JP6619211B2 - 細胞核輸送受容体kpna2タンパク質に結合するアプタマー、及びそれを用いたkpna2タンパク質の機能阻害 - Google Patents

細胞核輸送受容体kpna2タンパク質に結合するアプタマー、及びそれを用いたkpna2タンパク質の機能阻害 Download PDF

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本発明は、癌細胞に高発現する細胞核輸送受容体KPNA2タンパク質の検出、濃縮、精製、定量及び機能阻害に効果的な新規物質に関する。具体的には、本発明は、核輸送受容体KPNA2タンパク質と高親和性で結合する新規RNAアプタマーに関する。さらには、当該RNAアプタマーを含有してなる検出用試薬、担体、阻害剤及び医薬組成物、並びに、当該RNAアプタマーを用いたKPNA2タンパク質の検出方法、濃縮方法、精製方法、細胞核輸送機能阻害方法、及びKPNA2タンパク質発現細胞の増殖抑制方法に関する。
真核生物の細胞核は核膜で覆われ、細胞質と細胞核の間の分子輸送は制限される。細胞核には遺伝子が収納されており、適切なタイミングで必要な機能性分子を細胞質から細胞核へと運び入れて遺伝子に作用させることが、様々な細胞の活動に必須である。
核膜には核膜孔が存在し、分子サイズ40kDaを超えるタンパク質の多くは特異的な輸送受容体を介した選択的な分子輸送により細胞核の内外を行き来する。このような選択的輸送を担う輸送受容体はインポーチン、エクスポーチンと呼ばれる。このうちインポーチンは、タンパク質が持つ核移行シグナル(Nuclear Localization Signal, 以下、NLSという)と呼ばれるアミノ酸配列を認識して当該タンパク質と結合し、細胞質から細胞核内へと当該タンパク質を輸送する。なお、核移行シグナルは、核局在シグナル、又は核局在化シグナルと呼ばれることもあるが、当業者によって使用されるこれらの用語は本明細書において同義のものとみなす。
核輸送受容体の一つであるインポーチンα(importin α、Karyopherin α、KPNA)は塩基性アミノ酸に富んだNLSを認識し、インポーチンβ(importin β)と共に3種類のタンパク質の複合体を形成する。この複合体はインポーチンβと核膜孔の構成タンパク質との親和性により核膜孔を通過する(図1に模式図を示す)。細胞核内部に入った複合体は解離し、インポーチンαおよびインポーチンβはそれぞれ細胞質へと移動して再利用される。
インポーチンαには複数種のファミリー分子が存在し、ヒトでは7種類の遺伝子が同定されている(KPNA1(インポーチンα5)、KPNA2(インポーチンα1)、KPNA3(インポーチンα4)、KPNA4(インポーチンα3)、KPNA5(インポーチンα6)、KPNA6(インポーチンα7)、及びKPNA7(インポーチンα8))。これらファミリー分子は細胞種に応じてそれぞれ発現量が異なる。また、これらファミリー分子は、それぞれNLSの配列に応じた基質特異性を示す。インポーチンαにより細胞核へと輸送されるタンパク質は少なくとも75種類が報告されている(非特許文献1)。また、核タンパク質には、インポーチンαにより輸送されることが予想されるNLS配列を含むものが多数含まれる。これらを考慮すると、高々7種類のファミリー分子を使用することにより、多様なタンパク質の運び分けがなされていることになる。それゆえ、インポーチンαの細胞種特異的発現、及び各種インポーチンα分子種と輸送基質となるタンパク質が有するNLSとの特異性は、いずれも細胞機能の維持や調節のために重要な性質であると考えられる。
なお、インポーチン分子種は、インポーチンα1、インポーチン−α1、及びインポーチンα−1のように、ハイフンを付して示される場合と付さずに示される場合とがあるが、いずれも同義である。
インポーチンαはマウス胚性幹細胞の分化に際し、転写因子の細胞核への輸送を担って細胞運命の決定に働くことが報告されている。特に、インポーチンαファミリーのうちKPNA2タンパク質は未分化な胚性幹細胞において高く発現し、細胞分化の進行と共に発現量が低下することが知られている。そして、この低下を阻害すると細胞分化も抑制されることから、KPNA2タンパク質は幹細胞の未分化性の維持に必要であることが示唆されている(非特許文献2)。
さらに、KPNA2はヒトの腫瘍や癌組織(例えば、悪性黒色腫、子宮頸癌、食道癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、脳腫瘍、肝臓癌、及び膀胱癌)において高く発現することから、癌マーカーとなることが知られている(非特許文献3)。
インポーチンαをターゲットとした阻害剤として、現在のところ、インポーチンα特異的抗体やインポーチンα特異的基質のNLS部分に対応するペプチドなどが報告されている(非特許文献4及び5)。しかしながら、インポーチンαファミリー間の相同性が高いため、複数分子種のインポーチンαファミリーが混在する条件下において、抗インポーチンα抗体を用いて分子種特異的な検出を行うことは困難であった。例えば、KPNA2タンパク質に対する抗体として、厳密に分子種特異的であるといえるものはほとんど存在しないと言える。また、インポーチンα特異的基質のNLS部分に対応するペプチドとして、KPNA1タンパク質に対して結合性を示すペプチドについて報告があるものの、当該ペプチドは他のインポーチンα分子種に対しても弱い結合性を示した。十分に厳密な分子種特異的な反応が見出されないことにおいて、抗体の場合と同様である。また、KPNA遺伝子の発現をSiRNAによって分子種特異的に抑制する試みもなされている。しかしながら、SiRNAはKPNAタンパク質の分子種特異的な発現の検出に使用することはできず、KPNAタンパク質の発現レベルを指標とした診断薬に利用することもできない。これらの理由から、より分子種特異性が高いインポーチンα結合性物質の開発が求められていた。また、特異性の高い結合特性を利用して、インポーチンα結合性物質を含む分子種特異的なインポーチンα機能阻害剤の開発が求められていた。
一方、機能性核酸であるアプタマーは、基質と特異的に結合するという点において抗体と類似の機能を有する。両者を比較すると、イオンのような小さい分子から、巨大なタンパク質複合体やウイルス粒子のような大きな標的までを結合の対象とすることができる点で、アプタマーは抗体よりも利用範囲が広い。特にRNAアプタマーは複雑な3次構造をとり、標的化合物を高度に識別して結合することができる(非特許文献6)。したがって、アプタマーの高識別機能は近縁のタンパク質を識別するために大変有効な道具として使用できる可能性がある。しかしながら、インポーチンαファミリーのタンパク質に対する特異的なアプタマーに関する報告はなく、アプタマーの利用によりインポーチンα分子種を厳密に区別できるかどうか明らかではなかった。そして、アプタマーと特定のインポーチンα分子種との結合を利用して、当該特定の分子種のインポーチンαの機能を阻害することや、当該阻害によって細胞の生理機能を調節することが可能であるか否かも明らかでなかった。
Pumroy RA, Cingolani G. Diversification of importin-alpha isoforms in cellular trafficking and disease states. Biochem. J. (2015.2) 466: 13-28. Yasuhara N, Shibazaki, N, Tanaka S, Nagai M, Kamikawa Y, Oe S, Asally M, Kamachi Y, Kondoh H, Yoneda Y. Triggering neural differentiation of ES cells by subtype switching of importin-alpha. Nat. Cell Biol. (2007) 9:72-79. Christiansen A, Dyrskjot L. The functional role of the novel biomarker karyopherin alpha-2 (KPNA2) in cancer. Cancer Lett. (2013) 331: 18-23. Lin YZ, Yao SY, Veach RA, Torgerson TR, Hawiger J. Inhibition of nuclear translocation of transcription factor NF-kappa B by a synthetic peptide containing a cell membrane-permeable motif and nuclear localization sequence. J. Biol. Chem. (1995) 270: 14255-14258. Zienkiewicz J, Armitage A, Hawiger J. Targeting nuclear import shuttles, importins/karyopherins alpha by a peptide mimicking the NFkappaB1/p50 nuclear localization sequence. J. Am. Heart Assoc. (2013) 2: e000386. Jenison R.D., Gill S.C., Pardi A., and Polisky B. High-resolution molecular discrimination by RNA. Science (1994) 263: 1425-1429.
