JP2003230952A - 鋳物製品の製造方法 - Google Patents

鋳物製品の製造方法

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JP2003230952A
JP2003230952A JP2002030377A JP2002030377A JP2003230952A JP 2003230952 A JP2003230952 A JP 2003230952A JP 2002030377 A JP2002030377 A JP 2002030377A JP 2002030377 A JP2002030377 A JP 2002030377A JP 2003230952 A JP2003230952 A JP 2003230952A
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liner
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Hirobumi Michioka
博文 道岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳ぐるむ鋳物に対するより大きな界面接合強
度を得ることができる鋳物製品の製造方法を提供する。 【解決手段】 窒素ガスを封入したマイクロカプセル1
4をと型材13に混入し、このと型材13を金型12の
内面12aに形成する。そして、鋳造時の溶湯の熱によ
ってと型材13中のマイクロカプセル14を破壊させ、
破壊されたマイクロカプセル14の跡に溶湯を入り込ま
せて固化させる。次に、ショットピーニングによって、
ライナ粗材の外周面に付着していると型材13をほぼ完
全に除去する。この結果、高さがあって入り組んだアン
カー効果の高い凹凸がシリンダライナ11の外周面全体
に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳物製品の製造方
法に係り、詳しくは、別の鋳物製品に鋳ぐるまれる鋳物
製品に好適な鋳物製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンとして、軽合金製のシリ
ンダブロックに、鋳鉄製のシリンダライナが鋳ぐるまれ
た構成のものが普及している。このようなシリンダブロ
ックでは、シリンダライナとの界面接合力をできるだけ
大きくする必要がある。
【0003】この界面接合力が十分でないと、例えば、
シリンダブロックにシリンダヘッドを組み付けたときに
ボルトから加わる力によってシリンダブロックが変形
し、シリンダライナとの界面が乖離する。
【0004】シリンダライナとの界面が乖離した状態と
なると、エンジン運転に伴う熱負荷によってシリンダブ
ロックが大きく歪み、シリンダボアが異常変形する。こ
のため、圧縮が低下して出力が低下し、また、ピストン
との間のクリアランスが増大してオイル消費が増大す
る。あるいは、ピストンリングとの摺動においてフリク
ションが増大し、燃費が悪化する。
【0005】また、エンジン運転時に、シリンダボアか
らウォータジャケット内の冷却水への伝熱効率が低下
し、エンジンの効率が低下する。そこで、より高い界面
接合力を得るため、シリンダライナの外周面に対し鋼球
をショットピーニングすることによって粗面化し、シリ
ンダブロック側に対するアンカー効果を高めることで界
面接合力を向上させる手法が一般に採用されている。し
かし、鋼球のショットピーニングによる粗面化だけで
は、アンカー効果が十分に高い界面とすることができ
ず、界面接合力を十分に大きくすることは困難である。
【0006】また、シリンダライナの外周面全体に円周
方向の溝を形成し、シリンダブロック側に対する界面面
積を拡大することで、界面接合力を向上させる手法も採
用されている。しかし、このような手法では、アルミニ
ウム溶湯の湯回りが悪化して密着度が低下するため、界
面接合力を十分に大きくすることが困難である。
【0007】これを克服するために、以下のような各技
術が提案されている。例えば、特開平3−133558
号のシリンダブロックの製造方法では、円周方向の溝を
形成した外周面全体をショットピーニングすることで、
軸線方向で隣り合う溝間の突状を部分的に潰す。このこ
とにより、外周面全体に対する溶湯の湯回りを向上さ
せ、界面の密着度の向上を図っている。
【0008】また、特開平8−174188号公報の被
鋳ぐるみ部材の表面処理方法では、先ず、シリンダライ
ナの外周面に対し、金属溶射によって下地層さらに接合
層を形成する。次に、接合層を加熱することによって形
成される酸化膜を除去する。このことにより、接合層の
強度低下を抑制し、シリンダブロック側との接合強度の
向上を図っている。
【0009】さらに、特開平10−94867号公報の
軽金属部品の素材の製造方法では、シリンダライナの外
周面に対して、破砕した高級コランダムを吹き付けるこ
とで、表面近傍に角錐状又はランセット状に肌傷を形成
する。このことにより、シリンダブロック側に対するア
