JP6615838B2 - 荷役用プラットホームにおける緩衝体構造 - Google Patents
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Description
しかしながら、周知の通り、大型トラックは、全長で10mを越えるものであり、しかも運転席は車輛前端に位置することから、たとえ後視カメラ等の運転支援機器があったとしても、正確に荷台後端を荷役用プラットホームに接縁させることは難しい運転操作である。そのため現実には、しばしば過剰な接近操作で荷台後部を激しく荷役用プラットホームに衝突させることがあり、このため荷役用プラットホームの端縁にはバンプラバーと称される緩衝本体(緩衝装置)を設けて、その衝撃を緩和することが行われている。
すなわち、従来、荷役用プラットホームPの端面に緩衝本体4′を固定するにあたっては、例えば図7に示すように、まず荷役用プラットホームPの端面からほぼ水平に突出するようにアンカーボルトABを打ち込み、このアンカーボルトABの露出ネジ部Sに、緩衝本体4′を差し込み、ワッシャWやナットNを用いて締め込むのが一般的であった。
この場合、貨物トラック等の車輛10の後退時に、荷台後部を緩衝本体4′に激しく衝突させてしまうと、アンカーボルトABの頂部(ネジ部S)が変形し、そのネジ山が潰れることが多かった。
このような状態となると、例えば劣化した緩衝本体4′を交換する際、アンカーボルトABのネジ部Sにねじ込んだ固定用のナットNが極めて回しづらくなり、このような状況が甚だしい場合には、溶断等の手段により変形したネジ部Sを切断(除去)しなければならないことも多かった。
そして、その後、アンカーボルトAB自体も交換しなければならず、それにはアンカーボルトABを埋込み状に取り付けていた場合には、荷役用プラットホームP(建物側)のコンクリートを部分的に、はつる必要があった。
もちろん、このような交換作業は、現場である集荷所で補修を伴って行うこととなるため、交換作業に長時間を要すれば、その間、該当部分の荷役用プラットホームPについては、本来の荷役作業が行えず、これも問題となっていた。
更に、このような集荷所は、軽油やガソリン等の燃料をタンクに注入した多くのトラックが頻繁に出入りする場所であり、極力、火気等は回避したい場所である(いわゆる火気厳禁)。そのため、溶断等の火花が飛び散る作業は荷役作業を行っている際には行えなかった。
荷役用プラットホームの端面の上方に固定設置される基板と、この基板に対し係脱自在に組み合わせられる緩衝ユニットとを具えて成り、
前記緩衝ユニットは、緩衝本体と、この緩衝本体の保持ベースとなるベース板とを具え、緩衝本体は、中空膨出状の弾性素材で形成されるものであり、
また前記ベース板が基板に対し係脱自在に取り付けられる掛止構造によって、緩衝ユニットの荷役用プラットホームへの設置が図られる構成であり、
更に前記緩衝本体は、側面から視てC字状断面に形成され、このC字状断面の両端部が互いにC字状断面の内側を向くとともに、当該内側を向いたC字状断面の両端部がベース板に固定され、なお且つ当該C字状断面の開口部が、ベース板の基面にあてがうように取り付けられ、当該C字状断面の開口部が荷役用プラットホーム側に向けて取り付けられるものであり、
且つまた前記C字状断面の緩衝本体は、自動車用タイヤを放射状に複数切断してなる切断素材が適用され、タイヤのビードワイヤ部分が荷役用プラットホーム側に向けて取り付けられることを特徴として成るものである。
前記自動車用タイヤは、製造後の製品検査で不合格となった未使用不適合品であることを特徴として成るものである。
すなわち、本発明によれば、荷役用プラットホーム側に固定した基板と、緩衝ユニット側のベース板との掛止構造により、緩衝ユニットの荷役用プラットホームへの設置が図られるため(いわゆる着脱式の取り付けであり、アンカーボルトで緩衝本体を固定する手法ではないため)、たとえ貨物トラック等の車輛が、緩衝ユニットを設けた荷役用プラットホームに強く衝突してしまい、緩衝本体の交換が必要になっても、緩衝ユニットを容易に且つ確実に基板から取り外すことができ、交換作業が短時間で能率的に行える。また、交換作業が短時間で済むことから、作業現場となる荷役用プラットホームについても、使用制限をほとんど生じさせないものである。
