JP6615669B2 - 防汚性内装材、及び防汚性内装材の製造方法 - Google Patents

防汚性内装材、及び防汚性内装材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、防汚性に優れた内装材の製造方法、及び、防汚性に優れた内装材に関する。
従来、オフィスビル、商業施設、マンション、一般家屋などには、各種の内装材が使用されている。内装材としては、床面に敷設される床材、壁面に施工される壁材、天井面に施工される天井材などが挙げられる。床材としては、例えば、タイルカーペット、ロールカーペット、ラグ、マットなどの各種のカーペット、塩ビ被覆糸織物などを用いた床材などが挙げられる。壁材としては、例えば、腰壁シート、壁紙などが挙げられる。天井材としては、例えば、天井用シートなどが挙げられる。このような内装材は汚れに接することが多い。一般的には、汚れとは、本来はそこにあることが好ましくなく、除去することが求められる物質を指す。具体的には、汚れは、水溶性汚れ(食塩、色素など)、油溶性汚れ(脂肪酸、動植物油脂など)、固体汚れの3種に分けられる。このうち、水に溶解せず、油性の有機溶剤などにも溶解しない汚れが固体汚れであり、特に粒子状の汚れは固体粒子汚れと呼ばれている。固体粒子汚れとしては、例えば、土砂、粉塵、黄砂などが挙げられる。
このような汚れをカーペットなどの糸に付着させ難くする加工は防汚加工と呼ばれている。防汚加工としては、はじめから汚れが付着し難くするソイルガード(Soil Guard)加工、汚れが付着した後、洗浄により汚れを容易に落とし易くするソイルリリース(Soil Release)加工がある。このような防汚加工により付与された、はじめから汚れが付着し難い性質、及び/又は、汚れが付着した後、洗浄により汚れが容易に落ち易い性質は、防汚性と呼ばれている。
ところで、一般に、糸は、その構造上、表面積が大きいので、防汚剤を均質に塗布することが困難であり、また、糸の風合いを損ねずに防汚性を付与することも困難である。例えば、カーペットに防汚性を付与するため、パイル糸にフッ素樹脂を塗布することにより、ソイルガード加工することが提案されている(例えば、特許文献1)。フッ素樹脂がパイル糸に塗布されているカーペットは、フッ素樹脂が撥水・撥油性能を有するため、水溶性汚れ及び油溶性汚れは付着し難い。
しかしながら、かかるカーペットは、水及び油性の有機溶剤などに溶解し難い固体粒子汚れの付着を十分に防止できない場合があり、十分な防汚性を有するとは言えない。また、フッ素樹脂の種類や塗布量によっては、フッ素樹脂が有するタック性(粘着性)により、固体粒子汚れが付着し易くなることもある。特に、多数の人々が歩行をする場所に設置されるカーペットの表面には、土砂、粉塵、黄砂などの固体粉体汚れが大量に接する。従って、そのような固体粉体汚れが付着し難い防汚性に優れたカーペットが求められている。
特開2008−163476号公報
本発明の目的は、土砂、粉塵、黄砂などの固体粒子汚れが付着し難い防汚性内装材及びその製造方法を提供することである。
本発明の防汚性内装材は、表糸層を有する内装材であって、フッ素樹脂を含むフッ素部が前記表糸層に直接固着されており、シリカ粒子が、その一部を露出した状態で前記フッ素部に埋設されており、前記シリカ粒子が、粒子の表面を処理していないコロイダルシリカである
本発明の好ましい防汚性内装材は、前記フッ素部が、単一の層からなる
本発明の好ましい防汚性内装材は、前記表糸層を構成する糸に点接触しているシリカ粒子を含む
本発明の好ましい防汚性内装材は、一部が前記フッ素部から露出し且つ残部が前記フッ素部に埋設された状態のシリカ粒子と、前記フッ素部に完全に埋設されているシリカ粒子と、を含む
本発明の好ましい防汚性内装材は、前記シリカ粒子が、粒子径5nm〜100nmの略球状である。
本発明の好ましい防汚性内装材は、前記露出したシリカ粒子の露出割合が、10%〜80%である。ただし、シリカ粒子の露出割合(%)は、(シリカ粒子の露出部分の表面積/シリカ粒子の全表面積)×100で求められる。
また、本発明の別の局面によれば、防汚性内装材の製造方法が提供される。
本発明の防汚性内装材の製造方法は、上記いずれかの防汚性内装材の製造方法であって、表糸層に、粒子径が5nm〜100nmのコロイダルシリカであって粒子の表面を処理していないコロイダルシリカを含む処理液を塗布する工程、及び、フッ素樹脂を含む処理液を前記表糸層に塗布する工程、を含む。
発明の防汚性内装材は、固体粒子汚れが付着し難く、長期間綺麗な状態で使用できる。
また、本発明の製造方法によれば、土砂、粉塵、黄砂などの固体粒子汚れが付着し難い、防汚性に優れた内装材を得ることができる。
内装材(カーペット)の平面図。 図1のII−II線で切断した拡大断面図。 織物層の一部省略平面図。 防汚性内装材の表糸層の表面の拡大平面図。 図4のV−V線で切断した拡大断面図。 シリカ処理液の塗布量(図中では「シリカ塗布量」)と色度E値の差△Eとの相関関係を示すグラフ図。 実施例22の防汚性内装材(カーペット)の表糸層を構成する糸の表面の一部の電子顕微鏡写真。
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、ある層の「表面」又は「上方」は、内装材を施工する面から遠い側の面又は方向を指し、「裏面」又は「下方」は、その反対側(内装材を施工する面に近い側)の面又は方向を指す。前記内装材を施工する面としては、例えば、床面、壁面、天井面などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
また、各図における、厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
<内装材>
本発明の製造方法は、表糸層を有する内装材であって、表糸層に防汚処理を施すことによって、防汚性内装材を得ることを特徴とする。
図1は、内装材の平面図であり、図2は、その拡大断面図である。
本発明の処理対象である内装材1は、図1及び図2に示すように、表糸層2を有する。
前記内装材1としては、表糸層2を有するものであれば特に限定されず、例えば、床材、壁材、天井材などが挙げられる。特に、土足で踏み付けられることが多い床材は、固体粒子汚れが付着し易いことから、本発明の処理対象は床材であることがより効果的である。
(表糸層)
本明細書において、表糸層2は、図2に示したような、糸21が基布22などに植設されたパイル層、図3に示したような、経糸211及び緯糸212が織り込まれてシート状に形成された織物層、及び、糸が編み込まれてシート状に形成された編物層が含まれる。また、表糸層2は、内装材1の最も上方に配置され、内装材1の最表面を構成する層である。
表糸層2を形成する糸としては、特に限定されず、例えば、天然繊維、化学繊維若しくは無機繊維からなる糸、又は2種以上の繊維を混紡又は引き揃えた糸などが挙げられる。
