JP2017501867A - 極低温の流体を分配する可動工具用の保護筐体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、極低温の流体を分配する可動工具用の保護筐体であって、前記保護筐体が吸込ベルを形成する開放端を備え、前記開放端がスカートを備える保護筐体において、スカートが疎水性の第1材料から作製された第1部分を備えることを特徴とする保護筐体に関する。【選択図】図5

Description

本発明は、極低温の流体を分配する可動工具用の保護筐体に関する。
可動工具を保護するこの筐体は、極低温の流体の非常に高圧のジェットを用いて、金属、コンクリート、木材、ポリマー、プラスチックまたは他の任意のタイプの材料等、コーティングする場合もあればしない場合もある材料の剥離、はつり(scaling)、表面処理用の設備の一部を形成する。
現在、コーティングする場合もあればしない場合もある材料の表面処理、特にコンクリート、塗料等の剥離、はつり等は、本質的に、サンドブラスト法により、超高圧(UHP)ウォータージェットにより、サンダー、ジャックハンマー、粗面加工具を用いて、または別法として化学的手段を介して行われる。
しかしながら、たとえば原子力環境において、水がまったくあってはならないか、またはたとえば激烈な環境的制約のためにいかなる化学製品もあってはならない場合、「乾式」方法と呼ばれる作業方法しか使用することができない。
しかしながら、場合によっては、これらの「乾式」方法は、たとえば、採用が困難であり、使用が非常に面倒であるかあるいは骨が折れ、またはさらには、後に再加工しなければならないショットまたは砂を追加するため、追加の汚染をもたらす。
これらの技術に対する1つの代替方法は、米国特許第A7,310,955号明細書および米国特許第A7,316,363号明細書の文献において提案されているような非常に高圧の極低温ジェットを使用することにある。その場合、液体窒素の1つまたは複数のジェットが、1000〜4000バールの圧力でかつ極低温(たとえば、−100〜−200℃の間、通常は約−125〜−160℃の間にある)で使用され、それは、通常回転運動または振動で動かされるノズルホルダ工具によって分配される。
ここで、ノズルによって送達される窒素ガス(それは、ノズルを出る際に液体状態から気体状態に変化する)が、表面処理が行われている部屋の中に放出されるかまたは出される場合、特にこの窒素が蓄積する場合、かつ部屋に換気がほとんどまたはまったくない場合、オペレータに対する無酸素症のリスクがもたらされる。
さらに、表面処理中に発生する残留物(粒子、粉塵)を、特に放射能環境においてコンクリートをはつることに関する問題である場合、表面処理作業、たとえば表面剥離作業が行われている現場を汚染しないようにするために、発生源において直接収集することが必要である場合がある。
これらの理由で、吸込ベルと呼ばれる保護筐体が、一般的には、可動流体分配工具、すなわち液体窒素のジェットが出てくる表面処理工具の周囲に配置され、前記ベルには、一般的には、好ましくは可撓性があるスカートが備え付けられ、スカートは、機械的障壁として作用し、吸込ベルと処理される表面との間の接触を確実にする。このスカートに、可撓性の剛毛、(たとえば、ゴム、皮革、エラストマー等から作製された)弾性ストリップ、発泡体の1つまたは複数の塊等の1つまたは複数の列を備え付けるか、またはスカートをそうした列から形成することができる。この吸込ベルにより、工具と処理される表面との間に部分的封止をもたらすことができ、ノズルによって送達される窒素および表面処理中に発生する残留物のすべてまたは一部を回収することが可能になる。
使用される回収システムは、部屋/作業場に窒素を再放出しないように、かつ表面残留物を有効に吸い上げることができるように、低圧下にある必要がある。
ノズルホルダ工具によって噴出される窒素と、コンクリート片等の粉塵および廃棄物は、吸込ベルによって吸い上げられる。最大回収効率を確保するために、吸引量は、工具の窒素流量より大きくなければならない。したがって、外部空気もまた吸い上げられる。