また、本発明によれば、車輛が、荷役用プラットホームに取り付けられた緩衝ユニット(緩衝本体)に接触した際の衝撃をより吸収することができる。
また、本発明によれば、緩衝本体として自動車用タイヤの未使用不適合品が適用されるため(不合格品とはいえ未使用であるため)、素材そのものとして充分な弾性を有し、またビードワイヤ部分を車輛との接触面側に位置しないように設けるため、緩衝本体として良好なクッション性を発揮し得る。また未使用であるため、充分な耐久性も具備する。もちろん、自動車用タイヤの未使用不適合品の有効利用も達成し得る。
以下、上記緩衝体構造を有する緩衝装置1について説明しながら、本発明の緩衝体構造について説明する。
また緩衝ユニット3は、緩衝本体4と、この緩衝本体4の保持ベースとなるベース板5とを具えて成り、このベース板5が、前記基板2に対し、係脱自在に組み合わせられる。更に、緩衝本体4は、例えば側面視断面でC字状を成す中空膨出状の弾性素材で形成される。
組立面とは、基板2と緩衝ユニット3とが組み付けられる際に対面する面を指し、ここには掛止スロット61と掛止爪62とを具えて成る掛止構造6が構成される。なお、本実施例では、基板2の組立面側に掛止スロット61が設けられ、緩衝ユニット3の組立面側に掛止爪62が設けられる。
また、基板2の基面とは、基板2が荷役用プラットホームPと接する面を指し、緩衝本体4及びベース板5の基面とは、緩衝本体4とベース板5とが組み付けられる際に対面する面を指すものである。
基板2は、一例として図1・図2に示すように、縦長の矩形状に形成され、荷役用プラットホームPとの取り付けを図る金属製等の取付ベース板21を具え、この取付ベース板21の左右両サイドに沿って帯状板材(帯状金属材)が溶接等で接合される(これをサイド部材22とする)。そして、この二つのサイド部材22によって、基板2の組立面側には、中央部に垂直方向の縦溝23が形成され、この縦溝23の上下において、上記サイド部材22よりも肉薄の掛止バー24が横架状に設けられ、これら縦溝23と掛止バー24とによって狭い通路となる掛止スロット61が構成される。因みに上記掛止爪62は、この掛止スロット61(縦溝23)の幅寸法よりも小さい幅寸法に形成される。
このように、基板2は適宜の寸法に切断された金属板材や帯状金属板を適宜溶接等することによって得られるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いわゆる無垢材から掛止スロット61を得るように削り出しによって形成することも可能である。特に、掛止バー24については掛止状態における緩衝ユニット3の荷重を直に受ける部位であるため、サイド部材22と掛止バー24については、一枚の金属板材から削り出して加工することが好ましい。
緩衝ユニット3は、上述したように緩衝本体4とベース板5とを具えて成るものであり、緩衝本体4は、ベース板5(基面側)に一体的に固定される。なお、この固定は、図示のように例えばベース板5の組立面側から皿ボルト(皿ネジ)等のボルトBを緩衝本体4側に通し、緩衝本体4の内側からワッシャWを介してナットNをねじ込むことにより、取り付けが図られる。
なお、緩衝本体4として、自動車用タイヤの未使用不適合品から成る切断素材を適用するため(不合格品とはいえ未使用であるため)、充分な弾性を有し、またビードワイヤBW部分が車輛10と直に接触しないため、緩衝本体4として良好なクッション性を発揮し得る。また未使用であるため、充分な耐久性も具備する。もちろん、自動車用タイヤの未使用不適合品の有効利用も達成し得るものである。
ベース板5は、組立面側に、基板2との掛止を図る掛止構造6としての掛止爪62が、掛止先端を下方向きとなるように設けられて成るものである。