前記天然繊維としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、リンネルなどの植物繊維;羊毛、絹、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、モヘアなどの動物繊維;などが挙げられる。前記化学繊維としては、例えば、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの合成繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維;レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維などが挙げられる。前記無機繊維としては、カーボン、ガラス、金属などが挙げられる。前記繊維は、1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
前記繊維は、芯材と芯材を被覆した被覆層とからなる複合繊維であってもよい。例えば、芯材が、ポリアミドやポリエステルなどの合成樹脂からなり、被覆層が、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる複合繊維が挙げられる。このような複合繊維からなる織物は、塩ビ被覆糸織物とも呼ばれる。
特に、糸が起立しているパイル層は、固体粒子汚れが付着し易いことから、パイル層を有する内装材1に防汚処理を施すことが好ましい。
また、表糸層2の糸は、モノフィラメント(単繊維)でもよく、或いは、マルチフィラメント(複数本の単繊維を撚り合わせ又は引き揃えて1本の糸としたもの)でもよい。
表糸層2を構成する糸の太さは、特に限定されないが、例えば、500デニール〜5000デニールであり、好ましくは、1500デニール〜4000デニールである。
表糸層2の糸の断面視における外形は、特に限定されず、円状又は楕円状の他、星形状などの異形状であってもよい。
[パイル層]
表糸層2の一実施形態であるパイル層は、例えば、タフト機を用いて糸21を基布22に植設する、すなわちタフトすることによって得ることができ、或いは、糸21の織り加工によって得ることができる。例えば、内装材の一例であるタフテッドカーペットのパイル層は、糸をタフトすることによって形成されたものであり、また、内装材の別の一例であるアキスミンターカーペットやウィルトンカーペットのパイル層は、糸の織り加工によって形成されたものである。このようなパイル層2は生機(きばた)とも呼ばれる。なお、パイル層を構成する糸は、一般に、パイル糸と呼ばれるため、このような場合の糸をパイル糸と記す場合がある。
表糸層2を構成するパイル糸21は、ループパイルでもよいし、カットパイルでもよい。パイル糸21は、基布22上において起立されている。
パイル糸21の高さは、特に限定されないが、通常、2mm〜20mmであり、特にループパイルの場合には、例えば、2mm〜10mmが好ましい。前記下限値以上の場合、パイル部分での良好な踏み心地が得られ、上限値以下の場合、パイル糸がへたり難くなる。
前記パイル糸21の素材は、特に限定されず、上記に例示した天然繊維及び化学繊維などを用いることができるが、好ましくは、化学繊維が用いられる。具体的には、パイル糸21としては、例えば、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどからなる公知の繊維加工糸を用いることができる。
パイル糸21の目付量としては、特に限定されず、適宜設定できるが、例えば、好ましくは300g/m〜3000g/mであり、より好ましくは500g/m〜2000g/mである。パイル糸21の目付量を前記範囲にすることにより、防汚性に優れるばかりでなく、良好な踏み心地が得られ、コスト面においても好ましい防汚性内装材を得ることができる。
また、パイル糸21の太さは、特に限定されないが、例えば、600デシテックス〜9000デシテックスが好ましい。このような太さのパイル糸を用いた内装材1は、弾性反発力に優れる。
パイル糸21の断面視における外形は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状であってもよく、略三角形状、略四角形状、略Y字形状などの異形状であってもよい。なお、本明細書において形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。前記略円形状及び略楕円形状の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。前記略三角形状、略四角形状などの略多角形状の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。
基布22は、パイル糸21をタフトできるものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。基布22としては、例えば、織布、不織布、編み布などのシート状のものが挙げられ、中でも不織布を用いることが好ましい。前記不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。基布22を構成する繊維の素材としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドなどの合成繊維;セルロース、ウールなどの天然繊維;レーヨンなどの半合成繊維などが挙げられる。中でも、耐久性及び耐へたり性が良好である合成繊維を用いることが好ましい。基布22の繊維は、1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。特に、基布22として、ポリエステル不織布、ポリアミド不織布、ポリエステルとポリアミドの混合不織布、ポリプロピレン不織布などを用いることができる。中でも、強度及び寸法安定性に優れることから、ポリエステル不織布を用いることが好ましい。また、基布22は、SBR系、MBR系、PVCラテックス、EVA系のプレコート剤でコーティングされたものを用いてもよい。
前記パイル層を有する内装材1としては、例えば、建物内や屋外の床面に敷設されるタイルカーペットやロールカーペットなどのカーペット、自動車、列車や航空機などの床面に敷設されるカーペット;建物内や屋外の床面に敷設されるラグ;建物内や玄関の出入り口などに敷設されるマットなどが挙げられる。
[織物層又は編物層]
表糸層の別の実施形態である上述の織物層としては、例えば、経糸及び緯糸を織り込んでシート状(平面的)に形成されたものなどが挙げられる。織り方は、特に限定されず、例えば、平織り、綾織り、朱子織り、絡み織り及びこれら織りを組み合わせたものなどが挙げられる。
上述の編物層としては、例えば、糸をループ状にし、そのループを連続させながら絡ませることでシート状(平面的)に仕上げたものなどが挙げられる。編み方は、特に限定されず、例えば、平編み、ゴム編み、パール編み及びこれら編みを組み合わせたものなどが挙げられる。
前記織物層又は編物層を有する内装材1としては、特に限定されないが、例えば、建物内に敷設される畳又は畳調床材、織物又は編物を表面に有するカーペット、ベルベットなどの床材;壁面に施工される壁クロス、腰壁シートなどの壁材;天井用シートなどの天井材などが挙げられる。
本発明によれば土砂などの固体粒子汚れに対して優れた防汚性を付与できるため、上記内装材の中でも、効果的な処理対象は、土足で踏み付けられることが多い床材、特に、パイル層を有するタイルカーペットやロールカーペットなどのカーペットである。
<内装材の具体的な層構造及び形状>
