JP6616736B2 - サイレンサ及び過給機 - Google Patents

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Description

本発明は、サイレンサ及び過給機に関するものである。
従来、下記特許文献1,2に記載の過給機用サイレンサが知られている。特許文献1のサイレンサは、いわゆる「スプリッタ型」と呼ばれるタイプのものであり、内部に設けられた多数の仕切プレートを備えている。特許文献2のサイレンサは、いわゆる「反転型」と呼ばれるタイプのものであり、筐体内部で送気口の周囲に軸線方向に突出しガスの流れを反転させる部位を備えている。
特開2008-202436号公報 特許5526999号公報
しかしながら、スプリッタ型のサイレンサでは、ガス流路が複雑な形状であり圧力損失が発生し易い。一方、反転型のサイレンサでは、騒音の低減効果が十分でない場合がある。例えば、船舶用の過給機においては、国際海事機関により騒音の規準が定められているので、過給機の騒音を低減することは重要である。そこで、本発明は、過給機の騒音低減効果と圧力損失の低減とを両立するサイレンサ及びこれを備える過給機を提供することを目的とする。
本発明のサイレンサは、過給機のコンプレッサの吸入口側に取り付けられるサイレンサであって、コンプレッサの翼車の回転軸線方向の軸をもつ筒状部と、筒状部の一端を閉鎖する蓋部と、を有する筐体と、筒状部に設けられた外部からのガスの導入口と、回転軸線を中心とする円形をなした、筐体内のガスの送気口と、筐体内に設けられ、送気口の周囲から蓋部に向けて回転軸線方向に突出するように湾曲した湾曲壁部と、筐体内において筒状部と蓋部と湾曲壁部とで囲まれる空間内に設けられたバッフル板と、を備える。
また、バッフル板は、蓋部と湾曲壁部との間に位置し、回転軸線に交差する面内に延びているようにしてもよい。また、蓋部とバッフル板との距離、及びバッフル板と湾曲壁部との距離が何れも20〜50mmであるようにしてもよい。また、バッフル板は吸音材を含むこととしてもよい。
また、バッフル板は、回転軸線を中心とする円形の開口を有し、開口の縁部は、湾曲壁部と蓋部との間隙が最も狭くなる位置よりも径方向の内側にあり、かつ、送気口よりも径方向の外側にあるようにしてもよい。また、バッフル板とは別のバッフル板がさらに設けられてもよい。また、本発明の過給機は、上記の何れかに記載のサイレンサを備えるものである。
本発明によれば、過給機の騒音低減効果と圧力損失の低減とを両立するサイレンサ及びこれを備える過給機を提供することができる。
実施形態に係る過給機を示す断面図である。 バッフル板の断面を示す断面図である。 変形例に係るサイレンサを示す断面図である。 他の変形例に係るサイレンサを示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るサイレンサ及び過給機の実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る過給機の、回転軸線Aを含む断面を取った断面図である。過給機1は、例えば、船舶や車両の内燃機関に適用されるものである。図1に示されるように、過給機1は、タービン2とコンプレッサ3とを備えている。タービン2は、タービンハウジング4と、タービンハウジング4に収納されたタービン翼車6と、を備えている。タービンハウジング4は、タービン翼車6の周囲において周方向に延びるスクロール流路16を有している。コンプレッサ3は、コンプレッサハウジング5と、コンプレッサハウジング5に収納されたコンプレッサ翼車7と、を備えている。コンプレッサハウジング5は、コンプレッサ翼車7の周囲において周方向に延びるスクロール流路17を有している。
タービン翼車6は回転軸14の一端に設けられており、コンプレッサ翼車7は回転軸14の他端に設けられている。タービンハウジング4とコンプレッサハウジング5との間には、軸受ハウジング13が設けられている。回転軸14は、軸受15を介して軸受ハウジング13に回転可能に支持されており、回転軸14、タービン翼車6及びコンプレッサ翼車7が一体の回転体12として回転軸線A周りに回転する。
