以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
図2は、実施形態にかかる暖房便座装置の制御構成を表すブロック図である。
図1に表したトイレ装置10は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた暖房便座装置100と、を備える。暖房便座装置100は、便座200と、便蓋300と、暖房便座機能部400と、を有する。便蓋300は、暖房便座装置100に必要に応じて設けられ、省略可能である。便座200と便蓋300とは、暖房便座機能部400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
ここで、本願明細書においては、便座200に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座200に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋300に背を向けて便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、後方を向いて便器800の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
便器800は、ボウル部801を有する。ボウル部801は、下方に凹む凹状である。便器800は、ボウル部801において使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
便座200は、ボウル部801を露呈させる開口部200aを有する。便座200は、ボウル部801の外縁を囲むように便器800の上に設けられ、開口部200aを介してボウル部801を露呈させる。これにより、使用者は、便座200に座った状態でボウル部801に排泄を行うことができる。この例では、貫通孔状の開口部200aが形成された、いわゆるO型の便座200を示している。便座200は、O型に限ることなく、U字型などでもよい。開口部200aは、貫通孔状に限ることなく、切り欠き状でもよい。使用状態(使用者が着座可能な状態)の便座200を上方から見た形状は、環状又はU字状である。
図2に表したように、便座200は、加熱部210と、温度検知センサ220と、を内蔵する。加熱部210は、便座200の内部に設けられる。加熱部210は、通電に応じて発熱することにより、便座200を内側から暖める。加熱部210は、いわゆるヒータである。加熱部210には、例えば、抵抗加熱手段や、電磁誘導によって加熱を行う誘導加熱手段などが用いられる。
温度検知センサ220は、便座200の例えば着座面(使用者のおしりが接する面)SFの温度を検知する。実施形態において便座200の温度とは着座面SFの温度のことをいうものとする。着座面SFの温度は、温度検知センサ220で検知された温度のほか、検知された温度から計算される着座面SFの温度であってもよい。
暖房便座機能部400は、制御部410を有する。制御部410は、温度検知センサ220からの検知信号に基づいて加熱部210への通電量を制御する。また、暖房便座機能部400は、例えば、着座検知センサ420と、人体検知センサ430と、入室検知センサ440と、室温検知センサ460と、をさらに有する。着座検知センサ420は、便座200への使用者の着座を検知する。人体検知センサ430は、便座200の前方にいる使用者を検知する。入室検知センサ440は、トイレ室への使用者の入室を検知する。室温検知センサ460は、トイレ室の室温を検知する。
着座検知センサ420は、使用者が便座200に着座する直前において便座200の上方に存在する人体や、便座200に着座した使用者を検知することができる。着座検知センサ420は、便座200に着座した使用者だけではなく、便座200の上方に存在する使用者を検知してもよい。このような着座検知センサ420としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。着座検知センサ420は、使用者が着座した際の荷重によってON/OFFが行われるスイッチであってもよい。着座検知センサ420は、使用者の着座を検知した際には、制御部410に着座を検知した旨の信号SG3を出力する。