図1及び図2において、内装材1は、例えば、上方から順に、表糸層2と、前記表糸層2の裏面側に設けられたバッキング層3と、を有する。内装材1は、前記バッキング層3が積層されていることが好ましいが、表糸層2のみからなる内装材1でもよい。
図1及び図2は、内装材1として、タイルカーペットを例示しており、従って、図示された表糸層2はパイル層である。前記バッキング層3は、1層でもよく、或いは、任意の機能を有する2層以上の積層体であってもよい。前記バッキング層3は、例えば、裏面層33と補強材32と裏打ち層31とを有し、例えば、下方から上方に向かって、この順で積層されている。
このタイルカーペットは、例えば、平面視略正方形状などの枚葉状に形成されている。タイルカーペットの平面視形状は、これに限定されず、例えば、平面視略長方形状、略円形状、略楕円形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状などに形成されていてもよい。
タイルカーペットの寸法は、特に限定されないが、例えば、500mm×500mmなどが挙げられる。
また、本発明における内装材1は、平面視長尺帯状に形成されているロールカーペットでもよい(図示せず)。本明細書において、長尺帯状は、一方向の長さが他方向(他方向は一方向に対して直交する方向)の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、一方向の長さが他方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。前記長尺帯状のロールカーペットは、例えば、幅800mm〜4000mmのような所定幅で所定長さに形成されたものであり、その長さは、例えば、2m〜300mである。長尺帯状のロールカーペットは、通常、ロールに巻かれて保管・運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。
(バッキング層)
内装材1は、表糸層2の裏面側にバッキング層3を有するものが好ましい。バッキング層3の裏面は、内装材1を施工する面に、接着剤などを介して貼り付けられ、又は、直接接するように載置される。バッキング層3は、例えば、裏打ち層31、補強材32及び裏面層33から構成されるが、これら3層のうちの1層又は2層から構成されていてもよく、或いは、吸着フォーム層などのその他の機能層をさらに有していてもよい。
[裏打ち層]
裏打ち層31は、表糸層2と裏面層33又は表糸層2と補強材32を接合するために、基布22の裏面に設けられる。
裏打ち層31は、通常、合成樹脂から構成される。この合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂などのPVC系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのEVA系、アタクチックポリプロピレン(APP)樹脂などのAPP系、ポリウレタン樹脂などのPUR系などが挙げられる。加工性、耐久性、及びコスト面などから、ポリ塩化ビニル樹脂などのPVC系を用いることが好ましい。
裏打ち層31には、必要に応じて、カーボンブラックなどの各種顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの充填剤、安定剤、老化防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
裏打ち層31の厚みは、特に限定されないが、通常、0.5mm〜5.0mmであり、好ましくは1.0mm〜3.0mmである。裏打ち層31の厚みが大きすぎると、その作製が困難となり、一方、裏打ち層31の厚みが小さすぎると、表糸層2と裏面層33などを十分な強度で接着できないおそれがある。
なお、表糸層2と裏面層33又は表糸層2と補強材32を、接着剤や熱接合などの別の手段で接合できれば、裏打ち層31を省略することもできる。
[補強材]
補強材32は、寸法安定性などの物性安定性を内装材1に付与するために必要に応じて設けられる。補強材32は、図2に示すように、裏打ち層31と裏面層33の境界に設けられていてもよく、特に図示しないが、裏面層33の内部に埋設されていてもよい。
補強材32としては、例えば、ガラス、ポリエステル、ポリアミドなどの無機繊維若しくは合成繊維の織布又は不織布などが挙げられる。特に、寸法安定効果に優れていることから、補強材32として、ガラス繊維製の不織布又は織布などが好適に使用できる。
[裏面層]
裏面層33は、バッキング層3の最裏面を構成する層である。
裏面層33は、通常、合成樹脂又はゴムから構成される。この合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、上記で例示したような、ポリ塩化ビニル(PVC)系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(EVA)系、アタクチックポリプロピレン(APP)系、ポリウレタン(PUR)系などの樹脂が挙げられる。加工性、耐久性、及びコスト面などからポリ塩化ビニル樹脂などのPVC系を用いることが好ましい。
また、裏面層33の厚み方向中間位置、上方位置、又は下方位置に、第2の補強材(図示せず)が設けられていてもよい。なお、裏面層33の裏面に第2の補強材が設けられる場合には、その第2の補強材がバッキング層3の最裏面を構成する。第2の補強材としては、従来公知のガラス不織布又は織布、ポリエステル不織布又は織布、その他の繊維の不織布や織布などが挙げられる。
裏面層33の厚みは、通常、1.0mm〜5.0mmであり、好ましくは1.5mm〜2.0mmである。裏面層33の厚みが厚すぎると、その作製が困難となり、一方、裏面層33が薄すぎると、不陸吸収効果及び衝撃吸収性能が低下する。
<防汚性内装材の製造方法>
本発明の防汚性内装材の製造方法は、粒子径が5nm〜100nmのコロイダルシリカを含む処理液を、表糸層2に塗布する工程を含む。
(準備工程)
防汚処理対象である表糸層2又は内装材1を準備する。
後述するように、防汚処理工程は、表糸層2に対して実施されるので、少なくとも表糸層2を準備すればよい。つまり、(1)表糸層2のみを準備し、その表糸層2に防汚処理工程を行った後、バッキング層3などを積層することによって目的とする防汚性内装材を得てもよく、(2)表糸層2と任意の層が積層された未完の内装材を準備し、その表糸層2に防汚処理工程を行った後、残る層を積層することによって目的とする防汚性内装材を得てもよく、(3)表糸層2とバッキング層3などが積層された完成品である内装材を準備し、その表糸層2に防汚処理工程を行うことによって目的とする防汚性内装材を得てもよい。
表糸層2や内装材1については、上記で説明したようなものを適宜選択できる。例えば、処理対象である表糸層2がパイル層であり、従って、内装材1は、タイルカーペット又はロールカーペットなどのカーペットである。
なお、通常、内装材は、長尺帯状の状態で製造されるので、後述する防汚処理工程は、長尺帯状の表糸層2又は内装材1に対して実施される。
以下、前記(1)の順序で防汚性内装材を得る方法について説明する。
(防汚処理工程)
防汚処理工程は、表糸層2にコロイダルシリカを含む処理液を塗布する工程を含み、好ましくは、表糸層2にコロイダルシリカを含む処理液及びフッ素樹脂を含む処理液を塗布する工程を含む。
