以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。一部の図には、X軸、Y軸、及びZ軸により規定される直交座標系が示されている。以下の実施形態では、Z軸が鉛直方向に対応しており、XY平面が水平面に対応している。
図1は、一実施形態に係る二次燃焼炉を備える廃棄物溶融炉設備の模式図である。廃棄物溶融炉設備10は、ガス化溶融炉12と、二次燃焼炉14(燃焼炉)と、ボイラ16と、減温塔18と、集塵器20と、誘引通風機22と、煙突24と、を備える。
ガス化溶融炉12には、ごみ等の廃棄物と、コークス等の固形燃料及び石灰石等の副資材とが装入される。ガス化溶融炉12は、廃棄物の乾燥、熱分解、燃焼及び溶融を行う。これによって、ガス化溶融炉12は、熱分解ガスを生成しつつ廃棄物を減容化する。ガス化溶融炉12の底部(出滓口)から、スラグ及びメタルを含む溶融物が排出される。炉外に排出された溶融物は、冷却凝固され、これからスラグとメタルとを回収することができる。
ガス化溶融炉12から可燃性ダスト及び熱分解ガスを含む可燃性ガスが排出され、当該可燃性ガスは二次燃焼炉14に供給される。二次燃焼炉14は、可燃性ガスを完全燃焼するための燃焼炉である。ガス化溶融炉12で発生する可燃性ガスは、低位発熱量が800〜1100kcal/Nm3程度である低カロリーガスである。可燃性ガスには、廃棄物をガス化する過程で副次的に発生するタール及びダストが含まれている。二次燃焼炉14において可燃性ガスを燃焼する後述のバーナ部の性能は、廃棄物溶融炉設備10の安定的な運転と、未燃COの発生量に影響を与える。
二次燃焼炉14において可燃性ガスの完全燃焼により発生した熱は、ボイラ16において熱交換される。ボイラ16には、発電装置26が設けられている。ボイラ16において発生した蒸気が発電装置26に送られ、発電装置26において発電が行われる。ボイラ16で熱回収された後の排ガスは、減温塔18に送られ、減温塔18において当該排ガスの温度が調整される。温度が調整された排ガスは、集塵器20に送られ、集塵器20において除塵される。除塵された排ガスは、誘引通風機22により吸引され、煙突24から排出される。
図2は、二次燃焼炉を水平方向に沿って切断したときの一部の断面構成を示す模式図である。図3は、燃焼バーナの内部を模式的に示す斜視図である。図4は、燃焼バーナを側方から見た断面構成を示す模式図である。図2に示されるように、二次燃焼炉14は、炉本体部30と、バーナ部40と、を有する。
炉本体部30は、例えば、鉛直方向(Z軸方向)に沿って延びるように形成されている。炉本体部30は、円筒状を呈していてもよい。換言すると、炉本体部30の水平面(XY平面)における断面は、リング状であってもよい。炉本体部30に向けて、バーナ部40による可燃性ガスの燃焼に伴い発生する燃焼ガスが流入する。炉本体部30には、バーナ部40からの燃焼ガスの流入口32が形成されている。流入口32は、炉本体部30の鉛直方向に沿って延びる内壁34に、水平方向に沿って内壁34を貫通するように設けられている。炉本体部30の内部において、例えば、下方に向かう燃焼ガスの旋回流が形成される。
バーナ部40は、ガス化溶融炉12で発生した可燃性ガスを燃焼させる。バーナ部40は、ガス化溶融炉12から炉本体部30に向う流路の炉本体部30側の端部に位置している。バーナ部40は、炉本体部30の上部側面に接続されてもよく、炉本体部30の下部側面に接続されてもよい。バーナ部40は、炉本体部30の延在方向と直交する方向(X軸方向)に沿って延びるように形成されている。バーナ部40は、X軸方向に沿って、炉本体部30の内部に向けて可燃性ガスを吐出する。バーナ部40のX軸方向と直交する断面は、例えば、円形又は楕円であってもよく、四角形であってもよい。以下では、上記断面が四角形である場合を例に説明する。バーナ部40は、燃焼バーナ42と、バーナポート44とを備える。