しかしながら、吸い上げられる周囲空気は、湿気、すなわち水蒸気を含み、それは回収システムに入ってくる。ここで、吸い上げられる湿気が主な問題である。これは、湿気が、スカート、特に剛毛等に吸着し、したがって、ベルがさらされる低温と接触すると氷になるためである。これは、剛毛等、スカートを構成する要素が、可撓性があるために、通常、吸込ベルと処理される表面との間の接触を確実にする基本的な役割を果たすものと想定されるため、取扱いに対して非常に厄介であることが分かった。ここで、これらの要素が固まって堅くなる場合、ベルと基板との間の接触が、それほど十分に「封止され」ないため、非常に不十分になる。そして、これにより、回収の質が低下し、それは、切れ端、粉塵または他の廃棄物が、処置が行われている部屋を「汚染する」ということを意味する。これは、特に、たとえば原子力産業または化学産業等、表面残留物を回収しなければならないことが避けられない産業において、禁止される。
また、コンクリートのはつり等の用途の場合、液体窒素の各ジェットは、コンクリートの表面を粉砕し、コンクリートの小片を全方向に飛ばす。そして、これらのコンクリート粒子は、吸込ベルおよびスカートの内側に衝突し、したがって、スカートが作製される材料に応じてスカートの非常に急速な摩耗をもたらす。これらの材料の選択は、工業規模での使用に対して十分長くかつ適合性があるスカート寿命を達成することにおいて決定的要因である。
ブラシおよび剛毛等、スカートの構成部品の上で氷が固く凍るのを制限しまたはさらにはなくす1つの方法は、ドライガス、たとえば窒素の送達に関連する二重壁吸込ベルを用いることにより、自然に湿気を多く含む外部空気の到来を防止することである。この点は、国際公開第10133784号パンフレットにおいて言及されている。この第1解決法には、汚染されたゾーンへのガスの追加、すなわち達することが困難であるもの必要があり、さらに、ドライガスに対して吸込ベルのサイズを大きくし、それによってコストが加算されるという不都合がある。ブラシにおける氷の形成を制限するかまたはさらには防止する第2解決法は、液体窒素のジェットからくるフリゴリー(frigorie)を相殺するように、スカートの近くに、たとえば熱源、電気抵抗または加熱カバーを追加するというものである。その解決法は、仏国特許第2945761号明細書として公開された仏国特許出願に記載されている。それには、工具および吸込ベルに対する電源が必要であり、したがって方法がより複雑になるという不都合がある。
本発明は、上述した従来技術の不都合のうちのすべてまたはいくつかを克服し、特に氷が固く凍ることを防止するのを可能にする手段を提案しようとするものである。
この目的で、本発明の一態様は、極低温の流体を分配する可動工具用の保護筐体であって、吸込ベルを形成する開放端を備え、前記開放端がスカートを備える保護筐体であり、スカートが、疎水性の第1材料から作製された第1部分を備えることを特徴とする筐体に関する。
疎水性である第1材料を用いることにより、極低温で動作しているときにスカートの第1部分の構成要素に氷が固まることを制限しまたはさらにはなくすことが可能になる。この解決法は、実施が単純であるという利点を提供し、具体的には、いかなる追加の要素も不要である。疎水性材料は、ここでは、水をはじくかまたは水によってはじかれる材料を意味する。スカートに、可撓性剛毛の1つまたは複数の列および/または可撓性ストリップ、および/または発泡体の1つまたは複数の塊等を設けるか、またはスカートをそれから形成することができる。
先行する段落で述べたばかりの主な特徴のほかに、本発明による筐体は、個別にまたは技術的に実現可能な組み合わせで考慮される、以下からの1つまたは複数のさらなる特徴を示すことができる。
− 第1材料は、国家規格DIN EN ISO 62の23℃/50%の標準環境における吸湿率に対するプロトコルに従って、4%未満である吸水率を有する。特に有利な方法で、第1材料は、国家規格DIN EN ISO 62の23℃/50%の標準環境における湿気の吸収率に対するプロトコルに従って、2%未満の吸湿率を有する。さらに、合成材料は、有利には、それらの疎水性特性が天然起源の材料より優れているという事実に対して選択される。疎水性の第1材料はまた、国家規格DIN EN ISO 62の水に含浸した吸湿率に対するプロトコルに従って選択することも可能である。その場合、疎水性の第1材料は、国家規格DIN EN ISO 62からの水に含浸したときの湿気の吸収率に対するプロトコルに従って、吸湿率が9%未満であり、特に有利には5%未満であり、
