以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃焼バーナ及び燃焼装置並びにボイラの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図5は、第1実施形態のボイラを表す概略構成図、図6は、燃焼バーナの配置構成を表す平面図である。
第1実施形態のボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を微粉燃料(固体燃料)として用い、この微粉燃料を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
第1実施形態において、図5に示すように、ボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と煙道13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁が伝熱管により構成されている。
燃焼装置12は、この火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)の下部に設けられている。この燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
この各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉燃料供給管26,27,28,29,30を介して粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37の他端部に送風機38が連結されている。また、火炉11は、燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方に位置して追加空気ノズル39が設けられており、空気ダクト37から分岐した追加空気ダクト40が連結されている。
煙道13は、火炉11の上部に連結され、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器としての過熱器41,42,43、再熱器44,45、節炭器46,47が設けられている。また、煙道13のガスダクト48は、エアヒータ49が設けられ、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
ここで、燃焼装置12について詳細に説明するが、この燃焼装置12を構成する燃焼バーナ21,22,23,24,25は、それぞれほぼ同様の構成をなしていることから、燃焼バーナ21を代表してその配置構成について説明する。
燃焼バーナ21は、図6に示すように、火炉11における4つの壁部にそれぞれ設けられる燃焼バーナ21a,21b,21c,21dから構成されている。各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、微粉燃料供給管26から分岐した各分岐管26a,26b,26c,26dが連結されると共に、空気ダクト37から分岐した各分岐管37a,37b,37c,37dが連結されている。
そのため、各燃焼バーナ21a,21b,21c,21dは、火炉11に対して、微粉燃料と搬送用空気が混合した微粉燃料混合気を吹き込むと共に、その微粉燃料混合気の周囲外側に燃焼用空気を吹き込む。そして、この微粉燃料混合気に着火することで、4つの火炎F1,F2,F3,F4を形成することができ、この火炎F1,F2,F3,F4は、火炉11の鉛直上方から見て(図6にて)反時計周り方向に旋回する火炎旋回流Cとなる。
また、以下に、各燃焼バーナ21の具体的な構成について詳細に説明する。図1は、第1実施形態の燃焼バーナを表す正面図、図2は、燃焼バーナの縦断面図、図3は、図1のIII−III断面図、図4は、図1のIV−IV断面図である。
燃焼バーナ21は、図1及び図2に示すように、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル53が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、微粉燃料(固体燃料)と搬送用空気(1次空気)とを混合した微粉燃料混合気(以下、燃料ガスと称する。)Fを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ノズル51から噴射された燃料ガスFの外周側に燃焼用空気の一部(以下、燃料ガス燃焼用空気)A1を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側に配置され、燃焼用空気ノズル52から噴出された燃料ガス燃焼用空気A1の外周側に燃焼用空気の一部(以下、2次空気)A2を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル53Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル53Bとから構成されている。
