以下に、本発明の実施の形態に係る加湿装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加湿装置1の構成を示す模式図である。図1を用いて加湿装置1の構成を説明する。加湿装置1は、収容体70と、ドレンパン7と、導入口8aから取り入れた空気を加湿素子2に送風する送風機5と、保水性の素材で作られた加湿体20を収納する加湿素子2と、開弁及び閉弁する給水弁3aと、加湿素子2の表面から溢れた水を外部に排出する排水管4と、送風機5及び給水弁3aの動作を制御する制御装置6とを含む。送風機5と、加湿素子2と、給水弁3aと、排水管4と、制御装置6とは、収容体70に収容される。
収容体70は、底部70Bと、底部70Bから立設する壁28,29,30,31とを有する。壁28,29,30,31は、それぞれが接続している。収容体70の壁28には、加湿するための空気を収容体70の外部から取り入れる導入口8aが開口する。収容体70の壁29には、加湿素子2で加湿した空気を室内に供給する給気口9aが開口する。ドレンパン7は、加湿素子2の表面から溢れた水を受け止める受皿である。ドレンパン7は、加湿素子2の下方に設置される。
図2は、実施の形態1に係る複数の加湿素子2の構造を示す図である。図3は、実施の形態1に係る加湿素子2を示す斜視図である。図4は、実施の形態1に係る加湿素子2を示す分解図である。加湿装置1は、複数の加湿素子2を備える。加湿装置1は、少なくとも1つの加湿素子2を備えていればよい。各加湿素子2は、加湿用の水の供給を受けるための給水管3が接続されている。
加湿素子2は、ケーシング10と、貯水部12とを含む。ケーシング10は、加湿体20の外周部分を覆うことにより、加湿体20を内部に収納する。ケーシング10は、複数の加湿素子2を連結する連結部を有する。複数の加湿素子2は、ケーシング10が有する連結部により連結される。貯水部12は、水を貯める水槽であり、貯水した水を加湿体20に供給する。実施の形態1において、貯水部12は、加湿体20の上方に配置されているので、貯水部12は、重力の作用を利用して水を加湿体20に滴下する。
貯水部12には、図1に示される水位検知センサー60が取り付けられている。水位検知センサー60は、貯水部12に貯水された水の水位を検出する。制御装置6は、水位検知センサー60によって検出された水位の情報に基づき、送風機5の回転速度を増減させたり、給水弁3aを開閉したりする。
図2に示されるように、実施の形態1において、加湿装置1は複数、すなわち2つ以上の加湿素子2を搭載することができる。加湿装置1は、複数の加湿素子2を搭載することができるので、加湿装置1に必要な加湿量に応じて、加湿素子2の数を変更できる。加湿装置1を安価に製造するためには、加湿素子2は複数の仕様の加湿装置1に対応した共通部品である必要がある。つまり、加湿素子2自体が大き過ぎると個別の仕様への対応が難しく、加湿素子2自体が小さすぎるとメンテナンスの際に加湿素子2の交換に時間を要し、部品コストも上昇する。このため、加湿素子2の寸法は、個別の仕様への対応と、メンテナンスの容易さ及びコストとを踏まえて検討されることが望ましい。
加湿素子2に加湿用の水を供給する給水系は、給水管3及び給水弁3aを含む。給水管3は、加湿装置1の外部から加湿素子2の貯水部12へ水を導く。給水弁3aは、加湿素子2に給水される水の圧力及び流量を調整する。給水系は、給水系への塵の侵入を抑制するためのストレーナを含む。実施の形態1において、給水源との接続部を除く給水系の各接続部分は、すべてドレンパン7内に集約されていることが望ましい。このような構造により、各接続部分から仮に漏水があったとしても、ドレンパン7が接続部分から漏れた水を受けて加湿装置1の外部へ排出させる。
加湿素子2が備えるケーシング10は、第1ケーシング10a、第2ケーシング10b、給水口11、貯水部12及び排水部13を含む。図3に示されるように、第1ケーシング10a及び第2ケーシング10bには、複数の爪部15が設けられている。複数の爪部15がそれぞれ嵌め合せられることで、ケーシング10が組み立てられる場合には、第1ケーシング10aと第2ケーシング10bとの離脱が規制される。
給水口11は、図1に示され給水管3と接続される。貯水部12は、第1ケーシング10a及び第2ケーシング10bの間に挟み込まれて保持される。貯水部12に貯められた水は、加湿体20に給水される。加湿体20の表面から流れ出した水、及び蒸発せずに加湿体20の下部から流出した水は、図1及び図2に示されるドレンパン7が受ける。ドレンパン7が受けた水は、排水管4から排水する。すなわち、ドレンパン7は、加湿体20からの水を受けて排水管4に導くことにより、ドレンパン7の外部へ排出する。
排水部13は、加湿素子2の下部、すなわち加湿体20を挟んで貯水部12とは反対側に位置する。排水部13は、加湿体20からの水を、図1に示されるドレンパン7に流す。ケーシング10において、第1ケーシング10aは、開口14aを有する。第2ケーシング10bは、第1ケーシング10aの開口14aの位置と対応する位置に開口14bを有する。開口14aは、第1ケーシング10aの枠状の部分で囲まれた部分である。開口14bは、第2ケーシング10bの枠状の部分で囲まれた部分である。
第1ケーシング10a側の開口14a及び第2ケーシング10b側の開口14bは、ケーシング10に収納された加湿体20の表面の一部を露出させる。図1及び図2に示される導入口8aから収容体70に取り入れられた空気は、開口14bから加湿体20に流入する。加湿体20に吸水されて保持された水が蒸発することで、加湿体20に流入した空気が加湿される。加湿された空気は、開口14aから流出する。このように、開口14bは、加湿体20に空気を流入させる。開口14aは、加湿体20に導入された空気を流出させる。