人体検知センサ430は、便器800の前方にいる使用者、すなわち便座200から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ430は、トイレ室に入室して便座200に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサ430としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。人体検知センサ430は、人体を検知した際には、制御部410に人体を検知した旨の信号SG1を出力する。
入室検知センサ440は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサ440は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。
このような入室検知センサ440としては、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検知するセンサなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。入室検知センサ440は、人体を検知した際には、制御部410に人体を検知した旨の信号SG2を出力する。
室温検知センサ460は、トイレ室の室温を検知して、室温の情報を含む信号SG4を制御部410に出力する。
図1に表したトイレ装置10では、暖房便座機能部400の上面に凹設部441が形成され、この凹設部441に一部が埋め込まれるように入室検知センサ440及び室温検知センサ460が設けられている。
入室検知センサ440は、便蓋300が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓301を介して使用者の入室を検知する。また、着座検知センサ420及び人体検知センサ430は、暖房便座機能部400の前方の中央部に設けられている。ただし、着座検知センサ420、人体検知センサ430、及び入室検知センサ440の設置形態は、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、室温検知センサ460は、暖房便座機能部400の内部に限定されず、例えば暖房便座機能部400とは別体として設けられたリモートコントローラなどの操作部600の内部に設けられていてもよい。室温検知センサ460は、トイレ室の室温を検知できればよい。
暖房便座機能部400は、便蓋300を開閉させる便蓋駆動装置450をさらに有する。便蓋駆動装置450は、例えば、便蓋300が暖房便座機能部400に対して軸支された位置の近傍に設置され、制御部410からの信号により便蓋300を開閉させる。
便蓋300の開閉動作は、暖房便座機能部400とは別体として設けられた操作部600により操作できるようにしてもよい。この場合、制御部410は、操作部600から送信された信号に基づいて便蓋駆動装置450の駆動を制御し、便蓋300を開閉する。
また、暖房便座機能部400は、衛生洗浄装置としての機能部を併設してもよい。すなわち、暖房便座機能部400は、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて水(お湯や冷水)を噴出する図示しない吐水ノズルを有する衛生洗浄機能部などを適宜備えてもよい。
さらに、暖房便座機能部400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、暖房便座機能部400の側面には、脱臭ユニットからの排気口443及び室内暖房ユニットからの排出口445が適宜設けられる。ただし、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
便器800や暖房便座装置100は、操作部600で受け付けた使用者の指示によってコントロールされる。操作部600には、便蓋300の開閉ボタン、便器800に洗浄水を流す洗浄ボタン、動作モードを設定、変更するためのボタン、暖房便座装置100の各種設定(設定温度、待機温度、水温、水勢、吐出位置など)や吐水開始、吐水停止、乾燥機能の開始、停止等を行うボタンBPが設けられている。また、操作部600には、設定内容や動作状況を表示する表示部DPや、状態を報知するスピーカ等の出力部OPが設けられていてもよい。
制御部410は、非使用時には加熱部210への通電を停止または通電量を小さくして便座200の着座面SFを低めの温度に設定し、使用時には加熱部210への通電量を大きくして便座200の着座面SFを急速加熱することにより、着座面SFを適温に昇温させる即暖運転モードを実行することができる。