コロイダルシリカを含む処理液及びフッ素樹脂を含む処理液の塗布は、それぞれ独立して行ってもよく、同時に行ってもよい。コロイダルシリカ及びフッ素樹脂の塗布を同時に行う場合、コロイダルシリカを含む処理液とフッ素樹脂を含む処理液をそれぞれ準備し、両処理液を同時に表糸層2に塗布してもよく、或いは、コロイダルシリカ及びフッ素樹脂を含む処理液を準備し、その処理液を表糸層2に塗布してもよい。
以下、コロイダルシリカを含む処理液を「シリカ処理液」、フッ素樹脂を含む処理液を「フッ素処理液」、コロイダルシリカ及びフッ素樹脂の双方を含む処理液を「併用処理液」、シリカ処理液、フッ素処理液及び併用処理液を総称して単に「処理液」という場合がある。また、処理液には、必要に応じて、発泡剤、消泡剤などの各種添加剤を添加してもよい。
[コロイダルシリカを含む処理液]
コロイダルシリカを含む処理液は、コロイダルシリカと、水又は有機溶媒などの分散媒と、を含み、必要に応じて、安定化剤、界面活性剤などを含む。
コロイダルシリカは、二酸化ケイ素(SiO)又はその水和物(SiO・xHO)のコロイド粒子で、一定の構造をもたないものをいう。コロイダルシリカは、常温常圧下では、水又は有機溶媒などの分散媒中で安定に分散されており、ゾル状である。コロイダルシリカは、酸性、中性、アルカリ性のいずれで安定化されていてもよいが、例えば、pH5〜11、好ましくはpH6〜10で安定化されていることが好ましい。
前記分散媒としては、例えば、水;アルコール類、グリコール類、ケトン類、アミド類などの有機溶媒;又はそれら2種以上の混合溶媒などを用いることができる。
前記安定化剤としては、例えば、NaOH等のアルカリ金属水酸化物、有機性塩基、NHOH、低分子ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
また、コロイダルシリカは、略球状、略楕円球状などの形状を有する。コロイダルシリカは、その複数が会合又は連なって集合している場合もある。前記略球状及び略楕円球状の「略」は、例えば、球又は楕円球の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、球又は楕円球の一部が若干平面とされた形状などが含まれる。本発明においては、いずれの形状のコロイダルシリカであってもよいが、略球状のコロイダルシリカが好ましい。略球状であれば固体粒子汚れと点接触し易くなり、シリカ粒子の、固体粒子汚れとの接触面積が可及的に小さくなり、防汚性を向上できる。
前記コロイダルシリカの粒子径は、5nm〜100nmであり、好ましくは、8nm〜30nmであり、より好ましくは、10nm〜20nmである。コロイダルシリカの粒子径が前記範囲にあることで、表糸層2を構成する糸の表面及びその内部にまでコロイダルシリカが入り易くなり、表糸層2にシリカ粒子を斑無く行き渡らせることができ、十分な防汚性を有する内装材が得られ得る。コロイダルシリカの粒子径が大きくなり過ぎると、表糸層2の糸の表面に定着し難く、また、糸の内部にまでコロイダルシリカが入り難く、十分な防汚性を得られ難くなる。逆に、コロイダルシリカの粒子径が小さ過ぎると、固体粒子汚れの付着防止性能を十分に発揮できない。
前記コロイダルシリカの粒子径は、BET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準じる)からの換算値である。具体的には、シリカ粒子径をd[nm]、シリカ粒子の比表面積をS[m/g]、シリカ粒子の密度をρ[g/cm]とすると、d[nm]=6,000/(S[m/g]・ρ[g/cm])から、コロイダルシリカの粒子径を求めることができる。ここで、比表面積Sは、窒素吸着BET法(JIS Z8830に準じる)により測定することができる。また、密度ρは、JIS K0061「化学製品の密度及び比重測定方法」に準じて測定することができる。
コロイダルシリカを得る方法としては、特に限定されず、例えば、四塩化ケイ素の熱分解によるアエロジル合成などの気相合成法、アルコキシドの加水分解などの液相合成法、ケイ酸塩に希塩酸を作用させてから透析する方法などが挙げられる。
前記コロイダルシリカとしては、粒子の表面を処理していないコロイダルシリカでもよいし、粒子の表面を処理したコロイダルシリカでもよい。粒子の表面を処理したコロイダルシリカとしては、例えば、シリカ微粒子の表面のシラノール基と反応する官能基を有する有機化合物を用いて、シリカ微粒子の表面を処理して得られるオルガノシリケートのコロイダルシリカなどが挙げられる。前記有機化合物としては、例えば、シランカップリング剤などが挙げられる。また、オルガノシリケートのコロイダルシリカには、変性オルガノシリケートや変性していないオルガノシリケートがある。変性していないオルガノシリケートとしては、例えば、ジメチルシリカなどが挙げられる。この中でも、本発明においては、粒子の表面を処理していないコロイダルシリカが好ましく用いられる。
コロイダルシリカにはその表面が親水性のものと疎水性のものとがあるが、本発明に用いられるコロイダルシリカとしては、表面が親水性のコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは、その表面が親水性の場合、水などの水系溶媒への分散性が優れることから、コロイダルシリカを表糸層2の表面に均一に行き渡らせることができ、ソイルリリース性に優れた防汚性内装材を得ることができる。
シリカ処理液の調製は、公知の方法に従い、分散媒を用いて、コロイダルシリカを分散させる。さらに、必要に応じて、コロイダルシリカを安定化させるための安定化剤、界面活性化剤を加えてもよい。また、コロイダルシリカの塗布性を向上させるため、発泡剤などを混合してもよい。前記発泡剤としては、ビクセンF−320(日華化学株式会社製)、メイフォーマーF106(明成化学工業株式会社製)などが好ましく用いられる。前記シリカ処理液中のコロイダルシリカの含有量(シリカ濃度)は、コロイダルシリカが分散媒中において良好に分散できる程度で、適宜設定できる。シリカ処理液中のコロイダルシリカの含有量は、処理液全体を100重量%としたときに、例えば、5重量%〜50重量%である。後述するように、固形分換算で所定量のコロイダルシリカを表糸層2に塗布できるようにするため、それを考慮して、シリカ濃度とシリカ処理液の塗布量が設定される。
シリカ処理液としては、市販品を用いてもよく、例えば、NC(高松油脂株式会社製)、シリカドール(日本化学工業株式会社製)、スノーテックス(日産化学工業株式会社製)、アデライト(株式会社ADEKA製)、クインセッター(コタニ化学工業株式会社製)、クリアゾール(京浜化成株式会社製)、ニコソルト(日華化学株式会社製)などが挙げられる。この中でも、NC(高松油脂株式会社製)、シリカドール(日本化学工業株式会社製)、スノーテックス(日産化学工業株式会社製)、アデライト(株式会社ADEKA製)が好ましく用いられる。
[フッ素樹脂を含む処理液]
本発明の防汚性内装材の製造方法は、表糸層2にフッ素樹脂を含む処理液を塗布してもよい。コロイダルシリカ及びフッ素樹脂の処理を併用することにより、フッ素樹脂が有する撥水・撥油性能と、コロイダルシリカが有する固体粒子汚れに対する防汚性能が相俟って、防汚性に特に優れた防汚性内装材が得られる。この優れた防汚性は、防汚処理によって付与されるシリカ粒子とフッ素樹脂が、表糸層2を構成する糸の表面又は糸の表面及び内部に混在するようになることに起因すると考えられる。