ケーシング10は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PS(Poly Styrene)樹脂、又はPP(PolyproPylene)樹脂といった熱可塑性のプラスチックによる射出成型等で形成されている。
第1ケーシング10aの開口14aの形状は、第2ケーシング10bの開口14bの形状と同様に長方形である。開口14aが形成される第1ケーシング10aの外周面の端部10atには、2つの爪部15aが離れて形成されている。開口14bが形成される第2ケーシング10bの外周面の端部10btには、2つの爪部15bが離れて形成されている。爪部15aはフック状であり、爪部15bは切欠き状である。
爪部15a及び爪部15bは、互いに対応した位置に形成されているため、第1ケーシング10aと第2ケーシング10bとが組み合わされて一体化される際に、フック状の爪部15aが切欠き状の爪部15bに引っ掛かり、第1ケーシング10aと第2ケーシング10bとの離脱が規制される。第1ケーシング10aと第2ケーシング10bとが組み合わせられて一体化されることで、加湿体20を収納するケーシング10が組み立てられる。
第2ケーシング10bの下方に位置する底部10bbから、第2ケーシング10bの上方に位置する上部10buに向かって起立する起立壁16bの内側には、複数の突起17bが形成されている。突起17bの突出する高さは、開口14bから遠ざかるにしたがって高くなる。ケーシング10に収納される加湿体20は、起立壁16bに形成された複数の突起17bと接触することで、位置決めされる。
図4に示されるように、加湿体20は、複数の加湿板20cを含む。加湿板20cは、板状の部材である。実施の形態1において、加湿板20cの素材は、多孔質の保水性素材が例示される。複数の加湿板20cは、並んで配置される。隣接する加湿板20cの間には、隙間が形成される。加湿板20c同士の間の隙間には、図1及び図2に示される導入口8aから取り入れられた空気が流入する。加湿板20c同士の隙間に流入した空気は、加湿板20cに保持された水が蒸発することにより加湿される。
加湿体20は、板状の多孔質の保水性素材で作られた複数の加湿板20cを有しているため、変形しやすい。このため、貯水部12から供給された水を保持した加湿体20は、水の重さで変形する可能性がある。実施の形態1では、複数の突起17bが加湿体20の位置を規制することによって加湿体20の変形が抑制されるので、加湿板20c同士の間の隙間が確保される。複数の突起17bが加湿体20を位置決めすることで、隣接する加湿板20cの間に形成された隙間の潰れが抑制されるので、空気を隙間に確実に流入させることができる。
第2ケーシング10bが有する給水口11から給水された水は、貯水部12へ流れ込む。給水口11の形状は給水管3に合わせた形状とされる。給水管3が容易に抜けないように、給水口11に凸状の帯(かえし)が形成されたり、給水口11に差し込まれた給水管3がホースバンドで結束されたりしてもよい。
給水口11は、加湿体20の上部から水を供給できる構造であれば位置等に制約はないが、給水管3と給水口11との接続部から水漏れが発生した場合を考慮すると、空気の流れの上流側に配置されることが望ましい。このような配置により、給水管3と給水口11との接続部から漏れた水は、空気の流れに乗って下流側、すなわち加湿素子2側へ導かれて加湿体20に吸収されるため、加湿素子2から開口14aを通って水が飛散することを抑制できる。
図4に示される第2ケーシング10bだけでなく第1ケーシング10aにも給水口11が設けられてもよい。このようにすることで、第2ケーシング10b側及び第1ケーシング10a側のいずれを空気の流入側としても、空気の流入側から給水口11に給水管3が接続される。このため、ケーシング10を反転させて使用することができる。
図5は、実施の形態1に係る加湿素子2の正面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。図7は、図3に示される加湿素子2を反転させた斜視図である。加湿素子2が有する加湿体20は、互いの間に隙間を設けて一方向、図5においては矢印Yで示す方向に沿って並べられた複数の平板状の加湿板20cを備える。複数の加湿板20cが並ぶ方向が、前述した一方向である。加湿体20の上部には、図7に示されるように、拡散部材30が接触している。拡散部材30は、板状の部材であり、拡散板とも称される。拡散部材30は、一方向に沿って延びている。1つの拡散部材30は、まとまった複数の加湿体20と接触する。
加湿量に対して加湿体20に供給された水の量が過剰な場合、加湿に供されずに排水部13から流出する量が多くなり、無駄な水が増大する。無駄な水の増大を回避するため、図6に示されるオリフィス部50のような水量を絞るための機構を給水口11に設けて、加湿体20に供給される水の流量を調整することが望ましい。加湿体20に供給される水の流量を調整する際には、必要な加湿性能を得るため、その加湿素子2の最大加湿量よりも多い流量の水を供給できるようにする必要がある。オリフィス部50は、圧力損失が高く、流量調節が可能であればよい。金属メッシュ又は多孔質材料によって水量を絞る機構により、加湿体20に供給される水の流量が調整されてもよい。