制御部410は、加熱部210への通電量を抑えた待機状態において、人体検知センサ430の検知結果を基に、使用者の検知を行う。制御部410は、人体検知センサ430によって使用者を検知すると、加熱部210への通電量を大きくし、操作部600などで予め設定された設定温度に便座200の着座面SFの温度を加熱する。
この際、人体検知センサ430による使用者の検知から使用者が便座200に着座するまでの時間を統計によって予め求めておく。制御部410は、この時間よりも短い時間で設定温度までの加熱を完了させる。これにより、着座面SFの温度が低い状態のまま使用者が便座200に着座してしまうことを抑制することができる。待機状態の温度から設定温度への急速な加熱を使用者に体感させてしまうことを抑制することができる。
制御部410は、例えば、温度検知センサ220の検知結果を基に、着座面SFの温度が設定温度まで上昇したか否かを判定する。制御部410は、設定温度まで上昇したことを確認すると、着座面SFの温度が設定温度に実質的に一定となるように、加熱部210への通電量を制御する。すなわち、制御部410は、着座面SFの温度を設定温度まで上昇させた後、着座面SFの温度を設定温度に保温する制御を行う。これにより、快適な温度の便座200を使用者に提供することができる。
また、制御部410は、例えば、着座検知センサ420の検知結果を基に、使用者が便座200から離れたこと検知し、この検知に応答して、着座面SFの温度を設定温度から待機状態の温度に下げる。
制御部410は、即暖運転モードに限ることなく、例えば、着座面SFの温度を常に設定温度に保温する保温運転モードを行ってもよい。制御部410は、例えば、即暖運転モードや保温運転モードなどの複数の運転モードを切り替えられるようにしてもよい。
図3は、実施形態にかかる便座を表す分解斜視図である。
図4は、実施形態にかかる便座の一部を表す部分断面図である。
図4は、図1のA1−A2線断面を表す。
図3及び図4に表したように、便座200は、着座部230と、底部240と、荷重支持部250と、を有する。
着座部230は、着座面SFと、着座面SFの反対側の裏面BFと、を有する。底部240は、裏面BFと対向する対向面FFを有する。裏面BFと対向面FFとの間には、裏面BFと対向面FFとで囲まれた空間が設けられる。すなわち、底部240は、対向面FFで裏面BFを覆うことにより、裏面BFと対向面FFとで囲まれた空間(以下、内部空間SPと称す)を形成する。換言すれば、着座部230と底部240とは、便座本体を構成する。便座本体は、着座部230と底部240とを有し、かつ裏面BFと対向面FFとで囲まれた内部空間SPを有する。荷重支持部250は、内部空間SP内に設けられ、着座部230を支持する。
また、上述のように、便座200は、加熱部210を有する。加熱部210は、内部空間SP内において、着座部230の裏面BFに設けられる。加熱部210は、例えば、シート状であり、裏面BFに貼り付けられる。加熱部210は、例えば、裏面BFの略全体に設けられ、着座部230の略全体を内側から温める。
着座部230、底部240、及び荷重支持部250のそれぞれは、開口部230a、240a、250aを有する。着座部230及び底部240を上方から見た形状は、便座200を上方から見た形状と実質的に同じである。すなわち、着座部230及び底部240を上方から見た形状は、環状又はU字状である。着座部230の開口部230a及び底部240の開口部240aによって、便座200の開口部200aが形成される。
この例において、荷重支持部250を上方から見た形状は、着座部230及び底部240と同様に、環状である。これに限ることなく、荷重支持部250は、例えば、環状の着座部230及び底部240に対してU字状に形成してもよい。また、この例では、着座部230及び底部240の外縁に沿って連続した1つの荷重支持部250を設けている。これに限ることなく、荷重支持部250は、複数のパーツに分かれていてもよい。換言すれば、便座200は、複数の荷重支持部250を有してもよい。
着座部230は、下方に開口した開口箱状である。着座部230の断面形状は、略円弧状である。着座部230は、円弧状に湾曲した板状である。底部240は、着座部230の開口端を塞ぐ。これにより、着座部230と底部240とによって、内部空間SPが形成される。これとは反対に、底部240を上方に開口した開口箱状とし、底部240の開口端を着座部230で塞ぐようにしてもよい。すなわち、着座部230及び底部240の少なくとも一方を開口箱状とし、他方で開口端を塞ぐ。これにより、内部空間SPの形成が可能になる。
