以下、本発明に係る受電システムについて説明する。受電システムは、昇降装置の利用者(第三者)が、昇降装置のトラブル等に関する依頼や問い合わせを行った場合、直接担当者と会話できるよう、利用者の通話装置と担当者の通話装置とを接続するシステムである。尚、昇降装置にはエレベータ、エスカレータ等があるが、以下では、エレベータの受電システムを説明する。また、以下では、エレベータのかご内に滞在している利用者が、このエレベータに関する問い合わせを行う場合について説明する。
受電システムは、図1に示すように、公衆回線(電話回線)に接続されたサーバー(端末)10と、各エレベータを担当する担当者情報の組を複数組記憶するデータ記憶部(記憶部)40と、を備える。本実施形態の受電システム1では、サーバー10は、公衆回線(電話回線)に接続された処理サーバー3と、処理サーバー3に接続されたIVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)サーバー6とを含む。
本実施形態の受電システム1は、処理サーバー3に接続された遠隔監視ユニット5と、IVRサーバー6に接続された監視端末7と、IVRサーバー6に通信可能な客先端末(第三者の通話装置)8と、IVRサーバー6にそれぞれ通信可能な複数の技術員携帯端末(技術員端末)9とを備える。
尚、本実施形態の受電システム1では、データ記憶部40は処理サーバー3に接続されたデータサーバー4に備えられている。また、図1では一台のエレベータ2が示されているが、本実施形態の受電システム1は、複数のエレベータを備える。また、図1では一台の客先端末8が示されているが、本実施形態の受電システム1には、複数の客先端末8が通信可能である。さらに、図1では、4台の技術員端末9が示されているが、本実施形態の受電システム1には、5台以上の技術員端末9が通信可能である。
エレベータ2は、エレベータ2の動作状況に関する情報を出力する制御マイコン20、及び、昇降路を昇降するかご等を含む動作部21等を有する。本実施形態の受電システム1では、かごには、エレベータ2の動作状況に関する情報を出力可能な各種センサが設けられている。
制御マイコン20は、エレベータ2の動作状況に関する情報として、例えば、故障信号を遠隔監視ユニット5に出力可能である。制御マイコン20は、例えば、エレベータ2においてかご内の利用者の閉じ込め等が発生したときに、故障信号を遠隔監視ユニット5に出力する。
制御マイコン20から出力される故障信号は、エレベータ2自身の動作状況に対応づけられた信号である。例えば、故障信号は、かごの位置情報、かごのドアの開閉情報、かごを昇降させるモーターの駆動情報、及び、停電等を示すイベントコードである。
遠隔監視ユニット5は、制御マイコン20から故障信号が入力されると、故障信号の入力元のエレベータに関する情報(例えば、エレベータ2の機番)及び故障信号を、処理サーバー3、IVRサーバー6、及び、監視端末7に出力する。
客先端末(第三者の通話装置)8及び技術員端末9は、それぞれ、例えば、携帯電話や固定電話といった端末である。客先端末8は、例えば、エレベータ2を利用する利用者や、エレベータ2の管理者により所持される。技術員端末9は、例えば、出向の要請を受けると、エレベータ2のトラブルに対応するためにエレベータ2に出向する技術員により所持される。尚、以下、技術員のうちトラブル等の対応を担当する者、及び、技術員のうちトラブル等の対応が予定されている者を担当者と称する。
本実施形態の受電システム1では、客先端末8は、電話回線を介してIVRサーバー6に通信可能である。また、技術員端末9は、電話回線、基地局、及び、無線通信を介して客先端末8に通信可能である。この無線通信は、例えば、LTE、3G、4G、Wi−Fi等である。
監視端末7は、例えば、複数の地域に設置された多数のエレベータの監視を行う。また、監視端末7は、対象となるエレベータと離れた建物である監視センター等に設置されている。本実施形態の監視センターには、監視員(オペレータ)が常駐している。
監視端末7は、第三者の通話装置(客先端末8)と接続可能な監視員用の通話部(通話装置)70を備えている。通話部70が客先端末8と接続されることで、例えば、監視員は客先端末8を所持する利用者の問い合わせに対して応答することができる。