図6に示されるように、貯水部12は、第1ケーシング10aと第2ケーシング10bとの間に挟まれて保持されている。貯水部12は、拡散部材30の上方に配置される。貯水部12の底部には複数の注水孔12aが形成されている。注水孔12aの下部には、拡散部材30が配置されている。貯水部12に貯留された水は、注水孔12aの上部に作用する水頭圧により、注水孔12aの内部を通って拡散部材30へ滴下する。
拡散部材30は、多孔質の板材である。拡散部材30は、貯水部12から滴下した水を吸収し、加湿体20へ送るため、素材の表面は極力親水性である方が、浸透性が良好になり通水できる流量が増加する。拡散部材30は常に水に触れるため、水によって劣化しにくい材料、例えば樹脂ではPET(PolyEthylene Terephthalate)樹脂のようなポリエステル、PP樹脂又はセルロース、金属ではチタン、銅又はステンレスなどで作られた多孔質板であることが望ましい。
加湿体20を構成する複数の加湿板20cは、拡散部材30と同様に多孔質の板材である。加湿板20cの素材は、拡散部材30と同一であってもよい。加湿体20に、拡散部材30よりも吸水性の高い素材が用いられると、拡散部材30が吸水して内部に十分水が拡散する前に加湿板20cが水を吸ってしまうため、各加湿板20cへの水の供給の均一度が低下する可能性もある。その場合、水が拡散部材30を通過する方向における拡散部材30の寸法を十分大きくする、といった対策により、前述した均一度の低下を抑制できる。水が拡散部材30を通過する方向における寸法は、実施の形態1においては、板状の部材である拡散部材30の厚さである。水が加湿素子2を通過する方向における、加湿素子2全体の寸法の制約がある場合、拡散部材30よりは若干吸水性が低い素材を使用することが望ましい。水が加湿素子2を通過する方向における加湿素子2の寸法は、加湿素子2の高さ方向の寸法に相当する。
加湿板20cは、図4に示されるように、表面に凸部21を有している。凸部21によって、加湿板20c同士の間隔が保持される。凸部21は複数であることが好ましい。凸部21は、加湿板20cに冶具を押し当てるといった加工により、加湿板20cの治具が押し当てられた部分が塑性変形することにより形成される。加湿板20cの表面に形成された凸部21の位置が異なる2種類の加湿板20cを交互に配列することで、加湿板20cの間隔が一定に保たれる。
加湿板20cは一方向に沿って間隔が一定に保たれていればよい。このため、一定間隔で加湿板20cの板厚分の切り欠きが入った櫛を加湿板20cに噛み合わせて加湿板20c同士の間隔が保持されてもよい。波状に成形された複数の加湿板20cが積層されることによって、加湿板20c同士の間に隙間が形成されてもよい。この場合、積層された複数の加湿板20cによって、加湿体20はハニカム状になる。
拡散部材30と加湿体20とが接触していれば、表面張力の作用により水が淀みなく流下する。加湿素子2を組み立てる際のばらつき、及び輸送中の振動の影響を加味して、拡散部材30の下端と加湿体20の上端とを互いに差し込んで、両者が連結されてもよい。
図8は、図6に示されるVIII−VIII線に沿った、貯水部12周辺の断面図である。貯水部12は、上部が大気に開放されている。給水口11から供給される水の量が一定であれば、注水孔12aの上部に作用する水頭圧と複数の注水孔12aを流れる水に作用する流動抵抗とがバランスし、貯水部12に貯留される水位は一定に保たれる。実施の形態1において、貯水部12は、細長い水槽である。
貯水部12の長手方向に沿って複数設けられた注水孔12aから拡散部材30へ水が流出することにより、拡散部材30の全体に水が浸透し、加湿体20の加湿板20cが並ぶ方向において均一に水が流れる。加湿体20へ均一に水を流すことにより、加湿素子2を通過する空気を万遍なく加湿することができる。このように、貯水部12を上部が大気解放された水槽にすることで、貯水部12を密閉容器にする必要がなく、長期間にわたり安定して水を加湿体20へ供給できる。また、貯水部12を上部が大気解放された水槽にすることにより、貯水部12を密閉容器にする必要がなくなるので、加湿素子2を簡易な構造とすることができる。その結果、加湿素子2を容易に組み立てられるという利点がある。
注水孔12aに塵が侵入したり、注水孔12aの内部表面に蒸発残留物成分が付着して堆積したりした場合、注水孔12aの流動抵抗が増加する。その結果、平常時と比較して、貯水部12に貯留される水の水位hは上昇する。水位hが貯水部12の高さを超えると水が溢れてしまうため、貯水部12は、図7及び図8に示されるように、注水孔12aを避けた位置に、上下、すなわち貯水部12から加湿素子2の排水部13に向かって延びる筒状の導水管100を、内側に有している。
導水管100は、図8に示されるように、貯水部12の外壁の上端12Tよりも低い位置に、導水管100の内部へ水を流入させる流入口100aが形成されている。導水管100の上端100Tは、貯水部12の外壁の上端12Tよりも低い位置になっている。導水管100の上端100T側の開口が流入口100aとなる。導水管100の上端100Tが貯水部12の外壁の上端12Tよりも高い場合には、貯水部12の外壁の上端12Tよりも低い位置に導水管100の開口を設けて流入口100aとすればよい。貯水部12の内部には、貯水部12の水位hを検知する水位検知センサー60が設置されてもよい。図1に示される制御装置6は、水位検知センサー60によって検知された水位hのフィードバックを受けて、給水弁3aの開閉を制御することにより、加湿体20を流れる水の流量を制御する。