着座部230と底部240とは、例えば、振動溶着によって互いに接合される。着座部230及び底部240には、例えば、ポリプロピレン(PP)、ABS(アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの共重合合成樹脂)、又はポリカーボネート(PC)などの熱可塑性樹脂が用いられる。これにより、着座部230及び底部240の振動溶着が可能になる。例えば、着座部230及び底部240にPPを用いる。これにより、便座200の製造コストを抑えることができる。また、底部240の材料は、例えば、着座部230の材料と同じである。これにより、着座部230と底部240とを振動溶着によって接合し易くすることができる。底部240の材料は、着座部230の材料と異なってもよい。
着座部230と底部240との接合は、振動溶着に限ることなく、他の溶着方式でもよいし、接着剤を用いた接着などでもよい。あるいは、ネジなどの保持部材を用いて取り付けてもよいし、係合爪などを互いに係合させることによって取り付けてもよい。但し、ネジや係合爪などを用いて底部240を着座部230に取り付けた場合には、着座部230と底部240との接合面をシーリング材などで埋め、内部空間SPに水などが浸入しないようにすることが好ましい。内部空間SPは、密閉されることが好ましい。
着座部230は、例えば、環状又はU字状の上板部231と、上板部231の外縁から下方に延びる外縁部232と、上板部231の内縁から下方に延びる内縁部233と、を有する。
上板部231の厚さt1は、例えば、1mm以上3mm以下である。より好ましくは、1.5mmである。これにより、上板部231において、適切な強度を得ることができるとともに、上板部231の熱容量を小さくし、着座部230の加熱にともなう消費電力を抑えることができる。特に、即暖運転モードで着座部230の加熱を行う場合には、上記の範囲に厚さt1を設定することにより、急速加熱時の消費電力を抑え、かつ温度上昇に必要となる時間を短くすることができる。
外縁部232の厚さt2は、例えば、4mm以上8mm以下である。内縁部233の厚さt3は、例えば、4mm以上8mm以下である。厚さt2、t3は、より好ましくは、6mmである。外縁部232の厚さt2及び内縁部233の厚さt3は、上板部231の厚さt1よりも厚く設定される。これにより、例えば、着座部230と底部240とを振動溶着させる際に、適切な接合面を得ることができる。着座部230と底部240とを適切に接合することができる。また、上記の範囲に厚さt2及びt3を設定することにより、着座部230の熱容量の増加を抑えることができる。
底部240の対向面FFには、荷重支持部250を取り付けるための複数の取付部240bが設けられている。各取付部240bは、例えば、対向面FFから上方に向かって突出した略円柱状のボスである。各取付部240bは、例えば、ネジ穴を有する。
荷重支持部250には、底部240の各取付部240bに対応して設けられた複数の被取付部250bを有する。各被取付部250bは、例えば、ネジを挿通するための貫通孔である。荷重支持部250は、例えば、対向面FFの上に載置し、各取付部240b及び各被取付部250bを介して上方からネジ止めすることにより、底部240に取り付けられる。
このように、荷重支持部250は、底部240に取り付けられる。従って、着座部230と底部240との振動溶着を行う場合には、荷重支持部250は、底部240と一体になって動く。なお、荷重支持部250の取り付け方法は、ネジ止めに限ることなく、荷重支持部250を底部240に取り付け可能な任意の方法でよい。
荷重支持部250には、例えば、PPなどの樹脂材料が用いられる。荷重支持部250の材料は、例えば、底部240の材料と実質的に同じである。荷重支持部250の材料は、底部240の材料と異なってもよい。
荷重支持部250は、第1板部251と、複数の第2板部252と、を有する。第1板部251は、着座部230の裏面BFと平行な方向に延び、内部空間SPの一部を上下に仕切る。各第2板部252は、底部240の対向面FFに対して垂直な方向に延びる。また、各第2板部252は、底部240の対向面FFに当接する下端252aと、第1板部251よりも上方に位置する上端252bと、を有する。各第2板部252の上端252bは、裏面BFに近接して配置される。各第2板部252は、例えば、内部空間SPの一部を横方向に仕切る。