データサーバー4は、上述のように、データ記憶部40を備える。データ記憶部40は、書き換え可能である。また、データ記憶部40は、単一のエレベータに関する情報(例えば、エレベータ機番)、及びこのエレベータに関する情報に対応し且つ第三者の通話装置(例えば、客先端末8)との接続の優先順位が設定された複数の担当者情報の組を複数組記憶する。言い換えると、データ記憶部40では、各エレベータに対して複数の担当者情報が設定され、この複数の担当者情報において、客先端末8との接続優先順位は、少なくともエレベータに関する情報に対応して設定されている。
本実施形態の受電システム1では、複数の担当者情報の組のそれぞれは、単一のエレベータに対して複数設定された問い合わせ項目を含んでいる。また、この複数の問い合わせ項目のそれぞれに対して、複数の担当者情報が対応付けられ、問い合わせ項目毎に担当者情報の優先順位も設定されている。言い換えると、複数の担当者情報において、客先端末8との接続優先順位は、エレベータに関する情報及び問い合わせ項目に対応して設定されている。問い合わせ項目は、第三者から担当者に問い合わせる項目の内容であり、例えば、メンテナンス、故障、及び営業等である。
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、データ記憶部40が、担当者情報を優先順位から除外するか否かを示す項目として対応可否の項目を記憶している。この対応可否の項目は、処理サーバー3からの指示信号により変更可能である。この指示信号及び対応可否の具体的な例については後述する。
具体的に、データ記憶部40は、図2に示すような複数の担当者情報の組を記憶している。より具体的に、担当者情報は、それぞれ、エレベータ機番(エレベータに関する情報)、問い合わせ項目(例えば、メンテナンス、故障、及び営業)、優先順位(客先端末8との接続優先順位)、担当者氏名、担当者電話番号、及び、対応可否の項目を含む。尚、例えば、対応可否の項目に1がセットされている場合にこの担当者は着信に対して対応可能である旨を示し、対応可否の項目に0がセットされている場合にこの担当者は着信に対して対応不可である旨を示している。
尚、担当者情報は、各担当者の情報であり、例えば、「エレベータ機番0000001、問い合わせ項目メンテナンス、優先順位1位、担当者氏名A、担当者電話番号a、対応可否1」の一列のデータが一つの担当者情報である。担当者情報の組は、各エレベータ機番に対応する複数の担当者情報である。例えば、第一の担当者情報の組は、エレベータ機番0000001に対応する複数の担当者情報であり、第二の担当者情報の組はエレベータ機番0000002に対応する複数の担当者情報である。
IVRサーバー6は、図1に示すように、客先端末8に接続される場合に自動音声応答を行う応答部60と、自動音声応答のひな形(音声ガイダンスのひな形)等を記憶するIVR記憶部61と、を有する。
応答部60は、制御マイコン20から故障信号が入力されると、客先端末8からの着信があるまで待機する。応答部60は、客先端末8からの着信があると、例えば、この客先端末8に対してエレベータに関する情報の入力を要求する音声ガイダンスを行う。具体的に、応答部60は、音声ガイダンスとして、客先端末8に対して「問い合わせ対象のエレベータの機番を入力してください。エレベータの機番は、階床釦の上に記載されている7桁の番号です。」との音声アナウンスを行う。
応答部60は、この音声ガイダンスの後、エレベータに関する情報が入力されるまで、一定時間毎にこの音声ガイダンスを繰り返す。また、応答部60は、先ほどの音声ガイダンスの後、エレベータに関する情報が入力されると、入力されたエレベータに関する情報を処理サーバー3に出力する。
応答部60は、処理サーバー3から「客先端末8から入力されたエレベータに関する情報と、故障信号の入力元のエレベータに関する情報とが一致しない」旨の信号が入力されると、例えば、この客先端末8に対して、問い合わせ項目の入力を要求する音声ガイダンスを行う。具体的に、応答部60は、客先端末8に対して「お問い合わせの内容を入力してください。エレベータの空調、照明等のメンテナンスに関するお問い合わせの場合は1を、エレベータの内装など仕様変更について相談されたい場合は2を入力してください。」との音声アナウンスを行う。また、応答部60は、この音声ガイダンスの後、問い合わせ項目が入力されると、入力された問い合わせ項目を処理サーバー3に出力する。
IVR記憶部61は、書き換え可能である。また、IVR記憶部61は、自動音声応答のひな形(音声ガイダンスのひな形)に加えて、例えば、応答部60による音声ガイダンスに対して客先端末8から入力された情報を一時的に記憶する。
