JP6620327B2 - 液化ガス昇圧装置、液化ガスの昇圧方法および燃料供給装置 - Google Patents

液化ガス昇圧装置、液化ガスの昇圧方法および燃料供給装置 Download PDF

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Description

本発明は、液化ガスを昇圧する液化ガス昇圧装置、液化ガスの昇圧方法および燃料供給装置に関する。
近年、天然ガスが低速ディーゼルエンジンの燃料として注目されている。低速ディーゼルエンジンの燃焼室に高圧の天然ガス(燃料ガス)を噴射して燃焼させることで、高熱効率で高出力が得られる。天然ガスを高圧にして低速ディーゼルエンジンの燃焼室に噴射するために、液化天然ガス(以下、「LNG」という)を昇圧してから加熱し、気化させることが考えられる。具体的には、タンクに貯留されたLNGを昇圧ポンプにより昇圧し、昇圧されたLNGを気化器により加熱し、気化させてから低速ディーゼルエンジンの燃焼室に噴射する(例えば、特許文献1等)。
昇圧ポンプは危険区域に配置されるため、昇圧ポンプの駆動装置には、危険区域に配置が可能な防爆式の電動モータや、油圧モータが用いられる。例えば、特許文献1では、昇圧ポンプを駆動する油圧モータを危険区域に配置するとともに、油圧ポンプを非危険区域に配置し、非危険区域の油圧ポンプから危険区域の油圧モータに作動油を供給することで昇圧ポンプを駆動することが記載されている。
危険区域に配置することができる昇圧ポンプとして、往復式ポンプを用いることができる。昇圧ポンプとして往復式ポンプを用いる場合、油圧モータの回転運動は、例えばクランク軸を用いて往復式ポンプのピストンの往復運動に変換される。
特開2012−177333号公報
往復式の昇圧ポンプでは、シリンダ内への液化ガスの吸入を終え、ピストンによりシリンダ内の液化ガスの吐出を開始するときに最も大きな力が必要となり、シリンダ内に液化ガスの吸入を開始するときに最も力が不要となる。このため、クランク軸によりピストンを駆動させる場合、クランク軸を回転させる負荷は、ピストンによりシリンダ内の液化ガスの吐出を開始するときに最大となり、シリンダ内に液化ガスの吸入を開始するときに最小となる。
クランク軸の負荷を油圧モータのトルクが超えたときにクランク軸が回転する。一方、油圧モータのトルクは、油圧モータの上流側と下流側の作動油の圧力差に比例する。
クランク軸の回転位置が最大負荷の位置よりも手前にあるとき、クランク軸の回転に伴って負荷が上昇する。負荷の上昇に伴い油圧モータの回転速度が低下する。また、クランク軸の負荷を油圧モータのトルクが超えるように、油圧モータの上流側と下流側の作動油の圧力差が上昇する。油圧モータの下流側の作動油の圧力が一定である場合、油圧モータの上流側の作動油の圧力が上昇し、作動油が圧縮される。
一方、クランク軸の回転位置が最大負荷の位置を越えた位置にあるとき、クランク軸の回転に伴って負荷が低下する。負荷の低下に伴い油圧モータの回転速度が上昇する。また、負荷の低下に合わせて油圧モータのトルクが減少するように、油圧モータの上流側と下流側の作動油の圧力差が低下する。油圧モータの下流側の作動油の圧力が一定である場合、油圧モータの上流側の作動油の圧力が低下し、作動油が膨張する。
このように、クランク軸の負荷は1回転の間に変動するため、クランク軸の回転速度(角速度)が周期的に変動し、特に低速回転時に動作を安定させることができなかった。また、作動油の圧力が周期的に変動することで定在波が生じ、作動油の配管に大きな圧力変動が生じ、油圧モータの動作が不安定になるおそれがある。
また、昇圧ポンプを駆動する油圧モータが危険区域に配置され、油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプが非危険区域に配置される場合、油圧ポンプと油圧モータとの間の配管が長くなるため、油圧ポンプと油圧モータとの間の作動油の量が多くなる。このため、油圧モータの上流側で作動油の圧力が変動することによる作動油の容積の変動量が増加し、油圧モータの回転速度の変化量が大きくなり動作がさらに不安定になるおそれがある。