第1板部251と裏面BFとの間には、隙間が設けられる。同様に、各第2板部252と裏面BFとの間には、隙間が設けられる。すなわち第1板部251及び各第2板部252は、裏面BFから離間する。荷重支持部250は、裏面BFから離間する。
上述のように、着座部230には、熱可塑性樹脂などの樹脂材料が用いられる。着座部230は、弾性を有し、使用者の着座時に下方に撓む。各第2板部252は、下方に撓んだ着座部230の裏面BFに上端252bを当接させる。このように、荷重支持部250は、各第2板部252によって着座部230を支持する。
ここで、本願明細書において、「方向に延びる」とは、その方向に完全に一致する場合に限ることなく、その方向に延びる成分を有する場合も含むものとする。すなわち、第1板部251は、少なくとも裏面BFと平行な方向に延びる成分を有していればよい。第1板部251の延びる方向は、裏面BFに対して傾斜していてもよい。各第2板部252は、少なくとも対向面FFに対して垂直な方向に延びる成分を有していればよい。各第2板部252の延びる方向は、対向面FFと垂直な方向に対して傾斜していてもよい。また、各第2板部252のそれぞれの延びる方向は、異なっていてもよい。換言すれば、各第2板部252は、平行でもよいし、非平行でもよい。
また、本願明細書において、「当接」とは、直接的に接触する場合に限ることなく、他の部材を介して機械的に接触する場合も含むものとする。例えば、第2板部252の下端252aは、対向面FFに貼り付けられたシート状の部材(例えばラベルなど)を介して対向面FFに接触してもよい。
第1板部251は、裏面BFと平行な方向に延びるとともに、対向面FFの外縁に沿って延びる。第1板部251は、例えば、対向面FFの外縁に沿って延びる環状である。荷重支持部250の開口部250aは、例えば、第1板部251の内縁によって形成される。
荷重支持部250は、例えば、幅方向に並ぶ2つの第2板部252を有する。ここで、「幅方向」とは、より詳しくは、第1板部251の着座部230及び底部240の外縁に沿って延びる方向(図4において紙面と直交する方向)と上下方向とに対して垂直な方向(図4において紙面の左右方向)である。
幅方向に並ぶ2つの第2板部252は、対向面FFの外縁に沿って延びる。これにより、便座200の内部空間SPは、これら2つの第2板部252によって、概ね3つの領域に分けられる。すなわち、内部空間SPは、内側に位置する第2板部252よりも内側の第1領域R1と、2つの第2板部252の間の第2領域R2と、外側の位置する第2板部252よりも外側の第3領域R3と、に分けられる。
第1領域R1は、内部空間SPにおいて、最も内側に位置する第2板部252よりも内側の領域である。換言すれば、第1領域R1は、複数の第2板部252によって分けられる内側空間SPの複数の領域のうちで、最も内側の領域である。第1領域R1の容積は、内部空間SP全体の容積の50%未満である。この例において、第1領域R1の容積は、内部空間SP全体の容積の30%未満である。第1領域R1の容積は、第2領域R2の容積、及び第3領域R3の容積よりも小さい。第1領域R1の容積は、複数の第2板部252によって分けられる内部空間SPの複数の領域のうちで最小である。内部空間SPの内側の領域の容積は、外側の領域の容積よりも小さい。
荷重支持部250は、第1板部251の端部から下方に延びる第3板部253をさらに有する。荷重支持部250は、例えば、第1板部251の幅方向の両端部に設けられた一対の第3板部253を有する。第1板部251の幅方向の両端部、及び各第3板部253は、裏面BFに近接して配置される。
一対の第3板部253のうちの外側の第3板部253は、着座部230の外縁部232の一部と対向する。内側の第3板部253は、着座部230の内縁部233の一部と対向する。外側の第3板部253は、加熱部210のうちの外縁部232に貼り付けられた部分と対向する。内側の第3板部253は、加熱部210のうちの内縁部233に貼り付けられた部分と対向する。
また、各第3板部253の下端253aと底部240の対向面FFとの間には、隙間が設けられている。換言すれば、各第3板部253は、対向面FFと離間する。
底部240は、対向面FFから上方に延びる第4板部241を有する。第4板部241は、第3板部253に近接して配置される。この例では、一対の第3板部253のそれぞれに対応する一対の第4板部241が、底部240に設けられている。各第4板部241は、各第3板部253の下端253aよりも上方に位置する上端241aを有する。第4板部241の上端241aは、少なくとも近接する第3板部253の下端253aよりも上方に位置する。
