特許文献1には、未結束の平面状体を集積体として搬送させる技術が開示されている。この技術によれば、付勢手段を備えた上方の可動把持部と、下方の固定把持部とからなる把持手段により上下から挟むようにして集積体の中央部分を保持して搬送し、下流の包装機に受け渡している。
この技術によれば、把持手段に集積体を受入れる際には、物品受入用の受渡し機構により、可動把持部と固定把持部との間を開放させて集積体を受入れている。把持手段に集積体を受入れてから、可動把持部を付勢手段の付勢力により下降させ、集積体の中央部分を、可動把持部と固定把持部とに挟ませて保持させている。
この技術によれば集積体の前方端部及び後方端部が、把持手段の前後からはみ出した状態で搬送される。把持手段から排出させる際には、はみ出した集積体の部分を、一対の押出爪により包装機側に向けて側方に押し出して、集積体を排出させている。しかし、特許文献1に記載の技術によれば、急激な加速・減速がある場合には、中央部分しか把持されていない集積体が、前後方向又は左右方向に位置ずれされやすく、集積体をなす平面状体が個別に位置ずれ・回転される可能性があるため、集積状態が不揃いになりやすいという課題があった。
この技術を可動子の加速・減速が大きい電磁相互作用を駆動力とする搬送機に適用させ、物品が位置ずれしないようにするためには、付勢手段の付勢力を大きくすればよい。しかし付勢力を大きくさせると、平面状体をなすPTPシートに形成された凸部等を損傷させやすいため、可動子の加速・減速を抑制させる必要があり、搬送効率を高くすることができないという課題があった。
チェーンコンベア等の無端帯により搬送させる場合には、搬送効率を上げるために搬送速度を高くさせると、始動・停止の際の加速・減速が大きくなる。そうすると、集積体をなす平面状体が上下から挟まれていても、平面状体のいずれかが、前後方向又は左右方向に位置ずれされたり、回転されることによって、集積状態が不揃いになりやすいという課題があった。また付勢手段の付勢力を大きくさせる場合には、前記と同様の課題があった。
特許文献2には、マスク等の扁平な物品を一枚ずつ包装した平面状体を積み重ねた集積体を搬送させて箱詰めさせる箱詰め搬送機の技術が開示されている。この技術によれば、予め、集積体の大きさよりも大きいバケットの中に、位置ずれがある状態のままの、未結束の平面状体の集積体を受入れている。そして、集積体の搬送中に、バケットの中で、排出位置よりも上流に配された位置決めガイドを、位置ずれのある集積体に順に接しさせ、集積体の前後方向と左右方向のずれをなくし、集積体の位置ずれをなくしている。
特許文献2に記載の技術によれば、位置決めガイドが最上段の平面状体に接して、集積体を上方から押さえつけ摺らせて移動させて、前後方向の位置を揃えたうえで、平面状体を側方に設けられた傾斜ガイドに沿わせるように移動させて、左右方向の位置を揃えて、集積体のずれをなくしている。PTPシートの凸部等を損傷させないためには、PTPシートの凸部等を損傷させない程度の小さな力で押さえつけるようにすればよい。
しかし、仮に、PTPシートの凸部等を損傷させない程度の力で押さえつけ、位置を揃えたとしても、バケットと平面状体との間に、最初から許容していた位置ずれ幅の隙間が、集積体と周囲のバケットとの間にあくことになる。このため、排出位置において集積体を急に減速させると平面状体が前方に滑り、再度位置ずれが発生される。最初から位置ずれ幅の隙間を許容する技術を、加速・減速が大きいリニア搬送機や、搬送速度を速くした無端帯による搬送に適用させようとすると、特許文献1に記載された技術と同様に、平面状体の集積状態が不揃いになりやすいという課題があった。
特許文献3には、湾曲された搬送路を経由して、電磁相互作用により駆動される可動子を使って物品を搬送させる搬送機の技術として、製品を圧縮しながら搬送させることが可能な搬送機の技術が開示されている。特許文献3に記載の技術によれば、搬送路に沿って移動する複数の可動子の各々に羽根を備えさせ、前後に隣り合った可動子の羽根の間に、物品を挟んで保持し、圧縮させながら搬送させるとされている。
具体的には、物品を受入れる位置における間隔よりも、搬送中における間隔が狭くなるように位置制御させ、搬送中に物品を圧縮させるようにしている。これにより、圧縮させながら袋詰めさせる紙おむつ等について、従来二つの工程であった搬送工程と圧縮工程とを一つの工程に纏めることができるとされている。
この技術によれば、搬送経路が湾曲している場合でも、紙おむつ等の物品に適用され、物品を圧縮しながら搬送させているため、湾曲している外方に、物品を脱落させにくいという効果があった。しかし、特許文献3に記載の技術は、圧縮することができる物品には適用できても、薬剤用のPTPシート等のような平面状体には適用できないという課題があった。
本発明が解決しようとする課題は、PTPシート等の平面状体を搬送子に接しさせて搬送させる搬送機を提供することである。詳細には、平面状体を搬送させる際に、移動と停止の繰り返しに伴う振動がある場合であっても、大きな加速・減速が加わる場合であっても、搬送子に受入れた平面状体を変形させにくく、個別に位置ずれ・回転させず、集積状態を不揃いとさせず、搬送経路が湾曲している場合でも、湾曲している外方に、平面状体を位置ずれ・脱落させにくい搬送機を提供することである。
本発明の第1の発明の搬送機は、複数の搬送子を備え、平面状体を搬送させる搬送機であって、各々の前記搬送子が、前記平面状体の前端と、後端と、底部の三方を支える三方支承片と、前記平面状体の天部を支える天部支承片とを有し、前記三方支承片と前記天部支承片とが囲む空間が、前記平面状体を搬送させる搬送空間とされ、前記平面状体の受入れ位置には第1昇降誘導部が備えられ、前記天部支承片が、浮き上がり抑制手段とされると共に昇降体を有し、前記平面状体を前記搬送空間に受入れる際に、前記昇降体が第1昇降誘導部に接して前記天部支承片を上昇させ、前記搬送空間の高さを前記平面状体の高さよりも高くし、前記平面状体が受入れられてから前記天部支承片が下降され、前記昇降体が第1昇降誘導部から離れて、前記平面状体を搬送している間は、前記三方支承片が前記平面状体を支えると共に、前記天部支承片が、前記浮き上がり抑制手段として、前記平面状体を変形させない力で抑えて浮き上がりを抑制させていることを特徴としている。
