JP6615145B2 - 静電選別装置および静電選別方法 - Google Patents

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Description

この発明は樹脂の静電選別装置および静電選別方法に関する。
使用済み家電等の筺体に使用されるプラスチック等樹脂の再利用において、破砕処理された複数種の樹脂片を再び樹脂原料とすべく、材質別に選別して回収している。その選別回収手段として、材質による摩擦帯電特性の相違を利用して、被選別材料となる複数種の樹脂片を静電場により選別する静電選別方法が広く利用されている。
使用済み家電の破砕によって得られる混合破砕樹脂片は、主としてポリプロピレン(以下「PP」という)樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン(以下「ABS」という)樹脂、またはポリスチレン(以下「PS」という)樹脂を含んでいる。この混合破砕樹脂片を選別回収する方法として、例えば、初めに、比重選別法にて比重の小さいPP樹脂を選別回収し、次に、残るABS樹脂とPS樹脂(残渣のPP樹脂を含む)とからなる樹脂混合原料から静電選別方法でABS樹脂とPS樹脂とを選別回収する方法がある。
また、上記ABS、PSおよびPPの3成分系の混合破砕樹脂片から主たる2成分であるABSとPSを選別回収する静電選別方法として、例えば、静電選別処理を2段階に組み合わせる方法がある。具体的には、1段階目でABS樹脂が選別回収され、2段階目でPS樹脂及びPP樹脂の混合物からPS樹脂が選別回収される。このように、静電選別方法は、特に、樹脂の比重の値が近接して比重選別法では分離が困難な混合破砕樹脂片の選別に適用されている。
上述の静電選別方法を用いた静電選別装置では、被選別材料に含まれる樹脂片の樹脂種ごとの混合比率(以下「混合比」という。なお、家電のリサイクル業界では、「混合比」を「組成比」と呼ぶこともある。)によって選別条件の最適化条件が変化することが知られている。例えば、エアコン、冷蔵庫、または洗濯機などの家電リサイクルから得られた混合破砕樹脂片を比重選別した後に残る平均的な混合比が、ABS:PS:PP=33:60:7であった場合、この混合比に応じて規定の回収純度と回収量を確保できるよう回収容器のセパレータ位置の調整などが行われて選別条件が最適化される。
しかしながら、リサイクルされる使用済み家電の種類および量は、季節または日において変化する。そのため、使用済み家電を破砕して得られる被選別材料である混合破砕樹脂片の樹脂の混合比は、季節、月、または日においても変化する。また、リサイクルプラントでは、処理状況および在庫状況に応じて選別される原料を投入するタイミングが決められる。したがって、選別工程内における被選別材料の混合比は、昼夜および時間においても変動する。
そのため、変動する被選別材料の混合比に対して、回収容器のセパレータ位置がある平均的な混合比に基づいて設定された場合、各樹脂片を同じ回収条件で常に規定値以上の高回収純度で、かつ高回収率で回収できるとは限らない。
高回収純度かつ高回収率を得るための静電選別技術の向上は、マテリアルリサイクルの目的および事業面において極めて重要なテーマである。上述の問題を解決するために、例えば、被選別材料の樹脂の混合比が変動しても、プラスチックの混合物を高回収純度で、かつ高回収率で回収する技術が以下のように開示されている。
従来の静電選別方法を用いた静電選別装置は、高電圧電極側および接地電極側に移動可能な構造のセパレータが電極の下方に設けられた回収容器、被選別材料の一部を解析対象としてサンプリングするサンプリング部、サンプリングされた樹脂片に含まれる樹脂の割合を特定する混合解析部、および特定した割合に基づいて回収容器のセパレータ位置を一方の電極側および他方の電極側のどちらかへ移動させる回収制御部を備える。
上記静電選別装置は、選別装置へ投入される被選別材料の樹脂の混合比を特定し、予め構築したデータベース情報をもとに、セパレータ位置を樹脂の混合比に応じて移動させている。このため、回収純度と回収量とが最適化されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来から、金属ドラム電極を有した選別部の下方に配置された回収容器を3つの回収室に分けるために水平方向に移動可能な2つのセパレータを備え、かつ、回収容器下部に回収されたプラスチック片の重量を測定する計量器および計量器からの出力結果に基づいてセパレータを移動させる制御装置を備えたプラスチック選別装置が知られている。
上記プラスチック選別装置は、投入開始時に樹脂の混合比に応じてセパレータを既知の最適な位置へ調整する。その後、プラスチック選別装置は、選別途中に回収容器に回収された樹脂片の重量比に変化が生じると、この変化を投入混合比の変化と判断する。そして、プラスチック選別装置は、予め実験によって構築したデータベース情報をもとに、セパレータ位置を最適位置へ再度移動させることによって、選別回収の効率化を図っている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−115753号公報 特開2001−129435号公報
静電選別におけるばらつきおよび外乱が、投入される被選別材料の樹脂の混合比の変化のみで、これ以外のばらつきおよび外乱が全くない環境であれば、特許文献1に示されたフィードフォワード制御の方法、および特許文献2に示されたデータベース情報を参照し、選別条件の調整を行う方法によって十分に高回収純度で、かつ高回収率で回収する目的を果たすことができる。
しかしながら、実際の静電選別においては、被選別材料の混合比の変化だけでなく、(1)(a)大きさ、厚み、および表面積などの樹脂片の形状の変化と、(b)樹脂片の重量の平均値および分散の変化と、(c)樹脂片の表面汚れおよび乾燥状態のばらつきとによる、帯電量の変動などの種々のばらつき、並びに(2)選別環境の温湿度の変動による樹脂片の帯電量の変動などの種々の外乱、の組み合わせが存在する。このため、電極間の静電場を通って回収容器に落下する樹脂片の落下位置と落下量の分布は、これらのばらつきおよび外乱の影響を受けて常に大きく変動している。特許文献1および2に示された静電選別装置および静電選別方法においては、上記の被選別材料の樹脂の混合比以外の変化が生じた場合に、予め設定されたデータベースにあるセパレータの最適位置が実際の最適位置と整合しない。その結果、回収純度と回収率の最適化が不十分となる課題があった。