また、処理サーバー3は、第三者の通話装置(例えば、客先端末8)からエレベータに関する情報の入力があると、複数の担当者の通話装置のうち、データ記憶部40に記憶された複数の担当者情報の組から抽出された担当者情報の組における単一の担当者情報であって次候補の存在する担当者情報に基づく担当者の通話装置(例えば、技術員端末9のうち担当者により所持されるもの)と第三者の通話装置(例えば、客先端末8)とを接続する。
尚、同一のエレベータ機番及び同一の問い合わせ項目を含む担当者情報の組において、候補となっている担当者情報よりも優先順位の低い担当者情報が存在する場合に、候補となっている担当者情報は、次候補の存在する担当者情報であるといえる。例えば、「エレベータ機番0000001、問い合わせ項目故障、優先順位1位、担当者氏名D、担当者電話番号d、対応可否1」の担当者情報は、優先順位2位の担当者情報が存在するため、次候補の存在する担当者情報である。一方、「エレベータ機番0000001、問い合わせ項目故障、優先順位2位、担当者氏名C、担当者電話番号c、対応可否1」の担当者情報は、優先順位3位の担当者情報が存在しないため、次候補の存在する担当者情報ではない。
本実施形態の受電システム1では、処理サーバー3は、制御マイコン20からの故障信号(及び故障信号の入力元のエレベータに関する情報)が入力されると、故障信号の入力元のエレベータに関する情報に基づいて、データ記憶部40に記憶された複数の担当者情報の組から、エレベータに関する情報に対応する担当者情報の組を抽出する。
また、本実施形態の受電システム1では、処理サーバー3は、担当者の通話装置(例えば、技術員端末9)から着信拒否を示す旨の信号(着信拒否信号)が入力されると、この担当者の担当者情報を優先順位から除外する。例えば、処理サーバー3は、技術員端末9からIVRサーバー6を介して着信拒否信号が入力されると、データ記憶部40に記憶されている担当者情報の対応可否の項目に「0」を設定する。担当者からの着信拒否信号は、例えば、担当者が点検作業中等で手が離せない状態であったり、休暇中であったり、自宅待機中であったりする場合等に、処理サーバー3に入力される。
さらに、本実施形態の受電システム1では、処理サーバー3は、担当者の通話装置(例えば、技術員端末9)から着信拒否の解除を示す旨の信号が入力されると、この担当者の担当者情報を優先順位に復帰させる。例えば、処理サーバー3は、技術員端末9からIVRサーバー6を介して着信拒否の解除を示す旨の信号が入力されると、データ記憶部40に記憶されている担当者情報の対応可否の項目に「1」を設定する。
以下、処理部30について詳しく説明する。処理部30は、客先端末8から応答部60を介してエレベータに関する情報が入力されると、このエレベータに関する情報に対応するエレベータの制御マイコンから故障信号が出力されているか否か(客先端末8から入力されたエレベータに関する情報と、故障信号の入力元のエレベータのエレベータ登録番号が一致しているか否か)を判断する。
処理部30は、客先端末8から入力されたエレベータに関する情報と、故障信号の入力元であるエレベータに関する情報とが一致する場合に、データ記憶部40から担当者情報の組を抽出する。例えば、処理部30は、担当者データベースから、エレベータ機番が客先端末8から入力されたエレベータに関する情報と一致する担当者情報の組を抽出し、この担当者情報の組に含まれる対応可能な担当者のうち故障の問い合わせ項目に対応する担当者情報の組を抽出する。具体的に、処理部30は、客先端末8から入力されたエレベータに関する情報が「0000001」である場合、エレベータ機番が0000001であり且つ問い合わせ項目が故障である担当者情報の組(担当者氏名D、Cの担当者情報の組)を抽出する。
処理部30は、客先端末8から入力されたエレベータに関する情報に基づき抽出した担当者情報の組から、優先順位(優先順位の項目にセットされた順位)に基づき接続先となる担当者の担当者情報を選択し、さらに、この担当者情報に含まれる担当者が対応可能である場合(この担当者情報に含まれる対応可否の項目に「1」がセットされている場合)、この担当者の技術員端末9と客先端末8とを接続する。具体的に、処理部30は、抽出した「エレベータ機番0000001であり、問い合わせ項目が故障であり、担当者氏名D、Cである」担当者情報の組から、優先順位が最も高く且つ担当者が対応可能である担当者氏名Dの担当者情報を接続先の担当者情報として選択し、担当者Dが所持する技術員端末9dと客先端末8とを接続する。処理部30は、技術員端末9dと客先端末8とが繋がった場合(例えば、担当者Dが問い合わせに応答した場合)、処理を終了する。