ンカー効果を向上させ、接合強度の向上を図っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
3−133558号公報のシリンダブロックの製造方法
によれば、ライナ外周面に単に溝を設けた場合に比較し
て密着度は向上するが、界面接合強度は十分に向上しな
い。
【0011】また、特開平8−174188号公報の被
鋳ぐるみ部材の表面処理方法によれば、ライナの外周面
に鋼球を用いたショットピーニングを行なった場合に比
較して界面接合強度が向上するものの、十分には向上し
ない。
【0012】さらに、特開平10−94867号公報の
軽金属部品の素材の製造方法によれば、鋼球を用いてシ
ョットピーニングした場合に比較して、表面積がより大
きな凹凸面が形成されるものの、界面強度は十分に向上
しない。これは、凹凸面の高さが低く入り組んでいない
ため、シリンダブロック側に対するアンカー効果が十分
に大きくならないためであると推定される。
【0013】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、鋳ぐるむ鋳物に対する
より大きな界面接合強度を得ることができる鋳物製品の
製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、不活性ガス又は固体潤滑
剤が封入されたマイクロカプセルが混入されたと型材を
金型表面に予め形成し、鋳造時の熱によってと型材中の
マイクロカプセルを溶解させることを特徴とする。な
お、鋳造時の熱とは、鋳造前に余熱された金型から加わ
る熱や、溶湯から加わる熱を含む。
【0015】請求項1に記載の発明によれば、と型材中
のマイクロカプセルを鋳造時の熱によって溶解させるこ
とにより、溶解したマイクロカプセルの跡に溶湯を入り
込ませる。鋳造後、この鋳物製品の外側面からと型材を
除去することにより、マイクロカプセルの跡に入り込ん
で固化した溶湯による凹凸を外側面全体に形成する。こ
の凹凸面は、ショットピーニングのみによっては形成す
ることができない高さがあって入り組んだ凹凸面とな
る。従って、鋳ぐるむ鋳物に対するアンカー効果が向上
し、界面接合強度が向上する。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、鋳造後に前記鋳物製品の外側面に付着
している前記と型材を、ショットピーニング又はウォー
タジェットによって除去することを特徴とする。
【0017】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、鋳物製品の外側面からと
型材を除去するときの強さを調節することができ、外側
面に形成されている凹凸が潰れないようにと型材を除去
することができる。従って、高さがあって入り組んだ凹
凸面を殆ど損なわず、かつ、と型材が殆ど除去される。
その結果、鋳ぐるむ鋳物に対するアンカー効果がより一
層大きくなり、かつ、と型材が残存せず溶湯濡れ性の悪
化を招かないので、界面接合強度をより一層向上するこ
とができる。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請
求項2に記載の発明において、前記マイクロカプセル
は、前記と型材に対して5〜50vol%の範囲で混合
されていることを特徴とする。
【0019】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、マイクロカ
プセルが、と型材に対して5〜50vol%の範囲で混
合されているときに、鋳物製品の外側面全体に、面粗度
が高くアンカー効果が高い凹凸が形成される。従って、
界面接合強度がより一層向上する。
【0020】請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求
項3のいずれか一項に記載の発明において、前記マイク
ロカプセルは、その外径が10〜1000μmの範囲で
あることを特徴とする。
【0021】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項3のいずれか一項に記載の発明の作用に加え
て、外径が10〜1000μmの範囲のマイクロカプセ
ルを用いたときに、界面接合強度が向上する。
【0022】請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求
項4のいずれか一項に記載の発明において、前記鋳物製
品は、内燃機関のシリンダブロックに鋳ぐるまれるシリ
ンダライナであることを特徴とする。
【0023】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項4のいずれか一項に記載の発明の作用に加え
て、内燃機関のシリンダブロックに鋳ぐるまれるシリン
ダライナにおいて、請求項1〜請求項4のいずれか一項
に記載の発明の作用が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、内燃機関のシリ
ンダブロックに鋳ぐるまれるシリンダライナの製造方法
に具体化した一実施形態について説明する。
【0025】図2に示すように、内燃機関のシリンダブ