− スカートは、耐摩耗性の第2材料から作製された第2部分を備える。摩耗に対して耐性がある第2材料の使用により、保護筐体が工業規模で操作されているときにスカートの寿命を長くすることが可能になる。具体的には、コンクリートのはつり等の用途の場合、処理される、すなわちたとえばはつられる表面に分配される極低温の流体の各ジェットは、処理される表面を粉砕し、その構成材料を全方向に飛ばす。そして、これらの材料は、吸込ベルと呼ぶ保護筐体の内側とスカートとに衝突する。これには、スカートが作製される要素を徐々に摩耗するという影響がある。このスカートは、吸込ベルの高さにおける優れた封止を確実にするために2つの部分から構成され、第1部分により、スカートに氷が形成されるのを防止しスカートを十分に可撓性があるように維持するように、外部の湿気の蓄積を回避するのを可能にし、第2部分は、ベルの内部に向かう、粒子、すなわち、たとえばコンクリートのはつりの場合のコンクリート粉塵を遮断する。材料の耐摩耗性は、種々の方法で定量化することができる。たとえば、前記材料の摩耗率によって定量化することができ、この摩耗率は、mm/N/mまたはcm/cm/kgで表すことができる。
− 第1部分は、スカートの外周ゾーンと同じ高さに位置し、第2部分は、スカートの内周ゾーンと同じ高さに位置する。外部の湿気は、スカートの外周ゾーンの高さに位置する部分によって遮断する必要があり、ベルの内側に発生した粒子は、スカートの内周ゾーンの高さに配置された第2部分によって遮断することにより、その中に閉じ込める必要がある。
− 第1部分および第2部分は一致する。第1部分および第2部分は、まったく同じ部分とすることができ、その場合、耐摩耗性かつ疎水性の材料から作製することができる。このように、第1材料および第2材料はまったく同じ材料とすることができ、
− 第1材料および第2材料は以下の材料、すなわち
− ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
− ポリプロピレン(PP)、
− アラミド、
− ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
− ポリアミド6,6、
− ポリアミド6,10、
− ポリアミド6,12および
− ポリアミド11
から選択されている。
これらの材料は、それらの疎水性の品質およびそれらの耐摩耗性の能力の両方に対して選択される。
− 第1部品は剛毛を備え、前記剛毛は、疎水性の第1材料から作製されている。第1部分の剛毛を剛毛の束にまとめることができ、
− 第2部品は剛毛を備え、前記剛毛は、耐摩耗性の第2材料から作製されている。第2部分の剛毛を剛毛の束にまとめることができ、
− 第1部分の剛毛の長さは、第2部分の剛毛の長さより長い。スカートのこうした構成により、可動流体分配工具と処理される表面との間の封止を促進することが可能になる。具体的には、この構成により、工具によって処理される表面からの処理材料の量の少なくとも95%、最大98%を収集することができ、一方で、単一の長さの剛毛から構成されたスカートは、90%の効率しか達成しない。この剛毛の二重障壁は、有利に、二重閉込め障壁を構成する。スカートの外周ゾーンの高さに位置する剛毛を備える第1部分は、第1閉込め障壁を構成する。しかしながら、吸込ベルと呼ぶ保護筐体が、処理中に処理される表面の上で移動する際、この外側の列内にわずかな開口が生成される可能性があり、処理された、はつられた粒子がこの第1閉込め障壁を通過することが可能になる。スカートの内周ゾーンの高さに位置する剛毛の第2部分は、この封止の欠如を補う。第1部分および第2部分の剛毛は、同じ特質の材料から作製する場合もあれば異なる特質の材料から作製する場合もあり、