搬送子とは、搬送機の駆動手段に駆動されて、平面状体に接して搬送させる搬送部材をいう。一つの搬送子に搬送される平面状体は、一枚の平面状体に限定されず、複数枚の平面状体が積層されてなる積層体であってもよく、複数の積層体が集積された集積体であってもよい。平面状体の大きさ、材質等は限定されないが、薬剤用のPTPシート等のように、外力により一度変形されると、復帰しにくい平面状体が好適である。搬送子は、電磁相互作用により駆動され、大きな加速・減速が加わる可動子に付設された搬送部材であってもよく、チェーンコンベア等の無端帯により移動と停止が周期的に繰り返される搬送部材であってもよい。
平面状体の三方を支える三方支承片の形態は限定されず、搬送中の搬送空間の平面的な大きさが平面状体の平面的な大きさに適合し、各々の一部に接するように支えているだけでもよい。底部の支承片が、平面状体の底面全体を支えるようにしてもよく、底面の前方部と後方部のみを支えるようにしてもよい。前方、後方を支える支承片も、天部支承片も同様に一部を支えるだけでもよい。
平面状体を受入れる際には、側方、下方のいずれからも受入れ可能である。側方から受入れる際には、搬送空間の高さが平面状体の高さよりも高くされているため、平面状体の上部を傷つけにくく好適である。下方から受入れる際には、平面状体の下方を支える支承片を前後に分割しておき、受入れ位置の搬送空間の下方が空くようにし、搬送空間の前後方向の長さを平面状体の前後方向の長さよりも大きくさせて受入れてから、搬送中には搬送空間の大きさを平面状体に適合させるようにすればよい。
昇降体を上昇させる第1昇降誘導部は、平面状体の受入れ位置の近傍であればよく、位置は限定されない。例えば、搬送路の下方であってもよく、側方であってもよい。昇降体を第1昇降誘導部に接しさせて、平面状体を搬送空間に受入れる際には天部支承片の高さを高くして受入れる。そして、天部支承片を下降させて受入れ位置から搬送させる。第1昇降誘導部は山型形状に形成された固定レールであってもよく、駆動手段により昇降体を移動させるものであってもよい。
搬送中は、平面状体の底部を支える支承片に向けて、移動中の平面状体の浮き上がりを抑制するように、浮き上がり抑制手段として天部支承片が平面状体の天部を抑えている。平面状体に適合された平面状体を変形させない程度の力で、天部支承片を平面状体の天部に向けて、自重で降下させてもよく、付勢手段により付勢させてもよい。また、天部支承片を弾性手段により吊上げるようにして、天部支承片の自重よりも小さな力で、平面状体を変形させないように浮き上がりを抑制させてもよい。
平面状体の前端と、後端と、底部の三方が支えられているため、搬送子が急激に加速され、平面状体に後方への慣性力が作用しても、平面状体の後端が支えられ、平面状体が後方に位置ずれしない。また、搬送子が急激に制動され、平面状体に前方への慣性力が作用しても、平面状体の前端が支えられ、平面状体が前方に位置ずれしない。
また、天部支承片が平面状体の浮き上がりを抑制させているため、搬送子の加速度の変化が大きくても、平面状体が上方に湾曲されず変形されにくく、搬送空間の中で位置ずれ又は回転することがなく、脱落することもない。また、一つの搬送子に、前記三方支承片と、前記天部支承片が備えられているため、搬送路の湾曲経路を搬送子が通過する際にも、搬送空間の外方が開くことがなく、平面状体は外方に脱落しにくい。
第1の発明の搬送機によれば、平面状体が搬送空間の中で、三方から支えられると共に、小さな力で上方への浮き上がりが抑制されているため、平面状体が搬送空間の中で、変形されにくく、位置ずれされにくく、かつ、脱落されにくいという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第2の発明は、第1の発明の搬送機において、前記平面状体の排出位置には第2昇降誘導部が備えられ、前記平面状体を前記搬送空間から排出させる際には、前記昇降体が第2昇降誘導部に接して前記天部支承片を上昇させ、前記搬送空間の高さを前記平面状体の高さよりも高くし、前記平面状体を前記搬送空間から排出させてから、前記天部支承片を下降させることを特徴としている。
第2の発明の搬送機によれば、平面状体の排出位置に、第2昇降誘導部が備えられ、第2昇降誘導部が昇降体を上昇させ天部支承片を押し上げ、平面状体を排出させるまでは、平面状体の高さよりも搬送空間の高さを高くしている。これにより、平面状体を側方に排出させる際に、重ねた平面状体を搬送空間から排出させる場合でも、重ねた平面状体の端部を上下に挟んで、先に排出された側方先方が上下に広がらないように排出させることができる。
本発明の第3の発明は、第2の発明の搬送機において、第1昇降誘導部が頂部に第1水平部を有する第1山型レールからなると共に、第2昇降誘導部が頂部に第2水平部を有する第2山型レールからなり、前記受入れ位置においては、前記昇降体が第1山型レールの上昇傾斜に案内され上昇され第1水平部に至り、前記搬送空間が高くされ前記平面状体が受入れられてから、前記昇降体が第1水平部を離れ前記天部支承片が下降され、前記排出位置においては、前記昇降体が第2山型レールの上昇傾斜に案内され上昇され前記第2水平部に至り、前記搬送空間が高くされている状態で前記平面状体を排出させてから、前記昇降体が第2水平部を離れ前記天部支承片が下降されることを特徴としている。
第1山型レールの位置は、搬送路の下方が好適であるが限定されず、側方であってもよく、上方であってもよい。第1山型レールが搬送路の下方である場合には、前記昇降体を軸体として、軸体の下端部を山型レールの天部に接しさせればよい。第1水平部および第2水平部のいずれの長さは限定されず、短くてもよい。長くさせておけば、複数の搬送子を同時に第1水平部又は第2水平部の上に位置させることができる。