本発明の課題は、細胞核輸送受容体インポーチンαのうち、特に腫瘍や癌組織において高く発現するKPNA2タンパク質に注目し、KPNA2タンパク質の検出、濃縮、精製、定量及び機能阻害に効果的な新規物質を提供することにある。より具体的には、本発明は、第一に核輸送受容体KPNA2タンパク質と高親和性で結合する新規RNAアプタマーの提供を課題とする。そして、当該RNAアプタマーを含有してなる検出用試薬、担体、阻害剤及び医薬組成物、並びに、当該RNAアプタマーを用いたKPNA2タンパク質の検出方法、濃縮方法、精製方法、細胞核輸送機能阻害方法、及びKPNA2タンパク質発現細胞の増殖抑制方法の提供を本発明の課題とする。さらには、KPNA2タンパク質の腫瘍や癌組織における高発現に鑑み、当該RNAアプタマーを含む癌検査薬、及び当該RNAアプタマーを含むKPNA2タンパク質機能阻害性の抗癌薬の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を行った結果、細胞核輸送受容体インポーチンαのうち、KPNA2タンパク質に結合するRNAアプタマーを複数種類取得した。そして、当該RNAアプタマーがKPNA2タンパク質と高親和性で結合すること、KPNA1タンパク質に対しては実質的な結合能を有しないこと、当該アプタマーによりKPNA2タンパク質の発現が検出できること、及び、当該RNAアプタマーの投与によりKPNA2タンパク質発現細胞におけるKPNA2タンパク質依存的な細胞核への物質(NLS含有タンパク質)の輸送機能が阻害されることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明は、KPNA2タンパク質に対して結合能を有するRNAアプタマーに関する。その具体例としては、アプタマー76、及びアプタマー72、並びにこれらの修飾体、又はこれらと構造(配列)上極めて類似し、かつ機能的に同等なRNAアプタマーに関する。また、当該RNAアプタマーを固定してなる担体、当該RNAアプタマーを含む試薬、医薬組成物、又はKPNA2タンパク質の機能阻害剤、当該RNAアプタマーを使用した検出方法、濃縮方法、精製方法、及び、in vivo又はex vivoにおけるKPNA2タンパク質の機能の阻害方法に関する。さらに、転写により当該RNAアプタマーに変換可能なDNAに関する。
より詳細には、以下の(1)〜(54)に関する。
(1)ヒトKPNA2タンパク質に対して200nM以下の解離定数(K)を示す結合能を有するRNAアプタマー。
(2)A)配列番号1に示される塩基配列を含む、又は B)配列番号1に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、前記(1)に記載のRNAアプタマー。
(3)配列番号1に示される塩基配列からなる、前記(1)に記載のRNAアプタマー。
(4)A)配列番号2に示される塩基配列を含む、又は B)配列番号2に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、前記(1)に記載のRNAアプタマー。
(5)配列番号2に示される塩基配列からなる、前記(1)に記載のRNAアプタマー。
(6)化学修飾したヌクレオチドを有することを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(7)各ピリミジンヌクレオチドにおけるリボース部位の2’位は、同一又は異なって、無置換であるか、又はフッ素原子、メトキシ基、アミノ基、2’,4’−BNA基、及び水素原子からなる群のいずれかの原子又は基で置換されていることを特徴とする、前記(6)に記載のRNAアプタマー。
(8)3’末端及び/又は5’末端がインバーストデオキシチミジン(idT)又はポリエチレングリコールにより修飾されていることを特徴とする、前記(1)〜(7)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(9)標識化されたものである、前記(1)〜(8)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(10)機能性化合物が結合されている、前記(1)〜(8)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(11)前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマーを固定してなる担体。
(12)転写によって前記(1)〜(5)のいずれか一に記載のRNAアプタマーに変換可能なDNA。
(13)A)配列番号7に示される塩基配列を含む、又は B)配列番号7に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、前記(12)に記載のDNA。
(14)A)配列番号8に示される塩基配列を含む、又は B)配列番号8に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、前記(12)に記載のDNA。
(15)3’末端にRNAポリメラーゼ認識配列が付加されている、前記(12)〜(14)のいずれか一に記載のDNA。
(16)RNAポリメラーゼ認識配列がT7プロモーター配列である、前記(15)に記載のDNA。
(17)前記(12)〜(16)のいずれか一に記載のDNAと相補の塩基配列を有する相補鎖DNA。
(18)前記(12)〜(16)のいずれか一に記載のDNAとその相補鎖DNAとが相補的にハイブリダイズした2本鎖DNA。
(19)前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマーを含む、KPNA2タンパク質検出用試薬。
(20)生体由来のサンプルに対して、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、前記(11)記載の担体、又は前記(19)記載の試薬を接触させる工程を含む、KPNA2タンパク質の検出方法。
(21)生体由来のサンプルに対して、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、又は前記(19)記載の試薬を適用することを特徴とする、KPNA2タンパク質を発現する細胞の検出方法。
(22)癌細胞の検出方法である、前記(21)に記載の検出方法。
(23)生体由来のサンプルに対して、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、又は前記(19)記載の試薬を接触させる工程を含む、細胞におけるKPNA2タンパク質の検出方法。
(24)細胞が癌細胞である、前記(23)に記載の検出方法。
(25)癌の診断のための検出方法であって、A)生体由来のサンプルに対して、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、又は前記(19)記載の試薬を接触させる工程、及び B)サンプルと特異的に結合したRNAアプタマーを検出する工程を含む、方法。
(26)前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマーを有効成分として含有する医薬組成物。
(27)癌治療用組成物である、前記(26)に記載の医薬組成物。
(28)前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマーを有効成分として含有する、KPNA2タンパク質発現細胞に対する細胞増殖阻害剤。
(29)前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマーを有効成分として含有する、KPNA2タンパク質に対する機能阻害剤。
(30)KPNA2タンパク質の核移行能を阻害するためのin vitro又はex vivoの方法であって、生体由来のサンプルに対して前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、又は前記(29)に記載のKPNA2タンパク質に対する機能阻害剤を適用する工程を含む、方法。
(31)KPNA2タンパク質を発現する細胞の増殖を抑制するためのin vitro又はex vivoの方法であって、生体由来のサンプルに対して前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、又は前記(29)に記載のKPNA2タンパク質に対する機能阻害剤を適用する工程を含む、方法。
(32)生体由来のサンプルと、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマー、又は前記(11)に記載の担体とを接触させる工程を含む、生体サンプル中のKPNA2タンパク質の定量方法。
(33)生体由来のサンプルと、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のRNAアプタマーを接触させる工程、及び、該RNAアプタマーと該サンプル中のKPNA2タンパク質との相互作用を測定する工程含む、KPNA2タンパク質の検出方法。
(34)相互作用の測定を表面プラズモン共鳴法で行うことを特徴とする、前記(33)に記載の検出方法。
(35)機能性化合物が酵素、薬物送達媒体、薬物、又はタグ物質である、前記(10)に記載のRNAアプタマー。
(36)タグ物質がビオチンである、前記(35)記載のRNAアプタマー。
(37)KPNA2タンパク質の濃縮用、又は精製用である、前記(11)記載の担体。
(38)担体がカラムである、前記(11)又は(36)のいずれか一に記載の担体。
(39)前記(11)、(37)又は(38)のいずれか一に記載の担体に対して生体由来のサンプルを適用する工程を含む、KPNA2タンパク質を分離及び/又は濃縮及び/又は精製する方法。