尚、処理部30は、次候補の存在する担当者情報に基づく担当者の通話装置(例えば、技術員端末9d)と第三者の通話装置(例えば、客先端末8)とを接続できないときに、複数の担当者の通話装置のうち、次候補の担当者情報に基づく担当者の通話装置(例えば、技術員端末9c)と第三者の通話装置(例えば、客先端末8)とを接続する。
具体的に、処理部30は、技術員端末9dと客先端末8とが繋がらない場合(技術員端末9dを所持する技術員が客先端末8からの問い合わせに応答しない場合)、エレベータ機番が入力エレベータに関する情報と一致し、且つ、担当者情報に故障の問い合わせ項目が含まれると共に対応可能な担当者が他にあれば、即ち、次候補の担当者情報があれば、客先端末8と、次候補の担当者情報に含まれる担当者が所持する技術員端末9とを接続する。具体的に、担当者Dが問い合わせに応答しなかった場合、客先端末8と、次候補の担当者Cが所持する技術員端末9cとを接続する。担当者が問い合わせに応答したか否かは、例えば、呼び出し音又は話し中音が継続しているか、又は電源OFF等による不通を知らせるメッセージがガイダンスされているか、又は技術員端末9cから音声情報が出力されているか否かを客先端末8と接続する前に確認することで判断できる。
処理部30は、客先端末8と技術員端末9dとが繋がらない場合、次候補の担当者情報があれば、担当者が問い合わせに応答するまで、客先端末8と次候補の担当者情報に対応する技術員端末9との接続の処理を繰り返し、担当者が問い合わせに応答した時点で処理を終了する。尚、本実施形態の受電システム1では、客先端末8と技術員端末9dとが繋がらず、且つ、次候補の担当者情報がある場合に、次候補の担当者への接続の処理を行う際には、客先端末8からの呼び出しが15秒間続いた時点から客先端末8が担当者に繋がるまで、応答部60は、「担当者に転送しておりますので、そのまましばらくお待ちください。」との音声アナウンスを客先端末8に流す。
また、処理部30は、データ記憶部40が次候補の担当者情報を記憶していなければ、第三者の通話装置(例えば、客先端末8)と監視員用の通話装置(例えば、通話部70)とを接続し、処理を終了する。例えば、エレベータ機番0000001の故障に関する問い合わせについて、処理部30は、客先端末8と技術員端末9cとが繋がらない場合、次候補の担当者情報が無いため、客先端末8と通話部70とを接続し、処理を終了する。
以下、図3、図4のフローチャート図を用いて、本実施形態の受電システム1における処理の流れを説明する。
応答部60は、制御マイコン20から故障信号が入力されるまで待機し(S01においてNo)、故障信号が入力されると(S01においてYes)、客先端末8からの着信があるまで待機する(S02おいてNo)。
応答部60は、客先端末8からの着信があると(S02においてYes)、エレベータ機番の入力を要求する音声ガイダンスを客先端末8に流し(S03)、客先端末8からエレベータ機番が入力されない場合(S04においてNo)、一定時間毎にこの音声ガイダンスを繰り返す。
応答部60は、客先端末8からエレベータ機番が入力されると(S04においてYes)、入力されたエレベータ機番に関する情報を処理部30に出力する。
処理部30は、故障信号の入力元のエレベータ2の機番と、客先端末8から入力されたエレベータ機番とが一致すると(S05においてYes)、データ記憶部40から、この一致したエレベータ機番を含む担当者情報の組を抽出する(S06)。
処理部30は、S06において抽出した担当者情報の組から、優先順位に基づき接続先を選択し(例えば、最も優先順位の高い担当者情報を選択し(図4におけるS07))、対応が可能である場合(例えば、対応可否の項目に「1」がセットされている場合)、客先端末8とこの担当者の技術員端末9とを接続する(S09)。
処理部30は、技術員端末9が客先端末8からの問い合わせに応答すると(S10においてYes)、処理を終了する。
尚、処理部30は、故障信号の入力元のエレベータ2の機番と、客先端末8から入力されたエレベータ機番とが一致しないとき(図3におけるS05においてNo)、応答部60に対して問い合わせ項目の入力を要求する音声ガイダンスを客先端末8に流すよう指示信号を出力し(S11)、客先端末8から問い合わせ項目が入力されない場合(S12においてNo)、一定時間毎にこの音声ガイダンスを繰り返させる。