ロック10には、シリンダライナ11が鋳ぐるまれてい
る。シリンダライナ11は、鋳鉄で形成されている。シ
リンダブロック10は、アルミニウム合金で鋳造されて
いる。
【0026】次に、シリンダライナ11の製造方法につ
いて詳述する。ここでは、実施例1及び2について説明
する。 (実施例1)先ず、遠心鋳造によって、シリンダライナ
11のライナ粗材を形成する。
【0027】図3に示すように、円筒状の遠心鋳造用金
型(以下、金型と略称する。)12の内面(成形面)1
2aには、鋳造前にと型材(ライニング材)13を形成
する。と型材13は、セラミック粉末からなる通常のも
のである。
【0028】と型材13には、予めマイクロカプセル1
4が混入されている。マイクロカプセル14は、窒素ガ
ス(不活性ガス)がシェル内に封入されたものである。
マイクロカプセル14の外径は、約100μmである。
マイクロカプセル14は、と型材13に対して約10v
ol%混入されている。
【0029】金型12に溶融した鋳鉄を流し込む前に、
必要に応じて金型12を余熱する。次に、回転させた金
型12内に溶湯を流し込み、遠心力によって金型12の
内面に均一に広げる。このとき、金型12の余熱時の熱
や、溶湯の熱によって、と型材13中のマイクロカプセ
ル14を溶解させるとともに、その跡の空間内に溶湯を
入り込ませる。
【0030】次に、固化したライナ粗材を金型12から
引き抜いて取り出す。これにより、厚さ数mmのライナ
粗材を形成する。尚、このライナ粗材の外周面(外側
面)11aには、と型材13が付着している。
【0031】次に、ショットピーニングにより、ライナ
粗材の外周面11aに付着していると型材13をほぼ完
全に除去する。このショットピーニングは、破壊された
マイクロカプセル14の跡に入り込んだ溶湯が固化する
ことによって形成された凹凸を潰さないような条件で行
なう。このため、例えばショット材として、セラミック
製や合成樹脂製等のものを用たり、通常よりも外径が小
さい鋼球を用いることが好ましい。
【0032】この工程により、ライナ粗材の外周面11
aからと型材13をほぼ完全に除去するとともに、マイ
クロカプセル14によって形成された凹凸をほぼそのま
ま残す。この凹凸は、図1に示すように、高さがあって
入り組んだものとなる。
【0033】最後に、機械加工により、ライナ粗材の内
側を所定のボア内径に仕上げてシリンダライナ11とす
る。 (実施例2)実施例1と同様にして、シリンダライナ1
1のライナ粗材を形成する。
【0034】本実施形態で、と型材13に混入するマイ
クロカプセル14は、グラファィト(固体潤滑剤)がシ
ェル内に封入されたものである。マイクロカプセル14
は、と型材13に対して約16vol%混入されてい
る。
【0035】このマイクロカプセル14を、金型余熱時
に熱や、溶湯の熱によって溶解させることにより、シェ
ルに封入されていたグラファイトを溶湯によって外周側
に移動させるとともに、グラファイトが占めていた空間
に溶湯を入り込ませる。
【0036】次に、ウォータジェットにより、ライナ粗
材の外周面11aに付着していると型材13とグラファ
イトとをほぼ完全に除去するとともに、マイクロカプセ
ル14によって形成された凹凸をほぼそのまま残す。こ
の凹凸は、高さがあって入り組んだ凹凸となる。
【0037】最後に、実施例1と同様に、機械加工によ
りシリンダライナ11に仕上げる。このように製造され
た実施例1,2のシリンダライナ11をシリンダブロッ
ク10に鋳ぐるむ。
【0038】鋳造用金型内にシリンダライナ11を固定
し、溶融したアルミニウム合金を流し込む。この溶湯
は、シリンダライナ11の外周面11a全体に形成され
ている、高さがあって入り組んだ凹凸と結合するように
固化する。
【0039】このとき、ライナの外周面からと型材13
がほぼ完全に除去されているので、溶湯の濡れ性が低下
せず、溶湯が凹凸状の外周面に対し良好に密着した状態
で固化する。このため、シリンダライナ11の外周面1
1aは、シリンダブロック10側に対し強いアンカー効
果による大きな接合力で結合される。
【0040】次に、以上のように製造したシリンダライ
ナ11と、シリンダブロック10との界面接合強度につ
いての試験結果について説明する。試験は、図4に示す
ように、上記のように鋳造したシリンダブロック10か
ら、シリンダライナ11との界面接合部分を切り出し、
シリンダブロック10及びシリンダライナ11のテスト
ピース20としたものを用いる。このテストピース20
は、シリンダブロック側ピース21と、シリンダライナ
側ピース22とがそれぞれ20mm角で切り出されたも
のである。この両テストピース21,22同士の界面接
合強度を、引っ張り試験機で測定する。なお、この測定
において、治具とテストピース21,22との接着剤界
面で破断した結果は除く。
【0041】一方、両実施例1,2のテストピース2
1,22に対する比較例として、マイクロカプセル14
を混入していないと型材13を用いて鋳造したシリンダ
ライナについても同様のテストピースを作成して測定す
る。尚、このライナ粗材の外周面11aからは、ショッ