タービンハウジング4には、排気ガス流入口(図示せず)及び排気ガス流出口10が設けられている。内燃機関(図示せず)から排出された排気ガスが、排気ガス流入口を通じてタービンハウジング4内に流入し、スクロール流路16を通じてタービン翼車6に流入し、タービン翼車6を回転させる。その後、排気ガスは、排気ガス流出口10を通じてタービンハウジング4外に流出する。
コンプレッサハウジング5には、吸入口9及び吐出口(図示せず)が設けられている。上記のようにタービン翼車6が回転すると、回転軸14を介してコンプレッサ翼車7が回転する。回転するコンプレッサ翼車7は、吸入口9を通じて外部の空気を吸入し、圧縮して、スクロール流路17を通じて吐出口から吐出する。吐出口から吐出された圧縮空気は、前述の内燃機関に供給される。
更に、過給機1は、コンプレッサ3の吸入口9に取り付けられたサイレンサ21を備えている。外部からコンプレッサ3に供給される空気は、サイレンサ21を経由してコンプレッサ3の吸入口9に吸入される。サイレンサ21はコンプレッサ翼車7で発生する騒音の外部への放出を低減する。サイレンサ21は、いわゆる「反転型」と呼ばれるタイプのものである。図1では、サイレンサ21の断面図が示されているが、サイレンサ21は図1に示される断面を回転軸線A周りに回転させて形成される回転体の三次元形状をなしている。すなわち、サイレンサ21は、回転軸線Aに平行な視線で見て円形をなしている。
サイレンサ21の筐体23は、円筒状をなす円筒状部27と、円筒状部27の一端を閉鎖する円形の蓋部29と、を備える。サイレンサ21は、円筒状部27の筒軸と回転軸線Aとがほぼ一致するように、コンプレッサハウジング5に取り付けられる。蓋部29は空気を透過させない。これに対し円筒状部27は、空気を透過させる構造の金属板(例えばパンチングメタル)からなり、外部からの空気は円筒状部27を径方向に通過して筐体23内に導入される。すなわち、円筒状部27の周壁面全体が、外部からの空気を径方向に導入する導入口28として機能する。
サイレンサ21は、蓋部29とは反対側の位置において筐体23に設けられた送気口30を備えている。送気口30は外部から導入された空気をコンプレッサ3側に送出する。送気口30は回転軸線Aを中心とする円形をなし、コンプレッサ3の吸入口9に接続されている。また、サイレンサ21は、筐体23内において、送気口30の周囲から蓋部29に向けて回転軸線A方向に突出するように湾曲した湾曲壁部31を備えている。湾曲壁部31の径方向外側の縁は円筒状部27に連結されている。湾曲壁部31の径方向内側の縁は送気口30を形成している。例えば、湾曲壁部31は、湾曲した金属板(例えば、アルミニウム板)で形成されている。湾曲壁部31のピーク31aは、導入口28のコンプレッサ3側の端部27aよりも蓋部29側に位置している。導入口28から送気口30に向かう空気の一部は、湾曲壁部31を迂回するために、一旦蓋部29側に流動した後、流動方向を反転させて送気口30に向かうことになる。より厳密には、湾曲壁部31は、導入口28から送気口30に向かう空気の一部について、流動方向の回転軸線A方向成分の向きを反転させる。
サイレンサ21には、上述の円筒状部27と、蓋部29と、湾曲壁部31と、で囲まれた内部空間Rが形成されている。サイレンサ21では、円筒状部27の導入口28を通じて外部からの空気が径方向に内部空間Rに導入され、内部空間Rを経由した空気が軸方向にコンプレッサ3側に送出される。
更に、サイレンサ21は、内部空間R内に設けられたバッフル板35を備えている。バッフル板35は、蓋部29と湾曲壁部31との間に配置され、回転軸線Aに直交する平板状をなしている。回転軸線Aに平行な視線で見て、バッフル板35は円形をなし、バッフル板35の中央には回転軸線Aを中心とする円形の開口37が形成されている。バッフル板35の外縁部は、例えば、断面L字のブラケット34を介して円筒状部27の内壁面に取り付けられている。導入口28のうちバッフル板35よりも蓋部29側の部分から導入された空気は、蓋部29とバッフル板35との間を通り、更に開口37を通って、送気口30に向かう。