応答部60は、客先端末8から問い合わせ項目が入力されると(S12においてYes)、入力された問い合わせ項目に関する情報を処理部30に出力する。
処理部30は、S04において客先端末8から入力されたエレベータ機番と、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組とを比較し(S13)、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組に含まれるエレベータ機番に、客先端末8から入力されたエレベータ機番と一致するものがある場合(S14においてYes)、データ記憶部40から、この一致したエレベータ機番を含む担当者情報の組を抽出する(S15)。
処理部30は、S15において抽出した担当者情報の組から、問い合わせ項目が一致する担当者情報の組をさらに抽出し(図3におけるS16)、S16において抽出した担当者情報の組から優先順位に基づき接続先となる担当者情報を選択する(例えば、最も優先順位の高い担当者情報を選択する、S07)。
処理部30は、S07で選択した接続先が対応可能である場合(S08においてYes)、客先端末8とこの担当者の技術員端末9とを接続し(S09)、技術員端末9が客先端末8からの問い合わせに応答すると(S10においてYes)、処理を終了する。
尚、処理部30は、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組に含まれるエレベータ機番に、客先端末8から入力されたエレベータ機番と一致するものが無い場合(図3におけるS14においてNo)、エレベータ機番の入力を要求する音声ガイダンスを客先端末8に流し(S03に戻り)、一連の処理を繰り返す。
また、処理部30は、客先端末8と技術員端末9とを接続したにもかかわらず(図4におけるS09)、技術員端末9が客先端末8からの問い合わせに応答しないとき(S10においてNo)、図3におけるS06又は図4におけるS16において抽出した担当者情報の組に次候補の担当者情報がある場合(S17においてYes)、優先順位に基づき次候補の接続先を選択し(S07に戻り)、技術員端末9が客先端末8からの問い合わせに応答するまで、一連の処理を繰り返す。尚、応答部60は、この処理の繰り返し中に客先端末8からの呼び出しが15秒間続いた時点から客先端末8が担当者に繋がるまで、「担当者に転送しておりますので、そのまましばらくお待ちください。」との音声アナウンスを客先端末8に流す。
尚、処理部30は、S06またはS16において抽出した担当者情報の組に次候補の担当者情報が無い場合(S17においてNo)、客先端末8と監視端末7の通話部70とを接続し、処理を終了する。
以上の受電システム1によれば、客先端末8から、エレベータ2に関する情報(例えば、エレベータ2の機番)が入力されると、客先端末8と技術員端末9との間で中継を行わなくても、客先端末8と担当者の通話装置(技術員端末9)とが自動的に接続される。その結果、エレベータ2に関する依頼や問い合わせを受けてからの対応を迅速に行うことができる。しかも、客先端末8と担当者との間での中継が必要無いため、中継を行っていた者(例えば、監視員)の負担を減らすことができる。
また、客先端末8が技術員端末9に接続できない場合(例えば、客先端末8と技術員端末9とを接続したにもかかわらず、技術員端末9が客先端末8からの問い合わせに応答しない場合)には、次候補の技術員端末9に接続されるため、客先端末8は技術員端末9に直接繋がる。そのため、最初の技術員端末9に接続されなかったとしても、次候補の技術員端末に接続されれば、エレベータ2の利用者が直接担当者(技術員)に対して、エレベータ2に関する依頼や問い合わせを行うことができるため、担当者(技術員)に必要な情報を漏れなく伝えることができる。
本実施形態の受電システム1では、エレベータ機番及び問い合わせ項目(例えば、メンテナンス、故障、営業)に対応して、担当者の所持する技術員端末9の接続優先順位が設定されており、客先端末8はこの優先度が高い技術員端末9から順に接続されるため、各エレベータ及び各問い合わせの内容より適した担当者が問い合わせに対応することができる。
また、本実施形態の受電システム1では、次候補の担当者がいない場合であっても(S17においてNo)、客先端末8が監視端末7の通話部70と接続されるため(S18)、監視員は、エレベータ2に関する依頼や問い合わせに対応することができる。