(40)、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のアプタマー、又は前記(19)に記載の試薬を含む、癌診断用キット。
(41)機能阻害が、KPNA2タンパク質−KPNA2タンパク質結合性物質複合体の細胞核内への輸送阻害である、前記(29)記載の機能阻害剤。
(42)前記(18)記載の2本鎖DNAを含むベクター。
(43)前記(42)記載のベクターで形質転換された細胞。
(44)癌の治療及び/又は転移防止方法における使用のための、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のアプタマー。
(45)癌の治療及び/又は転移防止のための医薬の製造における、前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のアプタマーの使用。
(46)癌の治療及び/又は転移防止が必要な患者に対して前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のアプタマー、又は前記(27)記載の医薬組成物を投与する工程を含む、癌の治療及び/又は転移防止方法。
(47)KPNA2タンパク質の発現が亢進した細胞を含む癌患者に対し前記(1)〜(10)のいずれか一に記載のアプタマー、又は前記(27)記載の医薬組成物を投与する工程を含む、癌細胞の増殖防止及び/又は転移防止方法。
(48)KPNA2タンパク質に対して結合能を有し、かつKPNA1タンパク質に対して実質的な結合能を有しないRNAアプタマー。
(49)KPNA2タンパク質に対して結合能を有し、かつNLS含有タンパク質のKPNA2タンパク質を介した細胞核輸送に関して阻害活性を有するRNAアプタマー。
(50)KPNA1タンパク質に対して実質的な結合能を有しない、前記(49)記載のRNAアプタマー。
(51)ヒトKPNA2タンパク質に対して200nM以下の解離定数(K)を示す結合能を有する前記(48)〜(50)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(52)A)配列番号1に示される塩基配列を含む、又は B)配列番号1に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、前記(48)〜(51)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(53)A)配列番号2に示される塩基配列を含む、又は B)配列番号2に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、前記(48)〜(51)のいずれか一に記載のRNAアプタマー。
(54)NLS含有タンパク質のKPNA1タンパク質を介した細胞核輸送に関して実質的な阻害活性を有しない、前記(48)〜(53)のいずれか一にRNAアプタマー。
本発明のRNAアプタマーによれば、KPNA2タンパク質の特異的な検出、濃縮、精製、定量、及びKPNA2タンパク質を介したNLS含有物質の細胞核への輸送阻害が可能になる。また、KPNA2タンパク質が癌マーカーであることから癌細胞の検出が可能となる。言い換えれば、本発明のRNAアプタマーを用いることにより、癌の検査用試薬やキットを提供することができる。さらに、前記阻害作用を利用することにより、本発明のRNAアプタマーまたはそれを含む組成物は、細胞増殖阻害剤として用いることができる。ここで標的細胞が癌細胞であれば、前記細胞増殖阻害剤は、癌の治療薬又は癌の転移抑制用医薬組成物として利用することができる。
図1は、NLS含有物質の核膜孔を介した核内への輸送メカニズムを模式的に表した図である。核輸送受容体の一つであるインポーチンα−1(KPNA2)は、塩基性アミノ酸に富んだNLSを認識し、インポーチンβと共に3種類のタンパク質の複合体を形成する(Importin-beta-KPNA2-NLS Cargo complex)。この複合体はインポーチンβと核膜孔の構成タンパク質との親和性により核膜孔を通過する。 図2は、本発明により得られたRNAアプタマーであるアプタマー76、72及び21の配列、並びにBayesFoldプログラムにより計算したそれぞれのRNAアプタマー分子の二次構造モデルを示す図である。 図3は、KPNA2タンパク質とアプタマー76、72又は21との相互作用を解析した結果を示す図である。タンパク質無添加、マウスKPNA2タンパク質246nM、492nM、又は984nM添加の場合について、各種アプタマーとの相互作用を膜上のフィルター結合アッセイで確認した。アプタマー76又は72を使用した場合、KPNA2タンパク質の添加量に依存したシグナルの増強が認められた。 図4a)は、KPNA2タンパク質とアプタマー76、又は72との相互作用を解析した結果を示す図である。タンパク質無添加、マウスKPNA2タンパク質37nM、74nM、148nM、296nM、又は592nM添加の場合について、各種アプタマーとの相互作用をフィルター結合アッセイにより膜上で確認した。アプタマー76又は72のいずれのRNAアプタマーを使用した場合でも、KPNA2タンパク質の添加量に依存したシグナルの増強が認められた。一方、マウスKPNA1タンパク質を72nM、144nM、288nM又は576nM添加した場合、アプタマーとタンパク質との結合のシグナルはバックグラウンドとほぼ同レベルであるか、又は全く認められなかった。 図4b)は、図4a)に示す結果に基づき、そのシグナル強度からKPNA2タンパク質中におけるアプタマーと結合したタンパク質の割合(%of binding)算出し、添加したKPNA2タンパク質の濃度との関係をプロットしたものである。左側の図はアプタマー76を使用した場合の結果を、右側の図はアプタマー72を使用した場合の結果を、それぞれ示す。
図5は、NLS含有物質のKPNA2タンパク質を用いた核輸送能を解析する実験、及び、同核輸送能をアプタマーを用いて阻害する実験を模式的に表した図である。上段は、核輸送能を解析する実験を示す。培養細胞は、ジギトニン(Digitonin)投与により可溶化された後、NLSタンパク質(GST−NLS−GFP)、インポーチンβ−1、及びインポーチンα−1(KPNA2)が添加された状態でインキュベートされる。NLSタンパク質は核輸送され、その核内局在性はGFPの蛍光が核に局在することにより確認される。下段は、上段に示される実験系において、さらにインポーチンα−1と特異的に結合するアプタマーを添加することにより、核輸送能が阻害されることを解析する実験を示す。インポーチンα−1に代えてインポーチンα−1−アプタマー複合体が添加された場合には、NLSタンパク質の核輸送能は阻害される。この場合、同タンパク質の細胞内の分布を示すGFPの蛍光は、低減した核局在性を示す。 図6a)は、図5上段に示すNLSタンパク質の核輸送能の解析実験を実際に行った結果を示す図である。KPNA2タンパク質、インポーチンβ−1及びNLSタンパク質(NLS−GFP)を添加した場合、NLSタンパク質の存在を示すGFPの蛍光は核局在性を示す。 図6b)は、図6a)の対照となるバッファーコントロールでの結果を示す。 図6c)は、図5下段に示すNLSタンパク質の核輸送能をアプタマーにより阻害する解析実験を実際に行った結果を示す図である。KPNA2タンパク質、インポーチンβ−1、NLSタンパク質(NLS−GFP)、及びアプタマー76を添加した場合、NLSタンパク質の存在を示すGFPの蛍光は低減した核局在性を示す。 図6d)は、図5下段に示すNLSタンパク質の核輸送能をアプタマーにより阻害する解析実験を実際に行った結果を示す図である。KPNA2タンパク質、インポーチンβ−1、NLSタンパク質(NLS−GFP)、及びアプタマー72を添加した場合、NLSタンパク質の存在を示すGFPの蛍光は低減した核局在性を示す。 図6e)は、図6c)及びd)の対照となる実験であり、アプタマー76又は72に代えてtRNAを添加した実験の結果を示す。NLSタンパク質の存在を示すGFPの蛍光は核局在性を示す。 図7a)は、図5上段に示すNLSタンパク質の核輸送能の解析実験を実際に行った結果を示す図である。KPNA1タンパク質、インポーチンβ−1及びNLSタンパク質(NLS−GFP)を添加した場合、NLSタンパク質の存在を示すGFPの蛍光は核局在性を示す。 図7b)は、図7a)の対照となるバッファーコントロールでの結果を示す。 図7c)は、図5下段に示すNLSタンパク質の核輸送能をアプタマーにより阻害する解析実験を実際に行った結果を示す図である。KPNA1タンパク質、インポーチンβ−1、NLSタンパク質(NLS−GFP)、及びアプタマー76を添加した場合、図6c)の場合とは異なり、NLSタンパク質の核輸送能は阻害されず、同タンパク質の存在を示すGFPの蛍光は核局在性を示す。 図7d)は、図5下段に示すNLSタンパク質の核輸送能をアプタマーにより阻害する解析実験を実際に行った結果を示す図である。KPNA1タンパク質、インポーチンβ−1、NLSタンパク質(NLS−GFP)、及びアプタマー72を添加した場合、図6d)の場合とは異なり、NLSタンパク質の核輸送能は阻害されず、同タンパク質の存在を示すGFPの蛍光は核局在性を示す。 図7e)は、図7c)及びd)の対照となる実験であり、アプタマー76又は72に代えてtRNAを添加した実験の結果を示す。NLSタンパク質の存在を示すGFPの蛍光は核局在性を示す。 図8a)は、図6に示す実験で観察された核移行能を、細胞核部分のGFP蛍光の蛍光強度で定量化し、かつ、コントロールとの相対値で表したものである。図6a)の実験系(Control)におけるNLSタンパク質に由来する細胞核部分のGFP蛍光を1として表す。図中、アプタマー76、アプタマー72、及びtRNAは、それぞれ、図6c)、図6d)及び図6e)の実験系における細胞核部分のGFP蛍光をコントロールとの相対値で示したものである。バーの高さで相対値を示し、併せて標準偏差もそれぞれ図示した。アプタマー76及び72を使用した場合には、NLSタンパク質の核輸送能が顕著に阻害されていたことが示される。 図8b)は、図7に示す実験で観察された核移行能を、細胞核部分のGFP蛍光の蛍光強度で定量化し、かつ、コントロールとの相対値で表したものである。図7a)の実験系(Control)におけるNLSタンパク質に由来する細胞核部分のGFP蛍光を1として表す。図中、アプタマー76、アプタマー72、及びtRNAは、それぞれ、図7c)、図7d)及び図7e)の実験系における細胞核部分のGFP蛍光をコントロールとの相対値で示したものである。バーの高さで相対値を示し、併せて標準偏差もそれぞれ図示した。アプタマー76、72、及びtRNAのいずれを使用した場合にも、コントロールの場合と比して、NLSタンパク質の核輸送能に有意な変化が認められない。