ここで、燃料ノズル51は、四角い管形状をなし、その外側に同心をなして四角いリング状の燃焼用空気ノズル52が配置され、燃焼用空気ノズル52の上方側及び下方側にそれぞれ略矩形状をなす2次空気ノズル53(53A,53B)が配置される。そして、燃料ノズル51からの燃料ガスFと、燃焼用空気ノズル52からの燃料ガス燃焼用空気A1と、2次空気ノズル53からの2次空気A2は、水平方向に沿って平行に噴出される。
なお、上述した鉛直方向とは、鉛直な方向に対して微小角度だけずれた方向も含むものである。また、2次空気ノズル53は、燃焼用空気ノズル52の外側で、且つ、鉛直方向に隣接する位置に配置したが、水平方向に隣接する位置に配置してもよく、全周に設けてもよい。更に、2次空気ノズル53は、ダンパ開度調整機構などを設けることで、2次空気の噴出量を調整可能としてもよい。
燃料ノズル51は、基端部が微粉燃料供給管26の先端部に連結されており、先端部が火炉11内に露出している。燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53は、基端部が連結部71,72を介して風箱36(図5参照)に連結されており、先端部が火炉11内に露出している。燃焼バーナ21は、燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53からなるノズル部75と、微粉燃料供給管26と連結部71,72からなる管路部76とを有している。ノズル部75は、管路部76及び風箱36に対して水平方向に沿う支持軸(図示略)により上下方向に沿って角度調整可能となっている。即ち、燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52と2次空気ノズル53は、噴出方向が鉛直方向に沿って調整可能となっている。なお、ノズル部75を管路部76及び風箱36に対して鉛直方向に沿う支持軸により水平方向に移動自在としてもよい。
燃料ノズル51は、直管であり、燃料ガスを噴出する方向に直交する断面(通路)の面積(通路面積)が一定となっている。燃焼用空気ノズル52は、先端側、つまり、燃料ガス燃焼用空気の流れ方向の下流端部に向かうにしたがって絞られた形状である。そのため、燃焼用空気ノズル52は、燃料ガス燃焼用空気を噴出する方向に直交する断面(通路)の面積(通路面積)が、先端に向かうにしたがって小さくなる。2次空気ノズル53は、先端側、つまり、2次空気の流れ方向の下流端部端に向かうにしたがって絞られた形状である。そのため、2次空気ノズル53は、2次空気を噴出する方向に直交する断面(通路)の面積(通路面積)が、先端に向かうにしたがって小さくなる。
なお、燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52の開口の形状は、長方形に限らず、正方形、円形、楕円形としてもよい。また、燃焼用空気ノズル52を長方形とした場合、角部に曲率をつけた形状としてもよい。角部に曲率をつけた管状構造とすることで、ノズルの強度を向上することができる。
保炎器54は、燃料ノズル51内であって、燃料ガスの噴出方向の下流側で、且つ、中心O側に配置されており、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器54は、水平方向に沿う第1保炎部材61,62と、鉛直方向に沿う第2保炎部材63,64とが十字形状に交差するように配置された、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、各第1保炎部材61,62は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部61a,62aと、この平坦部61a,62aの先端部(燃料ガスの流れ方向の下流端部)に一体に設けられた拡幅部61b,62bを有している。この拡幅部61b,62bは、断面が二等辺三角形状をなし、燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、先端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。なお、図示しないが、各第2保炎部材63,64も同様の構造となっている。
そのため、燃料ノズル51及び燃焼用空気ノズル52は、長尺な管状構造をなし、燃料ノズル51と燃焼用空気ノズル52は、二重管構造となっている。燃料ノズル51は、燃料ガスが流れる燃料通路51aと、燃料通路51aにおける燃料ガスの流れ方向の下流端部に設けられて矩形状をなす噴出開口51bを有する。燃焼用空気ノズル52は、燃料ガス燃焼用空気が流れる空気通路52aと、空気通路52aの流れ方向の下流側に設けられて矩形リング状をなす噴出開口52bを有する。燃料ノズル51及び燃焼用空気ノズル52は、その外側の上方側に2次空気ノズル53Aが配置され、下方側に2次空気ノズル53Bが配置されている。各2次空気ノズル53A,53Bは、長尺な管状構造をなし、2次空気が流れる空気通路53Aa,53Baと、空気通路53Aa,53Baの流れ方向の下流側に設けられる噴出開口53Ab,53Bbを有する。