また、特許文献2に示された技術では、新たなばらつきおよび外乱が加わる度に、これらに対応するためのデータベースを再構築して対応する必要があり、膨大な試験運転が必要となる課題があった。
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、選別回収前において落下中の樹脂片が受けたばらつきおよび外乱の影響を計測する静電選別装置および静電選別方法を得ることを目的とする。
この発明に係る静電選別装置は、
複数の種類の樹脂片を摩擦帯電させる帯電装置と、
静電場を間に発生させる一対の電極と、
樹脂片を鉛直上方から静電場に導く搬送装置と、
静電場の鉛直下方に設けられ、かつ鉛直上方に開口することによって、静電場を通過して落下する樹脂片を回収する回収容器と、
静電場と回収容器との間の計測空間における樹脂片の落下量を計測する計測センサとを備える。
この発明に係る静電選別方法は、
一対の電極の間に発生する静電場を通過して静電場の鉛直下方に設けられかつ鉛直上方に開口する回収容器へ落下して回収される複数の種類の樹脂片の静電場と回収容器との間の計測空間における落下量を計測センサによって計測する計測ステップと、
予め定められたフィッティングカーブと計測ステップで計測した計測空間における樹脂片の落下量とに基づいて、回収容器に形成された複数の回収区画に対応した樹脂片の落下量をコンピュータが解析する解析ステップとを備え、
複数の回収区画は、複数のセパレータで仕切られて鉛直上方に開口し静電場を通過して落下する樹脂片を開口から回収するものである。
上記のように構成された静電選別装置および静電選別方法において、回収容器への選別回収前において落下中の樹脂片が受けたばらつきおよび外乱の影響を計測することができる。
この発明の実施の形態1における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における静電選別装置の計測センサに樹脂片が落下した際の出力信号例を説明する図である。 この発明の実施の形態1における静電選別装置の落下分布の測定例および解析例を示す図である。 この発明の実施の形態1における回収率および回収純度を説明する図である。 この発明の実施の形態1における静電選別方法を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1における計測センサにビームセンサを使用した例を説明する図である。 この発明の実施の形態2における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態3における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態3における静電選別方法を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態4における静電選別方法を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4における選別される樹脂フレークの落下分布の計測データを元に、各セパレータ位置に対して回収されるABS樹脂とPS樹脂の回収純度および回収率を解析した結果を表わす図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態に係る静電選別装置および静電選別方法について詳細を説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1を説明する。以下の図の記載において、同一又は類似に相当する部分には同一又は類似の参照番号を付し、説明を省略する。また、以下の説明で用いられる図は理解の容易のために用いる模式的な図であり、各寸法の比率は実際とは異なる場合がある。各図の相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることも勿論である。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更して実施が可能なものである。
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。なお、断面図とは、静電選別装置1の一対の電極7a、7bの間にかかる静電場の方向、および樹脂片2a、2bの落下方向を含む平面における断面図である。
図1に示すように、静電選別装置1は、断面内の上方から順に、選別対象となる複数の種類の樹脂片2a、2bを摩擦帯電させる帯電装置3と、この帯電装置3に樹脂原料である樹脂片2a、2bを供給する供給装置4と、帯電装置3によって帯電された樹脂片2a、2bを搬送する振動フィーダ5とを備える。
静電選別装置1は、振動フィーダ5の搬送方向(図中x方向正の向き)端部の下方において、一対の電極7a、7bを備える。電極7aは、接地電極である。電極7bは、電極7bよりも電位が高い高電圧電極である。電極7aと電極7bとの間に静電場を発生させるため、電極7aには電源8が接続されている。
振動フィーダ5は、樹脂片2a、2bを鉛直上方から一対の電極7a、7bの静電場に導く搬送装置である。
一対の電極7a、7bの下方に、静電場によって選別された樹脂片2aを回収する回収区画10aと、樹脂片2bを回収する回収区画10bと、選別されなかった樹脂片2a、2bを回収する回収区画10cとが配置されている。回収区画10aと10cとを隔てるセパレータ11a、および、回収区画10bと10cとを隔てるセパレータ11bは、それぞれアクチュエータ12a、12bと接続される。アクチュエータ12a、12bは、図1中のx方向にセパレータ11a、11bを動かす駆動部である。
すなわち、静電選別装置1は、静電場の鉛直下方に設けられ、かつ鉛直上方に開口することによって静電場を通過して落下する樹脂片2a、2bを回収する回収容器10を備える。回収容器10には、複数のセパレータ11a、11bで仕切られることによって、複数の回収区画10a、10b、10cが形成されている。
