JP6613472B2 - 光ファイバ揺動装置および光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Description
前記転動抑制ローラは前記光ファイバをガイドする有底V字型の溝を有し、
V字をなす前記溝の角度は、
前記揺動ガイドローラにより前記光ファイバが最大に揺動される際に前記転動抑制ローラの鍔部に前記光ファイバが接触する角度より大きく、且つ、前記溝の側面の2面と前記溝の底面とに前記光ファイバが3点接触する角度未満である。
前記転動抑制ローラとして、有底V字型の溝を有し、V字をなす前記溝の角度が、前記揺動ガイドローラにより前記光ファイバが最大に揺動される際に前記転動抑制ローラの鍔部に前記光ファイバが接触する角度より大きく、且つ、前記溝の側面の2面と前記溝の底面とに前記光ファイバが3点接触する角度未満であるローラを用いて前記光ファイバを揺動させる。
本発明の実施形態に係る光ファイバ揺動装置は、
(1) 線引炉によって線引されたガラスファイバに被覆材料をコーティングして硬化させる被覆装置の後段に設けられ、前記被覆材料が硬化された光ファイバを揺動させる揺動ガイドローラと、前記揺動ガイドローラの後段に設けられ、前記揺動ガイドローラにより揺動された前記光ファイバの転動を抑制する転動抑制ローラと、を有する光ファイバ揺動装置であって、
前記転動抑制ローラは前記光ファイバをガイドする有底V字型の溝を有し、
V字をなす前記溝の角度は、
前記揺動ガイドローラにより前記光ファイバが最大に揺動される際に前記転動抑制ローラの鍔部に前記光ファイバが接触する角度より大きく、且つ、前記溝の側面の2面と前記溝の底面とに前記光ファイバが3点接触する角度未満である。
転動抑制ローラの有底V字型の溝のなす角度が、揺動ガイドローラにより光ファイバが最大に揺動される際に転動抑制ローラに導かれる光ファイバが転動抑制ローラの鍔部に接触する角度より大きいので、揺動された光ファイバが転動抑制ローラの鍔部に擦れ、デラミネーションが生じるのを防ぐことができる。また、前記溝の側面の2面と溝の底面とに光ファイバが3点接触する角度未満であり、溝の側面に接触する2点で光ファイバが抑えられているので、溝の底面で転動することなく、光ファイバを効果的に揺動することができる。これにより、PMD(偏波分散)を抑制した光ファイバを得ることができる。
転動抑制ローラの有底V字型の溝の角度が、30°より大きいので、揺動された光ファイバのデラミネーションの発生を防ぐことができる。また、前記溝の角度が、74°未満であるので、光ファイバを効果的に揺動することができる。これにより、PMD(偏波分散)を抑制した光ファイバを得ることができる。
前記転動抑制ローラとして、有底V字型の溝を有し、V字をなす前記溝の角度が、前記揺動ガイドローラにより前記光ファイバが最大に揺動される際に前記転動抑制ローラの鍔部に前記光ファイバが接触する角度より大きく、且つ、前記溝の側面の2面と前記溝の底面とに前記光ファイバが3点接触する角度未満であるローラを用いて前記光ファイバを揺動させる。
転動抑制ローラの有底V字型の溝のなす角度が、揺動ガイドローラにより光ファイバが最大に揺動される際に転動抑制ローラに導かれる光ファイバが転動抑制ローラの鍔部に接触する角度より大きいので、揺動された光ファイバが転動抑制ローラの鍔部に擦れ、デラミネーションが生じるのを防ぐことができる。また、前記溝の側面の2面と溝の底面とに光ファイバが3点接触する角度未満であり、溝の側面に接触する2点で光ファイバが抑えられているので、溝の底面で転動することなく、光ファイバを効果的に揺動することができる。これにより、PMD(偏波分散)を抑制した光ファイバを得ることができる。
本発明の実施形態に係る光ファイバ揺動装置および光ファイバの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(光ファイバを線引きする工程)
光ファイバ母材8を線引炉2内のヒータ7によって加熱溶融し、ガラスファイバ9を線引きする。
線引きされたガラスファイバ9は、被覆装置3に送られる。被覆装置3は、ダイス31に紫外線硬化型樹脂などの被覆材料32を貯えており、ガラスファイバ9がダイス31を通過することにより、ガラスファイバ9の外周に被覆材料32がコーティングされる。被覆材料32がコーティングされたガラスファイバ9は、紫外線照射装置33により紫外線が照射され、被覆材料32が硬化して被覆層が形成された光ファイバ10となる。
次に、光ファイバ10は、被覆装置3の後段に設けられた光ファイバ揺動装置4の揺動ガイドローラ41に送られる。揺動ガイドローラ41は、その回転軸が回転軸と直交する方向に周期的に揺動するように構成されており、この揺動により光ファイバ10に有効な所定のねじりが付与される。
まず、光ファイバ揺動装置における転動抑制ローラの有底V字型の溝のV字をなす溝の角度について考察する。
図2は、本実施形態に係る光ファイバ揺動装置の説明図である。