これらのノズル51,52,53は、噴出開口51b,52b,53Ab,53Bbが同一面上に揃えられて配置されている。また、保炎器54は、燃料ノズル51の内壁面、または、燃料ガスが流れる通路の上流側から図示しない板材により支持されている。また、燃料ノズル51は、内部にこの保炎器54としての複数の保炎部材61,62,63,64が配置されていることから、燃料ガスの流路が9つに分割されている。そして、保炎器54は、先端部に幅が広がった拡幅部61b,62bが位置することとなり、この拡幅部61b,62bは、前端面が噴出開口51bと同一面上に揃えられている。
また、本実施形態にて、2次空気ノズル53(53A,53B)は、噴出開口53Ab,53Bbが水平方向に沿って異形状となっている。以下、2次空気ノズル53について詳細に説明するが、上方側の2次空気ノズル53Aと下方側の2次空気ノズル53Bは、線対称の構成であることから、上方側の2次空気ノズル53Aについてのみ説明する。
図1、図3及び図4に示すように、2次空気ノズル53Aは、空気通路53Aaと、この空気通路53Aaにおける空気の流れ方向の下流側に設けられる噴出開口53Abとを有している。この噴出開口53Abは、空気通路53Aaの通路断面形状に対して異なる形状となっている。即ち、2次空気ノズル53Aにて、空気通路53Aaは、水平方向に長い長方形断面形状をなすが、噴出開口53Abは、水平方向に沿って鉛直方向の開口面積が異なる形状となっている。
具体的に説明すると、噴出開口53Abは、複数(本実施形態では、5つ)の分割開口81と、複数(本実施形態では、4つ)の連結開口82とから構成されている。複数の分割開口81は、四角形(正方形)をなし、2次空気の噴出方向に交差する水平方向に沿って所定間隔を空けて設けられている。複数の連結開口82は、各分割開口81より鉛直方向の開口面積が小さい四角形(長方形)をなし、複数の分割開口81の間で各連結開口81を互いに連通するように設けられている。つまり、矩形状をなす空気通路53Aaの一部が閉塞されることで、異形の噴出開口53Abが形成される。ここで、各分割開口82の幅(水平方向の長さ)は、各連結開口82の幅(水平方向の長さ)より大きくなっている。また、2次空気ノズル53Aにおける噴出開口53Abの幅は、燃焼用空気ノズル52における噴出開口52bの幅と同じ長さになっている。
なお、噴出開口53Abにて、分割開口81を正方形としたが、長方形や多角形としてもよく、円形や楕円形などとしてもよい。この場合、分割開口81を円形とすることで、製作性が容易となる。また、分割開口81と連結開口82の数は、上述したものに限定されるものではなく適宜設定すればよいが、少ない個数にすることが望ましい。分割開口81の数を少なくすることで、1つの分割開口81を大きくすることができ、2次空気の噴出力を大きくすることができる。更に、複数の分割開口81を複数の連結開口82により連通するように構成したが、連結開口82をなくして複数の分割開口81だけで噴出開口853Abを構成してもよい。
なお、2次空気ノズル53Bは、2次空気ノズル53Aと同様に、空気通路53Ba(図2参照)と噴出開口53Bbとを有し、噴出開口53Bbは、複数(本実施形態では、5つ)の分割開口83と、複数(本実施形態では、4つ)の連結開口84とから構成されている。
このように構成された燃焼バーナ21にて、図2に示すように、燃料ガスFは、微粉燃料供給管26から燃料ノズル51の燃料通路51aに流れ、噴出開口51bから炉内に噴出される。燃料ガス燃焼用空気A1は、風箱36(図1参照)から連結部71を通して燃焼用空気ノズル52の空気通路52aに流れ、噴出開口51bから燃料ガスFの外側に噴出される。2次空気A2は、風箱36(図1参照)から連結部72を通して2次空気ノズル53A,53Bの各空気通路53Aa,53Baに流れ、噴出開口53Ab,53Bbから燃料ガス燃焼用空気A1の外側に噴出される。このとき、燃料ガスFと燃料ガス燃焼用空気A1と2次空気A2は、旋回させずにバーナ軸線方向(中心O)に沿った直進流として噴出させることが望ましい。
このとき、2次空気ノズル53A,53Bは、噴出開口53Ab,53Bbが空気通路53Aa,53Baの通路断面形状に対して異なる形状となっている。そのため、空気通路53Aa,53Baを流れる2次空気が噴出開口53Ab,53Bbを通して炉内に噴出されるとき、噴出開口53Ab,53Bbでの2次空気が正方形に近いために貫通力が向上する。即ち、噴出開口53Aa,53Bbは、各分割開口81における鉛直方向の開口面積を大きく確保されているため、各分割開口81での2次空気の噴流が強くなり、各分割開口81からの2次空気の噴流を適正に維持して燃料ガスとの早期混合が抑制される。
燃焼バーナ21の外周側から噴出された2次空気は、水平方向からの火炎旋回流C(図6参照)の流れの影響を受けやすい。ところが、本実施形態では、2次空気ノズル53A,53Bの形状により、特に、各分割開口81での2次空気が正方形に近いために貫通力が強い。そのため、2次空気ノズル53A,53Bから噴出される2次空気は、火炎旋回流の影響を受けても火炎流の方向、つまり、図1における左側に流れ難くなり、燃料ノズル51から噴出される燃料ガスに対して、2次空気ノズル53A,53Bから噴出される2次空気が適正な上下位置に流れ、燃焼が安定する。
