変値としてもよい。
このように、本変形例に係る劣化管理機能52は、将来、劣化度を測定する予定が計画されている場合には、必要度を低くすることができる。
なお、本変形例に係る劣化管理機能52は、信頼性取得機能92または劣化度集計機能83を有さない構成であってもよい。また、本変形例に係る劣化管理機能52は、補正機能81、劣化パラメータ生成機能82、使用状況パラメータ生成機能93および計画パラメータ生成機能103を有さない構成であってもよい。また、本変形例に係る劣化管理機能52は、劣化パラメータ生成機能82、使用状況パラメータ生成機能93および計画パラメータ生成機能103の何れか1つまたは2つを有さない構成であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。