− 第1部分および/または第2部分の剛毛は、直径が0.2mm〜0.5mmの間である。この値の範囲により、スカートの剛毛の十分な可撓性を確保することが可能になり、
− 第1部分の剛毛は、剛毛の3つの同心の列に配置され、かつ/または第2部分の剛毛は、剛毛の3つの同心の列に配置されている。特に有利には、2つの隣接する列の剛毛は、互い違い形態で配置され、
− 前記筐体の開放端は、円錐状または角錐状の断面を有する。こうした断面により、有利に、保護筐体のゾーンにおいてデッドゾーンの形成およびはつられた材料(切れ端、粉塵)の蓄積を防止するように、吸込ベルの開放端にベンチュリ効果をもたらすことが可能になる。デッドゾーンは、分配された流体の流れが通過しなかったゾーンである。
本発明はまた、上述した実施形態のうちの1つによる可動流体分配工具を保護する筐体のスカートの剛毛の長さを定義する方法であって、前記工具が少なくとも1つの流体分配ノズルを備え、前記スカートが、剛毛を備える第1部分と剛毛を備える第2部分とを備え、第1部分が、スカートの外周ゾーンと同じ高さに位置し、第2部分が、スカートの内周ゾーンと同じ高さに位置する、方法であり、
− 発射(firing)距離を定義するステップであって、前記発射距離が、流体分配ノズルの先端(distal end)と可動工具によって処理される表面との間の距離に対応する、ステップと、
− パスの深さを定義するステップであって、前記パスの深さが、処理される表面の処理によって除去される材料の深さに対応する、ステップと、
− 第1部分に対する剛毛の第1長さを定義するステップであって、前記第1長さが、流体分配ノズルの先端と第1部分の剛毛の先端との間の距離が、0〜40mmの間の値で増大する、発射距離とパスの深さとの合計に等しいように調整される、ステップと、
− 第2部分に対する剛毛の第2長さを定義するステップであって、前記第2長さが、流体分配ノズルの先端と第2部分の剛毛の先端との間の距離が、0〜20mmの間の値で増大する発射距離に等しいように調整される、ステップと、
を含む方法に関する。
このように定義された剛毛の長さにより、表面の凹凸に関して、かつすでに処理されたゾーンと処理されている表面のまだ処理されていないゾーンとの間の境界を画定する段状変化に関して、処理される表面の形状に沿うことを可能にすることができる。
本発明はまた、極低温の流体の少なくとも1つの高圧ジェットを用いる作業設備であって、
− 少なくとも1つの流体分配ノズルを備える可動工具に流体的に接続された極低温の流体源であって、極低温の前記流体の少なくとも1つの高圧ジェットを分配する流体源と、
− 上述した実施形態のうちの1つによる保護筐体であって、可動工具の周囲に配置されかつ吸引手段に流体的に接続されており、前記筐体の開放端が可動工具の周囲に吸込ベルを形成する、保護筐体と
を備える作業設備に関する。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下に示す添付図面を参照して、続く説明を読むことから明らかとなろう。
極低温の流体を分配する工具を用いる作業設備の概略図である。 図1の設備に備え付けられた可動工具の側面図(図2a)および下からの図(図2b)である。 極低温の流体のジェットを使用し、可動工具保護筐体および可動工具を備える作業設備の概略図である。 可動工具保護筐体および可動工具を備える、極低温の流体のジェットを採用する作業設備の一実施形態の概略図であって、図4aは下からの図であり図4bは断面図である。 可動工具保護筐体および可動工具を備える、極低温の流体のジェットを採用する作業設備と、処理されているプロセスにある表面との概略図である。 本発明の筐体に備え付けられているスカートの第1構成部品および第2構成部品がいかに配置されているかの第1例を示すスカートの概略図である。 一致しているときの第1部品および第2部品の剛毛の配置の例を示すスカートの概略図である。
より明確にするために、同一または同様の要素は、すべての図において同一の参照符号によって識別する。