また、燃料ガスFは、燃料ノズル51の噴出開口51bにて、第1保炎部材61,62及び第2保炎部材63,64により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスFは、外周に燃料ガス燃焼用空気A1が噴出されることで、燃料ガスFの燃焼が促進される。更に、燃焼火炎の外周に2次空気A2が噴出されることで、燃料ガス燃焼用空気A1と2次空気A2の割合を調整し、NOxが発生しない最適な燃焼を得ることができる。
そして、保炎器54は、第1保炎部材61,62及び第2保炎部材63,64がスプリット形状をなしているため、燃料ガスFが拡幅部61b,62bに沿って流れて先端面側に回り込むことで、前方に再循環領域が形成される。そのため、燃料ガスFは、この再循環領域で着火と保炎が行われることとなり、燃焼火炎の内部保炎(燃料ノズル51における中心O側の中央領域における保炎)が実現される。すると、燃焼火炎の外周部が低温となり、2次空気A2により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くすることができ、燃焼火炎の外周部におけるNOx発生量が低減される。
このように第1実施形態の燃焼バーナにあっては、燃料と空気とを混合した燃料ガスを水平方向に沿って噴出する燃料ノズル51と、燃料ノズル51の鉛直方向における上方側と下方側で空気を水平方向に沿って噴出する2次空気ノズル53(53A,53B)とを設け、2次空気ノズル53(53A,53B)は、空気通路53Aa,53Baと、空気通路53Aa,53Baにおける2次空気の流れ方向の下流側に設けられる噴出開口53Ab,53Bbとを有し、噴出開口53Ab,53Bbが空気通路53Aa,53Baの通路断面形状に対して鉛直方向の開口面積が異なる形状となっている。
従って、2次空気ノズル53(53A,53B)の噴出開口53Ab,53Bbの鉛直方向の開口面積が異なる形状であるため、空気通路53Aa,53Baを流れる2次空気が噴出開口53Ab,53Bbを通して噴出されるとき、噴出開口53Ab,53Bbの開口面積がより正方形あるいは円に近い領域での空気の噴流が火炎流旋回により水平方向へ流されにくくなり、噴出開口53Ab,53Bbのからの空気の噴流を維持して、燃料ガスへ2次空気が確実に混合できるようになる。その結果、2次空気の噴出力を上げて周囲の火炎旋回流による減衰を抑制することで、確実に燃焼バーナ21,22,23,24,25へ2次空気を供給し、良好な燃焼状況を確保することができる。
第1実施形態の燃焼バーナでは、噴出開口53Ab,53Bbは、2次空気の噴出方向に交差する水平方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数の分割開口81,83を有している。従って、各分割開口81,83における鉛直方向の開口面積を正方形または円に近い形状に確保することができ、各分割開口81,83での空気の噴流が火炎旋回流の影響を受けにくくなり、噴出開口53Ab,53Bbからの2次空気の噴流を維持して燃料ガスと2次空気の混合を確実に確保することができる。
第1実施形態の燃焼バーナでは、複数の分割開口81,83は、この分割開口81,83より鉛直方向の開口面積が小さい連結開口82,84により互いに連通している。従って、複数の分割開口81,83と複数の連結開口82,84が1つの開口として連通することで、噴出開口53Ab,53Bbの全領域に2次空気を流して冷却することができ、火炎による焼き付きを防止することができる。
第1実施形態の燃焼バーナでは、燃料ノズル51の先端部に保炎器54を設けている。従って、燃料ノズル51から噴出される燃料ガスは、保炎器54により分岐して流れ、ここで着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。一方、2次空気ノズル53から噴出される2次空気は、噴出開口53Ab,53Bbの通過時にその貫通力が向上することで、火炎旋回の影響を受けにくい。そのため、燃料ノズル51からの燃料ガスに対して、火炎旋回流による外部着火が防止され、保炎器54による内部保炎の保炎性能を向上することができる。
また、第1実施形態の燃焼装置にあっては、燃焼バーナ21,22,23,24,25を火炉11の周方向に所定間隔を空けて複数配置することで、火炎旋回流を形成可能としている。従って、複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25から燃料ガスと2次空気が噴出されることで、火炎旋回流が形成される。ここで、2次空気ノズル53(53A,53B)の噴出開口53Ab,53Bbの鉛直方向の開口面積が異なる形状であるため、噴出開口53Ab,53Bbの開口面積がより正方形あるいは円に近い領域での空気の噴流が火炎流旋回により水平方向へ流されにくくなり、噴出開口53Ab,53Bbのからの空気の噴流を維持して、燃料ガスへ2次空気が確実に混合できるようになる。その結果、2次空気の噴出力を上げて周囲の火炎旋回流による減衰を抑制することで、確実に燃焼バーナ21,22,23,24,25へ2次空気を供給し、良好な燃焼状況を確保することができる。