また、一般的には、シリカ粒子などの粒子状物を糸に定着させる際には、粒子状物の脱落を防止するために、メタノール系、水系などのバインダーを用いる。これらバインダーは、その目的から防汚性能が考慮されていないのが一般的である。本発明に用いられるフッ素樹脂は、撥水・撥油性能に加えて、コロイダルシリカを良好に表糸層2に固着させるためのバインダーとしての機能も有する。本発明では、一般的なバインダーを必要とせず、防汚剤として機能するフッ素樹脂をバインダーの代替品として用いることによって、防汚性をより向上させることができる。
フッ素処理液は、フッ素樹脂と、水又は有機溶媒などの分散媒と、を含み、必要に応じて、安定化剤、界面活性剤などを含む。前記分散媒及び安定化剤としては、コロイダルシリを含む処理液で例示したようなものが挙げられる。
本発明に用いられるフッ素樹脂としては、撥水・撥油性能を有するフッ素樹脂が好ましい。また、本発明に用いられるコロイダルシリカとの相溶性に優れたフッ素樹脂を用いるのが好ましい。
前記フッ素樹脂としては、例えば、フルオロアルキルスルホン酸化合物、フルオロアルキルカルボン酸系化合物、フルオロアルキルリン酸エステル化合物、フルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。前記フッ素樹脂に含まれるフルオロアルキルとは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。フルオロアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。また、フルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。分岐状の基である場合には、分岐部分がフルオロアルキル基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。さらにフルオロアルキル基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちパーフルオロアルキル基)、またはパーフルオロアルキル基を末端部分に有する基が好ましい。パーフルオロアルキル基の場合、炭素数は、1〜10が好ましい。炭素数が4未満の場合には、フッ素樹脂の撥水性能が低下する傾向にあり、16より多い場合には、フッ素樹脂が常温で固体となり、昇華性も大きく、取扱いが困難になるおそれがある。
また、前記フッ素樹脂としては、例えば、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする重合体を用いてもよく、共重合体であってもよい。フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする重合体とはフルオロアルキル基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物である。かかるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を必須とする重合体は、かかる重合単位を1種または2種以上含んでいてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で分子中にOH基、COOH基、NH基などの親水基を有するものや、ポリアルキレングリコールセグメントを有する化合物が含まれていてもよい。
また、前記フッ素樹脂としては、例えば、次に示す一般式で示される化合物でもよい。
式中、R1は、水素又は低級アルキル基を示し、Rfは、C2m+1で表されるパーフルオロアルキル基を有し、且つ、水酸基及び不飽和基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む基を示し、mは、1〜20の整数を示し、nは、10〜200の整数を示す。
フッ素処理液の調製は、公知の方法に従い、分散媒にフッ素樹脂を溶解又は分散させる。前記フッ素処理液中のフッ素樹脂の含有量(フッ素濃度)は、フッ素樹脂が分散媒中において良好に溶解又は分散できる程度で、適宜設定できる。例えば、フッ素処理液中のフッ素樹脂の含有量は、処理液全体を100重量%としたときに、例えば、5重量%〜60重量%である。後述するように、固形分換算で所定量のフッ素樹脂を表糸層2に塗布できるようにするため、それを考慮して、フッ素濃度とフッ素処理液の塗布量が設定される。
フッ素処理液としては、市販品を用いてもよく、例えば、Capstone(登録商標)(DuPont社製)などが挙げられる。
[塗布工程]
前記シリカ処理液を表糸層2の表面に塗布する。
表糸層2に対する、シリカ処理液の塗布量は、適宜設定できるが、固形分換算で、例えば、0.1g/m〜100g/mであり、好ましくは、0.25g/m〜50g/mであり、さらに好ましくは、0.3g/m〜20g/mである。なお、前記シリカ処理液の塗布量は、表糸層2の1m当たりに塗布されるシリカ粒子の重量を基準としている。つまり、表糸層2の1m当たりにコロイダルシリカが0.1g〜100gの範囲で接触するように、シリカ処理液を塗布する。当該処理液のコロイダルシリカの含有量(シリカ濃度)を考慮して、コロイダルシリカの重量が前記範囲となるように、実際のシリカ処理液の塗布量が設定される。
シリカ処理液の塗布量がコロイダルシリカの固形分換算で0.1g/m以上である場合、表糸層2にシリカ粒子が適度な量で固着し、内装材1の防汚性を十分に向上できる。一方、シリカ処理液の塗布量がコロイダルシリカの固形分換算で100g/m以下である場合、表糸層2に固着するシリカ粒子が多くなりすぎないので、シリカ粒子が脱落し難くなること、加工性が悪化しないこと、コストが高くならないことから、好ましい。
必要に応じて、フッ素処理液を塗布する場合、それを表糸層2の表面に塗布する。表糸層2に対する、フッ素処理液の塗布量は、特に限定されず、例えば、固形分換算で0.1g/m〜100g/mであり、好ましくは、0.25g/m〜70g/mであり、さらに好ましくは、0.3g/m〜30g/mである。なお、前記フッ素処理液の塗布量は、表糸層2の1m当たりに塗布されるフッ素樹脂の重量を基準としている。つまり、表糸層2の1m当たりにフッ素樹脂が0.1g〜100gの範囲で接触するように、フッ素処理液を塗布する。当該処理液中のフッ素樹脂の含有量(フッ素濃度)を考慮して、フッ素樹脂の重量が前記範囲となるように、実際のフッ素処理液の塗布量が設定される。
フッ素処理液の塗布量が0.1g/m以上である場合、表糸層2の撥水・撥油性能を十分に向上させることができる。一方、フッ素処理液の塗布量が100g/m以下である場合、フッ素樹脂がシリカ粒子の略全体を覆わず、固体粒子汚れの付着防止というシリカ粒子の防汚性能を十分に発揮させることができる。
フッ素処理液の塗布は、シリカ処理液の塗布前に行ってもよく、シリカ処理液の塗布後に行ってもよく、或いは、シリカ処理液と同時に行ってもよい。