第3の発明によれば、受入れ位置に備えられた第1山型レールの上昇傾斜を経て第1水平部に昇降体が至ると、搬送空間の高さが平面状体の高さよりも高くされる。また、排出位置に備えられた第2山型レールの上昇傾斜を経て第2水平部に昇降体が至ると、搬送空間の高さが平面状体の高さよりも高くされる。これにより、平面状体が天部支承片から離れている状態で、受入れられ、かつ、排出されるため、搬送経路の側方から平面状体を受入れ、排出させる際に、平面状体を傷つけにくい。また、昇降体を昇降させるための駆動手段が不要であり、簡単な機構により昇降されるため、故障しにくいという効果を奏する。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の搬送機において、各々の前記搬送子が、前記天部支承片を下方に付勢させる付勢手段を有し、前記天部支承片が、底部を支える支承片に向けて付勢されていることを特徴としている。第4の発明によれば、搬送子が移動中に、天部支承片が下方に向けて付勢されているため、天部支承片が平面状体の浮き上がりを確実に抑制させる。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の搬送機において、前記搬送空間が、側方に平面状体を受入れる受入口を備え、前記受入口の受入幅が拡開されてなり、拡開された前記受入口から前記平面状体が受入れられることを特徴としている。
第5の発明によれば、側方に向いた受入口の受入幅が拡開されている。これにより、上流からの平面状体の送り出しが前後方向にずれたとしても、確実に前方支承片と後方支承片との間に平面状体を支えるように受入れることができる。
本発明の第6の発明は、第3の発明の搬送機において、前記受入れ位置には水平維持手段が備えられ、前記平面状体の前端を支える前方支承片が下端後方に前方底部支承爪を有し、前記平面状体の後端を支える後方支承片が下端前方に後方底部支承爪を有し、前記前方底部支承爪と前記後方底部支承爪とが底部支承片とされ、前記前方支承片と前記後方支承片のいずれかが位置調整手段を備え、前記昇降体が第1水平部に接している状態においては、前記位置調整手段が、前記前方支承片と前記後方支承片のいずれか一方を他方から離間させるように位置調整させ、前記前方底部支承爪と前記後方底部支承爪との距離が前記平面状体の長さよりも大きくされ、前記前方底部支承爪と前記後方底部支承爪との間に、下方から前記平面状体を前記搬送空間に受入れさせ、前記昇降体が第1山型レールから離れるまでは、前記水平維持手段が、前記平面状体を前記搬送空間の高さで水平を維持したままで、前記後方支承片が前記平面状体を押送させ、前記昇降体が第1山型レールから離れる状態においては、前記位置調整手段が、前記前方支承片と前記後方支承片との距離を前記平面状体の前後方向の長さに適合させ、前記平面状体が搬送されることを特徴としている。
第6の発明によれば、底部支承片を後方底部支承爪と前方底部支承爪とから構成させ、前方支承片と後方支承片のいずれかに備えさせた位置調整手段により、前方底部支承爪と後方底部支承爪との距離を前記平面状体の長さよりも大きくさせるように位置調整させている。受入れ位置では、水平維持手段が平面状体を搬送空間の高さで水平を維持したままとしているため、昇降体が第1山型レールを過ぎるまでは、前方底部支承爪と後方底部支承爪の距離が平面状体より大きくても、平面状体が落下することがない。
昇降体が第1山型レールを離れて、平面状体が搬送されている状態では、平面状体と搬送空間の長さが適合され、天部支承片が平面状体を変形させない小さな力で浮き上がりを抑制させている。これにより、前後方向の長さが異なる平面状体でも受入れ可能とされるだけでなく、下方から平面状体が受入れ可能とされ、平面状体が位置ずれされにくく、かつ、脱落されにくいという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第7の発明は、第3の発明の搬送機において、前記平面状体の受入れ位置には水平維持手段が備えられ、前記平面状体の前端を支える前方支承片が下端後方に前方底部支承爪を有し、前記平面状体の後端を支える後方支承片が下端前方に後方底部支承爪を有し、前記前方底部支承爪と前記後方底部支承爪とが底部支承片とされ、前記前方支承片と前記後方支承片のいずれもが、いずれかの位置に前後方向への回動手段を有し、前記昇降体が第1水平部に接している状態においては、前記回動手段が、前記前方支承片と前記後方支承片とを回動させ、前記前方底部支承爪と前記後方底部支承爪との距離が前記平面状体の長さよりも大きくされ、前記前方底部支承爪と前記後方底部支承爪との間に、下方から前記平面状体を前記搬送空間に受入れさせ、前記昇降体が第1山型レールから離れるまでは、前記水平維持手段が、前記平面状体を前記搬送空間の高さで水平を維持したままで、前記後方支承片が前記平面状体を押送させ、前記昇降体が第1山型レールから離れる状態においては、前記回動手段が、前記前方支承片と前記後方支承片とを回動させ、前記前方支承片と前記後方支承片の距離を前記平面状体の前後方向の長さに適合させ、前記平面状体が搬送されることを特徴としている。
第7の発明によれば、底部支承片を前方底部支承爪と後方底部支承爪とから構成させ、前方支承片と後方支承片とを前後方向に回動させ、前方底部支承爪と後方底部支承爪との距離を前記平面状体の長さよりも大きくしている。回動手段により回動される回動軸は、前方支承片及び後方支承片の上端から下端までのいずれの位置であってもよい。受入れ位置では、水平維持手段が平面状体を搬送空間の高さで水平を維持したままとしているため、昇降体が第1山型レールを過ぎるまでは、前方底部支承爪と後方底部支承爪の距離が平面状体より大きくても、平面状体が落下することがない。
昇降体が第1山型レールを離れて、平面状体が搬送されている状態では、平面状体と搬送空間の長さが適合され、天部支承片が平面状体を変形させない小さな力で浮き上がりを抑制させている。これにより、下方から平面状体が受入れ可能となると共に、平面状体が搬送空間の中で位置ずれされにくく、かつ、脱落されにくいという従来にない有利な効果を奏する。第6の発明と第7の発明では、下方から平面状体を受入れているが、排出方向は限定されず、受入れ位置と同様にして下方から排出させてもよく、側方に排出させてもよい。
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明の搬送機であって、前記搬送子が、電磁相互作用により駆動される可動子からなっていることを特徴としている。加速・減速が大きな可動子によって、平面状体を搬送させることにより、平面状体の搬送効率を高くさせることができる。