導水管100の下端100BTには、拡散部材30が接触している。導水管100に流入した水は、拡散部材30に浸透したのち、拡散部材30に接触している加湿体20に浸透し、加湿体20を加湿させる。導水管100は、注水孔12aに蒸発残留物が付着した場合、及び給水弁3aが故障する等して貯水部12の水が溢れた場合の、緊急用のオーバーフロー式の流路として機能する。
図7に示されるように、導水管100は、貯水部12の長手方向に対し両端側に各1箇所ずつ設けられている。このような構造により、加湿装置1が傾斜して配置された場合でも、低い側に位置する導水管100に余剰水を流すことができるので、貯水部12からオーバーフローした水が想定外の流路を通り、加湿装置1の外へ漏れ出すことを回避できる。
貯水部12の四隅に導水管100を設けることにより、加湿装置1が任意の方向に傾斜した場合に余剰水を導水管100に流すことができる。図7に示されるように、貯水部12の幅、すなわち貯水部12の長手方向と直交する方向の寸法に対して、貯水部12の長手方向の寸法が十分に長い場合は、導水管100は、貯水部12の長手方向の両端に各1個ずつ設置されていればよい。導水管100を加湿素子2の上部に設けることで、加湿素子2に供給される水をすべて加湿体20に流すことができる。加湿体20を流れる水は、加湿体20を洗浄する効果を有する。貯水部12から水がオーバーフローした場合であってもオーバーフローしない場合であっても、導水管100及び注水孔12aの少なくとも一方によって加湿体20に水が流れるので、加湿体20が洗浄される。その結果、加湿体20の汚れに起因した加湿性能の低下を抑制する効果が得られる。
図9は、実施の形態1に係る2つの加湿素子2を給気口9aから見た状態を示す図である。図9では、加湿素子2と給気口9aとの位置関係を明らかにするために、図1に示される収容体70は図示を省略し、給気口9aの輪郭線のみ図示している。次の説明では、支持体7Sの第1傾斜部7aと第2傾斜部7bとが接続する部分7eを挟んで隣接する加湿素子2を適宜、第1の加湿素子2−1及び第2の加湿素子2−2と称する。
空気は、図1に示される導入口8aから加湿体20に流入した後、加湿素子2の開口14aから流出して、図1に示される給気口9aを通過する。図9に示される例においては、空気は、図9の紙面の奥側から、図9の紙面の手前側へ流れる。導入口8a及び給気口9aは、複数の加湿素子2が取り外されると、互いに対向した位置に開口する。導入口8aと給気口9aとは、互いに対応した位置に開口していなくてもよい。
加湿素子2を通過した空気は、給気口9aから流出して室内に流れる。収容体70の内部における給気口9aの近傍は、空気が通過する流路の断面積が急激に縮小する。そのため、給気口9aの近傍では、空気の速度が速くなりやすく、特に給気口9aと対向する領域で空気の速度が高くなりやすい。給気口9aは、周縁から中央に近づくほど空気の速度は速くなる。
加湿装置1において、複数の加湿素子2は、開口14aが同一方向を向いて、並んで配列される。複数の加湿素子2のうち第1加湿素子2−1は水平面HLPに対して傾斜する。第2加湿素子2−2は第1加湿素子2−1に隣接し、かつ水平面HLPに対して傾斜する。第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2は、第1加湿素子2−1と第2加湿素子2−2との境界部分25に向かって水平面HLPから離れる。
第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2を前述したような姿勢とするため、加湿装置1は、複数の加湿素子2を支持する支持体7Sを有する。支持体7Sは、第1方向FDに向かって高くなる第1傾斜部7a、及び第2傾斜部7bを有する。第2傾斜部7bは、第1傾斜部7aと接続され、かつ第1方向FDに向かって低くなる。支持体7Sは、第1傾斜部7a及び第2傾斜部7bで複数の加湿素子2を支持する。
支持体7Sは、上方から見た場合、第1方向FDに沿って延びた、細長い形状である。第1方向FDは、支持体7Sの長手方向であり、支持体7Sが延びる方向である。実施の形態1において、第1方向FDは、水平面HLPと平行、かつ給気口9aから流出する空気の流れる方向と交差する方向とすることができる。実施の形態1においては、第1方向FDは、水平面HLPと平行、かつ給気口9aから流出する空気の流れる方向と直交する方向である。
支持体7Sは、第1傾斜部7aと第2傾斜部7bとが接続する部分7eを頂部とする山型の形状を呈している。以下において、部分7eを適宜、頂部7eと称する。実施の形態1において、支持体7Sは、加湿素子2の下方に設置されるドレンパン7の盛り上がった部分である。すなわち、支持体7Sは、ドレンパン7に形成された、山型の形状の部分である。複数の加湿素子2は、支持体7Sに載置される。すなわち、支持体7Sは、載置された複数の加湿素子2を、加湿素子2の下方から支持する。ドレンパン7に支持体7Sが形成されることで、加湿素子2をドレンパン7の支持体7Sに設置するだけで、加湿装置1からの水の飛散を抑制できる角度に加湿素子2を傾けることができる。
給気口9aは、加湿素子2の開口14a側で、複数の加湿素子2の一部と対向する。実施の形態1においては、複数の加湿素子2のうち、給気口9aは、第1の加湿素子2−1の一部及び第2の加湿素子2−2の一部と対応する。
複数の加湿素子2のうち第1傾斜部7aに支持される第1加湿素子2−1と、第1加湿素子2−1に隣接し、かつ第2傾斜部7bに支持される第2加湿素子2−2との境界部分25の少なくとも一部は、給気口9aと対向する。これは、給気口9aから流出する空気が流れる方向とは反対の方向に沿って、給気口9aの形状を複数の加湿素子2に投影した場合、投影された給気口9aの形状に、境界部分25の少なくとも一部が含まれることを意味する。