さらに、本実施形態の受電システム1では、故障信号が出力されるトラブル(かご内への利用者の閉じ込め等)がエレベータ2に生じた場合、客先端末8により問い合わせ項目が選択されなくても、故障信号に応じたエレベータ2(故障信号の入力元であるエレベータ2)に対応する担当者情報の組をデータ記憶部40から抽出することで、担当者情報の抽出(接続先とする技術員端末9の抽出)が迅速に行われるため、かご内への利用者の閉じ込め等の重大なトラブルに対して迅速に対応することができる。
本実施形態の受電システム1では、処理サーバー3に、例えば、技術員端末9bからの着信拒否信号が入力されると、技術員端末9bに対応する担当者情報を優先順位から除外するため(担当者氏名Bを含む担当者情報の組における対応可否の項目に「0」をセットするため)、着信に対応できない担当者B(着信拒否信号を入力した担当者)が所持する技術員端末9bに無駄な接続を行うことを防ぐことができる。
また、本実施形態の受電システム1では、担当者と繋がらない(客先端末8と接続できない、又は、担当者が客先端末8からの問い合わせに応答しない)場合には、次候補の担当者と繋ぐことができるため、エレベータ2の利用者が担当者と繋がらず依頼等を行うことができないというトラブルを防止できる。
尚、本発明の受電システム1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
例えば、処理部30は、制御マイコン20から入力された故障信号に基づいて、問い合わせが故障に関するものであると判断していたが(データ記憶部40に記憶された複数の担当者情報の組から、問い合わせ項目を故障として担当者情報の組を抽出していたが)、客先端末8からの入力情報に基づいて、問い合わせが故障に関するものであると判断してもよい。以下、この場合の処理について図5のフローチャート図を用いて説明する。
応答部60は、客先端末8からの着信があるまで待機し(S20においてNo)、客先端末8からの着信があると(S20においてYes)、客先端末8に対して、エレベータ機番及び問い合わせ項目の入力を要求する音声ガイダンスを行う(S21)。具体的に、応答部60は、客先端末8に対して「エレベータの機番を入力し、さらにお問い合わせの内容を入力してください。エレベータの空調、照明等のメンテナンスに関するお問い合わせの場合は1を、エレベータの内装など仕様変更について相談されたい場合は2を、エレベータの故障などについてのお問い合わせの場合は3を入力してください。」との音声アナウンスを行う。
応答部60は、客先端末8からエレベータ機番及び問い合わせ項目が入力されるまで(S22においてNo)、一定時間毎にこの音声ガイダンスを繰り返し(S21)、客先端末8からエレベータ機番及び問い合わせ項目が入力されると(S22においてYes)、入力されたエレベータ機番及び問い合わせ項目に関する情報を処理部30に出力する。
処理部30は、客先端末8から入力されたエレベータ機番と、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組とを比較し(S23)、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組に含まれるエレベータ機番に、客先端末8からエレベータ機番と一致するものがある場合(S24においてYes)、データ記憶部40から、この一致したエレベータ機番を含む担当者情報の組を抽出し(S25)、図4のS16からの一連の処理(抽出した担当者情報の組から問い合わせ項目が一致する担当者情報の組を抽出し、優先順位の高い担当者情報を選択し、客先端末8と技術員端末9又は監視端末7とを接続させるという一連の処理)に進む。
尚、処理部30は、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組に含まれるエレベータ機番に、客先端末8から入力されたエレベータ機番と一致するものが無い場合(図5におけるS24においてNo)、エレベータ機番及び問い合わせ項目の入力を要求する音声ガイダンスを客先端末8に流し(S21に戻り)、一連の処理を繰り返す。
この場合であっても、客先端末8から、エレベータ2に関する情報(例えば、エレベータ2の機番)及び問い合わせ項目が入力されると、客先端末8と担当者(技術員)との間で中継を行わなくても、問い合わせ内容により適した担当者の通話装置と客先端末8とが自動的に接続される。そのため、問い合わせ内容により適した担当者が、エレベータ2に関する依頼や問い合わせについて迅速に対応することができる。