図1は、極低温の液体のジェットを用いる、剥離、はつり、表面処理等のために極低温の流体源を採用する作業設備を概略的に示し、それは、液体窒素(以降、LN2と呼ぶ)の、タンク等の貯蔵器1を通常備えており、貯蔵器1は、低圧、すなわち約3から6バールで、かつ約−180℃の温度で液体窒素を搬送するライン6を介して、圧縮装置2に液体窒素を供給し、圧縮装置2は、圧縮機と、液体窒素を超高圧(UHP)まで上昇させることを可能にする内部上流熱交換器とを有している。
したがって、圧縮装置2により、貯蔵器1からのLN2を圧縮することができる。そして、第1圧力(UHP)のLN2はその後、搬送ライン(7)を介して外部下流熱交換器3まで搬送され、そこで、UHP LN2は、典型的には極低温のUHP液体窒素を得るために、大気圧で(9において)液体窒素で冷却される。これにより、LN2は、典型的には300バールより高い、一般的に1000バール〜4000バールの間であり、有利には約3000〜4000バールの間である超高圧(UHP)であって、たとえば−100℃〜−200℃の間、典型的には−125℃〜−160℃の間にある極低温のLN2がもたらされ、それは、UHP液体窒素の1つまたは複数のジェット、一般的にはいくつかのジェットを送達する剥離等用の可動流体分配工具4に(8において)送られる。
数千リットルの液体窒素の容量があるタンカートラックタンクまたは貯蔵器等、大容量貯蔵器1は、一般的に、建物の外部、すなわち戸外に位置している。それは固定されている場合もあれば可動式である場合もある。
大容量貯蔵器1は、従来の方法で、すなわち1つまたは複数の制御弁を備えた、外被材で覆われた配管によって、設備に接続されている。さらに、システムのさまざまな要素の間でのLN2の搬送もまた、外被材で覆われた配管を介して行われる。全体的な液体流量は、およそ20l/分、すなわち15m/分の窒素ガスである。
さらに、処理される表面、すなわち剥離される等の表面のサイズを増大させるために、UHPウォータージェット法で使用される種類のノズル11が備え付けられているが、ここではUHP LN2が(8において)供給される工具4が典型的には利用され、図2a(側面図)および図2b(下からの図)に示すように、処理される表面を剥離する(または等価なものを行う)ために使用されるUHP LN2の回転または振動ジェット12を得るために、ノズル11を回転させるかまたは振動させる。
本質的に既知である方法で、ノズルホルダ工具4は、通常、電気モータまたは空気モータによって、そのモータに接続された第1回転伝達シャフトまたはスピンドルを介して駆動される、伝達ベルトがあるかまたはない一組の歯車と、一組の内歯歯車を有する動力伝達機構を備える動力伝達ボックスまたはギアボックスと、第2伝達シャフトまたはスピンドルであって、ノズルが備え付けられた可動工具4にそれ自体が接続された、この場合は回転シャフトまたはスピンドルとによって、回転する。
図3に示すように、剥離作業からの残留物を吸い上げ、搬送ライン8によって搬送された後ノズル11によって送達され、放出され、表面処理が行われている場所に直積する、窒素ガスによってもたらされる無酸素症の、オペレータに対するリスクを制限するために、一般的には、液体窒素のジェット12を分配するノズルホルダ工具4の周囲に、吸込ベルを形成する保護筐体20が配置される。ベル20は、処理される表面に面するように配置されている開放端を有し、それを介して、ノズル11によって送達される加圧された極低温の液体のジェット12が出てくる。
この保護筐体20の、剥離されている表面と接触するかまたは近接するその開放端に、一般的には、可撓性スカート21またはエプロンが備え付けられており、それは、吸込ベル20と処理される表面との間の機械的封止障壁として作用する。このスカート21に、可撓性剛毛の1つ(または複数)の列、1つまたは複数の弾性ストリップ、発泡体の1つまたは複数の塊等を設けることができる。
吸引ポンプ、1つまたは複数のフィルタまたは他の浄化あるいはろ過装置を備える、従来の吸引型回収システム25が、保護筐体20の内側と流体連通しており、表面残留物を有効に吸い上げるのを可能にし、表面処理が行われている部屋の中への窒素の再放出を防止することも可能にする。