燃焼バーナ42は、ガス化溶融炉12からの可燃性ガスと、空気とを合流させることで、当該可燃性ガスを燃焼させる(当該可燃性ガスに着火する)。燃焼バーナ42は、可燃性ガスが流れる方向に対して交差する方向に一部の空気を吐出することで、可燃性ガスと空気とを合流させる。可燃性ガスと空気とが合流することによって、可燃性ガスと空気とを含む混合ガスが発生する。燃焼バーナ42は、空気流通路50a,50bと、ガス流通路54と、流通調整部56と、を備える。
空気流通路50a,50bのそれぞれは、燃焼バーナ42のY軸方向における両端において、X軸方向に沿って上流から下流に空気を流し、バーナポート44に向けて空気を吐出する。空気流通路50aは、燃焼バーナ42の幅方向(Y軸方向)の一端に位置する側壁52aと、側壁52aと離間して内側に配置された仕切板52cとの間に形成される。空気流通路50bは、Y軸方向の他端に位置する側壁52bと、側壁52bと離間して内側に配置された仕切板52dとの間に形成される。仕切板52cは、XZ平面に延びており、側壁52aと対向するように配置されている。仕切板52dは、XZ平面に延びており、側壁52bと対向するように配置されている。
ガス流通路54は、X軸方向に沿って上流側から下流側に向けて可燃性ガスを流し、バーナポート44に向けて可燃性ガスを吐出する。ガス流通路54は、Y軸方向において空気流通路50a,50bの間に位置している。ガス流通路54は、X軸方向に沿って延びるように形成される空間である。図3に示されるように、ガス流通路54は、例えば、仕切板52c,52d及び仕切板54a,54bによって形成される直方体状の空間である。図4に示されるように、仕切板54a,54bは、鉛直方向に離間して配置されており、水平面に沿って延びている。
燃焼バーナ42には、ガス化溶融炉12からの可燃性ガスをガス流通路54に取り込む取込口(不図示)が設けられている。この取込口は、例えば、燃焼バーナ42の底壁及び仕切板54bのうちの上流側に位置する部分に設けられる。取込口から取り込まれた可燃性ガスが、ガス流通路54に沿ってバーナポート44に向けて流れる。
図2に示されるように、流通調整部56は、ガス流通路54内におけるガスの流れを調整する。具体的には、流通調整部56は、ガス流通路54内における可燃性ガスの流れを分岐させる。また、流通調整部56は、ガス流通路54内における可燃性ガスに向けて空気を合流させる。流通調整部56は、分岐ポスト62と、バーナリム64と、吐出部66と、を備える。
分岐ポスト62は、ガス流通路54内を流れる可燃性ガスを分岐させる。分岐ポスト62は、Y軸方向において、可燃性ガスの流れを2つに分ける。具体的には、分岐ポスト62は、ガス流通路54に含まれる流通部54c及び流通部54dそれぞれに可燃性ガスが流れるように、可燃性ガスを分岐させる。分岐ポスト62は、ガス流通路54のY軸方向における略中央に配置されている。平面視において、分岐ポスト62は、上流側が尖るように形成されている。具体的には、平面視において、分岐ポスト62は、ガス流通路54のY軸方向における略中心位置を頂点として、下流側に向かうにつれて両側に広がるように延びている。
図4に示されるように、分岐ポスト62は、鉛直方向に沿って延びる板部材であってもよい。分岐ポスト62は、例えば、鉛直方向において仕切板54aと仕切板54bとの間に設けられている。分岐ポスト62の上端が仕切板54aに接続されてもよく、分岐ポスト62の下端が仕切板54bに接続されてもよい。
図2に示されるように、バーナリム64は、下流側に可燃性ガス及び空気(混合ガス)が循環する循環領域CRを形成する。循環領域CRには、混合ガスの渦が形成されることで、可燃性ガス及び空気が滞留する。バーナリム64は、ガス流通路54のY軸方向における略中央に配置されている。流通部54c(流通部54d)の上流側から下流側を見て、バーナリム64は、分岐ポスト62に覆われてもよい。例えば、分岐ポスト62のY軸方向における幅が、バーナリム64のY軸方向における幅よりも大きくてもよい。