電極7a、7bと回収容器10との間の計測空間において、回収容器10へ落下してくる樹脂片の落下量を計測する計測センサ6が配置されている。回収容器10の上面の水平面において図1中のx方向に複数個の計測センサ6が直線状に配置される。なお、図1では、本実施の形態についての説明の容易化のため、計測センサ6の支持部材等の詳細な記載は省略する。さらに、計測センサ6は図1中のy方向において、静電選別装置1に対して十分小さく、樹脂片2a、2bの回収容器10への落下を阻害するものではない。
すなわち、静電選別装置1は、静電場と回収容器10との間の計測空間における樹脂片2a、2bの落下量を計測する複数の計測センサ6を備えている。また、複数の計測センサ6は、回収区画10a、10b、10cの鉛直上方に設けられている。
なお、複数の計測センサ6は、x方向に限らず電極7a、7bの静電場に沿う方向に配置されていればよい。また、計測センサ6は、回収容器10の上面の水平面に限らず、電極7a、7bと回収容器10との間にあればよい。
また、複数の計測センサ6はそれぞれ、計測信号をコンピュータ9へ出力可能なようにコンピュータ9と電気的に接続されている。さらに、コンピュータ9は、上述のアクチュエータ12a、12bを動作させる制御信号の出力が可能なように、これらアクチュエータ12a、12bとも電気的に接続されている。なお、図が煩雑となるため、図1中において計測センサ6とコンピュータ9との接続は、右端の1つとのみとの接続を記載し、他の記載を省略している。また、計測センサ6とコンピュータ9との間、およびコンピュータ9とアクチュエータ12a、12bとの間は、それぞれ無線で接続されていても構わない。
上述のような構成によれば、静電選別装置1において、回収容器10の上面の水平面で、かつ図1中のx方向に直線状に配置された複数個の計測センサ6の各々が、各位置において、電極7a、7b間の静電場を通り落下する樹脂片の落下量を表わす、樹脂片の個数、または樹脂片の重量に応じた信号を出力する。各位置における計測センサ6の出力は、計測センサ6の各位置での樹脂片の落下量としてコンピュータ9によってデータ処理される。これによって、静電場を通り分離された樹脂片の回収容器10上の各位置における単位時間当たりの落下量、すなわち、静電場による選別の結果を反映した樹脂片の落下分布を計測することが可能になる。
さらに、コンピュータ9によって既知のフィッティングカーブを用いて、計測した落下分布のピークが分離される。そして、樹脂片2a、2bの各落下量は、コンピュータによって解析される。コンピュータ9は、各樹脂片の落下量の解析結果から、任意の回収純度と回収率とが得られるようにセパレータ11a、11bの位置を決定する。コンピュータ9は、決定されたセパレータ11a、11bの位置に応じたアクチュエータ12a、12bの制御量を出力する。回収純度と回収率とについての詳細な定義は後述する。
このように、電極7a、7bの下方に配した回収容器10の上面の水平面において計測センサ6を設け、回収容器10の上面で落下途中の樹脂片を計測することによって、回収容器10へ落下する樹脂片の分布を監視することができる。このため、高回収純度かつ高回収率を得るためのセパレータ11a、11bの最適な位置を、樹脂片の落下分布に基づいて決定することが可能になる。したがって、被選別材料中の樹脂混合比が変化した場合は言うまでもなく、樹脂片の粒度および重量において、平均値およびばらつきが変化した場合、または樹脂の乾燥状態および環境の湿度等の外的要因の変化による樹脂の帯電量が変化した場合など、種々の要因での落下分布の変化に対して、迅速に高純度かつ高回収率の選別条件を決定することができる。また、選別中に落下分布に変化が生じた際にも、回収純度と回収率とにおいて設定値と解析値との差分を制御偏差としてセパレータ11a、11b(アクチュエータ12a、12b)へフィードバックできるため、高回収純度かつ高回収率の選別を安定的に実行することが可能になる。
以下では、図1を参照して、本実施の形態における静電選別方法および静電選別装置の動作原理について説明する。
ここでは、白抜きで示した樹脂片2aがABS樹脂、塗りつぶしで示した樹脂片2bがPS樹脂である場合を例として選別回収する場合について説明する。樹脂の摩擦帯電列に従えば、ABS樹脂は正(+)に帯電され、PS樹脂は負(−)に帯電される。
供給装置4により帯電装置3の投入口から帯電装置3に投入された樹脂片2a、2bは、傾斜した帯電装置3内で回転撹拌される。回転撹拌に伴って樹脂片2a、2b同士の摩擦によって、樹脂片2aは正(+)に帯電され、樹脂片2bは負(−)に帯電される。帯電された樹脂片2a、2bは、帯電装置3から排出される。そして、帯電された樹脂片2a、2bは、搬送装置である振動フィーダ5上に均等に広がりながら、高電圧電極7aと接地電極7bとで形成する選別部の静電場に投入される。
図1に示すように、高電圧電極7aと接地電極7bとの間に形成される静電場を通る際に、正(+)に帯電した樹脂片2aは、静電場から電場の向きと同じ向きの力を受けながら接地電極7b側に引かれるように落下し、回収区画10aに回収される。負(−)に帯電した樹脂片2bは、静電場から電場の向きと逆向きの力を受け、高電圧電極7a側に引かれるように落下して、回収区画10bに回収される。また、十分に帯電されなかった樹脂片2a、2bは、落下時に選別に必要な静電気力を静電場から受けられず、そのまま落下して回収区画10aと回収区画10bとの間に配された回収区画10cで回収される。
静電選別法による樹脂の選別において、投入される被選別材料中の樹脂の混合比は樹脂片の帯電量と相関があり、混合比が変化すると選別時の落下分布は影響を受ける。さらに、樹脂の選別における落下分布の変化は、被選別材料の混合比変化によるものだけではない。例えば、樹脂片の形状、粒度および重量の平均値またはばらつきの変化、樹脂片の表面汚れおよび乾燥状態のばらつきによる帯電量の変化、選別環境の温湿度条件による樹脂片の帯電量の変化など、工程内における種々のばらつきおよび外乱が組み合わされる。電極7a、7bの間の静電場を通って回収容器10に選別回収される樹脂片2a、2bの落下位置と落下量の分布は、これらのばらつきおよび外乱の影響を受けて変動する。このため、高回収純度かつ高回収率での選別を安定的に実施するためには、例えば、回収容器10のセパレータ11a、11bが固定されている状態では不十分である。