言い換えれば、吸込ベル20は、工具4を包囲する真空筐体を構成し、ノズル11によって送達される窒素および剥離または同様の方法で発生する粉塵のすべてまたは一部を収集し除去するのを可能にする。保護筐体20内で優勢な圧力P1は、好ましくは、筐体20の外側、すなわち、工具4が設置されている部屋の中の優勢な大気圧P0より低い。圧力P1が圧力P0より高い場合、吸引は不十分であり、吸込ベル20の封止は確実でなくなる。
したがって、周囲空気および湿気を吸い上げることができる。液体窒素のジェット12によって供給されるフリゴリーは、保護筐体20、可撓性剛毛の1つ(または複数の)列および/または1つまたは複数の弾性ストリップ等の可撓性スカート21を構成する要素、ならびに特に可撓性スカート21の高さで氷の形成に至る可能性がある吸い上げられた空気からの湿気を冷却する。
可撓性スカート21の高さでの氷の形成により、前記スカートが作製される要素が堅くなり、可撓性が失われ、徐々に吸込ベル20の封止が不足することになり、したがって吸引の有効性が失われることになる。
したがって、スカート21は、疎水性材料から作製された第1部分を備えている。材料の疎水性の特質は、たとえば、国家規格DIN EN ISO 62に記載されている手続きに従って、吸湿率の測定を行うことによって定量化することができる。例として、以下の表に、合成材料および天然材料のリストをそれらの吸湿値とともに示す。
Figure 2017501867
スカート21はまた、たとえばはつり作業中、粒子の散布を回避するように摩耗に対して耐性がある第2材料から作製された第2部分も備えている。表1の疎水性材料は、それらの耐摩耗性に応じて3つの分類、すなわち以下の表2における高耐性、耐性ありおよび低耐性に分類された。
Figure 2017501867
表1および表2のデータを考慮すると、単一のタイプの要素からスカートを作製することができ、前記要素は、疎水性かつ耐摩耗性の単一の材料から作製されると言うことができ、この場合に意味するものは、第1部分および第2部分が一致するということである。この第1の場合、リングは、同じ材料のブラシの単一の列から構成され、剛毛の1つまたは複数(外側)の列は、はつられた面に対する封止を保証するように他の列より長い。
別法として、第1部分および第2部分は一致しないことが可能であり、こうした場合、第1部分は、疎水性材料からであるように選択され、第2部分は、耐摩耗性である材料からであるように選択される。この第2の場合、リングは、2つの別個の材料のブラシの2つの列から構成され、内周ゾーンの高さに、耐摩耗性でありかつ処理されている表面(すなわち、たとえばはつりの場合はコンクリート面)に対する接線に沿って位置するように短い剛毛の1つまたは複数の列があり、外周ゾーンの高さには、工具によって残された高さの段状変化に可能な限り一致するように長い、疎水性剛毛の1つまたは複数の列がある。
図4a、図4bおよび図5は、第1部分が剛毛27から構成され、第2部分が剛毛26から構成されたスカート21を備えた、円形ベルの場合の本発明の一実施形態を示す。第1部分は、スカートの外周ゾーンの高さに位置し、すなわち、液体窒素のジェット12から最も離れて位置している。剛毛26の第2部分は、スカートの内周ゾーンの高さに位置し、すなわち液体窒素のジェット12の最も近くに位置している。それらはともに、摩耗に対して耐性があるかまたは非常に耐性がある材料から作製され、それは例として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12およびポリアミド11から選択される。図4bおよび図5から、第2部分の剛毛26の長さが、第1部分の剛毛27の長さより短いことが分かる。これにより、スカートの封止を促進することができる。
図5は、発射距離およびパスの深さの概念を示す。図5において(d)に示す発射距離は、1つまたは複数の液体窒素噴出ノズル11先端(すなわち、工具から最も遠い端部)と処理される表面との間の距離に対応する。図5において(e)に示すパスの深さは、液体窒素の1つまたは複数のジェットの作用下で、除去され、はつられる材料の厚さであるものとして定義される。