図3に示されるように、バーナリム64は、鉛直方向に沿って延びる柱状体である。バーナリム64の水平方向における断面は、四角形であってもよい。図4に示されるように、バーナリム64は、例えば、鉛直方向において仕切板54aと仕切板54bとの間に設けられている。バーナリム64の上端が仕切板54aに接続されてもよく、バーナリム64の下端が仕切板54bに接続されてもよい。バーナリム64は、耐火物によって構成されてもよい。バーナリム64は、例えばレンガによって構成されてもよい。
図2に示されるように、吐出部66は、ガス流通路54内に設けられる。吐出部66は、流通部54c,54dを流れる可燃性ガスに向けて空気をそれぞれ吐出する。吐出部66は、Y軸方向において流通部54cと流通部54dとの間に位置している。吐出部66は、流通部54cを流れる可燃性ガスの流通方向と交差する方向(吐出方向)に向けて空気を吐出する。図2に示される例では、吐出部66は、ガス流通路54のY軸方向における略中央から仕切板52c(側壁52a)に向けて空気を吐出する。吐出部66は、流通部54dを流れる可燃性ガスの流通方向と交差する方向(吐出方向)に向けて空気を吐出する。図2に示される例では、吐出部66は、ガス流通路54のY軸方向における略中央から仕切板52d(側壁52b)に向けて空気を吐出する。
上記流通方向と上記吐出方向とは交差している。流通方向と吐出方向とのなす角(以下、「交差角」という。)は、本実施形態では90°であるが、これに限定されない。交差角は、例えば、45°〜90°であってもよい。交差角は、70°〜90°であってもよい。交差角は、80°〜90°であってもよい。吐出方向のX軸方向成分が、流通方向と同じ向きとなるように吐出方向が設定されてもよく、吐出方向のX軸方向成分が、流通方向と反対向きとなるように吐出方向が設定されてもよい。
吐出部66は、X軸方向において、分岐ポスト62とバーナリム64との間に設けられる。つまり、バーナリム64は、分岐ポスト62及び吐出部66の下流側に設けられている。吐出部66は、2つの仕切板72,74を備える。仕切板72,74は、XZ平面に沿って延びていてもよい。仕切板72,74の一端(前端)は、分岐ポスト62に接続されてもよい。Y軸方向において、分岐ポスト62と仕切板72,74(吐出部66)との少なくとも一部が重なっていてもよい。仕切板72,74の他端(後端)は、バーナリム64の前端64aに接続されてもよい。なお、本明細書において、可燃性ガス等の処理対象のガスの流れを基準とした上流側を「前」と表記し、下流側を「後」と表記する場合がある。
仕切板72,74は、Y軸方向において互いに離間しており、互いに対向している。流通部54c(流通部54d)の上流側から下流側を見て、吐出部66(仕切板72及び仕切板74の双方)は、分岐ポスト62に覆われていてもよい。例えば、分岐ポスト62のY軸方向における幅が、吐出部66のY軸方向における幅よりも大きくてもよい。図2に示す例では、吐出部66のY軸方向の幅は、仕切板72,74のY軸方向における離間距離に相当している。図4に示されるように、仕切板72,74は、鉛直方向において、仕切板54aと54bとの間にそれぞれ配置されている。仕切板72,74の上端は仕切板54aにそれぞれ接続されてもよく、仕切板72,74の下端は仕切板54bにそれぞれ接続されてもよい。
本実施形態では、図2〜図4から理解されるように、分岐ポスト62、仕切板72,74、及びバーナリム64の前端64aによって空気を収容する吐出空間Vが形成される。吐出空間Vの上端及び下端は、上部及び下部の空気流通部にそれぞれ開放されている。仕切板72には、吐出空間Vから流通部54cに空気を吐出するための吐出口が設けられている。仕切板74には、吐出空間Vから流通部54dに空気を吐出するための吐出口が設けられている。