そこで、複数個の計測センサ6を用いて、電極7aと電極7bの間の静電場を通過し選別されて落下する樹脂片の個数、および、重量を計測し、樹脂片2a、2bの回収容器10上での落下分布を測定する。
図2は、本実施の形態における静電選別装置の計測センサ6に樹脂片が落下した際の出力信号例を説明する図である。図2において、横軸は、計測における時間を表し、縦軸は、計測センサ6の出力信号から換算されたF(力)を表す。横軸の時間の範囲は、計測中の所定の時間を抜き出したものである。また、図2は、計測センサ6にロードセルを用いた場合を示しており、縦軸の力は、ロードセルの出力信号の電圧から換算した力である。樹脂片2a、2bがロードセルである計測センサ6上に落下すると、計測センサ6は、落下時の力(入力信号)に応じた強度の信号を出力する。計測センサ6がこの信号をコンピュータ9へ出力すれば、単位時間当たりの樹脂片2a、2bの落下数、および入力信号の積分値にて落下した樹脂片2a、2bの重量の算出が可能である。
したがって、静電選別装置1における計測センサ6は、樹脂片の形状、粒度および重量の平均値またはばらつきの変化、樹脂片の表面汚れおよび乾燥状態のばらつきによる帯電量の変化、選別環境の温湿度条件による樹脂片の帯電量の変化など、回収容器10への選別回収前において落下中の樹脂片2a、2bが受けた種々のばらつきおよび外乱の影響を計測することができる。
図3は、本実施の形態における静電選別装置の落下分布の測定例および解析例を示す図である。図3において、横軸は、図1のx方向における樹脂片2a、2bの回収位置を表し、縦軸は、回収される樹脂片2a、2bの総重量に対する重量比を表す。各計測センサ6から出力された信号に基づいて、回収容器10の鉛直上方における樹脂片2a、2bを合わせた落下数、または樹脂片2a、2bを合わせた重量を表わす樹脂片2a、2bを合わせた落下分布がコンピュータ9によって計算される。さらに、計算で得られた樹脂片2a、2bの落下分布は、正帯電側と負帯電側において2つの既知のフィッティングカーブを用いてピークが分離され、それぞれが樹脂片2aの落下分布、樹脂片2bの落下分布として解析される。
すなわち、静電選別装置1は、予め定められたフィッティングカーブと計測センサ6が計測した計測空間における樹脂片2a、2bの落下量とに基づいて、回収区画10a、10b、10cに対応した樹脂片2a、2bの落下量である落下分布を解析するコンピュータ9をさらに備えている。
図4は、本実施の形態における回収率および回収純度を説明する図である。図4において、図3と同様に、横軸は、図1のx方向における樹脂片2a、2bの回収位置を表し、縦軸は、回収された樹脂片2a、2bの総重量に対する重量比を表す。回収純度と回収率は、以下の式(1)から(3)によって示される。
樹脂片2aの回収純度[%]=a1/(a1+b1)×100 …(1)
樹脂片2bの回収純度[%]=b3/(a3+b3)×100 …(2)
回収率[%]=((a1+b1)+(b3+a3))/((a1+a2+a3)+(b1+b2+b3))×100 …(3)
ここで、a1は、回収区画10aに回収される樹脂片2aの個数の総量または重量の総量、a2は、回収区画10cに回収される樹脂片2aの個数の総量または重量の総量、a3は、回収区画10bに回収される樹脂片2aの個数の総量または重量の総量、b1は、回収区画10aに回収される樹脂片2bの個数の総量または重量の総量、b2は、回収区画10cに回収される樹脂片2bの個数の総量または重量の総量、b3は、回収区画10bに回収される樹脂片2bの個数の総量または重量の総量、を表わす。
コンピュータ9は、任意の回収純度と回収率とを得ることができるセパレータ11a、11bの位置を決定する。コンピュータ9は、決定されたセパレータ11a、11bの位置に応じた制御量をアクチュエータ12a、12bに出力することによってセパレータ11a、11bの位置を調節する。計測センサ6は落下分布を常にリアルタイムに計測しているので、落下分布が変動した場合も、コンピュータ9は、回収純度および回収率について任意の設定値と解析値との差分を制御偏差としたフィードバック制御をする。このようにして、静電選別装置1では、高回収純度かつ高回収率での選別が安定的に行われる。
すなわち、静電選別装置1は、回収区画10a、10b、10cの回収容量を変化させるx方向にセパレータ11a、11bを移動させるアクチュエータ12a、12bを有している。コンピュータ9は、アクチュエータ12a、12bを制御して樹脂片2a、2bの落下量の解析結果に対応した位置にセパレータ11a、11bを移動させる。
図5は、本実施の形態における静電選別方法を示すフローチャートである。図5における計測ステップS11において、一対の電極7a、7bの間に発生する静電場を通過して静電場の鉛直下方に設けられた回収容器10へ落下して回収される複数の種類の樹脂片2a、2bの、静電場と回収容器10との間の計測空間における落下量を計測センサ6によって計測する。
次に、解析ステップS12において、コンピュータ9が、予め定められたフィッティングカーブと計測ステップS11で計測した計測空間における樹脂片2a、2bの落下量とに基づいて、回収容器10に形成された複数の回収区画10a、10b、10cに対応した樹脂片2a、2bの落下量を解析する。複数の回収区画10a、10b、10cは、複数のセパレータ11a、11bで仕切られて鉛直上方に開口する開口部を備え、静電場を通過して落下する樹脂片2a、2bを開口部から回収する。
次に、移動制御ステップS13において、コンピュータ9が、アクチュエータ12a、12bを制御して、回収区画10a、10b、10cの回収容量を変化させる方向にセパレータ11a、11bを移動させる。すなわち、コンピュータ9が、解析ステップS12で解析した樹脂片2a、2bの落下量の解析結果に対応した位置にセパレータ11a、11bを移動させる。
移動制御ステップS13が完了した後に、ステップS19において静電選別装置1への樹脂片2a、2bの供給が終了しない限り、計測ステップS11に戻って上述のステップS11からS13までを繰り返すことによって、所定の時間経過後の樹脂片2a、2bの落下量の変化に対応して、セパレータ11a、11bを最適な位置に移動させることができる。
