JP6616726B2 - 複合膜、非水二次電池用セパレータおよび非水二次電池 - Google Patents
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Description
1)電解液を保持した状態でイオン透過性が良好であること。
2)発熱を抑える安全機能としてシャットダウン特性(機能)を有すること。
3)異物やデンドライトがセパレータを貫通することによる短絡を防止するため、突刺強度が大きいこと。
4)高温時にセパレーターが熱収縮を起こして周縁部が剥き出しになり電極が短絡するのを防止するため、低熱収縮性であること。
5)製造工程で破れ及び/または裂けが発生しないように引張強度が大きいこと。
<1>不織布と、オレフィン系ポリマーと、耐熱性樹脂とを含む複合膜を用いた非水二次電池用セパレータであって、
耐熱性樹脂の融点および分解温度のうちの低い方が、オレフィン系ポリマーの融点より高く、
オレフィン系ポリマーおよび耐熱性樹脂の少なくとも一方に空孔を有し、
前記不織布は熱収縮性を有し、かつ構成材料として有機ポリマーを有する、非水二次電池用セパレータ。
<2>不織布の厚みを1としたとき、前記複合膜の総膜厚が1.6以下である<1>に記載の非水二次電池用セパレータ。
<3>耐熱性樹脂の弾性率が、オレフィン系ポリマーの弾性率より大きい<1>または<2>に記載の非水二次電池用セパレータ。
<4>前記複合膜の空隙率が20〜80%である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の非水二次電池用セパレータ。
<5>オレフィン系ポリマーの融点が100〜180℃であり、耐熱性樹脂の融点および分解温度のうちの低い方が130℃以上である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の非水二次電池用セパレータ。
<6>不織布の厚みが5〜80μmである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の非水二次電池用セパレータ。
<7><1>〜<6>のいずれか1つに記載の非水二次電池用セパレータを有する非水二次電池。
なお、以下に記載する構成の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがある。ただし、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本発明の複合膜は、単なる積層構造の膜形態ではなく、不織布とオレフィン系ポリマーと耐熱性樹脂とが複合し、混在した状態の膜を意味する。本発明の複合膜の好ましい形態としては、オレフィン系ポリマーおよび/または耐熱性樹脂で被覆された不織布の繊維間の隙間に、オレフィン系ポリマーおよび/または耐熱性樹脂が充填された形態が挙げられる。なかでも、耐熱性樹脂で被覆された不織布の繊維間の空隙に、オレフィン系ポリマーが充填された形態であるか、又は、オレフィン系ポリマーで被覆された不織布の繊維間の空隙に、耐熱性樹脂が充填された形態であることが好ましく、耐熱性樹脂で被覆された不織布の繊維間の空隙に、オレフィン系ポリマーが充填された形態が特に好ましい。なお、「オレフィン系ポリマーおよび/または耐熱性樹脂で被覆された」とは、オレフィン系ポリマーおよび/または耐熱性樹脂により不織布が部分的に被覆されている態様も含まれる。
以下、本発明の複合膜について詳述する。
本発明に用いられる不織布は特に制限されず、通常のものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアラミド、ナイロン、セルロースまたはポリフェニレンスルファイドからなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせてなる不織布を用いることができる。組み合わせ方としては、単独成分の繊維を2種類混ぜて不織布としても良いし、ある成分を繊維芯として別の成分をコーティングした2重構造の不織布としても良い。
不織布の厚みは特に制限されないが、2μm〜150μmが好ましく、5μm〜80μmがより好ましく、10μm〜80μmが特に好ましい。この範囲内にあることにより、イオン透過性を維持しつつ、力学的強度をより効果的に確保できる。
なお、不織布の厚さは実施例の項に記載の方法により測定することができる。
本発明において、不織布の厚みを1としたとき、総膜厚(本発明の複合膜自体の厚み)は1.6以下であることが好ましく、1.4以下であることがより好ましい。下限に特に制限はないが、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。
不織布の厚みと総膜厚との比が上記範囲内にあることにより、イオン透過性を維持しつつ、力学的強度をより効果的に確保できる。
本発明に用いられるオレフィン系ポリマーは、その融点が、本発明に用いられる耐熱性樹脂の融点および分解温度の内の低い方よりも低い温度であれば特に制限されない。
本明細書において、オレフィン系ポリマーとは、オレフィンであるエチレンおよび/またはα−オレフィンと、必要に応じてオレフィン以外の任意のモノマーを重合することにより得られる重合体を意味する。α−オレフィンの炭素数は、3〜24が好ましい。
α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび4−メチルペンテン−1が挙げられる。
本発明に用いられるオレフィン系ポリマーは、オレフィン成分以外のモノマー成分を構成成分としてを含み得る。本発明に用いられるオレフィン系ポリマーにおいて、オレフィン成分の含有割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。本発明に用いられるオレフィン系ポリマーはより好ましくはポリオレフィンであり、さらに好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンである。このポリエチレンは高密度ポリエチレンであっても低密度ポリエチレンであっても、高分子量ポリエチレンであってもよい。