吐出口の形状及び個数は限定されないが、例えば、仕切板72,74が、吐出口として、1つ又は複数の吐出孔をそれぞれ有してもよい。仕切板72(仕切板74)が2つに分割され、当該分割された2つの板の間に形成されるスリットが吐出口として機能してもよい。仕切板72,74は、互いに離間して設けられた複数の吐出孔をそれぞれ有してもよい。平面視における仕切板72,74の延びる方向(X軸に対する角度)が変更されることで、流通方向と吐出方向とのなす角度である交差角が調節されてもよい。
図4に示されるように、仕切板72は、鉛直方向に沿って互いに離間して設けられる複数の吐出孔72aを有してもよい。つまり、複数の吐出孔72aは、流通部54cに向けた空気の吐出方向と、可燃性ガスの流通方向との双方に直交する方向に沿って、互いに離間していてもよい。複数の吐出孔72aは、仕切板72の主面と直交する方向(Y軸方向)において、仕切板72をそれぞれ貫通している。複数の吐出孔72aのそれぞれの形状は、円形であってもよく、長円又は楕円であってもよい。複数の吐出孔72aは、例えば、互いに等間隔に配置されてもよく、互いに異なる間隔で配置されてもよい。複数の吐出孔72aのX軸方向における位置(例えば中心位置)は、互いに略一致してもよく、互いに異なっていてもよい。
仕切板74は、鉛直方向に沿って互いに離間して設けられる複数の吐出孔74aを有してもよい(図9も参照)。複数の吐出孔74aは、複数の吐出孔72aと同様に設けられてもよい。複数の吐出孔72aを含む仕切板72と、複数の吐出孔74aを含む仕切板74とは、同様に構成されていてもよい。Y軸方向から見て、複数の吐出孔72aと複数の吐出孔74aとは互いに重なっていてもよい。
ここで、空気流通路50a,50b及び吐出空間Vまでの空気の供給例を説明する。燃焼バーナ42には、可燃性ガスを燃焼するための空気が、空気供給部46から送られる(図1参照)。燃焼バーナ42には、空気供給部46からの空気を取り込む取込口(不図示)が設けられている。この取込口は、例えば燃焼バーナ42の上壁のうちの上流部分に設けられる。図3に示されるように、燃焼バーナ42の内部には、取込口からの空気を収容する収容室48が設けられている。収容室48から整流板58を介して一部の空気が空気流通路50a,50bにそれぞれ供給される。整流板58には、空気を供給するための複数の供給孔58aが設けられている。取込口から取り込まれた空気の一部が、空気流通路50a,50bに沿ってバーナポート44に向けて流れる。
図4に示されるように、収容室48に収容されている空気の一部は、整流板58の供給孔58aを通して、吐出空間Vに向けて送られる。吐出空間Vに送られた空気の一部は、仕切板72の複数の吐出孔72aを通して、流通部54cに吐出される。吐出空間Vに送られた空気の一部は、仕切板74の複数の吐出孔74aを通して、流通部54dに吐出される。吐出部66から吐出される空気の量は、例えば、吐出部66からの空気と流通部54c,54d内の可燃性ガスとが合流しても着火しない程度に設定されてもよい。
図2に戻り、バーナポート44は、燃焼バーナ42と炉本体部30とを接続する。バーナポート44は、燃焼バーナ42から吐出される可燃性ガス及び空気、並びに燃焼ガスを炉本体部30に導く。燃焼バーナ42からバーナポート44に向けて、可燃性ガスと空気とを含む混合ガス及び空気が吐出されることで、可燃性ガスが燃焼する。具体的には、空気流通路50a,50bのそれぞれから吐出される空気と、ガス流通路54から吐出される混合ガスとが、バーナポート44内で合流して混合することで、バーナポート44内において可燃性ガスが着火し、可燃性ガスが燃焼する。このように、燃焼バーナ42は、燃焼ガスを炉本体部30に向けてX軸方向に沿って吐出している。バーナポート44は、側壁80,82と、上壁(不図示)と、底壁84と、パイロットバーナ86と、を備える。