例として、使用済み家電を破砕し回収したプラスチック混合物のうち、一般的にプラスチックリサイクル事業において用いられる静電選別装置に供給される樹脂片は、径が8mm以下に粉砕され、2mmのふるいをかけられた混合樹脂片である。ABS樹脂の含有率が約45%、PS樹脂の含有率が約55%である混合樹脂片を選別回収する場合、帯電装置3で10分以上の回転撹拌を行うことによって生じる樹脂片同士の摩擦帯電により、ABS樹脂は正(+)に帯電し、PS樹脂は負(−)に帯電する。帯電した樹脂片は、振動式搬送装置である振動フィーダ5によって、200kV/m以上の静電場を生じている電極7a、7bの間にまで搬送されて通過する。樹脂片の帯電量に応じて、ABS樹脂は接地電極7b側に位置する回収区画10aに回収される。また、樹脂片の帯電量に応じて、PS樹脂は、高電圧電極7a側に位置する回収区画10bに回収される。上記使用済み家電から回収した樹脂を、新しい樹脂材である新材と同等の用途で使用するためには、選別回収した樹脂の回収純度は、99%以上であることが要求される。
このとき、回収純度の条件として、回収区画10aに選別されるABS樹脂の回収純度を99%以上、かつ、回収区画10bに選別されるPS樹脂の回収純度が99%以上とした場合、落下分布の解析結果から回収率が最大になるセパレータ11a、11bの位置は一意に決定される。
このように、本実施の形態における静電選別方法および静電選別装置を用いれば、樹脂片の落下分布に基づいてセパレータ11a、11bの最適な位置を判断することができる。このため、回収純度の条件が99%以上など任意の条件に対して、回収率を最大化できるセパレータ11a、11bの位置、または任意の回収率を得るセパレータ11a、11bの位置を一意に決定することが可能である。また、落下分布を常時計測することで、落下分布に変化が生じた際は、回収純度と回収率について迅速にフィードバックをかけることができる。このため、樹脂片2a、2bの落下分布に影響を与える樹脂片2a、2bの混合比の変化は言うまでもなく、種々の環境変化による落下分布の変化が起きた場合にも、安定的に高回収純度かつ高回収率の選別回収を実行することが可能になるといった顕著な効果を奏する。
なお、本実施の形態では、計測センサ6としてロードセルを用いた説明を行ったが、計測センサ6に、例えば、ビームセンサやレーザセンサのような光学を応用した光学式センサを用いてもよい。
図6は、計測センサ6としてビームセンサを使用した例を説明する図である。図6は、x−y平面に平行な平面において、図1における回収容器10のz方向上方から回収容器10を見た図に相当する。図6において、計測センサ6として、投光器6aと受光器6bとからなるビームセンサが使用されている。コンピュータ9が、投光器6aと受光器6bとの間を通過する樹脂片2a、2bの個数をカウントすることによって、落下数に基づく落下分布が得られる。なお、投光器6aと受光器6bとは、回収容器10の上面の水平面に限らず、電極7a、7bと回収容器10との間にあればよい。
また、電極7a、7bと回収容器10との間を落下する樹脂片2a、2bが、投光器6aから受光器6bへ投光されるビーム等を通過すれば、投光器6aと受光器6bとが樹脂片を検知可能となる。このため、計測センサ6が、ロードセルである場合に比べて、樹脂片2a、2bの落下を阻害しにくい。
また、例えば、図示しない反射ミラー等を投光器6aと受光器6bとの間のビームの経路上に配置してもよい。この場合、投光器6aと受光器6bとは、電極7a、7bと回収容器10との間にある必要はない。
実施の形態2.
図7は、この発明を実施するための実施の形態2における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。図7において、説明の簡素化のため、計測センサ6の可動機構および支持部材等についての詳細な機構の記載は省略されている。
図7において、本実施の形態に係る静電選別装置101は、実施の形態1に係る静電選別装置1と以下に述べる点で異なる。
本実施の形態における静電選別装置101は、実施の形態1で説明した計測センサ6の代わりに、回収容器10の上面の水平面において図7中のx方向に可動な機構を備えた1個の計測センサ6cを備える。計測センサ6cは、図7のy方向において静電選別装置101に対し十分小さく、樹脂片2a、2bの回収容器10への落下を阻害するものではない。
実施の形態1と同様、計測センサ6cは、その計測信号をコンピュータ9へ出力可能なように、コンピュータ9と電気的に接続されている。さらに、コンピュータ9は、アクチュエータ12a、12bを動作させる制御信号の出力が可能なように電気的に接続されている。
この構成によれば、計測センサ6cは、コンピュータ9によって回収容器10上の計測空間におけるx方向において正および負の向きに走査されながら樹脂片2a、2bの落下分布を測定する。すなわち、計測センサ6cが計測空間において水平方向に走査されながら、樹脂片2a、2bの落下量を計測する。このため、実施の形態1で説明した複数個の計測センサ6を用いた場合に比べて、本実施の形態における計測センサ6cは、計測空間のx方向においてより滑らかな(分解能の高い)落下分布のデータが得られる効果が期待できる。実施の形態1において計測センサ6cの数を増やすことでもx方向の分解能を高める効果は得られるが、1個の計測センサ6cで走査した方が通常保守およびコスト面においても有利となる。
また、静電選別装置101における計測センサ6cは、実施の形態1と同様に、(a)樹脂片の形状、粒度および重量の平均値またはばらつきの変化、(b)樹脂片の表面汚れおよび乾燥状態のばらつきによる帯電量の変化、(c)選別環境の温湿度条件による樹脂片の帯電量の変化など、回収容器10への選別回収前において落下中の樹脂片2a、2bが受けた種々のばらつきおよび外乱の影響を計測することができる。
なお、本実施の形態においても、1個の計測センサ6cは、ロードセルに限るものではなく、例えばビームセンサまたはレーザセンサといった光学応用の計測センサであってもよい。
実施の形態3.