本発明の目的は、油圧モータでクランク軸を回転させて往復式の昇圧ポンプを駆動するときに、クランク軸の回転速度の変動を抑制するとともに、作動油の圧力の変動を抑制することである。
本発明の第の態様は、液化ガス昇圧装置であって、
液化ガスを昇圧する往復動式の昇圧ポンプと、
前記昇圧ポンプを駆動させるクランク軸と、
前記クランク軸を回転させる油圧モータと、
前記油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧モータの下流側に配置される制御弁と、
前記クランク軸の回転速度を計測する回転速度計と、
前記回転速度計により計測される回転速度に基づき、前記制御弁の開度を調節することで前記油圧モータからの作動油の排出量を制御する流量制御部と、
前記油圧ポンプと前記油圧モータとを接続し、前記油圧ポンプから前記油圧モータへ作動油を供給する第1の配管と、
前記油圧モータと前記制御弁とを接続し、前記油圧モータから前記制御弁へ作動油を排出する第2の配管と、
を備え、
前記第2の配管内の作動油の容積が、前記第1の配管内の作動油の容積よりも小さい、ことを特徴とする。
本発明の第の態様は、液化ガス昇圧装置であって、
液化ガスを昇圧する往復動式の昇圧ポンプと、
前記昇圧ポンプを駆動させるクランク軸と、
前記クランク軸を回転させる油圧モータと、
前記油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧モータの下流側に配置される制御弁と、
前記クランク軸の回転速度を計測する回転速度計と、
前記回転速度計により計測される回転速度に基づき、前記制御弁の開度を調節することで前記油圧モータからの作動油の排出量を制御する流量制御部と、
を備え、
前記油圧モータおよび前記制御弁は危険区域に配置され、
前記流量制御部は前記制御弁と離して非危険区域に配置されることを特徴とする。
前記制御弁の開度は油圧によって調整されることが好ましい。
前記油圧ポンプは可変容量形であり、
前記回転速度計により計測される回転速度に基づき、前記油圧ポンプによる作動油の吐出量を調節するポンプ制御部をさらに備えることが好ましい。
本発明の第の態様は、内燃機関に液化ガスを燃料として供給する燃料供給装置であって、
前記液化ガス昇圧装置と、
前記液化ガス昇圧装置により昇圧された液化ガスを加熱する加熱装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、クランク軸の回転速度に基づき、クランク軸を回転させる油圧モータから排出される作動油の流量を制御弁で制御することで、クランク軸の回転速度の変動を抑制することができる。また、作動油の圧力の変動を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る燃料供給装置のブロック図である。
以下、本発明の実施形態に係る燃料供給装置を図1に基づいて説明する。
本実施形態の燃料供給装置10は、液体燃料を用いる推進用エンジンで航行する船舶、例えば、バラ積み貨物船、コンテナ船、液体燃料の運搬船(液化天然ガスを運搬するLNG運搬船等)において、液体燃料を昇圧して推進用エンジン(内燃機関2)で利用するのに用いられる。
本実施形態の燃料供給装置10は、図1に示すように、液体燃料タンク11と、低圧燃料供給管12と、昇圧部20と、油圧ユニット30と、高圧燃料供給管13と、加熱装置14と、高温燃料供給管15と、調圧弁16と、圧力計17と、等を備える。燃料供給装置10のこれらの構成要素は全て船舶に搭載される。
液体燃料タンク11は、内燃機関2に供給される燃料を液体の状態で貯留する。液体燃料タンク11に貯留される液体燃料として、例えば、液化メタン、液化エタン、液化プロパン等を用いることができる。
液体燃料タンク11内には、低圧燃料供給管12の一端が挿入されている。低圧燃料供給管12の液体燃料タンク11内の端部には、ブースターポンプ12aが設けられている。ブースターポンプ12aは低圧燃料供給管12を介して液体燃料タンク11内の液体燃料を昇圧部20に搬送する。