ベース板5は、前記基板2とほぼ同じ大きさを有する縦長の矩形状に形成され、緩衝本体4との取り付けを図る金属板材等のベース板本体51を具える。そしてこのベース板本体51と上記掛止爪62との間には、掛止爪62とほぼ同じ幅寸法(縦溝23よりも狭い幅寸法)を有する当接ブロック52が積層状態に設けられ、掛止爪62を掛止スロット61に差し込んだ掛止状態では、この当接ブロック52が掛止バー24の上端に当接して緩衝ユニット3が保持される構成となっている(図2(a)参照)。
またベース板5には、掛止爪62の根元付近から当接ブロック52とベース板本体51とを貫通するボルト孔5hが形成され、このボルト孔5hにも組立面側から皿もみ加工が施される。そして、この皿もみ加工によって、ここにねじ込まれる皿ボルト等のボルトBの頭部が、掛止爪62の肉厚内に収まり(図2(a)参照)、ボルト頭部が掛止爪62の端面(組立面)から突出しないように考慮される。
貨物トラック等の車輛10は、貨物輸送に供されるものであり、一例として図3に示すように、シャーシ11の前後に前輪12・後輪13を具え、更にシャーシ11の前部に運転キャビン14が設けられる。
また、運転キャビン14の後方に荷室15が設けられ、この荷室15に貨物が収容される。また荷室15は、例えば跳ね上げ式のウイングルーフ16によって左右両側面が開閉可能に構成され、更に後背面が観音開き可能なリアドアー17によって構成される。
なお、車輛10側にも荷役用プラットホームPとの接触を緩和するためのバンプラバー10Bが設けられることが好ましく、このバンプラバー10Bは、例えば上記標識灯の近傍に設けられる。
なお、ここでは緩衝ユニット3については、ベース板5と緩衝本体4とが皿ボルト等のボルトBで既に一体化(ユニット化)されているものとして説明する。
(1)設置態様
緩衝装置1の設置にあたっては、まず基板2を荷役用プラットホームPの端面に固定するものであり、これには基板2の組立面側から皿ボルト等のボルトBをねじ込んで固定する(図1・図2(a)参照)。
そして、図3(a)に示すように、荷役用プラットホームPに固定した基板2に対して、緩衝ユニット3を組み付けるものであり、これには基板2とベース板5のそれぞれの組立面を合わせるようにしながら、ベース板5に形成された掛止爪62を、基板2に形成された掛止スロット61に入れ込むようにするものであり、且つこの状態で緩衝ユニット3全体を下方にスライドさせることにより、荷役用プラットホームPに一体的に取り付けられた緩衝装置1が構成される。
この際、荷台後部の左右両端に緩衝装置1が接触するように設置されていると、車輛10を荷役用プラットホームPに接近後退させる際のハンドル操作が、厳密なものではなく、ある程度大まかな操作で済み、ドライバーのストレスも軽減される。
この積込作業が完了すると、リアドアー17を閉鎖し、配送作業等のためにドライバーがトラックを発進させる。
本発明に係る緩衝装置1においては、基板2と緩衝ユニット3の組付状態では、一例として図1・図2に示すように、ベース板5のベース板本体51(組立面側)と、基板2のサイド部材22(組立面側)とが面接触する構成となっている。このため、例えば車輛後退時に荷台を荷役用プラットホームPに強く接触させてしまっても、ベース板本体51がサイド部材22に強く面接触することになり、例えば基板2を荷役用プラットホームPに固定しているボルトBには、ほとんどこの衝撃が伝わらない。このため、車輛10が荷役用プラットホームPに強く接触しても、当該ボルトBが破損することはほとんどなく、従って基板2や荷役用プラットホームPについては、大きな修復工事を行う必要もほとんど生じない。
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、掛止構造6として基板2に掛止スロット61を設け、且つ緩衝ユニット3に掛止爪62を設けた。