図6は、筐体に備え付けられているスカートの第1構成部品および第2構成部品の配置の第1例を示す。第1部品の剛毛26は内側リングを形成し、第2部分の剛毛27は外側リングを形成する。第1部分の剛毛は、剛毛のいくつかの束にひとまとめにされ、第2部分の剛毛は、同様に剛毛のいくつかの束にひとまとめにされている。単に示すために、剛毛の束は、たとえば60〜100の間の数の剛毛を含むものとする。図6の例では、剛毛の束は、互い違い形態に配置されている。工具の最も近くに配置された内側リングにより、作業中に舞い上がった粒子を拘束することが可能になり、ベルの開放端の周縁部に配置された外側リングにより、周囲空気からの湿気を遮断することが可能になる。
図7a〜図7cは、第1部品および第2部品が一致する場合のそれらの剛毛の配置の例を示す。図7aの例では、第1部分および第2部分は一致し、剛毛の単一の列、さらにはこの実施形態では剛毛の複数の束で配置されている。図7bの例では、第1部分および第2部分は一致し、同心にかつ互い違い形態で、剛毛の2つの列、さらにはこの実施形態では剛毛の複数の束として配置されている。図7cの例では、第1部分および第2部分は一致し、同心でありかつ互い違い形態である、剛毛の3つの列、さらにはこの実施形態では剛毛の複数の束として配置されている。まったく同一のリングに剛毛のいくつかの列を用いることは、システムの封止を増大させることができるため、奨励されるべきである。列の数が増加するほど、システムの封止が確実になる。具体的には、剛毛のいくつかの列が存在することにより、スカートにおける開口を低減させることが可能になり、粒子の漏出が制限される。
優れた封止を確実にするために、剛毛の長さは以下のように定義され/パラメータ化される。
− 液体窒素噴出ノズル11の端部と処理された表面と接触している第2部分の剛毛26の端部との間の距離は、0〜20mmの間の値で増大する発射距離に等しい必要があり、
− 液体窒素噴出ノズル11の端部と処理された表面と接触している第1部分の剛毛27の端部との間の距離は、0〜40mmの間の値で増大する、発射距離にパスの深さを足した値に等しい必要がある。
コンクリートのはつりに対する用途の場合、発射距離は、一般的に5mm〜10mmの間である。液体窒素噴出ノズル11の端部と処理された表面28と接触している第2部分(内側列)の剛毛26の端部との間の距離は、10〜30mmの間である。5mm〜30mmの間のパスの深さを考慮すると、液体窒素噴出ノズル11の端部と処理された表面28と接触している第1部分(外側列)の剛毛27の端部との間の距離は、30〜50mmの間である。
ここで提示した例では、内側列および外側列を構成する剛毛は、直径が0.2〜0.5mmの間であり、それにより、スカートの優れた可撓性を確実にすることができる。
本発明は、図を参照して上述した実施形態には限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、代替形態を思い付くことができる。

Claims (14)

  1. 極低温の流体を分配する可動工具(4)用の保護筐体(20)であって、吸込ベルを形成する開放端を備え、前記開放端がスカート(21)を備える保護筐体(20)において、前記スカート(21)が、疎水性の第1材料から作製された第1部分を備えることを特徴とする筐体。
  2. 前記第1材料が、国家規格DIN EN ISO62の23℃/50%の標準環境における吸湿率に対するプロトコルに従って、4%未満である吸水率を有することを特徴とする、請求項1に記載の筐体。
  3. 前記スカート(21)が、耐摩耗性の第2材料から作製された第2部分を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の筐体。
  4. 前記第1部分が、前記スカートの外周ゾーンと同じ高さに位置し、前記第2部分が、前記スカートの内周ゾーンと同じ高さに位置することを特徴とする、請求項3に記載の筐体。
  5. 前記第1部分および第2部分が一致することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の筐体。
  6. 前記第1材料および前記第2材料が以下の材料、すなわち
    − ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
    − ポリプロピレン(PP)、
    − アラミド、
    − ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
    − ポリアミド6,6、
    − ポリアミド6,10、
    − ポリアミド6,12および
    − ポリアミド11
    から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の筐体。
  7. 前記第1部品が剛毛を備え、前記剛毛が、前記疎水性の第1材料から作製されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の筐体。
  8. 前記第2部品が剛毛を備え、前記剛毛が、前記耐摩耗性の第2材料から作製されることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の筐体。
  9. 前記第1部分の前記剛毛の長さが、前記第2部分の前記剛毛の長さより長いことを特徴とする、請求項7または8に記載の筐体。
  10. 前記第1部分および/または前記第2部分の前記剛毛が、直径が0.2mm〜0.5mmの間であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の筐体。
  11. 前記第1部分の前記剛毛が、剛毛の3つの同心の列に配置され、かつ/または前記第2部分の前記剛毛が、剛毛の3つの同心の列に配置されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載の筐体。
  12. 前記筐体の前記開放端が、円錐状または角錐状の断面を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の筐体。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の可動流体分配工具を保護する筐体のスカートの剛毛の長さを定義する方法であって、前記工具が少なくとも1つの流体分配ノズルを備え、前記スカートが、剛毛を備える第1部分と剛毛を備える第2部分とを備え、前記第1部分が、前記スカートの外周ゾーンと同じ高さに位置し、前記第2部分が、前記スカートの内周ゾーンと同じ高さに位置する、方法において、
    − 発射距離(d)を定義するステップであって、前記発射距離(d)が、前記流体分配ノズルの先端と前記可動工具によって処理される表面(28)との間の距離に対応する、ステップと、
    − パスの深さ(e)を定義するステップであって、前記パスの深さ(e)が、処理される前記表面の前記処理によって除去される材料の深さに対応する、ステップと、
    − 前記第1部分に対する剛毛の第1長さを定義するステップであって、前記第1長さが、前記流体分配ノズルの前記先端と前記第1部分の前記剛毛の先端との間の距離が、0mm〜40mmの間の値で増大する、前記発射距離(d)と前記パスの深さ(e)との合計に等しいように調整される、ステップと、
    − 前記第2部分に対する剛毛(26)の第2長さを定義するステップであって、前記第2長さが、前記流体分配ノズルの前記先端と前記第2部分の前記剛毛の先端との間の距離が、0mm〜20mmの間の値で増大する前記発射距離(d)に等しいように調整される、ステップと、
    を含む方法。
  14. 極低温の流体の少なくとも1つの高圧ジェットを用いる作業設備であって、
    − 少なくとも1つの流体分配ノズルを備える可動工具に流体的に接続された極低温の流体源であって、極低温の前記流体の少なくとも1つの高圧ジェットを分配する流体源と、
    − 請求項1〜10のいずれか一項に記載の保護筐体であって、前記可動工具の周囲に配置されかつ吸引手段に流体的に接続されており、前記筐体の前記開放端が前記可動工具の周囲に前記吸込ベルを形成する、保護筐体と、
    を備える作業設備。
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