境界部分25から離れた側の側面27−1,27−2は、境界部分側の側面26−1,26−2よりも高さが低くなる。このため、第1の加湿素子2−1が有する加湿体20の加湿板20cが並ぶ方向が、第1傾斜部7aと平行になり、第2の加湿素子2−2が有する加湿体20の加湿板20cが並ぶ方向が、第2傾斜部7bと平行になる。加湿板20cが並ぶ方向は、矢印Yで示される方向である。
第1の加湿素子2−1と第2の加湿素子2−2とは、頂部7eを挟んで隣接しているので、第1の加湿素子2−1の加湿板20cが並ぶ方向と、第2の加湿素子2−2の加湿板20cが並ぶ方向とは、異なる方向に傾斜する。
支持体7Sに載置される第1の加湿素子2−1は、境界部分25側の側面26−1よりも境界部分25から離れた側の側面27−1の方が低くなる。及び第2の加湿素子2−2は、境界部分25側の側面26−1よりも境界部分25から離れた側の側面27−2方が低くなる。
第1の加湿素子2−1と第2の加湿素子2−2とが頂部7eを挟んで傾斜することで、第1の加湿素子2−1と第2の加湿素子2−2との間には隙間が生じる。したがって、第1の加湿素子2−1と第2の加湿素子2−2とは連結されていない状態となる。第1の加湿素子2−1と第2の加湿素子2−2との間の隙間は、スペーサー110で埋められている。スペーサー110は発泡材のような、クッション性を有し、経年的に耐水性が認められる素材が好適である。スペーサー110は、隙間を埋めることができればよいので、スペーサー110の素材はこの限りではない。また、支持体7Sの周囲には、排水管4に向かって低くなるように傾斜した排水導水部7cが形成されている。
次に、加湿体20に供給された水の流れについて説明する。水は、高いところから低いところに移動する。このため、吸水した加湿体20が傾斜した場合、加湿体20の低い側の端部に水が集中して流れやすくなる。図9では、加湿装置1の配置において、水が集中して流れやすい部分を矢印Vとして示している。
加湿装置1は、加湿素子2が傾斜して配置されているため、図4に示される貯水部12も傾斜している。図7及び図8に示されるように、貯水部12の両端に導水管100が形成されているが、貯水部12が傾斜することで、より低い位置にある導水管100、すなわち矢印Vの上方に位置する導水管100から先に水が溢れるため、矢印Vで示す部分には、より一層集中して水が流れやすくなる。
水の集中によって、加湿体20が吸水可能な量を超えた量の水が加湿体20に流れた場合には、加湿体20の内部ではなく、表面に水が流れやすくなる。送風機5から送られてくる空気の速度が速い場合、加湿体20の表面に流れる水が空気に吹き飛ばされて、給気口9aを通じて室内に浸入してしまう可能性がある。前述したように、給気口9aと加湿素子2とが対向する部分で空気の速度が速くなりやすいので、給気口9aと対向する部分に水が集中して流れると、水が吹き飛ばされて室内に浸入する可能性が増加する。
加湿装置1は、図9に示されるように、山型の形状を呈する支持体7Sに、頂部7eを挟んで第1加湿素子2−1と第2加湿素子2−2とを隣接して支持させるとともに、境界部分25の少なくとも一部を給気口9aと対向させる。このような構造により、加湿装置1は、加湿体20から溢れた水を第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2の低い側へ流すことができる。このため、加湿装置1は、水が集中して流れやすい低い部分を給気口9aと対向する部分から外すことができるので、給気口9aから水が飛散することを抑制できる。
給気口9aは、第1加湿素子2−1の境界部分25側、及び第2加湿素子2−2の境界部分25側と対向することが好ましい。第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2の境界部分25側は、開口14aのうち、境界部分25に近い側の部分である。この部分は、開口14aの境界部分25に近い側から、加湿体20を構成する複数の加湿板20cが並ぶ方向に沿った開口14aの寸法の90%以下、好ましくは75%以下、さらに好ましくは60%以下の範囲に相当する部分である。第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2に投影された給気口9aの形状が、前述した範囲に相当する部分に入っていればよい。
第1傾斜部7aと第2傾斜部7bとが接続される部分である頂部7eは、給気口9aから加湿素子2を見て、給気口9aの中央部分の下方に位置することが好ましい。このようにすることで、加湿素子2に投影された給気口9aの形状に占める、第1加湿素子2−1の開口部14aの割合と、第2加湿素子2−2の開口部14bの割合とを同等にできるので、第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2の両方の水が集中して流れやすい部分を、給気口9aと対向する部分から外しやすくなる。また、頂部7eを前述したようにすると、空気の速度が速い給気口9aの付近と、加湿素子22内において通水流量が多くなる、加湿素子20の低い側とを積極的に遠ざけることができるので、加湿素子2から加湿装置1の外部に水が飛散することが抑制される。
実施の形態1において、給気口9aは円形である。給気口9aの形状は円形に限定されず、楕円形であってもよいし、正方形、長方形、台形、平行四辺形及び五角形その他の多角形であってもよい。給気口9aの中央は、給気口9aの形状の図心である。
