JP6621507B2 - サンドブラスト装置セットおよび鉄塔の素地調整方法 - Google Patents
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Description
本発明は、主として、道路が整備されていない山間部等に設置された鉄塔においてもサンドブラスト装置による素地調整作業を容易に行うことができ、しかも従来法と同等以上の素地調整能力を有しうる新規なサンドブラスト装置セットを提供することを課題とする。
ここで「素地調整」とは、いわゆるブラスト処理を行うことであって、金属の錆落としや再塗装のためのケレン(清浄化)などを行うことをいう。
本発明として、例えば、下記のものを挙げることができる。
[1]鉄塔の素地調整のためのサンドブラスト装置セットであって、
定格出力が1.4〜4.0kWの範囲内である小型コンプレッサー、および先端の口径が1〜3mmの範囲内である噴射孔を持つ噴射ノズル部を有する小型高圧サンドブラスト機を含み、前記各装置がいずれも人力により運搬可能であることを特徴とする、サンドブラスト装置セット。
[2]前記噴射ノズル部において、ノズルの中心軸に対して傾斜している噴射孔を少なくとも1つ有する、上記[1]に記載のサンドブラスト装置セット。
[3]前記噴射孔の傾斜角が、ノズルの中心軸に対して10〜90度の範囲内である、上記[2]に記載のサンドブラスト装置セット。
[4]前記噴射ノズル部が先端の閉鎖した中空筒体であって、噴射孔を当該中空筒体の側面に有する、上記[2]または[3]に記載のサンドブラスト装置セット。
[5]前記小型コンプレッサーが分割可能な複数のユニットからなり、各分割ユニットの重量が10〜30kgの範囲内である、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セット。
[6]前記小型高圧サンドブラスト機の重量が5〜30kgの範囲内であり、その内部に1〜5Lの範囲内のメディアタンク(研削粒容器)部を有する、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セット。
[7]さらに圧縮空気清浄器を有する、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セット。
[9]前記作業対象部材が管状部材であって、当該管状部材の内側に噴射ノズル部を挿入し、当該管状部材内面のブラスト処理を行う、上記[8]に記載の素地調整方法。
[10]前記研削粒の直径が0.1〜2.2mmの範囲内である、上記[8]または[9]に記載の素地調整方法。
[11]さらに前記研削粒の飛散防止対策を施して行う、上記[8]〜[10]のいずれか一項に記載の素地調整方法。
[12]鉄塔が送電線鉄塔である、上記[8]〜[11]のいずれか一項に記載の素地調整方法。
[13]先端が閉鎖した中空筒体であって、ノズルの中心軸に対して傾斜した角度で噴射孔を当該中空筒体の側面に少なくとも1つ有し、当該噴射孔の先端の口径が1〜3mmの範囲内であることを特徴とする、小型高圧サンドブラスト機用ノズル。
[14]前記噴射孔の傾斜角が、ノズルの中心軸に対して10〜90度の範囲内である、上記[13]に記載の小型高圧サンドブラスト機用ノズル。
1.本発明に係るサンドブラスト装置セット
本発明に係るサンドブラスト装置セット(以下、「本発明装置セット」という。)は、鉄塔の素地調整のためのものであって、定格出力が1.4〜4.0kWの範囲内である小型コンプレッサー、および先端の口径が1〜3mmの範囲内である噴射孔を持つ噴射ノズル部を有する小型高圧サンドブラスト機を含み、前記各装置がいずれも人力により運搬可能であることを特徴とする。
本発明装置セットの小型コンプレッサーは、定格出力が1.4〜4.0kWの範囲内である。当該定格出力としては、1.7〜3.5kWの範囲内が好ましく、2.0〜2.5kWの範囲内がより好ましい。定格出力が1.4kWより低いと、十分量の圧縮空気を得られないおそれがあり、4.0kWより高いと、持ち運ぶことが困難なコンプレッサーとなるおそれがある。