しかしながら、掛止構造6としては、例えば図4に示すように、基板2と緩衝ユニット3との掛止構造の関係を、図1に示す実施例と逆関係にすることができる。すなわち、基板2に対して掛止爪62を設け、緩衝ユニット3のベース板5に掛止スロット61を形成することが可能である。なお、上記図4では掛止爪62は掛止作用先端が上向きに形成されている。
そして、上記図5に示すように、抜止63を抜止孔25の円形部に入れ込むとともに、掛止爪62を抜止孔25の長孔部に沿って下降させて、その下端に位置させることにより、基板2と緩衝ユニット3との掛止を維持し、且つ掛止爪62が抜止孔25から不用意に抜け出して緩衝ユニット3が脱落してしまうことを防止するものである。
なお、この状態で、基板2と緩衝ユニット3(ベース板5)との上端部が揃うように、前記掛止爪62(抜止63)及び抜止孔25の形成位置が設定される。
しかしながら、緩衝本体4(切断素材)として用いる元のタイヤ(未使用不適合の自動車用タイヤ)の大きさや形状あるいは硬度(柔らかさ)等によっては、例えば図2(b)に示すように、トレッド部に近い位置にボルト孔4hを開口することが可能である。
このような場合、未使用不適合の自動車用タイヤを放射状に複数切断して得られる緩衝本体4を、板厚一定の通常のワッシャW(平面)で押さえ付けるよりも、タイヤ内部の曲面に沿って押さえる方が、タイヤの元の曲面を活かし、充分な緩衝性が得られることが考えられる。
そのため、このような場合には、上記図2(b)に示すように、ワッシャについては、一定厚さで形成された通常のものではなく、板厚を適宜の方向で漸減させるようにしたワッシャW1を適用することが好ましい。
このような構成により、ナットNによるねじ込みも安定し(いわゆる「すわり」が良くなり)、元のタイヤが有していた内部曲面を極力活かした弾性形状が採り得る。
2 基板
3 緩衝ユニット
4 緩衝本体
5 ベース板
6 掛止構造
10 車輛(貨物トラック)
10B バンプラバー(車輛側)
11 シャーシ
12 前輪
13 後輪
14 運転キャビン
15 荷室
16 ウイングルーフ
17 リアドアー
18 後門枠
2 基板
2h ボルト孔
21 取付ベース板
22 サイド部材
23 縦溝
24 掛止バー
25 抜止孔
26 突起
4 緩衝本体
4h ボルト孔
BW ビードワイヤ
5 ベース板
5h ボルト孔
51 ベース板本体
52 当接ブロック
6 掛止構造
61 掛止スロット
62 掛止爪
63 抜止
64 案内溝
P 荷役用プラットホーム
B ボルト
N ナット
W ワッシャ
W1 ワッシャ
AB アンカーボルト
S ネジ部
Claims (2)
- 荷役用プラットホームの端面の上方に固定設置される基板と、この基板に対し係脱自在に組み合わせられる緩衝ユニットとを具えて成り、
前記緩衝ユニットは、緩衝本体と、この緩衝本体の保持ベースとなるベース板とを具え、緩衝本体は、中空膨出状の弾性素材で形成されるものであり、
また前記ベース板が基板に対し係脱自在に取り付けられる掛止構造によって、緩衝ユニットの荷役用プラットホームへの設置が図られる構成であり、
更に前記緩衝本体は、側面から視てC字状断面に形成され、このC字状断面の両端部が互いにC字状断面の内側を向くとともに、当該内側を向いたC字状断面の両端部がベース板に固定され、なお且つ当該C字状断面の開口部が、ベース板の基面にあてがうように取り付けられ、当該C字状断面の開口部が荷役用プラットホーム側に向けて取り付けられるものであり、
且つまた前記C字状断面の緩衝本体は、自動車用タイヤを放射状に複数切断してなる切断素材が適用され、タイヤのビードワイヤ部分が荷役用プラットホーム側に向けて取り付けられることを特徴とする、荷役用プラットホームにおける緩衝体構造。
- 前記自動車用タイヤは、製造後の製品検査で不合格となった未使用不適合品であることを特徴とする、請求項1記載の荷役用プラットホームにおける緩衝体構造。
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