複数の加湿素子2の一部に投影された給気口9aの形状には、2個以下の加湿素子2が含まれていればよい。すなわち、複数の加湿素子2の一部に投影された給気口9aの形状には、第1加湿素子2−1又は第2加湿素子2−2が含まれていてもよい。この場合、投影された給気口9aの形状から、第1加湿素子2−1又は第2加湿素子2−2の水が集中して流れやすい部分を外すためには、給気口9aの大きさ及び形状の少なくとも一方が制約を受ける可能性がある。投影された給気口9aの形状に境界部分25が含まれ、さらに投影された給気口9aの形状の中央又は中央近傍に境界部分25が配置されることにより、給気口9aが前述した制約を受ける可能性が低減される。
水平面HLPに対する第1傾斜部7aの角度を傾斜角αとし、水平面HLPに対する第2傾斜部7bの角度を傾斜角βとし、水平面HLPに対する排水導水部7cの角度を傾斜角γとする。傾斜角αは第1傾斜部7aの勾配に相当し、傾斜角βは第2傾斜部7bの勾配に相当し、傾斜角γは排水導水部7cの勾配に相当する。加湿装置1の設置に際し、加湿装置1が設置される設置角度の許容範囲である許容設置傾斜角度を±θとする。許容設置傾斜角度±θは、加湿装置1の許容設計勾配に相当する。
α>θ及びβ>θとすることで、加湿装置1の設置角度、すなわち設置傾斜角度が±θの範囲であれば、図9に矢印Vで示される部分、すなわち、第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2のより低い側となる部分を、給気口9aと対向する部分から外すことができる。これにより、加湿装置1を設置した際の傾きを原因とする、加湿装置1から室内への水の浸入を抑制することができる。また、加湿装置1の設置角度がばらついている場合でも、加湿素子2はそれ以上に傾斜させることができるため、水の飛散を抑制することができる。
また、α>θ及びβ>θの条件に加えて、γ>θとすることで、加湿装置1の設置角度が±θの範囲であれば、排水管4に向かって低くなるように排水導水部7cを傾斜させることができる。その結果、ドレンパン7上の水は、円滑に排水管4から排出される。
実施の形態1とは異なり、加湿素子2が傾斜しておらず、複数の加湿素子2が水平に配置された場合について説明する。水平に並んで配置された加湿素子2の境界部分25が給気口9aと対向する部分に配置されている場合、加湿装置1が傾くと、加湿装置1の傾きにしたがって加湿素子2も傾くため、傾いた低い側に水が集中して流れやすくなる。すなわち、加湿装置1が傾斜した場合には、水が集中して流れやすくなる部分が給気口9aに対向する部分となってしまうので、加湿素子2から水が吹き飛ばされて室内に浸入しやすくなってしまう。
加湿装置1は、第1加湿素子2−1の境界部分25側の側面26−1よりも高さが低い側面27−1は、給気口9aと対向する部分から外れて位置しており、第2加湿素子2−2の境界部分25側の側面26−2よりも高さが低い側面27−2は、給気口9aと対向する部分から外れて位置している。このため、第1加湿素子2−1及び第2加湿素子2−2の低い側から流出した水は、通過する空気の速度が相対的に遅いこと、及び飛散した水は図1に示される壁29によって遮られることによって、給気口9aから飛散する量が低減される。このように、実施の形態1は、加湿装置1が傾斜した場合であっても、水が集中して流れやすくなる部分を給気口9aに対向する部分から外すことができるので、加湿装置1の給気口9aから水が室内に浸入することを抑制できる。
実施の形態1では、すべての加湿素子2が傾斜して配置された例を示したが、給気口9aと対向しない加湿素子2は傾斜していなくてもよい。すなわち、複数の加湿素子2のうち、第1の加湿素子2−1及び第2の加湿素子2−2以外の加湿素子2は傾斜していなくてもよい。また、実施の形態1では、支持体7Sが加湿素子2を面で支持する例を示したが、複数の突起で加湿素子2を支持し、突起の高さを異ならせることで加湿素子2を傾斜させる支持部であってもよい。
実施の形態1では、加湿素子2は導水管100を有するとしたが、加湿素子2は、必ずしも導水管100を有していなくてもよい。導水管100を含む貯水部12は、加湿素子2に水を供給する際に、供給する水の流量の大部分が加湿体20内を流れることにより、加湿体20の洗い流し効果を得ることができる構造であればよく、必ずしも上部が大気開放されている水槽である必要はない。貯水部12は、水密の管で構成され、管に穿孔された小孔から加湿体20に向けて水を滴下する構造でもよい。
実施の形態1において、加湿素子2の傾斜となる面は、ドレン排出口の真下、詳細には収容体70の底面の、排水管4側の部分の面である。傾斜の基準となる面は、前述した水平面HLPに相当する。傾斜の基準となる面は、収容体70の底面の、排水管4側の部分の面には限定されない。一例として、収容体70の上面の中央部が傾斜の基準となる面であってもよい。加湿装置1を据え付ける作業者は、傾斜の基準となる面に水準器を当てて、勾配を確認する。このように、実施の形態1において、加湿素子2を傾斜させる基準及びドレンパン7の勾配の基準は、据付工事用の勾配調整用に指定された面である。
以上説明したように、実施の形態1に係る加湿装置1は、水飛散の可能性を抑えることができる。実施の形態1で開示した構成は、以下の実施の形態でも適宜適用できる。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係る加湿装置1aが有する加湿素子2dを、給気口9a側から見た図である。実施の形態2は、加湿素子2dを除いて実施の形態1と同様である。実施の形態2では、実施の形態1と同じ構成の説明は省略する。