また、第1実施形態のボイラにあっては、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、燃焼バーナ21,22,23,24,25から構成される燃焼装置12とを備えている。従って、火炉壁に周方向に沿って複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25が配置されることで、火炉11内に火炎旋回流を形成することができる。このとき、2次空気ノズル53(53A,53B)の噴出開口53Ab,53Bbの鉛直方向の開口面積が異なる形状であるため、噴出開口53Ab,53Bbの開口面積がより正方形あるいは円に近い領域での空気の噴流が火炎流旋回により水平方向へ流されにくくなり、噴出開口53Ab,53Bbのからの空気の噴流を維持して、燃料ガスへ2次空気が確実に混合できるようになる。その結果、2次空気の噴出力を上げて周囲の火炎旋回流による減衰を抑制することで、確実に燃焼バーナ21,22,23,24,25へ2次空気を供給し、良好な燃焼状況を確保することができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の燃焼バーナを表す正面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図7に示すように、燃焼バーナ21は、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル91が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、燃料ガスを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル91は、燃焼用空気ノズル52の外側で、燃料ガス燃焼用空気の上方と下方に2次空気を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル91は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル91Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル91Bとから構成されている。
2次空気ノズル91(91A,91B)は、噴出開口91Ab,91Bbが水平方向に沿って異形状となっている。2次空気ノズル91A,91Bは、空気通路(図示略)と、この空気通路における空気の流れ方向の下流側に設けられる噴出開口91Ab,91Bbとを有している。この噴出開口91Ab,91Bbは、空気通路の通路断面形状に対して異なる形状となっている。即ち、2次空気ノズル91A,91Bにて、空気通路は、水平方向に長い長方形断面形状をなすが、噴出開口91Ab,91Bbは、水平方向に沿って鉛直方向の開口面積が異なる形状となっている。
具体的に説明すると、噴出開口91Ab,91Bbは、2次空気の噴出方向に交差する水平方向における一方側(図7にて、左側)に設けられる第1開口92,94と、2次空気の噴出方向に交差する水平方向における他方側(図7にて、右側)に設けられて第1開口92,94より鉛直方向の開口面積が大きい第2開口93,95とを有している。この第1開口92,94と第2開口93,95は、それぞれ四角形(長方形)をなし、水平方向の中心位置で連通している。そのため、第1開口92,94と第2開口93,95は、幅(水平方向の長さ)が同じになっている。つまり、矩形状をなす空気通路の一部が閉塞されることで、異形の噴出開口91Ab,91Bbが形成される。
この場合、第1開口92,94と第2開口93,95の配置関係は、4つの燃焼バーナ21により形成される火炎旋回流の上流側(図7にて、右側)に鉛直方向の開口面積が大きい第2開口93,95を配置することが望ましい。
なお、噴出開口91Ab,91Bbにて、第1開口92,94及び第2開口93,95分割開口81を長方形としたが、多角形、円形、楕円形などとしてもよい。また、2つの第1開口92,94及び第2開口93,95により噴出開口91Ab,91Bbを構成したが、鉛直方向の開口面積が相違する3つ以上の開口から構成してもよい。更に、第1開口92,94と第2開口93,95を水平方向の中心位置で連通したが、連通位置を水平方向にずらしてもよく、第1開口92,94と第2開口93,95を連通しなくてもよい。
また、上述の実施形態では、噴出開口91Ab,91Bbを、水平方向における一方側に設けられる第1開口92,94と、他方側に設けられて第1開口92,94より鉛直方向の開口面積が大きい第2開口93,95とから構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、噴出開口を2次空気の噴出方向に交差する水平方向における一方側にずらして設けてもよい。つまり、噴出開口を第2開口93,95だけで構成してもよく、この場合、噴出開口の水平方向長さを第2開口93,95より長くしてもよい。
