JP6613683B2 - 粉体離型剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
離型剤は、液状離型剤と粉体離型剤とに大別される。液状離型剤はさらに油性離型剤(非水溶性離型剤)と水溶性離型剤とに分類される。これらのうち、現在では、高い耐焼付き性を有し、且つ、難燃性の点で優れる水溶性離型剤が広く用いられている。
本発明は、加熱された鋳造金型のキャビティ壁面に塗布される粉体離型剤であって、潤滑性を有し常温で液体状態の潤滑液と、常温で固体粒子状に形成されるとともに潤滑液を内包した本体部とを有する主成分粒子を備え、本体部は、融点が常温よりも高く、前記鋳造金型の加熱温度で溶融する有機化合物により構成される、粉体離型剤を提供する。
以下、本発明の第一実施形態につき説明する。第一実施形態に係る粉体離型剤は、潤滑性を有し常温で液体状態の潤滑液と、常温で固体粒子状に形成され、鋳造金型の加熱温度で溶融又は分解する有機化合物により構成されるとともに、潤滑液を内包した本体部とを有する主成分粒子を備える。図1は、第一実施形態に係る主成分粒子の一構造例を示す模式的な断面図である。図1に示すように、第一実施形態に係る粉体離型剤に備えられる主成分粒子1は、本体部2と潤滑液3とを有する。なお、図1及び後述する図2、図3において、潤滑液3がドットにより示されている。
次に、第二実施形態に係る粉体離型剤について説明する。第二実施形態に係る粉体離型剤は、潤滑性を有し常温で液体状態の潤滑液と、常温で固体粒子状に形成されるとともに前記潤滑液を密封するように殻状に形成された本体部としての外殻物質とを有する主成分粒子と、常温で固体粒子状に形成され、鋳造金型の加熱温度で溶融するバインダーとを備える。
実施例1では、上記第一実施形態に係る粉体離型剤を製造する。第一実施形態に係る粉体離型剤を製造するに当たり、まず、本体部を構成する有機化合物としてのポリエチレンワックス(三井化学株式会社製、分子量:900、融点:116℃)を140℃に加熱して、液体状態のポリエチレンワックスを作製した。次に、140℃に加熱された液体状態のポリエチレンワックスと、同じく140℃に加熱された潤滑液としての長鎖アルキル変性タイプの変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製)とを、重量比1:9(シリコーンオイル:ポリエチレンワックス=1:9)の割合で混合して混合液を調製した。次いで、混合液の温度を140℃に維持しつつ、ホモミキサを用いて混合液を15分間撹拌した。
実施例2では、上記第二実施形態に係る粉体離型剤を作製する。この場合、まず、分散媒であるエチレン−無水マレイン酸共重合体に、潤滑液としての変性シリコーンオイルを添加し、撹拌する。これにより、分散媒中に多数の微小な変性シリコーンオイルの油滴が形成される。次いで、分散媒中に、メラミン−ホルマリンプレポリマー及び酢酸を添加し、pH及び温度を調整する。ここで、油滴表面は疎水性(親油性)であり、メラミン−ホルマリンプレポリマーは油滴表面にて重合する。そして、重合反応により生じたメラミンポリマー(メラミン樹脂)が油滴表面を覆うように膜状に形成される。このようにして、メラミン樹脂からなる殻状の外殻物質(本体部)が形成され、外殻物質の内部に変性シリコーンオイル(潤滑液)が密封される。
次に、実施例1及び2に係る粉体離型剤の離型抵抗を測定した。離型抵抗の測定にあたり、テスト用鋳造金型を型締め力800tのダイカストマシンにセットした。そして、テスト用鋳造金型のキャビティ壁面に、各例に係る粉体離型剤を塗布装置を用いてそれぞれ塗布した。このときの塗布量は2.0gであり、塗布時間は2秒である。粉体離型剤の塗布後に型締めし、温度660℃に加熱されたアルミニウム溶湯(材種:ADC12)をテスト用鋳造金型のキャビティ内に射出して鋳造成形した。所定時間経過後にテスト用鋳造金型を型開きするが、その際に要した力の大きさを測定し、測定した力を圧力換算することにより、離型抵抗(単位:MPa)を測定した。こうした離型抵抗の測定を、一つの実施例に係る粉体離型剤あたり30回実施し、離型抵抗の平均値を求めた。また、比較例1として、黒鉛系粉体離型剤を用いて上記のように鋳造成形を実施し、型開き時における離型抵抗の平均値を求めた。
次に、実施例1及び実施例2に係る粉体離型剤の耐付着性を評価した。耐付着性の評価にあたり、まず、直径φ30mmの鉄製カップを用意した。この鉄製カップが鋳造金型に相当する。鉄製カップを200℃に加熱し、加熱した鉄製カップの底面に実施例に係る粉体離型剤を敷き詰めた。その後、温度650℃のアルミニウム合金(材種:ADC12)の溶湯を鉄製カップに充填した。充填したアルミニウム合金溶湯の重量は60gであった。