昇圧部20は、低圧燃料供給管12から搬送された液体燃料を昇圧して高圧燃料供給管13へ吐出する。昇圧部20の詳細については後述する。
加熱装置14は、入口側が高圧燃料供給管13と接続され、出口側が高温燃料供給管15と接続されている。加熱装置14は、高圧燃料供給管13を介して供給される昇圧後の液体燃料を加熱する。液体燃料を加熱する熱源として、例えば、液体燃料タンク11で発生するボイルオフガスの燃焼熱を用いることができる。例えば、ボイルオフガスの燃焼熱で加熱した温水との熱交換により液体燃料を加熱してもよい。
高温燃料供給管15には、調圧弁16が設けられており、高温燃料供給管15の一端は加熱装置14と、他端は内燃機関2の燃焼室と接続されている。加熱装置14で加熱された燃料は、調圧弁16により内燃機関2が必要とする所定の範囲の圧力に調圧された後、高温燃料供給管15を介して内燃機関2の燃焼室に供給される。調圧弁16はエンジン制御部6により制御される。
内燃機関2は高温燃料供給管15から供給された燃料を燃焼室で燃焼させて動力を取り出し、主軸3およびプロペラ4を回転させる。内燃機関2には、例えば2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジンを用いることができる。主軸3には回転数計5が設けられている。回転数計5は主軸3の回転数を計測し、計測信号をエンジン制御部6に出力する。
エンジン制御部6には、回転数計5から計測信号が入力されるとともに操作部7から出力指令信号が入力される。エンジン制御部6は、出力指令信号と計測信号とに基づき、調圧弁16の開度を調整する。出力指令信号は、プロペラ4の推進力を所定の値とするのに必要な内燃機関2の出力を指定する信号であり、例えば、船舶の操作卓を介して入力される。例えば、エンジン制御部6は、出力指令信号により指定される主軸3の回転数(指令値)よりも、回転数計5による計測値が高ければ調圧弁16の開度を下げ、指令値よりも計測値が低ければ調圧弁16の開度を上げる。
ここで、内燃機関2が必要とする所定の範囲の圧力は、内燃機関2の種類や性能に応じて異なる。内燃機関2が船舶用の2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジンであれば、所定の範囲の圧力は、例えば5〜100MPa、好ましくは20〜70MPaであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、高温燃料供給管15には、圧力計17が設けられている。圧力計17は高温燃料供給管15内の圧力を計測し、計測信号を後述する油圧ユニット30の燃料圧力制御部41に出力する。
液体燃料タンク11、低圧燃料供給管12、高圧燃料供給管13、加熱装置14、高温燃料供給管15、調圧弁16、圧力計17および昇圧部20は、危険区域に配置される。
〔昇圧部〕
次に、昇圧部20について説明する。昇圧部20は、油圧ユニット30とともに液化ガス昇圧装置を構成する。昇圧部20は、それぞれ、昇圧ポンプ21A、21B、21Cと、クランク軸28と、等を備える。
昇圧ポンプ21A、21B、21Cは、低圧燃料供給管12と高圧燃料供給管13との間に並列に設けられており、低圧燃料供給管12から供給される液体燃料を昇圧し、高圧燃料供給管13を介して加熱装置14に供給する。昇圧ポンプ21A、21B、21Cは、往復式ポンプである。昇圧ポンプ21Aは、昇圧用シリンダ22A、昇圧用ピストン23A、連接棒24Aを有する。昇圧ポンプ21Bは、昇圧用シリンダ22B、昇圧用ピストン23B、連接棒24Bを有する。昇圧ポンプ21Cは、昇圧用シリンダ22C、昇圧用ピストン23C、連接棒24Cを有する。
昇圧用シリンダ22A、22B、22Cは、それぞれ低圧燃料供給管12および高圧燃料供給管13と接続されている。昇圧用シリンダ22A、22B、22Cの低圧燃料供給管12との接続部には、昇圧用シリンダ22A、22B、22C内から低圧燃料供給管12への液体燃料の逆流を防ぐ図示しない吸入用逆止弁が設けられている。また、昇圧用シリンダ22A、22B、22Cの高圧燃料供給管13との接続部には、高圧燃料供給管13から昇圧用シリンダ22A、22B、22Cへの液体燃料の逆流を防ぐ図示しない吐出用逆止弁が設けられている。