ここで「人力で運搬可能」とは、通常の体力を有する作業者が人力で持ち運ぶことができることをいう。
本発明装置セットの小型高圧サンドブラスト機は、先端の口径が1〜3mmの範囲内(好ましくは1〜2mm)である噴射孔を持つ噴射ノズル部を有する。このように、従来のサンドブラストの噴射ノズル部が持つ噴射孔の先端の口径4mm〜5mmより大幅に細いため、研削粒の消費を抑えることができる。なおかつ流速を確保し十分な研削を可能とする。
当該高圧サンドブラスト機の噴射方式としては、高圧噴射を実現するため直圧式が好ましい。
当該高圧サンドブラスト機は、主に、メディアタンク(研削粒容器)部および噴射ノズル部を有する。それに圧縮空気清浄器を有していてもよい。圧縮空気清浄器は空気の圧縮の際に生じる水を除去するための装置であり、水により湿った研削粒が噴射ノズル部の細い先端を詰まらせ、ブラスト機の使用を不能になることを少しでも避けることができるため、有することが好ましい。その他、一般に、吐出量や流入量を調整するためのバルブや圧力計、設置用脚(3〜6本程度)、排気バルブ、メディアバルブなどを備えている。当該メディアタンク部と噴射ノズル部とは、通常、高圧に耐えうるいわゆるブラストホースで接続されている。
当該高圧小型サンドブラスト機が有する噴射ノズル部としては、一般的には、例えば、ステンレススチール等の金属製またはセラミック製の細長い直円筒形状であり、一端に噴射口、反対側にはブラストホース側の金具との結合部を有する直噴型ノズルを挙げることができる。当該直噴型ノズルにおいては、ブラストホースから送られてきた圧縮空気流および研削粒は、ノズル内では方向を変えられることなくノズル内部を直進し、ノズルの先端から噴射される。当該直噴型ノズルは、作業者にとって最も使いやすいタイプのノズルであるため、作業の場所および状況を問わず使用することができるが、例えば、鉄塔の部材の表面等の素地調整に好んで使用される。
噴射ノズル部とブラストホース側の金具との結合方式としては、例えば、差し込み、雄ねじと雌ねじによる螺合が挙げられる。
本発明に係る、鉄塔の素地調整方法(以下、「本発明調整方法」という。)は、本発明装置セットと研削粒とを鉄塔の上部に運搬し、当該本発明装置セットのコンプレッサーを作動し、サンドブラスト機に封入された研削粒を噴射ノズル部の先端から鉄塔の作業対象部材に吹きつけブラスト処理を行うことを特徴とする。
上記飛散防止用密閉カバーとしては、例えば、透明な樹脂製の円筒形状のカバー部と、側面より当該円筒を密閉する透明な樹脂製の円形の側面板より構成され、カバー部前面中央にはカバー部の外側より噴射ノズル部を挿入しブラスト処理するための円形の作業用開口が設けられているものを挙げることができる。
次に図面に基づき、本発明装置セットや本発明調整方法について詳述するが、本発明はかかる図面に記載の態様に何ら限定されものではない。
本発明装置セットの一例を図1に示す。図1に示す本発明装置セットAは、主に、サンドブラスト機10、およびコンプレッサー20(市販品:PLUE22B−10、アネスト岩田社製)により構成されている。サンドブラスト機10とコンプレッサー20とは、圧縮空気清浄器13(WELL AIR(登録商標)、カマタテクナス社製)を介して高圧ホース30で接続されている。これにより、コンプレッサー20から送られてくる圧縮空気がサンドブラスト機10に供給される。
以下、本発明装置セットAを用いた、送電線鉄塔での素地調整作業について具体的に説明する。
B 飛散防止用密閉カバー
C 斜方噴射型ノズル
10 サンドブラスト機
11 メディアタンク部
12 噴射ノズル部
13 圧縮空気清浄器
14 調製バルブ
15 圧力計
16 設置用脚
20 コンプレッサー
21 空気圧縮部
22 動力部
23 エアタンク部
30 高圧ホース
31 ブラストホース
41 側面板