オレフィン系ポリマーの融点は特に制限されないが、100℃〜180℃が好ましく、105℃〜170℃がより好ましく、105℃〜160℃が特に好ましい。
また、オレフィン系ポリマーの弾性率は特に制限されないが、1MPa〜35MPaが好ましく、3MPa〜30MPaがより好ましく、5MPa〜25MPaが特に好ましい。
また、オレフィン系ポリマーの形状は特に制限されないが、非粒子状が好ましい。
オレフィン系ポリマーの具体例として、ポリエチレン(PE、融点110℃)、ポリプロピレン(PP、融点130℃)およびエチレン−プロピレン共重合体が挙げられる。
本発明において、オレフィン系ポリマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる耐熱性樹脂は、その融点および分解温度のうちの低い方が、本発明に用いられるオレフィン系ポリマーの融点よりも高い樹脂であれば特に制限されない。なお、耐熱性樹脂には、融点をむかえる前に熱分解して炭化または揮発する樹脂、すわなち融点を持たない樹脂も含まれる。本発明では、融点を持たない樹脂を用いる場合、分解温度が本発明に用いられるオレフィン系ポリマーの融点よりも高いものが用いられる。
耐熱性樹脂の融点および分解温度は特に制限されないが、融点および分解温度のうちの低い温度が、130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上が特に好ましい。本発明で採用される耐熱性樹脂の融点又は分解温度(融点および分解温度のうちの低い方)は高い程好ましいが、450℃以下が実際的である。
また、耐熱性樹脂の形状は特に制限されないが、非粒子状が好ましい。
耐熱性樹脂の具体例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、融点327℃)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF、融点177℃)、フッ素系ゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム(分解温度約400℃)、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR、分解温度約400℃)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、超高分子量ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂およびポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
本発明において、耐熱性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。
融点および分解温度は材料の密度、形状および/または形成条件などで異なる。上記オレフィン系ポリマーおよび耐熱性樹脂の具体例に付した融点および分解温度は、測定値の一例である。
また、オレフィン系ポリマーおよび耐熱性樹脂の弾性率は、25℃における弾性率であり、後述の実施例の項に記載の方法により求めることができる。
本発明において、耐熱性樹脂の弾性率が、オレフィン系ポリマーの弾性率より大きい方が、引張強度がより優れるため好ましい。
本発明において、オレフィン系ポリマーの融点並びに耐熱性樹脂の融点および分解温度の内の低い方がいずれも上記好ましい範囲内にあることにより、非水二次電池が発熱した際にセパレータの熱収縮を効果的に抑制でき、また、シャットダウン特性をより良好に発揮できる。
また、耐熱性樹脂の融点および分解温度の内の低い方とオレフィン系ポリマーの融点との差(耐熱性樹脂の融点および分解温度の内の低い方−オレフィン系ポリマーの融点)は特に制限されないが、45℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、55℃以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、300℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、150℃以下が特に好ましい。
耐熱性樹脂の融点および分解温度の内の低い方とオレフィン系ポリマーの融点との差が上記範囲内にあることにより、非水二次電池が発熱した際にセパレータの熱収縮を抑えたままシャットダウン特性を発揮できるという点により、安全性をより確実に確保できる。
上述のように、本発明の複合膜は、オレフィン系ポリマーおよび耐熱性樹脂の少なくとも一方に空孔を有する。
ここで、オレフィン系ポリマーおよび耐熱性樹脂の少なくとも一方が有する空孔とは、不織布の空孔に充填されたオレフィン系ポリマーおよび/または耐熱性樹脂に形成されている空孔を意味する。この空孔は連通していてもよく、連通していなくてもよい。
本発明の複合膜は、より優れたイオン透過性を確保するため、少なくともオレフィン系ポリマーが空孔を含有することが好ましい。また、不織布の繊維が耐熱性樹脂により少なくとも部分的に被覆されており、この被覆された不織布繊維の空隙に、空孔を有するオレフィン系ポリマーが充填された形態が好ましい。このような構成とすることによって、複合膜のイオン透過性および力学的強度をより向上させることができる。ここで、「不織布の繊維が耐熱性樹脂により被覆されている」とは、耐熱性樹脂が、繊維に含浸している状態も含む。
本発明の複合膜は、力学的強度を維持しつつ、イオン透過性をより効果的に確保するため、空隙率は20〜80%が好ましく、20〜70%がより好ましく、20〜60%が特に好ましい。
なお、空隙率は実施例の項に記載の方法により測定することができる。
本発明の複合膜の製造方法は、特に限定されない。例えば、耐熱性樹脂を溶媒に溶解させた溶液に、不織布を浸漬させた後、溶液から引き上げた不織布を乾燥させることにより、不織布の繊維が耐熱性樹脂で被覆された膜を得る。その後、流動パラフィンとオレフィン系ポリマーとの溶融混練物を上記膜に含浸させ、流動パラフィンを除去し、乾燥させることにより、オレフィン系ポリマー中に空孔を有する複合膜を作製することができる。