各第3板部253は、荷重支持部250に必要に応じて設けられ、省略可能である。同様に、各第4板部241は、底部240に必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、一対の第3板部253のうちの一方のみを荷重支持部250に設けてもよい。例えば、加熱部210と対向する面積の大きい内側の部分にのみ第3板部253を設けてもよい。
この例では、一対の第3板部253の間に、一対の第4板部241が設けられている。これとは反対に、一対の第4板部241の間に、一対の第3板部253を設けてもよい。例えば、第1板部251がU字状である場合、第3板部253及び第4板部241は、第1板部251の縁部に沿う連続した1つの部材でもよい。
荷重支持部250と着座部230の外縁部232との直交断面における幅方向の距離d1は、例えば、1mm以上5mm以下である。距離d1は、例えば、第3板部253と外縁部232との間の幅方向の距離である。第3板部253が省略されている場合、距離d1は、第1板部251の幅方向の端部と外縁部232との間の幅方向の距離である。換言すれば、距離d1は、第1板部251と裏面BFとの間に設けられた隙間の長さである。距離d1を1mm以上に設定することにより、例えば、振動溶着時の荷重支持部250と着座部230との接触を抑制することができる。距離d1を5mm以下に設定することにより、例えば、内部空間SP内における空気の対流を抑制することができる。
荷重支持部250と着座部230の内縁部233との直交断面における幅方向の距離d2は、例えば、距離d1と同様に、1mm以上5mm以下である。
第2板部252の上端252bと裏面BFとの間の上下方向の距離d3は、例えば、1mm以上3mm以下である。距離d3は、換言すれば、第2板部252の上端252bと裏面BFとの間に設けられた隙間の長さである。距離d3を1mm以上に設定することにより、例えば、振動溶着時の荷重支持部250と着座部230との接触を抑制することができる。距離d3を3mm以下に設定することにより、例えば、着座部230の過度な撓みを抑制することができる。例えば、着座部230の破損などを抑制することができる。
第3板部253の下端253aと対向面FFとの間の上下方向の距離d4は、例えば、1mm以上3mm以下である。距離d4は、換言すれば、第3板部253の下端253aと対向面FFとの間に設けられた隙間の長さである。距離d4を1mm以上に設定することにより、例えば、第3板部253の下端253aと対向面FFとの当接を抑制することができる。また、加熱部210の熱が第3板部253を介して下方に逃げてしまうことを抑制することができる。距離d4を3mm以下に設定することにより、例えば、内部空間SP内における空気の対流を抑制することができる。
第3板部253と第4板部241との間の幅方向の距離d5は、例えば、1mm以上3mm以下である。距離d5を1mm以上に設定することにより、例えば、加熱部210の熱が第3板部253及び第4板部241を介して下方に逃げてしまうことを抑制することができる。距離d5を3mm以下に設定することにより、例えば、内部空間SP内における空気の対流を抑制することができる。
図5は、実施形態にかかる加熱部を表す平面図である。
図6は、実施形態にかかる加熱部の一部を表す部分断面図である。
図5及び図6に表したように、加熱部210は、第1の箔体211と、第2の箔体212と、コード状の発熱体214と、を有する。発熱体214は、第1の箔体211と、第2の箔体212と、の間に設けられている。発熱体214は、電流を流すことによって発熱する。発熱体214は、例えば、電熱線である。
第2の箔体212と発熱体214との間、および第1の箔体211と第2の箔体212との間には、第1の接着剤216が設けられている。第1の接着剤216は、第2の箔体212と発熱体214とを接合する。第1の接着剤216は、第1の箔体211と第2の箔体212とを接合する。このように、発熱体214は、第1の箔体211と第2の箔体212とに接着挟持されている。
第1の箔体211と、着座部230の裏面BFと、の間には、第2の接着剤217が設けられている。第2の接着剤217は、第1の箔体211と、着座部230の裏面BFと、を接合する。これにより、加熱部210は、着座部230の裏面BFに設けられる。