トピーニングによってと型材13が除去されている。
【0042】この試験の結果、実施例1,2に対するテ
ストピースの界面接合強度は、図5に示すように、比較
例に対するものの約7〜8倍以上に向上することが確認
された。
【0043】なお、マイクロカプセル14のと型材13
に対する重量比が5〜50vol%の範囲のときに、比
較例よりも高い界面接合強度が得られる。また、マイク
ロカプセル14の外径が10〜1000μmの範囲のと
きに、比較例よりも高い界面接合強度が得られる。ま
た、外径が20〜500μmの範囲では、さらにより高
い界面接合強度が得られ、さらに、外径が50〜200
μmの範囲では、最も高い界面接合強度が得られる。
【0044】以上のような試験結果が得られた要因につ
いて分析する。比較例において、と型材13が除去され
たシリンダライナの外周面に形成されている凹凸の高さ
は、各実施例1,2のシリンダライナの外周面に形成さ
れている凹凸に比較して、高さが低く入り組んでいな
い。このため、ライナのシリンダブロック10側に対す
るアンカー効果が低いと推測される。
【0045】一方、各実施例1,2のシリンダライナ1
1の外周面11a全体に形成されている凹凸は、比較例
に対し、高さがあって入り組んでいる。このため、シリ
ンダブロック側に対するアンカー効果が大幅に向上して
いることが推測される。
【0046】次に、以上詳述した本実施形態が有する効
果を列記する。 (1) マイクロカプセル14を混合したと型材13を
塗布した金型12でシリンダライナ11を鋳造し、鋳造
時の熱によってマイクロカプセル14を破壊することに
より、破壊されたマイクロカプセル14の跡に溶湯を入
り込ませる。鋳造後に、このライナ粗材の外周面11a
からと型材13をほぼ完全に除去することにより、シリ
ンダライナ11の外周面11a全体に凹凸が形成され
る。この凹凸は、ショットピーニングのみによっては形
成することができない高さがあって入り組んだものとな
る。
【0047】従って、このシリンダライナ11を鋳ぐる
むように鋳造されるシリンダブロック側に対するアンカ
ー効果を大幅に向上することができるので、界面接合強
度を大幅に向上することができる。
【0048】このように製造されたシリンダライナ11
を鋳ぐるんだシリンダブロック10では、例えば、シリ
ンダブロック10にシリンダヘッドを組み付けたときに
ボルトから加わる力によってシリンダブロック10が変
形し難く、シリンダライナ11との界面が乖離すること
がない。
【0049】このため、エンジン運転に伴う熱負荷によ
ってもシリンダブロック10が大きく歪むことがなく、
シリンダボアが異常変形することがない。従って、圧縮
が低下しないので出力が低下せず、また、ピストンとの
間のクリアランスが増大しないのでオイル消費が増大し
ない。あるいは、ピストンリングとの摺動において、フ
リクションの低減を図ることができる。
【0050】また、エンジン運転時に、シリンダボアか
らウォータジャケット内の冷却水への伝熱効率が低下し
ないので、エンジンの効率が低下しない。 (2) 鋳造後のライナ粗材の外周面11aに付着する
と型材13を、ショットピーニング又はウォータジェッ
トで除去するので、鋳造後のシリンダライナ11の外周
面11aからと型材13を除去するときの強さを調節す
ることができる。このため、外周面11aに形成されて
いる凹凸が潰れないように、と型材13を除去すること
ができる。従って、高さがあって入り組んだ凹凸を殆ど
損なわず、かつ、と型材13が殆ど除去される。
【0051】その結果、シリンダブロック10に鋳ぐる
んだときに、凹凸によるより高いアンカー効果を得るこ
とができ、かつ、と型材13が残存せず溶湯濡れ性の悪
化を招かないので、界面接合強度をより一層向上するこ
とができる。
【0052】(3) 実施例1では、マイクロカプセル
14に窒素ガス(不活性ガス)が封入されているので、
鋳造時の熱によって破壊されたマイクロカプセル14の
跡が空間となり、溶湯が容易に入り込む。このため、高
さがあって入り組んだ凹凸が容易に形成される。
【0053】また、実施例2では、マイクロカプセル1
4にグラファイト(固体潤滑剤)が封入されているの
で、鋳造時の熱によって破壊されたマイクロカプセル1
4内のグラファイトが溶湯によって外周側に容易に移動
し、グラファイトが占めていた空間内に溶湯が容易に入
り込む。そして、ショットピーニングにより、と型材1
3と共にライナ粗材の外周面11aから容易に除去され
る。このため、高さがあって入り組んだ凹凸が容易に形
成される。
【0054】(4) 実施例1では、マイクロカプセル
14が約10vol%混入されたと型材13を用い、実
施例2では、同じ約16vol%混入されたと型材13
を用いた。その結果、ライナの外周面11aの面粗度が
高くなる。そして、外周面11aのアンカー効果がより
一層向上し、界面接合強度がより一層向上した。
【0055】(5) ライナ粗材を遠心鋳造するので、
遠心鋳造用の金型12の内面にと型材13を容易に形成
することができる。次に、上記一実施形態以外の実施形
態を列記する。
【0056】・ 前記一実施形態で,シリンダライナ1