・本発明の第1の発明によれば、平面状体が搬送空間の中で、三方から支えられると共に、小さな力で上方への浮き上がりが抑制されているため、平面状体が搬送空間の中で、変形されにくく、位置ずれされにくく、かつ、脱落されにくいという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、平面状体を側方に排出させる際に、重ねた平面状体を搬送空間から排出させる場合でも、重ねた平面状体の端部を上下に挟んで、先に排出された側方先方が上下に広がらないように排出させることができる。
・本発明の第3の発明によれば、平面状体が天部支承片から離れている状態で、受入れられ、かつ、排出されるため、搬送経路の側方から平面状体を受入れ、排出させる場合でも、平面状体を傷つけにくい。また、昇降体を昇降させるための駆動手段が不要であり、簡単な機構により昇降されるため、故障しにくいという効果を奏する。
・本発明の第4の発明によれば、搬送子が移動中に、天部支承片が下方に向けて付勢されているため、天部支承片が平面状体の浮き上がりを確実に抑制させる。
・本発明の第5の発明によれば、上流からの平面状体の送り出しが前後方向にずれたとしても、確実に前方支承片と後方支承片との間に平面状体を支えるように受入れることができる。
・本発明の第6の発明によれば、前後方向の長さが異なる平面状体でも受入れ可能とされるだけでなく、下方から平面状体が受入れ可能とされ、平面状体が位置ずれされにくく、かつ、脱落されにくいという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第7の発明によれば、下方から平面状体が受入れ可能となると共に、平面状体が搬送空間の中で位置ずれされにくく、かつ、脱落されにくいという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第8の発明によれば、平面状体の搬送効率を高くさせることができる。
搬送機をなす各々の搬送子に、平面状体の前端と後端と底部とを支持させる三方支承片と、平面状体の浮き上がりを抑える天部支承片とを備えさせ、三方支承片と天部支承片とに囲まれた搬送空間に平面状体を受入れて搬送させるようにした。平面状体の前端と後端と底部とを支えるだけでなく、天部が浮き上がらない状態で搬送させることにより、搬送子が急激に加速又は制動されても、平面状体が前後方向に位置ずれされにくい。また、一つの搬送子に三方支承片と天部支承片とが備えられることにより、搬送子が湾曲経路を移動する場合であっても、搬送空間の外方が開くことがなく、脱落させにくい。以下の実施例においては、電磁相互作用により駆動される可動子が、搬送子からなっている場合を例に説明する。
実施例1においては、平面状体を、三方支承片と天部支承片とにより支えた状態で搬送させる搬送機1を、図1から図3を参照して、平面状体の受入れの態様を説明している。図1(A)図は、搬送機1の平面図を示している。図1(B)図は、三方支承片と天部支承片とを有する搬送子をなす可動子を、搬送空間の側方から看た側面による説明図を示している。図1(C)図は、図1(B)図のA−A位置の断面による説明図を示している。また、図1(A)図においては、理解を容易にするため、平面状体を着色して示している。
図2及び図3は、第1昇降誘導部をなす第1山型レールと、平面状体の受入の工程を説明する説明図を示している。図3の各図は、図2の同一の枝番を付した図に対応している。図2の各図においては、理解を容易にするため、一つの搬送子を示して受入から搬送までの工程を説明している。以下の実施例においては、錠剤を格納させる凸部を備えたPTPシートが平面状体100(図1(B)図参照)とされるが、平面状体はPTPシートが積み重ねられた状態の集積体110でもよい。また、搬送子10の搬送方向に沿う方向を前後方向とし、搬送方向と交差する方向を左右方向としている。
搬送機1の上流には、集積体110を搬送させる第1コンベア200が配され、搬送機1の下流には、集積体110を包装させる包装機をなす第2コンベア300が配されている。搬送機1は、環状をなす搬送経路20に沿って側方から集積体110を受入れる受入れ位置21と、集積体110を側方に排出させる排出位置22が配される。受入れ位置21は、第1コンベアの終端部201に面し、搬送経路20の側方から複数の集積体110を同時に受入れ可能とさせる。排出位置22は、搬送経路20に沿って伸びる第2コンベア300に面し、搬送経路20の側方に、複数の集積体110を同時に排出させる。
第1コンベア200は、二つの集積体110が、二つの搬送子10,10の各々に同時に受入れられるように、二つのコンベアが並列されている。第1コンベア200をなす各々のコンベアは、PTPシートを積み重ねた集積体110を所定の間隔をあけて一定の速度で搬送し、搬送子に受け渡している。第1コンベアに搬送される集積体は、各々のPTPシートの凸部が抱き合わされるように積層され、長辺を下流に向けた状態で(図1(A)図参照)、第1コンベアをなす受入軸体202(図3参照)により押送され、受入れ位置21に待機された搬送子10の搬送空間11に、側方から押し込まれている。第1コンベア200の両縁部には、集積体110がコンベアの側方にずれないように図示していないガイドが備えられている。
第2コンベア300は、搬送機1から排出された集積体110を、包装機をなす包装装置まで押送させるフィンガーコンベアとされる。第2コンベア300は、所定の間隔をあけて複数の押送片301を備えている。第2コンベア300は、搬送機の排出位置22において、集積体の排出装置を備えている。排出装置をなす排出軸体302(図1(B)図破線参照)は、搬送経路20の内側から外側に向けて移動され、集積体110の側端部に接し、集積体を搬送経路20の側方に押し出し、第2コンベア300に排出させている(図1(A)図参照)。
搬送機1は、リニア駆動により物品を搬送させる搬送機であり、集積体110を搬送させる複数の搬送子10と、第1昇降誘導部をなす第1山型レール30と、第2昇降誘導部をなす第2山型レール40と、搬送子の搬送経路20をなす環状の固定子23とを備えている(図1(A)図参照)。受入れ位置21において、搬送子10の下方に第1山型レール30が配され、排出位置22において搬送子10の下方に第2山型レール40が配される。
各々の搬送子10が、集積体の前端と、後端と、底部の三方を支える三方支承片12と、前記集積体の天部を支える天部支承片13とを有している(図1(B)図参照)。三方支承片と天部支承片とが囲む空間が、平面状体を受入れて搬送させる搬送空間11とされる。搬送空間11は、側方に平面状体を受入れる受入口14があけられ、搬送子10が搬送経路をなす受入れ位置21(図1(A)図参照)に待機されている状態において、受入口14が第1コンベアの終端部201に向けられている(図3(B)図参照)。