昇圧用ピストン23A、23B、23Cは、それぞれ昇圧用シリンダ22A、22B、22C内で往復動することにより、低圧燃料供給管12から昇圧用シリンダ22A、22B、22C内に液体燃料を吸入し、吸入した液体燃料を昇圧して高圧燃料供給管13へ吐出する。
連接棒24A、24B、24Cはそれぞれ昇圧用ピストン23A、23B、23Cとクランク軸28とを接続し、クランク軸28の回転運動を昇圧用ピストン23A、23B、23Cの直線運動に変換する。
クランク軸28は後述する油圧ユニット30の油圧モータ53により回転される。クランク軸28により昇圧用ピストン23A、23B、23Cを駆動する場合、クランク軸28の負荷を平滑化する目的で、昇圧用ピストン23A、23B、23Cが等位相間隔となるようにクランク軸28は設計される。n個(nは2以上の自然数)の昇圧用ピストンをクランクで駆動する場合、各ピストンの往復運動の位相が2π/nラジアンずつずれるように連接棒と接続すればよい。本実施形態においては、3つの昇圧用ピストン23A、23B、23Cの往復運動の位相が120°(=2π/3ラジアン)ずつずれるように、クランク軸28はその回転中心からずれた部分で連接棒24A、24B、24Cとそれぞれ接続されている。
クランク軸28には、回転速度計29が設けられている。回転速度計29はクランク軸28が回転する回転速度(角速度)を計測し、計測信号を後述する流量制御部42に出力する。
なお、クランク軸28の負荷は、昇圧用ピストン23A、23B、23Cのそれぞれを昇圧用シリンダ22A、22B、22C内に押し込むことで昇圧用シリンダ22A、22B、22Cの液化ガスの吐出を開始するときに最も大きくなる。昇圧用ピストン23A、23B、23Cの往復運動の位相が120°ずつずれているため、クランク軸28を回転させるための負荷は、クランク軸28が1回転する間に3回、最大となる。このため、クランク軸28の回転速度(角速度)はクランク軸28の回転周波数の3倍の周波数で変動しうることとなる。同様に、n個の昇圧用ピストンをクランク軸で駆動する場合、クランク軸28を回転させるための負荷は、クランク軸28が1回転する間にn回、最大となり、クランク軸28の回転速度(角速度)はクランク軸28の回転周期のn倍の周波数で変動しうることとなる。
ここで、クランク軸28の回転速度(角速度)の変動を確実に計測するために、回転速度計29がクランク軸28の回転速度(角速度)を計測するサンプリング周波数は、クランク軸28を回転させるための負荷が変動する周波数の少なくとも2倍である。本実施形態のように3個の昇圧用ピストン23A、23B、23Cをクランク軸28で駆動する場合、サンプリング周波数はクランク軸28の回転周波数の少なくとも6倍である。同様に、n個の昇圧用ピストンをクランク軸で駆動する場合、計測周期はクランク軸28の回転周波数の少なくとも2n倍である。
なお、回転速度計29によるサンプリング周波数を所定の値(fとする)とし、f/2よりも大きい周波数での負荷の変動を無視してもよい。この場合でも、動作が不安定となる低速回転時に、後述するように、クランク軸28の回転速度(角速度)の変動を抑制することができる。運用が想定される低速回転時に前記条件を満たすため、クランク軸28が一回転する間に回転速度(角速度)を複数回計測できる回転速度計29を設置する。
本実施形態においては、以下に説明するように、クランク軸28の回転速度(角速度)に応じて、油圧ユニット30の油圧モータ53のトルクを変化させることで、クランク軸28の回転速度(角速度)の変動を抑制している。ここで、油圧モータ53を含む油圧ユニット30について説明する。
〔油圧ユニット〕
油圧ユニット30は、配管31〜35と、圧力計39と、作動油タンク40と、燃料圧力制御部41と、流量制御部42と、回転数圧力計算部43と、ポンプ制御部44と、油圧ポンプ51と、駆動モータ52と、油圧モータ53と、制御弁54と、圧力調整弁55と、等を備える。