42 カバー部
43 作業用開口
44 L字型の金属部材
45 L字型の金属部材
46 蝶番
47 連結部材
48 把持部
50 送電線鉄塔の部材
61 中空筒体
62 螺合部
63 空洞部
64 先端部
65 噴射孔
66 円筒状セラミック部材
a ノズルの中心軸
Claims (9)
- 鉄塔の素地調整のためのサンドブラスト装置セットであって、
定格出力が1.4〜4.0kWの範囲内、制御圧力が0.5〜1.5MPaの範囲内、吐出し空気量が150〜500L/分の範囲内、および空気タンク容積が8〜20Lの範囲内である小型コンプレッサー、および先端の口径が1〜3mmの範囲内である噴射孔を持つ噴射ノズル部を有する小型高圧サンドブラスト機、ならびに開閉可能に結合した2つの部分に分かれる円筒形状のカバー部と、当該カバー部の円筒を両側面より密閉し、弧の長さが円周の4分の1に相当する扇形の部分と弧の長さが円周の4分の3に相当する扇形の部分とに分離可能な円形の側面板とから構成され、当該両側面板と当該カバー部とが回転可動に密着しており、当該カバー部正面の中央部にはカバー部の外側より噴射ノズル部を挿入できる作業用開口が設けられている飛散防止用密閉カバーを含み、前記装置がいずれも人力により鉄塔の高所へ容易に運搬可能であることを特徴とする、サンドブラスト装置セット。 - 前記噴射ノズル部において、ノズルの中心軸に対して傾斜している噴射孔を少なくとも1つ有する、請求項1に記載のサンドブラスト装置セット。
- 前記噴射孔の傾斜角が、ノズルの中心軸に対して10〜90度の範囲内である、請求項2に記載のサンドブラスト装置セット。
- 前記噴射ノズル部が先端の閉鎖した中空筒体であって、噴射孔を当該中空筒体の側面に有する、請求項2または3に記載のサンドブラスト装置セット。
- 前記小型コンプレッサーが分割可能な複数のユニットからなり、各分割ユニットの重量が10〜30kgの範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セット。
- 前記小型高圧サンドブラスト機の重量が5〜30kgの範囲内であり、その内部に1〜5Lの範囲内のメディアタンク(研削粒容器)部を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セット。
- さらに圧縮空気清浄器を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セット。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のサンドブラスト装置セットおよび研削粒を鉄塔の上部に運搬する工程、前記飛散防止用密閉カバーの両側面板の分離された各2つの扇形の部分を作業対象部材に挟み込み、当該両側面板を作業対象部材に装着し、当該両側面板に飛散防止用密閉カバーの円筒形状のカバー部を取り付けることにより、当該飛散防止用密閉カバーを作業対象部材に対し設置する工程、当該飛散防止用密閉カバーの作業用開口から噴射ノズル部を挿入する工程、ならびに当該サンドブラスト装置セットのコンプレッサーを作動し、サンドブラスト機に封入された研削粒を噴射ノズル部の噴射孔の先端から鉄塔の作業対象部材に吹きつけブラスト処理を行う工程、を含むことを特徴とする、鉄塔の素地調整方法。
- 開閉可能に結合した2つの部分に分かれる円筒形状のカバー部と、当該カバー部の円筒を両側面より密閉し、弧の長さが円周の4分の1に相当する扇形の部分と弧の長さが円周の4分の3に相当する扇形の部分とに分離可能な円形の側面板とから構成され、当該両側面板と当該カバー部とが回転可動に密着しており、当該カバー部正面の中央部にはカバー部の外側より噴射ノズル部を挿入できる作業用開口が設けられていることを特徴とする、サンドブラストによる鉄塔の素地調整のための飛散防止用密閉カバー。
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