図8は、実施の形態3における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。
図8において、本実施の形態に係る静電選別装置102は、実施の形態1に係る静電選別装置1と以下に述べる点で異なる。
本実施の形態の静電選別装置102では、コンピュータ9からの制御量がセパレータ11a、11bを動かすアクチュエータ12a、12bに出力されるのではない。コンピュータ9は、電源8および温湿度調整機器13と電気的に、または無線通信によって接続されている。温湿度調整機器13は、回収容器10の鉛直上方の温度または湿度を制御する。
このような構成によれば、コンピュータ9が、計測センサ6にて測定された樹脂片の落下分布をもとに電源8の電圧を調整し、電極7a、7b間の静電場の強度を調整することができる。また、コンピュータ9が、温湿度調整機器13を制御することによって回収容器10の鉛直上方の温度または湿度の調整を行うことで、樹脂片2a、2bの落下分布の調整を行うことが可能になる。
すなわち、コンピュータ9は、樹脂片2a、2bの落下量の解析結果に基づいて温度指令値または湿度指令値を温湿度調整機器13に出力することによって、回収容器10の鉛直上方の温度または湿度を制御する。
図9は、本実施の形態における静電選別方法を示すフローチャートである。図9において、計測ステップS11、解析ステップS12、および移動制御ステップS13は、図5のフローチャートに含まれるものと同じである。計測ステップS11から移動制御ステップS13までが実施された後、図9における温湿度制御ステップS14において、コンピュータ9が、解析ステップで解析した樹脂片2a、2bの落下量の解析結果に基づいて、温度指令値または湿度指令値を温湿度調整機器13に出力して、回収容器10の鉛直上方の温度または湿度を温度指令値に対応する温度または湿度指令値に対応する湿度となるように制御する。
また、樹脂片2a、2bの落下分布を解析して得られる樹脂片2a、2bの落下量について、ピーク分離で用いるフィッティングカーブの平均値(ピーク位置)がシフトして2つのピーク間隔が小さくなった場合、何らかの理由によって樹脂片2a、2bを分離するために必要な帯電量が不足している可能性があると判断できる。このような場合、コンピュータ9が電源8へ制御量である電圧指令値を出力し、電源8の出力電圧を調整することによって、帯電した樹脂片2a、2bが静電場から受ける力を定常時よりも大きくして、樹脂片2a、2bの帯電不足時についても回収率を向上させることができる。
すなわち、静電選別装置102は、一対の電極7a、7bに電圧をかけて一対の電極7a、7bに静電場を発生させる電源8をさらに備えている。コンピュータ9は、樹脂片の落下量の解析結果に基づいて電圧指令値を電源8に出力して電圧を制御する。
また、図9における電圧制御ステップS15において、コンピュータ9が、解析ステップS12で解析した樹脂片2a、2bの落下量の解析結果に基づいて電圧指令値を出力して、電源8の電圧を制御する。電源8の電圧は、一対の電極7a、7bに与えられて、一対の電極7a、7bに静電場を発生させる。
温湿度制御ステップS14および電圧制御ステップS15の少なくともいずれか一方を実施する温湿度/電圧制御ステップS16が完了した後に、計測ステップS11に戻ってステップS11からS13までを繰り返すことによって、所定の時間経過後の樹脂片2a、2bの落下量の変化に対応して、セパレータ11a、11bが最適な位置に移動することができる。
また、所定の時間経過後の樹脂片2a、2bの落下量の変化に対応して、樹脂片2a、2bの落下分布の調整を行うことが可能になる。また、所定の時間経過後の樹脂片2a、2bの落下量の変化に対応して、樹脂片2a、2bの帯電不足時についても回収率を向上させることができる。
このように、落下分布をもとにした制御対象に電源8の電圧の調節機能、または温湿度調整機器13の温度または湿度の調節機能を設けることにより、落下分布のピークシフトが生じた場合にも、任意の回収純度と回収率を得るために落下分布データを参照しながら選別条件を改善することが可能になるといった効果を奏する。
なお、本実施の形態についても計測センサ6はロードセルに限るものではない。例えばビームセンサやレーザセンサといった光学式センサを用いて樹脂片の落下数をカウントし、落下分布を得る方法でもよい。
実施の形態4.