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル51から炉内に噴出され、燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル52から燃料ガスの外側に噴出され、2次空気は、2次空気ノズル91A,91Bから燃料ガス燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、2次空気ノズル91A,91Bは、噴出開口91Ab,91Bbが空気通路の通路断面形状に対して異なる形状となっている。そのため、空気通路91Aa,91Baを流れる2次空気が噴出開口91Ab,91Bbを通して炉内に噴出されるとき、噴出開口91Ab,91Bbでの2次空気が正方形に近いために貫通力が向上する。即ち、噴出開口91Ab,91Bbは、鉛直方向の開口面積が相違する第1開口92,94と第2開口93,95により構成されるため、第2開口93,95での2次空気の噴流が強くなり、第2開口93,95からの2次空気の噴流を適正に維持して燃料ガスとの混合が確実に確保される。
燃焼バーナ21の外周側から噴出された2次空気は、水平方向からの火炎旋回流C(図6参照)の流れの影響を受けやすい。ところが、本実施形態では、2次空気ノズル91A,91Bの形状により、特に、火炎旋回流の上流側に位置する第2開口93,95の鉛直方向の開口面積が大きく設定されている。そのため、第2開口93,95での2次空気が正方形に近いために貫通力が強くなり、2次空気ノズル91A,91Bから噴出される2次空気は、火炎旋回流の影響を受けても火炎流の方向に流れ難くなり、燃料ノズル51から噴出される燃料ガスに対して、2次空気ノズル91A,91Bから噴出される2次空気が適正な上下位置に流れ、燃焼が安定する。
このように第2実施形態の燃焼バーナにあっては、2次空気ノズル91A,91Bの噴出開口91Ab,91Bbとして、2次空気の噴出方向に交差する水平方向における一方側に設けられる第1開口92,94と、2次空気の噴出方向に交差する水平方向における他方側に設けられて第1開口92,94より鉛直方向の開口面積が大きい第2開口93,95を設けている。
従って、鉛直方向の開口面積が大きい第2開口93,95からの2次空気の噴流が強くなり、火炎旋回流が作用しやすい側に第2開口93,95が配置されることで、この領域での噴出開口91Ab,91Bbからの2次空気の噴流を維持して燃料ガスと2次空気の混合を確実に確保することができる。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の燃焼バーナを表す正面図、図9は、図8のIX−IX断面図、図10は、図8のX−X断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態において、図8から図10に示すように、燃焼バーナ21は、中心O側から燃料ノズル51、燃焼用空気ノズル52、2次空気ノズル101が順に設けられると共に、燃料ノズル51内に保炎器54が設けられて構成されている。
燃料ノズル51は、燃料ガスを水平方向に沿って噴出することができる。燃焼用空気ノズル52は、燃料ノズル51の外側に配置され、燃料ガスの外周側に燃料ガス燃焼用空気を水平方向に沿って噴出することができる。2次空気ノズル101は、燃焼用空気ノズル52の外側で、燃料ガス燃焼用空気の上方と下方に2次空気を水平方向に沿って噴出することができる。本実施形態にて、2次空気ノズル101は、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における上方側に配置される2次空気ノズル101Aと、燃焼用空気ノズル52の鉛直方向における下方側に配置される2次空気ノズル101Bとから構成されている。
2次空気ノズル101(101A,101B)は、噴出開口101Ab,101Bbが水平方向に沿って異形状となっている。2次空気ノズル101A,101Bは、空気通路101Aaと、この空気通路101Aaにおける空気の流れ方向の下流側に設けられる噴出開口101Ab,101Bbとを有している。この噴出開口101Ab,101Bbは、空気通路101Aaの通路断面形状に対して異なる形状となっている。即ち、2次空気ノズル101A,101Bにて、空気通路101Aaは、水平方向に長い長方形断面形状をなすが、噴出開口101Ab,101Bbは、水平方向に沿って鉛直方向の開口位置が異なる形状となっている。
具体的に説明すると、噴出開口101Abは、複数(本実施形態では、5つ)の分割開口102,103により構成され、噴出開口101Bbは、複数(本実施形態では、5つ)の分割開口104,105により構成されている。複数の分割開口102,103,104,105は、四角形(長方形)をなし、2次空気の噴出方向に交差する水平方向に沿って並んで設けられている。また、噴出開口101Abにて、各分割開口102,103は、鉛直方向にずらして配置され、噴出開口101Bbにて、各分割開口104,105は、鉛直方向にずらして配置されている。つまり、矩形状をなす空気通路101Aa,101Baの一部が閉塞されることで、異形の噴出開口101Ab,101Bbが形成される。