加湿素子2dは、加湿体20dを収納するケーシング10dの底面が、予めドレンパン7の傾斜に合わせて傾斜した形状となる。実施の形態2では、ケーシング10dの底面10dbの傾斜角と上面10duの傾斜角とを同様に設定したため、ケーシング10dを有する加湿素子2dは、開口14a側から見た場合、平行四辺形の形状となる。
図10に示されるように、第1加湿素子2−1dを支持する第1傾斜部7aの傾斜角は傾斜角αと設定され、第1加湿素子2−1dの底面10dbの傾斜角も第1傾斜部7aの傾斜角と同じ角度である傾斜角αと設定される。また、第2加湿素子2−2dを支持する第2傾斜部7bの傾斜角は傾斜角βと設定され、第2加湿素子2−2dの底面10dbの傾斜角も第2傾斜部7bの傾斜角と同じ角度である傾斜角βと設定される。
第1加湿素子2−1d及び第2加湿素子2−2dの底面10dbは、第1加湿素子2−1d及び第2加湿素子2−2dの上面10duに対し、互いに平行な面となる。第1加湿素子2−1dの側面26−1と側面27−1とは互いに平行であり、第2加湿素子2−2dの側面26−2と側面27−2とは互いに平行である。このため、第1加湿素子2−1d及び第2加湿素子2−2dは、開口14a側から見ると、平行四辺形の形状となる。
実施の形態2では、給気口9a側から見た加湿素子2dの形状を平行四辺形とすることで、第1加湿素子2−1dと第2加湿素子2−2dとの間に隙間が形成されない。一例として、隙間が形成されないようにするためには、加湿素子2dの境界部分25dとなる面と、底面10dbとがなす角度を、第1加湿素子2−1であれば90+α°とし、第2加湿素子2−2であれば90+β°とする。
実施の形態2では、第1加湿素子2−1dと第2加湿素子2−2dとの間に隙間が形成されないため、実施の形態1において第1加湿素子2−1と第2加湿素子2−2との間に設けたスペーサー110が省略される。また、加湿装置1aは、実施の形態1と同様に水の飛散を抑制して、室内への水の浸入を抑制することができる。給気口9aから見た場合、α=βとすることで、第1加湿素子2−1dと第2加湿素子2−2dとを、境界部分25dを基準とした線対称の形状とすることができる。すなわち、第1加湿素子2−1dは、反転させることにより、第2加湿素子2−2dとして用いられる。実施の形態2で開示した構成は、以下の実施の形態でも適宜適用できる。
実施の形態3.
図11は、実施の形態3に係る加湿装置1bが有する加湿素子2eを、給気口9a側から見た図である。図12は、図11に示される加湿素子2eを、XII−XII線に沿って切ったときの断面図である。実施の形態3は、支持部の構造を除いて実施の形態1と同様である。実施の形態3では、実施の形態1と同じ構成の説明は省略する。
実施の形態3において、複数の加湿素子2eを支持する支持部は、レール120である。レール120は、複数の加湿素子2eの上部、すなわち収容体70の天井70TPから吊り下げられる。レール120は、収容体70に支持されていればよいので、天井70TPから吊り下げられなくてもよい。
レール120は、複数の加湿素子2eが並んで配列される方向に延びる部材である。ケーシング10eには、レール受け部130が形成されている。レール受け部130はレール120が延びる方向に沿って延びている。レール受け部130は、ケーシング10eから突出した部材である。図12に示される加湿素子2eが有するレール受け部130をレール120に引っ掛けることにより、加湿素子2eがレール120に支持される。
レール120は、第1傾斜部127a及び第2傾斜部127bを有し、第1傾斜部127aと第2傾斜部127bとが接続する部分7fを頂部とする山型の形状を呈している。レール120に引っ掛けられる第1加湿素子2−1eの境界部分25側の側面26−1よりも高さが低い側面27−1は、給気口9aと対向する部分から外れている。レール120に引っ掛けられる第2加湿素子2−2eの境界部分25側の側面26−2よりも高さが低い側面27−2は、給気口9aと対向する部分から外れている。図11に示される例では、レール120に引っ掛けられる第1加湿素子2−1e及び第2加湿素子2−2eの境界部分25の位置は、第1加湿素子2−1e及び第2加湿素子2−2eに投影された給気口9aの形状に含まれる。
ケーシング10eが有するレール受け部130は、図12に示されるように、加湿素子2eの風下側に位置する第1ケーシング10aeにレール受け部130が形成されている。レール受け部130は、第2ケーシング10beに形成されてもよい。このように、レール受け部130は、第1ケーシング10ae又は第2ケーシング10beのいずれかに設けられていればよい。レール受け部130は、第1ケーシング10ae及び第2ケーシング10beの両側に設けられてもよい。
レール120は、ケーシング10eに形成されたレール受け部130の位置と対応するように設けられる。このような構造にすることで、支持体7Sをドレンパン7に設置する場合に比べて、加湿素子2を傾斜させる機能と排水を排水管4に導く機能とを分離させることができる。その結果、ドレンパン7に複雑な形状を持たせる必要がなくなるので、ドレンパン7が保水できる量を大きくすることができる。また、加湿装置1bは、実施の形態1と同様に水の飛散を抑制することができる。さらに、加湿装置1bは、加湿素子2をレール120に引っ掛けるだけで、加湿装置1からの水の飛散を抑制できる角度に加湿措置2を傾けることができる。実施の形態3で開示した構成は、以下の実施の形態でも適宜適用できる。
実施の形態4.