(1)核酸アプタマーの取得法
機能性核酸であるアプタマーは、無数の分子種を含む核酸ライブラリーの中から、「SELEX」と呼ばれる方法など、「選択と増幅」を含む一連の過程をin vitroで繰り返す公知の方法を適用することにより、標的化合物に特異的に結合する物質として取得することができる(例えば、特開2006−320289号公報、特開2009−207491号公報、又は特開2009−165394号公報参照)。
(2)RNAアプタマーの調製方法
RNAアプタマーは、化学合成法、又は鋳型DNAの転写により適宜調製することができる。
核酸の化学合成法は当業者に周知の技法であり、所望の配列からなるRNAを人工的に合成することができる。また、企業の提供する受託合成サービスを利用することもできる。
転写により所望のRNAアプタマーを生じる配列からなるDNAは、その相補鎖DNAと共に2本鎖DNAとしてベクターにクローニングすることができる。ベクターには、T7RNAプロモーターなど、RNA転写のために使用される配列を含めることができる。所望のRNAアプタマーは、ベクターとT7ポリメラーゼ等のRNAポリメラーゼとを使用することにより、in vitroで適宜調製することができる。
ベクターは、乾燥状態、又は適切な緩衝液に溶解した状態で安定に保存することができる。また、宿主細胞をベクターで形質転換し、形質転換細胞の形としてベクターを長期間安定に保存することも可能である。
(3)インポーチンαタンパク質、インポーチンα遺伝子
KPNA2(インポーチンα−1)タンパク質のアミノ酸配列、及び同タンパク質をコードする核酸の塩基配列に関する情報は公知であり、当業者はデータベースにアクセスすることにより適宜入手できる。例えば、ヒトKPNA2(別名QIP2、RCH1、IPOA1又はSRP1alpha)の配列情報は、アクセッション番号NM_002266、及びNP_002257としてNCBIに登録されている。
KPNA1タンパク質、インポーチンβ−1等のKPNA2タンパク質以外のタンパク質に関する配列情報、及び、それらのタンパク質をコードする核酸の塩基配列の情報も、KPNA2の場合と同様にデータベースから適宜入手できる。
KPNA2遺伝子などの本発明に関係する各種核酸は、当業者に周知の遺伝子クローニング技術によって適宜調製できる。
KPNA2タンパク質などの本発明に関係する各種タンパク質は、組換え体タンパク質として、当業者に周知の遺伝子組換え技術によって調製できる。
(4)本発明のRNAアプタマー
本発明のRNAアプタマーは、SELEX法により得られたクローン由来のものであって、KPNA2タンパク質に特異的に結合する能力を有する。
(4−1)
本発明のRNAアプタマーは、その一態様として、ヒトKPNA2タンパク質に対して2μM以下、好ましくは600nM以下、更に好ましくは200nM以下、最も好ましくは150nM以下の解離定数(K)を示す結合能を有するRNAアプタマーである。ここで、本発明のRNAアプタマーは、ヒト以外の哺乳動物種由来のKPNA2タンパク質、例えばマウス又はラット由来のKPNA2タンパク質に対してもヒトKPNA2タンパク質に対する親和性と同等の親和性で結合できるものであって良い。また、別の好ましい態様としては、本発明のRNAアプタマーは、KPNA2タンパク質の分子種の中でも、ヒトKPNA2タンパク質に対して特に高い結合親和性を有するものであってよい。本発明のRNAアプタマーの具体例として後述するアプタマー76及び72は、いずれもヒトKPNA2タンパク質及びマウスKPNA2タンパク質のいずれに対しても高い結合親和性を示し、前記タンパク質との間のK値は約150nMを示すものである。
ここで、解離定数(K)という用語は、本明細書で用いる場合、KとKとの比(すなわちK/K)から得られる解離定数のことを指すものとし、これはモル濃度(M)として表現される。核酸アプタマーのK値は、当技術分野において十分に確立された方法を用いて決定することができる。核酸アプタマーのKを決定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を用いて、好ましくはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを用いることが挙げられる。なお、Kという用語は、本明細書で用いる場合、特定のRNAアプタマー−基質(インポーチン−αタンパク質)相互作用の会合速度を指すものとする。一方、Kという用語は、本明細書で用いる場合、特定のRNAアプタマー−基質(インポーチン−αタンパク質)相互作用の解離速度を指すものとする。
(4−2)
本発明のRNAアプタマーは、その一態様として、KPNA2タンパク質に対して結合能を有し、かつKPNA1タンパク質に対して実質的な結合能を有しないRNAアプタマーである。
KPNA2タンパク質に対して所望される結合能は、前記(4−1)に例示される親和性を挙げることができる。
ここで、「実質的に結合しない」とは、RNAアプタマーとKPNA1タンパク質とが結合しないか、または高い親和性で結合しないことを意味する。例えば、KPNA1タンパク質とは検出可能なレベルで結合しない(すなわち、KPNA1タンパク質との結合がバックグラウンド以下である)か、又は検出し得るレベルで結合しても、その結合の程度がごく微弱であってKPNA2タンパク質との結合よりも明らかに少なく、当業者であればKPNA1タンパク質とは結合していないと判断する程度にしか結合しないことを意味する。好ましくは、本発明のRNAアプタマーは、KPNA2タンパク質とのみ結合し、KPNA1タンパク質とは検出可能なレベルで結合しないRNAアプタマーである。例えば、下記実施例では放射性ラベルした本発明のRNAアプタマーとKPNA1タンパク質又はKPNA2タンパク質とをフィルター上で相互作用させ、フィルター上のカウントを測定することにより結合親和性を調べているが、このような方法で調べた場合にバックグラウンド程度のレベルでしか結合を検出できなければ、検出可能なレベルで結合していないと判断することができる。本発明のRNAアプタマーは、KPNA1タンパク質に限らず、KPNA2タンパク質以外のKPNAタンパク質分子種とも実質的に結合せず、好ましくは検出可能なレベルで結合しない。
(4−3)
本発明のRNAアプタマーは、その一態様として、KPNA2タンパク質に対して結合能を有し、かつNLS含有タンパク質のKPNA2タンパク質を介した細胞核輸送に関して阻害活性を有するRNAアプタマーである。
KPNA2タンパク質に対して所望される結合能は、前記(4−1)に例示される親和性を挙げることができる。
細胞核輸送に関する阻害活性は、モデル輸送基質であるGST−NLS(SV40由来)−GFPのKPNA2タンパク質を介した細胞核輸送をどれだけの割合で阻害するかによって評価することができる。例えば、系内に十分量のRNAアプタマーを添加した場合に、RNAアプタマー無添加又は対照のtRNA添加時と比して、モデル輸送基質の核内輸送量が少なくとも12%以上、好ましくは24%以上減少する場合、「阻害活性を有する」と言うことができる。ここで、細胞核輸送は、例えば可溶化HeLa細胞を材料に試験することができる。また、核内輸送量は、当該モデル輸送基質のGFP部分に由来する蛍光レベルの測定値から換算又は比較可能である。
NLSとは、核内に選択的に輸送されるタンパク質が有する特異的なアミノ酸配列のことである。1984年にSV40T抗原に存在するアミノ酸配列として最初に明らかにされた。NLSの代表的な例としては、SV40T抗原のように1つの塩基性アミノ酸クラスターからなる単極(モノパータイト)型、ヌクレオプラスミンのように十数個のアミノ酸を2つの塩基性アミノ酸クラスターが挟む形で存在する双極(バイパーパイト)型、並びに、N末端及びC末端モチーフが挙げられる。これらのNLSの多くは、インポーチンβファミリーの特異的な受容体により直接的に認識されると考えられている。NLSのアミノ酸配列の具体例は総説等に纏められているので、当業者に周知である。
本発明のRNAアプタマーは、KPNA2タンパク質と高親和性で結合すると共に、好ましくはKPNA2タンパク質、インポーチンβ−1と共に複合体として細胞核内に輸送されるNLS含有タンパク質の核輸送能を阻害する活性を有するものである。
(4−4)
本発明のRNAアプタマーは、その一態様として、KPNA2タンパク質に対して結合能を有し、かつNLS含有タンパク質のKPNA1タンパク質を介した細胞核輸送に関して実質的な阻害活性を有しないRNAアプタマーである。
KPNA2タンパク質に対して所望される結合能は、前記(4−1)に例示される親和性を挙げることができる。