側壁80,82と、上壁と、底壁84により、炉本体部30まで可燃性ガスを導く流路が形成される。当該流路の下流側の端部が、炉本体部30の流入口32に対応している。側壁80の一端は側壁52aに接続されており、側壁80の他端は内壁34に接続されている。側壁82の一端は側壁52bに接続されており、側壁82の他端は内壁34に接続されている。
流通部54c(流通部54d)における可燃性ガスの流通方向に沿うバーナポート44の長さは、ガス流通路54内に設けられ可燃性ガスに向けて空気を吐出する吐出部66からの空気の吐出方向に沿うバーナポート44の長さよりも長い。流通方向に沿うバーナポート44の長さは、バーナリム64の後端64bから流入口32までの長さに対応する。当該長さは、例えば、後端64bと流入口32との間のX軸方向における距離L1で定義される。平面視において、流入口32は、例えば、炉本体部30の内壁34と同一の曲率で内壁34に沿って延びる仮想曲線に位置する。吐出方向に沿うバーナポート44の長さは、例えば、バーナポート44内の流路のY軸方向における幅(側壁80と側壁82との間の距離L2)で定義される。
バーナリム64の下流に形成される上述の循環領域CRは、バーナポート44内の流路に位置している。流通部54c,54dからバーナポート44内に混合ガスが吐出され、空気流通路50a,50bから空気が吐出されることで、可燃性ガスと空気とが可燃性ガスに着火する程度に混合する。可燃性ガスの着火点がバーナポート44内に位置するように、バーナ部40は構成される。
パイロットバーナ86は、バーナポート44に向けて吐出される可燃性ガスに着火する。ガス化溶融炉12からの可燃性ガスの量が減少した際でも、可燃性ガスの燃焼が行われるように、パイロットバーナ86が設けられる。パイロットバーナ86は、側壁82に設けられてもよい。平面視において、パイロットバーナ86は、X軸方向及びY軸方向の双方に傾くように配置されている。パイロットバーナ86は、火炎を吹き出す方向のX軸成分が炉本体部30側を向くように配置されている。
パイロットバーナ86からの可燃性ガスの着火点がバーナポート44内の流路に位置するように、パイロットバーナ86は設けられる。具体的には、パイロットバーナ86が延びる方向に沿った仮想線IL1(第1仮想線)は、流通部54c,54d内の可燃性ガスの流通方向に沿ってバーナリム64と流入口32とを結ぶ仮想線IL2(第2仮想線)にバーナポート44において交差する。つまり、仮想線IL1と仮想線IL2との交点が、バーナポート44内の流路に位置している。
本実施形態の燃焼バーナ42では、バーナリム64の上流に位置する吐出部66から可燃性ガスの流通方向と交差する方向に空気が吐出される。このため、バーナリム64の上流側又は近傍において可燃性ガスと空気とが十分に混合される。そして、バーナリム64の下流に形成される循環領域CRにおいて、可燃性ガスと空気とが十分に混合した状態で可燃性ガスと空気とが循環する。このため、ガス化溶融炉12からの可燃性ガスの量に変動があっても、循環領域CRにおいて滞留する可燃性ガスを含む混合ガスの存在により可燃性ガスの燃焼を継続することができる。その結果、安定して可燃性ガスを燃焼させることが可能となる。
ここで、上記の作用効果について、シミュレーション結果を用いて説明する。図5は、比較例に係る二次燃焼炉におけるガス及び空気の流れをシミュレーションした結果の一例である。図6は、比較例に係る二次燃焼炉における空気濃度をシミュレーションした結果の一例である。図7は、実施形態に係る二次燃焼炉におけるガス及び空気の流れをシミュレーションした結果の一例である。図8は、実施形態に係る二次燃焼炉における空気濃度をシミュレーションした結果の一例である。