三方支承片12は、集積体110の底部を支える底部支承片120と、集積体の前端を支える前方支承片121と、集積体の後端を支える後方支承片122とからなる(図1(B)図参照)。底部支承片120は、搬送子10と一体をなす水平方向に広がる板状体とされる。前方支承片121は、底部支承片120の前方端部から起立される板状体とされ、後方支承片122は、底部支承片120の後方端部から起立される板状体とされる。
底部支承片120の搬送方向に沿う前後の長さが、平面状体100の長辺方向の長さと略同一とされる。そのため、底部支承片の両端部から起立された前方支承片121と後方支承片122とが、搬送空間11(図1(C)図参照)に受入れられた集積体110の前端と後端とを支え、各々の平面状体100が前後方向に位置ずれされないようにしている。一つの搬送子に三方支承片12が備えられるため、搬送子が湾曲経路24(図1(A)図参照)を移動される状態においても、搬送空間11の外方があくことがなく、搬送子の高速移動によって集積体110に大きな遠心力がかかっても、搬送経路の外方に脱落されにくい。
底部支承片120の天面には、搬送経路20を横断する方向に伸びる二つの筋状の案内溝123が備えられる。集積体110が搬送空間11に受入れされる際には、第1コンベアをなす前記受入軸体202の先端が、前記案内溝123(図1(B)図)に嵌るようにして、略長円形状の軌跡を描き(図3(B)図、図3(C)図参照)、搬送経路の外方から内方に案内され、集積体の両側端部を押し込むようにして、集積体を搬送空間に受入れさせる。集積体110が搬送空間から排出される際には、第2コンベアをなす前記排出軸体302(図1(B)図参照)が同様にして、前記案内溝123に嵌って搬送経路の内方から外方に案内され、集積体110の両側端部を押し出させる。
前方支承片121と後方支承片122とは、いずれも板厚の薄い板状体とされ、搬送空間11の受入口をなす側端部に屈曲部124を有し、搬送空間の側方にあけられた受入口14の受入幅を拡開させている(図1(A)図,図1(C)図参照)。前方支承片と後方支承片の高さは、集積体110の高さよりも高くされている。また、前記屈曲部124により、受入口14が搬送空間11の幅よりも広くされているため、集積体110を搬送空間11に誘導させやすい(図1(A)図参照)。
第1コンベア200から送られる集積体をなす平面状体100が、搬送経路の前方に位置ずれしている場合には、平面状体100の側部前方が前方支承片121の屈曲部124の内面に接して後方に誘導され、前後方向に隙間があかないように、平面状体が搬送空間11に受入れられる(図1(B)図参照)。一方、前記平面状体100が搬送経路の後方に位置ずれしている場合には、平面状体100の側部後方が、後方支承片122の屈曲部124の内面に接して前方に誘導され、前後方向に隙間があかないように、平面状体が搬送空間11に受入れられる。
天部支承片13は、第1昇降誘導部をなす第1山型レール30、又は第2昇降誘導部をなす第2山型レール40に接して天部支承片13を昇降させる昇降体をなす昇降軸体130と、天部支承片13を底部支承片120に向けて下方に付勢させ、平面状体100を浮き上がらないように抑える付勢手段131とを有している(図1(C)図参照)。
天部支承片13は、連結具132により昇降軸体130と付勢手段131と一体をなしている。昇降軸体130の下端に付設されている回転摺動部134が、第1山型レール30又は第2山型レール40の傾斜に接して、天部支承片13が昇降軸体130と付勢手段131と一体に昇降される(図1(A)図,図2参照)。一方、回転摺動部134が、第1山型レール30又は第2山型レール40から離れている間は、付勢手段131の付勢力により天部支承片13が下方に付勢される。天部支承片13の前後方向の長さは、底部支承片120に備えられた二本の案内溝123,123の間隔よりも短く、案内溝に嵌って誘導される第1コンベアから伸びる受入軸体202(図3(C)図参照)が、天部支承片13の両側を通過できるようにされている。
昇降体をなす昇降軸体130は、底部支承片120から立設された昇降ガイド軸133に沿って昇降される(図1(C)図参照)。昇降軸体130の下端部には、回転摺動部134が備えられ、昇降軸体130が第1山型レール30、又は第2山型レール40に接した際に滑らかに昇降されるようにしている。昇降軸体130が第1山型レールの第1水平部31に至ると(図2(B)図参照)、搬送空間11の高さが集積体の高さよりも高くされ、天部支承片13と集積体110とが離間されて(図2(C)図,図3(C)図参照)、集積体の受入・排出がされる。昇降ガイド軸133は、内部に昇降軸体130が摺動される空間135を有すると共に、前記連結具132が貫通される長孔136を備えている(図1(B)図,図1(C)図参照)。付勢手段131は、板体137を介して前記天部支承片13に連結され、天部支承片13を下方に向けて付勢させている。
第1山型レール30は、頂部に第1水平部31を有し、第1水平部31よりも上流側に昇降軸体130を上昇させる上昇傾斜32を有している(図2(A)図参照)。回転摺動部134が上昇傾斜32に接しながら摺動されることにより、天部支承片13が滑らかに上昇される。また、第1水平部31よりも下流側に昇降軸体を下降させる下降傾斜33を有している(図2(D)図参照)。回転摺動部134が下降傾斜33に接しながら摺動されることにより、天部支承片13が緩やかに下降される。
昇降軸体130が、下降傾斜33に接しながら緩やかに下降されることにより、天部支承片13が付勢手段により付勢されていても、平面状体100に強く衝突されず、平面状体が変形されやすい材質であっても、変形させにくいという効果を奏する。第2山型レール40(図1(A)図参照)は、頂部に第2水平部41を有し、第2水平部の上流側に上昇傾斜42を有している。第2山型レールの第2水平部41において集積体110が排出されるため、第2水平部41よりも下流側には、下降傾斜が備えられていなくてもよい。