細胞核輸送に関する阻害活性は、モデル輸送基質であるGST−NLS(SV40由来)−GFPのKPNA2タンパク質を介した細胞核輸送をどれだけの割合で阻害するかによって評価することができる。例えば、系内に十分量のRNAアプタマーを添加した場合に、RNAアプタマー無添加又は対照のtRNA添加時と比して、モデル輸送基質の核内輸送量の減少が12%未満、好ましくは6%未満である場合(いずれの場合も核内輸送量が増加するものであっても良い)、「実質的な阻害活性を有しない」と言うことができる。
(4−5)
本発明のRNAアプタマーは、上記(4−1)〜(4−4)のうち、任意の1又は複数の性質を有するRNAアプタマーである。
(4−6)
本発明のRNAアプタマーの具体的な例は、配列番号1の塩基配列を含むRNAアプタマー、又は配列番号1の塩基配列からなるRNAアプタマー(アプタマー76)である。
〔アプタマー76〕
5’- ggauccugagcuacugacggguuaugugucaguccccagguaaugcugaggcuuuugguucauuuggccgguuguggcaccacuacugaccauacac -3’(配列番号1)
上記のRNAアプタマーの同等物として、配列番号1の塩基配列に対して1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されたことにおいて上記RNAアプタマーと相違するものの、KPNA2タンパク質との結合能を有し、かつ上記(4−1)〜(4−4)のうち、任意の1又は複数の性質を有するものもまた、本発明のRNAアプタマーに包含される。
ここで、「1又は数個の塩基」とは、1〜9塩基、1〜8塩基、1〜7塩基、1〜6塩基、1〜5塩基、1〜4塩基、1〜3塩基、1〜2塩基、又は1塩基のいずれかを意味する。
(4−7)
本発明のRNAアプタマーの別の具体的な例は、配列番号2の塩基配列を含むRNAアプタマー、又は配列番号2の塩基配列からなるRNAアプタマー(アプタマー72)である。
〔アプタマー72〕
5’- ggauccugagcuacugacuuugggucgaauugguuggcucgcccucuucuuggaauucaggagggcgauugaacggacaccacuacugaccauacac -3’(配列番号2)
上記のRNAアプタマーの同等物として、配列番号2の塩基配列に対して1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されたことにおいて上記RNAアプタマーと相違するものの、KPNA2タンパク質との結合能を有し、かつ上記(4−1)〜(4−4)のうち、任意の1又は複数の性質を有するものもまた、本発明のRNAアプタマーに包含される。
ここで、「1又は数個の塩基」とは、1〜9塩基、1〜8塩基、1〜7塩基、1〜6塩基、1〜5塩基、1〜4塩基、1〜3塩基、1〜2塩基、又は1塩基のいずれかを意味する。
(4−8)
本発明のRNAアプタマーは、上記の少なくとも一の所望の性質を維持する限り、その配列中のヌクレオチドは化学修飾されたものであって良い。
化学修飾の例として、ピリミジンヌクレオチドにおけるリボース部位の2’位(−0H基)がフッ素原子、メトキシ基、アミノ基、2’,4’−BNA基(2’位と4’位との架橋基)、及び水素原子からなる群のいずれかの原子又は基で置換されていることが挙げられる。RNAはリボヌクレアーゼによる分解を受けやすいので、ピリミジンヌクレオチドにおける2’位の一部又は全部を上記の原子又は基で置換する(各ピリミジンヌクレオチドにおける化学修飾の態様は同一又は異なっていて良い)ことは、RNAアプタマーをリボヌクレアーゼによる分解から保護する上で有利である。
化学修飾のまた一つの例として、3’末端及び/又は5’末端がインバーストデオキシチミジン(idT)又はポリエチレングリコールにより修飾されていることが挙げられる。当該修飾も、RNAアプタマーをリボヌクレアーゼによる分解から保護する上で有利である。
ピリミジンヌクレオチドにおける2’位の修飾と、3’末端及び/又は5’末端における修飾とは、一のRNAアプタマー分子種において併存していても良い。
核酸の化学修飾は公知の手法により当業者が適宜実施できる。また、化学合成時に修飾ヌクレオチドを使用することも可能である。例えば、シチジン残基やウリジン残基の2’位をフッ素原子で置換する(フルオロ化)については、Suenaga E and Kumar P K R, Acta Biomaterialia (2014) vol. 10, pp. 1314-1323に記載された手法を採用することができる。
(4−9)
本発明のRNAアプタマーは、標識化することができる。標識としては、放射性同位元素(RI)による標識や蛍光標識が挙げられる。RI標識としては、32Pを含むヌクレオチドを用いた標識が好ましく例示される。蛍光標識としては、フルオロセイン、ローダミン、テキサスレッド、又はそれらの誘導体などの蛍光物質を用いた標識が好ましく例示される。また、本発明のRNAアプタマーは、ジゴキシゲニン(DIG)結合ヌクレオチドを使用することにより標識化することもできる。
(4−10)
本発明のRNAアプタマーは、分子中の任意の位置に機能性化合物を結合させることができる。本発明のRNAアプタマーと機能性化合物との間の結合は、共有結合、又は非共有結合のいずれであっても良い。本発明のRNAアプタマーは、1以上の同種又は異種の機能性化合物と結合した複合体であって良い。ここで、機能性化合物は、本発明のRNAアプタマーに何らかの機能を新たに付加するものである限り特に限定されない。機能性化合物としては、ビオチン、マルトースなどのタグ分子が好ましく例示される。ビオチンは、アビジンやストレプトアビジンと特異的に結合する性質があるため、アビジン又はストレプトアビジンにアルカリフォスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素を結合することによって、適当な基質の存在下で結合活性の測定に利用できる。ビオチンは、リンカーを介してRNAアプタマーの5’末端部位等に結合させることができる。機能性化合物の他の例として、ステロイド、コレステロール、脂肪酸等の脂質、ポリエチレングリコール、リポソーム、ミクロスフェア等の薬物送達媒体、カフェイン、ビタミン、薬剤、毒素、又は酵素を挙げることができる。機能性化合物は、好ましくはRNAアプタマーの5’末端又は3’末端部位等に結合される。
(5)本発明のRNAアプタマーを含んでなる担体
本発明は、本発明のRNAアプタマーを含んでなる担体を提供する。ここで、RNAアプタマーは、未修飾のものであっても良く、上記のような化学修飾を受けたものであっても良く、標識化されたものでも良く、また上記のように機能性化合物と結合した複合体であっても良い。担体は固相担体であって、例えば、カラム、多孔質材、フィルター、基板、樹脂、プレート、フィルターなどが例示される。本発明の担体は、例えば、KPNA2タンパク質の濃縮、精製、並びにKPNA2タンパク質の検出及び定量に用いることができる。本発明のRNAアプタマー又はRNAアプタマーを含む複合体は、公知の方法により担体に固定することができる。例えば、機能性化合物や所定の官能基を本発明のRNAアプタマー又はRNAアプタマーを含む複合体に導入し、次いで当該機能性化合物や所定の官能基を利用して固相担体に固定化する方法が挙げられる。
(6)本発明のRNAアプタマーに変換可能なDNA
本発明のRNAアプタマーを転写によって生ぜしめるDNAが、本発明の一態様として提供される。
本発明のDNAの具体的な例は、配列番号7の塩基配列を含むDNA、又は配列番号7の塩基配列からなるDNAである。転写によって、配列番号7の塩基配列に対応するDNAの領域から配列番号1の塩基配列からなるRNAアプタマー76を調製することができる。
上記のDNAの同等物として、配列番号7の塩基配列に対して1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されたことにおいて上記DNAと相違するものの、KPNA2タンパク質との結合能を有し、かつ上記(4−1)〜(4−4)のうち、任意の1又は複数の性質を有する本発明のRNAアプタマーを転写によって生じるDNAもまた、本発明のDNAに含まれる。
本発明のDNAの別の具体的な例は、配列番号8の塩基配列を含むDNA、又は配列番号8の塩基配列からなるDNAである。転写によって、配列番号8の塩基配列に対応するDNAの領域から配列番号2の塩基配列からなるRNAアプタマー72を調製することができる。
上記のDNAの同等物として、配列番号8の塩基配列に対して1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されたことにおいて上記DNAと相違するものの、KPNA2タンパク質との結合能を有し、かつ上記(4−1)〜(4−4)のうち、任意の1又は複数の性質を有する本発明のRNAアプタマーを転写によって生じるDNAもまた、本発明のDNAに含まれる。
ここで、「1又は数個の塩基」とは、1〜9塩基、1〜8塩基、1〜7塩基、1〜6塩基、1〜5塩基、1〜4塩基、1〜3塩基、1〜2塩基、又は1塩基のいずれかを意味する。
また、本発明のDNAは、転写によって本発明のRNAアプタマーを調製するために、その3’末端にRNAポリメラーゼ認識配列を有していても良い。当該RNAポリメラーゼ認識配列として、T7プロモーター配列が好ましく例示される。
(7)本発明の他のDNA
上記(6)のDNAに対応し、それと相補する塩基配列を有する相補鎖DNAもまた、本発明のDNAの他の態様として提供される。
さらに、上記(6)のDNAと、それと対応する前記相補鎖DNAとが相補的にハイブリダイズした二本鎖DNAが、本発明のDNAの他の態様として提供される。
前記二本鎖DNAは、クローニングベクターにクローニングすることにより、適宜増幅や改変等を行うことができる。また、乾燥形態又は適切な緩衝液に溶解させた状態で長期間安定に保存させることができる。