配管31は作動油タンク40と油圧ポンプ51とを接続する。油圧ポンプ51は配管31を通じて作動油タンク40内の作動油を吸入する。
配管32は油圧ポンプ51と油圧モータ53とを接続する。油圧ポンプ51から吐出される作動油は配管32を通じて油圧モータ53に供給される。
配管33は油圧モータ53と制御弁54とを接続する。配管34は制御弁54と圧力調整弁55とを接続する。配管35は圧力調整弁55と作動油タンク40とを接続する。油圧モータ53の駆動に用いられた作動油は、配管33〜35を通じて作動油タンク40に戻される。
作動油タンク40には、配管31〜35を循環する作動油が貯留される。油圧ポンプ51は、配管32を通じて油圧モータ53に作動油を搬送する。油圧ポンプ51は可変容量形のポンプであり、例えば、斜板式の可変容量形ポンプを油圧ポンプ51として用いることができる。
駆動モータ52は、油圧ポンプ51を駆動するモータである。油圧ポンプ51として斜板式の可変容量形ポンプを用いる場合には、斜板により作動油の吐出量を調整することができるため、駆動モータ52を一定速度で回転させればよい。
油圧モータ53はクランク軸28を回転させる動力源であり、配管31〜35を流れる作動油により動作する。
制御弁54は油圧モータ53よりも下流側に設けられ、配管31〜35を流れる作動油の流量を調整する。制御弁54の開度は流量制御部42から開度信号が入力されることにより、調整される。
圧力調整弁55は、配管34内の圧力を低圧(例えば、0.5MPa以下)に調整する。
圧力計39は、油圧ポンプ51と油圧モータ53との間の配管32に設けられている。圧力計39は配管32内の作動油の圧力を計測し、圧力計測信号を後述するポンプ制御部44に出力する。
燃料圧力制御部41には、圧力計17から圧力計測信号が入力されるとともに、操作部7から燃料圧力指令信号が入力される。燃料圧力指令信号は、内燃機関2の出力を所定の値とするのに必要な燃料の圧力を指定する信号である。燃料圧力制御部41は、燃料圧力指令信号と圧力計測信号とに基づき、流量制御部42および回転数圧力計算部43に回転数指令信号を出力する。回転数指令信号は、高温燃料供給管15内の燃料の圧力を燃料圧力指令信号により指定された値とするために、クランク軸28の回転数が所定数となるように油圧モータ53を流れる作動油の流量を指定する信号である。
例えば、燃料圧力制御部41は、燃料圧力指令信号により指定される高温燃料供給管15内の燃料の圧力よりも、圧力計17による計測値が高ければ、クランク軸28の回転数が下がるように、回転数指令信号を出力する。一方、燃料圧力指令信号により指定される高温燃料供給管15内の燃料の圧力よりも、圧力計17による計測値が低ければ、燃料圧力制御部41は、クランク軸28の回転数が上がるように、回転数指令信号を出力する。
なお、クランク軸28の所望の回転数は、内燃機関2の燃焼室内へ供給するのに必要な燃料ガスの圧力(圧力計17により計測される圧力)により異なる。例えば、港湾内等で船速が遅く、低負荷である場合、内燃機関2の回転数は少なくてすみ(例えば60rpm)、圧力計17により計測される圧力が比較的低圧(例えば250bar)でよいため、クランク軸28の所望の回転数は少なくなる。一方、例えば、外洋等で船速が速く、高負荷である場合、内燃機関2の回転数は多い必要があり(例えば120rpm)、圧力計17により計測される圧力が比較的高圧(例えば300bar)である必要があり、油圧モータ53の所望の回転数は多くなる。内燃機関2の回転数に応じて、圧力計17により計測される圧力が所望の値となるように、燃料圧力制御部41は油圧モータ53の回転数が所望の値に保たれるように回転数指令信号を出力する。
流量制御部42には、燃料圧力制御部41から回転数指令信号が入力されるとともに、回転速度計29から速度信号が入力される。流量制御部42は、速度信号が入力される度に、回転数指令信号と速度信号とに基づき、制御弁54の開度を調整する開度信号を、制御弁54に出力する。