本発明の複合膜は、セパレータとして非水二次電池に使用されることが好ましい。以下、本発明の複合膜をセパレータとして使用することができる非水二次電池を本発明の非水二次電池とも称する。
以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウムイオン非水二次電池(以下、「本実施形態のリチウムイオン非水二次電池」とも称する。)の構成について、詳細に説明する。
本実施形態のリチウムイオン非水二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。
本実施形態のリチウムイオン非水二次電池は、電解液、正極及び負極の電極合材、セパレータを基本部材として具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。
電解液は一般に支持電解質と溶媒から構成される。リチウムイオン非水二次電池における支持電解質はリチウム塩が主として用いられる。本発明の非水二次電池に使用できるリチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiOSO2CnF2n+1で表されるフルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、LiN(SO2CnF2n+1)(SO2CmF2m+1)で表されるイミド塩(m,nはそれぞれ6以下の正の整数)、LiN(SO2CpF2p+1)(SO2CqF2q+1)(SO2CrF2r+1)で表されるメチド塩(p,q,rはそれぞれ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどのLi塩を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。なかでもLiBF4および/またはLiPF6を溶解した電解液が好ましい。支持電解質の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電助剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウムイオン非水二次電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入することができ、かつ、放出することができるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、硫黄などのLiと複合化できる元素などでもよい。中でも、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素としてCo、Ni、Fe、Mn、CuおよびVからなる群から選択される1種以上の元素を有することがより好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物および(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoMnO4、Li2FeMn3O8、Li2CuMn3O8、Li2CrMn3O8、Li2NiMn3O8が挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP2O7等のピロリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、Li3V2(PO4)3(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、Li2FePO4F等のフッ化リン酸鉄塩、Li2MnPO4F等のフッ化リン酸マンガン塩、Li2CoPO4F等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、Li2CoSiO4等が挙げられる。
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入することができ、かつ、放出することができるものが好ましく、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましく、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
導電助材は、構成された非水二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料が好ましく、通常の導電助材を適宜用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維および金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号公報に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号公報に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。本発明に用いられる電極組成物の全固形成分100質量%のうち、上記導電助剤の含有量としては、11〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオリド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)若しくはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレンおよびポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の非水二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料が好ましい。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、本発明に用いられる電極組成物の全固形成分100質量%のうち、0質量%を超え30質量%以下が好ましい。