また、宿主細胞を形質転換することによって、上記クローニングしたベクターは形質転換細胞に包含させた形で保持することもできる。形質転換細胞は公知の手法で維持、増幅、又は保存することができる。
(8)KPNA2タンパク質の検出
本発明のRNAアプタマーはKPNA2タンパク質に対して特異的に、高親和性で結合する能力を有することから、当該RNAアプタマーを含む組成物がKPNA2タンパク質検出用の試薬として提供される。ここで、試薬に含まれるRNAアプタマーは、前記(4−1)〜(4−10)に記載されたいずれの態様のRNAアプタマーであっても良い。試薬中で溶液として本発明のRNAアプタマーが包含される場合、その濃度は目的や使用態様に応じて適宜決定できるが、例えば1nM〜10mM、0.1μM〜1mM、1μM〜0.1mMの範囲で決定することが挙げられる。溶媒は水であっても緩衝液であっても良い。当該試薬は、標準試料としてのKPNA2タンパク質、検出用プローブ又は基質等の補助成分、ネガティブコントロール用のtRNA、緩衝液、保存料、希釈剤、使用説明書等の構成要素を適宜組み合わせることにより、KPNA2タンパク質の検出用キットとすることもできる。
生体由来のサンプルに対して前記試薬を適用することにより、サンプル中のKPNA2タンパク質を検出することができる。検出の具体的な方法は、RNAアプタマーが放射性同位元素等で標識化されている場合、蛍光物質で標識化されている場合、タグ物質が結合している場合などに応じて適切な検出手段を組み合わせることで実施できる。この際、標識化アプタマーあるいは被験試料のいずれかを固定化した基板を用いて行うことも可能である。検出を定量的に行いたい場合は、定量的測定が可能なシグナルの種類と検出器の組合せを採用するとともに、含有量既知の標準KPNA2タンパク質を用いて前記シグナルと検出器との組合せにおいて予め検量線を作成し、サンプルに由来するシグナル量を当該検量線と照合することにより実施することができる。例えば、メンブレンフィルター又はプレート上にサンプルを吸着又は固定し、放射性ラベルしたRNAアプタマーを含む本発明の試薬を適用し、洗浄後の放射性シグナルを測定することにより検出が可能である。なお、検出は細胞に対して、又は細胞を含む組織に対して、in situで実施することもできる。
前記検出又は定量方法において、本発明のRNAアプタマーとサンプル中のKPNA2タンパク質との相互作用を測定する工程を含めることができる。相互作用の測定においては、表面プラズモン共鳴を用いること、好ましくはBiacore(登録商標)(GEヘルスケア社)システムなどのバイオセンサーシステムを用いることが挙げられる。相互作用解析のための測定は、センサーチップの金薄膜表面に本発明のアプタマーあるいは被験試料のいずれかを周知の方法で固定化し、これに被験試料あるいはアプタマーを添加することで行うことができる。
(9)KPNA2タンパク質を指標とした癌の検出
KPNA2はヒトの腫瘍や癌組織(例えば、悪性黒色腫、子宮頸癌、食道癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、脳腫瘍、肝臓癌、及び膀胱癌)において高く発現することから、上記の本発明の試薬、及び当該試薬を用いた検出方法を、それぞれ癌の検出用試薬、及び癌細胞の検出方法として用いることもできる。また、前記キットを癌細胞の検出用キットとすることもできる。癌細胞であるか否かの判定を補助するために、サンプルの由来する組織に応じて陰性対照として非癌正常組織を予め用意し、サンプルと共に併せて試験することができる。また、陽性対照として、サンプルの組織に応じて予め癌化したことが確認済の組織も更に並行して使用することができる。陽性対照及び/又は陰性対照と適宜組み合わせることにより、本発明の検出方法を癌の診断のための検出方法とすることができる。
(10)本発明のRNAアプタマーを含有するKPNA2タンパク質の機能阻害剤
本発明のRNAアプタマーは、例えば(4−1)〜(4−10)に記載されるように、KPNA2タンパク質に対して高い親和性で結合能を有し、その好ましい一態様は、(4−3)に記載のように、NLS含有タンパク質のKPNA2タンパク質を介した細胞核輸送に関して阻害活性を有するものである。当該阻害活性を有するRNAアプタマーを有効成分とする組成物は、KPNA2タンパク質に対する機能阻害剤として提供される。ここで、機能阻害とは、KPNA2タンパク質−KPNA2タンパク質結合性物質複合体の細胞核内への輸送阻害と言うことができる。所望される機能阻害の程度の例は、(4−3)に記載される阻害の割合が挙げられる。当該機能阻害剤に含まれる本発明のRNAアプタマーの濃度は、(8)に記載の試薬における濃度範囲と同じ範囲から適宜決定することができる。当該阻害剤には、pH緩衝剤等、必要に応じて補助成分を包含させることができる。当該機能阻害剤を生体から取り出した細胞又は組織に対して適用することにより、KPNA2タンパク質の細胞核内への輸送機能(核移行能)を阻害するin vitro又はex vivoの方法とすることができる。適用量は、細胞や組織の形状、性状、KPNA2タンパク質の想定発現レベル等に応じて適宜調製できる。例えば、生重量1gに対して、本発明の機能阻害剤を1〜300μL、3〜100μL、又は10〜30μLの範囲で適用することができる。
(11)本発明のRNAアプタマーを含有する細胞増殖阻害剤
本発明のRNAアプタマーを有効成分としてNLS含有タンパク質のKPNA2タンパク質を介した細胞核輸送を阻害した場合、アプタマー以外の手段によってNLS含有タンパク質の核輸送の選択的阻害を行った研究例の結果から類推して、細胞の恒常性維持が不可能となり、細胞増殖が阻害され、場合によっては完全に増殖が停止することが合理的に予想される。それゆえ、前記本発明のKPNA2タンパク質の機能阻害剤は、KPNA2タンパク質発現細胞に対する細胞増殖阻害剤とすることができる。また、前記機能阻害剤を用いたKPNA2タンパク質の細胞核内への輸送機能(核移行能)を阻害する方法は、KPNA2タンパク質を発現する細胞の増殖を抑制するためのin vivo又はex vivoの方法とすることができる。
(12)本発明のRNAアプタマーを有効成分として含有する医薬組成物
KPNA2はヒトの腫瘍や癌組織(例えば、悪性黒色腫、子宮頸癌、食道癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、脳腫瘍、肝臓癌、及び膀胱癌)において高く発現することから、上記の本発明の細胞増殖阻害剤を癌の治療及び/又は転移防止用等のための医薬組成物とすることができる。また、前記の細胞増殖阻害方法を生体に対して実施することによって、癌等の増殖性疾患の治療及び/又は癌の転移防止のための方法として用いることもできる。
本発明の医薬組成物は、注射剤、座剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤等の剤型とすることができる。癌の治療及び/又は転移防止を目的とする場合、標的特異的に作用させるために注射剤とするか、又はDDS技術を適用した製剤化をすることが望ましい。これらの製剤は、公知の方法で製造することができる。例えば、注射用の製剤とする場合は、無菌的に保存した本発明のRNAアプタマーの乾燥物又は保存溶液を、注射用の生理食塩水又は緩衝液によって溶解又は希釈して調製することができる。
本発明の癌の治療及び/又は転移防止用の医薬組成物としての有効成分となるRNAアプタマーの有効投与量は、患者の状態、症状など諸事情により適宜変更される。通常は0.001〜10mg/kg/日、好ましくは0.003〜1mg/kg/日、より好ましくは0.003〜0.1mg/kg/日、最も好ましくは0.003〜0.03mg/kg/日が挙げられる。これを1日1〜数回に分けて投与することができるが、逆に数日分の用量を1回に投与することにより投与間隔を2日〜4週間以内の範囲とすることもできる。
本発明の医薬の投与方法としては、特に限定されるものではない。投与方法としては注射剤を患部に直接注射することが好ましいが、これに限定されるものでは無い。DDS製剤を静脈注射することも可能である。
投与期間は、患者の病状に応じて適宜調整できる。ただし、癌等の細胞増殖性疾患は継続的なコントロールを要する疾患であるので、継続的な投与を行うことが適切であり、2週間以上、好ましくは4週間以上、より好ましくは8週間以上の期間を単位として投与が行われる。
投与期間中の投与用量は適宜調整できるが、継続的に一定量を投与するか、又は投与当初のみ比較的高用量で投与した後により少ない維持量の一定投与に移行する投与形態とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
実施例1 インポーチンタンパク質、及びNLSタンパク質
インポーチンαファミリーであるKPNA2タンパク質、KPNA1タンパク質、及び、インポーチン−β1タンパク質は、Imamotoら(Imamoto et al., EMBO J. (1995) vol. 14, pp. 3617-3626)、O'Neillら(O'Neill et al., Virology (1995) vol. 206, pp. 116-125)、Koseら(Kose et al., J. Cell Biol. (1997) vol. 139, pp. 841-849)の記載に沿って組換え体タンパク質として製造し、精製した。
細胞核輸送のモデル基質であるNLSタンパク質(GST−NLS−GFP)は、Nagoshiら(Nagoshi et al., Mol. Biol. Cell (1999) vol. 10, pp. 2221-2233)の記載に沿って組換え体タンパク質として製造し、精製した。
実施例2 RNAランダムライブラリーの作成