揺動ガイドローラ41は、送られてくる光ファイバ10を、例えばそのローラ回転軸と直交する揺動軸C(光ファイバ10の走行方向と平行)を中心に周期的に揺動し、この揺動により光ファイバ10に有効な所定のねじりが付与される。
転動抑制ローラ42は、ローラ溝部の表面を光ファイバが転動して有効なねじりが付与できなくなることを防ぐため、揺動させる光ファイバ10の固定点となるような有底V字型の溝42aを有している。
tanx=t/L’・・・・(式1)
の関係式で表される。
tおよびL’は、揺動ガイドローラ41と転動抑制ローラ42との間のローラ間距離L、揺動角θ1、揺動ガイドローラ41の幅B、揺動ガイドローラ41の外径Dの関係によって求められ、例えば、L=100mm、θ1=10°、B=30mm、D=60mmの場合、上記振れ角度xは、
tanx=t/L’=0.273
を満たす。
図3は、本実施形態に係る光ファイバ揺動装置4における、転動抑制ローラ42の有底V字型の溝42aの模式的な断面図である。
つまり、光ファイバ10が溝の底面42dには接触せずに、両側面42b,42bの2点接触するように、できるだけ幅広の角度となる溝角度θ2を求めこれを上限とする。
tanθ3=r/s・・・・(式2)
溝の底面42dの幅2sは加工精度によって決定され、例えば120μmである。光ファイバ10の直径2rを、例えば240μmとすると、θ3は、
tanθ3=r/s=2
を満たす。
このように、転動抑制ローラ42の有底V字型の溝42aの角度を74°未満とすれば底面42d上を光ファイバ10が転動してしまうことが無い。これにより、PMD(偏波分散)を抑制した光ファイバを得ることができる。
次に、本発明に係る実施例および比較例について説明する。
実施例および比較例1、2は、有底V字型の溝の角度が異なる転動抑制ローラをそれぞれ使用し、本実施形態の製造方法で光ファイバを製造したものである。
有底V字型の溝の角度が70°の転動抑制ローラ。
(比較例1)
有底V字型の溝の角度が30°の転動抑制ローラ(従来の転動抑制ローラ)。
(比較例2)
有底V字型の溝の角度が110°の転動抑制ローラ。
上記実施例および比較例1、2の転動抑制ローラを使用して製造された光ファイバに対して、PMD(比)とデラミネーションの発生頻度を求めた。
PMDの平均値は、比較例1の転動抑制ローラの場合を1とすると、実施例の場合は1.04、比較例2の場合は1.27であった。
デラミネーションの発生頻度は、比較例1の場合は1.6%、実施例の場合は0%、比較例2は0%であった。
これに対して、実施例(溝の角度70°)の場合は、揺動された光ファイバのデラミネーションの発生を防ぐことができ、且つ、PMDを比較例1(従来の転動抑制ローラ)と同程度に抑制した光ファイバを得ることができた。
2 線引炉
3 被覆装置
31 ダイス
32 被覆材料
33 紫外線照射装置
4 光ファイバ揺動装置
41 揺動ガイドローラ
42 転動抑制ローラ
42a 有底V字型の溝
42b 側面
42c 鍔部
42d 底面
5 ガイドローラ
6 巻き取り装置
7 ヒータ
8 光ファイバ母材
9 ガラスファイバ
10 光ファイバ
Claims (3)
- 線引炉によって線引されたガラスファイバに被覆材料をコーティングして硬化させる被覆装置の後段に設けられ、前記被覆材料が硬化された光ファイバを揺動させる揺動ガイドローラと、前記揺動ガイドローラの後段に設けられ、前記揺動ガイドローラにより揺動された前記光ファイバの転動を抑制する転動抑制ローラと、を有する光ファイバ揺動装置であって、
前記転動抑制ローラは前記光ファイバをガイドする有底V字型の溝を有し、
V字をなす前記溝の角度は、
前記揺動ガイドローラにより前記光ファイバが最大に揺動される際に前記転動抑制ローラの鍔部に前記光ファイバが接触する角度より大きく、且つ、前記溝の側面の2面と前記溝の底面とに前記光ファイバが3点接触する角度未満である、光ファイバ揺動装置。 - 前記溝の角度は、30°より大きく、74°未満である、請求項1に記載の光ファイバ揺動装置。
- 光ファイバ母材を加熱溶融してガラスファイバを線引きする工程と、線引きされた前記ガラスファイバに被覆材料をコーティングし硬化させる工程と、前記被覆材料が硬化された光ファイバを、後段に設けられた転動抑制ローラにより前記光ファイバの転動を抑制しつつ、揺動ガイドローラによって揺動させる工程と、を有する光ファイバの製造方法であって、
前記転動抑制ローラとして、有底V字型の溝を有し、V字をなす前記溝の角度が、前記揺動ガイドローラにより前記光ファイバが最大に揺動される際に前記転動抑制ローラの鍔部に前記光ファイバが接触する角度より大きく、且つ、前記溝の側面の2面と前記溝の底面とに前記光ファイバが3点接触する角度未満であるローラを用いて前記光ファイバを揺動させる、光ファイバの製造方法。
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