1を、低圧鋳造法や重力鋳造法によって鋳造してもよ
い。この場合にも、使用する金型12の内面に、マイク
ロカプセル14が混入されたと型材13を塗布すればよ
い。
【0057】・ 前記一実施形態で、ライナ粗材の外周
面11aに付着していると型材13を、ショットブラス
トまたはサンドブラストによって除去してもよい。 ・ 前記一実施形態で、マイクロカプセル14として、
アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン等
の不活性ガスが封入されたものを用いてもよい。
【0058】・ 前記一実施形態で、マイクロカプセル
14として、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、
PTFE等の固体潤滑剤が封入されたものを用いてもよ
い。 ・ エンジンのシリンダブロック10に鋳ぐるまれるシ
リンダライナ11以外の鋳造製品に実施してもよい。
【0059】以下、前記各実施形態から把握された技術
的思想をその効果と共に列記する。 (1) 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発
明において、前記鋳物原製品を、遠心鋳造によって形成
することを特徴とする鋳物製品の製造方法。このような
構成によれば、遠心鋳造用の金型の表面にと型材を容易
に形成することができる。
【0060】(2) 請求項4又は請求項5に記載の発
明において、前記マイクロカプセルの外径は、20〜5
00μmの範囲であることを特徴とする鋳物製品の製造
方法。この場合、界面接合強度がさらに高くなる。
【0061】(3) 上記技術的思想(2)に記載の発
明において、前記マイクロカプセルの外径は、50〜2
00μmの範囲であることを特徴とする鋳物製品の製造
方法。この場合、界面接合強度が最も高くなる。
【0062】(4) 不活性ガス又は固体潤滑剤が封入
された鋳造用マイクロカプセル。
【0063】
【発明の効果】請求項1〜請求項5に記載の発明によれ
ば、高さがあって入り組んだ凹凸を鋳ぐるみ面全体に形
成することができるので、鋳ぐるむ鋳物に対するより大
きな界面接合強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のシリンダライナを示す要部破断
模式斜視図。
【図2】 シリンダブロックの要部破断模式正面図。
【図3】 鋳造工程を示す金型の模式縦断面図。
【図4】 界面接合強度の試験方法を示す引っ張り試験
機の模式図。
【図5】 界面接合強度の試験結果を示すグラフ。
【符号の説明】 10…シリンダブロック、11…鋳物製品としてのシリ
ンダライナ、11a…外側面としての外周面、12…鋳
造用金型、13…と型材、14…マイクロカプセル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 1/00 F02F 1/00 C 1/08 1/08 B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不活性ガス又は固体潤滑剤が封入された
    マイクロカプセルが混入されたと型材を金型表面に予め
    形成し、鋳造時の熱によってと型材中のマイクロカプセ
    ルを溶解させることを特徴とする鋳物製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋳造後に前記鋳物製品の外側面に付着し
    ている前記と型材を、ショットピーニング又はウォータ
    ジェットによって除去することを特徴とする請求項1に
    記載の鋳物製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記マイクロカプセルは、前記と型材に
    対して5〜50vol%の範囲で混合されていることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋳物製品の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記マイクロカプセルは、その外径が1
    0〜1000μmの範囲であることを特徴とする請求項
    1〜請求項3のいずれか一項に記載の鋳物製品の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記鋳物製品は、内燃機関のシリンダブ
    ロックに鋳ぐるまれるシリンダライナであることを特徴
    とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の鋳物
    製品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016120521A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 アイシン精機株式会社 粉体離型剤及びその製造方法

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