中央の60塩基をランダム領域とする一本鎖DNA(ssDNA)のランダムライブラリーをDNA自動合成機を用いて合成し、テンプレートDNAとした。同様に、DNA自動合成機を用いて以下の配列を有するDNAを合成し、5’プライマー及び3’プライマーとした。これらのプライマー、及びテンプレートDNAを使用して核酸をPCR法により増幅させた。
〔テンプレートDNA〕
5’- agtaatacgactcactataggatcctgagctactgac-N60-caccactactgaccatacac -3’(配列番号3)
(ここで、N60は、A、G、C又はTのいずれかの塩基がランダムに配置された60merの配列であることを示す。)
〔5’末端プライマー〕
5’- agtaatacgactcactataggatcctgagctactgac -3’(配列番号4)
〔3’末端プライマー〕
5’- gtgtatggtcagtagtggtg -3’(配列番号5)
なお、上記配列中、下線部分はいずれもT7プロモーター領域である。
PCRは、上記一本鎖DNAランダムライブラリー(約1014分子種)、5’末端プライマー及び3’末端プライマー各0.25μMを用いて行った。最初のライブラリーのDNA組成を維持して増幅させるため、PCRは8サイクルに限定した。
次いでT7 Ampliscribe kit (Epicentre Technologies)を用いて、in vitroでの転写を行い、増幅されたDNAランダムライブラリーをRNAランダムライブラリーに変換した。
実施例3 in vitroにおける選別
選別は、実施例2で得られたRNAランダムライブラリー16μg(約1014分子種)を用い、RNAランダムライブラリーと組換え体KPNA2タンパク質とをモル比で7:1の割合で含むRNA結合用緩衝液(10 mM HEPES, 150 mM NaCl, pH 7.4)中で行った。選別サイクルの間、タンパク質濃度は、高い親和性を有するRNA分子を選別するためにサイクルの後になるほど減少させた。RNAは、選別サイクルの後、95℃に加熱し、次いで安定な構造を形成させるため室温に冷却した。選別サイクルにおいては、非特異的に結合するRNAを除去するためコンペティターとしてtRNA(大腸菌の全tRNA(ロシュ社))を用いた。
室温で10分間、RNAとKPNA2タンパク質とインキュベートさせた後、タンパク質−RNA複合体を含む反応液を、“Pop-top”フィルターホルダー (Nucleopore社)中に固定化された予め湿されたニトロセルロース酢酸フィルター(HAWPフィルター、ポアサイズ0.45μm, Merck Millipore社)にアプライし、通過させた。次いで、フィルターを上記RNA結合用緩衝液1mlで洗浄した後、フィルター上に残ったRNAを溶出させ、従来法に従い回収した。回収されたRNAは、50 mM Tris-HCl (pH 8.3), 50 mM KCl, 10 mM MgCl2, 0.5 mM Spermidine, 10 mM DTT, 0.4 mM dNTPs, 0.4μM プライマー及び AMV 逆転写酵素 (WAKO) 25Uを含む反応混合物20μL中で逆転写させた。ヌクレオチドと酵素は、変性及びアニーリングステップ(室温で10分インキュベートに引き続き、90℃で2分)の後加えられた。逆転写は、37℃で45分行われた。
得られたcDNAはPCRにより増幅され、次の選別ラウンドにおけるRNAを得るための鋳型として用いられた。PCRによる増幅のために、逆転写後の混合物(cDNA反応産物)の20μLは、PCR用混合物(PrimeSTAR Max Premix (Takara, Japan), and 1 μM of each primer)80 μLで希釈された。反応混合物は、正しい分子サイズで結合する生産物を得るために、95°C for 20 s, 54°C for 10 s, and 72°C for 20 sの各サイクル後に電気泳動にて検出を試みた。
PCR産物は、一旦エタノール沈殿させた後に溶解させ、転写に用いた。in vitroにおける転写は、T7 Ampliscribe kit (Epicentre Technologies)を用いて、37℃、3時間行った。DNaseIで処理した後、8%変性ポリアクリルアミドゲルで分画された。RNAを上記ゲルから抽出してエタノール沈殿により精製した後に、定量し、次回の選別及び増幅サイクルに用いた。
選抜工程の中で、非特異的に結合するRNAの濃縮を避けるために、各世代の選別においてpre-filtrationが行われた。
実施例4 アプタマーの単離、及び配列同定
選抜されたアプタマーを単離するために、サイクル8で得られたPCR産物を、直接ベクターpCRII(Invitrogen社)にクローニングした。DNAは、アルカリミニプレップ法により個別のクローンから分離され、DNAシークエンサーを用いてその塩基配列が決定された。アプタマーの二次構造は、MFoldプログラムにより予想した。
上記取得したクローンの配列解析により、アプタマーは主にアプタマー76(配列番号1)及びアプタマー72(配列番号2)に大別された。
アプタマー76及びアプタマー72の配列は以下に示される。
〔アプタマー76〕
5’- ggauccugagcuacugacggguuaugugucaguccccagguaaugcugaggcuuuugguucauuuggccgguuguggcaccacuacugaccauacac -3’(配列番号1)
〔アプタマー72〕
5’- ggauccugagcuacugacuuugggucgaauugguuggcucgcccucuucuuggaauucaggagggcgauugaacggacaccacuacugaccauacac -3’(配列番号2)
アプタマー76とアプタマー72のプール中の存在比率は、それぞれ22%と4%であった。また、配列決定されたクローンの中で、マイナーな分子種としてアプタマー21(配列番号6)が同定された。
上記 MFoldプログラムにより計算したこれらアプタマーの二次構造モデルは、図2に示される。
実施例5 RNAアプタマーとKPNA2タンパク質との相互作用
KPNA2タンパク質とRNAアプタマーとの親和性をフィルター結合アッセイによって測定した。KPNA2タンパク質は実施例1の組換え体タンパク質を、RNAアプタマー(アプタマー76、72及び21)は実施例4のベクターにクローン化したDNAからT7RNAポリメラーゼで転写させた(手法は実施例3と同様)RNAを、それぞれ用いた。
解析は、Kumarらの方法(Kumar et al., Virology (1997) vol. 237, pp. 270-282)と同様の手法を用いた。同手法において、RNAアプタマーは0.5mCi/ml[α-32P]ATPにより標識して使用した。
結合反応では、モル濃度で10倍過剰の大腸菌tRNAを非特異的競争阻害剤として加え、20nMの標識化RNAアプタマーとマウスKPNA2タンパク質(246nM、492nM又は984nM)とを混合し結合させた。結合後、反応液をフィルターを通した。フィルターは1mLの上記RNA結合用緩衝液で洗浄し、空気中で乾燥させた後、フィルターに残留した標識RNAの放射活性を画像解析装置(BAS2000, 富士フイルム社製)で検出、定量化した(図3)。
アプタマー76とアプタマー72はともにKPNA2タンパク質と高い親和性を示し、その解離定数(K)はいずれも150nMであった。
さらに、ヒトKPNA2の組換え体タンパク質を用いて同様の実験を行ったところ、アプタマー76とアプタマー72はともにヒトKPNA2タンパク質とも高い親和性を示した。その解離定数(K)は、前記とほぼ同等であり、いずれも150nMであった。マウスKPNA2タンパク質と、ヒトKPNA2タンパク質とのアミノ酸配列を比較すると、その同一性は約94%である(Tsuji et al., FEBS Lett. (1997) vol. 416, pp. 30-34)。本発明のRNAアプタマーであるアプタマー76及び72は、いずれも、マウス及びヒト由来のKPNA2タンパク質に対して同程度の、高い結合親和性を示す。
一方、アプタマー21はKPNA2タンパク質との間に高い結合親和性が認められなかった。
実施例6 RNAアプタマーとKPNA1タンパク質又はKPNA2タンパク質との相互作用
前記実施例5と同様に、フィルター結合アッセイを行い、本発明のRNAアプタマーとKPNAタンパク質との相互作用を試験した。KPNAタンパク質としては、前記のKPNA2タンパク質のみならず、KPNA1タンパク質も用いた。20nMの標識化RNAアプタマーと反応させたKPNAタンパク質の濃度は、KPNA2タンパク質の場合に37、74、148、296又は592nMであり、KPNA1タンパク質の場合に72、144、288又は576nMであった。フィルター上で検出されたシグナルを図4a)に示す。
図示されるシグナル量から明らかなように、アプタマー76、アプタマー72はいずれもマウスKPNA1タンパク質との間で高い結合親和性を示さず、実質的にKPNA1タンパク質と結合能を有しないものと認められた。
また、KPNA2タンパク質を用いた場合について、検出されたシグナル強度から結合率を算出し、各KPNA2タンパク質濃度と結合率との関係を図4b)にプロットした。
なお、実施例5でアプタマー21についてKPNA2タンパク質との間で実質的な結合活性が認められなかったので、アプタマー21については本実施例以降の実施例で試験を行っていない。
実施例7 NLS含有タンパク質の細胞核内への輸送