図10は、この発明を実施するための実施の形態4における静電選別装置の概略構成を示す断面図である。図10に示すように、本実施の形態に係る静電選別装置103は、実施の形態1に係る静電選別装置1と以下に述べる点で異なる。
静電選別装置103は、プロセッサ14および記憶装置15を有するコンピュータ9aをさらに備える。記憶装置15は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、記憶装置15は、図示していないが、不揮発性の補助記憶装置の代わりにハードディスク等の補助記憶装置を具備してもよい。
プロセッサ14は、記憶装置15から入力されたプログラムを実行する。記憶装置15が補助記憶装置と揮発性記憶装置とを具備するため、プロセッサ14に、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプログラムが入力される。また、プロセッサ14は、演算結果等のデータを記憶装置15の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
図11は、実施の形態4に係る静電選別方法を示すフローチャートである。図11において、計測ステップS11、解析ステップS12、および移動制御ステップS13の後、計測ステップS11に戻って樹脂片の落下分布調整を行うことは、図5に示す実施の形態1のフローチャートの処理と同じである。
図11のフローチャートが図5のフローチャートと相違する点は、図11のフローチャートは、選別処理の完了、または、選別材料がない等による処理中断時間が生じる際に、計測ステップS11から移動制御ステップS13までを行う処理ループの継続または中断を判定する処理継続判定ステップS17と、回収純度と回収率のデータとより次回処理開始時のセパレータ11a、11bの位置を決定し移動させるセパレータ初期位置制御ステップS18とが加わる点である。
本実施の形態は上述のフローチャートに基づき選別処理開始前にセパレータ11a、11bの初期位置を選別処理の回収純度と回収率のデータとにより決定しておき、処理開始時のセパレータ11a、11bの応答の遅れ、すなわち、選別初期における回収純度と回収率のロスとを改善することが可能である。
図12は、選別される樹脂フレークの落下分布の計測データを元に、各セパレータ11a、11bの位置に対して回収されるABS樹脂とPS樹脂の回収純度、および、回収率を解析した結果を表わす図である。図12において、横軸は、図10のx方向における樹脂片の回収位置を表し、縦軸は、回収された樹脂片の回収純度および回収率を表す。図12中の縦の太線は回収容器10中のセパレータ11a、11bの位置を示す。図12の左からそれぞれの太線がセパレータ11a、11bに相当する。すなわち、図12においてセパレータ11aの左側(回収位置を示す座標で負の方向)が回収区画10a、セパレータ11bの右側(回収位置を示す座標で正の方向)が回収区画10c、セパレータ11aと11bに挟まれた区画が回収区画10bに相当する。選別原料がABS樹脂とPS樹脂である場合、ABS樹脂は正帯電、PS樹脂は負帯電してそれぞれ回収容器10の各区画に回収される。
例として、回収したそれぞれの樹脂において99%以上の樹脂片の回収純度が求められる場合、各樹脂について、回収された樹脂片の回収純度が99%以上でかつ回収率が最大となる各セパレータ11a、11bの位置は、以下のようになる。図12に示すように回収容器10の正帯電樹脂の回収箱の左端をゼロ点に取ると、ABS回収側のセパレータ11aの位置座標は350、PS側回収のセパレータ11bの位置座標は640であり、これらは一意に決まる。
上述のように本実施の形態の静電選別装置では、計測ステップS11から移動制御ステップS13、そして処理継続判定ステップS17の処理継続判定を繰り返して、選別処理を行い、各樹脂の回収純度および回収率のデータが連続的に取得される。しかしながら、選別処理が完了、または、中断すると次回処理開始時に新たな落下分布データの取得までセパレータ11a、11bの応答遅れが生じる。
そこで、本実施の形態では、処理継続判定ステップS17において、コンピュータ9が、取得された回収純度および回収率のデータをコンピュータの記憶装置15に記憶する。そして、処理継続判定ステップS17において、選別処理の完了、または、緊急停止などによる処理の中断がなされた後、初期位置制御ステップS18において、記憶された直前の処理データ(回収純度と回収率)を記憶装置15から参照し、次回処理開始時に応答の遅れを小さくするようなセパレータ11a、11bの初期位置の決定と移動とが行われる。そして、計測ステップS11に戻って、計測ステップS11から移動制御ステップS13、そして処理継続判定ステップS17の継続判定を繰り返す。これにより、次回処理開始時のセパレータ11a、11bの応答の遅れを改善する。
図11の計測ステップS11、解析ステップS12、移動制御ステップS13、処理継続判定ステップS17、および初期位置制御ステップS18の処理は、記憶装置15に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ14、または図示していないシステムLSI等の処理回路により実現される。また、複数のプロセッサ14および複数の記憶装置15が連携して上記機能を実行してもよい。また、複数の処理回路が連携して上記機能を実行してもよい。また、複数のプロセッサ14および複数の記憶装置15と、複数の処理回路との組み合わせにより連携して上記機能を実行してもよい。
例として、マテリアルリサイクルを利用目的としたプラスチック選別においては選別後の樹脂片の回収純度は99%以上であることが望まれる。このことから、セパレータ11a、11bの初期位置は各樹脂の回収純度が100%以下から99%以上になる範囲にあることが望ましい。さらに、処理開始時の応答の早さ、およびロバスト性確保の観点から各樹脂の回収純度が100%以下から99%以上になる範囲の中間点であるのが望ましい。図12で示す例場合、セパレータ11aは200から350の範囲、望ましくはその中間の275の位置、セパレータ11bは650から950の範囲、望ましくは800の位置となる。
このように、落下分布のデータが十分に得られていない選別処理開始直後にはセパレータ11a、11bの位置の応答遅れが生じることがあるが、直前の選別処理データの回収純度と回収率を元に次回処理開始時の初期位置を設定しておくことで、任意の回収純度と回収率を得る上で、選別処理のロバスト性を得ながら、かつ、セパレータ11a、11bの最適位置への移動を早く行うことが可能になる。
なお、処理が開始される選別原料の樹脂混合比率または帯電量によって被選別材料の落下分布のピーク位置または分布の幅が分かっている場合は、それらを参照してセパレータ11a、11bの初期位置を補正してもよい。