図5及び図6に示される比較例に係る二次燃焼炉の燃焼バーナ(以下、「燃焼バーナ42A」という。)では、バーナリム64Aの上流に吐出部66(可燃性ガスの流通方向と交差する方向に空気を吐出する吐出部)が設けられていない点で、燃焼バーナ42と相違している。燃焼バーナ42Aでは、分岐ポスト62Aが、分岐ポスト62に対応する板部材に加えて、可燃性ガスの流通方向に沿って延びる一対の板部材を含んでいる。一対の板部材は、バーナリム64Aと離間した状態で、Y軸方向においてバーナリム64Aを挟むように設けられている。燃焼バーナ42Aでは、上記一対の板部材とバーナリム64Aとにより形成されるスリットが、空気の吐出口として機能する。燃焼バーナ42Aでは、X軸方向に沿って上記スリットから空気が吐出される。
図5には、燃焼バーナ42A内を流れる流体の流速を示すベクトル図がシミュレーション結果として示されている。図5では、流速が低い流れほど多段階のグレースケールにおいて濃く示されている。可燃性ガスの流速は、空気の流速に比べて高いので、可燃性ガスの流れが薄く(白に近い色で)示されている。図5において、可燃性ガスの流れについては、バーナリム64Aよりも下流に位置する部分において計算が行われている。図6には、燃焼バーナ42A内を流れる流体の空気濃度を示す空気比図がシミュレーション結果として示されている。図6では、空気濃度が低い領域ほど多段階のグレースケールにおいて濃く示されている。可燃性ガスが多い領域では、空気濃度が低いので、当該領域は濃く示されている。
図5及び図6に示されるように、比較例に係る二次燃焼炉では、バーナリム64Aの下流に形成される循環領域において、可燃性ガスがほとんど存在していないことがわかる。循環領域において可燃性ガスがほとんど循環しない要因の一つとして、バーナリム64Aの側方に位置するスリットから吐出される空気の吐出方向が可燃性ガスの流通方向(X軸方向)に沿っていることが挙げられる。たとえ上記スリットから吐出される空気の吐出方向が、可燃性ガスの流通方向に傾いていたとしても、バーナリム64Aから離れた下流において可燃性ガスと空気とが合流するので、循環領域に十分に可燃性ガスが流れ込まないことが想定される。
一方、図7には、本実施形態に係る燃焼バーナ42内でのベクトル図がシミュレーション結果として示され、図8には、燃焼バーナ42内での空気比図がシミュレーション結果として示されている。図7に示されるように、比較例に係る燃焼バーナ42Aに比べて、バーナリム64の下流に形成される循環領域CRにおいて、流体の流速がより高くなっている。図8に示されるように、比較例に係る燃焼バーナ42Aに比べて、バーナリム64の下流に形成される循環領域CRにおいて、空気濃度がより低くなっている。以上のことから、燃焼バーナ42では、比較例に係る燃焼バーナ42Aに比べて、循環領域CRにおいて、より多くの混合ガスが滞留していることがわかる。この滞留している混合ガスに含まれる可燃性ガスが、ガス化溶融炉12からの可燃性ガスの量の変動に対してバッファとして機能する。このため、燃焼バーナ42では、上述したように、安定して可燃性ガスを燃焼させることが可能となる。
図9は、複数の吐出孔からの空気の吐出の様子を模式的に示す図である。図9には、図4に示されるIX−IX線に沿った断面が模式的に示されている。図9では、空気の流れが白抜き矢印で示されており、可燃性ガスの流れが黒塗り矢印及びバツ印で示されている。可燃性ガスを示すバツ印は、X軸方向(紙面に垂直方向)に沿ってガスが流れていることを表している。燃焼バーナ42の吐出部66は、互いに離間する複数の吐出孔72a,74aを有する。複数の吐出孔72aのそれぞれ及び複数の吐出孔74aのそれぞれから空気が吐出されるので、吐出方向(Y軸方向)から見て、流通部54c,54dにおいて領域ごとの空気の吐出量に差が生じる。
具体的には、図9に示されるように、複数の吐出孔72a(複数の吐出孔74a)は、鉛直方向に沿って並んで配置されているので、鉛直方向において、空気の吐出量が多い領域と、空気の吐出量が少ない領域とが交互に存在する。このため、鉛直方向において、互いに隣り合う複数の吐出孔72a(複数の吐出孔74a)の間に可燃性ガスが入り込みやすく、吐出孔72aが位置する領域には可燃性ガスが入り込み難い。このため、図9に示されるように、可燃性ガスがX軸方向だけでなくY軸及びZ軸方向にも流れ、可燃性ガスの流れが乱される。これにより、吐出部66の近傍において、空気と可燃性ガスとの混合性を一層良好にすることが可能となる。