好ましくは、フッ素処理液とシリカ処理液を同時に塗布する。先にシリカ処理液を塗布し、フッ素処理液を塗布すると、フッ素樹脂がコロイダルシリカの略全体を覆ってしまうおそれがあり、そうすると、シリカ粒子の略全体がフッ素樹脂にて覆われ、シリカ粒子の防汚性能を発揮できないおそれがある。なお、フッ素処理液を塗布した後にシリカ処理液を塗布すると、シリカ粒子の略全体がフッ素樹脂で覆われることは防止できるので、フッ素処理液とシリカ処理液を前後に塗布する場合には、フッ素処理液を先に塗布することが好ましい。もっとも、シリカ処理液の分散媒として水系溶媒を使用した場合、フッ素処理液を先に塗布することによるフッ素樹脂の撥水性能により、シリカ処理液が幾分弾かれるおそれがある。このような点をも考慮すると、フッ素処理液とシリカ処理液を同時に塗布することが好ましい。
同時に塗布する場合、フッ素処理液とシリカ処理液を別々に調製し、それらを同時に表糸層2に塗布してもよく、或いは、併用処理液を調製し、それを表糸層2に塗布してもよい。
併用処理液を使用する場合においても、その塗布量は、シリカ処理液及びフッ素処理液の塗布量と同様に、コロイダルシリカの固形分換算で上記範囲、且つ、フッ素樹脂の固形分換算で上記範囲であることが好ましい。
併用処理液の調製は、シリカ処理液及びフッ素処理液の調製に準じて行うことができる。併用処理液中のコロイダルシリカ及びフッ素樹脂の各含有量は、固形分換算で上記の所定量のコロイダルシリカ及びフッ素樹脂を表糸層2に塗布できるように考慮して設定される。
シリカ処理液とフッ素処理液の塗布量(g/m)の比としては、例えば、固形分換算でコロイダルシリカ:フッ素樹脂=1:0.5〜1:1.5の範囲が好ましく、1:0.7〜1:1.0の範囲がより好ましい。シリカ処理液とフッ素処理液の塗布量の比を、前記範囲とすることで、フッ素樹脂がシリカ粒子を覆うことなく、シリカ粒子がその一部を露出した状態となって表糸層2に固着する。このため、バインダーとしても機能するフッ素樹脂がシリカ粒子の脱落を防止し、シリカ粒子の防汚性能を良好に発揮させることができる。
表糸層2に対する、処理液(シリカ処理液、フッ素処理液又は併用処理液)の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、フォーム加工、スプレー加工、及び、ディッピング加工などが挙げられる。
フォーム加工は、処理液に発泡剤を加えて泡状(フォーム状)にして塗布する方法である。また、必要に応じて、処理液に消泡剤を添加することによって、発泡状態を適切に制御することができる。この塗布方法により、塗布する量や箇所を細かく且つ容易に調節できる上、塗布ムラが生じ難く、乾燥エネルギーのロスが少なくなるなどの効果が得られる。
スプレー加工は、圧縮した空気や高圧ガスなどを用いて、処理液を噴霧することにより塗布する方法である。噴霧量などに関連して、様々な種類のスプレーがある。また、駆動源の違いにより、缶内の高圧ガスを利用した缶スプレー、電動ポンプなどによる電動スプレー、外部の空気圧を利用したエアスプレーなどがある。
フォーム加工又はスプレー加工により、処理液を表糸層2に多く接触させることができ、防汚性に優れた内装材を製造することができる。
ディッピング加工は、処理液で満たされた槽中に塗布対象物を浸漬し、処理液の粘性力、表面張力及び重力による力と速度とを調整して引上げ、対象物に付着した処理液が流下する重力との関係性から塗布厚を制御し、乾燥などにより、略均一な塗布膜を形成する方法である。
ディッピング加工においては、例えば、処理液として併用処理液を用いることにより、作業効率を低下させずに防汚加工することができる。
以上の中でも、土砂などの固体粒子汚れが付着し易い部分である表糸層2の表面のみに処理液を接触させることができることから、スプレー加工又はフォーム加工が好ましい。
表糸層2に処理液を塗布した後、処理液中の分散媒を乾燥させることにより、表糸層2に乾燥したシリカ粒子(及び固化したフッ素樹脂)が定着し、防汚性が付与された表糸層2が得られる。
(バッキング層の形成工程)
バッキング層3の形成工程は、前記処理液の塗布によって防汚性が付与された表糸層2の裏面にバッキング層3を形成する工程である。
バッキング層3の形成は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、コンベア上にポリ塩化ビニル樹脂ペーストなどの裏面層形成材料を塗布し、必要に応じて、その上に補強材及びポリ塩化ビニル樹脂ペーストなどの裏打ち層形成材料を積層し、その上に防汚性が付与された表糸層2を積層し、加熱などによって各形成材料を硬化させることによって全体を一体化することにより、防汚性内装材を得ることができる。
他の方法としては、防汚性が付与された表糸層2の裏面に、ポリ塩化ビニル樹脂ペーストなどの裏打ち層形成材料を塗布し、その裏面に補強材及びポリ塩化ビニル樹脂ペーストなどの裏面層形成材料を積層し、加熱などによって各形成材料を硬化させることによって全体を一体化することにより、防汚性内装材を得ることができる。
なお、内装材1に対して防汚処理を行った場合には、防汚処理工程後のバッキング層の形成工程は、不要である。
(裁断工程)
裁断工程は、前記防汚性が付与された表糸層2とバッキング層3とが一体化された防汚性内装材を、必要に応じて、所望形状及び寸法に裁断する工程である。
上述のように、通常、長尺帯状の状態で製造されるので、得られる防汚性内装材も長尺帯状であり、これをそのままロール状に巻き取って保管・運搬してもよい。また、必要に応じて、長尺帯状の防汚性内装材を所望形状及び寸法に裁断して保管・運搬してもよい。
なお、上記各工程を1つの製造ラインで一連に行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を、1つのラインで行い、且つ残る工程を他の1つ又は2つ以上のラインで行ってもよい。また、前記各工程の全てを一の実施者が行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を一の実施者が行い、且つ残る工程を他の実施者が行ってもよい。
本発明の製造方法によれば、表糸層2の表面にシリカ粒子及び必要に応じて処理されるフッ素樹脂が固着された防汚性内装材を容易に得ることができる。
なお、前記表糸層2の表面は、概念上、表糸層2を構成する糸のうち、内装材の面に対して鉛直方向から見たときに視認できる糸の集合から構成される。本発明の製造方法において、表糸層2の表面にシリカ処理液及び必要に応じてフッ素処理液を塗布することにより、シリカ粒子及びフッ素樹脂は、少なくとも表糸層2の表面を構成する糸に固着される。さらに、シリカ粒子及びフッ素樹脂は、表糸層2の表面よりも下方に含浸していくので、隣接する糸間や糸の内部にまで固着される場合もある。
かかる防汚性内装材は、表糸層2の少なくとも表面に、シリカ粒子が固着されており、かかるシリカ粒子が固体粒子汚れの付着を防止する。さらに、フッ素樹脂にて処理した場合には、フッ素樹脂の撥水・撥油性能により、より汚れが付着し難い防汚性内装材を提供できる。また、固体粒子汚れが付着しても、洗浄などによってそれを容易に除去できる。かかる防汚性内装材は、長期間綺麗な状態で使用できる。
<防汚性内装材>
本発明の防汚性内装材は、表糸層を有し、フッ素樹脂を含むフッ素部が前記表糸層に設けられており、シリカ粒子が、その一部を露出した状態で前記フッ素部に埋設されている。このような防汚性内装材は、上記製造方法によって容易に得ることができる。ただし、本発明の防汚性内装材は、この製造方法によって得られたものに限定されるわけではない。