電極の集電体としては、電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン若しくは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウムイオン非水二次電池の電極合材が形成される。
本発明の非水二次電池には、上述のように種々の形状を適用することができる。正極活物質または負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)された後に乾燥され、さらに、圧縮されて、主に用いられる。
リチウム電池と呼ばれる非水二次電池は、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(リチウムイオン非水二次電池)と、リチウムの析出および溶解を利用する二次電池(リチウム金属非水二次電池)とに大別される。本発明においてはリチウムイオン非水二次電池としての適用が好ましい。
本発明の非水二次電池はサイクル性良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。適用態様は特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
[非水二次電池用セパレータ(複合膜)の作製]
基材として不織布(廣瀬製紙社製、商品名:05TH−20S)を使用した。PVDF(ポリフッ化ビニリデン、下表1に示す第2の成分)をNMP(N−メチルピロリドン)に8%の濃度で溶解した溶液(クレハ社製、商品名:KFポリマーL#7208)に不織布を浸漬し、60mm/minの速度で引き上げた。その後、120℃の恒温槽で10分間乾燥し、多孔性の膜を得た。ポリエチレン(住友化学社製、商品名:スミカセンL−405H、下表1に示す第1の成分)70質量部と流動パラフィン(カネダ社製、商品名:ハイコールE−7)30質量部を押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、ダイから80℃に保持された冷却ロール上の多孔性の膜上に押出した。その後、膜を塩化メチレンに浸漬し流動パラフィンを除去し、乾燥後、80℃に保持されたロール間で0.4MPaのニップ圧でニップすることで非水二次電池用セパレータを得た。
ポリエチレンの使用量を70質量部から30質量部に変え、流動パラフィンの使用量をを30質量部から70質量部に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水二次電池用セパレータを得た。
不織布(廣瀬製紙社製、商品名:05TH−20S)に変えて、不織布(ユニチカ社製、商品名:20357/FLV)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の非水二次電池用セパレータを得た。
ダイの吐出口と冷却ロールの距離を半減させることにより、多孔性の膜上に押出すポリエチレンと流動パラフィンの量を半分にした以外は、実施例3と同様にして、実施例4の非水二次電池用セパレータを得た。
流動パラフィンを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の非水二次電池用セパレータを得た。
PVDF希釈溶液に不織布を浸漬せずに、ポリエチレンと流動パラフィンの溶融混練物を直接不織布上に押出した以外は、実施例2と同様にして、比較例2の非水二次電池用セパレータを得た。
正極は活物質:LiNi0.33Mn0.33Co0.33O2(NMC)85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)7.5質量%で作製し、負極は活物質:黒鉛85質量%、導電助剤:カーボンブラック7.5質量%、バインダー:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)7.5質量%で作製した。電解液は、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=2:8(質量比)の混合液87.5質量部にLiBF4 0.4質量部とLiPF6 12.1質量部を液温が30℃を越えないようにしながら少量ずつ溶解させることで調製した。正極、負極、電解液と上記作製した実施例および比較例の各非水二次電池用セパレータを用いて、非水二次電池(2032形コイン電池)を作製した。
30℃の恒温槽中、電池電圧が4.3V(正極電位4.4V)になるまで0.2C定電流充電した後、電池電圧4.3Vの定電圧において電流値が0.12mAになるまで充電を行った。ただし、定電圧充電時間の上限は2時間とした。次に30℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで0.2C定電流放電を行った。この一連の充放電を2回繰り返した。上記の方法で初期化した2032形コイン電池を用いて後述のサイクル特性の評価を行った。
−融点−
第1の成分および第2の成分の融点は、エスアイアイナノテクノロジー社製高感度型示差走査熱量計、商品名:EXSTAR−DSC7200を用い、JIS K 7121に準じて実施し、JIS K 7122に準じて融解ピークの面積から求めた。複数のピークが重なった一連のものである場合、これを1つの融解ピークとしてピーク面積を求め、ピーク高さの高い方を融点とした。
第1の成分および第2の成分をそれぞれ1cm×3cmの短冊状フィルムに成形し、引張試験機(島津製作所社社製、商品名:オートグラフAGS−J)にて25℃における引張強度を測定した。
引張強度値を短冊状フィルムの断面積で割り、弾性率を算出した。
実施例および比較例で使用した不織布の厚み、並びに、上記作製した実施例および比較例の非水二次電池用セパレータの厚みは、マイクロメーター(ミツトヨ社製)によって測定した。