例えば、流量制御部42は、回転数指令信号により指定されるクランク軸28の回転数に対応する回転速度(指令値)よりも、回転速度計29による回転速度の計測値が高ければ、制御弁54の開度を下げる。すると、油圧モータ53と制御弁54との間の配管33内の作動油の圧力が上昇し、油圧ポンプ51と油圧モータ53との間の配管32内の作動油の圧力との差が小さくなるため、油圧モータ53のトルクが小さくなり、クランク軸28の回転速度が低下する。
一方、流量制御部42は、回転数指令信号により指定されるクランク軸28の回転数に対応する回転速度(指令値)よりも、回転速度計29による回転速度の計測値が低ければ、制御弁54の開度を上げる。すると、油圧モータ53と制御弁54との間の配管33内の作動油の圧力が低下し、油圧ポンプ51と油圧モータ53との間の配管32内の作動油の圧力との差が大きくなるため、油圧モータ53のトルクが大きくなり、クランク軸28の回転速度が上昇する。
このように、クランク軸28の回転速度(角速度)に応じて、回転速度の計測値と指令値との差が小さくなるように、制御弁54の開度を調節することで、油圧モータ53のトルクを変動させ、クランク軸28の回転速度を、回転数指令信号により指定されるに基づく回転速度(指令値)に合わせることができる。
上述したように、クランク軸28の回転速度(角速度)はクランク軸28の回転周波数の3倍の周波数で変動する。本実施形態においては、クランク軸28の回転速度の変動を回転速度計29によって計測することでクランク軸28の負荷の変動を検出し、負荷の変動に応じて油圧モータ53のトルクを変動させることで、クランク軸28の回転速度の変動を抑制することができる。
また、油圧モータ53の下流側の配管33内の圧力を変動させることで油圧モータ53のトルクを調整するため、油圧モータ53の上流側の配管32の作動油の圧力が変動することで作動油の容積が変動することを抑制することができる。このため、作動油の圧力の周期的な変動によって定在波が生じることを抑制し、作動油の配管に大きな圧力変動が生じることを防ぎ、油圧モータ53の動作を安定させることができる。
回転数圧力計算部43は、燃料圧力制御部41から入力される回転数指令信号に基づき、クランク軸28の回転数を回転数指令信号により指定された値とするために必要な作動油の油圧を算出し、配管32内の作動油の油圧を指定する作動油圧指令信号をポンプ制御部44に出力する。
ポンプ制御部44には、回転数圧力計算部43から作動油圧指令信号が入力されるとともに、圧力計39から計測信号が入力される。ポンプ制御部44は、作動油圧指令信号と計測信号とに基づき、油圧ポンプ51の吐出量を調整する。例えば、ポンプ制御部44は、作動油圧指令信号により指定される作動油の圧力(指令値)よりも、圧力計39による計測値が高ければ油圧ポンプ51の吐出量を下げ、指令値よりも計測値が低ければ油圧ポンプ51の吐出量を上げる。
油圧モータ53および制御弁54は、危険区域に配置される。一方、燃料圧力制御部41、流量制御部42、回転数圧力計算部43、ポンプ制御部44、油圧ポンプ51、駆動モータ52、圧力調整弁55、圧力計39、作動油タンク40は、非危険区域に配置される。ここで、非危険区域は、危険区域から防爆隔壁8により隔離されるか、危険区域から十分に距離を隔てた区域である。
ここで、油圧ポンプ51と油圧モータ53とが危険区域と非危険区域とに離れて配置されることで、油圧ポンプ51と油圧モータ53との間の配管32内の作動油の容積が大きくなる。このため、油圧ポンプ51の吐出量を変動させてから、配管32内の作動油の圧力が変化して油圧モータ53の回転数が変化するまでの時間が長くなるという問題がある。
一方、本実施形態においては、油圧モータ53および制御弁54を危険区域に配置し、油圧モータ53のすぐ下流に制御弁54を設けることで、油圧モータ53と制御弁54との間の配管33内の作動油の容積を、配管32内の作動油の容積よりも小さくしている。また、制御弁54の開度により油圧モータ53を流れる作動油の流量を調整する構成としている。配管33内の作動油の容積が、配管32内の作動油の容積よりも小さいため、制御弁54の開度を調整してから作動油の流量が変化して油圧モータ53の回転数が変化するまでの時間を、油圧ポンプ51の吐出量を変動させてから油圧モータ53の回転数が変化するまでの時間よりも短くすることができる。