次に、搬送子10が集積体110を受入れる態様を、図2及び図3を参照して説明する。図2の各図は、搬送子が集積体を受入れて搬送させる工程を示している。図3(B)図は、図2(B)図のB−B位置の断面による説明図を示し、図3(C)図は、図2(C)図のC−C位置の断面による説明図を示し、図3(E)図は、図2(E)図のE−E位置の断面による説明図を示している。
昇降軸体130が第1山型レールの上昇傾斜32に至ると、回転摺動部134が上昇傾斜に接して摺動され、付勢手段の付勢力に抗して、天部支承片13が上昇される(図2(A)図参照)。昇降軸体130が第1水平部31に至ると、天部支承片13の上昇が停止される(図2(B)図参照)。そして、搬送子10が第1コンベアの終端201に面した集積体110の受入れ位置21にまで移動し、集積体の受入が終わるまで待機される(図1(A)図参照)。
集積体110は、第1コンベアをなす受入軸体202により押送され、搬送空間11の側方から受入れられる(図3(B)図破線矢印参照)。集積体が受入られると、受入軸体202の先端は、一旦上昇し、元の平面位置に戻り、それから下降し、次の集積体の後方の位置に復帰される(図3(C)図破線矢印参照)。昇降軸体130が下降傾斜33に至ると、天部支承片13が緩やかに下降される(図2(D)図参照)。天部支承片13が集積体110に接し、回転摺動部134が下降傾斜33から離れた状態となり、集積体の三方が三方支承片12に支えられ、天部が天部支承片13に浮き上がらないように支えられる(図2(E)図参照)。
昇降軸体130が第2山型レールの上昇傾斜41(図1(A)図参照)に至ると、天部支承片13が上昇される。昇降軸体が上昇傾斜を経て第2水平部42に至り、第2コンベア300の側方の排出位置22において、搬送空間の高さが、集積体の高さよりも高くされた状態となる。そして、第2コンベアをなす排出軸体302(図1(B)図破線参照)の先端が、受入れの際とは逆に、搬送経路の内方から外方に略長円形状の軌跡を描いて移動され、集積体を押出して排出させる。
環状の固定子23(図1(A)図参照)は、公知のリニア搬送機をなす固定子であればよく、搬送子の制御方向も公知の制御方法であればよく、形態は限定されない。本発明においては、平面状体の位置ずれ・脱落が防止されているため、湾曲経路24であっても、直線経路25と同様に、平面状体を高速で搬送させることができ、搬送効率を高くすることができる。
実施例2においては、位置調整手段と、水平維持手段と、平面状体の集積手段とを備え、平面状体を下方から搬送空間に受入れる搬送機2を、図4及び図5を参照して説明する。図4(A)図は、平面状体の受入れ位置における搬送機の側面図を示し、図4(B)図は、平面状体の受入れ位置における搬送機の平面図を示している。図4においては、昇降軸体と位置調整手段の動作方向を矢印で示し、平面状体が搬送空間に受入れられる方向を白抜き矢印で示している。
図5の各図は、平面状体を搬送空間に下方から受入れて、搬送させる態様を示している。図5においては、水平維持手段の高さを一点鎖線で示している。また、図5(B)図と図5(C)図においては、理解を容易にするために、集積手段について平面状体を保持させる爪のみを示し、他の構成を省略している。
搬送機2においては、三方支承片15をなす底部支承片が、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151とに分割されている。そして、位置調節手段50により前方支承片152を前方に水平移動させ、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151の間隔を、一時的に平面状体の長さよりも大きくし、平面状体を下方から搬送空間11に受入れさせている。
受入れ位置には、平面状体の集積手段60が配され、平面状体100を搬送空間11の下方から順に押し上げて、搬送空間11の中で集積させている。集積手段60は平面状体100の左右のみを支える支柱61により、下方から受入れられた平面状体100を、順に集積させる(図4(A)図)。三方支承片15は、集積手段60を乗り越えるように、基部から略片持ち状態の形状とされている。集積位置において、集積手段により両側方から挟まれた状態とされている集積体110の前端と後端と底部の前後方向と天部を支えて搬送手段が搬送させる。
また、受入れ位置の下流には水平維持手段70が配され、昇降体をなす回転摺動部134が第1山型レール30から離れるまで、集積体110を水平に維持させている。水平維持手段は、集積体の長辺の左右両縁部を引っ掛けて保持させる一対のレール部とされればよい。一対のレール部の後方端部71は、搬送空間11に受入れられた平面状体100の前端の位置まで伸びている。平面状体100が後方支承片153に押し出されると、平面状体の前方部が集積手段の爪62から水平維持手段に移載される。
昇降ガイド軸133の前後には平板が付設され、後方の平板138には、その平板から屈曲されるように後方支承片153が付設されている。後方支承片153の下端部には、前方に向けられる後方底部支承爪151が備えられる。後方底部支承爪151の高さは、前記一対のレール部よりも僅かに低くされている。後方底部支承爪151の左右の幅は、前記一対のレール部の間隔及び二つの爪62,62の間隔よりも短く、一対のレール部と二つの爪との間を通り抜けるようにされている。また、後方支承片153の基部は、支柱61を乗り越えられるように切り欠かれている。
前方支承片152は、昇降ガイド軸133の前方の平板139に、前後方向に摺動可能に付設され、下端部に搬送方向後方に向いた前方底部支承爪150を有している。位置調整手段50は、歯車と平歯とが組み合わされてなり、昇降軸体130の昇降による垂直方向の移動動作を、水平方向の移動動作に変換させて、前方支承片152を水平移動させている。具体的には、前方支承片152と水平平歯51とを連結具52により一体とさせ、水平平歯51の移動に合せて、前方支承片152を前後方向に水平移動させている。前方の平板139には、水平方向かつ平行に伸びる一対の長孔53が備えられ、前記連結具52が長孔に挿通されて摺動される。
位置調整手段50をなす平歯と歯車の配置は、昇降軸体130の前方側面に垂直平歯54が備えられ、垂直平歯に第1歯車55が噛合される。第1歯車55よりも前方には、第2歯車56が配されている。第2歯車56は、大径の歯車と小径の歯車とが同一軸芯に二段に重ねられた歯車とされ(図4(B)図参照)、大径の歯車が第1歯車55に噛合され、小径の歯車の下方側に、前方支承片と一体にされた水平平歯51が噛合される(図4(A)図参照)。第2歯車56をなす大径の歯車と小径の歯車との歯車比により、前方支承片152の移動距離と、天部支承片17の下降距離とが、所定の割合とされている。