走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、商品名:S3400N)により非水二次電池用セパレータの断面画像を取得し、断面画像において空隙(空孔)の占める面積(a)と、第1の成分、第2の成分および不織布の占める面積(b)から、((a)/((a)+(b))×100)を算出した。
断面画像は、非水二次電池用セパレータの任意の断面を切り出し、1000倍の倍率で測定したものである。非水二次電池用セパレータの5箇所について上記割合((a)/((a)+(b))×100)を算出し、これらの平均を空隙率とした。
−熱収縮率−
非水二次電池用セパレータから2.5cm四方に切り出した試料に、不織布の繊維方向に対して平行方向と垂直方向におよそ2cm間隔で2点目印を付けた。試料を25℃55%の温湿度下に2時間静置した後、平行方向の目印の間隔、垂直方向の目印の間隔をそれぞれノギス(ミツトヨ社製)で測定した。次に試料を140℃の恒温槽で30分間加熱した。その後、再び試料を25℃55%の温湿度下に2時間静置した後、目印の間隔をノギスで測定した。平行方向と垂直方向とそれぞれについて、下記式から加熱前後の間隔の変化の割合を算出した。
A:3%未満
B:3%以上10%未満
C:10%以上
非水二次電池用セパレータから2cm×5cmの短冊状に切り出した試料について、引張試験機(島津製作所製、商品名:オートグラフAGS−J)にて、25℃における引張強度を測定した。具体的には、試料の上下1cmを引張試験機のチャックで挟み、50mm/minの速度で引張試験を実施した。不織布の繊維に対して平行方向と垂直方向でそれぞれ引張強度を求め、小さい方を非水二次電池用セパレータの引張強度として表1に記載した。
非水二次電池用セパレータから2.5cm四方に切り出した試料について、突刺強度試験機(イマダ社製、商品名:MX2−500N)にて突刺強度を求めた。具体的には、中心に直径1cmの円形孔が開いたプラスチック製の固定冶具で、円形孔の中心が試料の中心と一致するように試料を固定した。先端が曲率半径1mmの半球状になったピンをフォースゲージ(イマダ社製、商品名:ZP−50N)の先端に取り付け120mm/minの速度で試料に近づけ貫通させた。貫通位置は円形孔の中心とした。ピンが試料に触れてから貫通するまでの間の力をフォースゲージで測定し、その最大値を突刺強度とした。
グローブボックス中でHSセル(宝泉社製HSセル)の負極に、24mmΦの円形に切り出した非水二次電池用セパレータを入れ、電解液(エチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=2:8(質量比)の混合液87.5質量部にLiBF40.4質量部とLiPF612.1質量部を液温が30℃を超えないようにしながら少しずつ溶解させた溶液)を滴下した。HSセルの正極を取り付け封止した後、グローブボックス中からHSセルを取出した。HSセルを30℃の恒温槽中に入れ、インピーダンスアナライザー(東洋テクニカ社solartron)によって電圧5mV、周波数1Hz〜1MHzの条件で交流インピーダンスを測定し、HSセルの内部抵抗を算出した。抵抗値は、5Ω未満の場合はA、5Ω以上の場合はBとして評価した。
上記作製したHSセルを30℃の恒温槽中に入れ、30℃/minの速度で昇温し130℃で1分間保持した。その後、再び恒温槽の温度を30℃に設定し、HSセルの温度が30℃になった時点で上記と同様にして抵抗を測定した。昇温前後で抵抗値が上昇した場合はシャットダウン特性「良好」、変化しなかった場合は「不良」として評価した。
上記作製した2032形コイン電池を30℃の恒温槽中に入れ、充電は0.2C定電流で行い4.2Vを終止電圧とした。放電は0.2C定電流で行い3.0Vを終止電圧とした。この条件で充放電を繰り返し、容量維持率を(100サイクル目での電池容量)÷(初期の電池容量)×100で求めた。下表1には下記評価基準による結果を記載した。B以上が合格レベルである。
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:80%未満
実施例1〜4との対比のため、耐熱性樹脂を使用しなかった比較例2では、第1の成分と第2の成分としてポリエチレンを記載している。
これに対して、実施例1〜4の非水二次電池は、どの評価項目に対しても良好な結果を示した。
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電体
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム非水二次電池
Claims (7)
- 不織布と、オレフィン系ポリマーと、耐熱性樹脂とを含む複合膜を用いた非水二次電池用セパレータであって、
前記耐熱性樹脂の融点および分解温度のうちの低い方が、前記オレフィン系ポリマーの融点より高く、
前記オレフィン系ポリマーおよび前記耐熱性樹脂の少なくとも一方に空孔を有し、
前記不織布は熱収縮性を有し、かつ構成材料として有機ポリマーを有する、非水二次電池用セパレータ。 - 前記不織布の厚みを1としたとき、前記複合膜の総膜厚が1.6以下である請求項1に記載の非水二次電池用セパレータ。
- 前記耐熱性樹脂の弾性率が、前記オレフィン系ポリマーの弾性率より大きい請求項1または2に記載の非水二次電池用セパレータ。
- 前記複合膜の空隙率が20〜80%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池用セパレータ。
- 前記オレフィン系ポリマーの融点が100〜180℃であり、前記耐熱性樹脂の融点および分解温度のうちの低い方が130℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池用セパレータ。
- 前記不織布の厚みが5〜80μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池用セパレータ。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水二次電池用セパレータを有する非水二次電池。
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