上記実施形態の受電システム1では、処理部30が、客先端末8から入力されたエレベータ機番及び問い合わせ項目に基づいて、データ記憶部40から担当者情報の組を抽出する際に、エレベータ機番を用いて担当者情報の組を抽出した後、この抽出した担当者情報の組から問い合わせ項目を用いて担当者情報の組を抽出していたが(図3におけるS13〜S15、図4におけるS16)、データ記憶部40から担当者情報の組を抽出する際に、エレベータ機番及び問い合わせ項目の両方を用いて担当者情報の組を抽出してもよい。具体的には、処理部30は、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組とエレベータ機番及び問い合わせ項目とを比較し、データ記憶部40に記憶された担当者情報の組に含まれるエレベータ機番及び問い合わせ項目に、客先端末8からエレベータ機番及び問い合わせ項目と一致するものがある場合、この一致したエレベータ機番及び問い合わせ項目を含む担当者情報の組を抽出する。
また、上記実施形態の受電システム1では、各エレベータで担当者の優先順位が異なっていたが、複数のエレベータで担当者の優先順位が共通していてもよい。また、各エレベータにおける各問い合わせ項目で担当者の優先順位が異なっていたが、各エレベータにおける複数の問い合わせ項目で担当者の優先順位が共通していてもよい。
データ記憶部40は、担当者情報に含まれる問い合わせ項目として、メンテナンス、故障、及び営業の三つの項目を記憶していたが、これらの一部を記憶してもよいし、他の問い合わせ項目を記憶していてもよい。また、データ記憶部40は、担当者情報に含まれるエレベータに関する情報として、エレベータ機番を記憶していたが、各エレベータに対応付けられた識別番号(ID)等を記憶していてもよい。さらに、データ記憶部40は、担当者情報に含まれる情報として、担当者氏名及び担当者電話番号を記憶していたが、少なくとも担当者への連絡先(例えば、担当者電話番号)を記憶していればよい。
応答部60により用いられる自動音声応答のひな形(音声ガイダンスのひな形)は、IVR記憶部61以外の記憶部、例えば、データ記憶部40等により記憶されていてもよい。
担当者は、点検作業中等で手が離せない状態等である場合に着信拒否信号を入力していたが、着信拒否信号に加えて、着信拒否の理由に関する情報(点検作業中等の情報)を入力してもよい。この場合、例えば、前候補の担当者の所持する技術員端末9が対応不可能であり(前候補の担当者が着信拒否信号を入力し)、次候補の担当者の所持する技術員端末9と客先端末8とを接続するときに、次候補の担当者が所持する技術員端末9に、前候補の担当者が対応できない理由(点検作業中等の情報)を出力させてもよい。尚、前候補の技術員端末9が対応可能であるにもかかわらず、この技術員端末9が客先端末8に応答せず、次候補の担当者の所持する技術員端末9と客先端末8とを接続するときには、次候補の担当者が所持する技術員端末9に、前候補の担当者が応答しない旨の情報を出力させてもよい。
また、技術員端末9が、着信拒否の信号やこの信号を解除する信号を処理サーバー3に出力する以外にも、別の構成がこれらの信号を処理サーバー3に出力してもよい。例えば、担当者を管理する管理者の端末が、これらの信号を処理サーバー3に出力してもよい。
制御マイコン20と処理サーバー3とは、公衆回線(電話回線)を介して接続されていたが、図6に示すように、電話回線の代わりにインターネットを介して接続されていてもよい。尚、受電システム1は、遠隔監視ユニット5を含まなくてもよい。
上記実施形態の受電システム1は、複数の担当者情報の組を記憶するデータサーバー4と、担当者情報の抽出を行う処理サーバー3と、客先端末8に対する自動音声応答を行うIVRサーバー6とを備えていたが、例えば、複数の担当者情報の組を記憶すると共に抽出し、且つ、自動音声応答も行う一つのサーバーを備えていてもよいし、これら三つの処理のうち二つの処理を行うサーバーと、残りの一つの処理を行うサーバーとを備えていてもよい。
上記実施形態の受電システム1は、複数台のエレベータを備えていたが、一台のエレベータを備えていてもよい。また、受電システム1は、複数台の客先端末8及び複数台の技術員端末9に通信可能であったが、一台の客先端末8及び複数台の技術員端末9に通信可能であってもよい。
また、上記実施形態の受電システム1は、エレベータを対象としていたが、エスカレータを対象としてもよい。