このような防汚性内装材の一実施形態を、図4及び図5に示す。図4は、表糸層の表面(詳しくは、表糸層を構成する糸の表面)を拡大した平面図であり、図5は、その一部断面図である。なお、防汚性内装材は、表糸層の表面にシリカ粒子及びフッ素樹脂が設けられている点を除いて、上記<内装材>と同様であるので、その具体的な構成は、上記を参照されたい。
図4及び図5において、防汚性内装材1Aは、複数のシリカ粒子4Aとフッ素部5A(フッ素樹脂)が設けられた表糸層2Aを有する。
シリカ粒子4A及びフッ素部5Aは、表糸層2Aを構成する糸21Aの表面に固着されている。前記糸21Aの表面は、表糸層2Aの表面の一部を成している。このうち、シリカ粒子4Aは、フッ素部5Aを介して糸21Aに固着されている。フッ素部5Aは、糸21Aの表面全体を覆うように固着されていてもよい。或いは、フッ素部5Aは糸21Aの表面の多くの部分を覆い且つ糸21Aの残る部分が露出されていてもよい。また、シリカ粒子4Aは、フッ素部5Aの表面全体を覆うように密集して固着されていてもよく、或いは、ある程度分散してフッ素部5Aの表面に点在されていてもよい。フッ素部5Aの表面全体がシリカ粒子4Aによって覆われている場合には、フッ素樹脂が有する撥水・撥油性能を十分に発揮できないので、図示例のように、シリカ粒子4Aが点在されていることが好ましい。シリカ粒子4Aが点在されることにより、フッ素部5Aの表面の一部が露出されている。
シリカ粒子4Aは、フッ素部5Aの内部に埋設されて固着されている。シリカ粒子4Aは、その全体がフッ素部5A内に埋設されておらず、その一部が露出され且つ残部がフッ素部5Aに埋設されている。
前記一部が露出されたシリカ粒子4Aは、その少なくとも下方部がフッ素部5A内に埋設されていることが好ましく、特に、図5に示すように、シリカ粒子4Aの少なくとも下方部を取り囲むようにフッ素部5Aが存在することが好ましい。シリカ粒子4Aがその一部を露出した状態でフッ素樹脂に埋設されていることにより、シリカ粒子4Aの固体粒子汚れに対する防汚性能とフッ素部5Aの撥水・撥油性能とが相俟って、防汚性内装材1Aは、優れた防汚性を有する。ただし、全てのシリカ粒子4Aが一部露出した状態で表糸層2Aに固着されているわけではなく、フッ素部5A内に完全に埋設されているシリカ粒子4Aも幾つか存在することがあることに留意されたい。このような完全に埋設されたシリカ粒子4Aは、防汚性内装材1Aの使用開始後直ちに防汚性に寄与しないが、長期間使用している間に、そのシリカ粒子の表面側のフッ素部が削れていき、シリカ粒子4Aの表面が露出する場合もある。その場合、当該シリカ粒子4Aは防汚性能を発揮するようになることから、このような防汚性内装材1Aは、長期間にわたって防汚性能を継続的に発揮できる。
露出したシリカ粒子4Aについて、その露出割合は、特に限定されないが、例えば、10%〜80%であり、好ましくは、20%〜60%である。シリカ粒子4Aの露出割合が余りに小さいと、固体粒子汚れに対する防汚性能を十分に発揮できず、それが余りに大きいと、相対的にフッ素部5A内に埋った部分が小さくなるので、シリカ粒子4Aが経時的に表糸層2Aから脱落し易くなる。なお、シリカ粒子の露出割合(%)は、(シリカ粒子の露出部分の表面積/シリカ粒子の全表面積)×100、で求められる。
なお、フッ素部5Aの厚みは、略均一でもよく、或いは、不均一であってもよい。図5では、厚みが一様ではないフッ素部5Aを示しているが、厚みが略均一なフッ素部5Aは、均一な撥水・撥油性能を発揮できるので好ましい。
また、図5では、シリカ粒子4Aと糸21A(表糸層2A)の間に、薄くフッ素部5Aが介在しているが、シリカ粒子4Aと糸21Aが部分的に接していてもよい(図示せず)。すなわち、シリカ粒子4Aが表糸層2Aを構成する糸21Aに点接触し、その接触部分の周囲にフッ素部5Aが存在する状態であってもよい。
以下、実施例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
1.シリカ処理液
(1)NC−66(高松油脂製):粒子径10〜20nm
(2)NC1020(高松油脂製):粒子径20〜25nm
(3)シリカドール30S(日本化学工業製):粒子径7〜10nm
(4)シリカドール40(日本化学工業製):粒子径15〜20nm
(5)シリカドール41LL(日本化学工業製):粒子径25〜30nm
(6)スノーテックスAK(日産化学工業製):粒子径10〜15nm
(7)スノーテックスAK−L(日産化学工業製):粒子径40〜50nm
(8)スノーテックスAK−YL(日産化学工業製):粒子径50〜80nm
(9)スノーテックスS(日産化学工業製):粒子径8〜11nm
(10)スノーテックス40(日産化学工業製):粒子径10〜15nm
(11)スノーテックス50(日産化学工業製):粒子径20〜25nm
(12)アデライトAT−30(ADEKA製):粒子径10〜20nm
(13)アデライトAT−40(ADEKA製):粒子径10〜20nm
(14)アデライトAT−50(ADEKA製):粒子径20〜30nm
(15)クインセッターPOL(コタニ化学製):粒子径20nm
(16)クリアゾールSR100(京浜化成製):粒子径30nm
(17)ニコソルトS−12(日華化学製):粒子径100nm
2.フッ素処理液
Capstone(登録商標)RCP(Du Pont社製)
[実施例1]
基布としてポリエステル不織布を用い、それに、パイル層として、2890デシテックスの160フィラメントのインターミングル糸からなるナイロン糸をタフト機によりタフトすることにより、目付量:650g/mのパイル層(表糸層)を作製した。その後、シリカ処理液としてシリカドール30Sを用い、シリカドール30Sをスプレーを用いて、前記パイル層の表面に塗布した。処理液の塗布量は、コロイダルシリカの固形分換算量で表1に示す通りとした。
上記パイル層とは別に、ペースト状のポリ塩化ビニル樹脂をコンベア上に塗布することにより、厚み:2.0mmの裏面層を作製した。前記裏面層に、補強材としてガラス繊維不織布(目付量:40g/m)を積層した。前記補強材の上に、ペースト状のポリ塩化ビニル樹脂を積層して裏打ち層(厚み2.0mm)とし、その裏打ち層の上に前記パイル層を積層して、積層体を作製した。前記積層体を190℃に加熱することにより、ポリ塩化ビニル樹脂を硬化させ、カーペットを得た。前記カーペットを、裁断機によってタフト方向及びその直交方向に100mm×100mmに裁断して正方形状のカーペットを作製した。
[実施例2乃至17]
シリカ処理液及びその塗布量を、表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてカーペットを作製した。
[比較例1]
シリカ処理液を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にしてカーペットを作製した。
[試験例1]
実施例1乃至17のカーペットを本件出願人の社屋入口の床面に接着剤を介して貼り付けて施工し、施工直後のカーペット表面の色度E値(Eとする)と10日間実際に使用した後のカーペット表面の色度E値(Eとする)とをそれぞれ測定し、E値の差△E=E−Eにより、防汚性を評価した。なお、社屋入口の床面は、多数人が土足で歩行する場所である。カーペットは汚れるにつれて表面が黒ずんできて、表面のE値は大きくなるため、△Eの値が小さいほど、防汚性が優れていると言える。
なお、色度E値は、色彩色差計(コニカミノルタ社製、型番CR−200)を用いて測定した。