次に、実施例1及び実施例2に係る粉体離型剤の耐焼付き性を評価した。耐焼付き性を評価するにあたり、まず、予めダイカスト金型に設けられている所定温度に加熱された鋳抜きピンの表面に、各実施例に係る粉体離型剤を塗布した。塗布量は0.2gであり、塗布時間は2秒である。その後、アルミニウム合金(材種:ADC12)の溶湯(温度660℃)をダイカスト金型のキャビティに射出して、鋳抜きピンをアルミニウム合金溶湯により鋳包んだ。次いで、キャビティ内のアルミニウム合金が冷却凝固するまで待ち、冷却凝固完了後に、鋳抜きピンを鋳造品(アルミニウム合金)から抜き取って鋳抜きピンの重量G1を測定した。次いで、その鋳抜きピンをアルカリ液に浸漬して鋳抜きピンに付着したアルミニウム合金を除去した。その後、再度鋳抜きピンの重量G2を測定した。そして、重量G1と重量G2との重量差ΔG(G1−G2)を算出した。算出された重量差ΔGは、鋳抜きピンに付着したアルミニウム合金の重量、すなわち、キャビティ壁面(鋳抜きピンの壁面)に焼き付いた鋳造品の重量である。このような重量差ΔGの測定を、20回繰り返して行い、その平均値を平均重量差ΔGavとして算出した。平均重量差ΔGavが小さいほど、鋳造品がキャビティ壁面(鋳抜きピンの壁面)に焼付いた量が少なく、耐焼付き性が高いと評価できる。また、比較例4として、黒鉛系粉体離型剤を用いた場合における平均重量差ΔGavを、比較例5として、変性シリコーン系水溶性離型剤を用いた場合における平均重量差ΔGavを、それぞれ算出した。
Claims (11)
- 加熱された鋳造金型のキャビティ壁面に塗布される粉体離型剤であって、
潤滑性を有し常温で液体状態の潤滑液と、常温で固体粒子状に形成されるとともに前記潤滑液を内包した本体部とを有する主成分粒子を備え、
前記本体部は、融点が常温よりも高く、前記鋳造金型の加熱温度で溶融する有機化合物により構成される、粉体離型剤。 - 請求項1に記載の粉体離型剤において、
前記潤滑液が変性シリコーンオイルである、粉体離型剤。 - 請求項1又は2に記載の粉体離型剤において、
前記本体部を構成する有機化合物の分子量が800以上であり且つ2000以下である、粉体離型剤。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉体離型剤において、
前記本体部を構成する有機化合物がポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスを含む、粉体離型剤。 - 加熱された鋳造金型のキャビティ壁面に塗布される粉体離型剤であって、
潤滑性を有し常温で液体状態の潤滑液と、常温で固体粒子状に形成されるとともに前記潤滑液を内包した本体部とを有する主成分粒子と、
常温で固体粒子状に形成され、前記鋳造金型の加熱温度で溶融するバインダーとを備え、
前記バインダーは、前記キャビティ壁面に塗布されたときに溶融して粘着力を発揮することによって、前記主成分粒子を前記キャビティ壁面に付着させる機能を有し、
前記本体部は、前記潤滑液を内部に密封するように殻状に形成されており、且つ、前記鋳造金型に金属溶湯が注湯される際における注湯圧力によって破壊され或いは注湯される金属溶湯の温度にて分解する有機化合物により構成される、粉体離型剤。 - 請求項5に記載の粉体離型剤において、
前記潤滑液が変性シリコーンオイルである、粉体離型剤。 - 請求項5又は6に記載の粉体離型剤において、
前記本体部がメラミン樹脂により構成される、粉体離型剤。 - 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の粉体離型剤において、
前記バインダーは、分子量が500以上であり且つ30000以下の有機化合物である、粉体離型剤。 - 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の粉体離型剤において、
前記バインダーが、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスを含む、粉体離型剤。 - 請求項5乃至9のいずれか1項に記載の粉体離型剤において、
前記主成分粒子の平均粒子径が1μm以上であり且つ100μm以下である、粉体離型剤。 - 加熱された鋳造金型のキャビティ壁面に塗布される粉体離型剤の製造方法であって、
常温で固体状態であり且つ前記鋳造金型の加熱温度で溶融又は分解する有機化合物を加熱することにより、液体状態にされた前記有機化合物を作製する第1工程と、
液体状態にされた前記有機化合物と、潤滑性を有する液体により構成された潤滑液とを混合して混合液を調製する第2工程と、
前記混合液を噴霧して前記混合液の液滴を形成するとともに、形成した液滴中の前記有機化合物を固化させることにより、前記有機化合物により構成され常温で固体粒子状に形成される本体部とその本体部に内包された前記潤滑液とを有する主成分粒子を備える粉体離型剤を生成する第3工程と、
を含む、粉体離型剤の製造方法。
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