回転摺動部134が第1山型レール30の上昇傾斜32に接して、昇降軸体130が上昇されると(図4(A)図矢印A参照)、垂直平歯54も上昇される。垂直平歯の垂直移動により、第1歯車55が反時計回りに回動される(図4(A)図矢印B参照)。第1歯車55の回動により、第2歯車56が時計回りに回動される(図4(A)図矢印C参照)。
そして、第2歯車56のうちの小径の歯車の回動により、水平平歯51が前方に移動され、それとともに前方支承片152が前方に水平移動される(図4(A)図矢印D参照)。そうすると、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との間隔が、平面状体100の長さよりも大きくなり、搬送空間11の下方から平面状体を受入れることが可能となる。昇降軸体130が下降される場合には、上記動作とは反対の動作により、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との間隔が、平面状体の長さよりも小さくされ、平面状体の底部が支持される。
集積手段60は、平面状体100を搬送空間11の下方から、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151とよりも高く持ち上げ、搬送空間11に平面状体を受入させ、平面状体100の左右両側の端部を一対の支柱の爪62に引っ掛けて、搬送空間の中で積み重ねて集積体110とさせている(図4(A)図白抜き矢印参照)。平面状体がPTPシートの場合には、一枚ずつ積み重ねてもよく、二枚のPTPシートを予め凸部を抱き合わせて積層させて積層体とし、積層体を積み重ねて集積体110とさせてもよい。
受入れられた平面状体100は、搬送空間11を挟んで左右に配される支柱61の爪62に一時的に保持される。二つの爪62,62の高さは、水平維持手段よりも僅かに高いため、平面状体が押し出された際に、水平維持手段70をなす一対のレール部に滑らかに移載される。平面状体が保持される爪62は、先方部が搬送空間11に向かって水平に伸びると共に、基端部が上方に軸動可能とされている。
平面状体100が爪62に至るまで持ち上げられると、爪の先方部が上方に軸動され、一時的に二つの爪62,62の間隔が平面状体100の短辺よりも広くなるように押し広げられ、平面状体が二つの爪の間を通過される。平面状体が二つの爪の高さを越えて持ち上げられると、爪の先方部が水平に向けられた状態に復帰される。そうすると、二つの爪の間隔が平面状体の短辺よりも狭くなり、平面状体の長辺の両縁部が二つの爪の間に架け渡されて保持される。
平面状体を搬送空間に受入れて、搬送させるまでの態様を、図5の各図を参照して順に説明する。まず、搬送空間が空の状態の搬送子16が、第1山型レールの上昇傾斜32に至り、天部支承片17が上昇されると共に、前方支承片152が前方に向けて移動される(図5(A)図)。そして、搬送子16が第1山型レールの第1水平部31に至り、平面状体が下方から搬送空間11に受入れられる(図5(B)図参照)。
平面状体の集積が終わると、搬送子16が前方に移動されて、後方支承片153が爪62に保持された集積体110を前方に押送させる(図5(C)図参照)。この状態においては、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151とは集積体110を支持しておらず、集積体の前方部が水平維持手段70をなす一対のレール部に移載され、爪62と水平維持手段とにより集積体が水平に維持される。搬送子が更に前方に移動されると、爪62に保持されていた集積体の後方部も前記一対のレール部に載り、水平維持手段70のみにより集積体が水平に維持される(図5(D)図参照)。
また、昇降軸体130が第1山型レールの下降傾斜に至ると、天部支承片17が下降されると共に、前方支承片152が後方支承片153に接近するようになる(図5(D)図参照)。天部支承片17が集積体に接した時点で、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との間隔が、集積体110の長さに適合され、集積体の三方が三方支承片に支えられた状態となる(図5(E)図参照)。
図を省略しているが、平面状体の排出位置においては、昇降軸体が第2山型レールの上昇傾斜に接すると、前方支承片が前方に移動される。そして、前方底部支承爪と後方底部支承爪の間隔が、平面状体の長さよりも大きくされると、搬送空間から集積体が落下して排出される。この場合には、第2コンベアを搬送経路の下方に配置し、搬送子を包装機の移動速度に同期させて移動させながら、集積体を第2コンベアに落下させるとよい。
実施例3においては、搬送経路に沿って二つの集積手段が配され、平面状体が二つの搬送子16,16の各々に同時に受入れされる搬送機3を、図6を参照して説明する。図6の各図は、集積体の受入から搬送までの態様を説明する説明図を示している。図6においては、水平維持手段の高さを一点鎖線で示し、図6(B)図から図6(D)図においては、理解を容易にするために、二つの集積手段について、爪のみを示し、他の構成を省略している。
搬送機3は、実施例2で説明した搬送機に対して、第1山型レール34の長さが延長されている点と、集積手段60よりも上流側に第2集積手段63が備えられる点と、集積手段60と第2集積手段63との間に第2水平維持手段71が備えられる点が異なっている。搬送子をなす三方支承片15や天部支承片17等の他の構成は実施例2と同様としている。
第2集積手段63は、爪64の高さのみが集積手段60と異なっている。第2水平維持手段71は、前記水平維持手段70と同様に、一対のレール部からなる。第2水平維持手段71は、第2集積手段の爪64に保持された集積体110が、後方支承片153に押し出されてから集積手段の爪62に移載されるまで、集積体110を水平に維持させている(図6(C)図及び図6(D)図参照)。第2集積手段の爪64、第2水平維持手段71、集積手段の爪62、水平維持手段70の高さは、平面状体が滑らかに移載されるように、下流が段階的に低くされていると好適である。