なお、実施の形態1から4において、樹脂としてABS樹脂とPS樹脂とを選別する場合について述べたが他の樹脂の組み合わせであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,101,102,103 静電選別装置、2a,2b 樹脂片、3 帯電装置、4 供給装置、5 振動フィーダ(搬送装置)、6,6c 計測センサ、6a 投光器、6b 受光器、7a 高電圧電極、 7b 接地電極、8 電源、9,9a コンピュータ、10 回収容器、10a,10b,10c 回収区画、11a,11b セパレータ、12a,12b アクチュエータ、13 温湿度調整機器、14 プロセッサ、15 記憶装置、S11 計測ステップ、S12 解析ステップ、S13 移動制御ステップ、S14 温湿度制御ステップ、S15 電圧制御ステップ、S16 温湿度/電圧制御ステップ、S17 処理継続判定ステップ、S18 初期位置制御ステップ。

Claims (19)

  1. 複数の種類の樹脂片を摩擦帯電させる帯電装置と、
    静電場を間に発生させる一対の電極と、
    前記樹脂片を鉛直上方から前記静電場に導く搬送装置と、
    前記静電場の鉛直下方に設けられ、かつ前記鉛直上方に開口することによって、前記静電場を通過して落下する前記樹脂片を回収する回収容器と、
    前記静電場と前記回収容器との間の計測空間における前記樹脂片の落下量を計測する計測センサとを備える静電選別装置。
  2. 前記回収容器が複数のセパレータで仕切られることによって、複数の回収区画が形成されている請求項1に記載の静電選別装置。
  3. 前記計測センサは、前記複数の回収区画の鉛直上方に設けられている請求項2に記載の静電選別装置。
  4. 前記計測センサを複数備え、
    複数の前記計測センサは、前記複数の回収区画の鉛直上方に設けられている請求項2に記載の静電選別装置。
  5. 前記計測センサが、前記計測空間において水平方向に走査される請求項3に記載の静電選別装置。
  6. 前記計測センサは、ロードセルであり、かつ前記樹脂片の重量を計測する請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の静電選別装置。
  7. 前記計測センサは、光学式センサであり、かつ前記樹脂片の個数を計測する請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の静電選別装置。
  8. 予め定められたフィッティングカーブと前記計測センサが計測した前記計測空間における前記樹脂片の落下量とに基づいて前記回収区画に対応した前記樹脂片の落下量を解析するコンピュータをさらに備える請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の静電選別装置。
  9. 前記セパレータを水平方向に移動させる駆動部をさらに備え、
    前記コンピュータは、前記駆動部を制御して前記樹脂片の落下量の解析結果に対応した位置に前記セパレータを移動させることによって、前記回収区画の回収容量を変化させる、請求項8に記載の静電選別装置。
  10. 前記一対の電極に電圧をかけて前記一対の電極に前記静電場を発生させる電源をさらに備え、
    前記コンピュータは、前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて前記電源の出力電圧を制御する、請求項8または請求項9に記載の静電選別装置。
  11. 前記回収容器の鉛直上方に設けられ、温度または湿度を調整する温湿度調整機器をさらに備え、
    前記コンピュータは、前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて、前記温湿度調整機器を制御する、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の静電選別装置。
  12. 前記コンピュータは、前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて算出した前記樹脂片の回収純度および前記樹脂片の回収率を用いて、前記セパレータの初期位置を決定する請求項9に記載の静電選別装置。
  13. 前記コンピュータは、前記樹脂片の落下量の解析結果を記憶する記憶装置を有し、かつ前記記憶した前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて算出した前記樹脂片の回収純度および前記樹脂片の回収率を用いて、前記セパレータの初期位置を決定する請求項12に記載の静電選別装置。
  14. 前記コンピュータは、前記セパレータの初期位置を、前記樹脂片の回収純度が予め定められた値以上100%以下の範囲になる位置に決定する請求項12または請求項13に記載の静電選別装置。
  15. 一対の電極の間に発生する静電場を通過して、前記静電場の鉛直下方に設けられ、かつ直上方に開口する回収容器へ落下して回収される複数の種類の樹脂片の前記静電場と前記回収容器との間の計測空間における落下量を計測センサによって計測するステップと、
    コンピュータが、予め定められたフィッティングカーブと前記計測するステップで計測した前記計測空間における前記樹脂片の落下量とに基づいて、前記回収容器に形成された複数の回収区画に回収される前記樹脂片の落下量を解析するステップとを備え、
    前記複数の回収区画は、前記回収容器が複数のセパレータで仕切られることによって形成される、静電選別方法。
  16. 前記コンピュータが、前記セパレータを移動させる駆動部を制御して、前記解析するステップで解析した前記樹脂片の落下量の解析結果に対応した位置に前記セパレータを移動させるステップをさらに備える請求項15に記載の静電選別方法。
  17. 前記コンピュータが、前記解析するステップで解析した前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて、電源の電圧を制御するステップをさらに備え、前記電源の電圧は、前記一対の電極に印加されて、前記一対の電極に前記静電場を発生させる、請求項15または請求項16に記載の静電選別方法。
  18. 前記コンピュータが、前記解析するステップで解析した前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて、前記回収容器の鉛直上方に配置された温湿度調整機器の温度または湿度を制御するステップをさらに備える請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の静電選別方法。
  19. 前記コンピュータが、前記樹脂片の落下量の解析結果に基づいて算出した前記樹脂片の回収純度および前記樹脂片の回収率を用いて、前記セパレータの初期位置を決定するステップをさらに備える請求項16に記載の静電選別方法。
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