試験例1の結果を表1に示す。なお、表中に主成分として記載される「コロイダルシリカ」は、変性していないコロイダルシリカを示す。
表1の結果から、シリカ処理液を塗布した全ての実施例は、△E値が極めて小さいことから、優れた防汚性を有することが判明した。
[実施例18]
シリカ処理液としてシリカドール40を用い、その塗布量を固形分換算で3.23g/mとした以外は、実施例8と同様にしてカーペットを作製した。
[実施例19]
シリカ処理液としてクリアゾールSR100(変性オルガノシリケート含有)を用い、その塗布量を固形分換算で3.23g/mとした以外は、実施例14と同様にしてカーペットを作製した。
[実施例20]
シリカ処理液(シリカドール40)を塗布すると同時に、フッ素処理液(Capstone RCP)をフッ素樹脂の固形分換算で0.90g/mとなるように、スプレーを用いて、パイル層の表面に塗布したこと以外は、実施例18と同様にしてカーペットを作製した。
[実施例21]
シリカ処理液を塗布すると同時に、フッ素処理液(Capstone RCP)をフッ素樹脂の固形分換算で0.90g/mとなるように、スプレーを用いて、パイル層の表面に塗布したこと以外は、実施例19と同様にしてカーペットを作製した。
[試験例2]
実施例18乃至21のカーペットを試験例1と同様に社屋入口に施工し、施工直後のカーペット表面の色度E値(Eとする)と10日間後の色度E値の差△Eにより、防汚性を評価した。
なお、色度E値は、色彩色差計(コニカミノルタ社製、型番CR−200)を用いて測定した。
試験例2の結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例18のコロイダルシリカを塗布したカーペットの方が、実施例19の変性オルガノシリケートを塗布したカーペットよりも、防汚性が優れていることが判明した。また、コロイダルシリカとフッ素樹脂を併用して塗布することにより、防汚性が向上することが判明した。
[実施例22乃至27]
シリカ処理液(シリカドール40)の塗布量とフッ素処理液(Capstone RCP)の塗布量を表3の通りとした以外は、実施例20と同様にしてカーペットを作製した。
[実施例28]
シリカ処理液(シリカドール40)の塗布量を表3の通りとした以外は、実施例8と同様にしてカーペットを作製した。
[比較例2]
シリカ処理液を塗布する代わりに、フッ素処理液(Capstone RCP)を、フッ素樹脂の固形分換算で塗布量6.45g/mで塗布したこと以外は、実施例1と同様にしてカーペットを作製した。
[試験例3]
実施例22乃至28及び比較例2のカーペットを試験例1と同様に社屋入口に施工し、施工直後のカーペット表面の色度E値と10日間後の色度E値の差△Eにより、防汚性を評価した。
なお、色度E値は、色彩色差計(コニカミノルタ社製、型番CR−200)を用いて測定した。
試験例3の結果を表2及び図6に示す。
表3及び図6の結果から、フッ素処理液の塗布量を多くするに従い(つまり、コロイダルシリカの量を多くするに従い)、△Eは小さくなり、防汚性が向上することが判明した。しかし、これを余りに多くしすぎても、防汚性の向上には頭打ちが見られる。
また、実施例26及び28の対比から、コロイダルシリカとフッ素樹脂を併用した方が、防汚性が向上することが判明した。
実施例22乃至28と比較例2との対比から、シリカ処理液を塗布した方が、格段に防汚性が向上することが判明した。
[試験例4]
実施例22、実施例28、並びに、比較例1及び2のカーペットに対して、AATCC(アメリカ繊維化学技術・染色技術協会)−118法による撥油性試験を行った。
具体的には、カーペットを平滑な水平面に広げ、表4の標準液をスポイトでカーペットの上に、小液滴(直径約5mm)で置き、その液滴を45°の角度から30秒間、注意深く観察した。界面での浸透や濡れ、また液滴が周辺に灯心状に拡がる形崩れ現象を起こさなかった試験液の等級を撥油性等級とした。
試験例4の結果を表5に示す。
表5の結果から、シリカ処理液とフッ素処理液とを併用した実施例22は、フッ素樹脂のみを塗布した比較例2と同等の撥油性を有することが判明した。
シリカ処理液を塗布した実施例28は比較例1と同等の撥油性を有するが、シリカ処理液とフッ素処理液とを併用した実施例22は、シリカ粒子の影響を受けることなく、油分を含む固体粒子汚れに対しても、優れた防汚性を有することが判明した。
さらに、前記実施例22のカーペットの表糸層を構成する糸の表面の一部を超高分解能走査型電子顕微鏡(FE−SEM、CarlZeiss社製、型番ULTRAplus)で撮影した。撮影倍率は30000倍とした。図7に、電子顕微鏡で撮影した写真を示す。
図7に示される粒子状の物体がシリカ粒子であり、当該シリカ粒子は、その一部を露出した状態で、その周りのフッ素部に埋設されて固着されていることが判った。また、シリカ粒子がフッ素部の表面全体を覆うように密集して固着された部分もあり、シリカ粒子がある程度分散してフッ素部の表面に点在し、フッ素部の表面が露出した部分もあることも判った。
上記試験例3の結果から明らかなように、このような表糸層を有するカーペットは優れた防汚性を有するものである。
1 内装材
2 表糸層
21 パイル糸
22 基布
3 バッキング層
31 裏打ち層
32 補強材
33 裏面層
1A 防汚性内装材
21A 糸
4A シリカ粒子
5A フッ素部

Claims (7)

  1. 表糸層を有する内装材であって、
    フッ素樹脂を含むフッ素部が前記表糸層に直接固着されており、
    シリカ粒子が、その一部を露出した状態で前記フッ素部に埋設されており、
    前記シリカ粒子が、粒子の表面を処理していないコロイダルシリカである、防汚性内装材。
  2. 前記フッ素部が、単一の層からなる、請求項1に記載の防汚性内装材。
  3. 前記表糸層を構成する糸に点接触しているシリカ粒子を含む、請求項1または2に記載の防汚性内装材。
  4. 一部が前記フッ素部から露出し且つ残部が前記フッ素部に埋設された状態のシリカ粒子と、前記フッ素部に完全に埋設されているシリカ粒子と、を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防汚性内装材。
  5. 前記シリカ粒子が、粒子径5nm〜100nmの略球状である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防汚性内装材。
  6. 前記露出したシリカ粒子の露出割合が、10%〜80%である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防汚性内装材。
    ただし、シリカ粒子の露出割合(%)は、(シリカ粒子の露出部分の表面積/シリカ粒子の全表面積)×100で求められる。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の防汚性内装材の製造方法であって、表糸層に、粒子径が5nm〜100nmのコロイダルシリカであって粒子の表面を処理していないコロイダルシリカを含む処理液を塗布する工程、及び、フッ素樹脂を含む処理液を前記表糸層に塗布する工程、を含む、防汚性内装材の製造方法。
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