なお、制御弁54を危険区域内に配置するため、制御弁54の開度は油圧によって非危険区域から調整されることが好ましい。
上記実施形態においては、圧力計39により計測された配管32内の作動油の圧力に基づいて、ポンプ制御部44が油圧ポンプ51の吐出量を調整する例について説明したが、回転速度計29により計測されたクランク軸28の回転速度に基づいて、ポンプ制御部44が油圧ポンプ51の吐出量を調整してもよい。
なお、上記実施形態においては、クランク軸28の回転速度を常に計測して、制御弁54の開度を調整することとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、動作が不安定となる低速回転時のみ、クランク軸28の回転数に基づいて制御弁54の開度を調整してもよい。
本発明は、メタン、エタン、プロパン等の炭素化合物を主成分とする天然ガスの運搬船の他、常温で気体の燃料を液化した液化ガスの運搬船、例えば、油田、天然ガス田、製油施設等で生じる副生ガスを精製、液化した液化石油ガス(LPG)の運搬船に適用することができる。
上記説明における温度、圧力は一例であり、本発明はこれに限られるものではない。
21A、21B、21C 昇圧ポンプ
28 クランク軸
29 回転速度計
31〜35 配管
42 流量制御部
44 ポンプ制御部
51 油圧ポンプ
53 油圧モータ
54 制御弁

Claims (5)

  1. 液化ガスを昇圧する往復動式の昇圧ポンプと、
    前記昇圧ポンプを駆動させるクランク軸と、
    前記クランク軸を回転させる油圧モータと、
    前記油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプと、
    前記油圧モータの下流側に配置される制御弁と、
    前記クランク軸の回転速度を計測する回転速度計と、
    前記回転速度計により計測される回転速度に基づき、前記制御弁の開度を調節することで前記油圧モータからの作動油の排出量を制御する流量制御部と、
    前記油圧ポンプと前記油圧モータとを接続し、前記油圧ポンプから前記油圧モータへ作動油を供給する第1の配管と、
    前記油圧モータと前記制御弁とを接続し、前記油圧モータから前記制御弁へ作動油を排出する第2の配管と、
    を備え、
    前記第2の配管内の作動油の容積が、前記第1の配管内の作動油の容積よりも小さい、液化ガス昇圧装置。
  2. 液化ガスを昇圧する往復動式の昇圧ポンプと、
    前記昇圧ポンプを駆動させるクランク軸と、
    前記クランク軸を回転させる油圧モータと、
    前記油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプと、
    前記油圧モータの下流側に配置される制御弁と、
    前記クランク軸の回転速度を計測する回転速度計と、
    前記回転速度計により計測される回転速度に基づき、前記制御弁の開度を調節することで前記油圧モータからの作動油の排出量を制御する流量制御部と、
    を備え、
    前記油圧モータおよび前記制御弁は危険区域に配置され、
    前記流量制御部は前記制御弁と離して非危険区域に配置される、液化ガス昇圧装置。
  3. 前記制御弁の開度は油圧によって調整される、請求項に記載の液化ガス昇圧装置。
  4. 前記油圧ポンプは可変容量形であり、
    前記回転速度計により計測される回転速度に基づき、前記油圧ポンプによる作動油の吐出量を調節するポンプ制御部をさらに備える、請求項1〜のいずれか一項に記載の液化ガス昇圧装置。
  5. 内燃機関に液化ガスを燃料として供給する燃料供給装置であって、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の液化ガス昇圧装置と、
    前記液化ガス昇圧装置により昇圧された液化ガスを加熱する加熱装置と、
    を備える、燃料供給装置。
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