NLS含有タンパク質の細胞核内への輸送は、HeLa細胞等の培養細胞を薬物で可溶化させ、標識化したモデル基質を添加した上でインキュベートし、当該モデル基質の細胞核内への輸送を確認する手法により試験できる(例えば、Adamら(Adam et al., J. Cell Biol. (1990) vol. 111, pp. 807-816)の方法)。本試験系の模式図が図5上段に示される。培養細胞(HeLa細胞等)は、ジギトニン(Digitonin)投与により可溶化された後、NLSタンパク質(GST−NLS−GFP)、インポーチンβ−1、及びインポーチンα−1(KPNA2)が添加された状態でインキュベートされる。ここで、GST−NLS−GFPはモデル基質であり、SV40ラージT抗原由来のNLSを包含するものである(実施例1)。NLSタンパク質は核輸送され、その核内局在性はGFPの蛍光が核に局在することにより確認される。
前記の実験系において、さらにインポーチンα−1と特異的に結合するアプタマーを添加することにより、核輸送能が阻害されるか否かを解析する実験が図5の下段において模式的に示される。インポーチンα−1に代えてインポーチンα−1−アプタマー複合体が添加された場合に、NLSタンパク質の核輸送能は阻害されれば、同タンパク質の細胞内の分布を示すGFPの蛍光は核局在性を示さなくなるか、低減した核局在性を示すようになる。
図6及び図7は、図5の模式図に示される実験系の具体的な結果を示す。各図において、HeLa細胞はスライドグラス上に播種された後、40μM/mLのジギトニン(ナカライテスク社)で5分間処理することにより可溶化された。可溶化細胞は、バッファーコントロールとなる実験(図6b)、及び図7b))を除き、インポーチンβ−1(600nM)及びNLSタンパク質(図中ではNLS−GFPと示す)(400nM)、及び、KPNA2タンパク質(400nM)(図6)又はKPNA1タンパク質(400nM)(図7)が添加された。さらに、図6c)及び図7c)の系ではアプタマー76(5μM)が、図6d)及び図7d)の系ではアプタマー72(5μM)が、図6e)及び図7e)の系では大腸菌のtRNA(5μM)が、それぞれ添加された。RNAアプタマー又はtRNAが添加される系においては、KPNAタンパク質とアプタマー又はtRNAとを予め5分間室温でインキュベートしたものが添加に用いられた。それぞれの系には、さらに、Ranタンパク質(4μM)、NTF2タンパク質(350nM)、GTP(0.5mM)及びATP再生系を添加されている。諸要素の添加後、37℃で8分間のインキュベートが行われ、次いで試料は5分間のホルムアルデヒド溶液(3.7%濃度)処理によって固定された。固定後、リン酸緩衝液(PBS)による2回の洗浄を行い、NLSタンパク質の局在性が倒立型蛍光顕微鏡で観察された。また、核内のGFPシグナルについて蛍光強度の測定も併せて行った。
図6では、a)とe)のパネルでのみGFPの蛍光シグナルの細胞核局在性が認められた。一方、c)とd)のパネルでは細胞核部分の蛍光シグナルが比較的弱く、細胞核局在性の低下が認められたことから、アプタマー76及び72には、それぞれ、KPNA2タンパク質の存在下で、NLS含有タンパク質のNLSを介した細胞核輸送を阻害する活性があることが確認された。
一方、図7では、バッファーコントロールであるb)のパネルを除き、全てのパネルでGFP蛍光シグナルの細胞核局在性が認められた。このことから、アプタマー76及び72には、KPNA1タンパク質の存在下で、NLS含有タンパク質のNLSを介した細胞核輸送を阻害する活性が確認されなかった。
実施例8 アプタマーによる細胞核輸送機能の定量化
アプタマーによるKPNA2タンパク質およびKPNA1タンパク質の核輸送能の阻害を定量化した。実施例7を通じて得られた蛍光顕微鏡画像についてimageJ解析ソフトウエア(Schneider et al., NIH Image to ImageJ: 25 years of image analysis. Nature Meth. (2012) vol. 9, pp. 671-675)を用い、細胞核の核質部分のヒストグラム解析により輝度の平均値を求め、コントロールであるアプタマーを加えない場合の平均値を1として換算した数値を求めた(図8a)及び図8b))。
その結果、KPNA2タンパク質に対してアプタマー76添加時は0.665(66.5%)(標準偏差0.056)に、アプタマー72添加時は0.714(71.4%)(標準偏差0.051)に、それぞれ輸送が低下した。前記コントロールにおける測定値のばらつきは標準偏差0.12程度であったので、アプタマー76又は72添加時に認められたこれらの低下は明らかな細胞核輸送機能の低下を示すものと言える。一方、KPNA2タンパク質に結合しないtRNA添加時は1.096(標準偏差0.13)であり、低下がみられなかった(図8a))。
また、KPNA1タンパク質に対しては、アプタマー76(1.079(標準偏差0.17))、アプタマー72(1.077(標準偏差0.20))及びtRNA(1.138(標準偏差0.14))のいずれの添加時にも低下は見られなかった(図8b))。
本発明のRNAアプタマーは、KPNA2タンパク質に対して特異的な結合能を有し、KPNA2タンパク質の検出、濃縮、精製、定量に使用できること、KPNA2タンパク質のNLSを介したNLS含有タンパク質の細胞核輸送活性を阻害できること、当該阻害作用によって細胞や組織の生理機能を調節できることから、生化学的試験における有用性はもちろんのこと、生理学的及び/又は薬理学的な有用性を有しており、さらに癌治療薬等の医薬としての有用性も備えている。よって、本発明は産業上利用可能性を有している。

Claims (21)

  1. ヒトKPNA2タンパク質に対して200nM以下の解離定数(K)を示す結合能をするRNAアプタマーであって、
    A)配列番号1に示される塩基配列を含む、又は
    B)配列番号1に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、RNAアプタマー。
  2. ヒトKPNA2タンパク質に対して200nM以下の解離定数(K)を示す結合能をするRNAアプタマーであって、
    A)配列番号2に示される塩基配列を含む、又は
    B)配列番号2に示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含むものである、RNAアプタマー。
  3. 化学修飾したヌクレオチドを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のRNAアプタマー。
  4. 各ピリミジンヌクレオチドにおけるリボース部位の2’位は、同一又は異なって、無置換であるか、又はフッ素原子、メトキシ基、アミノ基、2’,4’−BNA基、及び水素原子からなる群のいずれかの原子又は基で置換されていることを特徴とする、請求項に記載のRNAアプタマー。
  5. 3’末端及び/又は5’末端がインバーストデオキシチミジン(idT)又はポリエチ レングリコールにより修飾されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマー。
  6. 標識化されたものである、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマー。
  7. 機能性化合物が結合されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマー。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマーを固定してなる担体。
  9. 転写によって請求項1又は2に記載のRNAアプタマーに変換可能なDNA。
  10. 3’末端にRNAポリメラーゼ認識配列が付加されている、請求項に記載のDNA。
  11. RNAポリメラーゼ認識配列がT7プロモーター配列である、請求項10に記載のDNA。
  12. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマーを含む、KPNA2タンパク質検出用試薬。
  13. 生体由来のサンプルに対して、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマー、請求項記載の担体、又は請求項12記載の試薬を接触させる工程を含む、KPNA2タンパク質の検出方法。
  14. 生体由来のサンプルに対して、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマー、又は請求項12記載の試薬を適用することを特徴とする、KPNA2タンパク質を発現する細胞の検出方法。
  15. 癌細胞の検出方法である、請求項14に記載の検出方法。
  16. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマーを有効成分として含有する医薬組成物。
  17. 癌治療用組成物である、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマーを有効成分として含有する、KPNA2タンパク質発現細胞に対する細胞増殖阻害剤。
  19. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマーを有効成分として含有する、KPNA2タンパク質に対する機能阻害剤。
  20. KPNA2タンパク質の核移行能を阻害するためのin vitro又はex vivoの方法であって、生体由来のサンプルに対して請求項1〜のいずれか一項に記載のRNAアプタマー、又は請求項19記載のKPNA2タンパク質に対する機能阻害剤を適用する工程を含む、方法。
  21. KPNA2タンパク質を発現する細胞の増殖を抑制するためのin vitro又はex vivoの方法であって、生体由来のサンプルに対して請求項1〜のいずれか一 項に記載のRNAアプタマー、又は請求項19記載のKPNA2タンパク質に対する機能阻害剤を適用する工程を含む、方法。
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