JP6619942B2 - 半導体ウエハへの電気銅めっきに使用する銅アノード又は含燐銅アノード及び銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法 - Google Patents
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Description
この他、電気銅めっき用銅アノードとして、熱間加工、冷間加工した材料に、熱処理を施し、結晶粒径を調整して、アノードスライムの発生を抑制する提案がなされている(下記特許文献5、6参照)。しかし、この場合は、熱間加工、冷間加工、熱処理工程等が入るため、工程が煩雑となり、製造コストが増加するという問題がある。
1)半導体ウエハへの電気銅めっきに使用する銅アノード又は含燐銅アノードであって、鍛造組織からなり、該鍛造組織の平均結晶粒径が100〜500μmであることを特徴とする銅アノード又は含燐銅アノード。
2)アノードの中心部と外周部の平均結晶粒径のばらつきが20%以内であることを特徴とする上記1)記載の銅アノード又は含燐銅アノード。
3)銅又は含燐銅のインゴットを熱間鍛造して、平均結晶粒径を100〜500μmとし、これを成形加工することを特徴とする銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法。
4)鍛造開始温度を1000℃以下、鍛造終了温度を500℃以上とし、鍛造時間を5〜30分とする条件で熱間鍛造することを特徴することを特徴とする上記3)記載の銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法。
5)熱間鍛造前に銅又は含燐銅のインゴットを700〜1000℃で熱処理することを特徴とする上記3)又は4)記載の銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法。
上記のように、電気めっきを行う際、アノードとして含燐銅を使用する場合には、表面に燐化銅及び塩化銅を主成分とするブラックフィルム(電解反応の進行と共にアノード表面に形成される、銅粉、亜酸化銅、リン化銅、塩化銅等を主成分とする薄い被覆膜)が形成され、該アノード溶解時の、一価の銅の不均化反応に起因する金属銅や酸化銅等からなるスラッジ等のパーティクルの生成を抑制する機能を持つ。
ブラックフィルムの生成速度は、アノードの電流密度、結晶粒径、燐含有率等の影響を強く受け、電流密度が高いほど、結晶粒径が小さいほど、また燐含有率が高いほど速くなり、その結果、ブラックフィルムは厚くなる傾向がある。逆に、電流密度が低いほど、結晶粒径が大きいほど、燐含有率が低いほど生成速度は遅くなり、その結果、ブラックフィルムは薄くなる。
逆に、薄すぎると金属銅や酸化銅等の生成を抑制する効果が低くなるという問題がある。したがって、アノードからのパーティクルの発生を抑えるためには、電流密度、結晶粒径、燐含有率のそれぞれを最適化し、適度な厚さの安定したブラックフィルムを形成すること、そしてそれが脱落しないアノードの表面状態(結晶粒径)にすることが重要である。
このような結晶粒径のばらつきは、電気銅めっき時にアノード表面に形成されるブラックフィルムの厚さが不均一に形成されやすくなり、この不均一な厚さで形成されたブラックフィルムは、電気銅めっき中に剥離しやすく、めっき液中のパーティクルやアノードスライムの原因となり、被めっき材料の表面に付着して、汚染などの欠陥の原因となった。
本発明において、上記熱間鍛造は、エアハンマー、スプリングハンマー等のハンマープレスと、機械プレス、液圧プレス等の鍛造プレスを用いることができる。そして、鍛造後の成型体を、切削及び成形加工して、アノードとする。この切削及び成形加工は、通常の工程であるので説明は省略する。本発明において、鍛造の条件によって、銅アノード又は含燐銅アノードの平均結晶粒径を100〜500μmに調整することが可能である。
その後、500℃以上の温度を維持したまま鍛造を終了する。500℃未満の温度で鍛造を行うと、鍛造による変形が少なく、鍛造に時間がかかるためである。
また、上記熱間鍛造を行うために、熱間鍛造前に銅又は含燐銅からなるビレットを700〜1000℃で熱処理することが有効である。
このようにして、鍛造組織からなり、該鍛造組織の平均結晶粒径が100〜500μmの銅アノード又は含燐銅アノードを製造することができる。前記平均結晶粒径は、伸銅品結晶粒度試験方法(JIS H 0501:1986)の切断法に準拠する。なお、本発明のアノードは、先述の通り、鍛造後に熱処理を行わないため、熱処理による再結晶組織を有することはない。
平均結晶粒径のばらつきは、円盤(円柱)状のアノードにおいて、外周から中心点に向かって10mmの位置上の任意の1点、及び、その中心点を中心とする同心円上で、その点から90度ずつ回転させた3点の計4点の結晶粒径を測定し、その平均値(外周部の平均結晶粒径)を求める。次に、同アノードにおいて、中心点、中心点から外周に向かって10mmの位置上の任意の1点、及びその中心点を中心とする同心円上で、その点から90度ずつ回転させた3点の、計5点の結晶粒径を測定し、その平均値(中心部の平均結晶粒径)を求める。そして、上記で得られた値を下記の式に導入することで、本発明のアノードの中心部と外周部の平均結晶粒径のばらつき求めることができる。なお、アノードの厚さ方向に対しては、どの厚さ位置に対する平均結晶粒径のばらつきであってもよい。
式:(中心部と外周部の結晶粒径のばらつき)=|(外周部の平均結晶粒径)−(中心部の平均結晶粒径)|/(外周部と中心部のいずれか大きい平均結晶粒径)×100
また、銅めっきに関しては、めっき液として、硫酸銅:10〜70g/L(Cu)、硫酸:10〜300g/L、塩素イオン20〜100mg/L、添加剤:(日鉱メタルプレーティング製CC−1220:1mL/L等)を適量使用することができる。その他、めっき浴温15〜35°C、陰極電流密度0.5〜10A/dm2、陽極電流密度0.5〜10A/dm2とする。上記に、めっき条件の好適な例を示すが、必ずしも上記の条件に制限される必要はない。
純度99.995wt%以上の無酸素銅インゴットを温度900℃、90分で熱処理し、その後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は310μm、外周部の平均結晶粒径は300μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは3.2%であった(表2参考)。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、4個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度1000℃、90分で熱処理し、その後、エアハンマーにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は410μm、外周部の平均結晶粒径は360μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは12%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、9個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度600℃、90分で熱処理し、その後、スプリングハンマーにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は120μm、外周部の平均結晶粒径は150μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは20%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、10個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度900℃、90分で熱処理し、その後、エアハンマーにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は310μm、外周部の平均結晶粒径は250μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは19%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、9個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度1000℃、15分で熱処理し、その後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は210μm、外周部の平均結晶粒径は170μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは19%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、8個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度900℃、600分で熱処理し、その後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は410μm、外周部の平均結晶粒径は360μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは12%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、8個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度900℃、90分で熱処理し、その後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は470μm、外周部の平均結晶粒径は410μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは13%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、8個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度900℃、90分で熱処理し、その後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造して、アノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は210μm、外周部の平均結晶粒径は170μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは19%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、10個であり極めて少なく、また、めっき外観及び埋め込み性も良好であるという結果が得られた。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度900℃、15分で熱処理した後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造した。その後、これを、温度650℃、40分で熱処理してアノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は210μm、外周部の平均結晶粒径は280μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは25%であった(表3参考)。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、45個と増加した。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度500℃、90分で熱処理した後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造した。その後、これを、温度750℃、90分で熱処理してアノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は310μm、外周部の平均結晶粒径は410μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは24%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、35個と増加した。
燐を400ppm含有する含燐銅インゴットを温度900℃、14分で熱処理した後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造した。その後、これを、温度750℃、90分で熱処理してアノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は310μm、外周部の平均結晶粒径は410μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは24%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、35個と増加した。
純度99.995wt%以上の無酸素銅インゴットを温度900℃、15分で熱処理した後、油圧プレスにて表1の条件で熱間鍛造した。その後、これを、温度650℃、90分で熱処理してアノード材を得た。そして、この一部を厚さ方向に切断し、その組織を観察した。その結果、中心部の平均結晶粒径は290μm、外周部の平均結晶粒径は350μmであり、したがって、平均結晶粒径のばらつきは21%であった。次に、残りの材料を仕上げ加工して、銅アノードとした。そして、このアノードを用いて、上記に示しためっき条件にて、シリコン基板上に銅めっきを施した。そして、シリコン基板上に発生したパーティクル数を測定した結果、48個と増加した。
Claims (4)
- 半導体ウエハへの電気銅めっきに使用する銅アノード又は含燐銅アノードであって、熱間鍛造組織からなり、該熱間鍛造組織の平均結晶粒径が100〜500μmであり、アノードの中心部と外周部の平均結晶粒径のばらつきが3.2%以上20%以内であることを特徴とする銅アノード又は含燐銅アノード。
- 請求項1記載の銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法であって、銅又は含燐銅のインゴットを熱間鍛造して、平均結晶粒径が100〜500μmの熱間鍛造材とし、該熱間鍛造材を成形加工することを特徴とする銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法。
- 鍛造開始温度を1000℃以下、鍛造終了温度を500℃以上とし、熱間鍛造を5〜30分とする条件で熱間鍛造することを特徴とする請求項2記載の銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法。
- 熱間鍛造前に銅又は含燐銅のインゴットを700〜1000℃で熱処理することを特徴とする請求項2又は3記載の銅アノード又は含燐銅アノードの製造方法。
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