第1の箔体211および第2の箔体212のそれぞれは、金属箔である。金属箔の熱伝導率は、着座部230の熱伝導率よりも高い。第1の箔体211及び第2の箔体212としては、例えばアルミニウム箔や銅箔などが挙げられる。
図5に表したように、発熱体214は、第1の箔体211と第2の箔体212との間において蛇行し、第1の箔体211および第2の箔体212の略全体にわたって配置される。また、図4に表したように、加熱部210は、着座部230の裏面BFの略全体にわたって設けられている。発熱体214は、着座部230の下において蛇行し、裏面BFの略全体にわたって配置される。
また、図5に表したように、発熱体214は、裏面BFにおいて、各第2板部252の上端252bと接触しない位置に配置される。換言すれば、発熱体214は、上下方向において、各第2板部252と重ならない位置に配置される。なお、発熱体214の配置パターンは、図5に表した例に限ることなく、着座部230の裏面BFの略全体にわたって配置でき、かつ各第2板部252の上端252bと接触しない任意のパターンでよい。換言すれば、各第2板部252の形状及び配置は、着座部230を適切に支持でき、かつ発熱体214と接触しない任意の形状及び配置でよい。また、加熱部210は、コード状の発熱体214を有するものに限ることなく、裏面BFに設けられ、裏面BFの略全体を加熱可能な任意の構成でよい。
加熱部210は、中央部分210aと、外側部分210bと、内側部分210cと、を有する。中央部分210aは、裏面BFに接着された状態において、着座部230の上板部231と対向する。外側部分210bは、裏面BFに接着された状態において、着座部230の外縁部232と対向する。内側部分210cは、裏面BFに接着された状態において、着座部230の内縁部233と対向する。
外側部分210bに設けられた発熱体214の密度は、中央部分210aに設けられた発熱体214の密度よりも高い。内側部分210cに設けられた発熱体214の密度は、中央部分210aに設けられた発熱体214の密度よりも高い。
上記のように、外縁部232の厚さt2及び内縁部233の厚さt3は、上板部231の厚さt1よりも厚い。従って、外側部分210b及び内側部分210cの発熱体214の密度を、中央部分210aの発熱体214の密度よりも高めることにより、着座部230の温度の均一性を高めることができる。例えば、着座部230の略全体にわたって実質的に均一に温めることができる。
以上、説明したように、本実施形態に係る暖房便座装置100では、荷重支持部250が着座部230を支持するので、着座部230を薄肉にして熱容量を小さくした場合においても、着座時の荷重に対して十分な強度を確保することができる。そして、荷重支持部250が、着座部230の裏面BFと平行な方向に延びる第1板部251を有し、内部空間SPの一部を上下に仕切る。これにより、内部空間SP内に熱を篭り易くし、加熱部210の熱の下方への放熱を抑制することができる。従って、断熱材などを別途設ける必要が無く、簡単な構成で断熱性能を向上させることができる。
さらに、荷重支持部250の第1板部251と裏面BFとの間、及び各第2板部252と裏面BFとの間のそれぞれに隙間を設けることにより、加熱部210の熱が荷重支持部250を介して下方に逃げてしまうことを抑制することができる。
また、上記のように隙間を設け、荷重支持部250を着座部230から離間させることにより、着座部230と底部240とを振動溶着によって適切に接合させることも可能になる。
また、第3板部253を荷重支持部250に設けることにより、内部空間SP内の空気の対流をより抑制し、内部空間SP内に熱をより篭り易くすることができる。すなわち、断熱性能をより向上させることができる。
また、第3板部253の下端253aと対向面FFとの間に隙間を設けることにより、加熱部の熱が第3板部253を介して下方に逃げてしまうことを抑制することができる。また、第2板部252の下端252aと第3板部253の下端253aとの双方を対向面FFに当接させるようにした場合には、例えば、寸法誤差により、第2板部252の下端252aが対向面FFから浮いてしまうことが懸念される。第2板部252の下端252aが対向面FFから浮くと、着座時に第2板部252の下端252aが対向面FFに当接し、異音発生の要因となる。従って、上記のように、第3板部253の下端253aを対向面FFから離間させることにより、着座時の異音の発生も抑制することができる。