また、燃料ノズル51から離間して配置される分割開口103,105は、2次空気を燃料ノズル51から離間する方向に噴出し、燃料ノズル51に接近して配置される分割開口102,104は、2次空気を燃料ノズル51に接近する方向に噴出する。即ち、噴出開口101Abにて、鉛直方向における下方側に配置される各分割開口102は、鉛直方向の下方、つまり、燃料ノズル51側を向いており、2次空気を燃料ガスに接近する方向に向けて噴出し、鉛直方向における上方側に配置される各分割開口103は、鉛直方向の上方、つまり、燃料ノズル51から離間する側を向いており、2次空気を燃料ガスから離間する方向に向けて噴出する。また、噴出開口101Bbにて、鉛直方向における上方側に配置される各分割開口104は、鉛直方向の上方、つまり、燃料ノズル51側を向いており、2次空気を燃料ガスに接近する方向に向けて噴出し、鉛直方向における下方側に配置される各分割開口105は、鉛直方向の下方、つまり、燃料ノズル51から離間する側を向いており、2次空気を燃料ガスから離間する方向に向けて噴出する。
なお、各分割開口102,104は、燃料ノズル51側を向いて2次空気を燃料ガスに接近する方向に向けて噴出するように構成したが、2次空気を燃料ガスの噴出方向と平行に噴出するように構成してもよい。
なお、噴出開口101Ab,101Bbにて、分割開口102,103,104,105を長方形としたが、正方形や多角形としてもよく、円形や楕円形などとしてもよい。また、分割開口102,103,104,105の数は、上述したものに限定されるものではなく適宜設定すればよいが、少ない個数にすることが望ましい。更に、複数の分割開口102,103,104,105を水平方向に並べたが、直接、または、連結開口により連結してもよく、また、水平方向に離間してもよい。また、分割開口102,103,104,105を水平方向に重なるように配置してもよい。
そのため、燃料ガスは、燃料ノズル51から炉内に噴出され、燃料ガス燃焼用空気は、燃焼用空気ノズル52から燃料ガスの外側、つまり、燃料ガスの周囲に噴出され、2次空気は、2次空気ノズル101A,101Bから燃料ガス燃焼用空気の外側に噴出される。このとき、2次空気ノズル101A,101Bは、噴出開口101Ab,101Bbが空気通路101Aa,101Baの通路断面形状に対して異なる形状となっている。そのため、空気通路101Aa,101Baを流れる2次空気が噴出開口101Ab,101Bbを通して炉内に噴出されるとき、噴出開口91Ab,91Bbでの2次空気が正方形に近いために貫通力が向上する。即ち、噴出開口101Ab,101Bbは、鉛直方向にずれた複数の分割開口102,103,104,105により構成されるため、2次空気の噴流が強くなり、この2次空気の噴流を適正に維持して燃料ガスとの混合が確実に確保される。
燃焼バーナ21の外周側から噴出された2次空気は、水平方向からの火炎旋回流C(図6参照)の流れの影響を受けやすい。ところが、本実施形態では、2次空気ノズル101A,101Bの形状により、各分割開口102、104が燃料ガスに接近する方向に向けて2次空気を噴出し、各分割開口103,105が燃料ガスから離間する方向に向けて2次空気を噴出する。そのため、各分割開口102、104から噴出される2次空気は、燃料ガスに混合して燃焼することで、燃料の未燃分の発生が抑制される。一方、各分割開口103,105から噴出される2次空気は、燃料ガスから遠ざかることで、空気過剰を抑制してNOxの発生が抑制される。すると、燃料ノズル51から噴出される燃料ガスに対して、2次空気ノズル101A,101Bから噴出される2次空気が適正な上下位置に流れ、燃焼が安定する。
このように第3実施形態の燃焼バーナにあっては、2次空気ノズル101A,101Bの各分割開口102,103,104,105を鉛直方向にずらして配置している。
従って、2次空気ノズル101A,101Bからの2次空気の噴流を適正位置に供給することで、燃料における未燃分の発生を抑制することができると共に、空気過剰を抑制してNOxの発生を抑制することができる。
第3実施形態の燃焼バーナでは、各分割開口102、104からの2次空気を燃料ガスに接近する方向に向けて噴出し、各分割開口103,105からの2次空気を燃料ガスから離間する方向に向けて噴出する。従って、燃料における未燃分の発生と空気過剰によるNOxの発生をより一層抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、石炭の他に、バイオマス、石油コークス、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの油焚きボイラにも使用することができる。更には、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。