前後に隣接する搬送子16,16は、前方の搬送子に後方の搬送子が衝突されないように間隔をあけて移動されている(図6(A)図参照)。そして、先方の搬送子が第1水平部31に至り、集積手段の爪62の位置で停止され、後方の搬送子が前方の搬送子に遅れて、第1水平部に至り、第2集積手段の爪64の位置で停止される(図6(B)図参照)。各々の搬送子が停止された状態においては、搬送空間の下方から平面状体を受入れが可能な状態となっている。
そして、集積手段60が先方の搬送子の搬送空間の中で平面状体100を集積させると同時に、第2集積手段63が後方の搬送子の搬送空間の中で平面状体100を集積させる(図6(B)図参照)。平面状体の集積が終わると、二つの搬送子が同時に下流に移動され、各々の搬送空間に集積された集積体110が押し出される(図6(C)図参照)。先方の搬送子16が搬送させる集積体110は、集積手段の爪62から水平維持手段70に移載される(図6(D)図参照)
後方の搬送子16が搬送させる集積体110は、第2集積手段の爪64から第2水平維持手段71、集積手段の爪62、水平維持手段70の順に移載されてから、先方の搬送子と同様に集積体110を搬送させる(図6(C)図から図6(E)図参照)。昇降軸体130が第1山型レールの下降傾斜33から離れると、集積体110が三方支承片15と天部支承片17とに浮き上がらないように支持された状態となり、排出位置まで搬送される(図6(E)図参照)。そして、次の平面状体を集積させる搬送子16が、受入れ位置に移動される。
実施例4においては、前方支承片と後方支承片とが回動手段80により回動され、搬送空間の下方から平面状体を受入れされる搬送機4を、図7を参照して説明する。図7の各図は、集積体の受入から搬送までの工程を説明する説明図を示している。図7においては、水平維持手段の高さを一点鎖線で示している。
搬送機4は、実施例2で説明した搬送機と比較して、位置調整手段に替えて、前方支承片152と後方支承片153とを同時に回動軸81,82において回動させる回動手段80を備えさせている点が異なっている。回動手段80は、前後に平歯を形成させた昇降軸体130と、その前後を挟んだ歯車とが組み合わされてなり、昇降軸体130の昇降による垂直方向の移動動作を、軸心周りに回動される歯車の回動動作に変換させて、前方支承片152と後方支承片153とを回動させるようにしている。
具体的には、昇降ガイド軸133から前方に付設された平板140に、前方支承片152が第1歯車83により軸支され、後方に付設された平板141に後方支承片153が第1歯車84により軸支されている。各々の歯車が回動されると、前方支承片と後方支承片とが同時に回動され、前方底部支承爪と後方底部支承爪との間隔が拡開又は縮小される。拡開された状態で平面状体が受入れられ、縮小された状態で平面状体の底部が支えられる。
回動手段をなす歯車と平歯の配置は、回動軸81,82に第1歯車83,84を装着させると共に、昇降軸体130の前方側面と後方側面とに垂直平歯85,86を備えさせている。第1歯車と垂直平歯との間には、第2歯車87,88が配される。第2歯車87,88は、大径の歯車と小径の歯車と同一軸芯とされ、大径の歯車が垂直平歯に噛合され、小径の歯車が第1歯車81,82に噛合される。第2歯車をなす大径の歯車と小径の歯車の歯車比により、昇降軸体130の昇降距離と、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との距離とが調整されている。
前方支承片152は、垂直平歯85が上昇すると、(図7(A)図矢印A参照)、第2歯車87が反時計回りに回動される(図7(A)図矢印B参照)。第2歯車87が回動されると、小径の歯車の連動により、第1歯車83が時計回りに回動される(図7(A)図矢印C参照)。そして、第1歯車83と一体をなす回動軸81が回動し、前方支承片152が時計回りに回動される(図7(A)図矢印D参照)。
後方支承片153は、昇降軸体130の動作により、昇降軸体の後方にある垂直平歯86と第2歯車88とが動作される。昇降軸体130の前後で、第2歯車の回転方向が逆になるため、後方支承片153が反時計回りに回動される(図7(A)図矢印E参照)。前方支承片152と後方支承片153とが反対方向に回動されることにより、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との間隔が、前記平面状体100の長さよりも大きくされる。
この状態で、実施例2と同様に、平面状体100が搬送空間11の下方から押し上げられ、搬送空間の中で集積される(図7(A)図参照)。平面状体の集積が終わると、搬送子18が前方に移動され、後方支承片153に集積体110が押し出され、集積体110の前方部が集積手段の爪62から水平維持手段70に移載される(図7(B)図参照)。昇降軸体130が第1山型レールの下降傾斜33に至ると、前記動作とは逆の動作により昇降軸体130が下降され、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との距離が狭まるように、前方支承片152と後方支承片153とが軸動される(図7(B)図参照)。
そして、天部支承片13が集積体110の天部に接すると、昇降軸体130の下降が停止されると共に、前方底部支承爪150と後方底部支承爪151との距離が、集積体の前後方向の長さに適合されて、集積体110の三方と天部とが支えられた状態で搬送される(図7(C)図参照)。
(その他)
・実施例1においては、搬送子を排出位置で待機させて平面状体を排出させる例を説明したが、搬送子を包装機の移動速度に同期させた移動速度で移動させながら、平面状体を排出させてもよいことは勿論のことである。
・上記の各実施例においては、昇降軸体を昇降させる駆動手段が不要となるように、第1山型レールと第2山型レールが配される例を説明したが、駆動手段により昇降軸体を昇降させてもよいことは勿論のことである。駆動手段により昇降軸体を昇降させる場合には、実施例2から実施例4においては、集積手段の位置において、集積体を保持させる爪(図5の62,図6の64)が水平維持手段としても機能される。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。