図2及び図4から理解されるように、燃焼バーナ42は、流通部54c(流通部54d)の上流側から下流側を見たときに、吐出部66を覆うように設けられる分岐ポスト62を備える。吐出部66から吐出された空気が、上流側に向けて流れることで、バーナリム64の上流において可燃性ガスが燃焼してしまう懸念がある。一方、上記構成では、分岐ポスト62により、吐出部66から吐出された空気が上流側に向けて流れることが抑制され、バーナリム64の上流側における可燃性ガスの燃焼を抑制することが可能となる。
本実施形態に係る二次燃焼炉14は、上記燃焼バーナ42と、燃焼バーナ42からの可燃性ガスの流入口32を有する炉本体部30と、燃焼バーナ42と炉本体部30とを接続するバーナポート44と、を備える。流通部54c,54dにおける可燃性ガスの流通方向に沿うバーナポート44の長さが、吐出部66からの空気の吐出方向に沿うバーナポート44の長さよりも長い。
例えば、燃焼バーナ42から吐出された後に空気と可燃性ガスとが十分に混合して可燃性ガスが着火する。上記構成では、流通部54c(流通部54d)における可燃性ガスの流通方向に沿うバーナポート44の長さが、吐出部66からの空気の吐出方向に沿うバーナポート44の長さよりも長いので、可燃性ガスの着火点がバーナポート44内において形成されやすい。このため、炉本体部30を流れる燃焼ガスの流れ(例えば、燃焼ガスの旋回流)が、可燃性ガスの着火に影響を及ぼし難くなり、可燃性ガスの燃焼を安定して行うことが可能となる。
本実施形態に係る二次燃焼炉14は、上記燃焼バーナ42と、燃焼バーナ42からの可燃性ガスの流入口32を有する炉本体部30と、燃焼バーナ42と炉本体部30とを接続するバーナポート44と、バーナポート44に設けられるパイロットバーナ86と、を備える。パイロットバーナ86が延びる方向に沿った仮想線IL1は、流通部54c,54d内の可燃性ガスの流通方向に沿ってバーナリム64と流入口32とを結ぶ仮想線IL2に交差する。
上記構成では、パイロットバーナ86による可燃性ガスの着火点が、バーナポート44内に位置する。このため、炉本体部30を流れる燃焼ガスの流れ(例えば、燃焼ガスの旋回流)が、パイロットバーナ86による可燃性ガスの着火に影響を及ぼし難くなり、可燃性ガスの燃焼を安定して行うことが可能となる。
以上、一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。燃焼バーナ42は、Y軸方向に沿って互いに離間して配置された複数の流通調整部56を備えてもよい。燃焼バーナ42は、流通部54c,54dそれぞれに向けて、空気を吐出する別体の吐出部を有してもよい。流通調整部56は、分岐ポスト62を備えていなくてもよい。吐出部66(仕切板72,74)は、Y軸方向において、分岐ポスト62及びバーナリム64の少なくとも一方と離間していてもよい。上流から下流を見て、分岐ポスト62の横幅(Y軸方向における幅)が、吐出部66の横幅と略一致してもよく、吐出部66の横幅よりも小さくてもよい。
バーナポート44における距離L1と距離L2との関係は上記の例に限られない。距離L1は、距離L2と略等しくてもよく、距離L2よりも短くてもよい。上記実施形態に係る燃焼バーナ42では、バーナリム64の上流側にて可燃性ガスと空気とが合流することで、バーナポート44内における可燃性ガスの着火点が、より燃焼バーナ42に近くなる。このため、可燃性ガスの着火点が炉本体部30内のガスの流れに影響を受け難いが、距離L1が距離L2よりも大きくなることで、可燃性ガスの着火点への炉本体部30内の流れからの影響をより一層良好に抑制することができる。仮想線IL1と、仮想線IL2を延長した仮想的な基準線との交点が、炉本体部30内に位置していてもよい。