また、底部240に第4板部241を設けることにより、第3板部253の下端253aと対向面FFとの間の隙間から熱が逃げることを抑制し、断熱性能をより向上させることができる。
また、第1領域R1の容積を内部空間SP全体の容積の50%未満にすることにより、着座した使用者の身体が接触し易い内側の部分の断熱性能をより高めることができる。
また、加熱部210の発熱体214を第2板部252の上端252bと接触しない位置に配置することにより、着座時に裏面BFと第2板部252の上端252bとの間に発熱体214が挟まり、発熱体214が断線してしまうことを抑制することができる。
図7は、実施形態にかかる暖房便座装置の特性の一例を表すグラフ図である。
図7の横軸は、第1板部251と着座部230との間の上下方向の距離DSL(図4参照)である。図7の縦軸は、加熱部210を動作させた時の消費電力量である。すなわち、図7は、距離DSLと加熱部210の消費電力量との関係を表すグラフ図である。
図7に表したように、加熱部210の消費電力量は、第1板部251と着座部230との間の上下方向の距離DSLを10mm程度に設定した時に、最も低くなる。これは、距離DSLが離れ過ぎていると、第1板部251を設けたことによる空気の対流の抑制効果が薄れ、反対に近すぎると、加熱部210の熱が第1板部251の側に逃げてしまうからであると考えられる。
このように、第1板部251と着座部230との間の上下方向の距離DSLは、近すぎても遠すぎても断熱性能が低下してしまう。従って、距離DSLは、5mm以上15mm以下に設定する。より好ましくは、8mm以上10mm以下に設定する。これにより、第1板部251を設けることによって、適切な断熱性能を得ることができる。
図8は、実施形態にかかる便座の変形例を表す部分断面図である。
図8に表したように、荷重支持部250に設けられる第2板部252の数は、1つでもよい。例えば、対向面FFに対して垂直な方向に延びるとともに、対向面FFの外縁に沿って延びる1つの第2板部252を荷重支持部250に設ける。この場合、第2板部252は、着座部230及び底部240の幅方向の中央付近に配置することが好ましい。これにより、1つの第2板部252において、着座時の荷重に対する強度を高めることができる。
このように、荷重支持部250に設けられる第2板部252の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。第2板部252の数は、荷重に対する強度や、発熱体214の配置パターンなどに応じて適宜設定すればよい。
図9は、実施形態にかかる便座の変形例を表す部分断面図である。
図9に表したように、この例において、便座200は、弾性体271、272をさらに有する。弾性体271、272は、荷重支持部250に設けられ、第1板部251と着座部230との間の幅方向の隙間を塞ぐ。
弾性体271は、第1板部251と外縁部232との間の隙間を塞ぐ。弾性体271の幅方向の一端271aは、外縁部232に当接する。また、弾性体271の他端271bは、外側に配置された第2板部252の上端252bに係合し、上端252bと着座部230との間の隙間を塞ぐ。
弾性体272は、第1板部251と内縁部233との間の隙間を塞ぐ。弾性体272の幅方向の一端272aは、内縁部233に当接する。また、弾性体272の他端272bは、内側に配置された第2板部252の上端252bに係合し、上端252bと着座部230との間の隙間を塞ぐ。
弾性体271、272には、ゴムなどの樹脂材料が用いられる。弾性体271、272の剛性は、荷重支持部250の剛性よりも低い。また、弾性体271、272の熱伝導率は、荷重支持部250の熱伝導率よりも低い。
このように、弾性体271、272は、着座部230と荷重支持部250との間に空く隙間を塞ぐ。これにより、内部空間SP内の空気の対流をより抑制し、断熱性能をより向上させることができる。また、弾性体271、272は、振動溶着においては、着座部230と底部240とが一体になって動くことを、弾性変形によって抑制する。
このように、弾性体271、272では、着座部230と底部240との振動溶着を阻害することなく、内部空間SPをより適切に上下方向及び横方向に仕切ることができる。振動溶着を阻害することなく、断熱性能をより向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、暖房便座装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。