開口37の縁部37aは、湾曲壁部31のピーク31aの位置P1よりも径方向の内側にあり、かつ、送気口30の縁部の位置P2よりも径方向の外側にあることが好ましい。なお、上記のピーク31aの位置P1は、蓋部29と湾曲壁部31との間隙が最も狭くなる位置である。
また、回転軸線A方向において、蓋部29とバッフル板35との距離L1と、バッフル板35と湾曲壁部31(ピーク31aの位置P1)との距離L2と、が何れも20〜50mmであるようにバッフル板35を配置することが好ましい。上記の距離L1,L2が20mmよりも狭くなると、空気の流路が狭くなることにより圧力損失が大きくなる。一方、距離L1,L2が50mmよりも広くなれば、騒音の低減効果が十分ではなくなる。また、距離L1と距離L2とが等しいことが好ましい。この構成により、空気の流路幅である距離L1及び距離L2を可能な限り大きく確保し、サイレンサ21における圧力損失を低減することができる。
図2は、バッフル板35の断面図を示す。図2に示されるとおり、バッフル板35は、2枚の金属板41と、この金属板41同士の間に挟まれた板状の吸音材43と、を備えている。金属板41には、厚み方向に貫通する多数の穴41aが形成されている。2枚の金属板41と吸音材43とは、例えば、厚み方向に貫通するリベット(図示せず)等でカシメられている。蓋部29もバッフル板35と同様の構造をなしてもよい。また、湾曲壁部31のうち送気口30から回転軸線A方向に延びる円筒状の部位において、内部空間Rの外側の壁面に吸音材45が設けられている。そして、湾曲壁部31のうち上記の円筒状の部位にも、多数の穴が形成されている。このような配置で吸音材43,45が存在することにより、特に、コンプレッサ翼車7から回転軸線A方向に放出される騒音が吸音材43,45によって吸収され、外部に放出される騒音が低減される。金属板41の材料としては、例えば、アルミニウムが用いられる。吸音材43,45の材料としては、例えば、羊毛フェルトが用いられる。
続いて、サイレンサ21及び過給機1による作用効果について説明する。
サイレンサ21は、基本的に反転型サイレンサの構造をなしているので、スプリッタ型サイレンサに比較して、空気の流路の構造が単純であり、また、導入口28の面積も広く確保できるので、圧力損失が低減される。また、スプリッタ型サイレンサでは、例えば貫通ボルトを介して多数の仕切プレートを筐体に固定する必要がある。このため、スプリッタ型サイレンサの筐体は、例えば鋳造物で構成する必要があり、重量が大きくなる傾向にある。過給機1はエンジンの近傍などに設置され振動を受けるので、振動による疲労や破損等を抑制するために、サイレンサ自体の重量の低減は重要である。これに対し、サイレンサ21は、基本的に反転型サイレンサの構造をなすので、重量も小さく抑えることができる。その一方、サイレンサ21では、内部空間Rにバッフル板35が設けられているので、騒音の低減効果も補強されている。また、回転軸線Aに直交する方向に延びるバッフル板35の存在により、コンプレッサ翼車7で発生する騒音のうち、特に、回転軸線A方向の成分が低減される。本発明者らの実験によれば、バッフル板35を備えていない反転型サイレンサに比べて、サイレンサ21は約5dBの騒音低減が可能である。
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、実施例の変形例を構成することも可能である。各実施形態の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
例えば、図3に示されるように、サイレンサ21には、更に別のバッフル板35が設けられてもよい。すなわち、サイレンサ21には複数のバッフル板35が設けられてもよい。この場合においても、蓋部29とバッフル板35との距離L1と、バッフル板35と湾曲壁部31との距離L2とが何れも20〜50mmであることが好ましい。更に、この場合、バッフル板35同士の間の距離L3も20〜50mmであることが好ましい。また、距離L1と距離L2と距離L3とがすべて等しいことが好ましい。また、図3は、バッフル板35が2枚設けられた例を示しているが、バッフル板35が3枚以上であってもよい。バッフル板35が3枚以上設けられる場合においても、各バッフル板35は、蓋部29と湾曲壁部31との距離を等分割する位置に配置されることが好ましい。