図13は、実施の形態4に係る加湿装置1cの構造を示す図である。実施の形態4は、実施の形態1と同様であるが、加湿素子2が1つであり、支持体7Seが1つの傾斜部7gを有する点が異なる。実施の形態4では、実施の形態1と同じ構成の説明は省略する。
図13では、加湿素子2と給気口9aとの位置関係を明らかにするために、給気口9aの輪郭線のみ図示している。加湿素子2は、水平面HLPに対して傾斜している。給気口9aは、開口側14a側で加湿素子2の一部と対向し、かつ傾斜した加湿素子2の低い方に配置される加湿素子2の部分とは対向しない。
支持体7Seは、加湿素子2が載置されてこれを支持する。支持体7Seは、ドレンパン7Dに形成されている。支持体7Seは、加湿素子2を下部側から支持する。図13に示されるように、支持体7Seは、給気口9aから見て水平面HLPに対して傾斜している。支持体7Seの傾斜している部分が傾斜部7gである。加湿素子2の高い側の側面26は、加湿素子2に投影された給気口9aの形状に含まれる。
加湿装置1cでは、図13に示されるように、傾斜部7gに加湿素子2が載置されて支持されることで、水が集中して流れやすい低い部分を給気口9aと対向する部分から外すことができる。そのため、本実施の形態4に係る加湿装置1cでは、水の飛散を抑制することができる。
また、水平面HLPに対する傾斜部7gの角度を傾斜角αとし、水平面HLPに対する排水導水部7hの角度を傾斜角γとする。また、加湿装置1cの設置に際し、加湿装置1cが設置される設置角度の許容範囲である許容設置傾斜角度を±θとする。この場合、α>θとすることで、加湿装置1cの設置角度、すなわち設置傾斜角度が±θの範囲であれば、矢印Vで示される部分、すなわち、より低い側となる部分を給気口9aと対向する部分から外すことができる。これにより、加湿装置1cを設置した際の傾きを原因とする、室内への水の浸入を抑制することができる。
また、α>θの条件に加えて、γ>θとすることで、加湿装置1の設置角度が±θの範囲であれば、排水管4に向かって低くなるように排水導水部7hを傾斜させることができ、ドレンパン7上の水を円滑に排水管4から排出させることができる。支持体7Seは、実施の形態3と同様に、加湿素子2を引っ掛けて支持するレールであってもよい。
実施の形態5.
図14は、実施の形態5に係る換気装置200の一例を示す図である。図15は、実施の形態5に係る空気調和装置300の一例を示す図である。換気装置200及び空気調和装置300は、実施の形態1から実施の形態4に係る加湿装置1,1a,1b,1cのうちいずれか1つを備える。次においては、換気装置200及び空気調和装置300が加湿装置1を備える例を説明するが、換気装置200及び空気調和装置300は、加湿装置1a,1b,1cのうちいずれか1つを備えてもよい。
図14に示されるように、換気装置200は、家屋の外部ODの空気を家屋250の室内IDに取り込む。換気装置200の空気取入口201は、加湿装置1の導入口8aに接続される。導入口8aから加湿装置1に流入した外部ODの空気は、加湿装置1によって加湿される。加湿された外部ODの空気は、給気口9aから室内IDに供給される。このように、加湿装置1を備えた換気装置200は、外部ODの空気を加湿して家屋250の室内に供給することができる。換気装置200は、加湿の際に、水飛散の可能性を抑えることができる。
図15に示されるように、空気調和装置300は、室外機301と室内機302と、加湿装置1とを有する。室外機301は家屋250の外部ODに設置され、室内機302は家屋250の室内IDに設置される。室内機302は、加湿装置1を備える。室外機301からは、室内機302の熱交換器303に冷媒が供給される。室内機302の送風機304は、空気取入口305から室内IDの空気を取り入れて、熱交換器303に送る。熱交換器303を通過して熱交換した空気の供給先は、切替器306によって、加湿器1と空気放出口307に直接接続される通路308とに切り替えられる。図15は、熱交換器303を通過した空気の供給先が加湿器1である場合、すなわち熱交換器303を通過した空気を加湿する必要がある場合を示している。
熱交換器303を通過した空気は、加湿装置1の導入口8aに流入した後、加湿装置1によって加湿される。加湿された外部ODの空気は、空気放出口305から室内IDに供給される。熱交換器303を通過した空気を加湿する必要がない場合、切替器306は、熱交換器303を通過した空気の供給先を、通路308とする。熱交換器303を通過した空気は、通路308を通過した後、空気放出口307から室内IDに供給される。このように、空気調和装置300は、外部ODの空気を加湿して家屋250の室内IDに供給することができる。また、空気調和装置300は、加湿の必要がない場合は、熱交換器303を通過した空気を、加湿しないで室内IDに供給することができる。空気調和装置300は、加湿の際に、水飛散の可能性を抑えることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。