また、実施形態では、蓋部29とバッフル板35とが平板状である例を示したが、図4に示されるように、湾曲した蓋部129を備えるサイレンサ121にも本発明が適用可能である。サイレンサ121は、内部空間R内に設けられたバッフル板135と、を備えている。バッフル板135は、蓋部129と湾曲壁部31との間に位置し、回転軸線Aに交差する面内に延びている。また、バッフル板135は、回転軸線Aを中心とする円形の開口137を有している。またこの場合、図4に示されるように、バッフル板135も蓋部129と平行になるように湾曲させることが圧力損失を低減する上で好ましい。但し、図4に示される構成に比較して、図1に示されるように蓋部29とバッフル板35とが共に平板状である構成が圧力損失を低減する上でより好ましい。
また、図1及び図3に示される実施形態では、バッフル板35の外縁部が、断面L字のブラケット34を介して円筒状部27の内壁面に取り付けられている例を示しているが、バッフル板35を筐体23に取り付ける手法はこれに限定されない。例えば、バッフル板35の外縁部を円筒状部27の内壁面に対し、溶接、接着又はロウ付けなどによって接合してもよい。また、実施形態では回転軸線Aに直交するバッフル板35について説明したが、本発明はこれには限定されない。例えば、回転軸線Aに平行な面内に延びるバッフル板を採用してもよい。また、実施形態では、バッフル板35が吸音材43を有する場合を示したが、バッフル板は単なる金属板であってもよい。
1 過給機
3 コンプレッサ
7 コンプレッサ翼車
9 吸入口
21 サイレンサ
27 円筒状部(筒状部)
29 蓋部
30 送気口
31 湾曲壁部
31a ピーク
35 バッフル板
37 開口
37a 開口の縁部
43 吸音材
A 回転軸線

Claims (7)

  1. 過給機のコンプレッサの吸入口側に取り付けられるサイレンサであって、
    前記コンプレッサの翼車の回転軸線方向の軸をもつ筒状部と、前記筒状部の一端を閉鎖する蓋部と、を有する筐体と、
    前記筒状部に設けられた外部からのガスの導入口と、
    前記回転軸線を中心とする円形をなした、前記筐体内のガスの送気口と、
    前記筐体内に設けられ、前記送気口の周囲から前記蓋部に向けて前記回転軸線方向に突出するように湾曲した湾曲壁部と、
    前記筐体内において前記筒状部と前記蓋部と前記湾曲壁部とで囲まれる空間内に設けられ、前記蓋部と前記湾曲壁部のピークとで前記回転軸線方向に挟まれる領域から前記回転軸線方向にはみださないように配置され、前記回転軸線を中心とする円形の開口が中央に形成されているバッフル板と、を備えるサイレンサ。
  2. 前記バッフル板は、
    前記蓋部と前記湾曲壁部との間に位置し、前記回転軸線に交差する面内に延びている、請求項1に記載のサイレンサ。
  3. 前記蓋部と前記バッフル板との距離、及び前記バッフル板と前記湾曲壁部との距離が何れも20〜50mmである、請求項2に記載のサイレンサ。
  4. 前記バッフル板は吸音材を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載のサイレンサ。
  5. 前記バッフル板前記開口の縁部は、
    前記湾曲壁部と前記蓋部との間隙が最も狭くなる位置よりも径方向の内側にあり、かつ、前記送気口よりも径方向の外側にある、請求項1〜4の何れか1項に記載のサイレンサ。
  6. 前記バッフル板とは別のバッフル板がさらに設けられた、請求項1に記載のサイレンサ。
  7. 請求項1〜5の何れか1項に記載のサイレンサを備える過給機。
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